深海掘削委員会(第6回) 議事録

1.日時

平成17年6月9日(木曜日) 14時~16時

2.場所

古河総合ビル6階 F1会議室

3.議題

  1. 深海地球ドリリング計画中間評価について
  2. 第5回深海掘削委員会以降のIODPに関する活動について
  3. IODPに関する研究推進体制について
  4. IODPに関する広報活動について
  5. その他

4.出席者

委員

 田中主査、森田主査代理
 佐藤、平(朝)、長谷川、松田、岡田、斎藤、末廣、鈴木、徳山、長沼、宮崎、安田 各委員
 平(啓)海洋開発分科会長

5.議事録

【田中主査】
 時間がまいりましたので、ただいまから第6回科学技術・学術審議会海洋開発分科会の深海掘削委員会を開催させていただきます。
 本日は、ご多忙中にもかかわらず、ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 審議に入ります前に、事務局の文部科学省海洋地球課の佐藤課長よりごあいさつをお願いいたします。

【佐藤海洋地球課長】
 今日は、どうもお忙しい中ありがとうございます。会議に先立ちましてあいさつとして、最近の科学技術行政をめぐるお話を1点と、本委員会の位置づけにかかわる話を1点と、2点ほどお話しさせていただきたいと思います。
 最近の科学技術行政をめぐる動きで一番大きいのは、平成18年度から始まる第3期の科学技術基本計画をどうするかということだと思っております。その検討がいろいろ行われているわけですが、検討の場を文部科学省から総合科学技術会議に移しまして、いろいろ議論をさせていただいている最中でございます。その中で、どういう分野の科学技術を進めていくかというところが、我々にも関わってくるわけでございます。これについては、重点4分野ということで環境、情報通信、ナノテク、ライフサイエンスがございますけれども、我々としては、やはり国の存立の基盤を支える重要技術、あるいは世界最先端の技術というのは国として戦略的に推進していくべき技術ではないかと認識しており、基幹技術という概念で文部科学省として押しているところでございます。そういう中で、我々のこの海洋関係の分野も、国の存立基盤を支える重要な技術ではないかと思っておりまして、基幹技術という概念の中で海洋関係の分野もさらに進めていただけるようにと考えておりますので、皆様方にもご理解、ご支援をいただきたいというふうに思っております。
 それから、3月22日に新たな任期となりました海洋開発分科会委員で、第11回の海洋開発分科会を開催させていただきまして、従来どおり2つの委員会を置くということに決定いたしました。この深海掘削委員会と海洋研究船委員会でございます。深海掘削委員会の元々の審議事項というのは、ある程度決まっておりますが、平成17年度の大きな事項として深海地球ドリリング計画の中間評価を行うということがございます。やり方等はまたご説明しますけれども、この委員会で深海地球ドリリング計画の中間評価についてご審議いただき、海洋開発分科会に上げていくことをお願いしたいと思っております。
 あと委員のメンバーについてお話ししておきたいと思います。本委員会の委員は、平分科会長の指名という手続によって、分科会の委員、臨時委員、加えて専門委員をお願いしております。資料6-1に委員会の名簿がございます。これを見ていただきたいのですが、このメンバーで2年間ご審議いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それから、主査は分科会長の指名により、田中先生に引き受けていただくということになっておりますのでよろしくお願いします。新しく委員になっていただいた方もいらっしゃいますので、出席いただいている委員の紹介を、私からさせていただきたいと思います。
 私から見れば右手側の委員の先生のお名前を、順に読み上げさせていただきたいと思います。安田委員でございます。宮崎委員でございます。長沼委員でございます。徳山委員でございます。末廣委員でございます。岡田委員でございます。森田委員でございます。平啓介分科会長でございます。田中主査でございます。長谷川委員でございます。佐藤委員でございます。平朝彦委員でございます。松田委員でございます。それから、今回から新たに委員となっていただいたお二人を紹介いたします。鈴木委員でございます。斎藤委員でございます。お二人の他に、今回欠席されておりますが、寺島委員が新しいメンバーでございます。残りのメンバーは前任期より、引き続きとなっておりますので、よろしくお願いします。
 私の方は、あいさつからいろいろお話させていただきましたが、以上でございます。

【田中主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
 まず、事務局から資料の確認をお願いしたいと思います。

【田中企画官】
 海洋地球課の田中でございます。今後ともよろしくお願いいたします。
 資料を確認させていただきます。資料の6-1が深海掘削委員会の名簿で、6-2が深海掘削委員会における審議事項でございます。資料6-3-1、6-3-2が前回の議事録(案)と議事概要(案)です。資料6-4が深海地球ドリリング計画中間評価について(案)です。6-4-別紙は平成10年のときの航空・電子等技術審議会における評価報告書の写しです。資料6-5-1が前回以降のIODPに関する活動についての資料です。6-5-2は2005年度のIODPの年間事業計画の概要です。資料6-6として、文部科学省のプレスリリース資料をつけております。そして、参考資料1としまして、研究推進に対するJ-DESCの取組み。参考資料2としまして、IODPにかかる広報活動についてという資料になっております。そのほか広報関係の資料といたしまして、JAMSTECの方からカラー刷りのものが2つばかりついているということでございます。

【田中主査】
 よろしゅうございますか。
 それでは、本日の議題に入ります前に、新しく委員になられた方もいらっしゃることですし、深海掘削委員会での審議事項の確認と、前回、これは平成16年1月24日に行いました第5回深海掘削委員会の議事録及び議事概要の確認をお願いしたいと思います。事務局からお願いします。

【田中企画官】
 新たに委員になっていただいた方もいらっしゃいますので、深海掘削委員会における審議事項につきまして、確認させていただきたいと思います。資料6-2は、平成15年度にこの深海掘削委員会で決定した審議事項です。この審議事項といたしまして、まず主導国としての我が国のIODPに対する対処についてということで、年間計画に対する我が国の方針についてとIODPの事業結果の評価。それから、IODP国内推進体制等についてということで、IODPの効率的な推進のための体制についてと、その研究の推進方策について。そして、IODPの普及施策についてということで、国家プロジェクトとしてのIODPの国民への普及方策についてという、この3つの大きな事項について審議していただくということにしております。
 続きまして、資料6-3-1は、前回の議事録でございます。それから、その概要版が資料6-3-2でございます。これにつきましては、文部科学省のホームページで公開されることとなっております。委員の皆様には事前に照会させていただきましたけれども、現在のところご意見はいただいていないという状況でございます。

【田中主査】
 ありがとうございました。
 この委員会の審議事項、何かご質問等ございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 議事録は、メールで委員の皆様に大分前に配信して、訂正等のご意見を求めていますが、今のところ応答がなかったようでございます。これはホームページで公開されることになりますので、内容的にはいいのですが、割合話したことがそのまま出てくるものなので、趣旨をよく理解していただくためには発言者に、一度は目を通していただいた方がいいかと思われる場合もありますので、できましたら目を通していただきたい。そして、これをちょうど1週間後の6月16日までに、ご意見がございましたら事務局までご連絡をお願いいたします。
 それでは、議題に入ってよろしいですか。
 今日の議題1でございますが、これは深海地球ドリリング計画中間評価について。「ちきゅう」が完成することを受けて、この計画の中間評価を行う必要がございます。この進め方などについて、今日ご審議をいただきたいと思っておりますが、まず、事務局の方から中間評価の進め方をどうするかということについて、ご提案をお願いしたいと思います。

