深海掘削委員会(第2回) 議事録

1.日時

平成15年12月15日(月曜日) 15時~17時10分

2.場所

文部科学省 別館(9階) 特別会議室

3.議題

  1. 統合国際深海掘削計画(IODP)の2004年度年間計画の概要について
  2. IODPに関する研究推進体制について
  3. IODPに関する広報活動について
  4. その他

4.出席者

委員

 田中主査、兼原、近藤、佐藤、平、松田、岡田、末廣、徳山、長沼、宮崎、安田 各委員

文部科学省

 文部科学省、内閣府、海上保安庁、他

5.議事録

【田中主査】
 それでは、時間がまいりましたので、第2回科学技術・学術審議会海洋開発分科会深海掘削委員会を開催いたします。
 本日は、大変ご多忙にもかかわらずご出席いただき、ありがとうございました。
 議事に入ります前に、事務局の文部科学省海洋地球課の吉田課長よりごあいさつをお願いします。

【吉田海洋地球課長】
 海洋地球課長の吉田でございます。委員の皆様方には、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 前回、第1回目は、6月でございまして、約半年ぐらいがたったわけですけれども、後ほど、事務局からご説明させていただきますが、この間、いろいろと大きな進歩がございました。
 一番大きなものとしましては、この10月から、いよいよIODPが正式にスタートしたということでございますけれども、それに関連いたしまして、さまざまな準備活動が進んでおります。また、12月の初めには、サンフランシスコで、IODPの第1回の評議会が開かれました。
 本日は、そういったこともご紹介しながら、審議を進めていただきたいと思いますが、参考資料1というのを、お手元に配っておるかと思います。これは、前回の委員会で決めていただいた、この委員会の審議事項を整理したものでございます。
 1つ目は、IODPの主導国として、我が国のIODPに対する対処についてご議論いただくという件。2つ目は、IODPの国内推進体制についてという件。3つ目は、IODPの普及施策ということで、国民への普及方策などについてご議論いただく件。おおむね、この3件が、この委員会の主たる任務という形になっております。
 本日は、この任務に沿いまして、事務局のほうから、今考えておりますような案や進め方について、ご説明をさせていただき、ご討議いただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それから、事務的なことでございますけれども、資料2-1でございますが、近藤委員と末廣委員に、それぞれご異動がございまして、肩書きが変更しておりますので、委員名簿を修正させていただいております。
 あと、事務局のほうでございますが、7月1日付で深海地球探査企画官ということで、まさに、本件を担当いたします企画官が発令されまして、田中が就任しておりますので、よろしくお願いいたします。

【田中企画官】
 田中と申します。よろしくお願いいたします。

【吉田海洋地球課長】
 以上でございます。

【田中主査】
 ありがとうございました。
 それでは、早速、議事に入りたいと思います。
 まず、本日の資料につきまして、事務局のほうから確認をお願いしたいと思います。

【田中企画官】
 それでは、資料のご確認をお願いします。
議事次第に資料の一覧ということで、2-1から参考資料4まで載せております。
 まず、資料2-1、深海掘削委員会名簿でございます。資料2-2-1、科学技術・学術審議会海洋開発分科会深海掘削委員会の第1回、6月19日の議事録は、32ページございます。続きまして、資料2-2が、その議事概要でございまして、これが4枚ございます。それから、資料2-3-1が、第1回深海掘削委員会以降のIODPに関する活動についてということで2枚ございます。それから、資料2-3-2、IODP2004年度年間事業計画の概要ということで1枚紙でございます。それから、資料2-4、IODPに関する研究推進体制についてということで10枚の資料がございまして、資料2-5、IODPに関する広報活動についてということで2枚あります。
 それから、参考資料1として、深海掘削委員会における審議事項が1枚。続きまして、参考資料2、平成16年度概算要求における科学技術関係施策の優先順位付けについて(抄)。参考資料3、これは、英文の若干厚い両面のコピーですが、IODPの2004年のプログラムプランでございます。参考資料4、これは、日本地球掘削科学コンソーシアムからの資料で、米国における深海掘削研究支援体制についてという6枚の資料。以上が資料になっております。
 このほかに、IODPにおける我が国の科学計画というものが、別途資料として皆様のお手元にあるということでございます。

【田中主査】
 ありがとうございます。資料は、皆さん、よろしいでしょうか。
 それでは、議事に入ります前に、前回、平成15年6月19日に行った第1回深海掘削委員会の議事録及び議事概要の確認を行いたいと思います。これも、事務局のほうからご説明をお願いいたします。

【田中企画官】
 それでは、資料2-2-1、これが前回の6月19日の議事録でございます。委員の皆様には、事前にご確認をお願いしております。それから、資料2-2が、議事概要でございます。これらの資料は、文部科学省のホームページにおいて公開されるということになっております。佐藤委員と石田委員のほうから若干の修正をいただいておりまして、それが反映されたものになっております。
 なお、参考資料1といたしまして、前回の委員会で決めていただきました本委員会の審議事項につきまして、添付させていただいております。前回は、審議事項は「案」ということで出させていただきましたが、今回は、その「案」を取っております。

【田中主査】
 ありがとうございました。
 これは、前もって委員の皆さんにご確認をお願いしているものなんですが、特にこの場で、何かここはぐあいが悪いとか、ご意見ございますでしょうか。これまでに寄せていただいた訂正点等は、既に訂正してあるものです。

【末廣委員】
 質問ですけれども、この議事録そのものは、まさにしゃべったとおりの記述というパターン……。何も足さず、何も引かないということですか。

【田中企画官】
 基本的には、そういうことです。

【末廣委員】
 そういう方針なんですね。

【事務局(渡邉)】
 どうしても意味がとおらないとか、完全な誤りとか、そういうことについて補うなり削除なりするということは、最小限はすることが可能だと思っておりますけれども、基本的には言ったとおりのことを書くという方針にしてございます。

【田中主査】
 自分がしゃべったところを見てみますと、よく意味が通らないことがあるんですよね。私、今、ちょっとこれを見ましたら、「これは1本しかないから」と私が言っているんですけれど、「コアは1本しかないから」と言ったつもりだったんですよね。だけど、実際は、「これは」と、言ったんでしょう。

【事務局(渡邉)】
 逆に、そういうところについて、ご指摘いただければ、直すことが適切かと思うんですけれども。

【田中主査】
 これも、そんなにいつまでもということではないですけれど、委員の皆さんに自分の発言したところについて、もし、こう訂正したほうが、自分の発言の趣旨がよりよくとおるということがありましたら、至急、事務局のほうへ寄せていただいて……。いつごろでいいですかね。今週いっぱいということで大丈夫ですか。

【吉田海洋地球課長】
 今週いっぱいぐらいで。

【田中主査】
 もし、ありましたら、今週いっぱいで、ご意見をお寄せいただきたいと思います。お願いしたいのは、ご自身の発言のところだけで、ほかのところは、結構でございます。では、よろしくお願いします。それをお伺いして、もし、訂正すべきところがありましたら、事務局のほうで訂正していただいて、最終的な議事録とさせていただきたいと思います。
 それでは、早速、議題に入らせていただきたいと思います。
 本日の議題1は、「統合国際深海掘削計画の2004年度年間計画の概要について」ということでございます。これも事務局のほうから、ご説明をお願いしたいと思います。

【田中企画官】
 それでは、年間計画の概要について説明させていただく前に、若干、ここのところのIODPに関する活動について、ご報告させていただきたいと思います。
 資料2-3-1でございます。これは、6月の第1回深海掘削委員会以降のIODPに関する活動を、実施主体ごとに整理させていただいたものでございます。まず、文部科学省のほうにおきましては、7月1日付でIODP担当の新規ポストということで、平成15年度に設置されました深海地球探査企画官というポストに、私が着任しております。
 それから、日米の覚書で、日米各1名ずつ主席管理官(Principal Official)というものを指名することになっておりますが、文部科学省のほうでは、それを深海地球探査企画官が担当するということになっておりまして、各国・各運営機関等との調整に対して中心的に取り組むということにしております。
 それから、9月中旬から、これも日米覚書に基づいて文部科学省のリエゾンとして、アメリカのNSF(National Science Foundation)のほうに、木村賢二という課長補佐クラスのものを派遣しております。IODPでは、日米リードエージェンシーを代表してNSFがCMOすなわち中央管理組織と契約することとなっておりますが、この者がNSFの担当官と一緒になって契約業務を担当していくことになっております。
 それから、10月7日、8日に東京で、NSFとMEXTの会合を開催しまして、IODP初年度の運営等について議論をしました。また、ヨーロッパは欧州深海研究掘削コンソーシアム(ECORD)を組織して参加される予定ですが、ECORDの代表者と参加条件について議論しまして、基本的な考え方について合意したということでございます。
 続きまして、総合科学技術会議、これは内閣府の組織ですが、この平成16年度概算要求における科学技術関係施策の優先順位付けにおいて、A評価を受領いたしました。これについては、参考資料2ですが、深海地球ドリリング計画の優先順位は、S・A・B・Cという4段階のA評価ということになっております。
 この右端のほうに、留意事項ということで、4点の留意事項が付されました。
 1点目は、管理運営を効率化して運用経費の削減に努めること。2点目として、我が国の負担が非常に大きいわけでございますが、それに見合う戦略を確立すること。3点目としては、交渉の上では我が国の国益を十分に考慮する。4点目として、国民に平易に説明する義務を果たす必要があるということでございます。
 この2点目・4点目の、「戦略を確立する」「国民に説明する」ということにつきまして、この委員会のほうで、いろいろと知恵を出していただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

【吉田海洋地球課長】
 なお、昨年も同じように、この評価があったんですけれども、昨年は、Bでございまして、今年はAということでございました。平委員にも実は、そういう数々のヒヤリングでもご協力いただき、論陣を張っていただきまして、ありがとうございました。

