深海掘削委員会(第1回) 議事録

1.日時

平成15年6月19日(木曜日) 10時~12時15分

2.場所

文部科学省別館(11階) 研究開発局会議室

3.議題

  1. 統合国際深海掘削計画(IODP)の概要について
  2. 深海掘削委員会における審議事項について
  3. その他

4.出席者

委員

 田中主査、石田、兼原、佐藤、平、堀、松田、岡田、末廣、徳山、長沼、安田   各委員

文部科学省

 文部科学省、内閣府、他

5.議事録

【田中主査】
 おはようございます。時間がまいりましたので、ただいまから第1回科学技術・学術審議会海洋開発分科会深海掘削委員会を開催させていただきます。
 本日は、大変ご多忙の中をご出席いただきまして、ありがとうございました。私、この主査ということで指名をされましたので、一言だけごあいさつさせていただきます。
 近年、我々の住んでいる地球について、知識の進歩は非常に目を見張るものがあります。それは、深海底を掘削したボーリングコアの分析、並びに南極グリーンランド等の大陸氷床コアの分析、これらが時間の解像度も、精度も、また分析の種類といいますか、範囲も非常に広がってまいりまして、それによって、地球が過去に経験してきた変動の実態がわかってきた。それに刺激されて、さまざまな仮説が提案されて、それが検証される。そういうことで、地球についての知識は、かつて想像もできなかったぐらい進歩してまいりました。そういう観点からも、深海底の掘削というのは非常に重要で、我々にはかり知れない知識をもたらしてくれるものとして期待されているところでございます。
 実は昨日、南極地域観測統合推進本部の総会がありまして、次期の南極観測計画が審議されたんですが、最後に何かありませんかということで私も発言したんですが、確かに日本の南極観測というのはすばらしい成果が上がっている。四十数年にわたって南極観測をやったことによって、我々が得た知識というのは確かに大きいと思います。関係者も一生懸命やっている。それは大いに評価されるんですが、振り返ってみますと、我が国の南極観測の主な成果は、提唱された仮説の検証においては大いに力を発揮している。一方、日本から先に仮説を提唱するという部分が弱かったのではないか。今後は、日本発の仮説が提唱されて、世界中がそれを検証するという方向にいかなければまずいのではないかと、そういうことを言ったんです。
 深海底のほうも、日本ではそうそうたる研究者がいっぱいいるわけであります。地球のシステムの歴史ということになりますと、ほんとうのことを言うと、まだ解明されていないことがあまりにも多いわけですから、こういう事業を通して、日本が世界をもっとリードしていくと、そういうようにあってほしい。その一端でもお手伝いできれば、この委員会の役割も果たせるのではないかという気がいたすところでございます。皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
 きょうは第1回委員会ということでございますので、最初に事務局から各委員のご紹介をお願いしたいと思います。

【吉田海洋地球課長】
 承知いたしました。
 私、この委員会を担当させていただきます、文部科学省海洋地球課長の吉田でございます。きょうは、ご多用中のところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 今、主査からお話もございましたように、この委員会も非常に重要な役割を持っております。特にこの10月から、いよいよIODPが開始されるということがございまして、今後、当面10年間の計画で進むわけでございます。この委員会は、IODPに対する日本のかかわり方全般につきまして、広く指導、助言をいただく場ということで、一種のスタンディング・コミッティーのような形で機能していくことを、私ども期待しておるわけでございまして、先生方、どうぞよろしくお願いいたします。
 この委員会を構成していただいております委員の方々につきましてご紹介いたしますと、資料1‐1をごらんいただきますと名簿がございます。主査は、今、ごあいさついただきました田中先生でございまして、あとはこの座り順でご紹介させていただきます。
 こちらから、石田委員でございます。

【石田委員】
 石田です。よろしくお願いします。

【吉田海洋地球課長】
 長谷川委員はきょうはお休みでございます。
 その次は、兼原委員でいらっしゃいます。

【兼原委員】
 兼原でございます。よろしくお願いいたします。

【吉田海洋地球課長】
 それから、近藤委員はきょうはご欠席でございますけれども、佐藤委員でございます。

【佐藤委員】
 佐藤です。よろしくお願いします。

【吉田海洋地球課長】
 それから、平委員でございます。

【平委員】
 平です。よろしくお願いいたします。

【吉田海洋地球課長】
 それから、堀委員でいらっしゃいます。

【堀委員】
 堀でございます。よろしくお願いいたします。

【吉田海洋地球課長】
 そのお隣、松田委員でいらっしゃいます。

【松田委員】
 松田でございます。よろしくお願いいたします。

【吉田海洋地球課長】
 松永委員は本日ご欠席でございます。
 森田委員は、ちょっとおくれてお見えになると承っております。
 主査を挟みまして、岡田委員でいらっしゃいます。

【岡田委員】
 岡田です。どうぞよろしくお願いします。

【吉田海洋地球課長】
 そのお隣が末廣委員でいらっしゃいます。

【末廣委員】
 末廣です。よろしくお願いします。

【吉田海洋地球課長】
 そのお隣、徳山委員でいらっしゃいます。

【徳山委員】
 徳山です。よろしくお願いいたします。

【吉田海洋地球課長】
 そのお隣、長沼委員でいらっしゃいます。

【長沼委員】
 長沼です。よろしくお願いします。

【吉田海洋地球課長】
 そのお隣、宮崎委員も若干おくれてお見えになると承っております。
 最後に、安田委員でいらっしゃいます。

【安田委員】
 安田です。よろしくお願いします。

【吉田海洋地球課長】
 以上でございます。よろしくお願いいたします。

【田中主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、議題に入ります前に、主査の代理の選出を行いたいと思います。海洋開発分科会運営規則第2条の7によりますと、主査代理につきましては当該委員会に属する委員等のうちから、主査があらかじめ指名する者がその職務を代理するとなっております。私といたしましては、まだ今、お見えなっておりませんが、森田委員を主査代理に指名したいと考えております。森田委員は、今日はお見えになるんですね。

【事務局(渡邉)】
 いらっしゃる予定ではございますが、ちょっとおくれて見えるということでございます。

【田中主査】
 それでは、議事に入ります。まず、事務局から資料の確認をお願いしたいと思います。

【事務局(渡邉)】
 海洋地球課の渡邉でございます。課長は所用がございまして中座いたしましたので、その間、私が代理で説明させていただいて、その分を務めさせていただきたいと思います。
 資料の確認でございますが、まず議事次第がございまして、資料1‐1といたしまして当委員会の名簿がございます。
 次に、資料1‐2‐1といたしまして、統合国際深海掘削計画(IODP)の概要がございます。
 次に、資料1‐2‐2といたしまして、深海掘削計画の歩みがございます。
 次に、資料1‐2‐3といたしまして、IODPのMEXTとNSFとの覚書の概要がございます。
 次に、資料1‐2‐4といたしまして、IODPの全体構造(案)というものがございます。
 次に、資料1‐2‐5といたしまして、IODP国内推進体制という資料がございます。
 そして、資料1‐3といたしまして、当委員会における審議事項(案)がございます。
 参考資料でございますが、参考資料1といたしまして、海洋開発分科会の委員会の設置についてという資料がございます。
 次に、参考資料2といたしまして、これはIODPの日米の覚書の本文でございます。
 そして、参考資料3といたしまして、地球深部探査船「ちきゅう」の概要がございます。
 次に、参考資料4といたしまして、高知大学海洋コア総合研究センターの概要がございます。それに加えましてパンフレットがついてございます。
 そして、参考資料5といたしまして、中央管理機構(CMO)の概要がございます。
 次に、参考資料6といたしまして、日本地球掘削科学コンソーシアムについてという資料がございまして、それにまた附属するものといたしまして、「地球システム変動の解明をめざして」という冊子と、「IODP国内科学掘削推進委員会活動報告書」という冊子がついてございます。
 何か漏れなどございましたら、その場で言っていただければと思います。

【田中主査】
 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 それでは、早速ですが、議題1に入らせていただきたいと思います。統合国際深海掘削計画(IODP)の概要について、ご説明をお願いしたいと思います。

