海洋研究船委員会(第5回) 議事録

1.日時

平成19年1月25日(木曜日) 14時30分~16時30分

2.場所

丸の内仲通りビル 地下1階 K2会議室

3.議題

  1. 我が国の海洋研究船の運用体制・形態について
  2. 我が国として整備すべき海洋研究船について
  3. 海洋研究船委員会取りまとめ骨子(案)について
  4. その他

4.出席者

委員

 平(啓)主査 磯辺、今清水、大塚、加藤、小池、鈴木、平(朝)、瀧澤、花輪、平井、松山、門馬、各委員

文部科学省

 近藤 海洋地球課長、大土井 海洋地球課課長補佐

5.議事録

1.我が国の海洋研究船の運用体制・形態について

【平(啓)主査】
 最初の議題として、海洋研究船の運用体制・形態について、まず事務局から資料に基づいてお願いいたします。

【大土井海洋地球課長補佐】
 資料のご説明をさせていただきます。資料5-3でございます。前回の会議の中で、海洋研究船の運用体制について一回議論すべきであろうというご意見がございました。それを踏まえて事務局のほうで取りまとめた資料でございます。
 運用スキームということで、今現在「なつしま」、「かいれい」、「よこすか」及び「みらい」が、当初から海洋センターのほうで所有していた船でございます。「白鳳丸」、「淡青丸」が東大海洋研のほうから移管された船ということで、それぞれの運用スキームとしてスケジュールがどのようになっているかというものを示した概念図でございます。
 次のページが、その課題採択スキームでございます。「白鳳丸」、「淡青丸」のみならず、他の研究船につきましても、一般的に公募を行いまして、研究課題を採択、それを運航計画に反映させるというスキームになっています。その課題の採択スキームはいかなるものになっているかというものを概念的に示した図でございます。
 次のページです。現在の運航スキームによるメリットと課題というのを、事務局のほうでまとめさせていただきました。まだいろいろなご意見があるとは思いますが、当方で考えられるものとして挙げたものでございます。
 まずメリットといたしましては、幾つかの公募スキームがございますので、複数回応募することが可能であるという点が1点目。あと、各船それぞれ別々に公募しておりますので、ニーズに合った研究航海が可能になっているのではないかという点。あと、学術研究につきましては、東大海洋研のほうで課題の取りまとめ等を行っていただいておりますので、学術研究に対しましては、その時点でニーズをしっかり把握できるシステムになっているという点。ご参考までに、「淡青丸」、「白鳳丸」につきましては、過去の経緯等もございまして、研究者の旅費等は海洋研より支給するということで運営されていると聞いております。
 課題といたしまして、やはり重複というものが生じる可能性がございます。実際にも「みらい」と「白鳳丸」が似たような時期にインド洋のほうに出ているという点がございます。研究の中身によりますけれども、実際に2隻が同じような海域にいるという状況が生じております。次でございますが、同一課題提案者の重複採択が行われる可能性がございます。これにつきましては、船のみならず、競争的資金の一般的な点でも問題点とされておりますが、一応この点も課題としては残っております。あと、課題審査・採択基準が不公平である可能性があるという点。あと、そもそも出身母体が違いますので、JAMSTEC側、海洋研究所側のほうのデータの公表ポリシー等が統一されていない可能性があるという点。あと、そのデータを必ずしも陸上施設のほうで利活用できない可能性があるという点もあるのではないかと思っております。あと、船長と首席研究員の権限、役割に明確でない点があるのではないかという点。あとは、運航日数は結構な日数になっておりますので、そのための支援職員あるいは事務経費等をどうやって措置するかという点もあるのではないかと考えております。
 以上が資料5-3でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【平(啓)主査】
 ではまず、最後のページの、海洋研究船でデータを取得した後、陸上研究施設を利用できない場合というのは、どういうことでしょう。

【大土井海洋地球課長補佐】
 東大海洋研におきましては、船のほうで研究をした後に東大海洋研でお持ちになっておられる研究施設を申請して、採択されればそっちのほうも一緒に使うことができるということで聞いております。

【平(啓)主査】
 それはそうなのですけれども、そういうことは今できないのですか。

【大土井海洋地球課長補佐】
 JAMSTEC側のほうは少なくともそういう仕組みを持っていないという点がございます。

【平(啓)主査】
 あと、質問はございますか。例えばこのページの船長と首席研究員の権限ということですが、これはものすごく自明だと思うのですが、やはり疑問点がありますか。なぜならば、船の安全、乗組員の生命に関するようなことに関しては、絶対的な権限は船長が持って、研究に関しては首席研究員が持つというふうに理解していたのですけれども、何か不明確な事例がありましたか。

【大土井海洋地球課長補佐】
 責任と権限というのは、多分おっしゃるとおり自明ではあると思っております。一方で、研究者の研究ニーズに合わせて柔軟な運航が可能かどうかという点が若干ご意見としてございましたので、その点はこういうことがあるのではないかというふうに事務局で考えさせていただいた次第でございます。

【平(啓)主査】
 では、質問等も含めて皆さんからもお願いします。

【西田教授】
 3枚目の海洋研究開発機構所有の海洋研究船の課題採択スキームなのですけれども、これですと、「白鳳丸」・「淡青丸」と「なつしま」・「かいれい」・「よこすか」、かなり似たようなスキームになっているのですけれども、これは多分一番肝心かなという気がするのですが、課題公募のときに、「白鳳丸」・「淡青丸」の場合には、例えば海洋研持ち枠とか、そういう枠というのが特にないのです。機構の場合には、この3隻についてはそのような枠というのがあるかどうかというのが、もしある場合には、それは明記したほうがいいかと。非常に基本的なところで、多分利用形態としてかかわってくる問題だと思うのです。

