海洋研究船委員会(第6回) 議事録

1.日時

平成19年4月23日(月曜日) 13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省4階 宇宙開発委員会会議室

3.議題

  1. 海洋研究船の運用について
  2. 我が国として整備すべき海洋研究船について
  3. その他

4.出席者

委員

 平(啓)主査、磯辺、今脇、大塚、小池、鈴木、平(朝)、田中、玉木、徳山、花輪、平井、松山、門馬、山室 各委員

文部科学省

 近藤 海洋地球課長、大土井、山田 海洋地球課課長補佐

5.議事録

1.我が国の海洋研究船の運用体制・形態について

【平(啓)主査】
 ただいまから第6回の海洋研究船委員会を開催いたします。本日はお忙しいところ、お集まりいただき、ありがとうございます。
 それでは議事に先立ちまして、文部科学省海洋地球課の近藤課長からごあいさつをお願いいたします。

【近藤海洋地球課長】
 海洋地球課長の近藤です。先生方には日ごろから海洋研究船並びに海洋の科学技術振興にご尽力いただきまして、ありがとうございます。私から若干、最近の海洋にめぐる動きとこの会議について説明させていただきたいと思います。
 前回のこの委員会でも若干ご報告しました海洋基本法についてですけれども、前回の報告以後、自民党、公明党、民主党の調整のもとに法案が作成されまして、4月3日の衆議院の国交委員会に委員長提案、議員立法という形で提案されまして、その日に衆議院の本会議を通過しております。その後、4月19日に参議院の国交委員会での質疑を踏まえまして20日に本会議で可決、成立とされ、7月中には施行予定ということになっております。今後法律に基づきまして内閣官房に総合海洋政策本部が設置されるとともに、その中で海洋基本計画策定というものが行われる予定になっております。
 基本法の中の科学技術に関しましてはこの前も若干ご説明申し上げましたけれども、基本理念の中で海洋に関する科学的知見の充実が位置づけられております。また、基本的施策の中では、海洋調査の推進、海洋に関する科学技術の研究開発の推進が位置づけられております。我々としても今後策定されます海洋基本計画の中に科学技術分野の振興をしっかり位置づけていく努力をしていく必要があると思っておりますので、皆様のご協力をよろしくお願いしたいと思っております。それが1点でございます。
 それから本委員会について若干ご報告申し上げたいのですが、前回の会議までで5回の委員会をしていただいております。特に前回の会議では今までのいろいろな調査、整理を踏まえまして、今後の運用体制あるいは整備すべき海洋研究船についてご議論いただきました。その後、実施機関である東大海洋研、JAMSTECの意見も十分聞いて具体的な案をつくったらどうかという話がありましたので、東大海洋研の皆様、JAMSTECの皆様とひざをつき合わせていろいろ議論させていただいき、今回、運用、整備すべき海洋研究船について、事務局で案を整理させていただいております。
 本日の会議では、この事務局で整理させていただいたこれまでの議論、あるいは海洋研、JAMSTECの意見を踏まえて整理しました運用及び整備すべき海洋研究船についてご議論いただいて、可能であれば方向を取りまとめていただきたいと思っております。
 なお、その後の取り扱いでございますけれども、あくまでも事務局の案でございますが、本日の意見を踏まえまして次回、5月ごろには最終的な取りまとめ案、本日お手元にイメージをお渡ししておりますけれども、それについて議論いただいて取りまとめていただくということで、必要があれば若干修正等々をする必要があると思いますが、最終的には6月前にはこの研究船委員会での1つの区切りとしての取りまとめをしていただいて、6月に行われる予定の海洋開発分科会に報告していきたいと考えておりますので、よろしくご協力のほどお願いいたいと思います。
 本日は忌憚のない意見と取りまとめをよろしくお願いします。
 私からは以上です。

【平(啓)主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。

【大土井海洋地球課長補佐】
 資料の確認でございます。お手元の資料をごらんください。
 資料6-1、科学技術・学術審議会海洋開発分科会海洋研究船委員会の名簿でございます。資料6-2、第5回の海洋研究船委員会の議事録でございます。この議事録につきましては、コメント等あれば1週間以内に事務局までお知らせください。なお、参考資料2を添付しておりますが、分科会の運営規則が若干変更になっております。次回以降の議事録につきましては、会議で確認することなくメールでやりとりさせていただきまして、事前に了解がとれればその時点で公開とさせていただきたいと思っております。資料6-3、海洋研究船の運用について。資料6-4、我が国として整備すべき海洋研究船について。資料6-5、海洋研究船委員会の取りまとめのイメージ案でございます。参考資料1としてUS&EU Fleet Planと、参考資料2、海洋開発分科会の運営規則。最後に参考資料3、委員会の設置について。以上でございます。
 不備等ございましたら事務局までお知らせください。

【平(啓)主査】
 それでは皆さんのお手元にこの委員会の名簿が出ております。その名簿の中で新しい委員が徳山先生と原田さんですが、それでは徳山委員、何か一言お願いします。

【徳山委員】
 よろしくお願いいたします。

【平(啓)主査】
 本日、原田委員はご欠席ということです。
 それから、第5回の本委員会に研究所のほうの公務で来られなかったので、今脇分科会会長から一言だけあいさつをお願いします。

【今脇委員】
 九州大学応用力学研究所の所長の今脇です。よろしくお願いします。
 前からこの研究船委員会の委員ではありましたが、この春から平先生が分科会長をされていました海洋開発分科会の後を引き継ぎまして、分科会長という役割を仰せつかりました。今までよりはもうちょっと一生懸命きちんとしないといけないと思っています。よろしくお願いします。

【平(啓)主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは議題1、「海洋研究船の運用について」ということでございますが、これについて事務局からご説明をいただきたいと思います。

【大土井海洋地球課長補佐】
 ご説明差し上げます。資料6-3をごらんください。
 海洋研究船の運用については前回の委員会においても先生方からご議論いただきまして、コメントをいただきました。その結果を踏まえまして、事務局で案を作成しました。その資料がこの6-3でございます。
 先ほど課長からの説明にもありましたとおり、JAMSTEC、東大海洋研、文部科学省の三者の中で事前に調査をさせていただきました。おおむね合意をしたものと理解しておりますが、若干まだ修正が入る可能性があります。先生方にご議論いただきまして、この運用について確定したいと思っております。
 資料の中身でございます。「1.現状」でございます。これまでの経緯が書いてございます。平成16年の独法化により「なつしま」「かいよう」「かいれい」「よこすか」及び「みらい」の5隻に加えまして「淡青丸」「白鳳丸」がJAMSTECに移管されました。もともと持っていた5隻につきましては、海洋機構が独自に行うプロジェクト研究のほか、海洋機構に設置されました深海調査研究委員会等において研究課題を公募・課題選定・研究計画の作成を行いまして、外部の研究者の利用に供しました。東大海洋研から移管されました「淡青丸」「白鳳丸」につきましては、基本的にその全期間を対象にしまして、海洋研に設置されました学術研究船共同利用運営委員会において公募・課題選定・運航計画案を作成しまして、全国共同利用に供しております。
 このプロセスを経まして運航計画案は、JAMSTECで最終決定するというのが今までの現状でございます。
 「2.現状の運航体制による長所及び課題」でございます。これまでこの海洋研究船の建造の経緯及びその特徴を踏まえてこの仕組みがつくられておりまして、その成果は着実に機能してきていると考えております。しかしながら、研究課題の採択が別の体制で行われることによりまして、観測海域が重複する場合がある、あるいは研究者の申請先が船によって異なるという課題があるのではないかと考えております。これらの状況を踏まえながら、我が国の海洋研究のさらなる振興を図るため、今後あるべき姿について検討を行うことが必要です。海洋研がこれまで運航を行ってきた「淡青丸」「白鳳丸」が海洋機構へ移管され、現行の運航体制となってから3年が経過しておりますので、これを再検討した上で、必要に応じてさらに効果的、効率的な運航体制へ改革することを主としたいと思っております。
 次のページでございます。「3.改善方策」でございます。現行の運航体制を基本としつつ、研究課題の公募、課題選定等の体制を一元化し、全国の研究者への共同利用を図るべく運用すると。これによりまして一層の研究者の利便性の向上と運用の効率化を図るということでございます。具体的には以下のとおりになります。
 まず、海洋機構におきまして研究船共同利用運営委員会、これは仮称ですが、今ある学術研究船の運営委員会を若干改組するなり機能追加するなりということをイメージしております。これと調整しながら、「なつしま」「かいよう」「かいれい」「よこすか」「みらい」の5隻につきまして、海洋機構のプロジェクト研究として使用する時期、期間及び海域を特定しまして、供用利用分を決定いたします。
 次に研究船共同利用運営委員会(仮称)におきまして、海洋機構と連携協力をしながら「淡青丸」「白鳳丸」に加えて上記5隻の供用利用に係る課題の公募・課題選定を行います。このとき、研究者は乗船を希望する海洋研究船及び利用を希望する研究施設・設備を申請書に記入し、研究船共同利用運営委員会(仮称)におきまして、これに基づいた審査・採択を行い、各船の特性を踏まえて研究者及び研究課題の割り振りを行います。これによって、海洋研究船全体における課題・海域・時期の重複の調整が可能となります。
 研究船共同利用運営委員会(仮称)で採択されました課題をもとに、それぞれの海洋研究船の最終的な運航計画を策定いたします。その際、研究船共同利用運営委員会(仮称)との調整を十分に行うということでございます。
 また、今後整備する研究船につきましても、上記の運航体制によって運用することをイメージしております。海洋機構におきましては、この船の特性に十分配慮しながら供用利用期間等を決定するものとしております。
 なお、これによりまして得られた観測データの取り扱いについてですが、研究者の研究活動における利便性を担保しながら、海洋に関する情報の収集、整理、保管及び一般への提供の観点から、データの所在管理等を適切に行うことを考えております。
 以上でございます。