【事務局(渡邉)】
 では、私よりご説明させていただきたいと思います。
 もう随分ご存じの方が多いので、今さらということになるかもしませんが、IODPの概要につきまして、1‐2‐1から1‐2‐5までの資料について、簡単にご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、1‐2‐1でございますが、IODPの概要ということで、そもそもIODP計画というのは、温暖化や氷河期等の地球環境変動の解明。また、巨大地震発生メカニズムの解明。そして地殻内、深海底の地殻内の生命の探索と、生命の進化の解明ということを主な目的といたしましてスタートしているわけでございますが、そのために、現在、世界最新の掘削能力を有する地球深部探査船「ちきゅう」の建造を進めておるところでございます。
 この能力といたしましては、現在の目標といたしましては、最終目標として水深4,000メートルの海底から、その下さらに7,000メートルまで掘削する能力を保有する船を建造することといたしてございます。
 今後のスケジュールでございますが、IODP計画は、当方、我が国が提供する「ちきゅう」という船と、米国が建造する掘削船の2隻を提供いたしまして、そのほか、日米のほかに英、仏、独などの世界各国が参加して行われる、国際協力プロジェクトという位置づけでございます。現在、ODP計画が進行しておるわけでございますが、今年秋の10月、2003年10月にIODPに切りかわって、IODPが発足するという状況でございます。
 ただ、「ちきゅう」につきましてはまだ建造中でございまして、来年度まで建造いたしまして、その後、海洋試験、掘削試験などを行った後に、慣熟訓練を行いまして、実際に運用が開始されるのは2006年の後半という予定で考えてございます。
 その間、どのような活動をするかといいますと、米国のほうになるわけでございますが、米国もノンライザー船の準備をいたしておりますので、その間は代替船を提供していただくという予定になってございます。米国の船も、2005年の後半からの運用の予定と伺っております。
 そして、資料1‐2‐2でございますが、深海掘削計画の歩みでございます。そもそもは1959年の米国のモホール計画と、その計画によった、カス1号による初の深海掘削が行われてきたわけです。その後、深海掘削計画(DSDP)に受け継がれまして、我が国が参加し始めたのは1975年の国際深海掘削(IPOD)という計画からでございました。そのときは、東大海洋研が日本の参加主体、窓口となって参加をしてきたという状況でございます。さらに、1985年からは、ODPという計画に受け継がれてきておるという状況でございます。
 その後、IODPにつながる動きといたしましては、1990年に当親分科会の前身に当たります海洋開発審議会の第3号答申でございますとか、科学技術会議、現在の総合科学技術会議の前身に当たります17号答申といったもので、深海掘削についての重要性がかなり認められてまいりまして、並行していろいろな研究を進めてきたわけでございます。
 1994年には、旧科技庁の中で、深海掘削研究会で実施可能性を評価した後に、深海掘削船全体のシステムの研究を開始してございます。そのころに、ODPの執行委員会でも、日本のライザー船の構想を支援するという動議が採択されまして、ODP長期計画においても、2003年度以降、ライザー型、従来型、まさにIODPの2船体制が明確に位置づけられたという状況でございます。
 1997年にはIWGが活動を開始いたしまして、本格的に掘削船の建造に着手したという意味では、1998年の航電審、旧科技庁の審議会でございますが、そこの深海地球ドリリング計画評価委員会において報告書が出されまして、それをもって実際の海底掘削システム試験機の製作の開始、そして2001年には「ちきゅう」の建造を開始したという状況でございます。
 このときを前後いたしまして、IODPの国内連絡委員会が活動を開始してございます。
 日米の関係といたしましては、1999年の5月にコモンアジェンダ──当時のゴア米国副大統領と、我が国の中曽根長官の間のコモンアジェンダに盛り込まれたというものがございます。
 そして、随分最近の話になりますが、昨年8月に、当審議会の21世紀初頭における海洋政策においても位置づけられましたし、「ちきゅう」の進水、地球深部探査センター、コンソーシアム、そして高知におけるコアセンターの開所など、着実に進んできておるという状況でございます。
 日米間の覚書につきましても、本年4月に当省の大臣とNSFの長官との間で署名がされたという状況でございます。
 そして、今年の10月にIODPが発足するという予定になってございます。
 次に、1‐2‐3でございますけれども、簡単に覚書の概要をご説明したいと考えてございます。
 まず、内容といたしまして、序文の次に、1.目的と責務というものがございます。ここでは、日米のリードエージェンシーと言われている文部科学省と全米科学財団(NSF)は、IODPの計画、管理、運用について協力をするということが定められてございます。
 IODPの目的といたしましては、科学調査であって資源探査は目的としない。また、その効果、成果は公開される。そして、2船の掘削船が提供されて、2船は国際的な計画、運用がなされるなどの項目が定められてございます。
 2.科学計画でございますが、科学諮問組織(SAS)というものが置かれることになってございますけれども、日米とその他IODPに参加するメンバーにより任命された科学者、技術者によって構成されることになってございます。SASは、科学的な長期的指針でございますとか、各国科学者からのプロポーザルに基づいた科学技術計画を勧告するということが定められてございます。
 3.運営枠組みでございます。まず、計画管理でございますが、CMOという中央管理組織が設立されることになってございますけれども、これはMEXTとNSFの同意のもとに置かれて、IODPの運営計画、実施計画を作成、管理をするということが定められております。
 1枚めくっていただきまして、計画運用といたしましては、実施機関、日本では今、JAMSTECが担当しているわけでございますが、それはIODPの年間計画で認められた掘削船などを管理する責任を負っておるということが定められております。
 4.IODP計画経費及び分担金でございますが、全体の計画経費はまさに掘削船の運用の経費と、科学的な研究費、科学運用経費からなるということが定められてございまして、運用経費はリードエージェンシーたるMEXTとNSFが負担するということでございます。科学運用経費につきましては、MEXTとNSFのほかに、IODPに参加する各国のメンバーがそれぞれ負担することになってございます。
 5.科学活動及び運用への参加ということでございますが、今回、2003年から10年間の計画ということで考えてございますので、それまでの参加を基本といたしまして、MEXT、NSF、さらに参加国との間で覚書を結んで参加をすることになってございます。
 IODPメンバーの権利といたしましては、各航海に参加させる権利。計画立案、パネルへ代表を送る権利。取得された試料、情報へのアクセスに関すること。そして、実際に掘削をする前の調査に関するデータへのアクセスの権利を持っておるという状況でございます。
 そのかわり義務といたしましては、そういったIODPの活動に積極的に参加すること。また、データ、試料、成果をメンバー全体で共有できるようにすること。そして、掘削計画のデータ、またプロポーザルを積極的に提供する。そういった義務を負うことになってございます。
 6.でございますが、IODP評議会というものが置かれることになってございます。これはIODPメンバーの代表者から構成されて、年1回は開催されることになってございます。
 次のページでございますけれども、7.データ、情報、知的所有権の話がございます。MEXTとNSFは、データ、試料、成果などがコミュニティーにおいて利用できるような措置をとらないといけない。さらに、知的財産の取り扱いについては、日米科学技術協力協定というものがございますので、その付属書の中の規定に準拠することを考えてございます。
 9.管理事項といたしましては、先ほど申し上げましたが、2003年10月1日から2013年9月30日の10年間を継続するということで、定められておるという状況でございます。
 そのほか附属書といたしまして、定義でございますとか、実施スケジュール、MEXT、NSFの運営管理及び事務手続、そして分担金と権利などの内容が定められておるものでございます。
 次に、1‐2‐4に移らせていただきたいと思うんですが、全体構造でございます。
 まず、計画全体の取りまとめとして、文部科学省とNSFがあるわけでございますけれども、その下に中央管理組織(CMO)というものが置かれることになってございます。そこで、実質的なIODPの事務局として運営の管理を行うことになってございます。
 CMOの本体は米国に置かれる予定になっておるわけでございますが、科学中央管理組織というものがございます。この部分については、現在、我が国に置かれる予定になってございまして、ここでは先ほど覚書の中でも出てきたように科学諮問組織(SAS)の担当をする。我が国の中でいろいろと支援するということになってございます。ここでは、さまざまな参加国からの科学プロポーザルの、提出されているプロポーザルについて、検討して勧告をするという責務を負っておるところでございます。
 我が国といたしましては、ライザー船の運用をJAMSTECが行うことになってございますので、そちらに対して我が省とCMOから経費を負担というか措置して、実際に運用していただく。
 米国におきましても、ノンライザー船について、NSFとCMOから経費を負担して運用するということになってございます。
 参加国は、一元的にはNSFに分担金を払って参加をする予定になってございます。
 そして、1‐2‐5でございます。今のお話の特に国内の話でございますけれども、若干、重複する内容がございますが、まず左上に我が省が書いてございます。全体的な調査、審議に関する諮問機関として当委員会が置かれておるところでございまして、実際に掘削船の運用経費についてはJAMSTECに措置いたしまして、IODPの総合的な推進、掘削船の管理、運用を務めます。また、その中では、深海地球ドリリング計画推進室でございますとか、平センター長のCDEX(地球深部探査センター)といった組織が置かれてございます。
 そして、この実施機関たるJAMSTECと日本地球掘削科学コンソーシアムで連携をとって進めておるわけでございますが、そこにございますような研究基盤の検討、科学研究等の有機的な連携でございますとか支援、協力。関係機関への協力、交流。普及啓発といった業務を担当される予定になってございます。
 そして、右上のほうの話になりますが、NSFがIMI、先ほどCMOと言っていた組織がございますけれども、組織されるわけでございますけれども、IMIの日本事務所が北大のキャンパス内に置かれる予定になってございます。実際の運営は、財団法人地球科学技術総合推進機構が担当する予定になってございまして、そこでは下にございますような科学諮問組織(SAS)に関する業務を担当する予定になってございます。
 簡単ですが、以上でございます。

【田中主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、本日はIODPにかかわっておられる委員の方々もおられますので、ただいまの事務局からの説明に対しまして、補足として簡単にご説明をお願いしたいと思います。
 まず、IODPの主要な施設であります「ちきゅう」につきまして、その運用にかかわっておられます地球深部探査センター長の平朝彦委員から、概要について簡単にご説明をお願いします。