【田中企画官】
 それでは資料6-4に基づきまして、深海地球ドリリング計画中間評価につきまして、ご説明させていただきます。
 この深海地球ドリリング計画と申しますのは、現在、建造中の掘削船「ちきゅう」を日本がつくり、国際的な枠組みのもとで、国際協力により深海掘削の手法を用いた研究を進めるということとしているもので、その「ちきゅう」の建造に着手する前の段階の平成10年12月に、当時の科学技術庁に置かれていました航空・電子等技術審議会で評価をいたしました。その中で「ちきゅう」の建造、またその「ちきゅう」をこの統合国際深海掘削計画、IODPにより国際協力のもとで運航していくということについて評価、ご承認いただいておりました。その後、「ちきゅう」の建造に着手いたしまして、今年「ちきゅう」が完成する見通しでございます。
 通常ですと、この手の事業評価については概ね五年に一度評価するということが一般的なのですが、今回、「ちきゅう」ができるまでは前回の評価時から事情が変わっていなかったということもございまして、「ちきゅう」が完成するということを受けて、このタイミングで評価を行うということとなりました。評価の対象といたしましては、国際協力のもとで深海掘削を行うことによって地球科学、生命科学研究を推進する統合国際深海掘削計画に、我が国は地球深部探査船「ちきゅう」を提供し、主導的に参加することとしているということで、平成10年の航空・電子等技術審議会の評価を踏まえまして、「ちきゅう」の建造あるいは運用、研究推進体制など、我が国のIODP関連活動について評価を行うと考えているところでございます。
 評価の実施について、どなたにやっていただくかということにつきましては、科学技術・学術審議会の海洋開発分科会が評価を行い、報告書を取りまとめるということになっています。評価にあたりましては、海洋開発分科会のもとの委員会でございます深海掘削委員会が評価小委員会を設けて報告書の案を作成し、その報告を受けた海洋開発分科会が評価報告書をとりまとめるということで考えております。
 評価のポイントといたしましては、今回、「ちきゅう」が完成するということで、完成した「ちきゅう」が深海地球ドリリング計画を遂行するのに十分な性能を備えたものであるかということ、「ちきゅう」の運用について安全で効率的な運用環境が築けているかということ、それから、前回評価の際にはまだIODPというものの枠組みはできていなかったのですが、今回は平成15年からIODPが実際動き出したわけでございまして、そのIODPが意義のある計画となっているかということも確認したいと。それと国内においてIODP関連活動の推進体制というものが築けているかということ、必要な人材育成に努めているか、あるいは総合科学技術会議からも重要であると指摘されている普及広報活動というものを積極的に実施しているかということといった以上の7つの点につきまして評価をしていただきたいと考えておる次第でございます。
 実施のスケジュールにつきましては、今回ここで評価小委員会の設置について深海掘削委員会としてご了承いただき、7月からその評価小委員会において、実際の評価に関する審議等を行い、7月、8月、9月の小委員会での議論をもとに報告書の案を作成し、10月に一応予定しております次回の深海掘削委員会で評価報告書の案を議論して、海洋開発分科会に上げる報告書案を作成すると。そして、11月に第12回の海洋開発分科会を開催見込みということですので、そこで評価報告書案を承認するという段取りにしたいと考えております。
 次のページで、評価小委員会の構成ということですが、評価小委員会は深海掘削委員会の委員の中から、田中主査に指名していただく委員で構成することとしたいと思います。委員の皆様につきましては、名簿をその後ろに別紙という形でつけておりまして、このように評価小委員会の主査につきましても、田中正之先生になっていただき、そのほか森田先生、石田先生、兼原先生、佐藤先生、松田先生と、以上6人の皆様で評価小委員会を構成していくという案でございます。
 そして、前に戻っていただきまして、評価小委員会の構成のところですが、7月、8月、9月と3回開催する見込みの評価小委員会については、小委員会の委員以外の深海掘削委員会の委員の皆様にも開催をご案内申し上げたいと考えておりまして、ご出席のご希望ある場合はその旨お伝えいただいて、評価小委員会主査の了解のもとに評価小委員会に出席できることとしたいと考えております。
 また、評価結果の扱いにつきましては、評価の報告書として公表するということにしたいと思います。事務局は、この深海掘削委員会同様、海洋地球課の方で行うということでございます。
 以上でございます。

【田中主査】
 ありがとうございました。
 そういうご提案でございますが、これについてご審議をいただきたいと思いますが、まず、全体の構想について、これでよろしいものかどうか、ご意見、ご質問も含めてございましたら、どうぞ発言していただきたいと思います。
 どうぞ。

【佐藤委員】
 中間評価というのは、必ずやることに決まっているのでしょうか。全体の計画の中での中間評価はどのような位置づけで、頻度はどのくらいのものなのか教えていただきたい。

【田中企画官】
 こういった国の税金を使って実施する規模の大きい事業は、事業全体の節目で評価をするというように決まっております。

【佐藤海洋地球課長】
 大規模プロジェクトの場合は、事前評価、中間評価、事後評価というものが必要になっているのですが、プロジェクトによって期間などが違うものですから、その何年目に中間評価をやらなければならないというところまで、明確には決まっていないと認識しています。また、それぞれのプロジェクトは国が推進しているものから、そうでないものまで、多様な推進の仕方があるものですから、どのような場での議論によって評価をするのかということも、それぞれのプロジェクトによって違うという面があります。
 この深海地球ドリリング計画の場合は、先ほどお話がありましたように、事前評価の際は、もう廃止された航空・電子等技術審議会というところでご議論いただきました。その後、今日までこの計画については深海掘削委員会で議論していただいておりますので、中間評価についてもご議論いただくのが適当ではないかと思っております。

【佐藤委員】
 実際推進する側が自分で評価することになるのではないかと少し思ったものですから。中間評価ですから、そういう考え方もあるのかなと思います。わかりました。

【田中主査】
 よろしいですか。
 ほかにございませんか。

【森田委員】
 1年半くらい慣熟運転した後にやればもっともっとすばらしい評価ができるのに、何で今なのですか。今では、まだ「ちきゅう」が動いていないので評価しようがないのではないかと思うのですが。「ちきゅう」が動いて、実際に掘ってからであれば大体全部が評価できる。少なくともこの中の半分の項目は、その後であればかなりはっきりすると思うのですけれど。

【田中企画官】
 まず1つは、事前評価から既に7年ばかり過ぎているということであり、その事前評価の時点で想定していたものの中には、状況が変わったことが数多くあると思います。例えばIODPのフレームワークですとか、日本の研究体制の進展とか、もちろん「ちきゅう」が事前評価の時点でこういう性能の掘削船が必要だという評価をしたものに対して、今回完成するものがそれに見合ったものであるかということも評価しなくてはならない。そういう観点で、今のタイミングで中間評価しておく必要があるだろうということでございます。

【佐藤海洋地球課長】
 先ほど推進側による評価ではないかという観点については、一応、考慮しておりまして、評価小委員会のメンバーは、海洋開発研究機構などのまさしく推進側のメンバーは入っていない構成で評価小委員会設置案を作っております。

【田中主査】
 その点については、広義では海洋開発分科会や科学技術・学術審議会そのものが推進側なのかもしれない。そうだとしても、実際にこの事業に直接加わっている人は、評価小委員会からは外すという形で配慮してあり、これについて文部科学省から相談されたのですが、私はこの形でかなり客観的な評価ができるのではないかというように考えています。
 よろしいですか。それでは、中身に入ってご意見をお伺いしたいと思いますが、先ほどご説明いただいた資料6-4の3.評価のポイントについて、7項目ありますが、こんなところでよろしいかどうか。忌憚のないご意見をお願いしたいと思います。

【佐藤委員】
 予算について、例えば十分に確保されているか、あるいはそういう見通しがあるかなどに関する評価というのは、このポイントでは個別の事項の中に入っていると見ていいのでしょうか。それともあえて抜いてあるのでしょうか。

【田中企画官】
 今後の予算の見通しみたいな話ですか。

【佐藤委員】
 そうですね。今までの予算も十分だったかどうかというのは、この評価のポイントの中で反映はされるとは思いますけれども、表に出てきてはいないので、その辺の扱いがちょっとわからないものですから。

【佐藤海洋地球課長】
 なかなか難しいところですけれども、個別の事項についていろいろと評価をしているときに、そういう予算的な問題がどうだったのかという視点はあるとは思うのですが、予算そのものを評価するということは、あまりなじまないのではないかなという気がします。

【大洞課長補佐】
 あと実際に「ちきゅう」の運用がしっかりできるような環境が整っているかという点では、2ポツ目に運用環境についての評価があるのですが、その際に「ちきゅう」の運用のバックアップの体制ですとか、その運用会社にどういう委託をする体制が整っているかが対象となってくるものであり、それは実際予算上の裏づけがあってやっているわけですから、予算の視点はそういった形で含まれてきます。