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。
 それでは理解をもっと深めるために、海洋機構並びに海洋研のことをもう少し説明いただきたいと思います。「1.現状」の、最初のポツでありますJAMSTECが行ってきた5隻の船については、海洋機構が独自に行うプロジェクト研究のほか、海洋機構に設置された深海調査研究委員会等にて研究課題を公募と、以下のことがありますが、これについて委員の構成とか、深海ではあるのですがほかの船も当然、「みらい」等もやっていると思うのですが、これは平朝彦理事からがいいですか、それとも門馬委員から

【大土井海洋地球課長補佐】
 門馬委員からお願いします。

【平(啓)主査】
 それでは、質問は、まず深海とあるのですが、ほかのものも扱うかどうか。それから構成する委員はどういうふうになっているのかというのを、一言でお願いいたします。

【門馬委員】
 JAMSTECの門馬です。
 実は公募をしているのは2種類ありまして、1つは深海調査、もう1つが「みらい」の共同利用型と呼んでおります。深海調査のほうは主に深海研究を対象としております。要は「しんかい6500」を使ったり、あるいは無人探査機「かいこう7000」を使ったりという研究ですね。これにかかわる研究を深海調査研究と呼んでおります。もう1つが「みらい」なんですが、これは主に海洋物理関係の研究を公募していまして、「しんかい」と若干違うのが、深海調査は全くオープンの公募でして、特に課題に制限は設けておりません。それに対して「みらい」のほうは主要課題というのをつくりまして、それに基づいたサブ課題を募集しております。
 委員の構成ですが、深海調査のほうは大学あるいは国立、公立の研究機関、JAMSTECで、人数ははっきり覚えておりませんが委員会が3つありまして、全部合わせると30人近くになります。それから「みらい」のほうは、今、委員会は1つですが大学を中心として10数人の委員にお願いしております。

【平(啓)主査】
 どうもありがとうございました。
 海洋研の学術研究船共同利用運営委員会については、徳山先生が一番詳しいのでお願いします。

【徳山委員】
 私どももほぼ同じような体制で、公募の審査、採択されたものが実際に公開に供するときはそのテクニカルサポートをするというようなことをやっております。
 今までの内容とあまり変わりありませんが、この三者会談によって問題点があるという議論があったということを二、三お伝えしたいと思います。
 1つは一元化というのは非常によい言葉で大変美しい言葉ですけれども、その理解している内容がいろいろな方によって一元化の内容が異なるということで、そこら辺をしっかりと定義づけというか、内容を詰めなければいけないという議論がございました。
 もう1つは、この案では大変よろしいことに、今まで海洋研究開発機構がお持ちのすべてのフリートを一緒に運航するということでございますけれども、「白鳳丸」「淡青丸」の場合は今までの経緯がございまして、乗船者の交通費とか運搬費とかいうのが学術機関から援助を受けていたというか、予算化されていたということがございます。それを新しい体制にするときはどういう仕組みをつくるか、やはり知恵を出して研究者の利便性を損なわないように、何らかの解決方法を見出したいというようなことが議論されていたと記憶しております。
 あとはこれからの問題ですけれども、データの扱いに関してはやはり全国のユーザーが心地よく研究できるような、そういうシステムをぜひ新しくつくっていきたいというようなことが議論されたと思います。
 よろしいでしょうか。

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。非常に立ち入った、先の議論も出てきましたが非常に重要なことで、これはこの委員会で議論して態度を決めるというか、ぜひこれから代船もつくっていかなきゃいけないので、いい方向に持っていきたいと思います。
 それで、今、徳山先生の話では、「白鳳丸」は従来どおり3年計画の長期運航でやっているわけですね。

【徳山委員】
 現在でございますか。

【平(啓)主査】
 現在の、今のところ。

【徳山委員】
 はい、そうでございます。

【平(啓)主査】
 門馬委員、JAMSTECの長期計画はどうなっていますか。

【門馬委員】
 深海調査の場合は大体5年ですね。「みらい」の場合は10年ですけれど、3年ごとに見直すようにしています。いずれもこの2年以内に新しい長期計画をつくる予定にしています。

【平(啓)主査】
 ありがとうございました。
 それで一番下のポツは、船の運航は海洋機構が行うということで、運航計画の決定は予算その他のことがありますので、移管されたからには責任を持つところがこういうふうになっていると理解いたします。
 それでは、2番にもう移りますか。それとも皆さんに現状はどうなのかだけでも、質問があればここで受けつけたいと思いますが、いかがですか。

【玉木委員】
 今の計画年数の話ですけれども、「白鳳丸」は3年、「しんかい」は5年、「みらい」は10年と出てきましたけれど、私の理解では「白鳳丸」3年というのは航海計画そのものが3年でつくられているわけですけれども、「しんかい」は航海計画そのものは5年ではないので、「白鳳丸」を3年といった場合は「しんかい」は1ないし2年とか、そういう感じではないかと思いますが。

【平(啓)主査】
 「白鳳丸」と同じように5年と思ったのですが、もう少し今の説明をしていだけますか。

【門馬委員】
 5年というのは研究の中身の話でして、幾つかのテーマに分かれているのですが、そのテーマに関して5年ごとに決めていくということで。船の運航は毎年やっていますから1年ごとですね。それから、2年にまたがった計画というのは、船のほうはありません。

【平(啓)主査】
 わかりました。「白鳳丸」の場合は、今、玉木先生がおっしゃいましたように3年間ほとんど日にちまで決めていますね。いろいろな事情で変更することが各年度であるにしても、原則はすべて何日出航でどこへ行って、どこへ寄港するまでは決まらないですけれど、そういうことになっております。
 ほかにいかがでしょうか。

【小池委員】
 「みらい」の場合10年というのは、今のカテゴリーで言うとどういう意味での10年ということですか。

【門馬委員】
 長期研究計画と呼んでおります。これはJAMSTECだけじゃなくて大学の人も含めて、この10年間はどういうことをやろうかという計画をつくっております。
 今、実は見直しの時期に入ってきています。船のシップタイムを決める計画ではありません。「みらい」は「白鳳丸」と同じような形で3年ごとに船の計画をつくって、もちろん毎年見直しているわけですけれど。

【小池委員】
 そうすると、3カ年の航海計画は決めていて、研究の内容に関しては10年の長期計画を決めるというふうに理解してよろしいですか。

【門馬委員】
 「みらい」の場合には航海計画といっても非常に暫定的なものでして、それがそのまま3年そのとおりになるわけではありません。非常に大ざっぱな、どこに行くかを決めるぐらいのことで、細かい計画まで決めるわけではありません。

【平(啓)主査】
 僕も徳山先生に確認しておきたかったのですが、JAMSTECの場合は大学の先生も入っているというと外部からの委員が入っているということになりますが、こちらのほうは東大海洋研以外の委員も入っているのですか。

【徳山委員】
 申しわけない。省略しましたが、それも含めてほぼ同じような外部の方も含めた審査委員会になっております。それはここにいらっしゃる玉木委員がつくったので結局ひな形が同じですから、ほぼ同じだと私は理解しています。

【玉木委員】
 両方の委員会の違いは、海洋研の研究船運航委員会は海洋研の教授が委員長であるのに対して、海洋機構のほうは外部の人が委員長になるというところが大きな違いかと、私は思います。

【山室委員】
 2番の「現状の運航体制による長所及び課題」のところで課題となっているのが、この2つ目の丸の「しかしながら、研究課題の採択が別の体制で行われていることにより、観測海域が重複する場合がある」ということと、「申請先が船によって別々となる」ということですけれど、それぞれ船が違うので、別に海域が重なっても問題というふうに私にはこの文章だけからはわからないので、一体どのあたりが問題なので改善しなければいけないか、外部の者にわかるように説明していただけると助かるのですが。

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。実は私はまだ1番の「現状」のほうのつもりで進めておりました。それでは、既に2番に意見が出ていますのでやります。
 そうしますと2番の3つ目の丸ですが、もう平成16年に大学も大学法人になりましたし、JAMSTECも独立行政法人になってちょうど3年が経過して4年目に入って、もう1クールやったので、「効果的かつ効率的な運航体制へ改革することが適当である」というのが、結局この提案理由になります。
 質問としては、今、山室委員がおっしゃったように、同じ海域に行っても一方は海洋物理、一方は地学をやるとか海洋科学をやってどこが悪いということは、研究者としてはあると思うのですが。これは徳山委員、どうですか。

【徳山委員】
 差しさわりがあるほど支障があるかどうかというのは各個人の受け取り方によるとは思うのですが、実際例から申し上げれば、ほぼ同じような研究内容でA船は以前海洋研、東京大学の船であった場合、B船は従来からJAMSTECの船だった場合、両者で同じようなことを出される場合もありまして、その場合はお互いにプロポーザルを評価する際、お互いの運航方の人たちに出ていただきまして、「これ出ているよ、これ同じだよ」「じゃあ、こっちを認めたらこっちをやめましょう」なんていうような不都合に近いことはございました。今後はまた、「白鳳丸」とか「みらい」とか遠洋型の船も2船で調査をやりたいというとき、コーディネーションするには便利であろうという面は感じられます。それが決定的な理由かと言われると、まあ、効率は上がるとは間違いなく言えますけれど、どのぐらいかというのは、もう個人の受け取り方だと私は思いますけれど。