【門馬委員】
 この3隻のうちの「かいれい」に関しては、JAMSTECの持ち枠というのがございます。それはなぜかといいますと、今、特に大陸棚のプロジェクトがありまして、これを優先的に行う必要がありまして、これは持ち枠になっております。年間約3か月です。あとは全く公募です。

【平(啓)主査】
 では、私のほうから補足して質問いたしますと、JAMSTECは、先ほど近藤課長が紹介しましたように、科学技術基本計画におきましても、今、門馬さんが言ったような大陸棚の確定もJAMSTECがやる、全部やるというわけじゃないですけれども、参加しますと。それから海洋環境のモニタリングについてもやりますと。あるいはもちろん一番大きいのは、「ちきゅう」によるということなのですけれども、これらはある面で言えば政策的な国の仕事であって、基本計画にもちゃんと国としてやりますとあるわけです。そういうものと、「白鳳丸」・「淡青丸」については実はそういうものは何もなくて、そこには登場しない。施策的、政策的な運用は、今、持ち枠でといったのですけれども、それらは当然なくてはいけないでしょう。

【平(朝)委員】
 JAMSTECがいろいろこれから研究開発を行っていく上で、我々自体が持っているいろいろなミッション、それはもちろん国から来る場合もあるし、JAMSTEC自体の発展のためにJAMSTECとしていろいろ決めていくという部分は当然あると思います。これはどのぐらいのパーセンテージを占めるかということは、これからいろいろ変わるであろうと思いますけれども、そういう枠と、一方、非常に自由な、完全に公募によるものというのは、バランスをとりながらやっていかないとやっていけないと思っておりますので、我々は、全船が公募にするということは多分難しいだろうと思いますし、当然、ミッション・オリエンテッドな枠というのは必要だと考えています。

【平(啓)主査】
 それが2つの大きな違いだと思うのですけれども、小池さん、何かありますか。

【小池委員】
 平委員のほうのお話でちょっとお伺いしたいのですけれども、今、海洋研の場合は、一応システムとすると、全国共同利用という、大学共同利用機関の施設システムでやっていて、基本的にはこれは学術研究ですから、船の利用に対して一切の制限を与えていないのです。要は、それぞれが自分たちのモチベーションで使ってくれればいい。それで完全にプロポーザルベースなのですけれども、機構の場合は、やはり中期目標、中期計画で、こういう船をこういうふうに使わなきゃいけないということは書いてあるはずなのです。そうじゃないと機構のミッションが成り立ちませんから。だから、そこの点は、もし今おっしゃったように共同利用に付するという場合は、それを取っ払って、もうJAMSTECはその部分に関しては、かごかきになるというようなことを言われているのか。

【平(朝)委員】
 2つあって、JAMSTECの今度の新しく独法化したときの一種の設置基準というものに、学術研究を支援するというのが明瞭にうたわれていて、我々のミッションあるいは国の目的、あるいは研究者コミュニティの目的に沿ったような、例えばIODPのようなものは大きなプロジェクトでこれを利用するというのは、一部かなりミッションに基づいた研究というのはあるだろうと思っています。そういう枠をJAMSTECとして最大に利用しつつ、完全に自由公募の枠もバランスよく保っていく、両者をバランスすることは全くJAMSTECの設置上問題はないと考えています。ですから、そのパーセンテージは、これから我々がいろいろ研究者コミュニティとJAMSTECのその年々のミッションあるいは中期計画に応じて決めていけばいいわけで、例えば簡単にいって、国が30パーセント、JAMSTECのミッションが30パーセント、共同利用30パーセントという場合もあるだろうし、あるいは半分半分ということもあるでしょうし、その共同利用部分については「白鳳丸」・「淡青丸」、学術研究船と全く同様な仕組みで決めていくということは全く問題ない。我々にとっても設置法上問題ないというふうに考えています。

【大土井海洋地球課長補佐】
 若干補足説明をさせていただきます。この3ページ目に書いてございます課題採択スキームですけれども、JAMSTECが所有している船につきましては、先ほど平委員のほうがご発言になりましたように、東大海洋研の場合には、ほぼ100パーセントが課題公募になっている、いわば自由に使える。JAMSTECの「みらい」・「なつしま」・「かいれい」・「よこすか」につきましては、JAMSTEC分というのがございまして、あとは一部公募している。この一部公募の部分と東大海洋研の全部の部分との課題採択スキームを書けばこうなるということでございます。

【平(啓)主査】
 わかりました。私自身は現在もう大学法人にいて役員をしていますが、その前も日本学術振興会にいて、この5年ぐらいはこのようなことばかり行っているのですけれども、独立行政法人というのは、ご存じのように、中期計画を立てて大臣の許可を得るというか、命を受けて仕事をしているわけです。そういう面でいくと、この「白鳳丸」・「淡青丸」についていうと、実は運航についてはJAMSTECが仕事をやるということですが、東京大学としても、海洋研究のコーディネートを行うということの中期計画、年次計画が当然あるはずなのです。そして、例えば現実には、海洋研究所には、僕が知っているのは先端科学研究センターだとか、あるいは学術研究船の運航のためのロジスティックとか支援のためのいろいろな組織等を大学としてもお金を使っているわけなのです。だからこの問題は、海洋研のこのシステムをどうにかしろというのだと、ここでもちろん人間が決めることですから、こうしたほうがいいということではあり得るのですけれども、ただ法人としては、多分そういうことを変えようと思ったら、中期計画終了時というのは、6年だとすると平成21年か22年になると思うのですけれども、そういうところで業務評価、法人評価を受けて、今の海洋研を通してやっているのは非常にぐあいが悪いからこう変えるべきだという線が出てくれば、当然変えられると思うのですけれども、2つの法人の間にまたがった事柄なので、今で言えば、この部分はさわらないということで考えていいのですか。でも、JAMSTECのほうから公募枠を海洋研にやってほしいといっても、これもまた東大のほうに帰っていきますね。何か非常に僕は形式的なことを言っているのはわかるのですけれども、今の独立行政法人法とか、あるいは大学法人法の精神でいくと、結構面倒なことがありそうだなと思うのですけれども、その辺の見通しは、事務局では何かお持ちですか。では、海洋研から実情を、今僕が当てずっぽうで言ったようなことでどういうことをやっているのか言ってくれますか。

