深海掘削委員会(第8回) 議事録

1.日時

平成18年3月13日(月曜日) 13時30分~15時30分

2.場所

経済産業省 別館8階 817会議室

3.議題

  1. 第7回深海掘削委員会以降のIODPに関する活動について
  2. 地球深部探査船「ちきゅう」の平成17年度運用状況報告
  3. IODPに関する広報活動について
  4. IODPに関する研究活動について
  5. その他

4.出席者

委員

 田中主査
 兼原、佐藤、平(朝)、寺島、堀、松田、岡田、斎藤、鈴木、長沼、宮崎 各委員

5.議事録

【田中主査】
 ただいまから第8回科学技術・学術審議会海洋開発分科会深海掘削委員会を開催いたします。
 本日は、ご多忙中にもかかわらずご出席いただきまして、誠にありがとうございました。
 まず、事務局の文部科学省海洋地球課の佐藤課長よりご挨拶をお願いします。

【佐藤海洋地球課長】
 深海掘削委員会の本年度の大きな仕事の1つは、深海地球ドリリング計画の中間評価をするということでしたが、2月1日の海洋開発分科会で無事承認されました。取りまとめていただきました主査、ご意見を賜りました委員の皆様方に改めて御礼申し上げたいと思います。次回の科学技術・学術審議会は年度が明けてからの開催となりますので、中間評価報告書の公開はその審議会への中間評価の報告後ということにさせていただきたいと思います。今後、この中間評価報告書を踏まえ、研究推進等について関係機関と連携しながら取り組んでいきたいと考えております。
 本委員会では、深海地球ドリリング計画の進行状況について、いろいろご審議いただいておりましたが、今年度は中間評価に重点を置きましたので、今日は進行状況についてご説明して、いろいろご意見をいただければありがたいと思います。
 周辺状況としましては、第3期科学技術基本計画の取りまとめがいよいよ大詰めになっております。海洋関係については、海洋探査のような技術は非常に重点的に技術開発を進めるべきものであり、国家基幹技術に位置づけるよう調整を行なっているところです。海洋科学技術の推進に一層取り組んでまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

【田中主査】
 では、事務局から資料のご確認をお願いします。

【田中企画官】
 海洋地球課の田中でございます。資料の確認をさせていただきます。
 お手元の封筒の中に資料が入っております。上から順に議事次第、資料8-1名簿、8-2-1第7回議事録案、8-2-2第7回議事概要案、8-3前回以降の活動について、8-4文部科学省のプレス発表資料、参考資料1平成17年度「ちきゅう」の運用状況報告、参考資料2IODPに関する広報活動について、参考資料3として研究推進に関するJ-DESCの取組みという資料を用意しております。

【田中主査】
 よろしいでしょうか。
 本日の議題に入ります前に、前回、平成17年11月14日に行いました第7回深海掘削委員会の議事録及び議事概要の確認を行います。事務局からお願いします。

【田中企画官】
 資料8-2-1が前回11月14日に行われました第7回の深海掘削委員会の議事録案でございます。資料8-2-2でその議事概要案となっております。これらは文部科学省のホームページにおいて公開されることとなります。委員の皆様には事前にメールでお送りしてご確認をお願いしておりますけれども、現在のところご意見はいただいておりません。

【田中主査】
 ありがとうございました。それでは、この議事録及び議事概要の案についてご意見ございますでしょうか。特にございませんか。もし、お気づきの点がございましたならば、1週間以内、3月20日までに事務局までご連絡をお願いします。その後、事務局の方で皆様からいただいたご意見を取りまとめて、公開の手続を進めていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、本日の議題1でございますが、第7回深海掘削委員会以降のIODPに関する活動についてということで、まず事務局よりご報告をお願いします。