【田中企画官】
 資料2-3-1に戻りますが、12月7日に、第1回のIODP評議会というものが米国・サンフランシスコで行われまして、科学諮問組織等、各機関の活動状況、2004年度の年間計画などについて報告が行われました。また、この評議会の後に、ヨーロッパ及び中国の代表者とそれぞれ協議を行いまして、IODP参加覚書の署名に向けて、協議を続けるということで合意した次第でございます。
 続きまして、米国側、国立科学財団(NSF)のほうですが、NSFのほうでは、ノンライザー掘削船を提供するということになっておりまして、その運航を行います実施機関・IO(Implementing Organization)として、JOI Allianceという組織を選定しております。JOI Allianceといいますのは、Joint Oceanographic Instituteということで、海洋の研究機関で組織される連合体です。そのほかにTAMU(テキサス農工大)、あるいは、LDEO(ラモント・ドハティ地球観測所)、こういったところが一緒になってJOI Allianceということで、米国の掘削船を運航する機関を形づくっております。
 その他の参加国ということで、先ほど申しましたが、まず、ヨーロッパに、ECORDというのがあります。実は、ECORDに13カ国が加盟する予定になっておりまして、12月15日、フランスでECORDの会合を行って、正式にその13カ国が加盟のための協定書にサインをする予定になっております。なお、13カ国といいますのは、フランス、イギリス、ドイツ、スウェーデン、デンマーク、アイスランド、イタリア、ポルトガル、スイス、オランダ、フィンランド、ノルウェー、スペインという構成国になっております。(その後、スペインが参加を見送り平成15年12月15日現在で12カ国が正式に加盟)
 ECORDにつきましては、3参加単位分の分担金を負担するとなっております。参加単位は、日米覚書におきまして、、覚書に記載された1参加単位分の分担金を支払うことによって、それぞれの掘削船毎に乗船研究者の座席が2名分与えられ、科学諮問組織のそれぞれの委員会に1名の委員を代表として出せるというふうに定義されております。ECORDは3参加単位分の分担金を負担していただくということで、その分の権利を与えましょうと。また、ECORDは、日本とアメリカの船では対応できない、極域または浅い海の掘削を行う特定任務掘削船(MSP)を提供しますよと、今回、2004年に北極での掘削をやるための船を提供すると申しております。こういった船を提供するということも含めて、ECORDに対しては、この3参加単位分の権利に加えまして、1参加単位分の乗船研究者の数、つまり、追加で2名、それと、科学諮問組織の委員会に、1名の議決権のない委員を派遣する権利を与えるということで、合意いたしております。
 それから、中国もIODPに参加するという意向を示しておりまして、中国では、今後、10年間参加したいということと、当初4年間は、年間100万ドルを負担していこうということで、100万ドルでは1参加単位分に足りないんですが、1参加単位のおおむね4分の1に相当するということで、準メンバー(アソシエートメンバー)ということで、4分の1の権利を得るメンバーとして参加することとなっています。5年目以降では、分担金額の増加を中国内部で検討したいということを申しております。
 ですから、日米に加えて、ヨーロッパと中国が参加の意思を明確に表明しているということでございます。
 それから、科学諮問組織では、9月15日から19日に科学計画委員会(SPC)の第1回会合を札幌で開催しまして、2004年以降に実施する掘削プロポーザルについての議論、ランク付けを行いました。このSPCの議長は、東大海洋研のコフィン教授でございます。それから、12月5日、6日にサンフランシスコで、科学計画方針管理委員会、これは、SPPOC(スポック)と呼びますが、その第1回会合を開催しました。2004年のIODPの年間計画の案が、このSPPOCで承認されました。SPPOCの議長は、東大海洋研の玉木教授でございます。
 続きまして、中央管理組織でございますが、9月9日、10日に、このCMOの機能を担う非営利法人であるIMI、こちらにいらっしゃいます岡田委員が理事会の議長をされておりますが、その理事会をアメリカのシアトルで開催いたしました。そのIMIの代表が、タルワニ氏というアメリカのライス大学の教授で、深海掘削につきましては国際的にも長いキャリアを有している方で、この方に決定いたしました。それから、IMIの科学運用を担当する副代表は、札幌に設けるIMIの事務所に駐在することになっておりますが、この副代表に、デンマークのコペンハーゲン大学教授のラーセン氏という方が決定いたしました。
 それから、IMI札幌事務所が入る予定の北海道大学内にあります、創生科学研究棟が竣工いたしまして、11月27日に竣工式典が行われました。札幌事務所は財団法人の地球科学技術総合推進機構(AESTO)がホスト機関となっております。
 続きまして、海洋科学技術センター(JAMSTEC)のほうでございますが、7月2日に札幌で開催されました第23回国際測地学・地球物理学連合(IUGG)の総会に、天皇・皇后両陛下がお見えになりまして、両陛下に地球深部探査船「ちきゅう」の模型をごらんいただき、IODPについても説明いたしました。
 9月26日には、地球深部探査船「ちきゅう」にデリックという、掘削用のやぐらを設置いたしました。「ちきゅう」は、船体そのものは、岡山県玉野の三井造船でつくられまして、このデリック、その他の掘削関係の設備・研究設備等を設置するために、三菱重工の長崎造船所で工事が行われまして、このやぐらも長崎造船所で設置されました。
 10月6日、東京大学山上会館で、JAMSTECとJ-DESCの共催で、IODP発足記念シンポジウムが開催されまして、IODPの管理運営方針、日米欧の科学計画等の発表がなされまして、日本はじめヨーロッパ・アメリカからも科学者・技術者が約130名参加されました。そのほか、札幌で行われたIUGG、先ほどのIODP評議会やSPPOC会合に引き続いてサンフランシスコで開催された米国地球物理学会、あるいは日本地質学会(静岡)等において普及広報活動を展開しております。
 それから、地球深部探査センター(CDEX)ですが、こちらは、「ちきゅう」の運営実施機関となりますが、8月19日、20日にアメリカのモンタナで行われました実施機関(IO)の会合に出席しまして、2004年の運営について議論を行いました。それから、下北半島東方沖で、「ちきゅう」の慣熟訓練のための事前調査を実施中でございます。また、2004年のプログラムプランを作成しまして、IMIへ提出いたしました。
 それから、日本地球掘削科学コンソーシアム(J-DESC)ですが、こちらは、10月25日に神戸大学において、IODPの発足記念科学シンポジウムを開催しまして、研究者を中心に約60名が参加しております。
 これらが、6月以降のIODPに関する活動のご紹介でございます。
 続きまして、資料2-3-2でございますが、IODPの2004年度年間事業計画の概要ということで、青い地球の地図が載っているものでございます。これは、後ろにあります参考資料3という英文のものから主要な部分を抜き出したものでございますが、これがIODPの2004年度の事業計画ということで、2004年度の掘削海域、その掘削に必要な費用などがまとめられたものでございます。IODPでは、IMIがNSFから運営を委託されることになっておりまして、この資料は、NSFに対しての事業実施のプロポーザルということでIMIが作成した案でございます。今後、NSFと文部科学省とで承認して、IMIとの契約をNSFが実行するという段取りになっております。
 なお、IODPでは米国の会計年度と同様に、10月1日から9月30日を1年度としておりますので、2004年のプログラムプランというものは、2003年の10月1日から2004年の9月30日までのものでございます。この間の科学計画につきましては、9月の札幌でのSPC会合でランキングされたものですが、2004年度にすべての科学計画を実施することができなかったため、このプログラムプランでは、一部、2005年にまたがるものも載っております。
 この一覧表にありますように、全部で6本の計画が載せられておりまして、これをごらんになると、そもそもIODPでは、どんなことをやるんだということが大体わかります。
 それと、2004年度は、地球深部探査船「ちきゅう」がまだできていませんので、米国の船、ノンライザー方式のジョイデスレゾリューション号とECORDが用意いたします極域での特定任務掘削船を使うということになっております。
 上のほうからご説明いたしますと、まず、一番上に、Juande Fuca Ridge Flank Hydrogeologyとなっておりますけれども、これは、この地球の地図の北アメリカの太平洋岸、ここの場所がJuande Fuca Ridgeというところでございまして、ここを掘削して、流体循環、微生物、地震等に関する調査を行って、海洋地殻における水文地質学的特性を評価するということを目的としております。実施期間は来年の6月21日から8月29日で、これが、IODPの最初の掘削となります。
 次に、Central Arctic Paleoceanography。北極海の古海洋学ということで、ECORDの船を用いて北極海のロモノソフ海嶺の5カ所で掘削を行いまして、古海洋及びテクトニクスの変遷を調査します。また、掘削船1隻及び砕氷船2隻の3船体制でやるということで、ECORDのほうでは、掘削船としてスウェーデンのビーダーバイキング、砕氷船として、スウェーデンのオーデンとロシアのクラシンという2隻を使って、この3船体制で行われます。
 それから、North Atlantic Neogene-Quaternary Climateという3つ目のものは、北大西洋の9カ所で掘削を行い、第3紀末から第4紀末にかけての1000年スケールでの環境変動を調査し、また、地球磁場の変動を調査します。
 それから、Atlantis Oceanic Core Complex。先ほどのNorth Atlanticに続きまして、大西洋でありますけれど、これは、大西洋中央海嶺の2箇所で掘削しまして、海洋コアコンプレックスの形成に係る条件及び海底のかんらん岩の変成過程を調査します。
 最後に、North Atlantic Neogene Quaternary Climateのパート2。これは、上から3つ目のものに引き続き行われるパート2及び、Norwegian Margin Bottom Waterということで、まず、North Atlanticのものは、先ほどの北大西洋9カ所の継続でございます。それから、Norwegian Marginというのは、ODP、つまりIODPの前身ですが、そのときの掘削孔に孔内計測装置を設置して、低水層温度の長期的変動履歴に関して測定の可能性について調査することになっております。
 今回の年間事業計画におきましては、このような6本の科学計画を実施することとなっております。ただ、費用につきましては、2005年度に必要な費用は載せておりませんで、2004年度のみに必要な費用を載せております。しかしながら、実際の掘削は2005年以降だが、2004年度にその事前調査をするといったものについての費用は載せられております。
 費用につきましては、英文の参考資料3の一番後ろに、英文そのままで恐縮ですが、このように一覧表になっております。一番右端に、グランドトータル4,001万4,000ドルとなっております。これが、今回の総額というふうに計上されています。SOCs、POCsとなって、SOCsは、科学運用経費ですが、これは1,505万9,000ドル。POCs、これは、掘削船の運航経費ですが、これが2,495万6,000ドルということで、SOCsが38%、POCsが62%という割合だということです。
 中では、まず、JOI Allianceというもので、トータル2,212万1,000ドル、これは、アメリカのノンライザー船の運航及びそれに関連する科学調査にかかる費用だということです。それから、ESO、これは、ECORDのScience Operatorですが、ヨーロッパの極域掘削にかかる費用が1,249万3,000ドル。最後に日本のCDEXが340万ドルとなっています。日本の場合、2007年度に「ちきゅう」を国際運用して掘削を行う予定ですが、ここでは、そのための事前調査を計上しているということでございます。
 以上、年間計画、事業計画について説明させていただきました。