【平委員】
 はい、わかりました。参考資料3をごらんになっていただきたいと思います。大部なものですけれども、できるだけ手短にお話を申し上げます。
 名前が地球深部探査船「ちきゅう」といって、外国で「グローブ」とか「ディ・アース」という名前を説明すると、非常にいい名前ですねといろいろ賛同を受けております。名前自体は、大体2万名の公募がありまして、その中から委員会で選ばれたという経緯がございます。
 2枚目をお開きいただきたいと思います。先ほど渡邉さんからも説明がありましたけれども、深海掘削船というのは1960年代に初期のものがつくられました。当時と、この地球深部探査船は、基本的には船があって、やぐらがあってという形は似ている。フォードのT型の自動車は、車が4つあって、ハンドルがついている。しかし、そのフォードT型と、今のトヨタやそういう車とはほとんど別の、違う機械だと言っていいくらい、当時の掘削船と「ちきゅう」は全く違う性能を持った、次元の違う船であります。しかし、形は、船があって、やぐらがついている。
 詳しいことは後からまた説明しますが、大きさは57,000トン余り、全長210メートル、150人が乗ることができます。前部にヘリコプターデッキがあって、居住区と研究室があって、後部にかけてさまざまなドリルパイプ等々がついています。最大掘削能力は、稼働水深で2,500メートル、ドリルストリング(ドリルパイプの長さ)は1万メートルということでございます。将来は、さらに性能の向上を目指しているという状況でございます。
 次のページ、一般配置図ですが、もう少しわかりやすく描いた図ですけれども、今、説明したような形の構造があります。非常に大きなやぐらがついていて、実は船の真ん中に20メートルほどの長さの穴がついております。これをムーンプールといいますけれども、その穴を通じて、やぐらからパイプをおろしていくという構図になっております。
 次、お願いいたします。同型の船といいますか、前身であるジョイデスレゾリューション、ジョイデスとは、ジョイント・オーシャノグラフィック・インスティチューションズ・フォー・ディープ・アース・サンプリングといって、掘削研究を行う海洋研究所の連合体、これがODP(Ocean Drilling Program)という計画に参画している研究所の略称であります。レゾリューションというのは、キャプテンクックの探険船の名前からついているわけです。
 これが今、ODPで活躍している船で、長さが約150メートル余り、大きさは1万7,000トンということですから、「ちきゅう」は容積にしておよそ3倍の大きさを持っている。掘削能力も根本的に違います。しかし、この船は、前身のグローマー・チャレンジャー号を引き継いで、深海掘削計画で華々しい成果を上げて、プレートテクトニクス(海洋底拡大説)、それからプレートテクトニクスの基本的な枠組みをつくってきた、地球科学に革命を起こした船であると言うことができます。
 しかし、ジョデスレゾリューション、現在の国際深海掘削自体も非常に大きな問題を抱えております。このジョイデスレゾリューションというのは、右の図にありますように基本的に素掘りです。海水を循環させて素掘りを行うので、ドリルパイプというのはそのままからのままで回していくと、結局は泥や砂が詰まって穴が掘れなくなるわけですから、ドリルパイプの中を十分通して、潤滑水といいますか、潤滑になるものを送り込みます。この場合は海水なわけですけれども、海水を送り込んで、切りくずは海底に山となって降り積もる。あまりよろしいことではないんですが、深海でやっているので、今まではおとがめを受けることはほとんどなかった。
 同時に、万が一、ガスや石油の層にぶち当たりますと噴き出してきて大変なことになるわけで、ODPでは石油、ガスにぶち当たらないように最大の注意を払ってきた。しかし、幾つかの層では、例えば日本海で掘ったときには、末廣委員がチーフで日本海で掘削したときは、大和堆の真ん中から少しガスの兆候が出てきて断念せざるを得なかった。ガスの兆候が出てくると、すぐ掘削をやめて、セメントを送り込んで掘削を停止するということを行います。
 素掘りでは、だんだん、だんだん穴を深く掘っていくと、地下の圧力が高いためにとじてきて掘ることができなくなります。したがって、海底から2キロメートルがジョイデスレゾリューションの今までの記録である。2キロメートルというのは、海洋の地殻の厚さが5キロメートルですから、海洋の地殻の厚さを全部掘り抜くことはできない。上部の2キロメートルしか掘ることができない。なおかつ、マントルという海洋地殻の下にある地球最大の物質圏まで到達することはできない。最初にモホール計画があったということを渡邉さんが先ほど説明しましたけれども、モホというのは海洋地殻とマントルの境界のことで、モホロビチッチ・ディスコンティニュート、モホ面と呼んでいます。それを掘削しようという計画があったわけですが、50年間、人類の夢へ到達することはできない。この方式では、基本的に技術的に無理であるということがわかってきたわけです。
 そのために、新しい掘削方法で違う次元に行きましょう、マントルまで達するような穴を掘って、地球のシステムを根本的に理解しましょうという計画が、1990年代ごろから日本の研究者の間で提唱されるようになってきたわけです。それがライザー掘削という観点で、「ちきゅう」の特徴であります。
 次のページを見ていただきたいと思います。「ちきゅう」の特徴は、ライザー掘削を採用していること。それから、泥水の循環を確保する。それから、防噴装置、噴出防止装置がある。それから、ダイナミック・ポジショニング・システムが非常にグレードアップされている。大規模な研究設備がある。それを使って海洋底から、海底から地下の柱状試料、コアといいますけれども、それを採取してきます。
 そういうことなんですが、ライザー掘削とは何物なのかということになります。次のページにライザー掘削システムというものがございます。
 ライザーというのは、基本的には掘削船から海底までおろしたパイプのことをいいます。例えば、陸上で掘削すると、陸上から地下に掘っていきますと、どんどん、どんどん地下に掘っていくときに、泥水、重い掘削の流体を循環させていかないと、要するに溝壁がどんどん、どんどん崩れてきて、それから重い切りくずを地表まで上げてくるためには、泥水の循環が絶対に必要になります。
 陸上では、陸上に設置したポンプから送ってやればいいわけですけれども、海上で掘削するとどうなるかというと、船から泥水を送ってやるには、パイプの中に冷水を送っていって、それからのリターンフローといいますか、パイプの先端からドリルビットのところを冷やして切りくずを持ち上げてくるわけですけれども、持ち上げてきて、それが海底面に直接出てしまえば、海底に全部広がってしまうわけです。
 そうすると、泥水は無限にというか、掘り入るだけどんどん、どんどん海底に押し込んでいかなければならないということになるわけですけれども、それをもう1回、船の上まで上げてきて、切りくずを取り除いて、ろ過して、再びきれいにした泥水を海底というか、ドリルビットの先まで送っていくという循環システムが必要だと。その循環システムのことをライザー、要するに持ち上げてくるものでライザーパイプといいます。
 ですから、二重パイプ、パイプの中にドリルパイプが入って、そのドリルパイプの外側を泥水が上がってくる。それが右側に書いてあるわけです。これをライザーシステムといいます。非常に大がかりなものになります。
 なおかつ、ライザーパイプの中でもう1つ重要なのが噴出防止装置であります。例えば、掘削した穴のところからガスや石油が万が一噴き出してきたときに、ライザーパイプと掘削パイプの間を通って泥水が上がってきているわけですから、それと一緒にガスが噴出してくると、ガスは一挙に船上に噴き上がってきます。そうすると大火事になって大変な事故になってしまうので、そういう噴出が起こった瞬間に、ドリルパイプと外側のライザーパイプの間を一挙に閉めてしまいます。それで、船に上がってくる通路を閉じてしまう。これを噴出防止装置といいます。
 これを油圧でコントロールするわけですが、300トンぐらいある大きな装置で、海底に設置することが必要になります。海底におろして、海底に設置して、なおかつそれにライザーパイプをつなげて、その中をドリルパイプがざーっと落ちていく。
 ライザーパイプは、次のページにありますが、このようなもので、右側の図は真ん中をくり抜いたような感じでかいてありますが、ドリルパイプがこの中を入っていく。
 こういうパイプを何本もつないでいくということになると、船上からそういうパイプを、非常に巨大なパイプをつないでものをおろしていくと、メカニカルにもう船が耐えられない状態になってくるわけです。そういう状態になるので、ライザーパイプの受ける水の抵抗や船の強度の問題から、今までは2,500メートルぐらいが実用上、限界だろうと言われてきました。実際に、今、石油業界でやっている最新のライザーパイプシステムも2,500メートルまで。「ちきゅう」自体も、ほとんど限界のライザーパイプシステムと防噴装置を備えています。
 しかし、次、コアバーレルと書いてありますが、科学掘削は石油掘削と違って非常に難しいことをやります。石油掘削は目的の石油層まで一挙に掘っていくので、要するにコアという地層をとる必要がほとんどありません。掘るのが目的です。一挙に掘っていくわけですけれども、科学掘削では掘るのが目的ではなくて、掘って地層の試料を確保して、サンプリングをして、それを船上まで上げて研究するのが目的ですから、この掘削した部分を、コアバーレルという岩石の試料がずっと入ってきて、それを1回1回、ワイヤーでつり上げて、また掘って、またつり上げてということを何回も何回もやりながら、柱状試料をとっていくわけです。ですから、時間もかかるし、早く言えば孔壁がどんどん、どんどん崩れるチャンスが、石油掘削よりもはるかにリスクが大きい。そういうことで、はるかに石油掘削よりも難しいことを行うことになります。
 ですから、ライザー掘削によって、2,500メートルの海底から数キロメートルの科学掘削を行うということは、今までだれもやったことがない。そういう新しいチャレンジになります。
 次のページ、これはコアビットといって、掘削パイプの先端にある切り歯であります。いろいろなタイプのものがある。これも開発要素が非常に多くて、これからマントルまで掘るような場合、どういうビットを開発していくかも大問題になってきます。
 次の泥水循環と、その次の泥水循環は、先ほど説明しましたので省略いたします。ともかく粘度、及び重晶石という密度の多い鉱物を交ぜた流体を循環してやらないと、深く掘ることができないということであります。
 その次、DPSの制御ということがあります。ダイナミック・ポジショニング・システムといいます。船からどうして掘削ができるのかというと、船は海底からのある位置にとどまっているからです。これには、船の位置、船体の動揺を検出しながら、コンピューターで制御して、スラスターというものを回して、船を一定の位置にとどめる必要があります。
 この技術も大変重要で、次の次のページにスラスターとエンジンとありますけれども、「ちきゅう」という船を船底から見ると、スラスターという3つの360度回転するプロペラがついています。それから、船首のところにトンネル上のスラスターがもう1個あります。
 スラスターとは何かというと、次の写真を見ていただきたいんですが、まず船首にバウスラスターという大きなプロペラが、船のここの中に穴があいているわけですけれども、ここに大きなプロペラがあります。これを動かせば、おわかりにように、船首が自由に回転することができる。
 一方、アジマススラスターというのは、こういう巨大なプロペラ、これもプロペラで、360度回転する扇風機のようなものであります。扇風機のようなものが360度回転して、これが6つついていて、波風に打ちかって船を一定にとどめることができる。ですから、この船には実はかじがついていません。かじがついていなくて、真っすぐ進むときはスラスターを真っすぐといいますか、ある方向に向けて移動することになります。
 それから、次のページへをお願いします。この船の最大の特徴は、4階建てのラボラトリーがある。このラボラトリーは、どの大学にもないようなすばらしい研究設備があります。ですから、まさに浮かぶ研究所であります。そこでさまざまなコア試料の研究、それから世界の研究者がここに合宿状態になって、さまざまなディスカッションを闘わせる。先ほど田中先生が言いましたけれども、まさに仮説の検証を行っていくことになろうと思います。
 科学目的については、徳山先生から日本地球掘削科学コンソーシアムのところでお話があると思いますので、さまざまな科学目的にこれが使われるということです。
 次ですが、船というものは最近はあっという間にでき上がるもので、こちらの造船所でどんどん、どんどん鉄板を組み立てて、10月4日にこのぐらいだったのが、もう11月1日ではこのぐらいで、ものすごい勢いででき上がります。これは三井造船の玉野事業所でつくって、12月8日にはこんなふうに積み上がって、進水式が1月18日でしたので、進水式直前の1月8日にこのぐらいだったので、ほんとうにできるのかという感じがするぐらいなんですけれども、恐ろしいものであります。10日間で進水するぐらいまできれいにでき上がってしまいました。
 進水をしました。しかし、まだこれはどん殻だけでありまして、上のやぐら部分がまだでき上がっておりません。でき上がっておりませんが、先ほど言ったアジマススラスター、ダイナミック・ポジショニング・システム、それから強大なエンジン、すべてディーゼルエンジンで発電機を回して、電気による電気駆動ですので、そのエンジンのシステムをテストするため、今、瀬戸内海から紀伊半島の沖合に出てテスト中であります。船体のダイナミック・ポジショニングを中心とした船体部分のテストを行っています。今月の末に三菱重工業の長崎造船所に行って、やぐらの部分を積み上げることになります。
 最後に、私がセンター長をしている地球深部探査センターですが、海洋科学技術センターの中に新しくできた組織でありまして、「ちきゅう」を運用して、研究者がこういうことをやりたいというのを全面的にサポートして、それを達成するための支援をする組織であります。「ちきゅう」の安全な運航を通じて、IODPの科学目標を達成しましょうと。同時に、やはりその運用技術そのものが一種の技術蓄積、あるいはノウハウの蓄積そのものであって、我々はこれを新しいチャレンジであると思っています。
 センターの組織はこのような形で、センター長の下にプロジェクトの統括、運営管理、それから掘削のオペレーション。科学サービス、これは高知大学のコアセンターとも非常に密接に関連しながら、「ちきゅう」の上のラボラトリー等々をメンテナンスしていく。掘削の安全のための事前調査グループ、それから保安管理グループがございます。
 このセンターは、同時に、運用を委託するさまざまな会社の指揮、監督を行って、それらの運用が安全かつ効率よく行くように、全体を統括するという役目があります。
 最後、長くなってしまいましたけれども、スケジュールでございます。今年の10月にIODP自体は発足しますが、「ちきゅう」の建造は来年の初めごろでほとんど完了いたします。その後、やぐらの部分をつけて海上公試を再び行う。その海上公試を行った後に、さまざまなクルーの慣熟訓練、準備等々を行う。実際、この船の掘削の最初のチームは、外国の会社と合同して掘削の訓練を行う。掘削自体も、外国の会社が当初、委託を受けてやることになります。直接の委託先はグローバル・オーシャン・ディベロップメントという日本の会社ですが、その日本の会社が外国の会社とサブコントラクトをして行うというふうに考えております。
 2006年の10月から本格的な国際運用を開始するということで、今、その準備を進めておりますが、キーポイントは、「ちきゅう」は建造だけではなくて、それを動かして科学目的に使うわけでありまして、運用システムそのもの、人のチームワーク、さまざまなデータや資材等々の管理、やることが山のようにあって、今、それについて全力を挙げて取り組んでいる最中であります。
 以上です。長くなって申しわけありません。

【田中主査】
 どうもありがとうございました。
 「ちきゅう」につきまして、ご質問等ございますでしょうか。

【松田委員】
 ラボラトリースタックにおいていろいろなデータがとられると思うんですが、そのデータ収集の仕組みはどの程度自動化といいますか、すべて1人がやるのか、あるいはセンサーとか計測装置があるんですか。

【平委員】
 計測装置のほとんどは、もちろん自動計測できる部分もありますし、ある程度、人が試料を準備しなければならない部分もありますが、とられたデータほとんどがやはり自動化されている。自動化といいますか集中管理されて、集中管理するためのソフトウエアも、今、CDEXを中心に、研究者と話し合いながら作成しているところです。
 例えば、今まではとられた柱状試料というのは、こういう岩石あるいは地層の試料が上がってくるんですが、それを一つ一つ、目で見るのは非常に重要なことなので、観察して鉛筆でかいて、それを今度は打ち直してという作業をしていたんですけれども、今は電子パッドのようなものにペンでぱっぱっぱっぱっと入れていくと自動入力されて、写真もデジタル画像で入力できる。そういうデジタル化を進めているところです。

【松田委員】
 ありがとうございました。

【堀委員】
 非常にすばらしい船が建造されるようですが、例えば建造する、幾ら幾らということではないんですけれども、いわゆるハード予算と、運営していく予算の割合といいましょうか、そういうのは今後、大変ウエートが高いと思うんです。こういうすばらしい施設ですから。
 と申しますのは、例えば南極観測の点で、年間予算というのはある程度たかだかなんですけれども、建造が非常に大変なものですから、予算獲得に非常に苦慮するという部分がございまして、その割合と、それからやはり継続的にそれをきちんと、国家的な方針ですから、それは非常に重要だと思うんです。その辺は……。

【平委員】
 建造予算は570億円でございます。今後の年間の運用用の予算、いろいろ考え方もあろうと思いますが、最終的にフルスケールの運用になったときは140億円を考えております。