【平(啓)主査】
 今の徳山先生からの話もありましたが、私も2002年に、塚本勝巳先生のウナギの航海に乗りまして、マリアナ海溝で私は「白鳳丸」に乗船していましたが、同時に「なつしま」がやってきて無人探査艇でやるとか、あまり記憶ははっきりしていないのですが、2002年8月の話ですが、そういうことで同時に2隻がそれぞれの特徴を生かした航海はやったことはあります。
 山室委員、一体何が不便ですかというは、今のでよろしいですか。

【平(朝)委員】
 今、山室委員の質問にもあったことですけれども、多分こういうことだと思います。確かに2番目の丸に書いてあるのは、重複したり、ある意味ささいなことのように思いますが、今までの運航体制はやはり海洋研究所の古い、古いってごめんなさい、昔からの共同利用体制と、それから機構の古いプロジェクトと深海研究と「みらい」、それはいろいろな研究所の都合でつくられてきたシステムで、例えばウナギの航海だとしますと、塚本さんがいないので言っちゃいますけれど、ウナギがどこで卵を産むのかという問題が海洋研究にとって最大の課題の1つですと言った場合、じゃあ、それをほんとうに日本のオールジャパンとしてどのようにアプローチしていくかということを、日本が持っているさまざまなリソース、7隻の船というものを初めから念頭に入れてプロジェクトを組んで、3年なら3年で解決しますねというようなことをやろうとしたとします。これは今、ほとんど不可能。いろいろな制約が細切れにあって、それができないということは海洋科学の解決ということからしたら非常に問題で、15年やると確かに15年ずっとやるということで職はずっとつながるかもしれませんが、こういう一括した総合的なフリートの運用で初めてそういう研究課題に総合的なアプローチができるようになりました。ということは、今とは全く違う次元の海洋研究ができるということだと理解しています。

【花輪委員】
 この2番目の丸は、多少言葉を隠しているというと変な言い方ですけれど、前回の委員会でここはかなり議論したと私は思っているのですが。例えば議事録の11ページから13ページぐらいに書いてあると思うのですが、問題提起としては、同じ海洋機構が運用しているのに、もちろん経緯はあるわけですけれども別々の委員会で運航計画を立てている、それが外から見た場合、非常に非効率的に見えている、なおかつその重複期間があるないということをもちろん議論されて、あまりないのではないかという話もありましたけれど、そこの透明性をつくるといいましょうか、そういう意味で1つの運用体制にするというのが趣旨で、外から見た場合、2つ、3つの委員会があって、どうも効率性に欠けるのではないかという指摘に対して答え切れないという、そこの部分が取れていますので、2の重複等々が非常に強調されて出てきているような気が、私はしますけれど。

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。そのような指摘が前回もございました。
 それでは2について、この問題点のほかに何か、追加すべきご発言あるいは委員からご質問等ございますか。

【松山委員】
 この「観測海域が重複する場合」という話ですけれど、時期的なものもあると思いますよね。例えば今年の冬から南極周辺の観測をするのが何船か、1カ月遅れぐらいでやるわけですね。そういうことを考えると、少し時期のことを含めておいたらどうなのかなと。観測海域が重複するというだけではなくて。

【平(啓)主査】
 私の考え方はこの資料はディスカッションペーパーで、特に文章には残ってこないと思うのですが、大土井さん、どうですか。このところをもっと文章をよくする必要がありますか。ただ問題点の指摘だと僕は思ったのですが。

【大土井海洋地球課長補佐】
 後で若干説明しますけれども、イメージ案のほうはこれに肉づけをしたものにしようと思っておりますので、書けるところは書いていきたいと思いますので、先ほどの先生のご指摘も反映させていきたいと思っております。

【平(啓)主査】
 そうすると、事は重大ですね。ほかに抜けがないか。

【近藤海洋地球課長】
 「観測海域が重複する場合」という言葉に若干違和感がある、あるいはちょっとよくわからないということで、申請の先が複数あるというのはもう皆さんご理解いただいているので、もう1つは、別々の委員会であるのでなかなか総合的アプローチが難しいというご指摘をいただいているのかなと思います。検討していきたいと思います。

【平(啓)主査】
 もう1つ言えば、平朝彦委員が指摘したように、オールジャパンとして全フリートを使って解決するということは、やはり一緒にやればできると。というのは、ウナギの航海でもマリアナ海溝に毎年行くなんていうわけにはいかなくて、3年に一遍ぐらいしか行けないでしょう。

【花輪委員】
 ほぼ行っていますよ。

【平(啓)主査】
 ほぼ行っていますか、ごめんなさい、実情を知らなくて。それぐらい大変なわけですが、船が7隻あれば、そういう船のシップタイムのやりくりも、ということですが。
 ほかに、今言ったようなことで、時期もあるので重複する……、いいですね、これは。花輪先生の言ったこともやると、議事録から持ってくると長くなるので、その辺に問題があるということですか。

【平(朝)委員】
 ご指摘のとおり2つ目の丸は何か弱いので、もう少しポジティブに、先ほど委員長がまとめてくださいましたけれど、総合的なアプローチや花輪委員が言ったように一括で受けつけることによって、今までできない新しいことがやれるという、もう少しポジティブなアプローチについて書いていただければと思いますので、よろしくお願いします。

【徳山委員】
 私、方向違いなことを申し上げるかもしれませんけれど、確かにこれは改善されるんですが、やはり運航体制そのものを、どんなフリートがどのぐらいあるかということを踏まえた航海の運航体制の一元化と思うので、それを効率的にできることがやはり一番の、それこそが真の一元化だと思うんです。もうJAMSTECに全部まとまりましたけれど、ばらばらでいろいろな機能を持っている船が雑然とあるのではなくて、これはこれができる、この船はこれができるというのをしっかりと持って、それを使った研究ができる、それができるのが一元化というような、そこが一番大きな改善方法だというのを出していただきたいと前から言っているのですが。日にちだけというのか海域というか、あまりにも矮小化しているのではないかと、私自身は感じております。

【小池委員】
 先ほど松山委員がおっしゃったことで、これで7隻が同じ1つの土俵の上で審査できればそれでほとんど解決するという話ではなくて、例えば南極はそちらの船も一緒にコーディネートして行っていますよね。ですから、これさえ済めば日本の海洋の研究は全部済むというふうに言い切ってしまうと、私は、それはうそではないかなという気がするんですね。ですから、今、大学の練習船その他も研究のほうに非常に活用されていますので、やはりそういう余地は残しておかないと、これですべておしまいと言ってしまうと後で問題が残るような気がします。

【門馬委員】
 多分、皆さん同じことをおっしゃっているのではと思うのですが、要は海域が重複するのは実際にあります。しかしよく調べてみますと、やっていることが全然違うんですね。ですが、第三者が見た場合、これが果たして透明性があるのか、あるいは全体的な調整がされているかというのは、今はないわけですね。ですから花輪先生がおっしゃったように、第三者から見て透明性を確保するようにこれからやれば、何の問題もないと思います。ですから委員会が3つあっても4つあっても、その全体を調整する部署があればいいのではないかと、僕は個人的に思いますけれど。

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。
 それでは次の「3.改善方策」に行きまして、最初の丸のところ、「具体的には以下の運航体制にて運用する」と、中身をある程度言っていますので、(1)から議論をしていきたいと思います。
 じゃあ、小池先生から少し。

【小池委員】
 先ほどの、例えば「みらい」の供用利用分というのは、一体何が供用利用分になると。

【門馬委員】
 実はまだどこまでがというのははっきりしていませんが、僕の理解では全部だと思っていますけれども。

【平(啓)主査】
 いや。我々の理解はJAMSTECとして政策目的に自分たちが、というか政策目的で運航する期間があると。で、供用部分というのは……、それのことですね、それ以外というか。ちょっと文章がおかしいな、ここのところ。

【門馬委員】
 ちょっと言い過ぎたかもしれません。例えば「みらい」の場合にはブイの運用があるので、それが残るといいますか、JAMSTECのプロジェクトとしてさっ引かれる可能性はありますね。

【今脇委員】
 今の関連で、例えば北極海とか、プロジェクトとして取られている以外の分は全部供用になるのですか。

【平(朝)委員】
 基本的にはそうです。門馬委員が言ったように、「みらい」といえども5年とかそういうロングレンジのテーマは決めていますけれど、年々のことに関しては「みらい」の委員会で、基本的には供用しているという精神でおります。それが全国共同利用という海洋研の形態とは違うことはありますけれど、基本的に全国の研究者に研究船の利用を提供して一緒にやっていると、そういう理解であることは確かです。

【今脇委員】
 ちょっと深追いして申しわけないですが、僕らが考えているのとかなり違うのですが、じゃあ、供用利用分については、今度はこの仮称の委員会が一体でやるので、もう全国共同利用のやり方に近いようなことになると思うのですが、今までと「みらい」の使い方が相当変わってもよいということですね。