【田中主査】
 ありがとうございました。
 この委員会では、主導国としての我が国の対策・対処について審議するということになっております。ただいま、事務局から報告していただきましたことに対して、ご質問、ご意見等、ございますでしょうか。

【岡田委員】
 1つお伺いしたいんですが。
 IMIの立場からお伺いするんですが、中国は、4分の1の参加金を払うと、これは、IMIのメンバーを得る権利はないというふうに理解してよろしいですね、4分の1ですから。理事会のほうは当然ないんですけれども。じゃあ、ヨーロッパは、今日、覚書が結ばれれば、あすからでもIMIのメンバー加入を申し込んでくる可能性があるということですね。

【田中企画官】
 そうだと思います。

【田中主査】
 ほかにございませんでしょうか。どうぞ、ご自由にご発言いただきたいと思います。

【岡田委員】
 ついでですから、情報の追加を2つほど申し上げたいんですが。
 中央管理組織というものはまだないんですが、2月に立ち上げたIMIが、中央管理組織受託の公募に応募しまして、他の応募者が無かったため入札をしないことになったということが、まず1つ。
 それから、実はIMIでは副代表が2人おりまして、1人はもう決まっております。ここに書いてあるハンス・クリスチャン・ラーセン氏ですが、科学運用ではなくて科学計画担当ですね。もう一人のアメリカオフィスにいるものが、科学運用、サイエンス・オペレーション担当ですが、あしたが公募の締め切りです。きょう現在で16人、応募者がいます。これを4人に絞って、1月13日にインタビューをして、その後は3月まで理事会がありませんので、恐らくメールで合意を得ると、つまり、サーチコミッティという人事選考委員会がありますので、そこで、だれか1人に絞って、それをメールで流して、IMIの理事会で承認するという格好になるだろうと思います。だから、ワシントンオフィスの代表も、1月の後半には決まるという状況でございます。

【田中主査】
 よろしいですか。何かございませんか。

【宮崎委員】
 参考のためにお聞きしたいんですけれども、例の総合科技会議で、昨年度はBであったが、今年度はAであったというのは、プラスになった部分というのはどういうところがあったんでしょうか。

【吉田海洋地球課長】
 BからAになった理由というのは、なかなか私どもにはよくわからないんですけれども、昨年Bになりましたときも、「ちきゅう」の建造については着実に進めるべしということだったんですが、その時点では、後年度負担を非常に大きく計上しておりまして、今年の段階では、まだまだ大きいんでございますけれども、昨年に見積もりを出したときよりは、少し節約をしたというふうになってきております。というようなこととか、あと、今回は、有識者の方にも時間をとっていただきまして、じっくりとお話を聞いていただくこともございましたので、そういったことも含めまして、全体として理解が非常に進んだのではないかなと思っております。これは、もう、こちらの思い込みかもしれませんけれども。

【宮崎委員】
 単に予算とか、そういうことだけではなくて、科学技術的にも、ある程度理解されたと受け取って構わないですね。

【吉田海洋地球課長】
 そのように受けとめております。

【田中主査】
 この資料2-3-2ですが、来年度の事業計画の3番・6番、このミレニアム・スケールの気候変動というのは、今、非常に注目されていると思いますけれど、太平洋域でも将来は考えられるんでしょうか。

【岡田委員】
 とりあえずここをやっていますが、現在のセオリーでは、海水が大量に沈み込んでいるのはこの海域で、ここで低層水をつくっております。もう1つは、この海域は、石灰質の微化石が保存されている海域なんですよ。そこで、そのカルシウムカーボネートの中の酸素の同位体あるいは炭素の同位体を使って、いろいろな環境変化を解明するというのが、今一番代表的な古海洋学の手法なので、それができる場所という意味で、まずここなんです。日本の近海というか、太平洋は、石灰質の殻が一切溶けちゃって残っていない海なんですね。だから、別な技術的な革新がねらわれていて、例えば、SiO2でできた化石は結構残っていますので、SiO2のOも酸素ですので、何とか酸素の同位体をはかろうと、今、いろいろやられているんですが、まだ、完全にブレークスルーができていないんです。まずは、北大西洋で、千年単位の精密なデータ、もう随分データはあるんですけども、これをやってということになったんですね。将来的には、こういう、特に、今言ったシリカの同位体の、酸素の同位体をうまくできるようになれば、ここは、大きなフィールドになると思うんですが。

【田中主査】
 この地域というのは、独特の非常に強いシグナルがいろいろ出てくるんだけれども、果たしてほんとうにグローバルな機構を反映するのか。今までのところ、グリーンランドのコアと、この海域の海底コアはよく対応していますよね。

【平委員】
 ちょうど、この地図で見ると、このロモノソフリッジからオホーツク海とか日本海とかが見えますけれども、西太平洋においては、いわゆる縁海(マージナル・シー)と言われる、わりとクローズな海域ですけれども、堆積速度が速い海が、南シナ海・東シナ海・それから、インドシナの沖合等々にも広がっていて、そこには、北のほうは、いわゆる珪素を中心とする堆積物、南のほうは、有孔虫を中心とする堆積物があって、それと粘土というような陸から運ばれた物が一緒にたまっているわけです。場所によっては、非常に厚くたまっていて、今までのジョイデスレゾレーションのような方式だと、あまりに厚さが厚いので、簡単に届かない。しかし、「ちきゅう」だったら、それを掘り抜くことができて、今度はミレニアム・スケールじゃなくてデカダル・スケールといいますか、10年とか100年とか、そのオーダーのスケールの記録を、「ちきゅう」によって大陸の縁辺の堆積物を取ることによって、やることができるかもしれないということも言われていますので、ここは、確かに非常に重要なシグナルの強いところですけれども、大陸と海のインタラクションをやるようなところでは、西太平洋やインド洋や大陸の縁辺の「ちきゅう」による掘削というのが、新しいホライズンを開くんじゃないかと考えております。

【田中主査】
 ありがとうございました。勉強になりました。

【徳山委員】
 あとで、説明させていただきますけれども、IODPにおける我が国の科学計画。これの20、21ページかな。これに、実は、ミレニアム・スケールというのは、太陽の百年スケールもミレニアム・スケールという、その辺のスケールの変動というのは、太陽活動の変遷と言われているんだけれども、それだけじゃなく、日本の近海では、モンスーンの変遷も一緒にオーバープリントした変動が見られるということで、日本の研究者を中心として、ちゃんとプロポーザルを書いて、サイエンティフィックの評価を得ている状況です。その意味では、大西洋だけじゃなくて、ちょっとワンクッションあるかもしれませんけれども、そのミレニアム・スケール、あれというのは、堆積速度の問題というと非常に難しいんでしょうけども、まあ、100年スケールというか、その変動が起こるのは、100年スケールだと言われていますから、そのぐらいの変動で、ひょっとしたら日本のほうからというか、東アジアのほうから発信される可能性はあると思っています。

【平委員】
 日本近海や大陸縁辺の堆積率は1,000年に数メートルという堆積速度というのが幾らでもありますので、ですから、1,000年で数メートルだと。10センチのところには、数百年から数十年のものの記録が残されています。

【田中主査】
 ミレニアム・スケールというのは、いわゆるミランコビッチ・メカニズムでは説明できないんでしょう。海洋の熱塩循環の速いスイッチングだと最近……。

【平委員】
 言っている人もおります。いわゆる、ハイリヒベーントとかダーツガトーシュガーサイクルとかいうのは、ミレニアム・スケールに近いスケールですよね。それは、まあ、確かにミランコビッチ・サイクルでは説明できないんです。

【田中主査】
 それでは、次の議題に移らせていただきたいと思います。
 第2の議題といたしましては、IODPに関する研究推進体制についてということでございます。それも、まず事務局のほうからご説明をお願いします。