【田中企画官】
 資料8-3第7回深海掘削委員会以降のIODPに関する活動について説明させていただきます。
 IODPの枠組みについては、今年1月にスイスにおいて、米国国立科学財団(NSF)と我々との会合を開催しまして、IODPの米国財政年度2007年度予算、参加国の拡大方策等について検討しました。また、IODP-MI等と今後のIODPの運営方針について検討しました。
 2月1日にはNSFと文部科学省が、連名でIODP-MIに対して2007年度予算指針をIODP-MIに提示しました。また、韓国のIODPへの参加については、アジアの他国も交えたコンソーシアムとしての参加を考えており、まずは韓国だけの参加について日米韓で署名する覚書の調整を行っております。来月には署名を行なうことができると考えております。
 それから、掘削航海については、昨年10月から12月の終わりまでにアメリカの掘削船ジョイデス・レゾリューション号を用いて東太平洋中米沖での海洋地殻超高速拡大軸というところの研究調査を行い、我が国からは新潟大学の宮下先生を共同首席研究者として、その他計7名の研究者が参加しております。
 このジョイデス・レゾリューション号については、12月29日までの本研究航海をもって当面の掘削航海を中断し、その後継船となる掘削船を1年半ぐらい後にアメリカが提供するという予定となっております。
 今年2月から3月にはドイツのブレーメンで、昨年の10月から11月にタヒチ沖で欧州の提供する特定任務掘削船を用いて行なわれたサンゴ礁での掘削航海で採取された地質試料の基礎分析を実施しております。我が国からは、共同首席研究者であります東北大学井龍康文先生をはじめ8名の研究者が参加しております。
 科学諮問組織の活動ですが、1月にスイスで科学計画・方針監理委員会(SPOOC)の第5回会合が開催され、2007年度科学計画及び掘削計画提案の育成の新たな仕組みについて検討されました。また、「ちきゅう」のIODPにおける最初の研究航海として、2007年9月から南海トラフ掘削計画を開始するということが支持されました。
 また、3月初めには、米国セントピーターズバーグにおいて、科学計画委員会(SPC)の第7回会合が開催され、2008年以降の掘削計画の優先順位づけも行われました。
 中央管理組織(IODP-MI)については、2月の初めに札幌で南海トラフの掘削計画の実施検討グループ会合が開催され、そこで、南海トラフ掘削の第1段階の航海に関して、首席研究者の選定、「ちきゅう」及び米国掘削船の2船体制での掘削計画、出版物の編集等について検討を行っております。
 続いて、海洋研究開発機構(JAMSTEC)についてですが、IODP-MIに対し、1月に地球深部探査センターの四半期活動(2005年10月から12月分)の状況報告を送りました。それから、「熊野灘海域における高精度3D地震探査の実施」という共同研究の計画についてハワイ大学と実施合意を締結しました。これは、ちきゅうが行なう南海トラフ掘削の事前調査として4月に実施する調査でございます。3月中旬には長期孔内計測の技術開発に関する検討(フィージビリティースタディー)というものをIODP-MIから受注する予定でございます。2月にはIODP-MIから2007年度の科学運用経費に関する予算についてJAMSTECに連絡がありまして、現在、IODPにおけるJAMSTECの2007年度の年間事業計画を検討中で、4月にIODP-MIに提出する予定になっております。DSDP/ODPコアの地理的再配分というのは、現在、米国に保管されていますODP以前の掘削計画で採取されたコアについて、西太平洋からインド洋までの海域から採取されたコアについては日本に保管するということになり、その移管について現在調整しております。調整がまとまり次第、実施についてIODP-MIから受注するという予定になっております。それから、国内研究者に対してのポストクルーズ会議、サンプリングパーティー、あるいはIODPの掘削航海の乗船旅費について、平成17年度は72名に対して支援を実施しました。
 日本地球掘削科学コンソーシアム(J-DESC)の活動としては、アメリカの掘削船に乗船する我が国の研究者を募集し推薦したということ、北大西洋ポーキュパイン海盆での掘削航海に関するポストクルーズ会議、タヒチでの掘削航海に関するサンプリングパーティーへの参加に関して支援を行いました。また、昨年11月に島根大学・出雲科学館等で、JAMSTEC共催、文部科学省後援でIODP大学・科学館キャンペーンを開催しております。
 以上でございます。

【田中主査】
 ありがとうございました。ただいまの件につきまして、ご意見、ご質問、ございますでしょうか。

【堀委員】
 米国掘削船のジョイデス・レゾリューション号は1年半ぐらい航海を休止するということは、IODPの研究調査が遅れるなどの影響はないのですか。

【田中企画官】
 今年の初めから来年の秋ぐらいまでの間はアメリカは掘削船を出さなくて、「ちきゅう」も来年9月まではIODPには出ませんので、ヨーロッパの掘削船のみが用いられる予定になっています。

【田中主査】
 よろしいですか。それでは、議題2の地球深部探査船「ちきゅう」の平成17年度運用状況報告ということで、昨年7月に完成して以来、試験運用を行ってきた「ちきゅう」について、その試験内容等をご報告いただきたいと思います。