【平(朝)委員】
 全国共同利用の使い方というのが、イコール海洋研究所が今までやってきた全国共同利用の使い方、とまるっきり同じかというのは、私は一緒に話し合っていかなきゃならないと思います。でも精神は、全国の研究者にできるだけたくさん使って海洋研究をかさ上げしていく、向上させるということですから、そういう意味では同じであると。

【今脇委員】
 非常に大英断だと私は思いますので、歓迎します。ありがとうございます。

【平(啓)主査】
 そうすると、もう少しイメージをあれすると、深海調査のほうは5年計画だったですね。「みらい」のほうは10年ですが、具体的にはその年度、年度ですか。つまり今の「白鳳丸」と同じようなものなのか。年度ごとになんですか、細かいことはまだ考えていないということでよりしいですか。

【門馬委員】
 まだ細かいことは決まっていないのですが、基本的には年度ごとになると思います。あるいはある程度の長期計画をつくって3年ごととか。ちょっとまだその辺はわかりませんけれど。

【平(朝)委員】
 具体的な話というか細かい事務的な話で、確かにいろいろなクリアランスを何とかするのに、外洋に行くにはやっぱり3年ぐらいのレンジがないと調整できません。ですから実質的に、もう実務的にそういう話になってくると思いますね。

【徳山委員】
 この仮称の研究船共同利用運営委員会という、専門家だけではないという私のイメージではあるのですが、この委員会が実質上ハンドリングすると私は理解していますので、この研究船委員会からこういうミッションをしなさいと、例えば今言ったようにどういう全国共同利用の新しいフレームワークをつくるかということも含めてここで議論しなさいと、そこに何でも落とせばいいんだと私は思うので、その内容はこの研究船共同利用運営委員会という仮称のところで議論するべきであろうと、私自身は考えておりますけれど。違うの?

【近藤海洋地球課長】
 そこは我々が三者で調整させてもらったときにもいろいろ議論になりまして、JAMSTECにもミッションがあります。それは我々が中期目標でお願いしまして、そこがここに書いてありますプロジェクト研究という形で出てくると考えております。ですから、ここで書いてありますように「研究船共同利用運営委員会(仮称)と調整しつつ」というのはまさに、そこで調整していくということを明示しております。この運営委員会ですべて決めてしまうことになるわけではないのですが、「調整しつつ」というところでしっかり整合性をとっていくということでございます。

【花輪委員】
 前回も同じような話をしまして、「みらい」であれば海洋機構はミッションを抱えていまして、5課題、6課題が毎年走っておりましてかなりの日数を取っているわけですね。私自身はそういうのは取ってもいいと思います。ほんとうに供用利用分というのは、前回も20パーセント、30パーセントという話をしましたけれども、ここは何にも縛りませんと。通常の公募をして審査をして、採択をして使ってくださいというのが私の理解です。ですからその上の文章が大事で、「海洋機構がプロジェクト研究として使用する時期、期間及び海域を特定し」、特定したらそれは海洋機構が自分のミッションのために使いますよと。だから残りの部分が研究船共同利用運営委員会で自由に、ほかの船と同一レベルで行ってくださって結構ですというふうに私は理解したいのですけれど。

【平(朝)委員】
 まさにそのとおりです。花輪委員の理解のそのとおりです。

【鈴木委員】
 今、供用、供用と言っておられる中で、研究目的によってどうしても行かなければいけない海域があったり時期があったり、それはそれに向かって特定の船を持っていかないとできないということになりますね。しかし「みらい」のようにかなり広範に動く船については、JAMSTECのミッションと平行しながら適合する研究であれば一緒にやっていただくと。このようなイメージも供用の中に入っていると思うのですが、そういう理解でよろしいですか。

【平(啓)主査】
 そういう部分がもちろんございます。例えば赤道海域に行って大気のサンプリングをするとかっていうのは、赤道海域に行くことが重要なわけです。ところがトライトンブイの設置回収作業等をやると、それ以外にウインチを使って測器をおろすとかというのはやはり制約があることは確かですけれど。ですからこの辺は、供用部分以外についても当然、研究者が現状も使っているし今後も利用させますということで、これはそのとおりできると思います。

【平(朝)委員】
 いわゆる相乗りのような部分ですね。JAMSTECのプロジェクトがあってそれに参加してくださいという相乗りで、データ等々についてはこっちもシェアしますよという部分と、全く空白の何時間か何日か、何カ月かわかりませんけれど、これはもうブランクで自由に書き込んでくださいと、それも私はありべしだと思っています。ただそれが「みらい」に関してどのぐらいですかと。それが例えばオーストラリアをやっていて何カ月の間に北大西洋に行ってくださいと言われると、それは船のいろいろな効率上、お金の問題上、急にはできないかもしれませんが、そのブランク期間で完全な供用というのもありうるべきで、それがどのぐらいあるか、それこそ調整のマターであると、そういう理解であると思います。

【小池委員】
 この(1)の供用利用分というのは、やはりこれは基本的に船1隻が自由に使えるというのが基本的な定義だと思います。今言った、行き先とか季節は決まるけれど、それに対して一緒にできる人は入れるというのをこれと同じ定義にしてしまうと、非常に話がわかりにくくなるので、私はそれも公募して一緒にやっても構わないと思うのですが、少なくともここで書いてある中では、それは供用部分とは言わないと考えるというふうにしておいたほうが、私はやはりJAMSTECは「みらい」を使ってしっかりしたプロジェクト研究をやっていただきたいですね。それを、全部皆さん自由にお使いくださいというのはあり得ない話ですよね。

【平(朝)委員】
 あり得ません。

【小池委員】
 ですから、それはぜひそういう格好でやっていっていただきたいと思います。

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。
 先ほど徳山先生がおっしゃったのは、仮称のこの委員会はそこでマンデイトも自分たちで決めたらどうですかというのですが、それはどこでどうすればいいですかね。

【徳山委員】
 誤解を招いた、私が舌足らずだったかもしれません。今まで申し上げているように、供用部分というかあらかじめJAMSTECがプロジェクトで枠を取った後、それ以外のものに関しては研究船共同利用運営委員会のマターだよというのでしたら、皆さんのおっしゃっていることと全く同じです。ただ、それを三者会談のときもJAMSTECに具体的に何日ぐらい出せるのですかと言ったら、30日という仮の答えが出たので、私の頭には「みらい」に関しては30日が供用部分かなというのがいまだにインプットされていますので、それ以外のものに関してということです。

【平(啓)主査】
 その辺はもう、あれいたしますけれど。

【鈴木委員】
 今、小池先生のおっしゃったような、じゃあ、供用という定義は、完全にJAMSTECの仕事から外れてできる期間、というとかなり狭いことになると思います。日数と船という関係がついてきますから。そうすると、今までやっていたJAMSTECのプロジェクトに一緒に乗って共同研究をしていたというのが、最後の表に出てくる部分もそうだと思うのですが、そういう部分を供用と言わないと、えらく狭い定義になってしまうような気がするのですが。その辺はいかがでしょう。

【平(啓)主査】
 逆に、研究というのはどこで何をするということで、どこまで決まっていると実はやれることがすごく限定されるので、供用というのはそういうふうにフリーに、どこへでもというふうに私はとったのですが。

【玉木委員】
 私も小池委員の言われたことに賛成です。それから「みらい」の、30日とはいってもすごい日数だと思います。「みらい」は地球を駆けめぐっているので、大西洋で20日取れるということを考えると相当なものだと。「白鳳丸」を出した場合、80日ぐらい要するわけですから、平委員の30日という目の子の数が出ていますけれど、それはもう、すごく大きな日数だと私には思えます。

【近藤海洋地球課長】
 今後また調整していくことになるかと思うのですが、公募して課題を出していただいて、それを調整してどういうふうに研究者に使っていただくかというのが我々の主眼で、このペーパーをまとめています。ですから自由度の問題はその中の幅だと思っています。我々の概念では供用というのはみんなが使うという意味だったので、全く自由な場合もありますでしょうし、場合によっては期間が決まっている場所もある、ただし提案があれば受けられる供用の部分がある。そういう広い意味で供用という言葉を使っています。
 ただ、外から見て完全に自由なものと若干制限のあるものと、その制限のあり方がものすごく多段階なので、1つの概念で整理したほうが一般の人はわかりやすいということをご提案したいと思います。

【今脇委員】
 乗り合いのやつと、全く最初から考えるという2種類の前提で話をしたらいいのではないですか。一種、二種みたいな。一種はもう船全体が使える、二種は相乗り。相乗りで共同利用というのも結構効率というか研究は進むと思いますよね。海域と日にちが一致したら一緒に船に乗ってやりたいという人は結構いると思うので、それも共同利用の一種としては捨てがたいと思いますけれど。

【平(朝)委員】
 一種、二種というところが理解できません、私にとっては。JAMSTECはミッションで決まったプロジェクトもありますし、その中にもずっと基礎研究に近いもの、やはりJAMSTECといっても広いです。ブランクで確保した部分に関して自由にお使いくださいといったとき、その研究者が自分でその枠組みをつくれるわけですけれど、それだって場合によっては乗り合いもできないこともあり得るわけで。海洋研で決めた航海計画に参加して乗り合いにもなるわけです。そのやり方として何が違うのか、供用ということでは、要するに時間の中で自由な研究をしてくださいということに関しては同じだと思いますけどね。