【田中企画官】
 それでは、資料2-4、「IODPに関する研究推進体制について」について、ご説明させていただきます。
 まず、関連の研究の支援体制についてということでございますけれども、IODPでは、研究する側、大学・研究機関が日本全国にあるわけですけれども、そうしたところが、今年の2月22日に日本地球掘削科学コンソーシアム(J-DESC)という組織を設立いたしました。現在43の機関で構成されておりまして、各機関の間での情報交換を進めるとか、IODPの国際的な科学諮問組織の委員を推薦するとか、あるいは、我が国での科学計画を洗練させていくとか、また、そういったIODPにおいての我が国の研究活動を戦略的に推進していこうということで、さまざまに活動されており、財団法人地球科学技術総合推進機構(AESTO)が事務局として、コンソーシアムの運営・支援を促進しております。
 また、図の右の下に四角い枠でくくっていますけど、中央管理組織の日本側理事の推薦、あるいは、SAS関連の各種パネル委員の推薦、科学掘削提案の支援と提言、IODP航海での乗船研究者の推薦、IODPの啓蒙・研究成果の公開ということで、こういった、研究・支援の体制というものが研究者の間でつくられているわけです。
 それから、研究資金の概要を整理してみますと、公的研究費と企業などにおける私的研究費に分けられると思います。
 その中で、公的研究費ということでは、プロジェクト型と競争的資金というふうに分けられまして、主として、この競争的資金というものがIODPの関係の研究資金として活用できるんじゃないかと考えられますけれど、文部科学省の所管では、例えば科学研究費補助金とか、科学技術振興調整費、そういったものが大きなものとしてございます。
 その中身ですが、例えば、科学研究費補助金について、ちょっと説明させていただきますと、1枚めくっていただきまして、横になっていますけれども、ここに左のほうにプログラムということで、基盤研究・萌芽研究・若手研究など7種類プログラムがございます。それぞれの概要といたしましては、最初の2行は皆、ほとんど共通でございまして、我が国の学術を振興するため、人文・社会科学から自然科学まで、あらゆる分野における優れた独創的・先駆的な研究を格段に発展させることを目的とする研究助成費となっていまして、例えば、基盤研究であると、一人で行う研究または複数の研究者が共同して行う独創的・先駆的な研究となっております。
 募集対象といたしましては、これも大体共通でございまして、大学とか、大学共同利用機関というようなものが、このように(ア)・(イ)・(ウ)・(エ)・(オ)というふうに、奨励研究を除きまして上の5つは、ずっと共通して出てきております。各プログラムごとに右端のほうに、1件当たりの研究費額及び研究開発期間ということで、これは、プログラムごとにかなり異なっておりまして、基盤研究であれば、総額1億円程度までで、1~5年というふうに、あるいは、例えば若手研究ということだと、若手研究は37歳以下の研究者が1人で行う研究ですが、総額3,000万円以下を2~3年。あるいは、下から3つ目の特別推進研究だと、総額5億円程度までを目安とするが、制限は設けない、3~5年。
 あと、特定領域研究というところで、1領域単年度あたり2,000万円から6億円程度(3~6年)というように、それぞれの対象者と機関・基準を、おおむねこのように定めております。
 それぞれのプログラムごとに、対象とする分野を、細かく、系・分野・文化・細目表というものがございまして、もう1枚めくっていただいて、おそらく、このIODPに関係すると、一番つながるのは、理工系で、分科というところの4つ目に、地球惑星科学というところがございまして、おそらく、ここが一番IODPの研究ということでは、まず、基本的に該当するものだろうと思われます。
 細目として、ここに固体地球惑星物理学、気象・海洋物理・陸水学、超高層物理学、地質学、層位・古生物学、岩石・鉱物・鉱床学、地球宇宙化学と、7つの細目が当てられております。このほかにも、もしかしたら、例えば、基礎生物学なんかでも当てはまるのかもしれません。そういった細目表がございます。
 もう1つ、もう1枚めくっていただくと、時限付き分科細目表というものもございまして、こちらは基盤研究という部分の一般について適用されるということで、こういった分野を限って、ある一定の期間に特定の内容について、科研費の分野細目・分科細目を設けてやっていくというふうになっているということです。
 続きまして、もう1枚めくっていただくと、今度は、科学技術振興調整費というのが、ございます。これにつきましては、内閣府のもとでの総合科学技術会議の方針に沿いまして、科学技術振興調整費というのは、科学技術の振興に必要な重要事項の総合推進調整を行うための経費だと。この1・2・3にあるように、優れた成果の創出・活用のための科学技術システム改革、将来性の見込まれる分野・領域への戦力的対応等、科学技術活動の国際化の推進という、こうした施策でありまして、各府省の施策の先鞭となるもの、あるいは、各府省ごとの施策では対応できていない境界的なもの、複数機関の協力により相乗効果が期待されるもの、機動的に取り組むべきもの等で、政策誘導効果が高いものに活用されるべきであるとされております。
 「科学技術振興調整費」により実施しているプログラムとしては、1.科学技術振興に関する基盤的調査など、8つございまして、この基盤的調査ですと、科学技術の現状に関する調査などをやるということで、対象機関は、産学官の研究機関等のうち、要件を満たす機関で、2年間、あるいは1年間ないし2年間という実施期間を定めております。また、産学官共同研究の効果的な推進ということは、民間企業がみずからの研究資金を活用して、共同研究を行う場合に、原則、年間2,000万円~1億円程度を助成するとなっています。
 次のページの戦略的研究拠点育成というものでは、組織の長のすぐれた構想とリーダーシップによって、研究開発機関の組織運営改革を進めて、国際的に魅力のある卓越した研究拠点の創出を図るというものに助成ということで、原則5年間の、年間10億円以内、というものもあります。
 若手任期付研究員支援ということでは、特に優秀な任期付研究員に対して、任期中における研究を支援するということで、年間500万円~1,500万円程度の資金ということでございます。
 科学技術政策提言ということでは、研究開発機関や調査機関等の機関が中心となって構成されるグループに対して、1課題当たり、年間2,000万円程度となっております。
 また、先導的研究等の推進ということでは、新たな領域の創生等が期待される先導的な研究開発、自然科学と人文・社会科学とを総合した先導的な研究開発、そういったものに対して、原則として3年間、1課題当たり年間5,000万円~2億円程度の助成となっております。
 新興分野人材養成ということでは、重要な領域であるけれども人材が不足している、あるいは、戦略的な人材養成によって世界においての我が国の地位を確保する必要があるような新興の分野、そういったものに対して、原則として5年間、1ユニット当たり年間1
 億円程度というふうになっております。
 それから、我が国の国際的リーダーシップの確保ということでは、国際協力活動ということで、特にアジア諸国とのパートナーシップの強化を念頭に置きつつということで、国際会議とか国際的なフォーラムの開催、また、それに伴う国際的な調査研究等の活動を推進するということで、3年間1課題当たり1,000万円~5,000万円程度というものが、科学技術振興調整費で用意されているものでございます。
 それから、最後のページで、戦略的創造研究推進事業というものもございまして、これでは、第2期科学技術基本計画の重点4分野を中心に、国の科学技術政策や社会的・経済的ニーズを踏まえ、国が定めた戦略目標達成に向けた基礎的研究を推進するということで、研究課題を公募で選考して、採択された研究者は研究を実施するという公募型の研究と、研究総括が研究者を結集して直接、研究を実施するという総括実施型研究の2種類により行うとなっています。
 ちなみに、第2期科学技術基本計画の重点4分野というものは、ライフ・サイエンス分野、情報通信分野、環境分野、ナノテクノロジーというふうになっておりますけれども、この科学技術基本計画では、以上の4分野に加えて、エネルギー製造技術、社会基盤、あるいは、この宇宙とか海洋とかのフロンティアというものもあわせて、国の存立にとって基盤的で国としての分科には不可欠な領域を重視して推進するということになっております。
 なお、戦略的創造研究推進事業では、公募型の研究としましては、チーム型の研究と個人型の研究があるというふうになっております。また、総括実施型研究では、研究総括が独自な視点からの研究対象をもとに、戦略目標の達成に向けて、みずからの研究構想の実現を目指して公募または指名によって研究者を結集して研究を推進するという創造科学研究というふうになっています。
 それから、もう1つ、21世紀COEプログラムというのもございまして、これは、我が国の大学が、世界トップレベルの大学と伍して、教育及び研究の水準の向上や、世界をリードする創造的人材育成のために、競争的環境を一層醸成して、国公私を通じた大学間の競い合いがより活発に行われることが重要であるということで、第三者評価に基づく競争原理により、世界的な研究教育拠点の形成を重点的に支援して、国際競争力のある世界最高水準の大学づくりを推進するというプログラムでございまして、こちらの岡田委員のところで、このプログラムを実施されていると伺っております。
 資料2-4について、研究推進体制の現状ということでご紹介させていただきました。

【田中主査】
 ありがとうございました。
 ご質問等は、また後でしていただくことにいたしまして、ここで、日本地球掘削科学コンソーシアムのIODP部会長を務めておられます徳山委員より、より詳しく、深海掘削研究の現状をお教えいただきたいと思います。

【徳山委員】
 先ほど、説明がございました資料2-4と、参考資料4を使って、私が簡単に説明した後、J-DESC執行部の巽さんから詳しく説明をさせていただきます。
 私どもは、先ほど説明がありましたJ-DESCというのを設立しました。この趣旨は、第1回目の委員会のときに申し上げましたけれども、IODPサイエンスを科学から担う組織ということで、CDEX、「ちきゅう」を運航する組織との、車の両輪であると位置づけておりますけれども、それを発足して、活動をしてまいりました。
 それに至るまでには、それなりの準備が、JAMSTECを中心にして、いろいろされてまいりました。すなわち、ODPからIODPに移るときには、国際的にいろいろ議論しながら、一体何をIODPのフレームワークの中で研究テーマとして取り上げて地球科学を発展させていくかというようなイニシャルサイエンスプランと呼ばれるものをつくってまいりました。その中でも、日本の活動は非常にすさまじいものでございまして、末廣委員も、イニシャルサイエンスプランをつくったメンバーでいられるし、巽さんも実はそうなんですけれども、そういうことで、日本がかなり主導したといっても過言ではないと思いますけれども、そういうものができてまいりました。
 それと、前回のときにお配りした、日本のイニシャルサイエンスプランという、その国際的なイニシャルサイエンスプランを日本的にちょっと書きかえたというようなものをつくりまして、それも、実はJ-DESCを立ち上げる前だったんですけれども、そういうものをつくっております。それで、J-DESCができて、日本のイニシャルサイエンスプランを、より近未来的に日本の掘削計画をどういうテーマに焦点を当てて日本がこのIODPを主導的にやっていくかというようなことで、きょうお手元にお配りしたIODPにおける我が国の科学計画というものを、まだ案の段階ですけれども、つくりました。それは、後で巽さんが説明いたします。
 J-DESCとしては、資料2-4の組織図で言いますと、科学計画委員会というのがありますけれども、その中で、ディスカッションをしながら、日本がどういうサイエンスをやるかというのをつくったんですけれども、先ほど説明がありましたようにJ-DESCはいろいろな役割がございますけれども、これが、私どもJ-DESCの一番の目的だと思っております。それを今後とも続けなきゃいけないんですけれども、その一環として、じゃあ、どういうプロポーザルを書くかというようなことを、現在、一生懸命やっております。今の段階では、プロポーザルは、それなりに日本からイニシャルサイエンスの中核となる、かなりロングレンジな長期的な戦略を持ったプラン、プロポーザルが日本から提案されております。数は少ないですけれども、非常に強い国際的に評価される掘削プロポーザルが、日本から提案されています。これを、今後ともJ-DESCは続けたいという希望を持っております。
 それと、もう1つ、来年の6月からノンライザーの掘削が始まりますし、2006年後半からは、ライザー掘削も始まります。そういうプロポーザルをつくった後には、その掘削を実現して、その成果を出さなきゃいけない。その成果にも、相当、我々J-DESCは、責務を持っていると考えております。それを2つともやるには、どうしても、先ほど、田中企画官が発言されたような研究支援体制というのが必要だということになります。
 参考資料4になりますけれど、じゃあ、一体アメリカはどういうシステムで行っているのか、IODPは今年の10月から開始されましたけれども、どういう状態であるのかというのを、J-DESCとして、スタディしようということで、巽さんがNSFに行かれました。その報告として、こういう資料をつくりましたので、巽さん、ご説明をお願いします。