【堀委員】
 国際的なことでございますので。
 もう1つ、ついででございますので、最後に書いてある科学サービスという意味はどういうものですか。

【平委員】
 この船を使う目的というのは、実は研究者がプロポーザルというものを出して、自分はこういうことをやりたい、こういう仮説を持っている、それを実証したいという提案を出してくるわけです。これは国際的にオープンなコンペティションといいますか。その提案を科学諮問組織でスクリーニングをして、この提案がいいねとなったときに採用される。それを今度は計画の中で、一つのプロジェクトとして採用するわけです。ですから、提案はもともと個人が出すものである。
 その個人は、例えば何百億円のお金を持っているわけでも何でもなくて、その提案のもともとは100万円ぐらいの研究費から出たかもしれない。しかし、その提案がよければ、その後、掘削が行われて、それを今度、国際チームで、それに賛同した人が集まって、チームをつくってやりましょうと。それで、チームをやって、掘削を行った場合には、さまざまな方法で分析したり何かするのには、このラボラトリーを動かしたり、さまざまなデータをとってくるには、技術者が一緒にサポートしてやらないと、とても個人の力ではできないわけです。ですから、そういうアイデアに対して技術的なサポートを全部提供しましょうというのがこのプロジェクトで、技術的なサポートのことを科学サービスと呼んでいるとことです。

【堀委員】
 それは、いわゆる……。

【平委員】
 この計画自体のメカニズムとしてサポートしましょうと。

【堀委員】
 それは民間に対しても。産官学とよく申しますが。

【平委員】
 その科学サポート、科学サービスを行ってくれる人を全部雇うといいますか、それを導入するために民間の会社も参加していただいている。要するに、民間の委託会社にさまざまな支援をお願いしている。このプログラムの中の人だけではとてもできませんので。それで、民間の会社に委託する人たちを管理、監督する部門が、CDEXなんかの科学サービスグループということになっていると思います。

【堀委員】
 長くなって申しわけございません。ありがとうございました。

【末廣委員】
 今の金額のところは、もしかしたらわかりにくかったかもしれないので、よく知っている人が、平委員はもちろんよく知っているんですけれども、570億円を一体何年で支出したのかとか、先ほどおっしゃった140億円というのは、一体どのプラットフォームをオペレートする年間予算なのかということを。ちょっと定義が今、あいまいでございましたので。

【平委員】
 570億円というのは、国が一挙に出したわけではなくて、これは5年間ですかね。

【松崎(JAMSTEC)】
 7年。

【平委員】
 渡邉さんが一番知っているんですが。

【事務局(渡邉)】
 当初は6年だったはずなんですけれども、現在は7年になっています。船体部分とやぐらの部分と、3カ所に分けてそれぞれ建造が始まっているんですけれども、それを7年間かけてつくっておるという状況です。そのほかに、ドリルの部分であるとか、別途経費がかかっておるわけなんですけれども、船体の部分で570億円という経費になってございます。

【平委員】
 それから、今の年間のプログラム経費ですが、これは松崎さんが一番詳しいかな。

【松崎(JAMSTEC)】
 先ほど140億円という数字を委員がおっしゃったかと思うんですが、「ちきゅう」の運用に関しての、直接かかわる経費という意味でおっしゃったと思いますが、IODP全体の仕組みの中では、国際的に一部、日米に参加国が参加する仕組みですから、一部外国から入ってくるお金も考えております。ただ、その差し引きは、直接の日本の支出、運用比重になろうかと思います。

【堀委員】
 ありがとうございました。

【田中主査】
 では、最後に。

【石田委員】
 さっき、研究に関しては、どの研究者もプロポーザルをかけるとおっしゃったのは、もともとこれをつくるに当たって、この場所でこうしたいという最初の研究目標があったはずですよね。そうすると、それを当初の目的まで研究者何とかではなくて、この決まっているプライオリティーのものに対して、さらに何をするかが応募で決まるんですか。それとも掘る場所も含めて、最初からもう一度募集するということではないですよね、これは一番の目的がまず軸になってということですね。

【平委員】
 「ちきゅう」そのものの性能や、「ちきゅう」そのものの今の運用というのは、大きく2つの目的──地震発生帯を掘りましょう、それを達成するには7キロメートルの深度が必要でしょう。それから、マントルを掘って、地球のダイナミクスを新しく解明しましょうというのが7キロメートル。ですから、「ちきゅう」の性能そのものはそういう目的でつくられた。
 それから、初期の「ちきゅう」の科学目的はまさにそのものですけれども、国際科学計画の中で「ちきゅう」を運用していくという面では、これは決して国内の研究目的に資するだけの目的ではなくて、国際的にはオープンなコンペティションのもとに行われるIODPという中でやっていくわけですから、それらの考え方というのは、もちろん国際レベルで十分に考えられていますし、日本の研究者がそのリーダーシップをとっていますけれども、「ちきゅう」を運用するという立場で言えば、これはやはりプロポーザルベース、あくまでも国際運用の中で使っていくものだということには、まずかわりはないということです。

【石田委員】
 いいです。ちょっと長くなりそうです。
 7キロに行くのは最初ではないですよね。何年かかかりますよね、これは。

【平委員】
 マントルに行くには少し時間がかかると思いますが、2,500メートルの水深から7キロメートル、まあ、その場所がどこであろうと、南海トラフになるか、コスタリカになるのか、あるいはほかの場所になるか。完全にはこれは国際のパネル委員会で決まることですけれども、二、三年以内には掘りたいなと思っております。

【石田委員】
 わかりました。

【田中主査】
 ガスが噴き出してくるというのはメタンでしょう?

【平委員】
 メタンだけではなくて、メタン、ブタン、その他のガスもございますし、それからハイドロカーボン自体もあり得る。

【田中主査】
 そういうときに何か新しい噴出防止装置、ハイドロタルサイトの下にガス田があるようなところを掘っても、どんどん、どんどん掘削ケーブルそのものは進められるんですか。

【平委員】
 やりたくないことはやりたくないんです。どんどん、どんどんガスが噴き出すような層に万が一当たったとしたら、もちろんそのときに十分そのリスクのアセスメントはしなきゃならないわけですけれども、やはりそのときには、その場所を掘らなくても、同じ科学目的を達成するような場所がその近く、あるいはガスの噴出したところを離してあるのかどうかということも、やはり最初のプライオリティーなんだろうと思います。それで科学目的がどうしても達成できない、掘り抜くことがこの科学を達成する上でどうしても重要なんだ、必要なんだとなれば、今度はそれなりにまた準備をして、防噴装置等々、それから十分な対策をして掘り進めることになると思いますけれども、どんどん噴き出してきたらやはりやりたくない。オペレーターとしてはあまりやりたくない。

【田中主査】
 地球の歴史の時系列を明らかにするという意味であれば、ほかの場所で探せると考えていいでしょうね。その目的だったら。

【平委員】
 そうでしょうね。目的だけだったら。

【田中主査】
 しかし、メタンハイドレートとか、ガス田とか、これに対してものすごいプレッシャーがかかりますよね。それを調べたい人は数多くいる。

【平委員】
 ええ、そうですね。

【田中主査】
 ガスハイドレート開発計画は何百億円も、何千億円もかけようしているわけですから。

【平委員】
 そういう目的そのものには、決して私は「ちきゅう」は使うべきではないと思っています。要するに、資源開発の目的そのものですね。ただ、資源開発ではなくて、メタンハイドレートというのは地球システムに何をしているのかという研究には非常に有効であるし、重要だと思いますので、そのためには使う必要があろうと思いますけれども、ではメタンハイドレートというのは何物だということを調べるために、地球環境に何をしているのか、あるいは地球システムに何をしているのかということに、大量のメタンハイドレートのガスを掘り抜くことがものすごく大事なんだという科学提案が出た場合、それはそれなりの対策で掘り抜くことが必要になってくる。

【田中主査】
 メタンハイドレートは地球の歴史にとって、今、大変重要ですよね。亜氷期、亜間氷期のオシレーションは、ハイドレートの不安定性から起こっているとする、いわゆるクラスレート・ガン仮説が注目され、ほんとうかどうかわからないけれども、かなり説得力が出てきているでしょう。

【平委員】
 ええ、ありますね。そうすると、フリーガスのようなものがどれだけあるのか、あるいはそれが科学反応のダイナミクスがどうなっているのかというのは非常に大事になるわけで、そのために掘り抜くということも必要になろうと思う。その能力は持っていますので、科学者コンソーシアム、あるいは科学諮問組織でやりなさいということであれば、やらせていただきます。

【田中主査】
 やはり科学的にいい成果を上げることが一つの国益であることは間違いない。間違いないんだけれども、より直接の国益ということも大変なお金を使ってやるんだから、意識しつつやっていく必要はあるんではないか。そして、その成果を大いに国民に発表して、還元して、なるほど金をかけただけの成果が上がっていると言うことになって欲しい。センターはその説明責任が大事だと思う。

【平委員】
 わかりました。

【事務局(渡邉)】
 そういうことがわかれば、ちょうど佐藤委員もいらっしゃいますけれども、それから経産省でやっているプロジェクト、田中先生もおっしゃいましたメタンハイドレートプロジェクトをやっておるわけですから、そういったところに積極的に情報は提供して、開発といった分野にもつなげていくことは重要だと思うんです。
 ただ、このIODP計画というのは、専らそれを目的にするわけではない。科学的な面でいろいろなデータを得て、産業界につながるような部分があれば、そういうところにも展開していくということは国としては重要だと思っております。ですから、スタートの部分が専ら科学的な目的であって、それを応用するのはいろいろなことがあるんではないかと考えております。

【岡田委員】
 ちょっといいですか。私自身、ガスハイドレートの船に乗ったことあるんですが、ガスハイドレートを掘っている分はまだいいんです。それだって、上がってきたら大変なH2Sガスが出て、みんなが宇宙服みたいなものを着てやらないと危なくて、船の中にも臭いがしてくるんです。しかし、そこまではまだ試料がとれるからいいんですが、いわゆるガスゾーンに入った場合、生産井をつくるならそれでいいんです。BOPはついているし、パイプは残したままで、そこで生産すればいいわけですから。
 ところが、科学掘削はそこのものをとらなくちゃいけないんですが、何ぼBOPがついていたって、BOPが閉じたままでサンプルをとることはできませんので、ガスがばかばか出る状態では科学目的は達成できないんです。
 だから、生産井をつくる意味では全く問題はありません。成功したと生産井をビルドアップすればそれで目的は達するんですが、科学目的のためには、掘り抜いてしまったら、閉じてパイプを撤収するしかないんです。ですから、そこの兼ね合いだと思うんです。ガスハイドレートを掘っている分には大丈夫ですが、下の巨大なガス田をぶち抜いてしまった場合は、これは閉じざるを得ないと思うんです。

【平委員】
 巨大だったら、ちょっと大変なことになる。

【岡田委員】
 ええ。これはもう閉じざるを得ないです。

【平委員】
 少量だったら、うまく逃がす法がないわけではないですが。

【岡田委員】
 あるでしょうが、火災の危機が起こりますしね。

【田中主査】
 南海トラフのメタンハイドレートの下にはガス田はないんでしょう?

