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地球深部探査船「ちきゅう」について |
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「ちきゅう」において、データ収集の仕組みはどの程度自動化されているのか。(松田委員) |
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計測装置のほとんどは自動計測が可能。データも集中管理する。研究者が試料を観察することは重要であり自動化はできないが、その結果をデジタルで入力するシステムを開発するなど電子化を進めているところである。(平委員) |
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建造費用と運営費用の割合はどのようになっているのか。(堀委員) |
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建造予算は約570億円。運用は、最終的には年間140億円程度を考えている。(平委員) |
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参加国の研究者は、誰でもプロポーザルを提出できるとのことだが、「ちきゅう」を建造する際に軸となった目的はなにか。(石田委員) |
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地震発生帯までの掘削及びマントルまでの掘削を目的として7,000mの掘削深度が決定した。また、プロポーザルはIODPの初期科学目標に沿って作成される。(平委員) |
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7,000mの掘削が可能となるのはいつ頃か。(石田委員) |
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マントルまでの到達は少し先になると思われるが、7,000mの掘削は2,3年以内には実施したいと考えている。なお、掘削地点は国際科学委員会で決定する。(平委員) |
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ハイドロタルサイトの下にガス田があるような場所で、掘削中にガスが噴き出してくる状況でも、掘削を継続することは可能なのか。(田中主査) |
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非常に危険なためできることなら掘削を中止して同じ科学目標を達成できる別の地点で掘削を行いたいが、どうしてもその地点でなければ達成できない場合は、掘削を続けることも可能である。(平委員) |
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地球の歴史のまま、時系列を明らかにするということが目標の場合は、他の場所で掘削を行うことが考えられるが、ハイドロタルサイトやガス田を調べたい者は、それを国益として、ガスハイドレート開発計画に多額の予算を投じようとしている。(田中主査) |
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「ちきゅう」は、資源開発目的には使用すべきでないと考えている。ただ、そのような資源が、地球システムに与える影響を調べるために、ガス層を掘り抜くべきだという科学提案が採用された場合には、十分な対策を講じて掘削することとなる。(平委員) |
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科学的に良い成果をあげることは一つの国益であるが、その他の国益を意識しつつ実施していく必要があるのではないか。また、それらの成果を国民に発表し、還元していくことが海洋センターとして重要ではないか。(田中主査) |
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IODP自体は資源開発を目的としていないため、もっぱら科学的部分を担当し、例えば、資源の組成の科学的解明等がなされれば、経済産業省でやられているプロジェクト等にもつなげていけるように、積極的に情報提供を行っていくことが重要であると認識している。(文部科学省) |
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ガス層の掘削はH2S等の有毒ガスが発生し、非常に危険である。生産井を作るだけなら、噴出防止装置を使って堀抜き、パイプだけを残して生産すればよいが、科学掘削の場合、継続的にガスが噴出する場合は、サンプルが採取できないため、目的を達成できない。また、火災の危険もある。(岡田委員) |
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金属鉱業事業団では、海底熱水鉱床、コバルトトラスト等の探査を行っているが、将来、採掘の際に、海洋生態系への影響等、様々な環境への配慮が必要となってくる。「ちきゅう」の場合は科学計画だが、先程のガスの話のように、万が一の事態も想定されるため、そのような配慮も必要だと思われる。(佐藤委員) |
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コアの採取率は、100%と見て良いか。(佐藤委員) |
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掘削方法にもよるが、柔らかい層の回収率は高く、ほぼ100%と思われる。硬い岩石や砂の層は回収率が低くなってくると思われる。回収率を上げていくこともライザーシステムの重要な目的であろう。(平委員) |
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ライザーの特徴で、削り屑を採取することができ、形は崩れているがどのような物質かは把握できる。(岡田委員) |
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高知大学海洋コア総合研究センターについて |
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宿泊施設は整備されているのか。(石田委員) |
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まだ準備はできていない。大学の留学生会館等を利用していただくことになる。(安田委員) |
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コアをいかに解析するかが重要である。世界中の研究者がこのセンターの施設を利用して解析を行うのか。コアを分割譲渡することもあるのか。(田中主査) |
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一般的には、各国の研究者が自国の研究施設で分析することになる。しかし、即時性が求められるもの等について施設を提供することは可能である。(安田委員) |
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1つのサンプルから他種類のデータを取ることが重要であるが、このセンターでは、それらの解析が一挙にできるため、世界の研究者が集まる可能性は高い。(平委員) |
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一定間隔の基礎的なデータは船上のルーチン作業で取られる。より細かいデータが欲しい場合、このセンターであれば船上設備と同じ施設を装備しているため対応できる。また、このセンターは、サンプルから必要物質を取り出して分析するといった一連の作業を行うこともでき、保管と計測、研究が一体になってやれるこれまでにない施設である。(安田委員) |
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コアは1本しかないが、複数の研究者が欲しがった場合、どのように対応するのか。また、残す手だてはあるのか。(佐藤委員) |
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アーカイブを作成することとなる。これらは、IODPサンプリング・ディストリビューション・ポリシーで決められている。(安田委員) |
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非常に細かい時代分解能を必要とする場合には、狭い範囲で複数のコアを取ることもある。(平委員) |
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コアを使いたいといった申し込みの審査はどのようにして行うのか。(田中主査) |
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恐らく中央管理組織でリクエストを集中管理することになる。コアセンターが判断するのではなく、プログラムとして審査することとなる。(平委員) |
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高知大学とコアセンターの関係はどのようなものか。(堀委員) |
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コアセンターそのものは大学の一部局である。コアセンターの機能としてIODPの保管、計測等の機能を持つこととなり、海洋科学技術センターから派遣された人が運用を行うこととなる。(安田委員) |