【小池委員】
 例えば「白鳳丸」でも毎年航海計画は3年間決めるのですが、毎年ここの海域にこの時期に行くけれど、それでいい人、やれる人は公募してとっていますね。ですけれど、一番大きな違いは、3カ年の計画を決めるときに、これはもうみんなフリーに3カ年の計画を決めるわけですね。それは別に海洋研がこれをやりたいということではなくて、全国の研究者がそれぞれの分野でこういうことをやりたいということで、大筋の参加への区域分けが決まると。ですから、そこはやはりJAMSTECのプロジェクト研究とは違うのかなと。

【平(朝)委員】
 それはわかるのですが、その残った分のブランク期間に関しては同じでしょ。

【小池委員】
 はい。だからそれを、先ほど今脇委員のおっしゃった一種、二種でも私はいいと思いますが、ともかく違うのですが、それもやはり船の有効利用ということですよね。で、私は公募して決めるということはいいと思います。

【平(朝)委員】
 ここで言う供用分というのは一種しかありません。それはもうプロジェクトとして完全にとった残りですので、基本的にはブランク期間、空白の真っ白のものを提供しますよ、それが「みらい」だったら30日かもしれませんと。今まで深海研究でやってきたのはほとんどこのブランクですから、これはそのままでいいですよと。その中で、今度共同利用で使えるファシリティーも、潜水艇やドルフィンだけじゃなくてマルチチャンネルも将来供用にしますよ、いろいろな道具も使っていただくようにします。そういうことです。

【今脇委員】
 一種について僕は文句ないです。じゃあ、二種については供用とは見なさないのですか。もったいないじゃないですか。

【平(啓)主査】
 すみません、この議論はもうおしまいにします。

【近藤海洋地球課長】
 ちょっと事務局のから一言ご説明させてください。公募していただくものを対象に供用分と考えています。理由は、今がどうかじゃなくて、今後全体をどういうふうに利用していくかが課題であり、先ほど先生方から指摘いただいた総合的アプローチというのを考えると、外側に打ち出していくとき、やはりみんなで使えるものが全体としてこれだけあるよと、いろいろな条件がついているだけで、総合的アプローチ、オールジャパンの取り組みというものを考えたときはこれだけありますよと。いろいろな条件はありますけれど、その中で調整していきますよと。今後の船の全体の運用を考えると、その方が適当ではないかと思っております。
 以上です。

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。ちょっとこの議論はまた。

【徳山委員】
 最後にいいですか。簡単な話です。
 この「供用」というのと「共同」というのは、相当受け取り方が違ってくるのでしょうか。「共同利用分」としないで「供用利用分」とすることによって、相当ニュアンスが変わってきますか。

【平(啓)主査】
 すみません、これはもうやめます。次回、成案ができるとき、文書になるときにもっと議論しますが、差があるということはよく知っています。
 で、実は時間の配分からいくと3番の一番下の「観測データの取扱い」についてということですが、これは近藤課長から2つの立場があるということだけ言っていただいて、議論は次にしたいと思うのですが。

【近藤海洋地球課長】
 研究成果の扱いが大学共同利用機関での考え方、基本的に全部の研究者をベースにしたものと独立行政法人系の研究機関、これはJAMSTECだけではなくて他の独立行政法人もそうなのですが、基本的には機関に属す、要するにJAMSTECと海洋研ではなくて、全体の流れの中で、まだ明確化されていないということがあるので、位置づけがちょっとはっきりできなかった。ただし、課題としてここに書いているように、やはりデータの所在管理はみんなで頑張ろうと。その成果がだれに所属するかとかいろいろありますけれど、データの所在ははっきりしようねということをここに明記しようじゃないかということに至ったわけです。
 以上です。

2.我が国として整備すべき海洋研究船について

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。
 実は時間の配分を間違えていまして、きょうこれだけの問題点があって、データについては今議論してもあれなので、次回にもう1回議論させていただくことにして。
 次の議題2、「我が国として整備すべき海洋研究船について」ということでございます。
 それでは、これは事務局からまた説明をお願いいたします。

【大土井海洋地球課長補佐】
 お手元の資料6-4をごらんください。
 前回のご議論を踏まえてつくった案です。「我が国として整備すべき海洋研究船について」です。「1.現状認識と基本的考え方」についてです。
 現在JAMSTECが運航を行っている海洋研究船は、以下のように分類できます。それぞれ沿岸クラス、近海クラス、外洋クラス、遠洋クラス、似たような分類としましてはアメリカのUNOLSがございますが、そういうものを踏まえております。
 各船はそれぞれの建造目的に沿った運用が図られ、これまで着実に成果を挙げてきたところですが、今後もさらなる成果を挙げることが期待されます。一方で、「なつしま」「淡青丸」及び「かいよう」は船齢を重ねております。これらの海洋研究船が海洋研究の上で担ってきた役割を踏まえつつ、海洋研究船のあり方を検討する必要があります。その際、我が国の海洋研究の振興の基盤となる海洋研究船の効果的かつ効率的な整備のあり方を明確にし、これに基づく継続的な海洋研究船の整備が不可欠である、というのが考え方でございます。
 「2.我が国の海洋研究船が持つべき機能」でございます。実はこれにつきましては、JAMSTECと東大海洋研でワーキンググループというものをつくっていただきまして、事前に検討いただいています。その検討の内容を踏まえながら事務局で再整理をしたものがこの2ポツでございます。
 我が国の海洋研究は世界を牽引する水準にあります。特に以下の研究分野において、今後も世界の中核となることが期待されます。1つ目は大気・海洋・固体地球を含む地球環境変動の解明、2つ目は海洋生態系の理解と水産資源の評価・管理、3つ目は生命進化と生命多様性の解明。これらの研究を進めるためには、海洋研究船の整備が不可欠でございます。限られた財源の中で最大限の研究成果を挙げるためには、我が国が整備する海洋研究船について先端的な共通施設・設備に加え、個々の海洋研究船が持つ固有のミッションを加味した施設・設備を整理することによりまして、我が国独自の体制を整備することが望まれる。
 以上を踏まえますと、我が国として以下の機能を有した海洋研究船の整備が求められます。1つ目は汎用的な研究船。これにつきましては沿岸・湾奥型、沿岸・近海型、近海・外洋型、遠洋型のエリアの分類によりまして、それぞれ海洋研究船が必要であると考えます。2つ目は潜水船の支援母船です。その次は高緯度研究船です。その次は深海高解像研究船です。最後に海洋生物研究船です。それぞれ分野とスペック等が異なっています。それを踏まえながらこういう分類になっていると理解しております。
 これを踏まえまして、「3.当面整備すべき海洋研究船」です。我が国の排他的経済水域を中心とした周辺海域において観測・研究を行い、水産、海洋科学等の多様な科学的データを飛躍的に蓄積することは、我が国の海洋管理及び各種資源の確保の観点から喫緊の課題です。海洋機構が運航を行っている海洋研究船は、沿岸域・近海を対象とした短期間の研究航海を行う海洋研究船が少なく、また沿岸域・近海を対象とした海洋研究船の老朽化が顕著である。よって、我が国のEEZ内での機動的かつ詳細な研究活動を行うことを趣旨として、総排水量1,000トン前後の沿岸域・近海を主たる観測・研究対象とした海洋研究船の整備を見直すべきである。多様化する海洋研究船へのニーズへ対応するため、高機能多目的研究船の整備が求められる。基本的性能・設備は確保する一方、個別分野の研究機材等はユニット化し、コンテナに整備して積み直しする方式にしましょう、というものでございます。
 以下に基本性能及び設備等がございます。これにつきましては東大海洋研の「海学問」という冊子にまとめてもらっております「淡青丸」の代船、次期船を踏まえながら記載しております。
 一番後にございます、上記の海洋研究船の整備を行う期間におきましては、他の既存の海洋研究船を柔軟に運用するということが求められますと。
 以上です。

【平(啓)主査】
 ついでにこの資料の説明をしていただけますか。参考資料1というのがございます。

【門馬委員】
 実は前回の委員会で宿題が出まして、クラス分けした場合にどのぐらいの比率で船があるのかという宿題が出ました。その関係の資料です。
 これは、実は2つの違う種類の資料を関係のあるところを引っ張り出してきたものです。
 最初のページですが、これはアメリカの船の20年後の姿を予測した、資料です。ごらんのとおり、20年後ですから2025年まで書いていますけれど、これを見ると減る傾向にあるような気がしますけれど、実際には当面、ここ10年ぐらいは減らないということですね。
 見慣れない言葉が1つあって、Surveyという船が枠のところに出てくると思うのですが、これは多分NOAAの船のことを言っていると思います。次のページを見ればその辺が出てきますので。NOAAの船にはSurveyと書いていますので、これはNOAAの船を指していると思っています。
 次の3ページ目ですけれども、これはヨーロッパ、EUの船のクラス分けをした船の比率です。ごらんのとおりEUの場合にはリージョナルという沿岸クラスのほうが多いことがわかるかと思います。全部で46隻あります。
 次のページは同じ資料でさらに別の形で表現したものです。
 最後から2枚目がアメリカのUNOLSの船ですが、これを見ますとグローバルクラスが多いように見えますが、実はNOAAの30メートル以下の船をカットしていますので、それを入れますとリージョナルクラスが多いことになります。どういう意図でこうしたのかよくわかりませんけれど。
 最後のページがアメリカとEUの船を比べた場合の比率です。これを見ますとグローバルが、アメリカでは多くてヨーロッパでは少ないということがわかると思います。いずれにしても船の数は圧倒的にアメリカ、ヨーロッパのほうが多いと言えると思います。