【CDEX運用管理室長】
 CDEX運用管理室長の佐賀です。私からご報告させていただきます。
 資料は参考資料1でございます。皆様ご承知のように平成17年度、昨年7月29日に地球深部探査船「ちきゅう」は三菱重工からJAMSTECに引き渡されました。その後、JAMSTECは、引渡しを受けた「ちきゅう」を平成19年9月からのIODPにおける国際運用を確実に実施するための試験運用を開始しております。昨年7月末から現在まで、これからご説明しますような幾つかの試験を行いましたが、試験中には合計6カ所の寄港地において一般公開を実施し、非常に多くの方々に見学していただきました。別紙1の表がは現在までの「ちきゅう」の実績を線表にしたものです。これをご覧いただきながら、報告を聞いていただけたらと思います。試験運用は大きく6つの試験項目に分けることができます。これらの試験中に幾つかの機器の不具合等が摘出されましたものの、今年度計画しました試験運用の目的は達成することができました。試験運用中抽出された幾つかの不具合は、現在、既に始まっている長崎の造船所のドックにおいて、保証工事として機器の不具合の調整及び修復を行っております。
 試験項目は行なわれた順に申しますと、昨年10月から11月にかけて、掘削機器システム性能試験、引き続き、泥水循環システムの性能試験、これらの結果に基づきハイドロ・ピストン・コアリング・システムによるピストンコア採取試験を行いました。その後、海象等を考えて駿河湾に移動し、噴出防止装置(BOP)システム性能試験、廃泥水処理システム性能試験、それから数度にわたり本年2月初めまでに自動船位保持装置の性能試験の合計6項目の主要な試験を行っております。
 最初に行った掘削機器システム性能試験においては、ドリルパイプ等の扱いに関わる機器の試験訓練を行いました。ドリルパイプを4本ずつ繋ぎ、それをドリルフロアー上で約1,300メートル分組み立ててデリックに立てかけました。同時に、掘削編成と呼んでおりますドリルパイプの先端部につけるドリルビットやコアバレルなどを組み立てております。それから水中に約416メートルパイプを降下し、パイプを回転させたり、海水をパイプ内で循環させたり、引き上げたりというような模擬掘削試験を実施いたしました。この試験中にドリルパイプを立てたり、移動させたりする装置などに不具合が摘出されましたが、いずれも軽微なものでしたのでその場で調整や修復を行って試験を続け、目的とした成果を得ました。この際にアクティブ・ヒーブ・コンペンセーターという海水の上下動に対して船体の上下動を吸収する装置や船位保持装置の作動試験を実施いたしました。幾つか船上で修復できなかった不具合もございますが、それらについては現在ドッグで調整、修復を実施しております。
 2つ目は泥水循環システムの性能試験ですが、これはライザー掘削の一番の特徴であります掘削のための泥水に粘性をつけるベントナイトとか、比重を高くするためのバライトなどの化学薬品等を調合して、比重1.9の掘削泥水を船上で作成し、船上で循環させまして、システムが建造仕様どおりの性能を示すことを確認しております。初期故障及び幾つかの細かな不具合を摘出しましたが、これも手直しが必要な部分については、現在ドックにおいて保証工事として工事を行っております。
 基本的な掘削に関わる2項目の試験を行った上で、11月の後半にピストンコアの採取試験を行いました。八戸沖の水深1,200メートルの位置において、約9メートル採取できるコアバレルの5回分約49メートルを採取しました。それから、位置を少し変えて水深1,177メートルの地点でまず27メートル掘り、その後、すぐ横で27メートルより少し上からさらに50メートル掘り、海底下約70メートルまでのピストンコアを採取しました。当初の計画では、平成19年度に予定しているライザー掘削試験の予定海域である水深2,200メートルの海域と、その予備海域として考えている水深1,600メートルの海域でのピストンコア採取試験も計画しておりましたが、作業を実施してみたところコアラインウィンチというコアバレルをドリルパイプ内で引き上げたり下ろしたりする装置のブレーキがうまく効かないということがあったほか、11月末ということで下北沖合の低気圧が非常に発達してきたため、急遽水深1,200メートルの海域でのピストンコアリングのみとして、次の試験の準備に入りました。これに関しては別紙にもう少し詳しく書いてありますので、この後ご説明いたします。
 4番目として、BOPのシステム性能試験を行いました。これは駿河湾の中央部、水深約600メートルの海域で、BOPにライザーパイプ4本を接続し、水中に100メートル降下し、揚収しました。この試験ではライザーシステムの下部の操作試験を行ったわけですが、さらにライザーシステム上部については、テンショナーのストローク試験などを実施しまして、システムの性能、操作性の確認を行いました。この試験を行っている最中に、BOPをデリックにつり下げた状態で、デリックには約450トンの吊下げ荷重がかかるわけですが、そこで船位保持試験、それから、デリックにかかる歪み測定を行っております。
 12月後半からは、約2週間かけて、廃泥水の処理システムの試験を行いました。これは掘削泥水あるいは掘削中に海底から上がってくる堀屑などを船内で処理し、固形物と油と水とにきちんと分離して、固形物については固化装置で固め無害化して陸上で処理するシステムです。この一連の廃泥水処理システムの性能試験を行い、最終的にはビッグバッグという陸上処理用の約1トンの固形物の塊の状態にして、高知の宿毛市で陸上処理をしております。
 最後に、自動船位保持システムの性能試験ですが、これは長崎から八戸へ向かう途中、熊野灘、房総沖、下北半島の各地で行なわれた性能試験先ほど説明した試験の際にも、何回かに分けて必要に応じて船位保持の性能試験を行っております。最後に行った1月30日からの性能試験については、南海トラフの掘削が予定されている海域において、緊急時対応の試験を行ないました。具体的には、片舷にエンジン損傷があった場合や一時的に電力が全く遮断された場合、あるいは位置センサーを喪失した場合の対応の試験を実施しております。さらには、黒潮の一番潮流の速い海域で黒潮の流れを横切るルートでの位置保持の試験を行っております。位置保持性能としては非常に優れたものということが確認できました。少なくとも仕様の位置保持限界であります風速23メートル、波高4メートルというような状態で全く位置保持に問題がないことを確認しました。
 それから一般公開ですが、9月10日の横浜港をはじめとして、横須賀新港、名古屋港金城埠頭、八戸港八太郎岸壁、高知新港、宿毛湾港の計6カ所で一般公開を行ないました。最初の一般公開に先立ち、9月9日には天皇・皇后両陛下、紀宮殿下にもご訪問いただきました。この6回の一般公開で合計45,000人以上の方々が「ちきゅう」を見学に来られております。
 以上が試験そのものについてですが、別紙2にピストンコア採取試験で採取されたピストンコアについての資料を添付しております。先ほどご説明しましたように水深約1,200メートルの海底で約50メートルと約70メートルのピストンコアのほぼ100パーセントの回収に成功しております。地質的には、オリーブ色をした珪藻質の泥質岩に火山灰を挟むというような地層です。これらのピストンコアを使い、プランクトン遺骸の研究から過去の気候変動の歴史の解明、火山灰の研究からは日本・東アジアの火山噴火の歴史を解明、ハイドレートも含みますメタンガスの研究からそのガスの起源や資源量の解明に役立てることが考えられております。それに微生物の研究から世界で初めてとなる海生原生生物(真核単細胞生物)のDNAの抽出の可能性も考えられるということで、このように多くの成果が期待されておりまして、研究が進められているところです。また、このピストンコアを採取した位置は、本年ライザー掘削を予定している地点であり、ライザー掘削のためのBOP等を設置するための強度が地層に十分あることを確認しております。
 以上が本年度の試験運用の内容であります。
 最後に平成18年度の運用計画ですが、現在行なわれているドックでの年次検査、保証工事、機器の改良工事などを5月中旬までに終える予定であります。その後、必要な準備期間を経て、夏ぐらいから下北半島東方沖においてライザー掘削によるコア採取試験を水深1,200メートルの地点で実施する予定であります。
 以上でございます。