【小池委員】
 海洋研の場合は、今、「白鳳丸」・「淡青丸」2隻のコーディネーションをやっていまして、2年前から運航日数が180日から、今は大体265日に増えたことによって、事務のサポートもかなりきつきつでやっていますけれども、文科省のほうから共同利用の経費ということでそれをサポートする経費はいただいておりますので、先ほど言いましたような機材の運搬や国内旅費とか、とうとうだんだんお金がなくなってきたので、乗っている人にまでとてもお金が出せないので、それはもう食費とシーツ代だけで勘弁してもらうと。学生さんはそれで随分がっかりしたのですけれども、昔は何か2カ月ぐらい航海するとお小遣いが入って皆さん喜んでいたのですけれども、それはなくなったのです。ただ、そういう形で、若手でも、非常に個人的に乗る人でも、自分の研究費がなくても乗ることができるというシステムでやっていますので、それが多分、大学共同利用機関としての海洋研の役割だろうというふうに思っています。

【平(啓)主査】
 ちょっと混乱していますけれども、どうぞ、お願いします。

【鈴木委員】
 今の件に関して、メリット・デメリットというところに、これだけ読みますと、共同利用運営委員会でテーマを定めていく。それで、JAMSTECのほうでいきますと深海調査研究推進委員会というようなところで、時間も船数も限りがありますから、航海可能日数の中に、あるいはエリアごとに当てはめていってテーマが決まっていくと思うのですが、現状では、共同利用運営委員会とJAMSTECのほうとは、テーマ選定とかいうことについては、現在は何もコミュニケーションはないわけですか。重複しているからどうのこうのというデメリットというのが出ていますよね。

【小池委員】
 先に私のほうから答えましょう。「白鳳丸」に関しては、3カ年の計画をあらかじめ決めておりますので、それは「みらい」も同じだと思います。「みらい」も結構長期の計画が決められていますね。ですから、どこに行くかとかどういうことをというのは、お互いにもう事前にある程度わかっている。ですから、海洋研の場合だと3カ年ごとに、次の3カ年はどう使うかというシンポジウムをやって、そこで大体この年にと。ですから、そこのところでのコーディネーションがないと、「みらい」と同じ海域に行くことも出てくる。
 あともう1つ深海のほうに関しては、かなりもうミッションが海洋研の持っている船のできることと違いますので、たまたま深海のほうに海の上の方をやりたいという人も出てくるのです。そういう場合は海洋研のほうに話が回ってきます。ですから、多分一番の問題は、「みらい」と「白鳳丸」がどうなるかということなのですけれども、ただ、「みらい」の使い方というのもかなり特殊ですよね。この場合は、やはり先に航海のあれを決めておいて、それに対して、こういうところに行くので乗りたい人はどうぞという格好で公募していますので。

【平(啓)主査】
 実際に使っている人ということで、松山さん、何かその辺ございますか。「みらい」と「白鳳丸」あるいは「淡青丸」との使い方で、調整が必要だとか。

【松山委員】
 以前に本委員会で問題になった公募の話ですが、「白鳳丸」・「淡青丸」の公募と「みらい」の公募が少し違うという事でしたね。あるミッションがあって、こういう計画があるけれども乗りませんかというのが「みらい」の話。

【平(啓)主査】
 それが多いということですけれども、そのうちの幾らかはフリーになるということで、全く自由にできるという。今まででいえば例えば政策的なことで、トライトンブイを展開するので赤道海域に行く航海があるので、その航海で他にできることがある人は乗りませんかという公募があるのと、それ以外に研究者の自発的な興味によって運航することもできますというのが先ほどの説明かと。

【松山委員】
 これからは枠というか「白鳳丸」「淡青丸」タイプの公募のパーセンテージをどうしようかというような話があります。

【平(啓)主査】
 政策がどこまで大きくなるかというか、さっきおっしゃった何パーセントということでは可能性が出てくるでしょう。

【門馬委員】
 海域がオーバーラップするのは確かに現実に起きています。ただ、それが一概に悪いというわけではなくて、ミッションが全然違う場合もあるわけです。例えばインド洋で「白鳳丸」と「かいれい」が重複したことがありまして、それはやっていることが全然違うのです。「かいれい」の場合には「かいこう」を使って熱水関係の調査、海底の調査を主にやっていまして、「白鳳丸」の場合には主に海面付近の調査をやっているので、ちょっと内容が違うので、一概に重複していることが悪いということではないと思います。その辺のミッションの違いをはっきりさせておけばいいかと思います。

【鈴木委員】
 たまたま私が質問したのは、この課題というところにそういうふうに書いてありますから、それでは困るのではないかと思ったのですが、今のご説明で、レアケースと見ていいわけですね。

【平(啓)主査】
 いや、レアもあるし、例えば「白鳳丸」でなきゃ1万メートルまで温度・塩分をはかれないとか、そういういろいろなことがあるので出てくるわけです。

【加藤委員】
 最近は北極のミッションで動いているというのと、それからWOCEのミッションで動いているというような印象が非常に強い。それで利用できれば、公募するという体制はいいのだろうと思うのですけれども、それが次はどうなるかというのは、ほんとうに興味があれば、次の計画なんかは我々のサイトから見ることはできるでしょうけれども、その次のミッションというのは、何か予定がウェブサイトなんかに張りつけてあるのでしょうか。今はこうだけれども、あと3年か5年くらい終わった時点で次はどういうふうに動いていくのかというのは。

【瀧澤委員】
 私は1年前までかかわっていたので。今の加藤先生のお話は、基本的には「みらい」も「白鳳丸」も3カ年計画という単位で3年後まで決まっていまして、「みらい」に関しての3年の線表みたいなのが出るのです。それがウェブサイトで見られると思います。ちょっと素直には、探していかなきゃいけないのですけれども。

【平(啓)主査】
 専門的なスキルが要る?

