戻る

資料1−2−3

統合国際深海掘削計画(IODP)のための協力に関する日本国の文部科学省(MEXT)
とアメリカ合衆国の全米科学財団(NSF)との覚書概要

序文

1. 目的と責務(Purposes and Commitment)
       ・    文部科学省(MEXT)と全米科学財団(NSF)は、IODPの計画・管理・運用において協力する。
  ・    MEXTとNSFは、Lead Agenciesとして、科学面及び設備面での主要な能力を均等に提供し、均等なメンバーシップの権利及び責任を有する。
  ・    IODPの目的は、海洋の科学的調査であり、資源探査は目的としない。
  ・    IODPの科学的及び技術的な成果は公開される。
  ・    IODPの中核的な掘削能力は2船の海洋科学掘削船により提供され、2船は国際的に計画及び運用される。(MEXTが提供し海洋科学技術センターが運用するライザー掘削船:NSFが提供し米国実施機関が運用するノン・ライザー掘削船)
  ・    特定任務掘削船(MSP)は、特定の科学目的達成のために、IODPメンバーにより提供される。

2. 科学計画(Scientific Planning)
       科学諮問組織(Science Advisory Structure)
       ・    科学諮問組織(SAS)は、日米及び他のIODPメンバーより任命された科学者・技術者より構成される。日米はSASの各委員会・パネルで平等な代表権を持ち、また、議長は、当初、日米で2年毎に交替する。
  ・    SASは、IODPの科学計画に関して、長期的指針を示し、かつ、国際的な科学コミュニティーからのプロポーザルに基づき、年間の科学技術計画を勧告する。
  ・    上級執行機関は、SASのために設置され、IODPメンバー国の研究機関及び組織の代表者から構成され、IODPの計画検討及び運用に関して、科学的・政策的な勧告を行う。
  ・    SASの計画立案に対する支援は、中央管理組織により提供される。

3. 運営枠組み(Operational Framework)
       計画管理(Program Management)
       ・    中央管理組織(CMO)は、MEXTとNSFの同意を得て設立され、IODPの運営計画及び実施計画を作成・管理する。
  ・    CMOは実施機関及びSASと連携しながら、MEXTとNSFからの予算上の指針に整合した予算案を含むIODP年間計画を作成し、NSFとの契約の下、科学運用経費を運用する。
  ・    NSFはMEXTの利益に留意しつつ、CMOとの契約を管理する。

       計画運用(Program Operations)
       ・    実施機関はIODP年間計画で認められた掘削船等を管理する責任を負う。
  ・    MEXT及びNSFは、IODP計画によって得られた試料及びデータを管理し、国際科学コミュニティーが利用できるように確保する。

4. IODP計画経費及び分担金(IODP Program Costs and Funding)
       ・    MEXTとNSFは年間全体計画経費を決定し、IODP実施期間中、全体計画経費のうち、他のIODPメンバーの分担金を引いた残りを等分に負担する。
  ・    全体計画経費は掘削船運用経費と科学運用経費からなる。
  ・    2船の掘削船運用経費は、MEXTとNSFがそれぞれ負担する。
  ・    MSPの運用経費はその掘削船を提供したIODPメンバーが責任を負う。
  ・    MEXTとNSFを含め、IODPメンバーは科学運用経費を分担金として負担する。
  ・    NSFはIODPメンバーの分担金を取りまとめ、承認されたIODP年間計画に基づき、科学運用経費としてCMOへ提供する。CMOは、契約を通じ、科学運用経費として実施機関へ資金を提供する。
  ・    MEXTとNSFは、掘削船運用経費のための資金を実施機関に直接支出する。