【平(啓)主査】
 今の門馬委員のご説明の分について、何か質問とかございますか。
 2025年になると、今より20隻ぐらい減るという見通しですね。それは何だかわからないわけですね。

【門馬委員】
 そうですね。どういう根拠でこう言っているのか、あるいはそのころになると船というものがなくなるのかもしれませんけれど。それはわかりません。

【平(啓)主査】
 よろしいですか。
 それでは門馬委員、資料を整えてくださいまして、どうもありがとうございました。
 今の話で行きますと、「現状認識と基本的考え方」というところはいいですか、特にございませんか。
 それでは2ポツに行きまして、先ほど大土井さんからワーキンググループができたということですが、ここから先は徳山委員のほうだな、海洋研のほうのワーキンググループはどういうことをなさったのですか。

【徳山委員】
 両者代表が5名でキャッチボールをしながらまとめたのが2ポツ……、この項目全てに関してすり合わせはしています。いろいろ意見があって中間をとったものもございますが、その意味ではすり合わせ後ということで、実際にキャッチボールをしてこれを作成したということです。

【平(啓)主査】
 ありがとうございました。別のものじゃなくてすり合わせで、共同作業をやったということですね。じゃあ、これはもうよろしいですね。

【徳山委員】
 程度の問題はありますけれど、そうです。

【平(啓)主査】
 いやいや、それぞれに、JAMSTECは何をしたっていうふうに聞こうかと思ったのですが、その必要はないということですが。
 これについて何か質問ございますか。

【田中委員】
 田中でございます。私は国際法を専門にしておりますので、ここで中心的に議論していただいている海洋研究船をめぐる議論については教えられることばかりでありまして、特に自分から提言できることはないのですが、この国際法、特に海洋法の問題についてはできるだけフォローしている状況からして少し教えていただきたいという点で、この2番の海洋研究船が持つべき機能のことに関連してお伺いできればと思って発言させていただくわけです。
 今、世界的に海の問題で非常に関心が、法律の分野だけではなくていろいろ各方面から共通にいただかれている問題は、キーワードで申しますと海洋の生物多様性の保存及びその持続的利用の可能性と。これは2004年の国連総会決議でその問題を検討する非公式ワーキンググループの設置が決められまして、昨年2月から国連本部で世界各国の代表が集まって本格的討議が開始されまして、今挙げました生物多様性の保存及び持続可能な利用の問題について、自然科学、法律学、経済学、社会学、環境学からの検討の必要が求められて始まったわけです。それは背景的には、生物多様性の保存に関する条約、これは日本も締約国でありますけれども、この締約会議の議論の積み重ねの中から出てきている議論、そしてもう1つは国連海洋法条約の締約国会議で積み重ねられている議論、その双方がドッキングするような形で、これは私の印象ですけれども、いずれも海の生物多様性の保存という問題に非常に関心が集中するような傾向が伺えるわけです。
 きょうのこの資料6-4を拝見いたしますと、「生物多様性」という用語自体は1ページ2ポツの最初の丸の一番後の行に1カ所出てくるだけでありまして、その生物多様性の保存や持続可能な利用についての世界的な関心に対して、どのようなアプローチといいますかスタンスをお持ちなのかについて教えていただければということが、最初に質問したかった点であります。
 あと1点簡単に、これも質問でしかありませんけれども、たしか今年の6月ですね、国連海洋法条約の非公式締約国会合の議題が、海洋の遺伝子資源の保護、ジェネティック・リソーシーズの保護という問題でありまして、これも今、法律学の関係ではまだ決まった定説や適応可能なルールが何も明確にされていないと思いますけれども、議論が急速に活発になりつつある問題でありまして、私の聞きかじりのあれでは、遺伝子資源なるものの定義も決まっていないというふうにしか勉強していないわけですけれども、それをどの海域で採取するかによっても変わってきますし、そもそもそういう問題について各国がまだ勝手な主張をし始めているような段階ですので、対応といっても一日に決まっているわけではないことは承知しているつもりなのですが、そういう新しい問題について主に自然科学的な研究船の利用をめぐる議論の中からどのようなお考え、あるいは認識をお持ちなのかについて、わかる範囲でお教えいただければと思って質問させていただきました。
 的外れなことがありましたら、語法については結構でございます。

【平(啓)主査】
 いえいえ、非常に重要な問題で、このクリアランスを得るために船を運航しているほうは随分時間を要しているわけです。
 学問的なこと、沿岸については山室委員、今のことに関して何かございますか。

【山室委員】
 多様性のことですか。

【平(啓)主査】
 多様性と遺伝子資源の保護というのは、沿岸ではどういうふうに考えていますか。

【山室委員】
 例えば、沿岸ではアマモの再生のときに、アマモといっても地域固有の遺伝子があるので、その再生のとき、よそのものを持ってきてやるのはよくないのではないかと、水産のところまでそういう意識が行っているのではないかと思います。
 逆に質問させていただきたいのですけれども、カタルヘナ条約のことで多様性だとすると、それ自体が先ほどちらっとおっしゃったと思うのですけれど、世界的にばらばら、その地域でもばらばらですね。例えばアメリカが入っていないとか。そうなると逆に日本がそういう規制をしてしまうと、全然入っていない国の研究者はかえってやりにくいとかいう問題も実は出てくるのかなと、今伺っていて思ったのですが。

【平(啓)主査】
 2つの問題がありまして、学問的に保護すべき、やるべきということと、僕が最初に言いました航海計画、調査計画をやるためにはそれぞれの国が規制しているものをクリアしなきゃいけないというのでいろいろ苦労しているわけですが、その辺は徳山委員、実際的なところからちょっとだけお話ししていただけますか。

【徳山委員】
 私、どこまで話せるかわからないのですが。実際上は、日本で言えば採取届け、EEZの領域で調査、生物を採訪するときには大変な、大変というか膨大な量の資料を提出して許可を得なきゃいけない。その中に遺伝子の資源みたいなものも入りつつあるようで、それは国際的なフレームワークをつくらないと、日本だけの問題ではないような気がいたします。私はよくわかりません。
 ここに、この持つべき機能でなぜ「生物多様性の解明」ということが入っているかというと、これはやはり学問的に生物をやっている方は、先ほど山室委員は小さな湾というか沿岸のかなりスペースの小さいところをお話になりましたけれど、もう少しグローバルにゾーニングみたいなものがあって、そういう中で生物の多様性を議論するというような研究するのであれば、やはり沿岸だけではなくて近海と外洋、遠洋というような生物のいろいろな研究ができるような船が必要だと、そういう書き方で、機能の一番後に「海洋生物研究船」がリストアップされているということでございます。答えになっていないのかもしれません。

【小池委員】
 これは法的な問題と実際の研究上の問題が2つありまして、海洋生物の多様性の問題はまだほとんどわかっていないですね。研究者のほうからすると、例えば今、海洋研が事務局になってセンサス・オブ・マリンライフというプランクトンをずっと同定していって、その分類を全部やっていくというプログラムが動いていますけれど、海洋生物の場合非常に多岐にわたっていて、単細胞の生物になるともうほとんど、なかなか難しい。ですから研究的な立場からいくと、多様性というのはまず解明するほうが先決であって、解明した後それをどういうふうに法的に保護し、先ほどおっしゃった遺伝子も含めた持続的な利用まで持っていくかということは、多分そちらのほうがある程度できた段階でバトンタッチする、あるいはそれを連続的にやっていくということになると思うのです。
 やはり研究の立場からいくと多様性をまず明らかにしていくことだということで、ここに「多様性の解明」という言葉が書かれていて、確かにそこにその保護、利用ということも書いてもいいのですけど、幾ら何でもまだその段階ではないなというのは、多分これをやっている多くの研究者の方は、先ほど山室委員は沿岸に関して、ある程度大きなものに関してはある程度わかっていて保護の段階まで行っていますけれど、外洋のほうはまだそこまでの段階ではないというのが共通の認識です。

【平(啓)主査】
 例えば私は今沖縄に住んでいるのですが、ある海岸のサンゴにしても、自分が折れてクローンで増えてきた遺伝子は全く同じ。だけど産卵してやってきて着定したものは、隣にいても他人同士だということが遺伝子の上ではわかってきた。ただ、今おっしゃっているような遺伝子資源となると、今度はそれを使って何かをというと、ちょっとまだそこまでは、どう違っているかを小池先生がおっしゃったように調べている段階で。ということなので、よろしいでしょうか、こういう議論で。

【田中委員】
 ありがとうございます。

【平(啓)主査】
 じゃあ、船としてはこういうことですが、何か質問はございますか。例えば、高緯度研究船というのをわざわざ考えたのはどうしてですか。

【徳山委員】
 地球環境にしても高緯度というのは非常に鋭敏にレスポンスということで、皆さんその意味で重要だということで研究をされているのですけれど、やはりそれに特化、特化という言葉がお嫌いの方もいらっしゃるのですけれど、そういう場所で効率的に仕事ができる、調査ができるというような船は、やはり日本として必要ではないでしょうかということで、高緯度、北極、南極を対象にした船が必要ではないでしょうかと。そういう提案でございます。