【田中主査】
 どうもありがとうございました。ただいまのご報告に対して何かご質問、ご意見ございますでしょうか。

【佐藤委員】
 平成19年に熊野灘で予定されているライザー掘削というのは、多分、ちきゅうを用いた本格的なライザー掘削の初めてのケースだと思いますが、ここで掘削が行われることに決まった経緯はどのようなものでしょうか。他に競争相手があった中で熊野灘に決まったということでしょうか。

【平(朝)委員】
 IODPの科学諮問組織の中で議論はされているわけですが、他にも地震発生帯を研究対象とした掘削計画の候補はあります。その中で、熊野灘が一番高い評価を受け、最初のライザーを用いた掘削航海の対象として認定されたという経緯があります。

【佐藤委員】
 海底をどのくらい掘る計画なのでしょうか。

【平(朝)委員】
 熊野灘の掘削の中にはライザー掘削が2孔、ライザーレス掘削が数孔プロポーザルされております。熊野灘の南海トラフには分岐断層が存在しており、地震発生帯から南海トラフの斜面を横切って、海底まで達している断層があることがわかっております。この分岐断層が津波を起こすのではないかという仮説があるため、海底下3,500メートルのところで最初のライザー掘削を行います。次に地震発生帯のある海底下6,000メートルまで掘削するというのが2番目の穴ということです。これに幾つかのライザーレスの穴を組み合わせ、今のところ全体のパッケージとしております。

【佐藤委員】
 時間もかなりかかるのですか。

【平(朝)委員】
 実際に掘削してみないとわかりませんが、半年ぐらいは間違いなくかかるのではないかというふうに思っています。

【田中主査】
 よろしいですか。ほかにございませんか。

【堀委員】
 プランクトン遺骸の研究、日本や東アジアの火山の歴史解明などの話がありましたが、メタンハイドレートの資源量や微生物の研究というのは国際的に比較して日本は先端を行っている方なのでしょうか。

【平(朝)委員】
 私の知っている限りでは、メタンハイドレートには地球環境という側面と資源という2つの側面がある。今のところ、それは完全に合体した研究はされていないと思っていいと思います。
 メタンハイドレートの学術的研究、つまりそれが地球環境に及ぼすさまざまな影響、過去の地球環境にどういう影響を及ぼしたのかあるいは将来どうなるのかというようなことに関しては、日本にも何人かそういう研究者はおりますけれども、アメリカの研究者の方が数多くいますし、アメリカの方が先を行っているのかなというふうに思います。
 ただ、微生物、地下の活動でメタンを作る微生物の研究については、最近、日本の研究も目覚ましく、我々はかなり追いついてきていると思います。メタンには発酵と生成という2つのメタンを作るプロセスがあるのですけど、最近、生成に関しては日本の研究が著しく進んでおり、最先端といえる部分もあるというように思います。
 一方、資源という意味では、特に海底の資源開発という面では、日本の研究が非常に進んでいて、世界のトップの資源開発、あるいは資源量の探査を行なっていると思います。ただ、環境と資源の観点を本来は合体させて、学術的な研究から資源開発までを一気通貫の研究にしなければならないと私は思いますので、ちきゅうによる研究というのはこれらを一体化する研究としても期待されるのではないかと思っています。

【堀委員】
 ありがとうございました。ご期待申し上げます。

【田中主査】
 他にございますか。

【長沼委員】
 今、平先生のお話を伺って、私も聞きたいことがあります。別紙2に微生物の研究ということで、世界で初めてのとありますが、これはいかなる意味でしょうか。

【平(朝)委員】
 これは少し書き方が正確ではなくて申しわけないのですけれども、ポイントは、珪藻やハプト藻類のような、円石藻のようなもののDNAが埋没するわけですけれども、それが地層環境の中でどのレベルまで残存するものなのかということで、IFREEの北里プログラムディレクターの研究テーマです。私が聞いた限りでは、今までのピストンコアでは10~15メートル程度が一番深いところだったというふうに報告されているそうですので、そのような真核生物のDNAというのは、微生物による分解も日常的に受けるわけでしょうし、深いところに残存するのは非常に難しいということですが、彼は酸素極小層のあたりで、さらに嫌気性の堆積物の中であれば、相当深くまで残るのではないか、それを見つけて世界新記録を打ち立てようという話だったと思います。