【佐藤委員】
 だからある程度は反映されているというふうに思っていいのですね。

【大洞海洋地球課長補佐】
 はい。

【田中主査】
 評価の中身として、例えば要望を述べることはできるでしょうね。
 全然このことと関係のない話をしますが、全国大学共同利用機関というものがある。昔の、いわゆる文部科学省の直轄機関なのですけれども、今は法人化されて機関法人という形となっていますが、その法人の中間目標というものを大臣が認可するんですよね。大臣が認可するに当たっては各法人から出てくる目標案を評価する、つまり事前評価をします。その後、中間評価を行い、その目標に従って活動しているか。その活動が終了した後には事後評価もやります。
 その事前評価のとき、国の大学共同利用機関が例えばこういう装置を導入してこういう研究をやるということを評価報告に書かないと、中間評価の段階で何を評価していいかわからないと、そういう意見が多くあったのですが、事前に大臣が認可するに当たって、こういう計画でよいと認可したら、国の予算措置まで全部約束することになってしまう。そうすると、この大学共同利用機関というのは、みんな競争的資金で動いているものですから、大臣が認可したという事実と、既に確立されている競争的資金のルール・システムが全く相容れなくなってしまう。このような理由から、非常に競争的資金の申請を受ける方も、そういうことをあまりあらわに書いたような申請をされても困るわけですし、評価する方も、そういうものでは困るということになる。
 そのような問題もあって、予算についての言及というのはなかなか難しい面があると思います。ただ、評価の中として書ける範囲でもうちょっと配慮してもらった方がいいのではないかとは思います。

【平委員】
 推進する側から評価について発言するのも何ですけれども、評価のポイントの中で必要な項目は十分カバーしているなというふうに思います。1点だけ、その社会的貢献というような点、前の平成10年の航空・電子等技術審議会でも社会性、経済的にというものは項目として取り上げられたというふうに記憶していますが、そういう社会貢献というようなものをもう少し押し出すべきと思うのですが、ご意見をお聞かせ願いたい。

【田中企画官】
 その点につきましても、3点目のIODPは意義ある計画となっているかというところで、そういった社会的な観点あるいは経済的な観点というのを含めて、IODPの進めようとすることが意義のあるものかということを評価する要素として考えております。

【佐藤委員】
 ということは、これを進めていくことで、経済的あるいは社会的にどういう効果があるかとか、そういう波及効果みたいなことを考えるということですか。

【田中企画官】
 そうですね。そういう点も入れた方がいいとは思っております。

【田中主査】
 そういうことが当然入ってくると思います。例えば、IODPは意義がある計画となっているかといったら、まずは学術的に本当に成果を見せるような意義があるかと。その次に、今言われた社会的貢献などの波及効果が問われる。国際貢献という観点では、我が国がIODPを主導できているかどうかということ、たとえばこれだけ国費をつぎ込んで、きちんと成果が上がっているかということになるのではないでしょうか。

【岡田委員】
 実際、IODPに絡んでいる人間から見ると、今いろいろ問題があります。それをどこまでこの中間評価において議論していいのか。今後の予算につながるのなら、それは取り上げた方がいいのですが。今、それらの問題点をまじめに言ってしまうと、非常にネガティブな評価になる可能性もあると思います。しかし、この評価小委員会の委員リストを見せていただきますと、多分、委員の方々はそのような問題はご存じないと思いまして、それらに関する説明がIODPの関係者からなければ、そのような問題は表面化しない評価で終わってしまうのではないかと懸念するのですが。

【田中主査】
 最終的に評価報告書をどういう表現でまとめるかは、この委員会で諮りますし、その後、海洋開発分科会に上げて議論していただきますが、まずは、深海地球ドリリング計画の実施のうえで問題があればどんどんご指摘いただき、そういう問題を承知して評価をするべきだと思います。ただ、評価報告書に何でもかんでもその議論を書けばいいという問題ではないですから、それはよく考えて報告書を作成する必要はあると思います。

【岡田委員】
 よくわかります。ちょっと続けてよろしいでしょうか。
 この委員会における審議事項のところで、IODPを効率的に推進するための体制についてと書いてありますが、多分このメンバーで年にこのくらいの頻度で集まっていて、今、起こりつつある問題を打開するための具体的な議論はできないと思います。しかし、そういった問題を一体どこで議論すればいいのかということを私は悩んでいるのです。IODPが始まる前は、AESTOを中心にして関係者が頻繁に集まって、いろいろな議論をしてきたのですが、IODP-MIが設立されて、IODPが開始されてからはそういう問題を議論するメカニズムがなくなってしまった。新しく組織されたCDEXがそのような問題に取り組むのかというと、CDEXは勿論大事なIODP関係主体ですが、まさにIO(実施主体)ですから、CDEXだけでは議論できないという実態があるのではないかと思います。
 例えば、乗船研究者に対する乗船のための旅費や乗船手当が足りないなどの問題を、解決できるかできないかは別として、もう少し議論する何かのメカニズムが必要なのではないかなという気がするのですけれども。

【鈴木委員】
 それについては、一部はJ-DESCで相当議論はしていますよ。

【岡田委員】
 乗船者に関して議論しているのは知っています。でも、例えばIODP-MIの理事をどうするとか、2年の任期による理事会の議長交代への対応をどうするとかいう部分は、多分議論できないだろうと思います。だから、そういう問題への対応は、今あるのとは違う、直接の関係者が集まって議論する場が必要ではないかと。先ほども指摘したように、以前は、AESTOが中心になってそういう場の提供をしていたが、この2年間でなくなってしまった。このような点で、今は少しうまくいっていないのではと懸念しております。

【田中主査】
 今ご指摘いただいたようなことが評価の対象になると思います。必要なシステムが構築・運用されているかと。問題があれば、中間評価において提起するべきと思いますが、このような専門的なものを評価小委員会でいきなり議論するといっても難しいので、当然、関係者から事情を聴取して学習しつつ、評価していかないといけない。
 先ほど、事務局から言われましたように、評価委員会を3回開く予定ですが、深海掘削委員会の皆さんにも通知がいきますから、ぜひ出てきていただきたいし、それから場合によっては、特にこの委員にはぜひ今回は出てきてほしいとお願いすることもあると思いますので、そのときはご協力をお願いしたい。

【平委員】
 評価小委員会はまさに田中主査が言われたように、そういう問題も含めて評価する場所であると思います。また、岡田先生の言われたような問題そのもの、旅費の問題とか日本全体に関わる推進上の基本的な問題は、文部科学省も含めた話となるので、この深海掘削委員会がそれを議論する場なのではないでしょうか。審議事項に記述されている通り、IODP国内推進体制についてなどを審議するのが、我々の任務ですし。

【岡田委員】
 そうだとすると、議題に現状の問題点を議論する項目が必要だと思います。大体こういう委員会は、事前に話がわかったことを最終的にオーソライズする場であって、問題打開を図るための具体的議論を2時間の会議ですることはできないと思うのです。だから、私が言うのは、もうちょっと違うメカニズム、委員会の下に設置するワーキンググループでも何でもいいけれども、そういうものが必要だと思います。「ちきゅう」が動く前である今でも、現実に議論すべきいくつかの大きな問題があるのです。実際にジョイデスレゾリューション号は動いていますし、その何回かの航海にいろいろな研究者が乗って、多くの問題が見えてきています。今、打開策を検討せずに、いきなり評価だけされて全然対応策を検討しとらんと結論付けられるよりは、少なくとも打開を図る体制があった方がいいのではという気がするのです。
 それから大学側にいる人間にとっては、ちょっと今の推進体制には不満があるのですよ、はっきり言って。懸念する部分もいっぱいあるのです。

【森田委員】
 そういう問題は、例えばここにいる全員のメンバーに、全ての項目に対して評価ペーパーを配って、自分の携わるところの問題点などを浮き彫りにするための指摘を行うというのはいかがでしょう。それを第1回の評価小委員会で、皆さんに配って。そうして、2回目でそれを浮き彫りにすればどうでしょう。岡田委員のおっしゃるとおり、評価小委員会の6人の委員だけでは難しいと思います。だから委員全員が評価用紙などで評価に関わる。

【田中主査】
 今、全員と言われたのは、この委員会。親委員会。

【森田委員】
 この評価小委員会で、最後の評価をやらなければいけないですよね。そのときにすべての問題点を洗いざらしにすることは、この6人のメンバーだけでは無理ですよね。ですから深海掘削委員全員に評価用紙みたいなものを配って、いろいろな問題点を浮き彫りにしてもらう。そのような方法はどうでしょうね。そうすれば何とかなるのではないですか。

【田中主査】
 まだ、私は答えるべき立場にございません。この評価小委員会を認めていただいて、これがスタートすることになれば、7月に第1回に開くとここに書いてありますから、その段階でどういう手順で評価を進めるかを最初に議論します。今の意見は参考になる一つの提案ではないかと思います。

