資料10−3−2

第9回深海掘削委員会以降のIODPに関する活動について

1.IODPフレームワーク

  1. 平成19年1月23、24日の両日、米国テキサス州カレッジステーションにおいてNSF-MEXT会合を開催。IODP2008年度の予算指針、産業界との連携等について検討した。また、中央管理組織(IODP国際計画管理法人:IODP-MI)を交え、今後の計画運営等について検討した。
  2. 平成19年2月19日、NSF及びMEXTからIODP-MIに対し、2008年度予算指針を提示した。
  3. 平成19年5月14日、15日に米国ワシントンD.C.においてNSF-MEXT打合せ会合を開催。「ちきゅう」及びSODVの運航計画の見通し、米国資金の契約手続の変更、中央管理組織による適切な計画運営、ECORDとの連携強化等について意見交換した。(5月15日にはECORDを交えて意見交換。)
  4. 平成19年6月26日、27日にドイツのブレーマーハーフェンにおいて、IODPに参加する各国機関が出席する第5回IODP評議会を開催。米国2008年度の年間事業計画案の見通し、参加国拡大活動等について意見交換。併せて、平成19年6月24日、28日には、同じくブレーマーハーフェンにおいてNSF-MEXT会合を開催。引き続き、米国資金の契約手続の変更のほか、中央管理組織の運営の効率化、IODP参加国の拡大方策等について検討した。また、IODP-MIを交え、2008年度の計画運営等について調整を行った。

2.研究航海

 米国科学掘削船が船舶の改造のため、前回委員会から現在まで、研究航海は行われていない。米国掘削船は平成20年5月中旬に研究航海を再開する予定。
 欧州が提供する特定任務掘削船がIODP2007年に実施する予定としていた西大西洋ニュージャージー沖での研究航海は、IODP2008年に延期。

3.科学諮問組織(SAS:Science Advisory Structure

  1. 平成19年3月4〜7日に大阪において、第9回科学計画委員会(SPC)が開催され、掘削提案に関する議論及びIODP2008年度以降に行われる掘削に対する優先順位付けが行われた。
  2. 平成19年3月22日、23日に米国・ワシントンD.C.、東京、英国・ケンブリッジの3ヶ所を結んだテレビ会議形式でSASECを開催し、SAS活動のレビューと効率化、国際陸上科学掘削計画(ICDP)との関係、初期科学計画(ISP)の見直しの仕方等について検討された。
  3. 平成19年6月25、26日にドイツのブレーマーハーフェンにおいて、第3回SASECが開催され、掘削提案の優先順位の検討、ICDPとの関係強化、SASの効率化等について検討された。
  4. 平成19年8月27〜30日に米国カリフォルニア州サンタクルーズにおいて、第10回SPC会合が開催され、これまでに研究者から提出され、SPC会合において高い評価を得て運用委員会(OTF)に送られた掘削提案に関する優先順位の検討及びIODP2008年度以降に行われる掘削に対する優先順位付けが行われた。

4.中央管理組織(IODP国際計画管理法人:IODP-MI)

  1. 平成19年5月16日に米国・ワシントンD.Cにおいて、IODP-MIによる参加国拡大フォーラムが開催され、8カ国(豪、台湾、イスラエル、ニュージーランド、パキスタン、ロシア、タイ、ベトナム)からの参加者(科学者又は在米大使館員)に対しIODP参加の勧誘活動が行われた。
  2. 平成19年6月20日に米国・ワシントンD.Cにおいて、OTFが開催され、IODP2008年度以降の研究航海スケジュールについて、検討が行われた。
  3. 平成19年6月28日にIODP-MI理事会が開催。IODPの運営について検討が行われた。
  4. IODP-MIに日本(文部科学省)から派遣されていた上級顧問が6月末で帰国、職務復帰。引き続き、派遣要請に基づく、後任の上級顧問が7月下旬に日本から着任。

5.海洋研究開発機構(JAMSTEC)

  1. 全体概要
    米国2007会計年度IODP事業計画をIODP-MIと契約。契約内容には「ちきゅう」の国際運用、高知コア研究所によるコア保管のほか、長期孔内計測システム開発を含む。事業計画に従い「南海トラフ掘削計画ステージ1」開始に向けて準備中。準備に関し、特に大きな遅延等はない。その他、米国2008会計年度IODP事業計画を作成中。
  2. 日本国内研究者に対するIODP掘削航海及びプレ・ポストクルーズ会議への乗船旅費支援について、平成18年度は40名、平成19年度は8月末までに15名に対して支援を実施した。
  3. 長期孔内計測
    平成19年3月より、米国2007会計年度の開発をIODP-MIと契約。6月に技術要求書を完成し、9月に技術設計書を完成予定。FY08契約に向け、IODP-MIと調整中。
  4. 「南海トラフ掘削」
    ステージ1(IODP Expedition 314、315、316)の科学掘削計画を出版。3つの研究航海の乗船研究者確定及び全員の乗船申込みを受領。現在、サンプル要求を受付中で、9月15日までにサンプル要求の可否を判定する。
  5. DSDP/ODPコア試料再配分
    高知コア研究所の受入体制完了。受入れるべきコア試料が多いため、送付順番を調整した結果、第一便の貨物船は米国を8月16日に出港し、9月中旬より高知コア研究所に順次搬入予定。

6.日本地球掘削科学コンソーシアム(J-DESC)

  1. 来年度に計画されている米国提供のノンライザー掘削船を用いたIODP航海に関し、我が国の乗船研究者を募集し、掘削運航機関へ推薦した。
  2. これまで行われた東太平洋の中米沖海域、カスカディア付加体、および北大西洋の中央部における5掘削航海に関する第2回ポストクルーズ会議への参加に係る支援をそれぞれ行った。
  3. 平成19年3月2〜3日に名古屋大学,名古屋大学博物館において、同7月20〜21日に千葉大学、千葉県立中央博物館において、JAMSTEC共催、文部科学省後援による「IODP大学&科学館キャンペーン」を開催した。また、同3月31日に名古屋市科学館において上記キャンペーン番外編を開催した。同5月19日〜24日に、JAMSTECと共同で、日本地球惑星科学連合2007年大会のブース出展協力し、IODP乗船研究者によるミニレクチャーを実施した。また、同大会ではJ-DESCを中心とした呼びかけで「地球掘削科学」セッションを取り持った。
  4. 日本のIODPの活動を高めるための航海前の事前会合出席などの経費について手当てするフレームを新たに作った。
  5. これまで掘削科学に関係したコアスクールが会員機関のボランティア活動により実施されてきたが、地球掘削科学を推進するため、これらを系統的にJ-DESCコアスクールとして開催することとした。平成19年6月20〜22日に最先端非破壊コア解析TATSCANコース、平成19年8月1〜3日に微化石コースを実施した(会員機関への利益の還元として、会員機関所属の学生・院生の参加者には参加援助として数千円程度J-DESCより補助)。
  6. 【事務用】あるいは【乗船研究者用】マニュアル化進行中で、平成19年度前半にほぼ終了予定である。
  7. 平成19年5月に東京大学海洋研究所において、第3回IODP成果報告会、同7月にJAMSTEC東京事務所において「石油産業におけるIODPの活用ワークショップ」、同8月に東京大学海洋研究所において、「南海トラフ巨大地震発生帯の掘削科学(IODP)」シンポジウムを開催した。
  8. 海外との関係として、韓国との間でKJOD2007(第2回日韓IODPシンポジウム)を準備している。
  9. ICDPとの相互理解を深めるため「IODP執行部会」と「陸上掘削部会」の懇談会を計画している。