【平(啓)主査】
 潜水船というのも含まれているわけですか。

【徳山委員】
 AUVですか。

【平(啓)主査】
 いえ、人間が入って、高緯度で。北極の氷の下を走りながら研究するとか。

【徳山委員】
 日本は原子力潜水艦がないから無理……、できるのですか。

【今脇委員】
 原子力じゃなくてもいいです。

【徳山委員】
 JAMSTECは、AUVはいろいろ考えていらっしゃるみたいですけど。

【平(啓)主査】
 いいです、余計なことを言いました。
 今の2までについて、何か質問とか、もっと今のような。

【今脇委員】
 私も、その高緯度研究船と汎用性研究船のどの辺が違うのかなと。ちょっと大きな汎用船だったら高緯度に行けるのではないかという気がするのですけど。何か特別にあるのですか。

【平(啓)主査】
 砕氷船とか。

【徳山委員】
 いや、アイスブレーカーというのは「しらせ」の世界ですから。耐氷度というのはいろいろあるそうで、A、B、Cぐらいランクがあったと記憶していますけれど、そのランクが高い、安全性の高いものを使って、日本の北半球の夏は北極海、北半球の冬は南極海ということで使えば、非常に世界をまたにかけた日本の研究が進むのではないかということで。
 それと、共同利用という今の枠組みに近い「白鳳丸」「淡青丸」がやっていた共同利用に近いような船に、そこまでの知能をつけて船舶をつくるということは、あまりコストパフォーマンスはよくないだろうと。それともう1つ、小回りとかいろいろなことに対応できるような、そういうものが汎用船ということを念頭に置いていますので、インコンパティブルであろうというふうに考えました。

【平(啓)主査】
 よろしいですか。
 じゃあ、今度は3のほうに行きます。
 3つ目の丸に「よって、我が国のEEZ内の機動的」とか何とか、「総排水量1,000トン前後の沿岸域・近海を主たる観測・研究対象とした海洋研究船の整備を目指すべきである」というふうになっていますけれど、これまでについてはいかがですか。賛同していただけますか。

【鈴木委員】
 2番の最初の丸で、「世界を牽引する水準にあり、特に以下の研究分野において」云々と書いてありますね。2ページ目の3ポツの最初の丸では、「我が国の海洋管理及び各種資源の角度の観点から、喫緊の課題である」という表現があって。これは取りまとめ案に入っていることですから、それが規制することにはならないと思いますけれども、三次元の反射法地震探査装置の整備が必要だと2回出てきますね。2ポツの最初の丸のところに「水産資源」という言葉があるのですが、海底鉱物資源とかそういう表現は入っていないのですね。この入っていない理由は、世界を牽引する水準にないから入れていないのか、あるいはこれは文科省でやることだから海底資源のことは、鉱物資源なんかは一切触れないと、そういう観点で入っていないのか、あるいは忘れたのか。どうなのでしょうか。

【平(啓)主査】
 どうしましょう、これは事務局だな。

【近藤海洋地球課長】
 特出ししていなかったということで、全く排除するものじゃないと思っています。内容的にはいろいろな意味での深海や海底下の地質の辺の中に気持ちとしては入れております。

【鈴木委員】
 ここに水産資源については評価と管理と、かなり明確に入っていますね、海の資源について。

【平(啓)主査】
 この辺はどうですか。ご専門の立場から見て。

【大土井海洋地球課長補佐】
 2ポツの一番上の丸のところは、先ほど鈴木委員からご指摘があったとおり、今、既に世界を牽引する水準、あるいはそれに近い位置あり、今後も続く分野というので、先生方に3つほど挙げていただいているというふうに認識しております。ですので、先ほどの海底鉱物資源になりますと、まだそのレベルに達していないのではと我々は思っておりますので。それにキャッチアップするのは当然必要なことでございますが、このところはそういう認識で事務局では考えております。

【平(啓)主査】
 いろいろ意見はあると思いますが、この委員会として私の提案は、3ポツの「当面整備すべき」という中で「総排水量」というのは変な、軍艦みたいな言い方をしますね。

【鈴木委員】
 「排水量」って使いませんよね。商船、研究船では。

【平(啓)主査】
 要するに、あんまり気にしないで「総トン数1,000トンぐらい」ということですが、こういうことに関して何か議論はございますか。特に今、これに属する「なつしま」「淡青丸」及び「かいよう」の3隻が老朽化しているということから、総トン数1,000トンぐらいという話ですが。これについて何かコメントはございませんか。ここは割に重要な点だと私は考えていますけれど。喫緊に建造すべき、いわゆる代船の大きさとしてはこういうものだということでございますが、何かございますか。

【平井委員】
 3ポツの4つ目の丸で「高機能多目的研究船」というのが必要だと言っていますが、2ポツの流れからいうと「汎用性研究船」という理解でよろしいでしょうか。

【平(啓)主査】
 ここのところ、全部つながっていくのですか。1,000トンクラスでもダイナミック・ポジショニングとか、そういうことを全部やるのですか。7,000メートルCTDだとか、全部入るのですか。じゃあ、今のところはおっしゃったようにもう少し議論しないといけないですね。

【徳山委員】
 そこら辺はやはり今後のディテールサーベイというかハイレボリューションサーベイをするときに、いろいろな研究、調査項目でもこのようなインフラが必要であるというのであれば、それは当然入ると思いますけれど、そこら辺の議論というのは全部、やはり今後10年間ぐらいこの船で何を使ってやろうかというところで決まってきますから、これは全部持っていなきゃいけないというわけではなくて、それは役割分担があると私自身は考えていたのですけれども。その辺を議論していただければと。

【平(啓)主査】
 例えばここにある「ユニット化し、コンテナに整備する」というのは、これも非常にいいアイデアですが、残念ながら海洋研の場合は今までうまくいきませんでした。というのは、岸壁が遠かったからですが、これからは追浜とか、青森のあそこを使うとできるのかもしれないですね。

【徳山委員】
 いわゆる具体的な面は、あまり対応は早くなかったのですが、昨今では大型のコンテナを、AUVを格納したコンテナを入れたり、私どものNSSという非常に大きなシステムをコンテナ化して運んでいるということで。晴海で決着をつけるというようなことは考えていなくて、ほかの場所でインストレーションしてからやるというか、モービルゼーションしてからやると。今の段階でもユニット化というのは進んできていると思います。
 ただ、ここで申し上げたいのは、今までの調査内容だったら割合コンパクトで小さなシステムで調査ができたのですが、いろいろな仕掛けを持っていくということになりますと、研究題目は1つでもものすごい量の大きなシステムが必要になるということで、ユニット化してなるべくすべての観測機器を一気に持っていって、高解像・高精度の調査を一気にやってしまうというアイデアがここに述べられているのだと私は考えています。

【平(啓)主査】
 何かコメントはございますか。
 ここに書いてあるDPSといってもいろいろなやり方があると思うのですが、研究船の一番いい点は走るのではなくてとまるところが重要で、精度よくとまることが重要なわけで、そのためにはこれは当然必要だと思います。ただそのためにいちいち海底にマーカーを入れるようなことをやっていると大変なので、そうでないいろいろな方法は当然あり得ると思います。
 これはそうするといいですか。じゃあ、2ページまではよろしいですか。

【今脇委員】
 さっき議論になりかかった3番目の丸と4番目の丸、これは別の船のことを言っているのですよね、多分この書き方は。3番目は1,000トンぐらいのやつで、さらに4番目はもうちょっと別の船を整備しようと。そうではないのですか。それとも3番目のことを4番目はまだ説明しているのですか。

【近藤海洋地球課長】
 先ほどご説明すればよかったのですが、基本的にはこれは1隻の船を想定して言っております。ここに書いてありますように、沿岸・近海域を対象とした船がまず必要だという認識は、前回の委員会で出された意見で、それを具体的にどういう船にするのかと考えているとき、やはりEEZ内で機能的というと1,000トン前後がいいのではないかというのが、いろいろな提案としていただきました。ただ、1,000トン程度といったとき、先ほど若干言葉の話がありましたけれども「高機能多目的研究船」とはどういうことかということで、この場合には近海あるいは沿海域ですので、最初の2のところで言っている汎用船に近い形のものを考えております。

【今脇委員】
 じゃあ、3番目の丸の説明を4番目でしているということですね。

【近藤海洋地球課長】
 はい、そうです。

【今脇委員】
 わかりました。

【松山委員】
 この船は生物の採取はやらないのですか。

【平(啓)主査】
 どういうことでしょうか。

【松山委員】
 「海洋生物研究船」というのは別途考えて、この船は汎用船、海洋だからすべて運ぶと……。

【近藤海洋地球課長】
 すべてやります。

【松山委員】
 基本性能の中にそれが書いていないから。

【近藤海洋地球課長】
 それを言うとほかのところもいろいろあるので、特出ししていません。その意味で「高機能多目的」という言葉を使っておりますが、そこは汎用ということで同じ意味だと思っています。

【松山委員】
 はい、了解しました。

【平(啓)主査】
 例えば探査用音響……、これは違うのか、音響ソナーというのは別のもの、海底用ですか、これは。魚群探知機ではんないのですか。計量魚探じゃない。

【小池委員】
 だから生物採取に関するあれが1つも入っていないので、やはり何か1つぐらい入れておいたほうがいいかもしれないですね。

【平(啓)主査】
 これは逆に、水産資源と言いながら科学魚探とかそういうのも入っていないから、科学魚探ぐらい一言入れておいてください。「探査用音響ソナー」の上に「科学魚探」と入れておけばいいのではないですか。まあ、いろいろたくさんあるのでしょうけれど、その1つとして。逆に言えば「エアガンコンプレッサー」なんか必要ですかという質問だけど、どうですか、これは。

