深海掘削委員会(第6回) 議事要旨

1.日時

平成17年6月9日(木曜日) 14時~16時

2.場所

古河総合ビル6階 F1会議室

3.議題

  1. 深海地球ドリリング計画中間評価について
  2. 第5回深海掘削委員会以降のIODPに関する活動について
  3. IODPに関する研究推進体制について
  4. IODPに関する広報活動について
  5. その他

4.出席者

委員

 田中主査、森田主査代理
 佐藤、平(朝)、長谷川、松田、岡田、斎藤、末廣、鈴木、徳山、長沼、宮崎、安田 各委員
 平(啓)海洋開発分科会長

5.議事要旨

深海掘削委員会における審議事項

 今回より新たに参加する委員もいるため、深海掘削委員会における審議事項について確認した。

第5回深海掘削委員会議事録について

 平成17年1月24日に開催された第5回深海掘削委員会の議事録について、6月16日までに寄せられた意見を反映させて、確定することとした。

深海地球ドリリング計画中間評価について

 中間評価の進め方等について、事務局から提案を行った後、ご議論いただいた。事務局の提案の内容は資料6-4参照。主な質疑は以下のとおり。

  • 中間評価は、全体計画の中でどのような位置づけで、頻度はどのくらいか。(佐藤委員)
  • 大規模プロジェクトは、事前、中間、事後の評価が必要であり、プロジェクト毎に実施時期、評価の場はさまざま。深海地球ドリリング計画は、今まで深海掘削委員会でいろいろ議論していただいているため、ここで中間評価していただくのが適当と考えている。(文部科学省)
  • 今予定している「ちきゅう」の試験運用後に評価すべきではないか。まだ「ちきゅう」が動いていないのに評価できるのか。(森田委員)
  • 事前評価から既に7年経過し、IODPのフレームワーク、日本の研究推進体制、「ちきゅう」の性能等、今評価すべきことは多くある。また、総合科学技術会議から「5年以上計画しているプロジェクトなのに中間評価を行っていない」との指摘も受けており、「ちきゅう」の完成という節目で評価をすべきと考えている。なお、評価小委員会の委員については、海洋開発研究機構等に属する直接的な推進側の委員以外の委員で構成することを案としている。(文部科学省)
  • 広義では海洋開発分科会や科学技術・学術審議会そのものが推進側かもしれないが本案の配慮で、十分客観的な評価ができると考えている。(田中主査)
  • 予算が十分に確保されているか、あるいは見通しがあるかは評価の対象か。(佐藤委員)
  • 予算そのものを評価するということは中間評価の趣旨になじまないと考える。当然、個別事項は予算の裏づけによるものなので、個別の議論のなかで反映されると思う。(文部科学省)
  • 予算についての言及というのは難しい面もあると思うが、書ける範囲内で配慮することは必要だと思う。(田中主査)
  • 事務局案の評価のポイントは必要な項目を十分網羅していると思うが、社会的貢献についても全面的に押し出すべきと考える。(平委員)
  • IODPは意義ある計画となっているかというところで、社会的な観点等を含めたIODPの意義を評価する要素として考えている。(文部科学省)
  • まず科学的意義、次に社会的貢献等の波及効果、最後に国際貢献という観点で我が国がIODPを主導できているかということがその要素ではないか。(田中主査)
  • 中間評価においてIODPの抱える問題をどこまで議論するのか。評価小委員会の委員の方々は問題の詳細をご存じないため、そのような問題は表面化しない評価で終わってしまうのではないかと懸念している。(岡田委員)
  • 最終的に評価報告書に問題点等をどういう表現で記述するかは、とりまとめ時に議論すればよい。まずは、深海地球ドリリング計画の抱える問題をご指摘いただき、それを承知して評価をするべきだと思う。(田中主査)
  • 深海掘削委員会における審議事項で、IODPを効率的に推進するための体制についてとあるが、年に数回の本委員会では、問題を打開するための具体的な議論はできないと思う。例えば、乗船研究者に対する乗船のための旅費等の不足問題を、解決の可否は別として、議論するメカニズムが必要だと考える。(岡田委員)
  • IODPに関しての問題があれば、中間評価において提起すべきと思う。評価小委員会の開催案内は深海掘削委員会の皆さんにも送付し、場合によっては、特にこの委員には出席してほしいとお願いすることもあると思うので、ご協力をお願いしたい。(田中主査)
  • 日本全体に関する推進上の基本的な問題は、文部科学省も含めた話となるので、この深海掘削委員会がそれを議論する場なのではないか。審議事項に記述されている通り、IODP国内推進体制等を審議するのが我々の任務である。(平委員)
  • 問題打開を図るための具体的議論をするためには、委員会の下にワーキンググループ等の設置が必要だと思う。(岡田委員)
  • 問題については、深海掘削委員会の委員全員の意見が取り入れられるような方法を考えるべき。(森田委員)
  • 第1回の評価小委員会で、委員に集まっていただいて、どういう手順で評価を進めるかを最初に議論する。(田中主査)
