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別紙

研究の概要

1.テーマ
 北極海掘削〜新生代の気候変動における北極海の役割の解明

2.概要
 北極海は、温暖な白亜紀から寒冷な新生代への移行過程や、数百〜数千年規模の急激かつ突然な気候変動など、過去の環境変動に対して重要な役割を果たしてきたと考えられている。また、現在でも北極海の海氷は北半球のアルベド(太陽から降り注いだ光を地球がどれだけ反射するかの割合)と淡水の分布に大きな影響を与えているとともに、北極海が全世界の海洋を循環する高密度の冷たい深層水の形成に関与しているとも指摘されている。これらの実態は謎に包まれていたが、北極海において深海掘削を行い、採取された資料を研究することによって解明することができると考えられている。
 今回の航海では、北極海のほぼ中央部に位置するロモノソフ海嶺の4地点において、水深約1,000メートルの海底下をそれぞれ約500メートル掘削することとしており、過去5000万年間(新生代のほとんど)の北極海の海洋変動を記録した堆積物を、世界で初めて採取する計画である。これにより、1北極の海氷の形成はいつはじまったのか、2北半球の氷河化に北極海はどのように関与してきたのか、3北極海の海洋構造はどのように形成・進化してきたのか、4北極海における海洋プランクトンはどのように変化してきたのか、5北極海は急激かつ突然の気候変化にどのように関与してきたのか、6ベーリング海峡はいつ形成されたのか、などの科学的諸課題に、岩石物性学、堆積学、地球化学、微古生物学など、様々な分野から総合的に取り組み、気候変動における北極海の役割を解明する。



北極掘削航海(Arctic Coring EXpedition:ACEX)における船団について

  Vidar VikingOdenが2004年8月8日、トロムソ(ノルウェー)を出航。Sovetskiy Soyuzと合流した後、北極海ロモノソフ海嶺における掘削航海へ向かう。掘削を行うVidar Vikingを流氷から保護し、掘削中の定点保持を可能にするため、盾となるOdenVidar Vikingの前方、Sovetskiy Soyuzはさらに1〜数キロメートル上流に位置取り、流氷を解体し、また、流氷がVidar Viking周辺に侵入するのを防ぐ。

Vidar Viking
 ノルウエーの掘削船(砕氷能力付き)で、ACEXにおける掘削任務を担当。船体に34メートルの掘削リグを掲載。
船長:83.7メートル
船幅:18.0メートル
Oden
 スウェーデンの砕氷船で、掘削船Vidar Vikingを氷から保護する任務の他、コンテナラボや試料冷蔵庫、科学計測機器を備える。
船長:107.8メートル
船幅:31.0メートル
Sovetskiy Soyuz
 ロシアの砕氷船で、Vidar Vikingを氷から保護する任務を担当。世界で最も大型クラスの砕氷船で、厚さ2〜3メートルの氷を時速ノットで進む能力がある。
船長:148.0メートル
船幅:30.0メートル

詳細は、ECORDウェブサイト内ACEXのページを参照。
http://www.ecord.org/acex/acex.html

位置図(PDF:66KB)


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