【瀧澤委員】
 ええ、ですから、ことしはここで、例えば北極の例ですと、今年は北極へ行くけれども来年は行かないとか、そういう大枠の研究は「白鳳丸」と同じ形で決まってくると思っています。

【加藤委員】
 それで、先ほど平委員がおっしゃっていたように、独自の研究所としての方向性があるということだと、海洋研のほうはみんなで集まって3カ年計画をつくるという部分があるのですけれども、JAMSTEC側のほうではそういう部分はあまりなくて、何か委員会があって、次の3カ年計画、次の5カ年計画みたいなものをおつくりになっているかどうか、それが表に出てくるかという、そういうところがちょっと気になってはいたのです。

【平(朝)委員】
 我々は、そういう部分と、そうでない完全公募の部分は分けて、海洋研と全く同じ方法で全国共同利用の公募に出すようにしたいと思っていますので、各船が何日くらいになるかというのは、事前にお知らせしないとならない。公募部分については、基本的には公募して、委員会で決めて、計画をつくって、しかるべき責任あるところがそれをオーソライズするという仕組みは変わりません。これは世界共通のいいやり方だと思うのです。今、機構に移ったので最終責任は機構の理事長が負いますというところも、これは全部の船で共通です。今、鈴木委員が言われた前段階のさまざまな調整のところは確かに起こってくるのです。そのトータル枠が「白鳳丸」・「淡青丸」、それからJAMSTECの「みらい」・「なつしま」・「かいれい」・「よこすか」でトータル何日、海域としてはこういうものが大枠としてありますと。それを全国の共同利用の研究者が、ある意味では船指定、海域指定等でも、あるいはこういうことをやりたいという使用で応募したときに、全体の船を共通のシステムの中で審査し、振り分けることもできますと、一番効率がいいのではないかと思っています。学術研究船とJAMSTECの公募利用は非常に歩み寄っていて、その部分の差は、今はほとんどないと考えています。

【花輪委員】
 私は、4年ぐらい前までに「みらい」の運用を検討する委員会、「みらい」運用検討委員会というところに、4年くらいいたのですけれども、そのときも課題公募をどうするかで相当議論がありまして、学会でシンポジウム等も開いたことがあるのですが、基本的にはもう既に出ていますけれども、海洋研究開発機構というのは中期目標、中期計画を持っていまして、ミッション・オリエンテッドの仕事をいろいろやらなければいけない。その議論以前には、所内の人も機構内の人も応募していたのです。横一列で審査しましょう、形式的にはそうなっていた。ところが、そういう中期目標、中期計画があるもので、そのミッションをこなすためには、やはりそういうものを中心に考えなければいけないということで、比率は正確ではないのですけれども、例えば7ぐらいはミッション・オリエンテッドの航海だと。ある海域に行ってこういう仕事をするというのはどうしてもその航海でやるのだけれども、そこに至るところあるいはその周辺で余った時間で何かがあれば、それは可能です、ということで公募をかけている。それにうまくニーズが合う応募に対しては採否を決める、私はそういうふうになっていると思うのです。ですから、東大海洋研の「白鳳丸」・「淡青丸」とは全く違う考え方であると。でもそれはそれで、私は「みらい」の課題公募の仕方がおかしいとは全く思いません。ミッション・オリエンテッドであるということを宣言しているということで、むしろ外に対してはわかりやすくなってきたのではないかという印象を持っています。

【門馬委員】
 ちょっと追加でよろしいですか。今の花輪委員のおっしゃったとおりで間違いないのですけれども、JAMSTECの「みらい」と深海調査がありまして、「みらい」の場合には主要課題というのがあります。これは3年ごとに変えていくのですけれども、主要課題に基づいた補足課題といいますか小課題を公募しております。主要課題にのっとらないと採択されないという制約はあります。一方の深海調査に関しては、全くのオープンで、個別の課題を全く自由に公募しております。ですから、個別の課題を調整して「なつしま」・「かいれい」・「よこすか」で振り分けている、そういうやり方をしています。

【平(啓)主査】
 確かにこれをやるのはいいのだけれども、例えば「白鳳丸」・「淡青丸」は東京大学が大いに関与しているわけで、この部分は手を引けといっても、東京大学は、そうですかと手は引けないと思うのです。「白鳳丸」・「淡青丸」の旅費なども、これは海洋研を通して支給しているのですか。

【小池委員】
 そうです。

【平(啓)主査】
 そうすると、これはJAMSTECを通してではなくて、従来通りとして。

【平(朝)委員】
 主査、東大海洋研に手をひけとはだれも言っていないです。

【平(啓)主査】
 それならば、一体何をどうしろというのか。これ以上「みらい」は1年で100日分を海洋研で決めてくれといっても、そうはいかないだろうと思います。

【小池委員】
 よろしいですか。多分、平委員が言っていることは、もう今JAMSTECがやっている公募型のものは、できたら海洋研にお任せしたいと。学術研究ということで、みんなやってくださいということを言おうとしているのかと。

【平(朝)委員】
 それに限りなく近いことです。オールジャパン体制でこれをやりましょうと言ったので。

【小池委員】
 ただ問題は、先ほどもありましたように、やはり施策的なミッション・オリエンテッドなものの比率とか国の要請というのは、年ごとによってどんどん変わるわけです。その日数もわからないし、それ以外で、どの船がどういうふうに使えるかというのもわかりません。JAMSTECの中期目標に書かれた本来の業務があり、それをどこまで満足して、それプラスアルファがどこまで出るのか。だから、それも一緒にして考える方向では。