【平井委員】
 生物採取に関してはイメージ案のほうもじっくり読まないといけないのですが、基本的にはスピードの速い遊泳性の強い生物をいかに定量的に採取するかが一番大きな問題だと思いますので、例えば中層トロールなんかもその1つの例だと思いますけれど、開閉式の高速でひけるネットとか、さらにそれに定量性を増したものとかいうふうなイメージの生物採取方法をぜひ加えていただけたらと希望いたします。

【平(啓)主査】
 徳山先生、生物採取は入っていなかったのですか。モックネスを入れるとかそういう議論は出てこなかったのですか。

【徳山委員】
 私の失敗です。入れたような気がしていたのですが、申しわけございません。

【平(啓)主査】
 じゃあ、もう少しその辺を加えてください。モックネスは商品名になるといけないから、さっきの平井先生の言葉で言えば「中層トロール」とか「開閉式ネット」とかになるのでしょうね。
 それではこれで。「ウェットラボ、ドライラボの整備」もよくて。
 「その他」になると、女性研究者のためのいろいろな設備を、ということですが。ほかにはどうでしょうか。

【山室委員】
 素人の素朴な質問で申しわけないのですが、環境というとやはり今、エネルギーのコスト削減があると思うのですが、船の技術ではそれは不可能でしょうか。プリウスみたいな画期的なものが出てくるみたいな。

【平(啓)主査】
 磯部先生、どうですか。船にプリウスみたいな、そういう議論は始まっていますか。あるいはここに「ごみ等に対する環境保護」とありますので、まとめてお願いします。

【磯部委員】
 エコシップですか。そういうものの開発はしていると思いますけれど、普通の意味だとかなり、船形にしても5パーセントとか数パーセント燃料が削減できるというレベルに来ているので、私から見るとかなりサチュレートしているような気がしますので。ほんとうに動力のほうをまるで新しいものを開発しない限りは、こんなところで考えていくしかしようがないのではと思いますけれど。

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。
 ほかにいかがですか。

【花輪委員】
 今、まさに議論していることから少しずれるのですが。例えば2ページ目の上のほうに「沿岸・湾奥型、沿岸・近海型、近海・外洋型、遠洋型」等々の文言が出てきますよね。UNOLSも船の大きさの仕分けがありました。それからイメージ案の中の表1というのを見比べていたのですが、表1だと沿岸、近海、外洋、遠洋と分けてありますね。
 この次の当面整備すべき研究船としては、沿岸・近海型であると、それが1,000トンだということですけれど、今後さらにその次、さらにその次とずっと考えていった場合、こういう概念分けといいますか、クラス分けというのは非常に重要な意味を持ってきそうな気がします。イメージ案の本文のほうにも「沿岸・湾奥型、沿岸・近海型」等の言葉を使われているのも見ているのですが、やはりきちんとカテゴリー分けをしておいたほうが後々いいのではないのか、という気が私はしますけれど。

【平(啓)主査】
 でもここに書いてある記述のとおりでいいわけですね。この1,000トン型。

【花輪委員】
 いいのですが、きちんとカテゴリー分けしておいて、次は外洋型、次は何型というふうに使い分けたほうがよろしいのではないかという提案です。

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。それは取りまとめのときに少し気をつけて、そういう目でも見るということで。
 ほかにいかがでしょうか。大塚委員、何か船に関してございませんか。

【大塚委員】
 いえ。皆様のおっしゃることがとてもよくわかって、別に質問とかあるわけではないです。大丈夫です。

【平(啓)主査】
 発言を催促しちゃって申しわけないです。
 ほかにいかがですか。

【近藤海洋地球課長】
 若干ご説明しておきたいのが、2番の「我が国の海洋研究船が持つべき機能」ということで、一応機能ということで整理させていただいております。なぜそこを強調して言うかというと、この機能の整理と船を何隻整備するかは必ずしも一致するものではなく、1つの船で複数の機能を持つ場合もあり得ると。先ほど議論に出ておりましたけれど、高緯度研究船と遠洋船の関係、、また専用船が汎用船の用途を持ち得ることもあり得るということで、具体的な整備を図っていく際にいろいろなパターン分けをしながら、予算との相談もしながらやっていくことになります。要するにこれはあくまでも機能だということで、これをどういう形で実際の船の整備に当てはめていくかはまた別途の議論があるのかなということをご理解いただきたいと思っております。
 以上です。

3.その他

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。今の整備すべき海洋研究船について、特に1,000トンぐらいまでの船が緊急ですよということにまとめるということであります。これについてはよろしいですか。
 それでは、議題にはないかもしれませんが、資料6-5について、きょうはあまり審議しませんが、内容と今後の運びについて事務局から何か説明はございますか。

【大土井海洋地球課長補佐】
 資料6-5でございます。事務局で作成しましたイメージ案でございます。前回の委員会の際に、平先生からいつぐらいをトップに出すのだという話もございましたし、当方から3月末にやりますと言っておいて結局やったのは4月末でございますので、何かつくらないとまずかろうということでつくったイメージ案でございます。
 基本的には今までご議論いただいた内容を肉づけしたものでございます。ですので、本日のご議論につきましても多岐に反映していきたいと思っております。
 構成につきましては、前回先生方にご説明差し上げたものを基本的に変えておりません。まず「はじめに」として緒言を入れます。次に「我が国が保有すべき海洋研究船について」ということで、ニーズ、持つべき機能、基本的考え方、あとは設備、当面整備すべき海洋研究船というふうな章立てにしようと思っております。それを踏まえまして、我が国の「海洋研究船の運営方針」というのを3ポツにしようと思っております。現在の運用体制、長所及び課題、そして具体的に改善方策というふうにまとめようと思っております。
 本日いただいた意見を踏まえながら、というふうに考えております。まだ落とし切れていないところがございますし、言葉じりが踊っているところもございます。今現在でお気づきの点がありましたら、逐次事務局までお知らせいただければ、適宜反映していきたいと思っております。
 先ほど近藤課長から説明差し上げましたが、5月中に一度会議をまた開かせていただきまして、その5月中の会議のときにはこの取りまとめの案を当方から示させていただきまして、ご意見いただければと考えております。で、6月にはこの取りまとめの結果をアウトプットとして出したいということで、イメージをしております。
 以上でございます。

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。
 それでは本日は逐次読みながらということはいたしませんので、次回、5月ということであります。この範囲でお気づきの点は事務局のほうにEメールその他で寄せていただいて、そして次回の前に、今度はイメージ案でない原案みたいなもの(案)が出てくるというふうに理解したいと思います。
 時間はまだあることはあるのですが、どうしてもということはございますか。

【徳山委員】
 「我が国として整備すべき」云々という、資料6-4の一番最後のイメージを共有しておいていただきたいと思って質問いたします。「上記の海洋研究船の整備を行う間においては他の既存の海洋研究船を柔軟に運用することが必要である」と、これは具体的にはどういうことを考えていらっしゃいますか。

【近藤海洋地球課長】
 これは、JAMSTEC、海洋研と打ち合わせした後にさらにまた内部での検討をしまして、やはり今後の実際の運用を考えていく場合、船の整備をしていく際に、あまり大きな予算の拡大というものは不可能であろうと。その中でいろいろ想定すると、新しい船なりあるいは既存のものも含めてですけれど、船を整備するときには当然運用のほうも非常に厳しい話が出てくると。そのときに、ここに書いているよう、この船とこの船の代船だから運用を止めるとか、そういう議論はもうせず、フリート全体7隻だったら7隻、そのフリート全体で、みんなで考えていきましょうねということでございます。

【平(啓)主査】
 よろしいですか。あんまりこれ以上突っ込むとあれですけれど。

【大塚委員】
 今、どの船の代船ということはあまり考えないというふうにおっしゃったのですが、といっても1隻これができればいいというような発想じゃなくて、やはりアメリカでもかなり先のことまでプランされているみたいに、もう少し長期的なプランもどこかに入れておいて、もちろんそれが実現されるとかっていうのではないけれど大きな見通しを見ておいて、その中で今これが必要だということがあったほうがいいのではないかなと、ちょっと思いました。

【近藤海洋地球課長】
 具体的には、整理していただいております2番目の「我が国の海洋研究船が持つべき機能」のところで、全体としてはどういう船をつくっていきたいというイメージを整理しているつもりです。ただし、ここをあまり具体的にすると予算要求上のいろいろな問題があるので、先ほど言いましたようにちょっと中途半端になっています、機能ということにしています。この機能を具体的にどういうふうな船を整備していくかというのは、今後の課題でもありますし、また皆さんに相談しながらやっていきたいと思っております。

【大塚委員】
 あまり具体的じゃなくていいと思うのですが、大きな政策としてどういうふうに見ていらっしゃるかというのが見えるといいなと思ったので。

【平(啓)主査】
 それではまだディスカッションは多々ありますけれど、一応事務局のほうにマイクをお返しいたします。

【近藤海洋地球課長】
 きょうは長時間にわたりまして、どうもありがとうございました。きょうの議論を踏まえまして、先ほど申しましたように5月にはこの委員会としての案が取りまとめられるよう、我々努力していくつもりでございますので、先生方のご協力、またご尽力をよろしくお願いいたします。
 きょうはほんとうにどうもありがとうございました。

【平(啓)主査】
 それじゃ、どうもありがとうございました。

─了─

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