【平委員】
 いや、フリーガスはあると思います。

【岡田委員】
 常にあります。ハイドレートの下には常にあります。規模によりますが。

【佐藤委員】
 私ども金属鉱業事業団は、大体2,000メートルまででもって、海底熱水鉱床とか、コバルトトラストとか、そういう探査をやっていますけれども、将来、あと何年後かわかりませんけれども、採掘するとなると、海洋生態系への影響があるとか、いろいろな環境に配慮することが当然必要だろうと思うんですけれども、「ちきゅう」の場合は科学計画ですから、特に採掘とか、そういうことが目的でなければいいんですけれども、先ほどのお話のように、メタンハイドレートが下から突出したとか、そこは十分注意してやるといっても、もしかということがありますよね。あるいは、今、考えられないようなことがあるかもしれない。
 これはアメリカと共同でやるんでしょうけれども、国際的にいろいろなところから、クレームとは言わないですけれども、日本はまた標的にされますから、その辺の配慮もちょっと必要かなと思うんです。今すぐ大きな問題にはならないにしても。
 特に、私どものやっているコバルトクラストとか、今、マンガンノジュールも6,000メートルでハワイの沖で多く持っていますけれども、将来、もしそれでやるとなったら、取り方によっても、海底を攪乱するわけですから、相当な影響があると言われています。そこがはっきり結論が出ていなくて、まだ先の話だということなものですから安心しているところなんですが、こういう計画も将来必要になるんではないかなと。何年も続くわけですから。

【平委員】
 そうですね。

【田中主査】
 ありがとうございました。
 次に、「ちきゅう」によって採取されたコアにつきましては、高知大学海洋コア総合研究センターで保管されることになっておりますので、センター長の安田委員に、簡単にこのセンターについてご説明をお願いしたいと思います。

【安田委員】
 高知大学の安田です。
 参考資料4と、その下についております当方のパンフレットをごらんいただきたいと思います。パンフレットの中に新聞記事が入っておりまして、これは高知大学と高知新聞が共同企画をした落成の記事です。これはお時間のあるときにお読みいただければと思っております。
 最初に、高知大学の海洋コア総合研究センターの概要から説明させていただきます。
 当初、高知大学では、海洋コア研究センターというものを2000年の4月に、学内の共同利用施設として発足をさせております。これは、大学として独自の研究をやろうということで当初つくったものでございます。その施設要求をしていたところ、平成13年末に第2次補正予算の計画がありまして、海洋科学技術センターが進めていますIODPのコア保管施設と、大学機能を一体とした形で大型の研究センターをつくろうということで、高知大学の海洋コアセンターが引き受けることになりました。現在、海洋科学技術センターと共同運用という形をとって進めております。大学としては異例な形ですけれども、非常に有意義な形態を今、進めているところです。
 この大学機能とIODPを含めた規模でございますので、非常に大型のものです。パンフレットの中にもございますが、施設規模が108メートル×46メートルという規模で、陸上競技場のフィールド部分ぐらいの大きな建物を持っております。後でお話をしますが、大きくはそこに冷蔵施設と研究施設、解析施設が併設をされております。
 高知大学のコア研究センターというのは、これまでDSDPやODPが持っておりましたコアレポジトリーという、テキサスA&Mとか、スクリップスとか、ラモントにあるような保管施設をモデルにしてつくられております。
 日本のつくったセンターの大きな違いは、それに保管施設を上回る規模の解析施設を持っているというところにございます。お手元の資料のちょうど真ん中の部分に館内案内図とございますが、これが総面積で約7,000平米ぐらいの規模を持っておりまして、その3分の1弱が保管施設です。この保管施設は、資料にもございますが、4種類の温度でコア管理が行えるという特徴がございます。
 それと、IODPに関しては、予想される10年分を担保した9万本程度が保管できるように設計をされております。
 高知のコアセンターでは、そのコアを直接すぐその場で解析ができる解析施設を有しておりまして、この解析施設は、「ちきゅう」が持っているものとほとんど同型のものを、同様の精度で持っております。
 センターでは、さらに高次解析と呼ばれる、船上ではできない複雑な解析でありますとか、1階の施設の右手側にございますが、バイオ実験室と呼ばれる遺伝子や海底地形にございます微生物の解析を行うゾーンを持っております。
 また、特徴としては、ちょっと上側に、北側にあるんですけれども、極低温試料室という液体窒素の巨大な保管施設を有しております。こういうものを持っておるところは世界でも唯一ここだけでございまして、「ちきゅう」でとられまして、「ちきゅう」で液体窒素固定された、将来有効に活用される可能性のあります微生物試料を、長期間にわたって液体窒素凍結保存システムによって保存ができるというシステムになっております。
 全体といたしましては、50億円規模の施設でございます。
 お手元の資料をごらんいただきますと、平先生がご説明になりました「ちきゅう」の船内の機能を完全に網羅しておりまして、その上に、さらに日本で初めて入りましたマルチコレクターICP‐MSとか、まだ日本でも数少ない、非常に高度な特殊機械も導入をしております。これにつきましては、海洋科学技術センターとの共同部分で運用をされますし、高知大学そのものが全国共同利用施設という形をとっておりますので、全国の大学の研究者が、特にIODPのプロポーザルであるとか研究に使う際には、共同利用ということでオープンにしております。
 以上でございます。

【田中主査】
 ありがとうございました。
 何かご質問ございますでしょうか。

【佐藤委員】
 ちょっとさっきのことに戻るけれども、コアの採取率ってほとんど100%として見ていいんですか。

【平委員】
 掘削のやり方によりますけれども、やわらかい層は水圧で押し込んでいきますので、それはかなり回収率は高い。ほとんど100%とれるわけですけれども、かたい岩石になって、中間のやわらかい層とか、かたい層が一緒になっているような岩石は回収率が悪くなってきて半分とか、砂の層は非常にとりにくい。いろいろな岩層によってとりにくい場合もあるということで、回収率を上げていくというのも、ライザーシステムを使った上での非常に重要な目的になりますけれども、完全に回収するのは非常に難しいです。

【佐藤委員】
 わかりました。

【岡田委員】
 ただ、ライザーの特徴で勝手にとれますので、形は崩れていますが、一応どんなものかは全部。そういう特徴はあります。

【佐藤委員】
 全部ばっととればね。層にはなってない可能性はありますよね。

【石田委員】
 こういうものを利用するとなると、ある期間、そこへ滞在しなきゃならないですが、宿泊施設も考えてつくられているんですか。

【安田委員】
 それが、大学でございまして、その点はなかなかまだ準備ができていないのが現状です。共同利用施設といえども、なかなか同時に宿泊施設はつきませんで、大学の留学生会館であるとか、キャンパスは異なりますが、別のキャンパスにございます学内の宿泊施設とか、近くの民間の宿泊施設を利用いただくということになります。できるだけ大学でそういう施設を今後要求していきたいというのは、大学首脳も考えてくださっておりますが、一遍にというのはなかなか、まだ進んでおりません。それはぜひやりたいと思います。

【田中主査】
 コアをいかに解析するかが最後の一番大事なことですよね。コアの高次解析というのは、世界中から研究者が集まってきて、このセンターのファシリティーを使って解析するんですか。

【安田委員】
 いえ、そうとも限らないと思います。

【田中主査】
 コアを分割して、譲渡することもあるんですか。

【安田委員】
 はい。一般的には持ち帰って、各国で、自前の研究施設で分析をするというものが通常だと思います。ただ、どうしてもそこですぐやらなきゃいけないというもの、もしくは自前の機械がないから貸してくださいというものについては提供することは可能ですが、それぞれ独自の分析方法なりを多くの方はお持ちですし、ケース・バイ・ケースで考えていきたい。すべてここでやるということではございません。多くの場合は、これまでどおり持ち帰るケースが多々ではないかと思っております。

【平委員】
 コアの場合は、1つのサンプル、例えばこのぐらいのサンプルで、ある場所から多種類のデータを一挙にとるということが非常に重要ですよね。要するに、1つの微化石なら微化石、有孔虫なら有孔虫の情報だけではやはり不十分で、周りの情報も含めた、ある時期の環境の指標を全部解析する必要があるので、そういうことが一挙にできる設備というのは世界でここしかないので、そういう意味で、今、田中先生が言われるように、海外からこの場所に来て、自分のところではある特殊な計測はできるけれども、その周辺にあるさまざまな計測は、世界の5つの大学を渡り歩いてというわけにはいかない。なかなか難しいわけで、それよりはここに来て一挙にやりましょうということで、世界のセンターになることは間違いないと思います。

【田中主査】
 コアは1本しかないから、不用意に分けてしまってはまずいですよね。そこからすべての情報を取り出さなきゃいけない。

【安田委員】
 最初にある程度、すべてにとって必要な基礎データというのは船上でかなりルーチンとしてとられます。それはルーチンですから、間隔も一定間隔で、場合によっては不十分だという場合には、同じ機械を陸上施設が持っておりますから、もっと細かくはかるということは陸上で可能です。
 それから、さらにサンプリングをして、必要物質を取り出して分析をすることに至っては、やはりその場でやりたいという場合には、うちのセンターがほとんどの機械を持っておりますので、そこでやれます。特に、バイオのような液体窒素で固定したものは、隣の実験室にそのまま走って持っていってやれるというのが、このセンターの基本的な特徴でございます。ですから、保管と計測、研究が一体になってやれるという点では、これまでにない施設と思っております。

【佐藤委員】
 コアは1本しかないんですけれども、例えば同じ場所で、研究者の興味が重なる場合がありますよね。そういうときは、1つは生のままいろいろな研究ができますけれども、もう1つ分析とかなんとかというときは、つぶさなきゃだめな場合もありますね。そういうときは4つに割って4分の1ずつやるとか、いろいろなことが考えられると思うんですけれども、やはり全部つぶすわけにいかないので、何か残しておかないとまずい。

【安田委員】
 はい、アーカイブとして。それは、IODPのサンプリング・ディストリビューション・ポリシーというものが決まっております。最終的には航海のチーフがある程度判断をいたしますけれども、原則がありまして、それにのっとってやるということです。

【平委員】
 もちろん、非常に細かい時代分解能を必要とするようなコアに関しては、その場所で、100メートルぐらいの範囲で何本も、4本、5本もとってということはやります。

【田中主査】
 それから、コアを使わせてほしいと、世界中から来ますよね。申し込みがいっぱい来る。だけど、この人たちにやっていいのか審査しなければいけない。勝手に分ければあっという間になくなってしまって、何の成果も出てこない。南極でも、南極隕石というのは世界中に分けて研究してもらっている。でかい隕石が落ちてくると、ばっと割れて、これは明らかに同質の、場合によっては1つの隕石が割れたかけらであるということまで同定ができている。
 あれだけあると、研究者1人に対するサンプル量は非常に少ないので、ちゃんと成果を上げている人だったらどんどん分けてやるということなんですけれど、氷床のボーリングコアは非常に慎重に分けています。このグループはちゃんと成果を上げてくれるということがわかる人たちでも、まとまった時系列の出せる試料をみんな欲しがっていますから、それをいかに分割して分けるかということは非常に大変な仕事です。

【安田委員】
 そのシステムは、岡田先生の組織がやるんですか。どこかルールがありますか。

【平委員】
 おそらく共通の中央管理組織というところで、リクエストは集中管理して審査して、高知大学なら高知大学にこの部分を渡してくださいと。高知大学自体が独自にそれを判断しないで、プログラムとして審査するという形になると思います。

【堀委員】
 高知大学とコア研究所との、それは高知大学の管轄の中にあって、指示命令系統はIODPという関係というか、組織図がちょっと。

【安田委員】
 確かに、大学の中に海洋科学技術センターの共同運用部分というのは入っております。コアセンターそのものは大学の一部局です。独立部局で、研究所で、そこにいるスタッフも大学の教官です。その中の機能として、IODPの保管、それから計測機能というものを持っておりますので、海洋科学技術センターから人が派遣されてきまして、特にCDEXの研究サービススタッフが来まして、それで運用に当たっていただいているという機能を持っている。中では、センターの利用に関しては共同運営協議会というのをつくりまして、非常に密接に、ちゃんとタイムシェアリングとか、場所の使い方というのは協議しながらという形をとっています。本来、大学でございます。

【堀委員】
 ありがとうございました。難しいですね。

【田中主査】
 よろしゅうございますか。ちょっとおくれていますので、少し進めます。
 次は、IODPの年間計画を作成するIMI(IODP Management International, Inc.)につきまして、現在、その理事会の議長を務めておられます岡田委員に、概要についてご説明をお願いしたいと思います。