【平(朝)委員】
 それこそ調整機構が必要です。

【小池委員】
 もう1つよろしいですか。ただこれは、オールジャパンで考えると、やはりミッションを幾つかきちんと分けて、このためにはこれだけの船が必要、このためにはこうと言わないと、結局、ではJAMSTECはこれだけはおたくのためには要らない、例えば年間300日はそちらに供出しますよということになる。

【平(朝)委員】
 はぎ取られるとか供出するとかではなくて、これをトータルで7隻のフリートを一緒に運航していって、学術運航の自由公募枠については海洋研究所が大学をまとめ、JAMSTECもそれに協力しますので、一緒にその部分はやっていきましょう。しかし海洋研究所が主体的にやってくださいという話であって、しかし、オーバーオールは1つのメカニズムとしてやっていきますよと、そういうことです。

【平(啓)主査】
 いや、でも、それは法人として考えると、やはり仕事が増えるというのは予算も増えるということで、大学側が果たして引き受けるかどうか。まあ、もうその議論はもうやめにします。

【平(朝)委員】
 そういう事務サポートをどうするかとではなくて、委員会とか、何かをどこが主体性を持って運営するかというだけの話です。

【近藤海洋地球課長】
 過去、東大で持っていた船2隻、それからセンターで持っていた船5隻、こういうものを海洋研究に必須の研究基盤である研究船ということでとらえて、一元的・効率的に運用していこうというのが今回の措置であったわけです。そういうことを考えると、確かに昔は、海洋研だ、センターだという話があったのかもしれないのですけれども、それをいかに一元的・効率的に運用していくかが問題だと思っているのです。確かにその中で、学術のための研究というのは非常に重要だという認識もありますし、一方ではJAMSTECのミッションがある、それをどういうふうに調和させていくかという課題が1点あると思います。
 それともう1つは、同じ公募であれば、やはり一元的に審査・公募する仕組みでないと、課題にありますように、どうしても重複――実際に重複というのはそんなにないのかもしれないけれども、重複感というものが応募したほうからも出てしまう。あるいは応募するほうからは、いろいろな審査体系になっているというのは非常にやりにくい話だと思うのです。ですから、先ほどのミッション・オリエンテッドの部分があるというのは、それは確かにJAMSTECのほうでミッション・オリエンテッドを初めに明確化して、公募できるというものを明確化していく必要があると思います。ただ、公募は全航海中のどれくらいの割合である、ということが明示された後は、やはり「なつしま」・「かいれい」・「よこすか」、それから「白鳳丸」・「淡青丸」・「みらい」、それらは同じように公募でき、同じ体制で審査されていく。重複とかそういうものがない形で効率的にしなくてはならないと思っております。そういう方向での検討ができないかというご提案をしたいと思います。
 今、7隻あります。もともと独立行政法人は効率化を目的として独立行政法人化しております。大学もそういう意味では大学法人化しております。どうしても効率化を求められる。そういうことを前提にしていくと、今の7隻がそのままかというのは、私としては非常に厳しいと考えます。ですから、今後新しくつくるという話もありますけれども、どういうふうに効率的にするか。例えばもっと効率的な運航を求められた時に、この現行の運用スキームでいいのかどうか。今まであった2隻に5隻という考え方ではなくて、研究船全体をどういうふうに運用していくかという議論をしていただけないかと、そういう方向での検討をお願いしたいと思っております。

【平(啓)主査】
 大体、今言ったようないろいろな問題点はあるということなのですけれども、そうすると、具体的にはどういう提案になるのでしょうか。例えば「なつしま」あるいは「みらい」から何日枠があるので、それも全部「淡青丸」・「白鳳丸」とくっつけて、学術の枠とするというように考えればいいのですか。

【近藤海洋地球課長】
 先ほどちょっと平委員のほうから発言がありましたけれども、やはり公募枠というものをまず決めるということがそれぞれの船で必要になってきます。ミッションとの整理をする必要があると思います。そのうえで、公募枠については、先ほど話があったように、JAMSTECも大学も全く同じ公募でございますので、応募、審査については、東大海洋研を中心に全体を見てもらうと。今、東大海洋研が行っているような形のもの、若干見直す必要があるかもしれませんけれども、それを広げていく。公募についてはオールジャパンで見ていくということでどうかと。

【平(啓)主査】
 はっきりしましたけれども、それでは、それについての皆さんの意見はいかがでしょう。

【小池委員】
 ちょっとよろしいですか。公募といっても、やはりいろいろなタイプの公募があって、今言った例えば「みらい」の余席利用のような公募と、航海から自分で組んでいくのを同じ公募というのは、ちょっと無理があるような気がするのです。だから、今、海洋研でやっているような、例えば何時間かの航海をこの研究グループでとりたいと、そういう航海は公募ですね。だから、あらかじめ行くところとミッションがある程度決まっていて、そこに乗っかっていく人はいませんかというのを公募というのは、やはりちょっとおかしいと思うので、そこは外して、ある重要度がきちんと確保されたような意味での公募は海洋研のほうで、もし予算的な措置とかそういうことが満足されれば引き受けるということは、前向きに考えていいと思うのです。

【花輪委員】
 私も全く小池さんと同じ意見でして、どちらかというと「白鳳丸」・「淡青丸」と「なつしま」・「かいれい」・「よこすか」は、海洋研がやっているようなスキームでやっていけるのだろうと思いますけれども、少なくとも私が検討委員会の委員になっているときは、「みらい」はやはり純粋な公募とはちょっと違いました。もしも「みらい」の運航日数300日のうちの50日は純公募で全く自由に使っていいですよというようにできるのであれば、これは同じスキームでいいのですが、そうではなくて、ミッションがあって、3年後までどこの海域にどの時期に行くというのがわかったら、むしろ全然公募はしない。公募はしないのだけれども、こういう計画ですから、そこで、僕の言葉でいうといつもピギーバックというのですが、ついでにできるようなことはでき得る限り協力しますから、どうぞやってきてくださいと。だから純粋な公募ではなくて、門戸を広げてチャンスを与えて利用してもらうというたぐいで、「みらい」はちょっと違うのかなという印象を私は受けています。