【長沼委員】
 わかりました。面白いと思います。

【宮崎委員】
 ライザー掘削試験は今年の夏が初めてなのですか。

【CDEX運用管理室長】
 はい、初めてでございます。

【宮崎委員】
 あと1年少しで迎える国際運用での掘削になるまでに何回ぐらい掘削試験ができるのですか。あと、地域としては東北日本以外には予定はあるのでしょうか。

【CDEX運用管理室長】
 計画では水深1,000メートル級の海域で今年度1回海底下2,000メートル以上のライザー掘削を行う予定で、この掘削中に基本的なライザー掘削に関する試験と訓練を行ないます。しかし、国際運用の対象の熊野灘は水深2,000メートル前後ですので、平成19年度前半には水深2,000メートル以上の海域でライザー掘削試験を行うことを考えております。「ちきゅう」のライザー掘削が可能な限界の水深は現状ですと2,500メートルまでです。ですから、2,000メートルから2,500メートルの間ぐらいの水深の海域でライザー掘削試験を行い、それでIODPの来年の秋以降の本格掘削に入っていこうと考えております。

【田中主査】
 他にございませんか。

【鈴木委員】
 今のお話に関係するのですが、これまで日本の領海内での大水深掘削というのは最大何メートルぐらいだったのですか。

【CDEX運用管理室長】
 水深が一番深いライザー掘削は佐渡南西沖の約1,000メートル前後です。

【鈴木委員】
 そうすると、今度のライザー掘削試験でも国内的には最大の水深で行うということになるわけですね。

【CDEX運用管理室長】
 はい。

【田中主査】
 他にございませんか。
 1つだけ。「ちきゅう」の試験運用は非常にうまくいっているというように見えるのですが、1ページの主な試験結果の最後の2行ですね。船上で調整できなかった機器については、今後ドック工事等で調整、修復を実施することとしたと。でも本番では不具合のたびにドックへ入るわけにはいかないのですよね。

【CDEX運用管理室長】
 これらの不具合というのは、作業を行うことは可能ですけれども、パイプハンドリングの機器というのは、5、6種類の機器がコンピューター制御になっておりまして、それぞれの機器が自分の位置をコンピューター上で3次元的に報告し合って、それが接触したりしないようにインターロックがあちこちにかけてある、そういう自動制御のシステムなものですから、そのセッティングの関係で最適な調整が行なわれていないと作業のスピードが出せない。そういう機器については、ソフトを含めた形でのシステム全体調整が必要なので、時間もかかりますし、ドックで調整するということとしております。また、自動制御の機器が多いものですから、ある一定の角度以上振れた場合、インターロックがかかるようになっていて、建造段階には船が動かないところで個々の機器の試験をしていましたけれども、実海域での試験だと船が動きますので、インターロックのかかる角度が実作業上不適切だったりしました。これを調整するのにも検討課題があり時間がかかります。そういうようなものが主としてドックでの作業として最後に残っているものであります。

【田中主査】
 ありがとうございました。
 次の議題に移らせていただきたいと思います。
 議題3IODPに関する広報活動について、前回の委員会以降どのような取組みがなされているのか、最初に文部科学省の取組みについてご説明をお願いしたいと思います。

【田中企画官】
 それでは、資料8-4につきましてご説明させていただきます。
 文部科学省では、以前からご説明させていただいていますようにIODPの掘削航海のたびに国内にも承知していただくため広報に努めております。前回委員会から今回までの間に行いましたのが、昨年秋に行なわれたタヒチでのサンゴ礁掘削により採取されたコアを今年2月からドイツのブレーメンで解析するということで、解析の結果を記者会見するということがドイツから連絡がありましたので、3月2日に記者会見を行いますということを紹介させていただきました。このプレス発表資料につけておりますのは、我が国から参加する研究者のリスト、別紙1として記者発表しますというヨーロッパの文書、それとその日本語訳、IODPについての概要のペーパーを参考としてつけています。中身としては、40メートルほどの連続コアが採れたということで、まだ研究の成果としての意味合いということまでは到達しておらず、今後の研究成果を待つという内容で発表されております。
 こちらからは以上でございます。