【岡田委員】
 では、参考資料5の2枚目の色刷りの図をまずごらんいただけますでしょうか。これは資料1‐2‐4と基本的には同じものなんですが、別な表現をしています。我々は「アイ・エム・アイ」と言いますが、アメリカ人はみんな「イミ」と言いますので、公式には「イミ」です。何か読みにくいと言いますが、100%「イミ」です。IMI‐J(イミ・ジェイ)とか、IMI‐U(イミ・ユー)とか言っています。
 名前は、先ほどご説明あったとおり、1枚目でまた説明しますが、緑色の部分がそれに当たります。矢印の緑がIMIの仕事です。詳しいことは後からご説明しますが、根本は何かというと、一応、全米科学財団(NSF)から、SOC(Science Operation Cost)という格好で、NSFと直接の契約を結ぶNPOになります。
 機能も後から1ページを使ってご説明しますが、ピンクで書いてある世界の研究者、あるいは右隣にある日本地球掘削科学コンソーシアムというような、科学者個人または集団のコンソーシアムから、矢印の科学提案。先ほど説明がありましたが、いわゆるサイエンス・プロポーザルというものがあって、どんなことを言ってくるかわかりません。今から5年後は、今、想像もしてないような科学提案がある可能性があります。
 ですから、先ほど平先生が説明されましたけれども、当面、やることの主なラインは決まっていますが、何年か後に何をやるかは全く決まっていません。むしろ、決めては困るというのが、このプロジェクトの性格です。どんなおもしろいことが見つかるかわかりません。そういうおもしろいことが見つかったら、それを最優先でやろうというのがこのプロジェクトで、あくまでここは、いわゆるプラットフォームを用意するだけというのが、宇宙とか原子力と少し違うところかもしれません。
 とにかく科学提案というものが来ますが、これは直接SASへ行くのではなくて、SASというのはボランティアで集まっている研究者の集団です。そこで書類をハンドルしろと言われても大変ですので、これは全部、直接的には日本オフィスに来ることになります。日本オフィスで事務的に振り分けて、SASの中には、下に書いてありますけれども、8つ程度のパネルと言われる審査のパネルがありますので、このプログラムはここで査定すべきかという提案ですね。そういう振り分ける機能を持っております。それをSAS(Science Advisory Structure)に振り向けて、SASそのものをサポートする事務機能を日本オフィスは持っています。
 それで、SASからランキングを受けて、実はSASとIMIの間にもう1つ新しいトップの委員会が今度できます。それはSPPOCというんですが、そこでもって最終的なプログラムプランをIMIと共同でつくってという流れになります。それは細かいことになりますが。
 とにかく基本は、世界の研究者から科学提案を受け取って、それを仕分けてSASに諮問するというか、まず渡して、それで修正案をやったり、あるいはランキングをもらったりして、最終的な実施計画を米国本部と共同でつくって、運用組織に当たるところに渡すというのがIMIの機能です。
 それで、1ページの文章に、ちょっと長くて詰まっていてごめんなさい。名前はそのとおりで、もう読みません。今、言ったように、デラウェアの州法に従ってノンストック・コーポレーション、NPOでもいろいろな種類があるんですが、こういう名前のカテゴリーに入るところです。あくまでプロフィットを追求しない、しかも株式を追求しないという組織です。
 今、言いましたようにNSFとの契約に基づいて、IODPの管理、運営を実施する中立な機能で、科学計画立案の支援、監督、承認を行う。
 本部は米国内なんですが、最近の兆候は、どうもワシントンが非常に有力になりつつあります。それでいいかどうかは別ですが。
 所長は、現在、国際公募で公募しておりまして、今月の末まで公募しております。これはいわゆるPresidentです。Chief Executive Officerということで、この人はフルタイムで給料をもらって、あらゆる予算執行の権限を持ち、何かあったら訴えられる対象になる人です。
 日本オフィスは北大構内につくりますが、北大は単にオフィスを貸してあげるだけであって、先ほどの高知とは違いまして北大の組織では全くありません。北大には、今度、新しく創成科学研究機構という、文科省でも初めて認めていただきましたが、言ってみれば先端科学に対する貸しラボビルをつくりました。その一部をここに貸してあげるということです。そういう意味で、共益費と光熱費は払いますが、場所代は取らないということで、IODPにとっては非常にありがたい、結構大きなものをつくっています。今、工事中で、9月の末にはできる、2万平米もある巨大な建物ですが、当面はその中の300平米ぐらいを使ってということです。
 この所長もフルタイムで雇いまして、もちろん北大の職員ではありません。札幌オフィスに働く人は北大とは全く関係ありません。全員給料をもらいますが、今、言ったように北大はあくまで場所貸しだけです。ただし、札幌オフィスに働く人で、研究者で能力のある方は北大の客員研究員になっていただいて、やはり研究もおやりになりたいでしょうから、北大だけとは言いませんが、日本の大学の中でレクチャーしたり、あるいはいろいろな研究にできる範囲の中で参加していく。フルタイムでもオフタイムのときにはできると、そういうことはあるかもしれません。そういうふうにチャンスを与えた人は、より能力のある人が働いてくれるということにもなります。
 Vice Presidentは、実はまだお金がNSFから来ないので公募文書をかけられないでいるんですが、間もなく公募文書を出す予定です。これに関しては7月締め切りになりそうな感じです。もちろん我々としても、だれもスータブルな人が応募しなかったら困るので、間違いなくこの人は大丈夫という人には渡りをつけつつあって、最低限、問題のない人を1人は確保しておりますが、もっといい人が来ればその人になるかもしれません。それは必ずしも日本人とは限りません。
 設立会議は、ここに書いてあるとおりでして、現在、日本が7つです。今度、九大が申し込まれましたので、理事会で承認すれば9月から九大が入って、日本は8つの機関(大学または研究機関)になります。アメリカは、現在15の機関で、当分の間はこれ以上増えないみたいです。我々はもっと増えるんではないかと思っていたんですが。
 そういう意味で、日本は、8対15ですと2対1よりちょっといいぐらいですから、まあ、いいかなと。1対4ぐらいになると困るなと思っていたんですが、今のところそうです。
 ヨーロッパは、一生懸命働きかけています。1つのところは興味を持っていますが、これからの理事会の働きかけで、最低5つや6つ、ヨーロッパからも入ってもらいたいと思っております。
 金額はそこに書いてありますとおりで、準会員も認めます。
 ここの特徴は、総会はあまり権限を持っていませんで、そこに5つ書いてある形式的なことだけで、ほとんどの権限は理事会にあります。理事会の理事は、理事の数と書いてありますが、日米から5人ずつと決まっています。それ以外を最大7名、だから合わせて17名で理事会をつくって、理事会がほとんどの権限を持っています。ただ、理事は完全なボランティアです。私も今、理事会の議長ですが、1円ももらっておりません。旅費はもちろんいただきますが。働いている方は、オフィスで働く方は給料取りと、そういうふうに使い分けられています。
 あとは、細かいことが書いてありますが、理事の任期は3年です。とにかく理事は非常にパワフルです。日米5人ずつということですので、ODPでは理事に当たるのは全員アメリカ人だったわけですが、今度は半分、少なくとも日米対等のプレゼンスでこれに影響を与えることができるということになります。
 Officerは任期が2年。Chairは、理事から出ますので無給です。現在、Chairは私が2年間務めていますが、Vice Chairは今、スクリップスというカリフォルニア大学の研究者の方が務めています。Presidentは今、公募中ですが、暫定的にテキサスA&Mの方が、これも無給で、ボランティアで今年いっぱいやっています。今、言いましたように7月いっぱいで公募をかけているんですが、今度、9月に、ある人数に絞り込んで面接をして、理事会でVice Presidentが決まります。
 ところが、ちょっと僕らは意外だったんですが、NSFの言い方ですと、Presidentが決まらないと契約ができないというわけです。NSFとIMIとの契約ができないということで、いろいろな所要の手続からいうと、早くて1月1日でないと正式にお金が出せない。IMIもまともに走らないということがわかってきて、そのつなぎをどうするかが今、問題になっていますが、つい最近の会議で、それは何とかめどがついたみたいです。
 ですから、正式にPresidentが赴任して、一応、今年の10月からIMIは暫定的に始まりますが、ごめんなさい、IMIそのものは2月から始まっていますが、IODPは10月から始まりますが、正式の米国本部のスタートは1月から、日本オフィスはひょっとするともうちょっとおくれる。悪くすると、4月1日になるかもしれません。JAMSTECの中にその機能を持っていますので、機能はちゃんと働きますが、札幌オフィスにスタッフがある程度そろってやりますよというのは、1月の末から4月1日の間になるかなと思っています。
 ほかのOfficerは、Vice PresidentとかSecretary、Treasurerと書いてありますが、この人たちはみんな無給になります。ごめんなさい、Vice Presidentは有給です。Secretaryは末廣委員にやっていただいていますが、完全な無給。Treasurerも完全な無給という形になっています。
 一番下に書いてありますCOIというのは、日本ではあまり認識してなかったんですが、アメリカ人の言うモラルです。アメリカの言うフェアネスということで、コンフリクト・オブ・インタレストということで、この組織からお金をもらって運用している組織が何をやるかに口出しするのはよろしくない、というのがアメリカのモラルです。しかし、アメリカは運営組織と研究組織をきちんと分けているというか、一緒にやったことがないからそういうことが言えるんですが、日本やイギリスでは運用組織とプランニングするところが一緒であるというのはごく普通ですので、ここで非常に大きな議論をずっとしてきました。だんだん日本側の言うことにも彼らは理解を示しつつありますが、言い方は悪いですが、アメリカ人はやはり自分の国のことしか知らない。それで自分の国のやり方が正しいと思っていますので、なかなかいろいろ格闘はありました。ただ、だんだん、だんだんと認識が弱まってきて、あまりうるさいことは言わなくなりましたが、一応、定款にはこういう文書が入っています。
 ということで、ご説明を終わります。

【田中主査】
 ありがとうございました。
 このIMIについて、何かご質問ございますでしょうか。よろしいですか。では、あったら、また戻って質問していただいてもいいということで、ちょっと時間がなくなってきましたので、先へ進ませていただきたいと思います。
 IODPを科学面から支える日本地球掘削科学コンソーシアムにつきまして、コンソーシアムの理事及びIODP部会長を務めておられます徳山委員に、ご説明をお願いしたいと思います。