【瀧澤委員】
 それは当初から、「みらい」はそういう仕組みで、ある意味では当時の政府の決定だったわけです。主要課題を決めて、プラスアルファで可能な限りいろいろな研究者を救えというか、ある意味では、方針どおりで、当初から「みらい」は半公募という言い方をそういう意味でしていました。海洋研の場合はシンポジウムをつくりますから、そこから主要課題が決まっていくわけで、その点はかなり大きく違うと思っています。

【近藤海洋地球課長】
 船によって性格が違うというのは重々わかっております。公募といっても一元的に全く同じスキームの公募というわけではなくて、今言ったように「みらい」であれば、公募の仕方を変える。ですから、船によって、ミッションがありますので、「みらい」については先ほど言ったようにミッションを持っていて、そのうえで公募があるからということになると思います。これも私は公募だと思うのです。そういうスキームの仕方が違うものがあっていいと思います。ただし、公募を出すところが一緒、それから出てきたものを見る目が一緒というのは、非常に重要なことだと思っています。応募の仕方というか、応募の時期等はいろいろあると思います。それは船によって違うのは全然構いません。ただ、オールジャパンの視点で見ていく、そういう仕組みが必要だと思います。船によってはミッションの部分があるという前提があるのですけれども、ただ、それ以外のところはやはり1つの目、1つのオールジャパンという仕組みで、もし応募した人から苦情があれば、そこがしっかり受ける。大きな意味でのスキーム、1つの目で見ていく仕組みをつくっていかないと効率化できない。先ほども言及しましたけれども、今の研究船のままずっと行けるのだったら、それは可能かもしれません。しかし、それは難しいと思っています。やはり何らかの内容を改善していかなければ、独立行政法人、大学法人化した意味もないと思っております。そういう点で、改革もしなければならないという前提に立てば、全体を見るスキームをつくっていかないことには、今後、話が先に進まないと思います。

【平(啓)主査】
 非常によくわかりました。海洋研の方式というのも非常に効率が悪くて、ウナギが何日に生まれるから絶対そこにいてほしいとか、サバでもそうなのですけれども、そんなことを言われると他の人は何も言えなくて優先されてしまいます。そうすると、どういうふうに考えればいいのでしょうか。例えば今、共同利用とか推進委員会とか検討委員会などがあるものを合体ということでしょうか。

【松山委員】
 ちょっと先ほどの話の中で、「みらい」は半公募というか、その部分だけではなくて、完全な公募、「淡青丸」や「白鳳丸」と同じような形で進めるという部分が出てくるという話と受け取っていたのですけれども、そうではないのですか。

【平(朝)委員】
 その半公募と公募というのがよく理解できないのですが、要するに海洋研究所の受け取る公募研究課題の中にも、必ずしも1航海をつくれるだけのような課題だけではなくて、日本海のここのところでピストンコアをやりたいとかというのがいっぱいあるわけです。いっぱいあるのが半公募なのか公募なのかわかりませんけれども、要するに機会が欲しい、オポチュニティーが欲しいという公募はいっぱいあって、最終的にはそれを、航海を組み立てる委員会の年度計画案のときにいろいろ組み合わせて、それで電話をかけて、「君、何月何日に淡青丸があるから、乗ってピストンコアとりなさい」、「いや、そのとき授業あるのですけれども」、「でもそれしかないよ」、「では、やらせていただきます」と。それは「みらい」でも、これこれのオポチュニティーがあるから、ここでピストンコアをとりなさいというのと全く同じことですから、それは課題に制限を加えない限り、これは公募です。それなので、半公募とか公募というのは、それは言わないで、課題そのものに何か制限を加えなくて、この公募された課題についてはちゃんとやりますという、それがまさに公募。

【松山委員】
 「みらい」についてミッションが幾つもあって、その中に、おっしゃるような公募型で入っていって、一緒にやりませんかという話ですよね。

【平(朝)委員】
 基本的にはそういう形が多くなるのではないかと思いますが、これからはわかりません。

【松山委員】
 これからミッションが減って、現在の3分の2になる、あるいは3分の1になるとかという話ですね。

【平(朝)委員】
 宮崎さん、「みらい」の一部を、例えば3分の1なら3分の1をこれから全く自由公募にするというような可能性はありますか。

【宮崎海洋工学センター長】
 JAMSTECの経営判断になってきますし、政府のほうのJAMSTECへのミッションがどうなるかによって決まると思います。

【平(朝)委員】
 相当今も自由な研究もやっていることは確かです。

【近藤海洋地球課長】
 資料5-4の3ページを見ていただきたいのですけれども、海洋研究開発機構所有の海洋研究船一覧ということで、「淡青丸」、「なつしま」、「かいよう」、「白鳳丸」、「よこすか」、「かいれい」、「みらい」という形で整理しています。この表については、後ほどまた説明しますけれども、見ていただきたいのは、一番下の欄に年間乗船研究員数、うち大学関係者というのがありまして、「淡青丸」、「なつしま」、「かいよう」も含めまして、これだけの方々が、特に大学関係者の方々が乗っています。ここの部分については基本的には公募型だと思っております。こういう公募は必ず各船あるという前提が我々はありまして、ここの部分をそれぞれのいろいろな船によって公募の形が違ったり時期が違ったり、公募先が違ったりということでは、なかなかこれから効率化を図っていけないという認識があります。確かに船によってミッションがありますので、そのミッションについて先取りする部分があると思います。ただ、それ以外の部分でこれだけの活躍をしているというのもまた事実でございますので、ここの部分について一元的な公募体制、大きな意味での体制を仕組んでいく必要があるのではないか。ですから、「みらい」を全部公募にするとか、そういう議論ではなくて、公募できる部分というのがあるのです。平委員のおっしゃっていたシェアというのですか、割合とか、そういうものは状況に応じていろいろ検討していく必要があると思います。ただ、公募の部分については、一元的な、大きな意味での体制をつくっていくということをご検討いただけないかということでございます。