【佐藤委員】
 それと確かにこの評価小委員会の委員にはあまり詳しくない人がなっている。これだけの評価ポイントをあらゆる問題を含め、自分なりに理解してやらないといけないのですから大変なことだと思います。

【平分科会長】
 ちょっとよろしいですか。何か岡田先生の問題提起と、その後のつながりがわかりにくかったのですが、さっき岡田先生がおっしゃった実施上の具体的な問題というのは、やはりこういうところでは議論しにくいのですか。

【岡田委員】
 平委員のご意見では、この場所が議論すべき場だとおっしゃるから、そうなのであれば、具体的な問題を議論できるような議題をセットして、もっと頻繁に開くか、もっと時間を長くやるかしないとできないと思います。

【平分科会長】
 でもそういった問題は「旅費が足りません」と言われても、「それは大変ですね」と言うことはできるけれども、それ以上は何の力にもならないですよね。

【岡田委員】
 それだけではないのですよ。

【平分科会長】
 先ほど岡田先生がおっしゃったAESTOのときにはという話ですか。私はよくわからないのですが、そのときには何が違ったのですか。

【岡田委員】
 こういう公式な会議ではなくて、AESTOの中に非公式な会議を作って関係者が頻繁に議論していたわけです。

【平分科会長】
 それはAESTOに文部科学省がお願いしていたのですか。

【岡田委員】
 というか、文部科学省の担当者がそういう意識を持った対応をしており、あのときまだJ-DESCもCDEXもない中で、AESTOにその機能を持たせ、そこで連携をとっていたというメカニズムがあったんですよね。

【平分科会長】
 どうしましょう、田中さん。当然それをここで毎回やるというわけにはいかないと思うのですけれども。

【田中企画官】
 評価の小委員会におきましては、直接の推進者の委員などにもお願いして、IODPの現状というものがわかるように資料をお見せしてご説明いただき、岡田先生のおっしゃったような観点も含めて、ご議論いただくという形にしたいと考えております。

【平分科会長】
 よくわかりました。評価としては田中主査もおっしゃるように、そういうことも含めて評価できるとのことですが、田中さんに伺いたいのは、評価の問題でなくて、AESTOで何を議論していたのかはよくわからないですが、具体的にプロジェクトを進めていくうえで、どういうふうにして問題を議論していけばというのについてです。

【田中企画官】
 乗船研究者のやりくりをどうするか、乗船旅費をどうするかなどの具体的問題については、頻繁に当事者として、文部科学省、JAMSTEC、J-DESCが必ずしもこうした公式な委員会にこだわることなしに議論の場を設けていろいろ検討していくことが重要で、今でも行っている日常的な集まりの中で議論されて考えていくものではないかなと、私はお聞きして思っております。

【平委員】
 日常的に我々が打合せを頻繁に開くだけでは解決できないような、ある程度根本的な問題は、文部科学省も含めたこの場所で議論し、いろいろご意見を伺うというのがよろしいのではないかと私は思うのですが。

【岡田委員】
 だから、そういう議論もなしにいきなり評価だけになってしまうと、ネガティブなものにしかならなくて、「何も対策を検討していないのか」という評価になってしまうのが怖いのです。だから、こういう問題があって打開するためにこういう検討をしているというのが評価のまとまる段階までに何かあった方がよいのではないかと思って、今、具体的な問題を議論する場について言っているのです。

【田中主査】
 十分、実情を踏まえて、その上で評価しますから。ただ、先ほど平先生が言われたのですが、この委員会はこの事業、IODPが円滑に推進されるように調整するところですよね。
 だから、どんどんそれについても委員会に提言していただいて取り上げていけばいいし、今までもそうしてきた。今まで特に問題になったのは、研究者が活動するために必要なお金が今の体制の中では無理だと、競争的資金を取ってこいと言われても、それだけではどうにもならない。これは国際的な事業ですから、競争的資金だけでは難しいということがこの委員会では数字によって議論されてきましたけれども、今、岡田先生が言われたようなことも当然出していただいて、委員会として調整できるところは調整すると。実務者レベルで話し合っていただけるところはそこでやってもらえばいいことだし、いろいろできると思います。この委員会は評価するだけの委員会ではなく、IODPが事業として成功すること、それを目的に設置されている委員会なのですから。

【平委員】
 岡田先生の指摘の中には、国が進めているプロジェクトとはどうあるべきなのかという根本的問題があって、それは何もIODPだけではなく、他の大型プロジェクトも共通に抱えているような本質的なものなので、海洋開発分科会、科学技術・学術審議会にその問題が上がっていくことが重要だというふうに思いますので、やはり深海掘削委員会で議論するのがいいのではないかと思いました。

【徳山委員】
 人によって評価が違うと思いますけれども、話し合う場がないというわけではなくて、例えばJ-DESCの執行委員会にも文部科学省からもご出席いただいております。ただ、その議論の結果を反映する場として、科学技術・学術審議会か、総合科学技術会議か、どこであれば現実に反映することができるのかということについて考えております。今、平さんが発言したように国家プロジェクトをどうやって今後進めていくのか、実は背骨がない。
 そこの評価をしろと言われても、「推進者が悪い」と言うしか、結局答えがないのではないかと懸念します。研究推進体制などが未完成というか、不完全なままで事業を開始したのが悪いと言われればそうかもしれませんが、それは科学技術分野の場合、ある時期でどうしても始めなければいけないということもあると思いますから、そのサポート体制がないと非常に困るのです。それを評価のときに、「不完全な体制が悪いから改善しなければならない」というのだったら、中間評価はそれなりの意義があるのかもしれないと思いますし、少なくとも自己主張にはなると思います。

【平分科会長】
 実は今日の午前中に科学技術・学術審議会の研究計画・評価分科会の中に、新しく地球観測推進部会が設置されて、第1回目が開催されました。どういう仕組みかというと、これまで地球観測推進というのは、いろいろな主体が個々のプロジェクトで取り組んできたのですが、これを総合科学技術会議のもと、SABCのような評価を行う体制を作りつつあります。ただ、その中にこのIODPが含まれるかどうかはまだわからないです。しかし、毎年概算要求の前にそういう評価をするということなので、非常によい点としては総合科学技術会議で高い評価を得れば予算化の弾みがつくことだと思います。今後この動きについても、事務局中心に情報を集めながら対処を検討していく必要があるのではないかと思います。
 それからもう1つは、資料に書いてあるような評価のポイントについて、関係者のお話を伺って評価を行うのですが、どうしても身内の評価的な印象を与えざるを得ないのではないかなと思います。大学も今、数値目標を掲げろと言われていますが、毎月、例えば普及広報活動なんかにしても、何とかをどうやってどういうふうに向上させたとかいうのを、数値的な目標として示すようなことが今後は要求されるのではないでしょうか。今の二点について、事務局はどのようにお考えでしょう。

【田中企画官】
 事業については一般的に言えば達成目標というものがあって、それに対してどこまでやってきたのかという観点は求められると思います。我々の中間評価については、例えば事前評価の時点で確認されたこうあるべきだという姿と比べて、今どうなっているのかというような観点は求められると思います。可能なものはある程度定量的にしたいと思いますけれども、ただ、こういう事業の性質からすると、多少定性的に扱うという部分もあると思います。いずれにしても、あるべき姿に対してどうだという観点では常に見ていく必要があるのではないかと思っております。

【平分科会長】
 もう1つの地球観測推進部会についてはどうでしょうか。

【大洞課長補佐】
 地球観測推進部会につきましては、どういう経緯でできたかと申し上げますと、地球観測サミットがありまして、これからの世界の10年の観測の実施計画をつくろうということで世界的な流れはできているのですけれども、それに日本がどう対処していくかという具体的な計画を作ろうということで、科学技術・学術審議会におきまして、全省庁に跨るような地球観測計画を作っていこうということで設置されたわけです。その中で我々も当然地球観測の中にはドリリング計画とか、もちろん海洋の観測というのは非常に重要だと考えておりますので、その中に位置づけられていくのだとは思うのですが、それはあくまで全体の中での1つのパーツですので、そこで位置づけられたら、もう予算が保証されるとか、そういうものではないと思っています。個別のプロジェクトの妥当性や、推進体制、先ほど議題になりましたような問題点というのはやはりこういった個別の分野を扱う委員会でしっかり議論をして解決していくということが重要だと思います。さらに、財政当局に対して、予算が必要だということのしっかりした裏づけを個々の委員会でしていくということも非常に重要であると思っているところでございます。勿論、地球観測推進部会の情報に関しては、同じ課の中でやっている委員会でもありますので、我々からも引き続き提供させていただきたいと思います。