【徳山委員】
 徳山と申します。
 まず、日本地球掘削科学コンソーシアムというのは、当委員会の設立された主たる目的である深海掘削をサポートするだけではなくて、地球掘削ということで、陸上掘削も、先ほど南極観測の話が出ましたけれども、ドームふじですか、あそこでアイスコアをやっていますけれども、そういうものも全部含めた、かなりウィングを地球掘削に広げたコンソーシアムでございます。それを立ち上げたのが2003年の2月22日、本年の2月22日に発足いたしました。
 時間の都合上はしょりますけれども、最初のアイデアというのは、地球掘削科学に関する国内研究機関の連携強化の必要性から、こういうものができたということで、現在、活動しているのはIODP部会一つでございますが、今年の秋口から来年の初めぐらいには、陸上掘削部会も我々の仲間に入ってくると考えております。
 それから、趣旨ですけれども、日本における科学者による科学者のための連合体。ちょっと格好よ過ぎるんですけれども、昨今では研究とか教育を大学、アカデミーはしていればいいということだけではなくて、先ほどから話が出ていますけれども、社会の還元とか貢献という自覚を自分たちで研究者は持つという意味でも、こういう連合体の必要性を感じて立ち上げたわけでございます。
 会員構成が2番目になりますけれども、国内の大学とか国立研究機関等の機関が正会員ということでございます。それで、正会員には自分たちの属している組織が、サイズの問題があってできないと、適当ではないという場合には、機会を増やすということで個人会員。それから、賛助会員ということで企業の方の会員も募っておりますけれども、現在のところは賛助会員はございません。会長は、久城先生にお願いしてございます。
 ここからの活動というのは、IODP部会がほとんどターゲットになっている活動であります。先ほど言いましたように、現在ではIODP部会しか実質的に活動しておりませんので、活動内容が1、2、3となっておりますけれども、最もここで重要なのは、我が国発案の研究提案の立案、実施のための支援ということでございます。
 これは、参考資料6の後ろにカラーの図がついておりまして、2枚目の裏に、右下に小さい図がありますけれども、先ほど岡田先生が使われた図と、それから資料1‐2‐5でかいてあるほうがサイズが大きくて見やすいので、これを使わせていただきたいと思います。
 例えば、1‐2‐5では、統合国際深海掘削計画国内推進体制という図でございます。これは渡邉さんがお使いになった図ですけれども、一番下に地球生命科学研究者というのがあって、そこから科学プロポーザル提出ということが書いてあります。ここの科学プロポーザルを我々がつくる。日本発の、日本が主導的な立場の、先ほど主査が述べられたようなテスタブル・ハイポセシスを提案して、それを実証しようというプロポーザルをつくる。その支援をするのが、このコンソーシアムをつくった一つの大きな目的でございます。
 当面、どういうプロポーザルをつくるかといいますと、IODPを立ち上げる際に、国際的に今後どういうサイエンスが、ターゲットがあるかを、もう既に議論してつくっております。それは末廣委員が参加して、イニシャルサイエンスプランの委員だったですね。日本からも末廣委員が代表で出ていまして、その当時アメリカにいたマイク・コフィンさんという人が、彼はChairですが、今、海洋研にいるんですけれども、日本から参加した人は今では2人ということです。
 その人たちがつくったプラン、1枚ものの裏に「国際的な科学計画」というのがございます。そこに、沈み込み帯における地震発生機構の解明。地球環境変動とその生命圏への影響。地下生物圏と海底下に広がる海。それと、固体地球における物質循環環境とそのダイナミクス。かなり大きな枠組みでこういうサイエンスを今後しようというイニシャルサイエンスプランがつくられていまして、それを日本版で、どういうことを日本としては提案しようかというのが、その下に4つ書いてあります。
 右上の「地球システム変動の解明を目指して」というのは、これは平委員がかいた図なんですけれども、私なりに解釈すると、地球というのは内部の熱がだんだん、だんだん冷えてくる。その冷えてくる過程で、いろいろな地球システムが複雑化してくる。それと、もう1つ、天体衝突という外部からの要因。その2つが地球の歴史をつくってきた、今まで形成してきたということで、それを解明しよう。
 それで、具体的な目的が、先ほど言った1、2、3、4という項目が挙げられているということで、これを日本発で、日本が主導してこういうプロポーザル、掘削提案をつくって、それが国際的な枠組みの評価委員会で議論されて、認められて、最終的に日本が建造した「ちきゅう」を使って掘削をして、そのハイポセシスを証明してやろう。そういうサイエンスの活動を支援するために、この日本地球掘削科学コンソーシアムIODP部会、J‐DESCという名前で呼んでおりますけれども、そういうものをつくったということでございます。
 1枚目の日本地球掘削科学コンソーシアムはどういうメンバーかというのは、会員マップというのがございまして、正会員としては、組織ですけれども42。個人会員は21ということで、設立趣意書を久城先生、小泉先生、平澤先生、平野先生という方にお願いして、立ち上げたということが述べられてございます。
 問題は、先ほど平委員が140億円という恐ろしいことを言ったんですけれども、私どもサイエンスをするためにはやはりお金が要るんです。きょうの新聞か、きのうの新聞か忘れましたけれども、宇宙ステーションに年間100億円かかっていますけれども、そこまでは必要ないかもしれませんが、オペレーションのお金とは別枠で、サイエンスを直接するお金、資金が必要となります。
 その現状を今、理解していただこうと思うんですけれども、2枚目に「ODPにおける予算現状」というのがございます。中段でございます。分担金を除くとなっていますけれども、アメリカは、当然アメリカ主導で、ODPを半分ぐらい払っていますから多いのは当然なんですけれども、ドイツが結構多いんです。
 ドイツの方に聞きましたら、これで事前調査というか、プロポーザルをつくるためには、その前にここ掘れワンワンの場所を決める事前調査が必要なんですけれども、その調査費はこれに含まれていますかと言ったら含まれてないと。これは、まさにとってきたコアを分析したり、研究者を乗船させたり、ODPの研究も含めて事業にかかわる値段だと、金額だということで、これを見てびっくりしたんですけれども、我が日本は特定領域で面倒を見ていただいているんですけれども、何と4,000万円。大変なお金なんですけれども、これではIODPはやっていけないということなんです。
 その上に、「IODPプロポーザルに占める日本からの提案者累数」というのがございまして、提案者の数は、アメリカは当然、今のところ多いので362。研究者が多いこともありますが。日本109、ドイツ84、イギリス50と比べると、プロポーザルのプロポーネントのリストに加わる数は多いんです。
 しかし、その右ですけれども、日本が主導するIODPプロポーザルの件数を見ていただくと、これはかなり悲観的になるんですけれども、最初は3、5。これはJOIですからODPから引き継がれたものですけれども、3件、5件、4件だったんですけれども、2002年は1件しか、2003年の4月で1件。
 何でこんなに少なくなるか。それは我々のサイエンスのレベルも当然あるかもしれませんけれども、私が考えるに、これは先ほど言った、提案をする前に、ここ掘れワンワンの場所をベリファイするというか、それをちゃんと、これはこういうために重要ですよと。その重要な掘削が、この場所を掘ればわかりますよという事前調査をする資金が、ODPにおける予算現状を見てないんです。そのためもあって、非常に我が国が主導するプロポーザルの件数が少なくなっている。これは非常に悲観的なので、我が国が主導、主導と声高らかに私ども言っているわけですけれども、そのためにはそれなりの予算措置もなければ、非常に悲観的になってしまうということでございます。
 最後の2ページ、白黒ですけれども、文字が書いてあるものがございます。その最初に、「IODPを推進するための研究サイドの課題について」ということがございますが、短期的課題として、先行研究と事前調査費。当然、乗船旅費。乗船した後サンプルを持ち帰った研究に年間、ざっと50億円超。これはちょっとマキシマムで考えて、あまり詰めて金額をはじき出したわけではございませんが、まあ、50億円程度は、日本がほんとうに主導して、この成果というか、「ちきゅう」を使ったサイエンスで世界をリードするためには、このぐらいの金額がつかみで必要になるということが書いてございます。
 長期的課題というのは、研究者がアメリカ、欧米に比べて少ないということで、そういう研究者を育成しなきゃいけないし、そのためには研究職の確保もしなければいけない。そういういろいろな問題も含めて、コンソーシアムは一つ一つの問題に対応していこうということでございます。そういうものを立ち上げたということでございます。
 以上です。

【田中主査】
 ありがとうございました。
 このコンソーシアムについて、何かご質問等ございますでしょうか。それでは、先ほどのIMIと同じで、質問が出てきましたら後でもお引き受けしますので、先へ進ませていただいてよろしいですか。では、次へ進ませていただきます。
 一応、IODPの概要についてご説明いただきまして、およそのことはおわかりいただいたと思いますが、事務局から、今後の審議事項についてご説明をお願いしたいと思います。

【吉田海洋地球課長】
 資料1‐3でございます。それと、参考資料1をごらんいただければと思います。
 この深海掘削委員会の設置をお決めいただきました、海洋開発分科会での議論としては参考資料1にございますけれども、そこで表にありますような形で、大きな項目としてくくられておりますけれども、それをもう少しブレークダウンいたしたものが資料1‐3ということでございます。これは一つの事務局でのたたき台としてお示しをするものでございますので、またこの委員会の中での議論を経て確定をしていきたいと思っております。
 大きく分けますと、3つの事柄についてご審議いただいてはどうかと思います。主導国としての我が国のIODPに対する対処についてということでございまして、CMOが毎年計画を策定してまいりますけれども、それについて、主導国たる我が国として最終的にオーソライズをするという手続が予定されております。その際に、文部科学省だけの判断ということではなくて、広くこの委員会を通じまして、皆様のご意見をお伺いしました後に、年間計画に対する我が国としての対処方針を決めていきたいと考えております。
 また、年間計画が実際に実行されますと、結果報告がまたCMOから出てくるわけでございます。それについても、これは事後評価ということになりますけれども、結果の評価をしていただく。ですから、推進の詳細の計画段階、そして、その後の事後評価。その2段階について、これはある意味では毎年毎年そういうことが起こってくるわけでありますけれども、そこをずっと継続的に委員会で見ていただく。そういった機能を考えておるわけでございます。
 2つ目の○は、IODP国内推進体制等についてとしてございます。これは、これまでの議論の中で、IODPを構成するさまざまなパート、パートのご説明があったかと思います。今現在はそのような形で考えているわけでありますけれども、今後、IODPをさらに推進するという観点から、どのような体制づくりが必要なのかということ。それから、2つ目の・は、今、徳山先生からもお話がちょっとございましたけれども、IODPを成功させていく、その中での日本のプレゼンスを高めていくということからいたしますと、さまざまな課題が残っているように思います。そういったことについてご検討いただくことも、この委員会の大きな役割ではなかろうかと考えております。
 3つ目の○は、大変大きな国家プロジェクトでございますので、これはやはり国民の皆様に十分理解していただくことが必要でございます。そういう意味で、普及のための施策についても、いろいろな角度からご意見をいただければありがたいと思っております。
 そういうことで、大きく分けると3つぐらいかなと整理してみましたけれども、ぜひこのあたりは委員会のほうでご審議賜りたいと思います。

【田中主査】
 ありがとうございました。
 ただいまの事務局からのご説明について、ご意見、ご質問ございますでしょうか。

【岡田委員】
 1つよろしいでしょうか。アメリカは法律の考え方が、ちょっと我々、おやと思うようなところもあるんですが、先ほど言いましたように、IMIはNSFとの契約に基づいて、最終プラニング、科学提案をつくることになっています。この中には日米同数の理事会の理事が出ておりまして、アメリカ側に言わせると、とにかく何か事が起こって、訴訟問題が起こったときに対応できる組織が最終オーソライズをすべきである。裁判が起こって、責任を引き受けられないところが最終的なオーソライズをすることは、論理的にあり得ないというのがアメリカの理屈なんです。
 ですから、一番最初のCMOが作成する年間計画に対するここでの審議は、IMIの理事会にかかる前、つまりSPPOC──SPPOCというのはエグゼクティブ・オーソリティーですね。そこで案を決めて、おそらくIMIではほとんど形式的に認めるだけなんですが、理屈から言うと、その間のところでやっていただくのが一番無理がないんではないかと思うんです。
 では、この委員会で訴えられたらだれが責任持ちますかといったら、日本の場合は役所が責任を持つんでしょうが、アメリカでは役所が責任を持ちませんので、最終的にはIMIが裁判を受けて立つ覚悟をしておりますし、定款にもそのことがきちんとうたってあって、訴えられたらここまでは責任を持つ、これは持たないと書いてあるので、できれば私としては、IMIの理事会にかかる前に日本でこれを審査していただいて、ということがあったほうがよろしいかなと思います。

