資料10−3−3

IODP2008年度年間事業計画(案)の概要

1.IODP年間事業計画(APP:Annual Program Plan)とは

(1)概要

 米国会計年度(10月から開始)におけるIODPの科学計画、掘削船運用計画及び予算についての計画。掘削船の運用等を行う実施機関(IO:Implementation Organization)からの計画提案をIODP-MIと各IOとの間で調整し、IODP-MIがAPP案を作成。科学諮問組織の最上位委員会であるSASEC及びIODP-MI理事会の承認を経て、最終的にNSF-MEXTの主席監理官の承認を受け実施される。

(2)作成スケジュール

2.FY08 IODP APP(Annual Program Plan)案の構成

 IODP-MI、各IO等が行なうIODPの事業について、事業の要素毎に記載される。

  1. 年間事業計画の概要
  2. 予算の概要
  3. IODPの組織構造
  4. 2008年度研究航海…「ちきゅう」の南海トラフでの研究航海、米国船の南太平洋・ベーリング海・北西太平洋シャツキー海膨での研究航海、特定任務掘削船(欧州提供)のニュージャージー沖での研究航海。(表1参照)
  5. 計画管理に関する活動…IODP実施のための計画管理に係る事務等
  6. 技術・科学支援に関する活動…研究航海計画立案、掘削資材調達等
  7. 技術開発に関する活動…IODP科学目標の達成に必要な技術開発
  8. コアの取扱いに関する活動…コアの保管、過去の深海掘削によるコアの世界的再配分等(日本は西太平洋からインド洋で採取されたコアを管理)
  9. データマネジメントに関する活動…事前調査データ管理システムの運用、科学掘削に係る情報等のポータルシステム(SEDIS)の開発・運用等
  10. 科学的成果に関する出版等の活動…研究航海の結果を掲載する科学誌の出版等
  11. アウトリーチに関する活動…国際学会での展示、パンフレット作成等

3.2008年度に実施される研究航海

 「ちきゅう」は2007年9月より開始される熊野灘における南海トラフ地震発生帯掘削計画ステージ1を引き続き実施する。米国科学掘削船(ジョイデス・レゾリューション号)は改造を終了、2008年3月より国際運用を開始し、南太平洋・ベーリング海・北西太平洋シャツキー海膨での研究航海を実施する。また、欧州提供の特定任務掘削船は、昨年度より延期となったニュージャージー沖で研究航海を実施する。

名称 航海期間
(予定)
航海日数
(移動/運用)
概要 掘削船
NanTroSEIZE
Stage 1
(LWD Transect)
2007年9月〜11月 61日
(移動日数0/運用日数61)
南海トラフ熊野灘沖で予定されている掘削サイトで、掘削しながら検層を行う現場計測装置を使い、地下構造、物性などを調査。 ちきゅう
NanTroSEIZE
Stage 1
(Mega-Splay Riser Pilot)
2007年11月〜12月 31日
(移動日数0/運用日数31)
ステージ2で実施予定の巨大分岐断層へのライザー掘削に一部着手し、海底下約1,000メートル程度までの試料採取を行い、付加堆積物を調査。 ちきゅう
NanTroSEIZE
Stage 1
(Thrust Faults)
2007年12月〜2008年2月 52日
(移動日数0/運用日数52)
付加体前縁の海底下約1,000メートル程度までの試料採取を行い、分岐断層と関連する流体状況や付加堆積物を調査。 ちきゅう
Equatorial
Pacific
Transect 1
2008年3月〜5月 56日
(移動日数12/運用日数44)
赤道帯の東太平洋にて掘削を行い、新生代の始新世から中新世における気候変動について調査。 米国船
Equatorial
Pacific
Transect 2
2008年5月〜7月 54日
(移動日数19/運用日数35)
同上(上記航海の続き) 米国船
Bering Sea
Expedition
2008年7月〜9月 56日
(移動日数13/運用日数43)
ベーリング海にて掘削を行い、北太平洋における鮮新世より現在までの気候変動について調査。 米国船
Shatsky Rise
Expedition
2008年9月〜11月 56日
(移動日数17/運用日数39)
北西太平洋シャツキー海膨にて掘削を行い、その年代や起源、発達過程等について調査。 米国船
New Jersey
Shallow Shelf
未定 90日 西大西洋ニュージャージー沖で掘削を行い、新生代における海水準の変動やそれに伴う堆積作用について調査。 欧州船
表1.研究航海の概要


図1.研究航海実施海域