【巽】
 海洋科学技術センターの巽でございます。
 まず、お手元の青い、日本地球掘削科学コンソーシアムでつくりました科学計画の内容ですが、また後でごらんになってくだされば結構ですが、これの趣旨は、先ほど徳山部会長から申し上げましたように、IODPを主導できるような日本独自のサイエンスプラン、プロポーザルをつくり上げていこうというのが、根幹にある目的です。その中で、現在、幾つかもう形になりつつあるもの、シーズからもう発展段階にあるようなものを現段階でまとめてみたものが、この報告書です。これから我が国がIODPの中でサイエンスを主導していくためには、これが、プロポーザルとなって、採択されて、その研究が進行していくということが必要不可欠だと思っております。ですから、こういう活動は、これからもどんどん進めていくようにして、現在、この資料はウェブで公開してコミュニティからの意見を聞いて、またそれを、リバイスして提案書として出していくようにしております。
 それで、このような掘削提案・研究を遂行するための日本国内の科学支援体制について、まず、これまで非常に実績をもってきた、それから、ある程度確立した組織を持っている米国の現状を調べてみることにしました。
 参考資料4を見ていただきたいと思いますが、その最後から2枚目に、図が2つ並んでいるものがあるかと思います。この図を見ながら、聞いていただければと思います。詳しい内容は、その前のほうに箇条書きで幾つか書いてありますが、時間の関係もございますので、その図で説明したいと思います。
 左側のほうに、米国における深海掘削計画研究支援体制というものがございます。これは、現在ODPからIODPにかけて米国が実施している研究支援体制の概略を示しています。キーワードとしては、もちろんNSFはありますが、JOIというものとUSSSP、USSAC、この3つがキーワードになります。USSSPというのは、U.S.Science Support Programの略ですけれども、これが、NSFからJOI(Joint Oceanographic Institution)に対して委託されている研究支援の根幹をなしているプログラムです。これは、IODPの前のODPが開始される際に、米国が主導して国際的な共同計画を運用するために設立した、米国内での科学的成果の達成を戦略的に支援するというプログラムです。
 この内容は、そこに星印で幾つか書いてありますが、例えば、科学計画活動というのは、新しいプロポーザルの提案をはじめ、先ほどからご紹介のあったSASのパネル委員の戦略的な活動を支援するようなものです。
 そのほか、いろいろな活動が含まれていますが、ほとんどここに書いてある活動を網羅して、中を見てみますと、非常によく先のことまで考えて戦略的に取り組まれているものというふうに私たちは実感しています。
 研究支援費は、これは日本も同じですが、NSFから地球科学コミュニティに対して直接支援される科学研究費です。これは公募研究になりますが、NSFは、この科学研究費の中に2つのシステムを持っています。1つは、IODP関連研究に対する特別枠というものを持っています。もう一つは、先ほど企画官からご紹介のあったような分科・細目のようなものの中の地球科学と海洋科学というようなものを使う一般枠のものの2本立てになっています。
 それで、特別枠のほうでは、主に事前調査、これは掘削提案が通った後もしくは通る前に、非常に詳細な地球物理学的な探査が必要ですが、そのような自前調査費、これは相当な金額がかかりますが、そのようなものをカバーしていく。それから、掘削提案になるようなシーズ研究と呼ばれるような事前研究であるとか、関連研究を支援しています。
 それから、一般枠のほうでは、同じように事前研究もありますが、あと、事後研究、乗船した後の研究費の一部も、ここからサポートされています。
 米国のほうでは、今申し上げた2本の公募型の研究、競争的資金とプロジェクト型の資金、この2本が走っているということになります。
 それで、先ほど申し上げましたUSSSPを効率的・効果的に運用するために、その諮問委員会として存在しているのが、USSAC(U.S Science Advisory Committee)と呼ばれるものです。これは、アメリカの中のコミュニティの代表者、地球科学コミュニティの代表者として15人の委員から構成されていて、その中で、JOIが行っているU.S Science Support Programの内容の点検・評価・助言を行ったりしている諮問委員会的な性格を持っているものです。
 これまでに、米国のほうでどのような予算措置を行ってきたかというのが、その下の括弧の中に書いてあります。左側のほうが米国ですが、ODP時代の平均として、このU.S Science Support Program、これは、プロジェクト研究費ですが、大体、年間6.6億円。それから特別枠、これはNSF科研費、これは、事前研究とか事前調査に対して払われてきたものですが、これが11億円。それから、一般枠は実績として、もちろん競争的ですので、枠は決まっておりませんが、11億のほうは、枠が決まっております。一般枠のほうは、実績として4.4億円程度取って、総枠として、年間22億円程度がIODPもしくはODP関連研究として、これまで実績があります。
 それで、10月から始まったIODPに対して、1年目、2年目、3年目に関して、USSSPのほうは、そこに書いてあるように4億円弱、6億円弱、7億円弱の支出が3年間で決定していますし、特別枠のほうも、先日、今年度から来年度に関しては33億円、それ以降、ほかにライザー船の投入・掘削提案の増加を見込んで増加していくというふうにNSFは、言っています。それから、一般枠のほうは、これは実績ですのでわかりませんが、米国では、少なくとも来年度から三十数億円以上のプロジェクト研究費が投入されていくということになっています。
 これが米国の現状で、まとめますと、非常に戦略的に、それから競争的資金を使ったシーズ研究も非常にうまく行われていると思います。このような体制をとったのがODPになったときですので、それで、ODPの間、米国が主導して非常にたくさんの成果をあげてきたことは、我々もよく知っているわけで、やはりこういうふうな系統的かつ戦略的な研究支援というのは必要不可欠かと思います。
 翻って、右側のほうが我が国の現状ですが、一番上に図がありますが、ODP時代、IODPにかけて移行期も含めてですが、もちろん科学研究費として地球科学コミュニティに流れているものもあります。ただ、これは、現状では、地球環境科学の1割程度が、IODP関連研究と位置づけられるかと思います。
 そのほか、ある種の事業費的なものとして、2本立て。この場合の2本立てというのは、時間の移行措置があったためで、1つは、ODP時代から続いている東京大学海洋研究所に対して行われていた、もともとは事業費として行われていて、現在は科学研究費の特定領域研究として実施されているものがあります。もう1つは、業務委託費として、MEXTからJAMSTECを通してAESTOに流れているようなお金があります。
 この1番と3番の、ある種の事業費的なものも、日本では、2つ独立に、独立というか系統的ではなく実施されているのが現状です。
 日本の現状を金額のほうで申し上げますと、例えば、平成15年度、海洋研究所に支払われている研究費が5,000万円程度、一般枠は、先ほど申し上げましたが、1億円ということです。
 JAMSTECを通してAESTOへ流れているお金が5,000万円程度、これを全部合わせても2億円程度で、米国のODPの平均に比べて、10分の1程度。それから、IODPに入ったものから比べると15分の1、20分の1程度の予算であるのが現状です。
 それで、現状としての我が国の支援体制の問題点というのを右下のほうに枠の中にまとめてあります。大きく分けて問題点は2つあります。1つは、まず先ほどから申し上げておりますように、研究支援費、金額が絶対的に不足している。もう1つは、米国がODP時代に築き上げたような戦略的な、科学計画活動から始まって広報活動まで生むような支援体制が、今、立てられていないということです。その戦略性に関して少し申し上げますと、2本立てと書いてありますのは、これは、ある種事業費的なものが、海洋研究所とAESTO-JAMSTECの両方に流れているということです。これですと、なかなか1つの資金運用ができませんので、効率的な運用が困難になります。一方、米国では、この意味の資金はUSSSPとして一本化されて、事業費として確立されています。
 それから、2番目としては、先ほども申し上げましたが、米国のほうでは、科学研究費の中で特別枠を設けて、年間幾らと決まっているわけです。来年度は33億円ですが、この特別枠を設けて、IODPを集中的に支援するという形をとっています。それに対して日本では、現状、この特別枠が設置されておりません。ですから、一般研究の中で、競争的資金として確立するのが精いっぱいというところです。その結果として、事前研究・関連研究・事前調査も含めてですが、そのようなものが、米国に比べて低調であって、提案の数を申し上げますと、現状では、米国の3分の1の掘削提案しか出ておりません。これは、イーブンパートナーということから考えると、先ほど徳山部会長が、質がいいのが出ているとおっしゃいましたが、我々は、やはり、もっと出て、アメリカと対等の数だけ出て、成果も対等に上げるというのが当然かと考えております。
 その次は、乗船研究遂行義務に対する支援ですが、船に乗って研究した研究者には、公表論文を発表する義務があります。その義務に対して、米国のほうでは、義務であるからそれに対して研究支援をするのは当然であるという考え方のもとに、研究費を支援しております。それに対して日本では、この分野の研究支援は行われておりません。科学研究費の一般枠として行われているのが現状です。ですから、科学研究費が取れなかった場合には、なかなか研究は遂行できない。その結果として、ODP時代の公表論文の数は、米国の10分の1以下になっています。
 その次は、科学パネル委員。IODP科学推進の要であるSAS(Science Advisory Structure)のパネル委員に対しても、米国のほうは、委員の研究費なり支援を系統的に行っておりますが、日本では、全くのボランティアで行っております。ですから、特に大学の先生などは、非常にお忙しくなってくる。ボランティアで出ているとご自分の研究とか教育活動に非常に支障が出てきて、長続きはしなくなって、結局、国際的なリーダーシップをとれなくなってしまうという結果が予想されます。
 米国のほうでは、JOIというシステムをつくって、それが、科学支援を系統的に行っていますが、その中には、理事長以下20名以上の支援職員がおります。
 それに対して日本のほうでは、現在、AESTO、JAMSTECの一部等の支援職員がおりますが、やはり数の上でも絶対的に不足しています。
 それから、これは、後ほどの議論でも関係することですが、米国のほうでは、例えば系統的に、JOIが中心になってUSSSPを使って各大学、一般向けの講演会なり、教員に対する講演会などを行っていますが、日本では、まだこれから、こういうふうなものを活性化していく必要があるかと思います。もちろん、ある程度は行われていますが、やはり、系統的なプログラムとして、日本では行われていないというのが現状です。
 ですから、以上をまとめますと、日米を比較しますと、日本のほうでは、まだこのように額の上でも戦略性の上でも、ある種未熟な体制にありますので、日本がIODPの中で、米国・欧州とともにイーブンパートナーとしてサイエンスのほうで成果をあげていくというためには、ぜひとも、この研究支援体制を確立する必要があるというふうにまとめることができると思います。以上です。

