深海掘削委員会(第8回) 議事要旨

1.日時

平成18年3月13日(月曜日) 13時30分~15時30分

2.場所

経済産業省 別館8階 817会議室

3.議題

  1. 第7回深海掘削委員会以降のIODPに関する活動について
  2. 地球深部探査船「ちきゅう」の平成17年度運用状況報告
  3. IODPに関する広報活動について
  4. IODPに関する研究活動について
  5. その他

4.出席者

委員

 田中主査
 兼原、佐藤、平(朝)、寺島、堀、松田、岡田、斎藤、鈴木、長沼、宮崎 各委員

5.議事要旨

第7回深海掘削委員会議事録及び議事概要について

 平成17年11月14日に開催された第7回深海掘削委員会の議事録及び議事概要について3月20日までに寄せられた意見を反映させて確定することとした。

前回深海掘削委員会以降のIODPに関する活動について

 第7回深海掘削委員会以降のIODPに関する活動について、文部科学省より関連組織ごとに活動内容の報告を行い、ご審議いただいた。主な質疑は以下のとおり。

  • 米国掘削船ジョイデス・レゾリューション号は1年半ほど航海を休止するようだが、IODPの研究調査が遅れる等の影響はないのか。(堀委員)
  • 日米の掘削船が航海を行わない期間はヨーロッパの掘削船により進められる。(文部科学省)

地球深部探査船「ちきゅう」の平成17年度運用状況報告

 昨年7月に完成して以来、試験運用を行ってきた「ちきゅう」について、その試験内容等を海洋研究開発機構より報告を行い、ご審議いただいた。主な質疑は以下のとおり。

  • 平成19年に熊野灘で予定されているIODPにおける「ちきゅう」の初めての国際運用について、この掘削の実施が決まった経緯はどのようなものか。(佐藤委員)
  • IODPの科学諮問組織の中で議論され、複数の地震発生帯を研究対象とした掘削計画の中で、熊野灘が最も高い評価を受け認定された。(平(朝)委員)
  • 掘削深度は海底下どのくらいか。(佐藤委員)
  • 熊野灘の掘削計画はライザー掘削2孔、ライザーレス掘削数孔で構成されている。そのうち、大深度掘削となるライザー掘削については、まず、津波を起こすのではないかという仮説がある分岐断層までの掘削が海底下3,500メートル。次の地震発生帯掘削が海底下6,000メートルを予定している。(平(朝)委員)
  • メタンハイドレートの資源量及び関連微生物に係る研究の日本の水準は高いのか。(堀委員)
  • メタンハイドレートには、地球環境に及ぼす影響と資源利用の可能性という2つの側面がある。地球環境的研究については、アメリカに遅れをとっているようだ。しかし、地下活動でメタンを作る微生物の研究について、日本の研究の進展は最近目覚ましい。資源という側面では、日本の研究が非常に進んでおり、世界のトップの資源開発及び資源量の探査を行なっている。(平(朝)委員)
  • 平成19年9月の国際運用での掘削までに何回掘削試験ができるのか。掘削試験の候補地は東北日本以外にあるのか。(宮崎委員)
  • 計画では平成18年度水深1,000メートル級海域で海底下2,000メートル以上の1孔、平成19年度前半に水深2,000メートル以上の海域で1孔、ライザー掘削試験を行うことを検討している。(CDEX)
  • 過去実施された日本領海内でのライザー掘削方式による大水深掘削は最大何メートルか。(鈴木委員)
  • 佐渡南西沖の約1,000メートル前後である。(CDEX)
  • 試験運用中、船上で調整できなかった機器を今後ドック工事等で調整するそうだが、国際運用では不具合のたびドックへ入るわけにはいかない。国際運用に不安がある。(田中主査)
  • これらの不具合はそれが生じていても作業を行うことは可能だが、作業速度を上げるためソフトを含めたシステム全体調整が必要なもので、調整に時間がかかることからドックで行なうことにしている。また、自動制御の機器が多く、今回初めての実海域での試験なので、さまざまな調整すべき課題があり時間がかかる。(CDEX)

IODPに関する広報活動について

 IODPに関する広報活動について、事務局より文部科学省における取組みを報告した。その後、CDEXより海洋研究開発機構を中心とした国内関係機関における検討状況をご報告いただき、各委員にご審議いただいた。主な質疑は以下のとおり。