【田中主査】
 ありがとうございました。
 引き続いて、海洋研究開発機構の取組みについて、ご報告をお願いします。

【CDEX企画調整室長】
 では、ご紹介させていただきます。
 JAMSTECがIODPに関係している広報活動についてご説明させていただきます。参考資料2です。CDEXでは、主にインターネットを中心として広報活動を日常的にさせていただいています。CDEXは2つのウェブサイトを持っております。1つは、CDEXの機関としてのウェブの中でIODPをご紹介しているということと、CHIKYU HAKKENというウェブサイトです。CHIKYU HAKKENは、国民の皆様に平易に解説することを目的とした広報用ウェブとして2種類のウェブを使っています。このページの後ろの方に添付資料1、2と書かれてあるのがCHIKYU HAKKENのトップページとそのインデックスページです。
 ウェブのアクセス状況を見ていきますと、前回の委員会以降約3カ月で9万ページの閲覧数と訪問者が15,000人ぐらいです。これは3カ月ですが、6月から2月までの約9カ月を見てみますと、35万ページの6万人訪問者となっており、9カ月を平均しますと、大体月5,000人平均で訪問者があると考えられます。そこに棒グラフが載せてありますが、訪問者の多い月というのは一般公開の月であることがわかります。また、ここに訪問していただく人々のアクセスの検索ワードを見ますと、「ちきゅう」あるいは地球深部探査船が多く、「ちきゅう」というキーワードが国民の皆様にかなり知られてきていると思います。我々、常にいろいろなところでIODP、統合国際深海掘削計画ということをお伝えしておりますけど、「ちきゅう」が非常に一般的になって、そこから統合国際深海掘削計画ということをわかっていただければと思っており、今後も活動させていただきたいと考えております。その他にこのCHIKYU HAKKENでもう少し日常的な新しいニュースが欲しいという方には、CHIKYU HAKKENニュースメールというものを発行しておりまして、登録していただければ、日本語、英語、両版で発信させていただいております。大体、月に2回ぐらい発信させていただいているという状況です。
 ブース展示については、極限環境微生物の大きな国際シンポジウムが東京の東洋大学でございまして、そこで微生物の研究者の方々が、「ちきゅう」、IODPに対して関心があるので、ぜひ模型その他を展示してほしいという要望が研究者からありましたので、それではということで、展示させていただきました。その他には、サンフランシスコで開かれたAGUでIODP-MI及びJ-DESCと協力して展示を実施しております。また、J-DESCとの共催、文科省の後援という形で、島根大学・出雲科学館においてキャンペーンをさせていただきました。
 「ちきゅう」の一般公開については、前回委員会以降では高知市及び宿毛市で行って、2都市合わせて2万人の方々に訪問していただいたということになります。メディア対応については、一般公開を中心に実施させていただいておりまして、そこでもIODPというキーワードをプレスの方々に常にご紹介しております。
 「ちきゅう」自体は非常に大きなものですから、ちょっと動くだけでも、何があったのかと地元の方々の話題となりますので、文科省とも相談させていただいて、月1回ぐらい、「ちきゅう」がどういう行動をとるのかという情報をプレスに投げ込んでいます。
 その他、そこに書いてありますように、12月半ばに「ちきゅう」が横浜に寄港した際、総合科学技術会議の委員の先生方、国会議員、自民党の議員連盟の方々、その他関係者の方々に「ちきゅう」の見学会を実施させていただきました。
 特記するべきこととしては、高知及び宿毛で、一般公開の前後に両市内の小中高校、県市の教育委員会とも連携させていただきまして出前授業を実施しました。非常に好評であったということでございます。
 今後の活動ですが、ウェブと同時に「ちきゅう」本体ができれば非常にインパクトがあるのですが、「ちきゅう」の模型も含めて積極的に活用して、人的資源の許す限りということにはなるのですが、なるべく協力させていただいて、IODPをご理解いただくように常に継続してこの活動を実施させていただきたいと思っております。また、テレビ、その他通常のラジオ番組でも、IODP、「ちきゅう」の紹介を主に平センター長を中心にかなり活動しております。また、今年の夏には関連のものとして協力した「日本沈没」という映画が公開されます。これに関しても結構インパクトがあるような形で出るのではないかと想像されます。
 日本周辺の科学館、博物館、水族館とも連携させていただきながら、関連のイベントを春休み及び夏休みを中心に実施することを今後も検討していくという状況でございます。
 以上でございます。

【田中主査】
 ありがとうございました。この議題3を文部科学省及び海洋研究開発機構からご説明いただきましたが、何かご質問、ご意見ございますでしょうか。

【松田委員】
 研究者がこれらのウェブを使って論文を発表する場合には研究綱領があると思うのですが、教育で使う場合、例えば小学校で授業に使う。子どもたちがウェブを見ながらいろいろな意見交換をする。こういった場合にも自分のところではこういう活動に取り組んでいるという情報を他の学校にも知らせるような機能が先々必要になってくると思います。

【CDEX企画調整室長】
 ありがとうございます。

【寺島委員】
 「ちきゅう」が航海に出て、いろいろな掘削や研究活動を行なうのを、実際に海上から情報発信するというのは非常に面白いと思うのですが。前にウッズホールへ行ったときに、ウッズホールの調査船と学校とを結んで状況を知らせるというような授業をしているというのを見たことがありますけれども、そういう直接「ちきゅう」と学校の現場を結ぶようなことはお考えになっているのでしょうか。

【CDEX副センター長】
 確かにNOAAが「ティーチャー・アット・シー」という企画を行なっており、それを参考にして、私どもも来年度そのような企画を具体化したいという方向で検討しているところでございます。

【寺島委員】
 ぜひお願いします。

【田中主査】
 他に。

【堀委員】
 今のは大変重要なことで、学校ばかりではなく、生涯学習として科学館などにおいて、双方向のコミュニケーションをとるような活動はいいと思います。今のところ、学校ばかりではない形でなさるご予定ですか。科学館とか水族館というような社会教育関連の施設での。

【CDEX副センター長】
 堀先生の江ノ島水族館でも一度、展示させていただきましたけれども、さきほど企画調整室長の田中からも申し上げましたように、基本的に連携できるところには、積極的な連携をとっていきたいと思います。船上に先生を乗せて船上からインターネットを使って発信するという活動について、発信先をどうしていくかというところはさらに考えて行きたいと思います。

【平(朝)委員】
 追加の情報ですが、日本科学未来館でちきゅう関係の常設展示のリニューアルを先週行ないました。今週の土曜日には、展示の前で私が来館者と一種のトークをするというイベントが組まれています。
 それから、日本学術会議で、サイエンスカフェという企画を実施していて、4月初めに全国一斉にいろいろな場所でサイエンスカフェをやるという話があり、長崎のウオーターフロントに4月7日に県立美術館の立派な施設ができますので、そこのカフェを使って、夜にお茶を飲みながらちきゅうの話をすることになっています。
 それから、先ほどの話は地球深部探査センターの広報活動を中心とした話でしたが、IODPにおいてはIODP-MIとの連携が非常に大事で、海外のメディアに「ちきゅう」の情報が載る際にIODPのことがあまり触れられてないのではないかと指摘を受けておりまして、一緒に宣伝してくださいという話をいただいております。
 というわけで、斎藤委員にお話いただくことかもしれませんが、IODP-MIのホームページの日本語訳を始めたと伺っております。文科省からIODP-MIに行っている大塚氏を主体に。IODP-MIのホームページも日本語や各国語に訳して、子どもたちがそれを見られるようにすることで、情報が広がっていくものと思っています。