【田中主査】
 どうもありがとうございました。
 まず、事務局からご説明を受けまして、また、コンソーシアムのほうから、特に研究費を中心とする支援体制の日米の比較を通して、日本の状況は極めて不十分だということではなかったかと思いますが、そういうお話がございました。
 まず、これに関して、ご自由にご質問、ご意見をお願いしたいと思います。

【佐藤委員】
 質問なんですけれども、日米の比較で、今、研究者の研究費が大分違うとか支援体制が違うとおっしゃいましたけど、研究者の数というのは、同じぐらいいるんですか。

【巽】
 資料の一番最後に日本の中の現状をつけてあります。IODP関連研究者数というのが書いてありますが、この左側、真ん中ですね。これは、現在、コンソーシアムに参加している機関等の大部分をカバーしていると思いますが、例えば、主要構成単位における研究者数を見ますと、日本の現状でも、6,000名と、そこにありますが、リストに入っていないのも少しありますので、7,000名~8,000名いると思います。その中でIODPに関連しているのは、400名程度ですから、これを増やすことが非常に大事かと思いますし、アメリカとの現状を比べますと、真ん中のコラムで言いますと、半分程度だと思います。
 関連という意味で言いますと、米国のほうでは、今、1,000名以上の研究者がODPに関連して研究を進めてきたというのが現状です。
 ですから、層の厚さに関しても差はあるのが現状ですが、日本のほうとしてもポテンシャルはあるわけですから、この7,000名なり6,000名の中から、せめて3,000名ぐらいになれば、相当な層はカバーできると思います。

【田中主査】
 ほかにございませんか。

【兼原委員】
 今、具体的なご質問もありましたけれども、我が国におけるたくさんの問題点というのはご紹介いただいたわけですけれども、それで、それを改善していく方法みたいなものについて、何かご提言とか、そういったご準備とかご方針とかはおありなんでしょうか。

【徳山委員】
 私、ちょっといいですか。
 この場でいろいろ現状を理解していただいて、ご意見を組み込みながら、私ども、腹案は持っておりますけれども、皆さんとこの場で議論した中で形づくっていったほうがいいと思いますので、忌憚のないご意見をいろいろ言っていただくと、まず、それをお願いしたいと思います。それで、宿題をいただけましたら、次回に、私ども、ご意見をもとに試案、第一案というか、素案というものを、この場に提供したいと考えております。

【吉田海洋地球課長】
 予算に絡む事柄がございますので、全体の財政状況が大変厳しいので、どこまでできるかわからないわけですけれども、ただ、やはり、きちっとこのIODPあるいはその周辺を含めまして、掘削科学というものをより強化していくために、どういった支援体制が望ましいのかということについては、まさにこの委員会の任務の1つでありますので、我々とすると、1つのスケジュール的な目安としますと、来年度の概算要求に向けて何か提案をするようなことができればいいなと思っております。
 そういう意味で、きょうは、現状を中心にご議論いただいて、次回以降、もう少し具体的に、こういうふうにしたらいいのではないかという、対策の部分の議論に進めていければと思っております。

【田中主査】
 この問題は、もちろん、行政側で努力してもらわなければならない問題もありますけれど、研究者の側にも問題がありますよね。
 というのは、例えば、この競争的資金というのは、ほとんどが、要するに、ひもつきにできない。審査を受けて、いいものが通る。そうすると、例えば、科学研究補助金にしても、IODP関係のプロポーザルがたくさん出てくれば、比例で必ずたくさん取れる仕組みになっていて、そこのところはうまく機能していると思うんですよね。あるいは、時限つきの分科・細目というものも研究者の申し出によって決めているものであって、どんどん積極的に申し出ていただければ、このプロジェクト絡みの分科・細目をつくれるわけなんですよね。
 そういうことがありますから、研究者サイドも、できるだけ積極的に働いてもらわないと、なかなか今のシステムの中ではできないところがあるんです。
 とはいえ、プロジェクト型のひもつきのものを、難しいけど、もっと増やしてもらうことが必要でしょうね。この研究は、国のプロジェクトとして非常に優秀だし、可能性を多く秘めているんで、そういうものを十分にやるとすれば、競争的資金だけじゃ、アメリカには太刀打ちできないですね。アメリカのほうは、かなりトップダウン型の研究費の配分を必要に応じて効率的にやっています。その辺のバランスをとることが大事ではないでしょうか。

【徳山委員】
 まさに耳が痛いというか、おっしゃるとおりなんで。
 実は、昨年ですか、岡田委員も巽さんも一緒に、特別枠は申請はしたんですけれども、残念なことに、採用されなかったんです。分科・細目に……。

【田中主査】
 分科・細目。

【徳山委員】
 分科・細目に。追加というか、新しく立てるのを。

【田中主査】
 それは、なぜかというと、やっぱり説得力のあるプロポーザルを出してもらわないと。

【徳山委員】
 それから捲土重来じゃないですけど、毎年毎年、見直しはないということで、数年おきというのは、来年度ですか。あっ、書いてありますね。

【事務局】
 5年ごとをめどに。

【岡田委員】
 ちょっと補足してよろしいでしょうか。
 今のことですが、去年、応募したとき、全件数が何十件あったのかはっきり覚えていませんが、うちの現在副学長をやっている方は、その委員の1人なので、内幕はわかっているんですが、このIODPは3番目にランクされたんですよ、トータルで。ここにあります、科学高等教育と計算科学が1位、2位になっちゃったんですが、これは、ともに、研究者がバックにIODPの数十倍という巨大なコミュニティを背負っているんですよ。それで、いかにもバックが違い過ぎるんで、残念ながら3位になったというふうに聞いています。競争相手が悪かった。同じような規模のものであれば、2番目になった可能性はあったんです。
 計算科学のほうは、何かものすごく大きなものらしい。新聞にも出て社会的に問題になって、今の日本の高等教育もそうですけれど、日本の科学教育が世界に比べて落ちているということの危機感があって、非常に大きなグループがプロポーザルされたものなんですね。それには、ちょっと対抗できなかったですね。
 そういう事情で、J-DESCは、結構大きな努力をされてはいるんです。

【田中主査】
 あれは、昔は、毎年毎年、見直していましたよね、時限つきというのは。
 今は、何年かおきですか。日本学術振興会に移管されてから、少し変わってきたかな。

【田中企画官】
 5年おきと申しましたのは、こちらの分科・細目表というのがございまして、これの大きな見直しというのが、おおむね10年ごとにある。それは、例えば、平成15年度に見直されて、ここで言いますと、総合・新領域系という頭に出てくる、これを新設したというのが、15年度の見直しの大きなものなんだそうです。
 5年ごとと申しますのは、それについている細目というのがいろいろあります。その細目の見直しというものについて、おおむね5年ごとにやるんだということでございます。

【田中主査】
 時限付きは毎年見ているんじゃないですか。

【岡田委員】
 私も、そういうふうに認識していたんですが。

【田中主査】
 競争はあるんだけれど、出したものを全部認めるということが反対で、新しいものを入れたくないという人たちもありますから。

【徳山委員】
 それは調べて、我々、対応して……。

【岡田委員】
 私が聞いているのは、現在の野依先生が委員長で、去年は、そうやって20ぐらいある中から、2つだけを選んだと。今年は、J-DESCから出したんですが、担当の今の北大の副学長が「今年やるんだったかどうか全く予定を聞いておらん」と、いうふうにおっしゃっていたんで、どうなるのかわからないですね、今のところ。
 ついでで何ですが、1つ発言してよろしいでしょうか。
 これは研究支援、確かにそうなんですが、実は、その立場にいないとわからない非常に大きな弱点をIODPは、現在の状態は抱えています。研究じゃなくて運営ですが。
 つまり、IMIの現状を申し上げますと、今、日米の22の大学と研究所が入っています。内訳は、日本が7、アメリカが15です。この3月から九州 大学が入りますので、日本が8、アメリカが15になりますが、先ほど話があったように、ヨーロッパは、3ユニット入ってIMIの会員を出す権利を持ちましたから、おそらく、10ぐらいは入ってくると思います。そうすると、33の中の8が、日本の組織です。日本は、IODPの運営には40%ぐらいの資金を出すんでしょうが、それから比べると、非常に少ないパーセンテージなんです。
 ここで問題になるのは、来年から、国立大学が独法化することになるんですね。実際に今、我々の大学でも、いろいろ独法化後の組織運営を議論していますが、そこで、出てくるのは、戦略室であるとか、評価室という組織ですね。今まで全くなかったです。評価室は、毎年、毎年、どの項目に大学としてお金を使っていて、それが適正であるかどうかを評価します。それを積み上げて6年後に、大学の中期目標、中期計画が評価されます。
 IMIの現状は、今のところは、お金がないものですから、年に5,000ドルずつ会費を吸い上げるという状況になっています。これは、結構、金額からすれば、60万円の金ですから、たいしたことないんですが、これを継続的に出すということは、大学にとって結構難しいことなんですね。現在は、私のところなんかは、現在の執行部は理解があるから公費から払ってくれていますが、大学によっては、関係している研究者の委任権利金を集めて払っているという状況なんです。
 こうした会費は、おそらく毎年は要らんだろうなと思っていたんですが、実は、先ほどあったIMIの代表とか、副代表の選出のときになってくると、現実に彼らが言ってくるのは、給料を3年間保障してくれとか5年間保障してくれと言ってくるわけです。現在、IMIがNSFと正式に契約を結んでいない中で、その給料をだれが払うのとなると、ファンディング・エージェンシーは1円も払ってくれないんですよ。結局、IMIが、大学から5,000ドルずつ集めて、ためたお金から払うことになるわけですね。代表が代わるごとに、こういうことが起こり得る可能性があって、最初の入会金だけで、あんまり毎年、会費は要らないだろうと予測していましたが、現状は、おそらく毎年、60万円ずつ払わなきゃいけないと。じゃあ、大学にとって、IMIに入っていることの意味は何ですかというふうに評価室から問われたときに、見返りが全くないんですよ。全くのボランティアで60万円の会費を払っていて、しかも、理事になれば、会議に行く旅費は出るんですが、ただの会員ですと、会員総会に行く旅費も自分もちです。金は払っているけど、何の見返りもないという状態をいつまで続けられるのだろうと、これまではよかったんですが、独法化した後、これを続けられる大学は幾つあるだろうかと考えていくと……。
 今、日本は、定款で、日米5人ずつ理事を出す権利を持っているんです。今度は8つの組織が入るから、そこから5人ずつ理事を出せばいいんですが、2、3年後には、この5という数を維持できない可能性があるなと私は思っています。よっぽどメリットのあるところでないと、こんな60万円も払わなくたって日本のコンソーシアムに入っていれば、何の支障もないわけです。コンソーシアムには、10万円ずつ払うんですが、そこに入っていれば、別にIMIの会員になる必要は何もないですね。なっても何の見返りがあるわけでもない、重要な人を会議に取られるし、会費は払うわ、何の見返りもない。IODPに絡んでいる人間は一生懸命やろうとしますが、大学の評価室で、「何でこんなものに入っているの」と言われた場合に、答えられないんですよ、はっきり言って。これは、金額から言うと、8組織で60万円ですから、たかが480万円というのは全体120億円の中のほんとに小さいお金なんですが、これが、実は、ものすごく弱いウィークポイントです。
 大学は、IMIに入らなくても何も困りませんから、IMIの日本会員が3つぐらいになっても、あまり困らないんですが、対等の立場での日米といったときに、それは、ちょっと、余りにも格好悪すぎるんじゃなかろうかというところがあって、これをおそらく大学サイドから言わなければと思って、この前からお話ししているんです。
 我々自身も、独法化の話があるまでは、あまりこういうふうに思いませんでした。北大の中では、公費で払ってもらっていますので、まず、学内で突き上げを食らうことになると思います。北大は、札幌事務所ができたりするので、あまり問題にはならんかと思いますが、そういう、目に見えるメリットというか、そういうものがないところは、非常に厳しい状態になるんではないかなと思っています。金額はほんとに小さいことなんですが、何かこう。ついでにこの部分もあわせて考えていただかないと、日本として格好の悪い立場に置かれるのではないかなと思っています。