【平分科会長】
 どうもすみません。ちょっと横道にそれたかもしれないですけれども、今後そういう報告がくると思いますので。

【田中主査】
 いろいろあると思いますが、とにかくこういう形で評価小委員会というものを設置して、そこで中間評価について議論して評価報告書の原案を作ると。その原案をまずこの委員会に諮って大いに議論していただき、この委員会として議論がまとまったら、海洋開発分科会の方へそれを報告すると。それを最終的には、海洋開発分科会として評価報告書をとりまとめるということでいかがでしょうか。

【平分科会長】
 上部委員会の方にこういう評価でしたという報告になるのですか。

【大洞課長補佐】
 すみません、委員会の性質上、海洋開発分科会は物事を報告書としてまとめられるのですが、その下にある委員会というのは、どの委員会も共通ですが、最終的に科学技術・学術審議会のクレジットで報告書をまとめるということができるような仕組みにはなっていませんので、ここの委員会でまとめていただいた報告を海洋開発分科会で議論して、海洋開発分科会の報告書として、世の中に出していきたいというふうに考えています。その上の科学技術・学術審議会総会というのがございますけれども、そちらについては海洋開発分科会の方から報告させていただくということで進めたいと思っております。

【田中企画官】
 アウトプットといたしましては、この資料6-4-別紙という、前回の平成10年のときのものですが、この航空・電子等技術審議会という名前のところが科学技術・学術審議会海洋開発分科会というふうになってくるというふうに想定しております。

【田中主査】
 一応、これが事前評価だということですか。

【田中企画官】
 これが事前評価ですね。

【岡田委員】
 今、いろいろ議論ありましたけれども、そうするとこの場の理解としてはこの深海掘削委員会というのは、具体的な問題も含めて全部理解すべき委員会なのですか。それだったら、それなりの情報の出し方があると思います。僕はむしろ、この委員会は一番上の委員会でオーソライズするタイプの委員会かなと思っていたので、あまり具体的な問題点とか、当事者同士が話し合って日本としてこうすべきだとかいうような議論をする場ではないのかなと思っていたのですが。具体的な問題についてまで議論するものだとすれば、提案の仕方もいろいろありますが、年に2回、3回の委員会では少なすぎます。少なくともIODPの始まりの数年間は回数なり時間なりを増やさないと無理だと思います。

【平委員】
 あまりにも細かい話までは話す場ではないと思いますが、その根底にある問題については、この委員会で議論すべきだというふうに思っています。

【田中主査】
 現場の問題点を全然理解しなくて、意味のある審議ができるわけがないので。

【岡田委員】
 ですから、この1回目の評価小委員会のときに、今、委員会の皆さんが何を問題だと考えているかとか、現場にいる人たちが抱えている問題を出し合ったらいかがでしょうか。今までの委員会ではこの部分が何もなかったから、実際6人の評価小委員会の方々は、恐らく何も問題がわからないのではないかと思うんです。

【徳山委員】
 これまで、相当、資料を差し上げて、少なくとも私は「大変だ、大変だ」というメッセージを発し続けたと思っています。それが全く伝わっていないということはないと私は思っております。

【岡田委員】
 J-DESCに関することはそうかもしれないですね。

【徳山委員】
 J-DESCだけではなく、平さんのCDEXに関してもいろいろ問題があるということは、予算はないから知恵を出さなければならないという話題も委員会の場であり、問題点は理解していただいていると私は思っております。

【末廣委員】
 別の角度から一言。深海地球ドリリング計画というものに関する中間評価ということですから、深海地球ドリリング計画とはどういうものかという何らかの提案があるはずですよね。以前の国際深海掘削計画(ODP)の場合は、国内においての計画書というのがあって、それには5カ年計画が記されており、どういうことを実施して、どういうことがわかっていきますという計画書が存在していました。ですから、深海地球ドリリング計画を評価するというのなら、当然そういう計画書のようなものを基礎に行うのではないかと思います。岡田さんが指摘されているのは、実はそういうところにもつながっていて、我が国の深海地球ドリリング計画とは何かということについて、まだ明確な共通理解がないのではないかということを私は感じます。
 ですから、J-DESCはJ-DESCとして日本全体を取りまとめた、ある種の計画をお持ちだし、JAMSTECはJAMSTECとしてIODPを総合的に推進する責任母体としての計画を持っています。そういったものを、総合的に深海地球ドリリング計画と呼ぶのでしょうから、IODPにおける国際関係も含めた、総合的な深海地球ドリリング計画の計画書のようなものがあるべきではないかと思うのですが、そういうものはあるのでしたでしょうか。

【平委員】
 そういう共通理解をもつために、IODP国内委員会などの国内をとりまとめる委員会は存在しているわけですけれども、それとこの委員会はちょっと立場が違うと思います。事業計画などを審議、オーソライズするのは、私は、今あるIODP国内委員会だと思っております。

【末廣委員】
 それは事業計画とは別ですよね。例えば私が経験あるのは地震予知計画ですが、あれは地震予知計画というのがあって。

【平委員】
 5年計画とかの長期プランね。

【末廣委員】
 そう。それには各機関の事業計画を総合的に合わせたような計画書があるわけです。今の場合だとIODPがちゃんとなっていますか、「ちきゅう」がちゃんと動きそうですか、というようにちょっと個別な質問になっている。統合的な計画はどうなっていて、それに照らして必要な要素がそろっているのかという総合的な視点が欠けているように思える。その総合的なところについて、みんなで共通認識を持たないと戸惑うのではないかと思うし、問題点もよく見えない。

【長谷川委員】
 だんだん、私、わからなくなってきてしまった。今の話題は深海地球ドリリング計画で、今回はその中間評価についての議論ですよね。深海地球ドリリング計画と銘打ったものは、事前評価のときに計画書のようなものがちゃんとあったのでしょう。今、この中間評価をしようとしている、そのときの計画書はないとおっしゃっているのですか。

【末廣委員】
 平成10年のときはむしろ、いかに掘削船「ちきゅう」を建造して、サイエンスに役立てるかというところに重きが置かれた計画だったと思います。したがって、どういうサイエンスをやるべきかということがあるのですが、地震予知計画と違ってややこしいのは、米国、ヨーロッパと一緒になって計画立てて推進しているわけですから、そういう各国も含めた長期計画というのは、必ずしもこの平成10年の段階ではできていない。

【平委員】
 それは違う。この後にIODPイニシャルサイエンスプランという科学計画書ができました。それをもとに日本でもJ-DESCとして、日本としては主にこういうことに協調して取り組みましょうというイニシャルサイエンスプランに基づいた日本の共通目標が作られています。我々は基本的には「ちきゅう」というものを使って、今後、国際的に掘削提案をし、科学諮問組織の評価を受けながらその共通目標に向かって研究を実施していくという立場にあるので、私はもし計画書があるかないかというのであれば、イニシャルサイエンスプランとJ-DESCのつくった科学計画案があると思いますし、その達成のために「ちきゅう」の運用について、年次ごと着々と推進していくというのが我々CDEXのスタンスであります。

【徳山委員】
 ですが、イニシャルサイエンスプランは事前評価の後でできたんですよね。この時はできていなかった。それがちょっと後追いになってしまったのですよね。

【長谷川委員】
 私の質問は、この時点の計画書を踏まえて、この時点では評価したのであって、現在は中間評価ですよね。そして中間評価の対象範囲が何なのかというのは、具体的に計画書が今もあると言われましたよね。それでよいのではないですか。末廣委員が先ほど言われたことは、それが人によって解釈が違うのではないかと言われたように私には思えたのですが。

【末廣委員】
 私が申し上げたのは、その点と、岡田さんが先ほどから問題視されているIODPを推進していくうえで、その国際的な関係とかそれに対応するための国内の体制などを含めて、この深海地球ドリリング計画として考えるときには、例えば今の科学計画書の中には、必ずしもそういう観点での目標が書かれているわけでもないので、どこの範囲までを対象と考えるのかが明確ではない。だから、確かに科学計画書がないわけではないのですが、科学計画書が中間評価の対象だったら、よい計画だねということだけで終わってしまう気がするのです。