【平(啓)主査】
 わかりました。

【鈴木委員】
 ちょっとよろしいですか。皆さんのお話を伺っていて、じゃあ今の体制で、共同利用で、ほんとうに問題があるのですか、共同利用の部分で。どうもお話を伺うと結構うまくいっているじゃないですかという感じがします。だから、当然のことながら調査会議が基本的にどういうところでこうなるという年間スケジュールがあって、その中でどういう研究ができるかということだとは思うのです。北の海の研究をしたいといっても、どうしてもその船が南に行けばできないわけですし。そういう制約の中でいかに埋め込むかということを今やっておられるから、これだけ両方の船がフルに動いている。だから、あまり大きな問題は、重複があるから効率化を図るとか、そのような部分というのはほとんどないのではないですか。きちっと回っているのではないですか。

【近藤海洋地球課長】
 現状で重複感が生じているということも若干耳にしますので、そういうことがほんとうなのかということを各委員の方々から意見をいただきたいのがひとつ。もうひとつは、今のままでいいのか、ということがどうしてもあります。

【大塚委員】
 今伺っていて、実際の運航に関しては、鈴木先生のおっしゃったように、そんなに問題はないのかもしれないのですけれども、この建造年を見たときに、やはりこれからどうするかというのがあります。そちらの問題だと思うのです。ですから、今、301人、320人乗っていらっしゃる「淡青丸」、「なつしま」がもうかなり古くなっている。それを今度新しく建造する場合に、重複感が外から見えるということ自体が問題なのではないかと思いますので、新しく船をつくるためのいい運航状況というものは、皆さんに見えるような形でやっていくのが正しいのではないかと思います。

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。それも次の議題になっていますので、そのときもう一回取り上げます。

【西田教授】
 効率的な運用ということでは、おそらくメジャーなやり方というのは一本化が1つ、それから調整というやり方があります。それで、先ほどの資料の表を見て、利用者が結構多いということなのですけれども、中を見てみると、「淡青丸」というのは全分野、船自体がオールマイティーの船を目指すというか、そういうことが期待されていて、大分使い方が違うわけです。ですから、これを一本化した場合でも、利用者というのはかなり、「淡青丸」を利用している研究グループのごく一部が例えば「なつしま」、「かいよう」を利用しているという形なので、一本化による効率化というのは果たしてどのくらいあるだろうか。むしろ相互の連携というか、連絡システムをつくることぐらいでかなり解消するのではないかと。
 それからもう1つは、それは公募要領にその旨を明記するとか、それから、これは分野によるのでしょうけれども、地質分野ではかなりそういった競合というか重複というか、あるのかもしれないですけれども、例えば生物分野とかほかの分野は、研究者相互の連絡というのがかなり進んでいまして、研究者レベルでそういった重複を解消するということはかなりうまく行われているのではないかというのが私の印象です。

【花輪委員】
 課長さんがおっしゃられることは多分こういうことだと思うのです。「白鳳丸」・「淡青丸」の課題公募は海洋研究所が現在主体となってアナウンスするし、受け取る。「みらい」、「なつしま」・「かいれい」・「よこすか」は、今度は海洋研究開発機構がそれなりのフォーマットで課題公募して検討委員会を2つ設けて行う。それが同じ海洋研究開発機構所属の船なのにばらばらに見えるという指摘なのだろうと思うのです。多分、よそから見たらそう見えるかもしれないと私も思います。そういうことを考えた上で、例えば、「みらい」の自由枠の公募日数があるという前提、もう1つは海洋研究所が事務方も含めて十分なサポート体制があるという前提でいえば、すべて課題公募、採択の運営委員会等々をある1つの名前のもとにやってしまう、そういう形をつくらなければいけないのではないかという考え方だと思うのです。多分それはできるような気がします。

【近藤海洋地球課長】
 2つの話をしたいのですが、1つは、やはり調整という先生のお話で、今までそれでかなりの部分が解消してきたと思っておりまして、これだけの実績を上げているというのは非常にありがたいことだと我々は思っております。確かに今ある形で調整していけばできるというのはわかるのですが、ただ、今後のことを考えると不安だというのは、やはり調整をどんどん行わなければならない状況を作っていくことが望ましく、できればすっきりしたほうがいいというのが1点でございます。
 それから、もう1点は、海洋基本法という法律を今制定して、全体をうまくコントロールして統合してやっていきましょうという、海洋全体の政策の枠組みが検討されております。その中で、我々も海洋研究、海洋科学の分野も総力を挙げてそういうものに対応していきたいという気持ちもあります。そのときに、やはりこういう研究船は非常に重要ですので、そういうものを全体で、みんなでやっているという形を外に向けても示していく、そして実力を出していくということも必要ではないかと思っているということでございます。

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。では、もうこの議論を続けても同じような意見が出てきますので。

【近藤海洋地球課長】
 最後に一言、次回に、もし可能であれば、こういう形という具体的な提案を、いろいろな方の意見を聞きながら事前に調整させて頂きたいと思います。

【平(啓)主査】
 最初に申し上げましたように、それぞれ法人として3年の中期計画はもう終わっていますので、それを意識した線で。大体の論点は、次回にはっきりしてくると思います。