【平委員】
 巽さんと徳山委員が、いいまとめをしてくださったと思うんですが、アメリカの体制を見ると、当たり前と言えば当たり前なんですけれども、プログラム経費というのがあって、それは、乗船の旅費とか成果の公開費とか、それをUSSSPプログラム(U.S Science Support Program)と言っているわけですけれども、そのプログラム経費に該当するのは、今、MEXTからJAMSTECにいただいていて、JAMSTECは、AESTOに業務委託をしている部分になるかと思います。それから科学研究費の事前調査・事後研究費は、今、海洋研に行っている経費は、実は乗船旅費も今までは含んでいたんでけれども、これは、もうしばらくすると、来年でなくなってしまうわけです。そうしますと、この部分をどうするかという問題が残る。
 それから、事前調査、要するに科学プロポーザルを書くには相当の科学的調査をやらないといけない。これは、反射法探査とかそういうような、船を使って行うもので、1人の研究者では、なかなか難しく、相当なサポートをするところがないとできない。要するに、個人の科研費レベルで頑張れるのは、事前研究・事後研究のところであって、そのほかのプログラム経費というのは、個人でやれることではありませんので、これは機関がやらなければならない。事前調査も、機関が相当にサポートしないといけないので、アメリカでは、これをサポートするプログラムは全部できていて、アメリカの船というのは、プロポーザル・ベースで乗船費も含めて、事前調査費は何億とつくわけですね。そして、自分は乗船するだけで、そのほかのテクニカル・サポートは全部やってくれるというのがアメリカのシステムです。
 そうすると、今、個人ベースで科研費を取って頑張ってやれるというのは、事前研究と事後研究だけで、そのあとの2つというのは、これは、研究機関が本気になってサポートしないとできないというわけで、じゃあ、日本にそれをサポートする研究機関にどこがあるのかと、Marine Geology Geophysicsといわれる分野で。そうすると、これは、現在のところJAMSTECと東京大学海洋研究所しかありません。
 JAMSTECは、頑張りますし、皆様も最大限の努力をするわけですけれども、やはりJ-DESCの中から海洋研究所を中心に機関としてサポートする中心のところをつくっていただいて、そこがやはり、事前調査やプログラム経費のところで相当に一緒にやらないと。これは、先ほど、兼原委員が言われた、どのようにやるんですかという具体的な方策にかかわってくるわけです。もちろん、文部科学省には、ほんとうに頑張っていただいてお金を取ってきていただくということでありますけれども、その前に、これからの計画の中で、どの研究機関がどのように頑張るのかという明瞭な道筋が見えていないといけないのかなと思っています。それには、私は、海洋研究所の役割が大変重要だと思っていますので、徳山委員、よろしくお願いします。

【徳山委員】
 所信表明じゃないですが。
 制度設計をどうだというのは、兼原委員のご質問で、私たちが用意しているということは申し上げたのですけれども、まだ、J-DESCの中の執行部会でも細かい議論をしていないので、あまり申し上げられませんが、今まで、参考資料4ですか、我が国における深海掘削計画研究支援体制の効果的・効率的な運用が、現在かなり支障を来している面がございます。そこを考慮しながらということになると思います。そのときには、平委員が言うように、海洋研頑張れと言われれば頑張るということになると思います。
 それと、格好いいことではないんですけれども、大変困ったことに、先ほど田中企画官から、来年度6月から航海があるとご紹介がありましたが、日本から10名程度の研究者を乗船させるとなりますと、その乗船費も、実は、今ここに巽さんがレビューしていただいた研究費では、それすら、もう出ないんですね。今、巽さんが、AESTO経由で流れてくるお金と言いましたが、これは、そもそもは国際パネルに参加する方たちの旅費というのが主でございまして、乗船者のお金というのは、これに当初から組み込まれていないんです。そうすると、研究しなさいと言っても、船すら乗れないという状況ということなんで、その辺を性急にまず、全体的な制度設計も非常に長期的に見れば必要なんですけれど、当面、対応というかサイエンスをやるお米もないというのが実情です。

【田中主査】
 非常に議論のあるところと思いますが、研究支援体制については、問題ありということは確かだと思います。これは非常に大事な問題ですので、次回じっくり議論をさせていく必要がある。
 そうなりますと、研究者コミュニティがどういうことを考えているかということは非常に大事ですから、徳山委員にお持ち帰りいただいて、J-DESCの意見を取りまとめていただいて、具体的な提案も含めて少し提案していただく。そのときに研究者サイドとして、少し効果的に競争的な資金にどう食い込んでいくかということもあわせて検討していただきたい。
 といいますのは、この資料4のIODP関連研究者数というのを見ると、かなりのものなんです。これは、一大勢力だから、こういうところが、何とかIDOPをきちんとやれるようにしてほしいということであれば、科研費の時限つき分科・細目の設定等は、私は、できると思います。今までそういう強い要請のあるものはできていたものですから、いろいろな研究者サイドのやり方によって改善できる面も多々あるということですから、その点も含めて考えていただいて、次回、ご提案をいただいて、議論させていただくということで、よろしいでしょうか。
 では、そのようにさせていただきまして、時間がなくなってきましたので、議題の3に移らせていただきたいと思います。
 議題の3は、IODPに関する広報活動についてということでございますが、これも事務局のほうから説明をお願いします。

【田中企画官】
 それでは、私のほうから、簡単に説明させていただきます。資料2-5「IODPに関する広報活動について」でございますが、まず、広報活動というものについては、いわゆるパンフレットみたいなものを出すというだけではなく、例えば出版、あるいは、一般への普及もしくは教育というものまで含めて、いわゆるIODPの中でしているEducation、Outreach、Publishingというような非常に幅広いものとして考えるべきと考えています。
 その場合に、どういうふうに考えたらいいかということで、ちょっと整理させていただきましたものが、この2-5の1枚目ですけれども、だれが行うか、だれに対して行うのか、何を行うのか、どういうふうにして行うのかという段階で整理できると思います。そのような形で、それぞれ例示してみました。
 それを次のページに、実際にどのようなことが2003年度にはなされてきたのか、これにつきましては、JAMSTECとAESTOのほうにご協力いただきまして、このようにまとめさせていただきました。作成にあたりまして、ご協力いただきましたJAMSTECとAESTOには感謝申し上げます。
 JAMSTECのほうでは、このようにOD21というホームページをつくったり、パンフレットや「ちきゅう」の模型、あるいは、「ちきゅう」の建造過程を記録映像にしたり、また、ピンバッジのようなグッズもつくっております。それから、いろいろ内外の学会にも参加して、ブースを設けております。その他、シンポジウム開催、一般向けにも市民講演会であるとか、デパートの展示なども含めてやられております。それから、科学計画普及ということでは、『国内科学計画』の第1版を作成しました。また、「ちきゅう」、今建造中ですが、その見学にも随時対応されているということです。
 AESTOのほうでも、J-DESCのホームページ、あるいは、メーリングリストをつくられたり、パンフレットをつくられたり、それから、ブース展示も、サンフランシスコでのAGUでは、JAMSTECと共同でブースを設けたり、また、シンポジウム、一般的な講演活動などもやられています。
 今後は、『IODP国内科学計画』第2版を活用した広報活動を行っていくということです。具体的には、J-DESCの会員校での集中講義だとか、地方での博物館展示、市民講演会なども行われる予定です。また、JAMSTECのCDEXを核としての広報戦略を展開する、あるいは、「ちきゅう」は、2005年の春頃に建造完了される予定ですが、JAMSTECに引き渡された後、一般公開などでも対応していこうというようにお考えだということでございます。
 一枚目に戻らせていただきますけれども、今後、IODP広報戦略の策定に向けてということで、どういう事項について検討すべきかということで、最後の○のところで整理させていただきました。つまり、こういったポイントを委員会の中で取りまとめていただきたいと考えております。このように、広報とはどういうものか、あるいは何のためにやるのか、どこまでやるのか、だれがだれに対して何をどうやってやるのかと。最後に、それが、どこまでできたかという評価まで含めて考えていくべきじゃないかなということで整理させていただきました。