【長谷川委員】
 少なくとも、評価するには対象となる範囲については、具体的に共通認識が必要だと思いますね。

【宮崎委員】
 そういう意味では、最初の6-4-別紙を読ませていただきますと、序文のところで、当時の深海地球ドリリング計画というのは、当時のJAMSTECが提唱していた計画という具合に書かれているのですが、それがやがていろいろな研究者、いろいろな機関等が寄り集まって議論をして、最終的に現在の、我が国のひとつのナショナルプロジェクトになったように理解しているわけなのですが、その理解でよろしいでしょうか。

【田中企画官】
 そこにつきましては、深海地球ドリリング計画という言葉が、確かにこちらの平成10年時点の深海地球ドリリング計画と比べて、おっしゃるとおり幅広くなっております。それは平成10年の時点ではJAMSTECの事業としての深海地球ドリリング計画があったわけです。それが今回、評価の対象とするのは、それを軸として、日本の研究者集団の取組みなどの関連の取組みをひっくるめたものを対象としようと考えております。ただ、それを何という言葉で表現するかということになると、やはり深海地球ドリリング計画という言葉を使っておくのが適当であろうという意味で、そういうタイトルにさせていただきました。

【田中主査】
 いろいろ議論の余地のあるところかもしれませんが、この資料に書いてある評価の対象でいいのではないでしょうか。統合国際深海掘削計画に日本も参加してやっていると。それは「ちきゅう」を主なファシリティとして主導的に参加するということで日本の計画は進んでいるが、そのとおりにいっているのかということについて評価してください。
 とにかく、こういうことでスタートさせていただいて、評価小委員会でまた今日の議論を踏まえて、我々は何をやるべきかを含めた検討を。とはいっても、資料に書いてあることでだいたい適切ではないかと思いますが、これに従い作業を進めていく。その評価小委員会には皆さんにも会議の通知を出しますので、ぜひ出ていただいて、オブザーバーとして意見を述べてください。一応、まとまった段階ではこの委員会を開いて、大いに議論していただくということで、この中間評価について進めてよろしいかどうか伺いたいと思います。
 よろしいですか。また、各委員の皆様のご意見をいろいろお伺いすることになると思いますので、ぜひよろしくお願いを申し上げます。
 今日は4時までの予定でございまして、まだご議論もあることかとは思いますが、次の議題の2に移らせていただいてよろしゅうございますでしょうか。議題の2、前回の委員会以降、IODP活動についてどのような活動の進展があったか。事務局の方からご報告をお願いしたいと思います。

【田中企画官】
 資料6-5-1でございます。前回以降の活動につきまして、ご紹介させていただきます。
 まず、IODPフレームワークといたしましては、今年の1月に日米、私とNSFのカウンターパートとで、IODP-MIに対しまして、2006年度、つまり今年の10月から開始します事業年度の計画について予算の指針を提示しまして、その計画案の作成を始めてもらったということでございます。
 それから、アメリカの掘削船につきまして、当初、本年5月で運航終了するという話が米国からあったのですが、その後米国側の予算が確保されたということで、運航を延長して実施するということになり、これについての2005年度の追加事業計画というものを作成して承認しました。これについては前回の委員会のときには、その途中経過をご紹介しておりましたが、最終的にはこの資料6-5-2の1枚紙のようになりまして、この青字で書いてある部分の4本の掘削計画が承認されて現在動いております。青字の最初がポーキュパインというところで、北大西洋での掘削。それから次にメキシコ湾での掘削。それと3番目が海洋地殻が拡大している東太平洋のコスタリカ沖での掘削。それと一番下にありますのが、東太平洋の北側のカスカディアマージンでの掘削で、これらの掘削計画が承認されて動いているということでございます。
 それから、今年の3月には東京でNSFとMEXTの会合を行いまして、IODPの運営に関しての検討を行いました。
 それから、4月には韓国で日韓科学技術協力協定下の専門家会合としての日韓科学技術フォーラムというものが行われまして、ここで平朝彦委員を初めとしてIODPの日本の関連の研究者の方にも出席いただいて、深海掘削関連の研究協力について韓国研究者と議論を行っていただきました。
 それから、今年の予定ですけれども、来週から長崎におきまして、2006年度の事業計画案などを議題として第3回のIODP評議会というIODPの政府の参加者レベルで集まる評議会を開催する予定となっております。
 それから、掘削航海の方ですが、昨年の11月から1月にかけて大西洋の中央海嶺におきまして、アメリカの掘削船での掘削が行われました。すみません。資料に落丁があるようですので、大変申しわけございませんが、議題の3の方に進めていただけますでしょうか。

【平分科会長】
 質問ですが、ジョイデスレゾリューション号というのは、たった2カ月だけ延びただけですか。それとも、あとまた延びるのですか。

【田中企画官】
 延びると言ったのは、今年の5月までといったのが、来年の1月までになりました。

【平分科会長】
 これにあるのは、10月28日ということですから。

【田中企画官】
 はい。これは2005年度の計画でございまして、この後、2006年度の計画というものを今検討して、それが来年の1月まで予定しております。来年の1月に、ノンライザー掘削船の後継船を建造するため、実際には既存の船の改造になるということですが、今のジョイデスレゾリューション号については休止するということです。これはアメリカの予算の事情でございます。

【平分科会長】
 どっちにしろIODPというのは、「ちきゅう」とジョイデスレゾリューション号の2隻があるのですね。だからジョイデスレゾリューション号については確実に期待していいのですね。アメリカ側がやめてしまうということはないわけですね。

【田中企画官】
 ありません。このように2006年1月に休止して、2007年中にノンライザー掘削船の新しい船を出すということで、1年半ばかり掘削ができなくなるという状況になっています。

【大洞海洋地球課長補佐】
 資料を今コピーしていますので、また届きましたら再開させていただくということにしまして、議題を入れかえさせていただいて、すみませんが、議題の3をお願いできますでしょうか。

【田中主査】
 それでは次の議題、IODPに関する研究推進体制について。これは、前回委員会以降、どのように推進体制について取組みが行われているか、鈴木委員の方から。

【鈴木委員】
 J-DESCの方のこれまでの取り組みについて紹介するということになっておりますが、資料に記載されているほとんどのものは私が部会長になる以前の事業なものですから、徳山先生の方から紹介していただくということにいたしましたので、そのように。

【徳山委員】
 参考資料1を開けていただけますでしょうか。
 今、鈴木委員の方から発言があったように、研究推進体制についてとして、IODP研究推進に対するJ-DESCの取組み、あるいはJ-DESCの活動ということで紹介させていただきます。資料は1)、2)、3)という3つの項目に分かれております。1というのが、会員提案型活動経費における活動報告です。この経費は、J-DESCが立ち上がったときからの取組みで、J-DESCの会員となっている機関に所属する人たちから、IODPの研究を推進するためのシンポジウムを開くなどの提案をしていただいて、それをJ-DESCの中に審査委員会を設けて審議し、採択されると活動経費を使用することができるというものです。これについては、前期で3件、後期で5件のものを採択しております。私もいくつか参加しましたけれども、中間評価では教育面というのが評価の対象になっていると思いましたが、非常に若い研究者も参加して活発な議論をし、このようなシンポジウムを通して、研究者自身が日本初の掘削提案を積極的に作成していくという状況が生まれつつあるということでございます。
 2番目、3番目は先ほどから問題になっている研究資金。これ以外にもいろいろ努力はしているんですが、2)の「時限付き分科細目」については、今日いらっしゃっている巽さんが大変努力されていて、今、学術分科会科学研究費補助金審査部会において議論されており、まだ最終的な採否の結果は受けていないということです。
 3)の科学研究費補助金については、まだ最終的な結果は発表されておりません。これ以外にも平朝彦委員が中心になって、航海の乗船費等を賄うために振興調整費を出したのですけれども、残念なことに文部科学省のホームページに載っておりますとおり採択にはなりませんでした。力が足りないと言われればそれまででございますけれども、非常に残念な結果に終わっています。それと各大学から特別研究教育費として、IODPの先ほど発言がありました日本版のイニシャルサイエンスプランの項目を対象とした研究テーマを立てて、それで申請するというようなことを行っておりますが、それもなかなか難しい状況にあるということで、大変厳しい状況が依然として続いているということでございます。
 以上でございます。