【吉田海洋地球課長】
 私どももそのように考えておりました。タイミングとしては、その手が一番適当かなと思っております。

【兼原委員】
 私、国際法が専門で、こちらで勉強させていただいているものですから、今の訴訟ということは、おそらく国内的な訴訟が中心的なご考慮でご議論があったかと思うんですけれども、国際法の枠組みによる規制も極めて関連してくるプロジェクトだと理解しています。
 単純化して申し上げれば、今回の深海掘削というのは、法的には海洋の科学調査という概念になると思うんですけれども、私も今ごろこんなことをお聞きするのも非常にお恥ずかしいんですけれども、国際法上、海洋の科学調査の実施主体というのは、基本的には国を想定した法枠組みになっているわけですけれども、今回のプロジェクトですと、科学調査の実施主体は日本、国であって、ただし船舶は国の公船ではなくて、NPOの指令を受けて、委託を受けて活動する、いわゆるプライベートシップとして法的規制を受ける。しかも、日本の旗を掲げて航行していくわけですから、日本の国が旗国としての一般的な義務を負うという位置づけでよろしいんですかということ。
 それから、どこを掘削するかということは、これからまだ特定していかれる段階かと思うんですけれども、海底によっては掘ってはいけないともともと法的に禁止されている海域もあれば、あるいは他国の管轄水域であれば、一定の手続を踏んでからでなければ掘れないわけですけれども、そういうときは海洋の科学調査の実施主体として、国が窓口になって手続を実施していくという点でよろしいのかということ。
 それから、海洋汚染をはじめとして、各海域によって、船舶の活動に対してかかってくる規制基準というのはすべて異なっているわけですけれども、そういう法的対応というのは、ドリリングの場所を決めてから具体的に検討すると考えておけばよろしいんでしょうか。

【吉田海洋地球課長】
 これまで構造の説明もございましたけれども、リードエージェンシーという立場で、リードエージェンシーがCMOとの間に契約を結び、そのCMOがさらにサブコントラクトを実施機関との間で結ぶという体制の中で、これを遂行していくわけでございます。そういう意味では、海洋法条約とももちろん整合性をとった形でやっていきますので、法的には問題がない形で進めていきたいと思います。
 あと、平先生、ちょっと補足を。

【平委員】
 今、兼原委員が言われたことはかなり多岐にわたる問題で、まだ未解決というか、解決つかないというよりも、十分こちらで検討の進んでないところもあるんですが、掘削船自体は海洋科学技術センターが所有している船、所有権は海洋科学技術センターにあるわけで、CMOが一応計画書というものはつくりますが、実施母体は海洋科学技術センターですので、すべて船の掘削に伴う事項、それから掘削に伴ったいろいろなことは、海洋科学技術センター自体が責任を負うことになると思います。
 ですから、そのときに独立行政法人になって国がやるということの意味が、どこまでが国なのかというのは、私はちょっとそこのところはまだわからないところがあるので、今、兼原委員の言われている、国の主権でやるということの意味を私自身もまだ十分理解していません。ただ、これは海洋科学技術センターが基本的には責任を持ってやる掘削であるということ。掘削自体に関しては、それは間違いないことだと思います。
 他国のいろいろなEEZの中等々も、基本的には、実施母体が海洋科学技術センターですから、ちきゅうの掘削に関しては海洋科学技術センターが責任を持つ。それから、アメリカの掘削船に対しては、アメリカの掘削母体になる実施機関が責任を持ってやることになると思います。
 実際、そういうものの交渉等については、やはり実施母体である海洋科学技術センターが責任を持って、いろいろ交渉に当たったり何なりせざるを得ない。文科省が直接それについて、我々は文科省の助言や外務省の助言を受けつつ事を進めることになろうと思いますが、文科省自体が直接出て交渉に当たるということはないだろうと思います。

【吉田海洋地球課長】
 EEZの問題なんかは、もちろん実質的な部分は海洋センターでおやりになるんですけれども、法的な手続という部分では我々を通じて、さらにまた外務省などを通じて相手国との間の関係は整理するということ。そこは従来の海洋センターのいろいろな船の行動と同じになります。

【末廣委員】
 アメリカのODPはステートデパートメントがやっていますよね、対外的なところは。

【平委員】
 直接はやってなくて、例えば大使館を通じて外務省に必ず連絡が行くというのは、当然そのルートを使うわけですけれども……。

【末廣委員】
 ルートとしてステートデパートメントが了解している。

【平委員】
 そうですね。覚書自体もそうですから。ただ、一つ一つの交渉にステートデパートメントが出てくることは。

【末廣委員】
 先ほど例に挙げられた、私の日本海掘削の、予兆があって掘削場所を変えざるを得なかったときは、ステートデパートメントを通じて日本国と交渉した。

【平委員】
 そうでしたね。

【田中主査】
 よろしいですか。わかった? 僕はよくわからなかった。広義には国の事業ですよね。広い意味では。

【平委員】
 ええ、そうです。

【吉田海洋地球課長】
 はい、そうです。

【田中主査】
 だけど、狭義に、法的な問題が出てくるようなレベルになると、それは非常に難しい問題ではないですか。それは僕、よく理解していません。ただし、ここは文部科学大臣の諮問機関で、きちんとオーソライズしてもらわないと、文部科学省としては予算措置等をやる手続が整わないということになってしまう。だから、それでやるわけなんだけれども、最初、岡田先生が言われた話から始まって、アメリカの考え方はわりあいはっきりしていると思う。

【岡田委員】
 アメリカの場合は民間の船を雇用するわけですので、日本とまた違うんです。アメリカでは、「ちきゅう」みたいな、言ってみれば国有船を使った経験は全くありませんので、運用は彼ら自身もまだ理解していない。今までのODPの延長でしか物を考えてない。だから、責任も、訴えられたら自分らに直接来ると思っている部分が多いんです。日本の場合は、今、おっしゃったように、まずJAMSTECに訴訟が来る。ただ、サイエンスプランニングがあまりにもお粗末で、それがゆえに事故が起こったと来ると、SASは訴えられませんのでIMIに来るのを恐れているわけです、基本的に。

【長沼委員】
 すみません。私も兼原先生のおっしゃったことに大変関連するんですが、資料1‐2‐3です。1‐2‐3の序文で、1に目的と責務というのがあって、その3つ目に「IODPの目的は、海洋の科学的調査であり、資源探査は目的としない」とあるんですけれども、英文を読むと「目的としない」がエクスプローレーション及びエクスプロイテーション、探査と利用ですね。利用も目的としないと書いてあるんです。これは参考資料2がもとの英文ですね。
 一番最初にいただいた資料、1‐2‐1、この1枚紙を見ると、例えば右下に微生物の絵がかいてあるけれども、これは明らかに微生物の機能を念頭に置いてしまっている描き方。
 あるいは、今日、いただいた資料の一番最後にあった白い本にも、特許のことが若干書いてあります。特許については有志の中で話し合ったと書いてあります。ただ、この専門部会の有志の中で話し合ったのでしょうが、私は専門部会の委員だったけれども、この内容は実は知りません。
 あるいは、安田先生がきょうお持ちになったコア総合センターの中にも、微生物資源という書き方がしてある、遺伝資源と。
 この辺が、国連海洋法(UNCLOS)か生物多様性条約に触れてくるというのが、実は私たちの海洋微生物研究者の間で話題になっています。生物多様性条約は、アメリカはまだ入っていません。これはアメリカの世界戦略というのがあって、それでアメリカは意図的に入っていませんけれども、その点を日本としてどういうふうにやっていこうと。明らかに新しい生物がとれて、それに対する特許、知的所有権等はどうしていくんだろうということを検討するところを、どこか日本でやらなければならない。これは文科省、そして経済産業省、その他関連省庁、全部関係します。こういった場をいずれ設けて検討していくことが、研究推進体制の一助になると思うんです。
 以上、簡単に述べました。

【田中主査】
 ありがとうございました。いずれそういうことが必要になれば、この委員会が適当かどうかわからないけれども、とにかく必要な審議をしていくということでしょう。

【平委員】
 先ほどの、この委員会でやることの2番目に国内推進体制というのがございましたけれども、要するにこのプロジェクトの本質は何かと言えば、科学目的があって、巨大なインフラストラクチャーを通じてこれを運用して、国際レベルで活用して人類の知的資産のために貢献するということになると思うんですが、運用ということにはお金がもちろんかかるわけで、徳山先生の用意された参考資料6の一番後ろのところに、「IODPを推進するための事業(別紙)」というのがございます。
 先ほど予算のことを、私、140億円と言いました。今、基本的にJAMSTEC等々から予算のプロポーザルとして出ているのが、1番、3番、4番、5番、7番という項目に匹敵します。参考資料6の一番最後、コンソーシアムの一番最後の別紙にございます。
 2番目の「ちきゅう」の建造費は570億円。これは国庫負担が決まっているわけですけれども、「ちきゅう」の運用のほう、純粋に船の運用はおそらく80億円ぐらいだろう。ただし、そのほかのところはまだ十分確保できない部分もあって、5番目の関連技術開発については、今、予算の項目からどんどん、どんどん落ちているのが現状です。それから、徳山先生の言われた6番の科学提案の作成と乗船後の研究費、これが50億円ぐらいかかるでしょうということで、これは先ほどの140億円には入っていないのが現状です。
 重要なのは、やはりこういうプロジェクトをやっているときに、インフラストラクチャーを日本は今まで、建設まではがんばるんですけれども、その後の運用、それから科学研究費も含めた、その部分になると急に何か力が落ちてくるといいますか、そういうことがよくある。それが日本の科学プロジェクトのかなり欠点でもあろうと思っています。
 これをちゃんと確保していくのは、もちろん研究者の責任、これを運用している責任であって、我々ががんばらなくてはならないということは当然ですが、この委員会として、こういうプロジェクトをバランスある形で発展させていくにはどのようにしたらいいかということで、いろいろお知恵を出していただくことが非常に重要なんだろうと考えます。この委員会でお金を確保しろとか何とかということではないんだろうとは思いますが、こういうプロジェクトを息長く、やはりバランスのとれた形でしっかり運用していくためには、どういうことが必要なのかということをご提言いただくことが非常に重要だと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

【田中主査】
 わかりました。今、今後の審議事項の案について審議しておりますが……。

【平委員】
 国内推進体制。

【田中主査】
 そのうちの2番目。IODPに関する研究の推進方策について。

【平委員】
 そういうことです。

【田中主査】
 これは、まさにこの委員会の主要な事項として挙げられておりますから、この項目に関連して、今、言われたようなことを議論すればよろしいと。

【平委員】
 はい、そういうことです。

【田中主査】
 わかりました。
 ほかに何かご意見。

【徳山委員】
 それにちょっと関連したことなんですけれども、具体的なアクションというか案を、たたき台というのかしら、つくるのはどういうステップというか、プロセスを考えていらっしゃるわけですか。議論をするのに、やはり案がないと議論もできないと思いますし。

【吉田海洋地球課長】
 それは、まさに今の、IODPに関する研究の推進方策についてという部分になります。

【徳山委員】
 全体はいいけれども、特に研究の推進方策についてということになりますか。

【吉田海洋地球課長】
 それは事務局としますと、この場でのご意見、あるいはコンソーシアムでいろいろとご議論いただいている成果、そういったものを参考とさせていただきながら、たたき台をつくるというのが通常のやり方だろうとは思うんです。ただ、この部分については、もう少し研究者の皆さんと、ある意味ではコンソーシアムの皆さんと、議論を深めないといけないと思っております。

【田中主査】
 よろしいですか。

【徳山委員】
 はい。

【田中主査】
 時間が大分超過しているんですが、そうしますと、資料1‐3で、深海掘削委員会が今後どういう問題を審議すべきかという、非常に重要な問題がここに網羅されていると思いますので、こういう事項について今後審議していくということでよろしゅうございますでしょうか。では、そのようにさせていただきたいと思います。
 まだ意見がいろいろあると思いますが、予定の時間が大分過ぎておりますので、ここまでといたしたいと思います。
 次回の委員会は、IODP初年度の年間計画作成以前に開催したいと考えております。詳細につきましては、追って事務局から、委員の皆様にご連絡が行くというように伺っております。
 これできょうの会議は終了したいと思いますけれども、事務局、何かございますでしょうか。

【吉田海洋地球課長】
 いえ、特段ございません。

【田中主査】
 それでは、お忙しい中、長々とありがとうございました。これで閉会いたします。

─了─

お問合せ先

研究開発局海洋地球課