【田中主査】
 よろしいでしょうか。

【長沼委員】
 2007年というと他の分野を見ると、例えば田中主査もご専門の極地科学は、50年に1回の国際極年インターナショナル・ポーラー・イヤーというものが2007年から2008年にわたって行われる。それは国連の専門機関であるWMOが中心のものです。この対象として50年前になくて今回上げられているのは、地球環境、微生物、そして、インターネットです。インターネットを使ってIPYはエデュケーションとアウトリーチとコミュニケーションの3つ(EOC)に非常に力を注いでいる。これはとても興味深いと思っていて、国際極年におけるEOCアクティビティーというものをうまく参照するとか、あるいは相互連携していけば、ある意味ノウハウをIODPにも使えると思いますので、そういったことも考えていってはどうかと思いました。

【平(朝)委員】
 ありがとうございました。その前後に国際連合においていろいろなインターナショナルイヤーというのが順次行われます。ハイドロジオロジー、地球物理学、地質学に関しても宮崎委員が中心的に活動されている国際惑星地球年が2008年をメインに予定されていますね。それも活動の範囲の視野に入れながら、今、いろいろ参考にして、「ちきゅう」をそういう国際年の活動とリンクさせていけるよう考えています。

【田中主査】
 そういう機会には大いに広報活動もしていただきたいと思うけど、あくまでも科学的な成果を上げるということがIODPの目的ですからそこはしっかり取り組んでください。広報は非常によくやっていると私は思います。本当にIODPが目指している科学的な目標は、非常に社会に大きいインパクトがあると思います。だから、本来の成果を上げるということがみんなで必死になって追求しなくてはならない問題です。
 よろしいですか。
 では、議題の4のIODPに関する研究推進体制について、前回の委員会以降、どのような取組みがなされているのか、鈴木委員からご説明をお願いしたいと思います。

【鈴木委員】
 皆様のお手元に参考資料3という資料があります。最初のページは、前回のこの委員会のときに既にお話しています。前回以降追加されたのは、次ページの下半期という項目で、この2つの活動が今月実施される予定です。
 1つはコア解析スクール。これは今回が第3回目になりますけれども、高知のコア研究センターで、今回も主に学生を対象に実施する予定になっています。
 それから、先ほど田中企画官から、韓国がいわゆるアジア・コンソーシアムという組織を作って、IODPに参加する見込みであるというお話があったわけですけれども、韓国の研究者等とも密接に研究協力体制を作る足がかりにしようということで、日韓合同日本海掘削シンポジウムを今月下旬に、新潟大学を中心に行われる予定でいます。
 それから、IODPが始まってから多くの研究航海に日本人研究者は参加してまいりました。ようやく研究成果が少しずつ集まってきたので、5月19日に第1回のIODP研究成果報告会というのを東京大学の海洋研究所を会場に開催する予定でいます。これについてはJ-DESCだけで行うというのではなくて、オール・ジャパンとしてIODPを動かしている側面がありますから、JAMSTECとも相談して、可能であれば共催で実施する道を探っていこうかと思っています。この報告会については、IODP-MI札幌のハンス氏とIODP-MIとの協力について検討していて、IODP-MIもいろいろな形でサイエンスの発展に協力したいということでしたので、どんな形でIODP-MIに絡んでいただけるのか、この辺も模索しながら、第1回目のIODP成果報告会というのを開催したいと思っています。
 そのような活動をしておりますことをご報告申し上げます。

【田中主査】
 ありがとうございました。何かご質問、ご意見、ございますでしょうか。
 科研費ですが、時限つき分科細目は、採択されなかったと。

【巽氏(J-DESC)】
 今回の結果はまだわかっていません。

【鈴木委員】
 前回は通らなかったわけですが、今回も継続して出しています。結果についてはまだわかっていないという状況でございます。

【田中主査】
 特定領域研究はどうなっているのですか。

【巽氏(J-DESC)】
 特定領域研究に関しては、特に環境変動の研究に関連する特定領域研究には応募しています。それから、その他にも特定ほどではありませんが、基盤研究などでIODPの掘削のプロポーザルを作成するための事前研究を含む研究について5つぐらい応募していると思います。5月ぐらいには結果が出ると思います。

【鈴木委員】
 J-DESCは法人格がございませんので、J-DESCの立場でいろいろなそういう研究費に申請するということはできないものですから、今、話題になった研究は各大学等の研究者が共同で出しているものです。多分、母体はJAMSTECの研究センターとなっているのが現状でございます。

【平(朝)委員】
 今の鈴木委員の活動報告の補足ですけれども、1月に宿毛でJ-DESCと共同で、「ちきゅう」の船上で「ちきゅう」の研究設備を使って、コア解析のミニスクールを行いました。東北大学等々の方々が参加されて、持ち込んでいただいたコアのほか、高知県の登層という地層でとった陸上のボーリングコアを使って、実際に「ちきゅう」の船上の設備を学生諸君に慣れていただく。使っていただくと同時に、いろいろな問題点なども指摘していただいて、相互に活発なやりとりがされたというふうに思いますので、ご報告しておきます。