【田中主査】
 よろしいですか。ありがとうございました。
 ご意見、ご質問、ございますでしょうか。

【平委員】
 岡田先生の言われたことに多分関係があると思うのですが、こういうプロジェクトをやっていくとき、平成10年の航空・電子等審議会の評価のサマリーにこれについて書いてあって、序文で松野先生が、ハードは立派だがそれを有効に使いこなすソフトに欠けるという心配があると。大丈夫だろうかという懸念が表明されているわけですけれども、その乗船旅費も含めて競争的資金にこれを頼るという現状は、もちろんそれは1つの方法ではあるのですが、やはりいろいろな意味で難しい面もあります。競争的資金には非常に限られた分野に限るということもありますし、一般的なこういう事業の参加をどのようにして確保するのかというのは大問題で、他のSpring8とかRIビームファクトリーとか、そういう多くの施設が共通に抱えている問題だと思います。この場で何とかしろと言われても方法はないのだろうとは思いますけれども、我々の常時やっている活動の他に、こういうプロジェクトに関して、事業費的なその参加・活動のための予算を確保していくかというのは非常に重要な問題ですので、何らかの提言をこの委員会からすべきではないかということについて、この委員会で原案が毎回出ているのですが、まだ成文化したことがないので、これを成文化し、海洋開発分科会にしっかりと上げるということが大事だというふうに思っています。

【平分科会長】
 第3期基本計画の議論等の計画の中でも次の方針として、これまでの競争的資金だけを重視したものに加えて、経費上、基盤的な経費も考えるという案をデュアルサポートという言葉で文部科学省の方が提案していたものですから、「深海掘削委員会の委員として、このようなプロジェクトをやっている中で一番困るのは、やっぱり競争的資金だと計画が立たないと。だから、ぜひデュアルサポートでやっていただきたい。」という要望は、口頭では申し上げております。でもそれはどういうなっていくのか。第三期基本計画の議論の中で委員の皆さんは、それはこのプロジェクトに限ることではなくて、例えば大学等の研究機関のサポート等についてもデュアルサポートの中に入っており、これらの見直しについてある程度機運はあるようですが、今はただそれだけです。そう発言して、ただ「私も発言しましたと」満足して、じゃあ何かができたというのはまだだと思います。

【田中主査】
 今のご指摘は十分わかることで、それを念頭に入れて議論したいのですが、これは同じプロジェクト研究でも、ものすごくものによって状況は違うのですよね。完全に国が概算要求を通して経費をつけているものもある。競争的資金への依存の仕方が随分プロジェクトによって違って、国のプロジェクトを競争的資金だけでやれといわれても定常的な予算の担保がないと何も約束できないわけですよね。それから、そのプロジェクトを推進している母体がどういう構成を持っているかということが非常に難しい問題だと思います。でも、この話は議論すべき問題が非常に多いので、今は預からせていただいて、次回またこの問題について議論していただくと。私もある程度考えがまとまれば、そういうものをまたお示しするということで今日のところはよろしいですか

【徳山委員】
 一言加えてよろしいですか。航空・電子等技術審議会の評価報告書の序文、最後のパラグラフですけれども、「実施主体である海洋科学技術センター」と記載がありますが、それはまさにそうなのですが、競争資金を獲得するに当たって、評価報告書の序文において海洋科学技術センターと書かれると、じゃあ全てそこで面倒見てくれるような誤解を招くことがあります。「もう海洋科学技術センターで十分サポート、手厚く扱われている。競争的資金要らないのではないでしょうか」というような誤解をされる表現ではないかと私は思います。ある面では実際に実施主体はJAMSTECです。例えば、「ちきゅう」については、運航はJAMSTECだし、オーナーもJAMSTECであることは変わりない。JAMSTECは研究部分でも確かにIODPに非常に貢献しているのも確かです。けれども、大学の研究者もIODPに貢献したいという意思があり、競争的資金を取りたいわけですから、全国の大学の人も、研究費についてはJAMSTECに全部面倒を見てもらってはいないという事実が正確に伝わる表現にしていただきたいのです。そういうことは可能でしょうか。

【田中主査】
 もともと本来の趣旨から言うと、例えば文部科学省の科学研究費補助金は具体的なプロジェクトを支援する形にはなっていない。しかし、そうは言っていられない事情があって、このプロジェクトを支えるためにこの特定領域をつける等の対策を講じる場合もある。でも、このプロジェクトそのものがあんまり表に出てくると、それで十分という印象を与え、特定領域の指定は難しくなるという現状がある。徳山先生が今言われたようなことを工夫していかないといけないかもしれない。

【長沼委員】
 1つ申し上げていいですか。日本の宇宙に関する取組みについて。宇宙ステーションに積む日本の実験モジュール「きぼう」は世界から公募して使っていこうというプロポーザルベースの利用を考えられている。でも、実際に日本がお金をかけて作ったのに使うのは外国ばかりという事態は懸念されているので、日本の国内の研究者に頑張ってもらうため、宇宙フォーラムというところが地上試験のためのお金を配っているわけですね。これは、JAXA(ジャクサ)に対して宇宙フォーラムという組織がある。ここにおいては、JAMSTECあるいはCDEXに対して、J-DESCという組織はあるけれども、宇宙と違うのは、J-DESCにはそういうファンディング機能はないことです。ここが問題で、やはりどこかJ-DESCのようなところがファンディング機能を持って、「ちきゅう」という船を日本の研究者が積極的に、そして主体的に利用していくための予算の方策というものを何かつくれないのかなという希望は、皆さんがお持ちだけれども、本当にこれを深く考えた方がいいのではないかと思います。

【鈴木委員】
 今、J-DESCの話が出ましたので、私はこの4月からJ-DESCの部会長をしていて、先日、ローマでヨーロッパあるいはアメリカのサイエンスを担当しているESSAC、USSACという日本のJ-DESCに対応するところの方と会合を行ったのですが、そこはスタッフを10人以上抱えていて、アメリカですとNSFから資金が直接USSACに流れており、そこでまさに業務として運営をしているんですね。プロモーションしている。
 日本の場合は、本当に徳山先生たちが2年間一生懸命取り組まれていたと思うのですが、ほとんど全ての活動をボランティアベースでやっています。大学の教員たちが、乗船研究者の派遣、掘り起こし、広報、全てやっています。これは、特に今IODP初期に提出されたプロポーザルが実際に実現される段階に入り、メールも含めて激しいやりとりがあります。とてもこれは片手間にできる業務ではないなというのが、この2カ月の間で私は感じています。これは、今日は長く話しませんが、いずれ中間評価のときにお話する場があると思っていますので、そういうときに改めて紹介したいと思うのですが、そういう意味では、「ちきゅう」を支える、あるいはIODPを支えるソフトの組織というのでしょうか、そういう部分で日本は問題を抱えているのではないかという気がいたします。その辺も含めて、今後、いろいろと提言していただければと思います。

【田中主査】
 確かにそれはわかります。といってもなかなか難しい問題ですよね。難しい問題だけれども、その問題点をちゃんと認識して対応していくことが必要ではないかと思いますので、引き続きその問題は議論するということで、よろしいですか、先に進んで。すみません。
 次の問題というのは、議題4、IODPに関する広報活動について。前回以降どのような進展があったか。まず文部科学省の取組みについて、ご説明をお願いしたいと思います。

【田中企画官】
 資料6-6でございますが、前回もご紹介させていただきましたが、研究航海が開始されるごとに、このようにその概要、それから日本からの研究者のリストというものをプレス配付するようにしております。乗船研究者を派遣する大学の地元の新聞社などでは結構取り上げていただいているというふうに伺っておりますので、今後ともこういったことを続けて、IODPに関しての認知度をさらに強くしていきたいと思っております。
 当省からは以上でございます。