  • ちきゅう関連ウェブサイトを小学校の授業等教育で使う場合、ある学校での取組みを他の学校にも知らせるような機能があるといい。(松田委員)
  • 外国での取組みに見られるような、直接「ちきゅう」と学校の現場を中継で結んで授業をするような取組みについて検討しているか。(寺島委員)
  • NOAAが行なっている「ティーチャー・アット・シー」を参考にした企画を来年度具体化したい。(CDEX)
  • 学校のみならず、生涯学習として科学館、水族館等の社会教育関連施設において、双方向のコミュニケーションをとるような活動はいいと思う。(松田委員)
  • 新江ノ島水族館で展示を行なったことがあり、今後も基本的に連携できる施設とは、積極的な連携をとっていきたい。(CDEX)
  • 日本科学未来館でちきゅう関係の常設展示のリニューアルを行なった。3月18日には、展示の前で来館者とトークするイベントを行なう。日本学術会議主催のサイエンスカフェの一つとして、4月に長崎県立美術館においてちきゅうを取り上げる。広報についてはIODP-MIとの連携も大事にしていきたい。(平(朝)委員)
  • 2007年には50年に1回の国際極年(IPY)が2008年にかけて行われる。この中でインターネットを使ったエデュケーションとアウトリーチとコミュニケーションに力が注がれている。IODPとして、これについて参照もしくは相互連携していってはどうか。(長沼委員)
  • 国際連合により行なわれる国際年には、2008年を中心に国際惑星地球年が水文地質学、地球物理学、地質学を対象として予定されており、国内では宮崎委員が中心的に活動されている。「ちきゅう」もこれら国際年とリンクさせたい。(平(朝)委員)
  • 広報について関係者はよく取り組んでいる。加えて、IODPが目指す科学的な目標を達成することにより一層取り組んでいただきたい。(田中主査)

IODPに関する研究推進体制について

 IODPに関する研究推進体制について、鈴木委員より日本掘削科学コンソーシアムにおける活動状況をご報告いただき、各委員にご審議いただいた。主な質疑は以下のとおり。

  • 時限つき分科細目及び特定領域研究は採択されなかったのか。(田中主査)
  • 分科細目について今回の結果はまだわからない。特定領域研究について、環境変動に関連する研究を応募している。また、基盤研究等でIODPの掘削プロポーザル作成のための事前研究を5件程度応募している。5月に結果がわかる。(J-DESC)
  • 1月に宿毛停船中にJ-DESCと共同で「ちきゅう」の研究設備を使って、コア解析のミニスクールを行った。「ちきゅう」の船上設備に学生に慣れてもらうと同時に、問題点を指摘してもらうという活動を行なった。(平(朝)委員)
  • IODP-MIは国際組織なので、ある特定の国に対して科学支援をすることはできないが、国際的な活動であれば支援できる。間接的にでも日本の科学の活性化のためにJ-DESCと連携しながら進めていきたい。(斎藤委員)

その他

  • 韓国のIODP参加について、参加条件等調整中とのことですが、権利及び負担は、中国の参加条件とほぼ同等という理解でいいか。(佐藤委員)
  • 中国とほぼ同等である。IODPの正式メンバーになるには分担金の負担できる額が足りないので、中国同様に準メンバーとなっている。さらに、韓国の場合は、アジア・コンソーシアムを設立して参加することになっており、アジアの他国の参加を今後呼びかけていくことになっている。韓国はKIGAMという地質資源研究院が中心になってIODPに参加する。(海洋地球課)
  • 今年夏頃のライザー掘削試験の際に、研究者等が見学的な立場で乗船することは可能か。可能ならぜひ参加して勉強したい。(長沼委員)
  • 試験運用のため、技術者と機器メーカー関係者が多く乗船し、研究者のための十分な船室を確保できないとは思うが、可能な限り参加していただけるようにしたい。スケジュール等が決まり次第案内したい。それは6月になってしまうかもしれない。(平(朝)委員)
  • 研究者の乗船は、国内外を問わず共同研究として法人間同士の契約により行いたい。これにより、乗船の成果についてアウトプットできるようなメカニズムを構築したい。(CDEX)

‐了‐

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研究開発局海洋地球課