  • 話は戻るが、具体的にプロジェクトを進めていくうえで、具体的に問題を議論していくにはどのような方法が必要か。(平分科会長)
  • 日常的に我々が打合せを頻繁に開くことで解決できるものはして、解決できない根本的な問題は、深海掘削委員会で議論し、ご意見を伺うのがよいと考える。(平委員)
  • 勿論、深海掘削委員会はIODPを効率的かつ円滑に進めるように調整する場である。問題があるのなら本委員会に提言していただいて取り上げていけばいいし、今までもそうしてきた。例えば、IODPは国際的な事業であり、研究者が活動するための資金が競争的資金だけでは難しいということ等を議論してきた。これからもIODPが抱える問題について議論したい。(田中主査)
  • 岡田先生の指摘の中には、国が進めるプロジェクトとはどうあるべきなのかという根本的問題があって、IODPだけではなく、他の大型プロジェクトにも共通の本質的問題である。海洋開発分科会、科学技術・学術審議会にその問題が上がっていくことが重要だと思うので、深海掘削委員会で議論すべきである。(平委員)
  • IODPに関する問題については、J-DESCの執行委員会に文部科学省からも参加する等により議論している。しかし、その議論の結果は科学技術・学術審議会か、総合科学技術会議かどこであれば政策に反映できるのかということを考えている。中間評価において研究推進体制等の問題について「不完全な体制が問題であるので改善しなければならない」という指摘をいただくことは意義があると思う。(徳山委員)
  • 今日、科学技術・学術審議会の研究計画・評価分科会の中に、新しく地球観測推進部会が設置された。これまで地球観測推進は、いろいろな主体が個々のプロジェクトでやってきたが、これを総合科学技術会議のもと、この部会でSABCのような評価を毎年概算要求前に行うことで、よい評価を受ければ予算化の弾みがつく。今後この動きについても、事務局中心に情報を集めながら対処を検討していく必要がある。
     次に、資料にあるような評価のポイントについて、関係者の話をもとに評価を行うが、どうしても身内の評価のような印象を与えざるを得ない。例えば、普及広報活動について、何をどのように向上させたかということを、数値目標として示すことが要求されるのではないか。(平分科会長)
  • 今回の中間評価については、事前評価時に確認されたことと比べ、どうなっているかということについて、可能なものはある程度定量的に、難しいものは多少定性的に扱い検討したい。
     地球観測推進部会は、地球観測サミットでのこれからの世界の10年観測実施計画を作ろうという流れに日本として対処するため、全省庁に跨る地球観測計画を作ることを目的として科学技術・学術審議会に設置された。個別のプロジェクトの妥当性や、推進体制、問題点等については個別の分野を扱う委員会でしっかり議論をして解決していくということが重要である。さらに、財政当局に対して、予算の必要性のしっかりした裏づけを個々の委員会でしていくということも非常に重要である。勿論、地球観測推進部会の情報に関しては、当課が事務局の委員会であり、我々からも引き続き情報提供させていただきたい。(文部科学省)
  • 深海掘削委員会は、具体的な問題も含め全部理解すべき委員会だとすれば、年に2、3回では少なすぎる。少なくともIODPの始まりの数年間は回数なり時間なりを増やすべき。第1回評価小委員会で、深海掘削委員会の皆さん、現場にいる人たちから問題を提起していただいたらどうか。(岡田委員)
  • 我が国の深海地球ドリリング計画の定義について、まだ明確な共通理解がないのではないか。J-DESC、JAMSTEC、文科省を含めた我が国の取組みを深海地球ドリリング計画とするなら、IODPにおける国際関係も含めた総合的な計画書のようなものがあるべきではないか。(末廣委員)
  • そういう共通理解を持つために国内をとりまとめるIODP国内委員会等が存在している。事業計画を審議及び承認するのはIODP国内委員会だと思う。(平委員)
  • 総合的な計画はどうで、それに照らして必要な要素が揃っているかという総合的な視点が欠けているように思える。その総合的なところについて、共通認識を持たないと、問題点がよく見えない。平成10年のときは、いかに掘削船「ちきゅう」を建造して、サイエンスに役立てるかというところに重きが置かれた計画が存在した。今の深海地球ドリリング計画について難しいのは、米国等各国と共同で計画を立ててIODPを推進しているわけですから、各国も含めた国際的な長期計画というのは、この平成10年の段階ではできていなかった。(末廣委員)
  • 平成10年の評価報告書の序文に、当時の深海地球ドリリング計画というのは、JAMSTECが提唱していた計画と書かれているが、それがやがていろいろな研究者、機関等が寄り集まって議論をして、最終的に現在の、我が国のひとつのナショナルプロジェクトになったように理解してよいか。(宮崎委員)
  • 深海地球ドリリング計画という言葉が、確かに平成10年時点の深海地球ドリリング計画と比べ幅広くなっている。平成10年の時点ではJAMSTECの事業として深海地球ドリリング計画があったが、今回の評価の対象とするのは、それを軸として、日本の研究者集団の取組み等の関連活動を含めたものと考えている。(文部科学省)