【田中主査】
 ありがとうございました。
 ただいまのご説明について、ご意見・ご質問はございますでしょうか。

【平委員】
 CDEXのほうでも随分これを担当させていただいていて、一週間ほど前、アメリカの地球物理学会でもブースを出しまして、1,000人以上の人が、主としてお土産を目当てに来るんですけれど、お土産を受け取りにきて、押すな押すなの盛況になったりなんかしました。そういうことで、徐々に広まっていると思います。
 それから、総合科学技術会議で幅広い普及を義務づけているということで、我々、説明責任があるということと思いますけれども、しかし、単にプロジェクトがお金をいただいているので、これを説明するというだけじゃなくて、さらに一歩踏み込んで、我が国の国民の方々全体に科学への興味、あるいは、昨今言われているように理科離れみたいなこともありますけれども、そういうことを食いとめ、国民の意識を科学に向けさせるということの1つの重要な手段に、これを位置づけるんだという、より積極的な教育・普及の位置づけの中で、これを展開するということが必要だと考えています。ある意味ではIODPを単に守るということではなくて、これをスプリングボードにして、さらに大きな科学への興味を引き出すような展開を行うということが必要だろうと思います。そのために何をやったらいいのかというようなことを、この場所で、また戦略的なあり方を練っていただければ、我々も考えますし、ぜひ、この場所では、幅広いご意見をいただければ、非常にありがたいと思っております。

【佐藤委員】
 感想ですが、IODPの広報対象となり得る者と書いてありますけれども、日本でやる場合には、多分、日本の人たちだと思うんですね。それで、2003年度の主な広報活動というのをざっと見ますと、例えば、ホームページをいろいろなツールを使ってやっているとは思うんですが、これをどれぐらい、日本の人口が1億2,500万人として、例えば、どのぐらいの人がこれだけだとかみ合っているかというと、多分1万人から2万人。もしかしたら、銀行の金利より低いパーセントかなと、そういう感想なんでね。そこが一番やっぱり量的な問題というのは結構大きいんだと思うんですよ。だから、繰り返し、パンフレットを配るとか教科書に入れるとか、いろいろな方法があるとは思うんですけれど、その辺を考えていくべきと思います。私も口だけで言うだけで、何したらいいかよくわからないんですけどね。
 やっぱり、1万人、2万人じゃ、あと2桁ぐらい上げないと底力がない。文部科学省の予算も、それで増えるかもしれないという感じはするんです。感想ですけど。

【長沼委員】
 IODPの広報の対象となり得る者ですね、学生とありますが、非常に大事な次世代の人材であると思いますが、この学生に伝える者というのは、やはり教師、大学の教官のみならず、小・中・高の教師だと思うんですね。ここにあえて教師と入れたほうがよろしいかもしれない。ここにいらっしゃる皆さん、それなりの情熱を持ってIODPを語ってきたし、これからも、語っていくんだろうけども、それの連鎖反応たる核になるのは、やはり現場の先生だと思うんですね。そういった方々も対象としていただければと思います。

【徳山委員】
 広報主体となり得る者というのは、資料では併記されているんですけれども、全体のコーディネーションというのが必要になると思うんです。同じようなことを重ねても効率はよくないわけで、マンパワーも限られていますし、その辺をどこで仕切りをしたらいいのかという……。

【平委員】
 このあいだ、何かJ-DESCとJAMSTEC、CDEXの担当者による打ち合わせ会というのがあって、その打ち合わせ会が中心になるだろうというような話を聞きました。J-DESCは、研究成果を中心に広報し、JAMSTECは「ちきゅう」というファシリティを中心にやっていくと。もちろん、両者はコーディネーションしていかなきゃならないわけですけど。ということだと伺いました。私もそれでよろしいのではないかと思っていますけれども、もし……。

【徳山委員】
 そこが、この場でそういう方針が決まれば、我々としては動きやすいという感じがします。自然発生的にやるのは、僕は自分自身で一番好きなんですけども、やっぱりコーディネーションしたほうが効率的だと思います。

【吉田海洋地球課長】
 今回、広報活動についてということで、議題に挙げまして、今、現実にいろいろな形で、もう議論が行われているところですけれども、先ほどの支援体制の議論と、あわせてこの広報活動についても、この委員会で少しご議論いただいて、広報活動は、ボランタリーにおやりになることも多々ありますけれども、全体の役割分担みたいなものを、この委員会でできればいいんじゃないかな思っています。

【宮崎委員】
 1つよろしいでしょうか。
 広報活動について、一番最後のところで、検討すべき事項ということで、活動の目標達成度を把握する指標というのがございまして、私は、これは大変重要じゃないのかなと。近ごろ、広報、広報と言って情報発信さえやればいいというのではなく、その後、受け手がどれだけ満足したかというのを大変重要視されてきているということで、このところの検討というのは、十分これからしていくのが必要ではないかなと思っております。

【田中主査】
 科学者の夢というか、科学者がどういうインタレストを持って取り組んでいるか、直接的には資源探索をやるわけでもないから、我々の文化としての科学的な知見の蓄積というところに一つの力点があって、そういうことに対して、国民というのは、結構興味をもって、それがわかるように説明されると、応援してくれるんですよ。
 もうハワイの天文台じゃないけど、あれは、日本の経済には何の役にも立たないと思うんだけれども、しかし、日本がああいうものをつくって、結構、宇宙のことというのは、何か我々が知らなきゃならない根源的な疑問だということは、国民は理解していて、それがテレビなんかで宇宙の番組って結構多いじゃない、あれ、結構難しくてわからないんだけど、国民はみんな喜んで見ているんですよね。何かおもしろい、みんなわかろうとする、ああいうのが必要じゃないかと思うんです。
 ですから、ちょっとお金でも出してもらって、今、学校の教師という話もあったんだけど、先生も使える、いろいろなところで使えるような、うんとよくできたビデオなんかをつくってもらって、結構広く流出させる。NHKあたりに協力してもらってもいいわけですよね。NHKだって、いいものができると言ったら一生懸命協力してくれるんですから。
 何かそういうことが大事で、科学者がほんとにこれを知りたいと思っていることというのは、結構国民から理解されて支援される。そういう態度が一番大事じゃないかと思うんですよね。そういうものをどんどん出して。そうすると、結構、「安いお金で頑張ってる、いや、おもしろい、もっと応援してやれ」となってくると思うんですよ。
 よく説明責任、説明責任と言うけど、学者のやっている説明責任が、ほとんど正確かもしれないけれど、全くわからない。我々が一生科学をやっていると言ったって、その専門からちょっと外れるとほとんどわからないような説明だけだから、社会的には受け入れられない。そういうのが多いんですよ。その中で、IODPが先鞭をつけて、科学の広報というのは、こうやるものだというのが出てくるといいんじゃないかと思うんですよね。

【佐藤委員】
 それと、学者の皆さんとか、研究者の方々は、何を普及させたいのかですよね。例えば、お金を取るためだけだったら、もっと別なやり方もあるかもしれませんし、はっきり分けないとごっちゃになって、多分、科学的興味だけを引き起こそうとしたら、そんなに人口比必要ないわけですからね。100万人も、100分の1ということでしょうから、基本的には。その辺は、ちょっと2つに分けて考えていかないと……。

【近藤委員】
 ここの主体になる者というところなんですけどね。一通り出ている。文部科学省さんを除いては、みずから研究者である方々ばかりなんですけれども、基本的にこういったことを世間にアピールをする、あるいは発展させていくというのは、手弁当でできるような話ではない。また、それだけの大きなプロジェクトであるわけだから、さっきのアメリカの組織の中で研究支援費がどう使われているかということでも、研究成果公開活動というのがあるけれども、これは、必ずしも研究者の方がみずからやっているわけじゃないと思うんですね。そういったところは、やっぱり、かなり初期の段階から組織立てて継続的にスタートさせていく。そういう中で、先ほど言われた、マスコミの協力を得るというようなことを戦略的に演出する、考えるというグループが必要ではないかと思いますね。

【田中主査】
 今、これを見ますと、広報の主体もいっぱいある。この全体を、さっき言われたように、バランスをとりながら、主体の間の相互連絡・役割分担も必要だし、ここでは、また、広報の対象となる者も広い。これは、非常にいい案が出ているので、どうしようか、これは非常に大事な問題で、こういうこともちゃんとやっていかないと科学は進歩しない。等々。世の中の支援がないと、新規予算というのは、すごく難しい面がありますからね。なかなか大変だから、大いに広報活動をやってもらわなければならないんですが、その在り方については今後、議論する必要がある。
 特にJAMSTECというのが、IODPの総合推進機関であり、また「ちきゅう」の運航機関である。そこから、また情報発信の1つの重要な役割を担ってもらわなければならないということもありますので、きょうのところは、平委員にお願いして、J-DESCなどと連携しながら広報活動をどういうふうにやっていくかということを、構想を練っていただいて、次回、また宿題が増えますけど、次回提案していただいてね。いいですか。そういうことでよろしいですか。

【平委員】
 わかりました。

【田中主査】
 だから、次回は、大分検討すべきことがたくさんあるということになりましたが、そういうことにしてよろしいでしょうか。

【岡田委員】
 ちょっと1つだけ。IMI日本事務所の本来うたわれている機能の1つがアウトリーチということでして、これ、まだ人がいないから動かないんですが、それと、予算もまだ見えないんですが、末廣委員たちが中心となって10年間の予算計画書をつくって、その中にどのぐらいアウトリーチが組み込まれて、このIMIが、IODP全体に対するアウトリーチのコーディネーションをやるべきところで、IODP全体の統一したビデオやDVDをつくることになると思います。ODPのときも、結構つくったんですが、残念ながら英語なものですから、大学で使うにもちょっと制限があったんですね。やっぱり各国語に直して授業で見せれば、大学の何十万人の学生に簡単に見せられるし、彼らはそれなりに喜んで見るんですけどね。ただ残念ながら英語だとやっぱりいまひとつ食いつきが悪いんですよね。これは、今、来週云々ではありませんが、こういうふうな点もあるということです。

【田中主査】
 その辺も、次回の議論の中で検討することとしましょう。そんなところで、実は、今日は5時までというのが、5時10分になって、10分超過したんですが、今日、いろいろ議論していただいたことは、徳山委員と平委員に、お願いした事項を今日の議論を踏まえて検討していただいて、次回、提案していただいて進めるということでよろしゅうございますね。
 これで終わりたいと思いますが、事務局から、何かございますでしょうか。

【吉田海洋地球課長】
 次回は、多分、年明けになると思いますけれども、また日程調整をさせていただきまして、おそらく2月末ごろかという感じがいたしますが。

【田中主査】
 よろしいですか。
 それでは、これをもちまして閉会にさせていただきます。
 きょうは、どうもありがとうございました。

‐了‐

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