【田中主査】
 ありがとうございました。
  海洋研究開発機構の取組みを中心に、平先生からご報告をお願いします。

【平委員】
 それでは、参考資料2を見ながらご説明を申し上げます。
 毎回、普及広報活動については、委員の先生方からいつも多くの提案をいただいている訳ですが、我々としてもその提案を生かすべく、前回からのお約束でもあったウェブサイトのグレードアップに取り組んでいます。CDEXについてのコンテンツはJAMSTECのウェブサイトの中にあるわけですから、その奥に入って行かないとたどり着かないという問題があります。
 それで私、皆さんもやったことがあるかもしれませんが、例えば「ちきゅう」という言葉でグーグルやヤフーで検索すると、ほとんど1件も出てきません。しかし「ちきゅう」いうのは我々のシンボルですので、CHIKYU、これが正面に出るような、そういうサイトでないとこれから世界の中で「ちきゅう」を広報していくということは難しいだろうと考え、「CHIKYU HAKKEN」という、HAKKENというような日本語も知らしめていこうという方針のもと新たなウェブサイトを立ち上げております。これについては、なるべく日本語も使ったサイトにしようということで考えております。お手元に参考のカラーページが2枚ほどありますので、それを見ながらぜひご自身でアクセスしていただければというふうに思います。
 また機関誌で「CHIKYU HAKKEN」を英文と日本文で、多少内容を変えながら発行しております。これもホームページからダウンロードしていただきたいと思います。
 そのほか今後の活動としては、キャンペーン等は続けており、今までやってきた様々なイベントにおいて、ブースを作ったり、記者発表したりということをやっております。1月29日、前回の委員会の1週間ほど後にNHKの「サイエンスZERO」という番組で取り上げられて、自分で言うのも何ですが、なかなかよくできた番組ではないかなというふうに思いました。
 それからもう1件、この資料には書いていないのですが、今、アジアの砂というプロジェクトを立ち上げようとしております。これはどういうものかというと、アジアの子どもたちに砂を集めてもらう。それを取った場所やそれから取った情報を一緒に何らかの形で我々のアジアの砂プロジェクトセンターに伝えてもらって、その砂に対していろいろ分析を行うと。その分析結果をウェブサイト上に公表し、その取った子どもたちの顔写真でも、もし彼らが望むなら公表して、アジアの各地、砂漠から川、海岸にかけての砂のコレクションのウェブサイトをつくる。それが何に役立つかというと、将来IODP等々で掘った場所の地層の起源、どこから砂がやってきたのか、あるいはそれがどういう地質と関連があるのかというようなことを調べるのに役立つ。子どもたちにとっては、そのデータを持って我々のホームページにアクセスしたり、そのウェブサイト上でバーチャルな子ども科学大会みたいなものをやったり、子ども砂学会をつくったり等の様々な活動ができるし、一種の理科離れというものに対して多少の防波堤にもなるかもしれないと考えております。また、アジアの子どもたちが話すことによって、アジアが少し荒れた世の中ですので、戦乱におびえているような子どもたちにも、砂という視点で多少の貢献もできるかなと考えており、今、国立科学博物館、AESTO等とも協力してどういう形でやっていくのか、これを将来IODP-MIを通じてIODP全体の活動に展開するにはどうしたらよいのかということについて検討を始めたところでございます。これについては、少し話が進んだところで報告をさせていただきたいというふうに思います。

【田中主査】
 ご意見、ご質問はございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 では、この広報という問題、非常に大事だと思いますので、引き続き、この委員会で審議をさせていただくということにさせていただきたいと思います。
 予定の時間が大体近づいてきて……何かございますか。

【田中企画官】
 先ほど中断してしまいました議題の2、第5回深海掘削委員会以降の活動について、今、資料6-5-1の差しかえを改めてお配りさせていただきました。両面の資料がお手元にいったと思います。先ほどはこの1ページ目をいったところで2ページ目がなかったのに気がつきまして、不手際、大変申しわけございませんでした。
 1ページの終わりから改めて再開させていただいてよろしいでしょうか。
 それで1ページ目の掘削航海ということで、昨年以降行われている航海について内容を書いております。1ページ目の一番最後から2ページ目にかけて記載されているように、我が国からもそれぞれ8名、7名、6名の研究者が参加して航海が実施されております。それから科学諮問組織については、今年の3月にポルトガル・リスボンで科学計画委員会(SPC)が行われまして、掘削プロポーザルに関して議論、それから2007年度以降に行われる掘削に対する優先順位づけが行われたと。
 それと、先ほども申しましたが、来週から長崎で科学諮問組織の最高の委員会であります科学計画・方針監理委員会(SPPOC)の第4回の会合が開催されまして、2006年度の計画について検討される予定となっております。
 中央管理組織では今年の2月に会員総会、岡田委員が議長でございます理事会が開催されました。また、先ほど申しましたポルトガル・リスボンでの会議のときに運用委員会が開かれ、2005年に実施する航海の計画、2006年度当初の運航計画が検討されました。それから昨年の12月からサイトサーベイデータバンクという掘削箇所の地質情報などのデータを一元管理するデータベースについて国際入札が行われ、その結果5月にアメリカのスクリプス海洋研究所が選定され、それを担当することとなりました。今後実際にこのデータベースの構築に向けた準備が行われまして、今年の10月以降から実際に動き出すという予定になっております。今年の5月には、イタリアのローマでIODPの各参加機関のトップが集まって、いろいろIODPの運営に関して忌憚のない意見交換をするというマネジメント・アンド・ファーラム・リトリートという集会が開催されまして、平委員、鈴木委員にご出席いただきました。
 3ページ目ですが、JAMSTECでは、引き続き、乗船旅費の支援について17年度の上半期まで延長していただいておりまして、上半期以降について現在検討中ということでございます。昨年11月にはIODP-MIと覚書を交わしまして、それに基づき4半期報告としてIODP-MIに活動状況を報告しております。本年2月には、南海トラフの地震発生帯の掘削計画。これは「ちきゅう」が最初にIODPとして掘削するであろうというものですが、この実施計画について検討が行われました。3月には、横浜で「ちきゅう」のオペレーション・ワークショップが開催されました。また、「ちきゅう」のJAMSTECへの引き渡し予定日というのが7月29日になったことで、「ちきゅう」の国際運用開始についても2007年9月の予定となっております。これにつきましては、先ほどのちょっと不手際のあった資料の一番後ろに資料の6-5-1-別紙がありまして、IODPの概要とあわせて、下の方にスケジュールが書いてあります。地球深部探査船の引き渡しが7月29日に建造している三菱重工の方からJAMSTECの方に引き渡されて、これで名実ともに「ちきゅう」が完成ということになります。その後、試験運用を行いまして、2007年9月に国際運用開始するということになっています。したがって、アメリカ会計年度の2006年度の終わりに「ちきゅう」を投入しようという計画で現在進めているということになります。
 また、先ほどの資料に戻っていただきまして、J-DESCについてですが、引き続き、我が国の乗船研究者の募集をしていただいております。それから、関連する会議、あるいはサンプリングパーティーというものへの参加に係る支援を行っていただいていると。また、琉球大学、沖縄美ら海水族館、新潟大学・新潟県立自然科学館では、研究者、学生、一般の方、お子様を対象としてIODP大学・科学館キャンペーンというものを開催して、JAMSTEC、文部科学省ともにこれに参加しております。また、参加国の拡大については、現在、韓国が参加に興味を示しており、文部科学省、JAMSTEC、J-DESC共同で働きかけているところでして、現在のところ韓国がアジアのコンソーシアムを設立してIODPに参加するということとしております。今は、具体的にどう参加するかということをNSFと文部科学省とで検討している状況です。それから、今年の5月に千葉の幕張メッセで地球惑星科学関連学会の合同大会が行われまして、そこでタウンミーティング、夜間小集会等といったような活動もしていただいております。
 以上でございます。

【田中主査】
 ありがとうございました。
 ご質問、ご意見はございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 そうしますと、大体において時間内で本日予定しておりました議題は終わることができました。
 最後に何か文部科学省の方から連絡事項等はございますでしょうか。

【佐藤海洋地球課長】
 今日は、この委員会の17年度の大きな役割としての深海地球ドリリング計画の中間評価について、どうしていくかということを中心にご議論いただきました。私が少し失礼していた間に議論は進んだと思いますが、一応この枠組みで了承されたというふうに聞いております。本日の会議でご指摘いただいた意見も踏まえまして、評価小委員会を運営させていただきたいというふうに思っております。評価にあたっては、評価することそのものは勿論重要ですが、それをこのプロジェクトの次の進め方にどう生かしていくかということが重要ではないかというふうに考えておりますので、それを忘れずに仕事を進めていきたいと思います。今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 それから、第1回の評価小委員会を7月に行うということで、後日、事務局で日程調整をさせていただきますのでよろしくお願いします。また、その小委員会の開催の日程が決まりましたら、小委員会委員ではない深海掘削委員会の委員の方でも自由に参加できるような形にさせていただいておりますので、ご希望の方にはご出席いただくようお願いいたします。
 以上でございます。

【田中主査】
 ありがとうございました。
 今日は非常にいろいろご意見がございましたけれども、それを踏まえて、一応、6-4の資料で示されたこの原案に従って評価を進めるということは、この委員会で了承していただいたということでよろしゅうございますか。
 それでは、そのようにさせていただきます。
 本当に今日は長いことありがとうございました。

‐了‐

お問合せ先

研究開発局海洋地球課