5. 科学活動及び運用への参加(Participation in Scientific Activities and Operations)
       ・    参加資格は、原則として2013年までの参加を基本として、MEXT・NSFとの間で結ばれる覚書への署名により保証する。
  ・    各IODPメンバーは下記の権利を持つ:
             1)     科学者を各航海に参加させる権利
  2)   全ての計画立案・諮問パネルへ代表を送る権利
  3)   科学運用経費の負担により取得された全ての試料・情報へアクセスする権利
  4)   計画支援のための地球物理及びその他を用いた掘削地点調査に関する全てのデータへアクセスする権利
  5)   掘削又は技術開発提案をSASへ提出する権利
  6)   IODP評議会(IODP Council)に参加する権利
  ・    各IODP参加国は下記の義務を負う:
             1)     IODPの全ての活動に積極的に参加する義務
  2)   全てのデータ、試料、科学的・技術的成果をIODPメンバーで共有し利用可能にすることを保証する義務
  3)   掘削計画のデータやプロポーザルを提供する義務

6. IODP評議会(IODP Council)
       ・    IODP評議会のメンバーはIODPの分担金を支払う各IODPメンバーからの代表者から構成され、最低年1回開催される。
  ・    IODP評議会の議長はMEXTとNSFから選出され、一年毎に交替する。
       *IODP評議会は財政・管理・その他のIODP全体の運営に係る事柄を審議する諮問的役割を果たす。

7. データ、情報、知的所有権(Data, Information, Intellectual Property Rights)
       ・    MEXTとNSFはデータ、試料、科学的・技術的成果が国際科学コミュニティーにより利用できるよう必要な措置を取る。
  ・    知的財産の取り扱いについては、日米科学技術協力協定の附属書IV及び一連の議定書に準拠する。

8. 管理事項(Administrative Provisions)
       ・    この覚書は法的な拘束力を有しない。
  ・    この覚書に基づく協力は利用可能な予算の範囲内で行われる。
  ・    海洋環境の汚染防止に関して、日米それぞれ適応可能な関連法規に従う。
  ・    この覚書に基づく協力は2003年10月1日に開始し、2013年9月30日まで継続する。
  ・    この覚書の修正は、MEXTとNSFの合意による。


署   名
遠山   敦子
文部科学大臣
日本国文部科学省
Rita R. Colwell
全米科学財団長官
アメリカ合衆国全米科学財団




附属書 1.    定義(Definitions)
   Lead Agency
    ・    Lead Agenciesは同等な会員の権利及び義務を有し、主要な掘削能力を提供する。
  ・    Lead Agenciesは中央管理組織(CMO)に対して予算指針を提示し、計画実施前にIODP年間計画を審議・承認する。
   Platform Operations Costs(掘削船運用経費)
    ・    掘削船運用経費は、掘削船の運航に要する経費とする。
   Science Operation Costs(科学運用経費)
    ・    科学運用経費は、掘削船上における科学研究の適切な実施に要する経費、陸上における試料とデータの適切な維持・配布、海上活動の支援及び計画の管理運営に要する経費とする。

附属書 2.    IODP実施スケジュール(IODP Implementation Schedule)
    ・    2003年10月1日から2006年9月30日までのIODP初期実施期間は、米国のノン・ライザー掘削船及び必要に応じMSPにより実施する。日本のライザー掘削船は運用準備を行う(詳細な科学計画、技術計画、技術調査・安全調査等を含む)。
  ・    2006年10月1日より、IODPは完全実施とする。

附属書 3.    文部科学省及び全米科学財団による運営管理及び事務手続き(MEXT and NSF Management and Administrative procedures)
    ・    MEXTとNSFはIODPの実施・運用・管理において、Lead Agenciesによる監督の任務を行う主席監理官を指名する。
  ・    MEXTとNSFは、CMOの運営管理のためCMOに対してそれぞれ毎年1百万ドルを提供する。
  ・    MEXTはIODPリエゾンをNSF内に派遣する。

附属書 4.    メンバーの年間分担金及び権利(Annual Member contributions and rights)
    ・    2002年現在、年間分担金は下記のとおり見積もられる。
   2003年10月〜2004年9月30日   US$1.5M
   2004年10月〜2005年9月30日   US$3.5M
   2005年10月〜2006年9月30日   US$3.5M
  ・    2006年10月1日から2013年9月30日までの1参加単位の年間分担金は$5.6Mとする。
  ・    分担金により、IODPメンバーは1参加ユニットの資格を得る。(SASの各パネルに1名、各航海に2名の参加)

ページの先頭へ