第5回深海掘削委員会以降のIODPに関する活動について

 第5回深海掘削委員会以降のIODPに関する活動について、文部科学省より関連組織毎に活動内容の報告を行い、ご審議いただいた。

IODPに関する研究推進体制について

 IODPに関する研究推進体制について、徳山委員より日本地球掘削科学コンソーシアムにおける検討状況をご報告いただき、ご審議いただいた。主な質疑は以下のとおり。

  • 平成10年の航空・電子等審議会の評価報告書のサマリーにおいて、序文で松野先生がハードは立派だがそれを有効に使いこなすソフトに欠ける恐れがあると指摘している。乗船旅費も含め研究費のほとんどを競争的資金に頼るという現状は、多くの意味で難しい面がある。競争的資金の対象は非常に限られた分野であり、このような事業への参加のための資金をどのようにして確保するのかというのは他のSpring8、RIビームファクトリー等の施設も共通に抱える研究者にとって大きな問題である。深海掘削委員会の通常行っている活動の他に、こういうプロジェクトに関して、事業費的なその参加・活動のための予算の確保に関する提言をこの委員会からすべきではないかということに関し、この委員会で原案が毎回出ているが、まだ成文化したことがないので、これを成文化し、海洋開発分科会にしっかりと上げるということが大事だと思う。(平委員)
  • 第3期基本計画の議論等の中でも次の方針として、これまでの競争的資金だけを重視したものに加えて、基盤的な経費も考えるという案をデュアルサポートという言葉で文部科学省の方が提案しており、「深海掘削委員会の委員として、このようなプロジェクトをやっている中で一番困るのは、やっぱり競争的資金だと計画が立たないと。だから、ぜひデュアルサポートでやっていただきたい。」と要望した。しかし、第三期基本計画の議論の中で、それはこのプロジェクトに限ることではなく、大学等の研究機関のサポート等についてもデュアルサポートの対象であると指摘されているが、今はそのような問題提起が行われただけで具体的な行動には至っていない。(平分科会長)
  • 同じプロジェクト研究でも、完全に国が概算要求を通して経費をつけている研究もあればその逆もある等、競争的資金への依存度がプロジェクトにより違う。国のプロジェクトに競争的資金だけで取り組めと言われても定常的な予算の担保がないため何も約束できない。今後、考えがまとまった段階で改めて問題提起したい。(田中主査)
  • 航空・電子等技術審議会での評価報告書の序文に「実施主体である海洋科学技術センター」と記載があるが、このような記述があると、深海地球ドリリング計画関連の資金は全てJAMSTECで面倒見てくれるような誤解を招き、競争的資金の獲得が難しくなる。大学の研究者もIODPに貢献したいという意思があり、競争的資金を取りたいので、研究費についてはJAMSTECに全て資金を出していただいているわけではないという事実が正確に伝わる表現にしていただきたい。(徳山委員)
  • 日本の宇宙に関する取組みについて、宇宙ステーションに積む日本の実験モジュール「きぼう」は世界から公募して使っていこうというプロポーザルベースの利用が考えられている。でも、実際に日本がお金をかけて作ったのに使うのは外国ばかりという事態は懸念されているので、日本の国内の研究者に頑張ってもらうため、宇宙フォーラムが地上試験のためのお金を配っている。JAXA(ジャクサ)に対して宇宙フォーラムという組織がある。IODPについては、CDEXに対してJ-DESCという組織はあるけれども、宇宙と違うのは、J-DESCにはファンディング機能がない。J-DESCがファンディング機能を持って、「ちきゅう」という船を日本の研究者が積極的に、そして主体的に利用していくための予算の方策というものが何か作れないのかということについて、深く考えた方がいい。(長沼委員)
  • 先日、ローマで欧米のサイエンスを担当している組織と会合を行った。欧米の機関はスタッフを10人以上抱えていて、アメリカはNSFから資金が直接その組織に流れており、業務として運営をしている。日本の場合は、ほとんど全ての活動をボランティアベースでやっており、大学の教員たちが乗船研究者の派遣、掘り起こし、広報全て行なっている。「ちきゅう」を支える、あるいはIODPを支えるソフトの組織の欠如が日本の問題ではないか。これを含め、今後提言していただきたい。(鈴木委員)

IODPに関する広報活動について

 IODPに関する広報活動について、文部科学省および平(朝)委員より国内関係機関における広報の取組みおよび検討状況をご報告いただいた。

‐了‐

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研究開発局海洋地球課