【田中主査】
 他にございませんか。

【斎藤委員】
 IODP-MIという組織は国際組織なので、ある特定の国に対して科学支援をするという活動は原則できないのですけれども、その活動に国際という冠がつけば、大いに支援するという方向で進めております。例えば、来年度は4種類の国際ワークショップを企画しておりまして、IODPとICDPとがジョイントして、サイエンスの活性化のためのワークショップを計画しております。そういったことで、間接的でありますが、日本のサイエンスの活性化のためにJ-DESCと連携しながら進めていきたいと思っております。

【田中主査】
 他にございますか。少し時間がありますので、今日の全ての議題に関して、何かございましたらご発言願いいたします。

【佐藤委員】
 韓国が今度IODPに参加しますね。参加条件とか、その他いろいろ今打合せ中だと聞いたのですけれども、権利や負担については、中国の参加条件と大体同じ内容という理解でよろしいでしょうか。

【田中企画官】
 はい。中国と大体同じような条件で、やはりIODPの正式メンバーになるには少し分担金の負担できる額が足りないので、アソシエートメンバーという立場で韓国は参加していただくことになっています。これは中国もそういう立場になっております。さらに、韓国の場合は、アジア・コンソーシアムというものを作ることを視野に入れて、参加していただくということになっておりまして、今は韓国だけしか決まっていないのですが、アジアの他の国にも参加を今後とも呼びかけていくことになっております。呼びかけていくためには、ワークショップやセミナーを開催し、それに日本の、例えばJ-DESCも協力していただきますし、IODP-MIも協力して、韓国のコンソーシアム作りを推し進めていく。そのことによって、アジアの他の国でも例えばIODPに参加したいが、自分たちだけでは負担額が大きくて難しいというような国をIODPに参加させる受け皿を作るということを考えております。韓国はKIGAMという韓国の地質資源研究院が中心になってIODPに参加する。ただ、当面は、コンソーシアムは韓国1国しかまだいないので、暫定アジア・コンソーシアムという名称にして、2006、2007、2008の3年間は参加していただくということで、進めているところでございます。

【佐藤委員】
 わかりました。

【田中主査】
 他にございますか。

【長沼委員】
 先ほど「ちきゅう」の運用状況について、平成17年度のご報告をいただきましたが、18年度のことも若干触れられていました。私は18年度の「ちきゅう」の運用に興味があります。今年の夏頃にライザー掘削試験が始まるということですが、その際に、研究者、関係者が見学的な立場で乗船するチャンスはあるのでしょうか。もし、そういったチャンスがあれば、私たちも大いに参加して勉強したいと思っている次第ですが、いかがなものでしょう。

【平(朝)委員】
 試験運用ですので、かなりの割合を技術者と機器メーカーの人などで埋められます。ですから、十分な船室が空いていないのですが、予定がより詳細に決まれば、船室の空き具合を見て、できるだけ実験室の活用、あるいはインターナショナルな「ちきゅう」のオペレーションを見ていただいて、いろいろなコメントをいただくのは非常に重要だと思っていますのでできるだけオープンにいたします。残念ながら、まだ、来年度の運航契約ができていないものですから、契約ができてからお知らせいたします。船室の空きなどがわかってくるのは結構直前になりそうです。申し訳ございません。恐らくお知らせできるのは6月頃になってしまうと思います。なので、9月から乗ってくださいといっても、それに合わせたご自分の参加計画というのは立てにくい状況でして、あまり外国の研究者に声をかけるというようなことは難しいと思うのですが、できる範囲でオープンにしたいと思いますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

【CDEX副センター長】
 1つ補足です。研究者の方に乗船していただく際は、共同研究という法人間同士の契約を結ばせていただこうと考えております。これは海外の研究者も同様で、できるだけそういう枠組みを使って、乗船するのであればしっかりその成果についてもアウトプットできるようなメカニズムにしていこうと思っています。

【長沼委員】
 共同研究というと私の例であれば、JAMSTECと広島大学がまず共同研究の協定を結ぶという段取りでしょうか。

【CDEX副センター長】
 多分そうなると思います。

【長沼委員】
 いきなり私とはできないのでしょうね。

【CDEX副センター長】
 試験運用中でもありますので、安全という問題もあり、ある程度そういう法人間同士でのバックアップが必要になるかと思っています。

【田中主査】
 他にございますか。よろしいですか。
 それでは、最後に事務局からご連絡がございましたらお願いします。

【田中企画官】
 今日ご議論いただいた「ちきゅう」のこれまでの運用の状況、広報、研究については深海掘削委員会としてこれまでご審議いただいていたことです。今日は、具体的にいろいろ報告があったわけでございますが、「ちきゅう」は国民の関心も非常に高く、大変大きな期待を背負っていると思いますので、今後とも節目節目でこの委員会に活動について報告しまして、ご審議いただきまして、平成19年度のIODPにおける国際運用に向けて着実に準備を進めていきたいと考えている次第でございます。
 次回の第9回深海掘削委員会については、IODPの2007年度の事業計画、つまり、今年の10月から来年の9月までの計画が見えてきて、皆様方にご説明できる頃、また、「ちきゅう」の平成18年度のライザー掘削試験が開始される夏頃に開催させていただきたいと考えております。また時期が近づいてまいりましたら事務局の方で日程調整をさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

【田中主査】
 ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
 今日の会議はこれで閉会させていただきます。どうもありがとうございました。

‐了‐

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