2.我が国として整備すべき海洋研究船について

【平(啓)主査】
 では次は、我が国として整備すべき海洋研究船についてということで、大土井さんお願いします。

【大土井海洋地球課長補佐】
 資料5-4でございます。先ほどももう議論になってしまいましたが、事務局としては基本的に今のところあまり方向性はございません。フリーディスカッションをしていただきたいと思っております。
 資料の2ページ目でございます。例えば、今後我が国が、あるいは国が整備すべき海洋研究船の全体像を示す必要があるだろうというふうに考えております。といいますのは、うちの課長のほうから再三申し上げておりますとおり、今後、この体制が保てるかどうかということに、我々はすごく危機感を抱いております。その際に、例えば次の船はこういう船が欲しいといったときに、全体像を示すことが必要になります。その際に、我々としては、日本としてこれだけ必要である、少なくとも共用する形の研究船でこれだけ必要だということを論理として持っておく必要があります。可能な限り、その報告書にその旨を書きたいと考えております。要は、我が国として必ずこれだけ必要だという全体の姿を記述し、その後はこれを基に研究船の整備を行うという形にしたいというふうに考えています。その議論のための参考情報としてまとめた資料でございます。
 2ページ目につきましては、例えば船としてランク、規模で分けられるのではないかということで、前回の会議の際に、門馬先生のほうからご提案のございましたUNOLSのクラス分けの例を示しております。グローバルクラスからローカルクラスまでエンデュランス、レンジ、レングス、サイエンスバースということでそれぞれ枠があります。4クラスに分かれておりまして、グローバル、オーシャン、リージョナル、ローカルということで徐々に小さくなっていくという枠組みでございます。
 それをJAMSTECの船に当てはめたものがその次の3ページ目にございます。便宜的に船体の全長ベースで仕切っておりますが、リージョナルクラスとしましては「淡青丸」のみでございます。ローカルクラスにつきましては、日本としては、JAMSTECが持っている船にはございません。オーシャンクラスにつきましては、「なつしま」、「かいよう」でございますが、こちらにつきましても1981年と1985年ということで、それなりにもう寿命が来ている船です。一方でグローバルクラスにつきましては、「白鳳丸」から「みらい」に至るまで結構新しい船が並んでおります。当然ながら、母船式の船もございますし、一概には言えませんが、我が国あるいはJAMSTECが持っている船の全体像としましては、大体こういう形でございます。大きな船が非常に多いということです。
 続きまして、ではそれをもう少し研究分野で区切ったらどうなるかというのが次の4ページ目でございます。前回ご発言等ございました分野で、固体地球分野から水産分野に至るまで、主にというところを拾っております。そのうちで、なおかつさらに主にというところに色をつけて、結構広い分野を研究船はカバーしているのですが、マッピングをするとこういうふうになろうかと思っております。
 これらの分野等をあわせますと、次の最後の5ページ目にございますが、左側はトン数でございます。この楕円の中の左側にございます線のところで大体のトン数の部分を見ていただければと思います。丸の上下の部分で右側の航海日数、横側のほうで各分野というふうにマッピングをしたつもりでございます。ただ、全部は網羅しておりませんが、大体主だったところはこういう形かと思います。現在、こういう分野をJAMSTECの研究船はカバーをしているのですが、このうち「なつしま」及び「淡青丸」はもう25年を迎える。「かいよう」につきましてもそろそろ難しいという話になりますと、この部分のエリアがなくなります。その際に、では我々としてどういうふうな網を張る必要があるかにつきまして、先生方からご意見をいただければと考えております。

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。それではまず、2ページのUNOLSということなのですが、これはもう皆さん海洋の人はよく知っていると思うのですが、アメリカではユニバーシティー・ナショナル・オーシャノグラフィック・ラボラトリー・システムというので、主としてNSFから科研費をもらって仕事をするときに、船でやる仕事についてはこのUNOLSという組織に頼むと、じゃああなたは太平洋だからワシントン大学の船を使いなさい、あなたは大西洋だからウッズホールの船を使いなさいというようなこと等で、ここに書いてあるようなグローバル、オーシャンとかというクラスによって、ウインチの種類だとか、ワイヤーの長さなどもある程度統一されていて、大きな国として、五大湖を含めて湖もあるわけですけれども、大体こうやっているというシステムなのです。ですから、ここに書いてあるのは確かにそういうことなのですが、さっきから言っている国策としてということでいくと、どうもJAMSTECは、NOAAが持っているようなオーシャノグラファー的な大きな5,000トン級の船があるのですけれども、ただ、これは大学の船で、さっき言いましたようにNSFがサポートしているシステムなのです。ですから、お金は全部NSFだから、科研費にみんなが失敗したら船がみんな干上がるという、そういうシステムになっております。
 UNOLSについて、私は80年にウッズホールに行ったときに随分興味を持って何回もオフィスに出入りしていたのですけれども、その後、JAMSTECのほうでは何人か人も派遣して調べておられますよね。何かわかったことはありますか。

【門馬委員】
 ここにあるとおりなのですけれども。

【平(啓)主査】
 ではそういうことで、3ページはどうでしょうか。これはもうこのとおりでよろしいですか。よく見ますと、「なつしま」というのは今11日ぐらいの航海しかやっていないのですか。随分短くなっていますね。

【門馬委員】
 短いですね。

【平(啓)主査】
 昔は、JAPACSなんかのころは赤道へ行ったので、一月ぐらいやっていたわけでしょう。実は「淡青丸」は、これまで最高が2週間、14日ぐらいしか行っていないと思うのです、ですから、そういう意味で「なつしま」は、最近は11.2だと思うのです。

【宮崎海洋工学センター長】
 「なつしま」は、やはり「しんかい2000」の母船として建造しましたので、やはり2,000メートルのところのダイビングになるとどうしても長くなったというのがありますが、今は「ハイパードルフィン」という無人機を使っているものですから、大分航海形態が変わってきております。

【平(啓)主査】
 3ページで、「淡青丸」は別に水産生物だけじゃなくて、固体もみんな使っていたわけなのです。
 「かいよう」というのは双胴船で、外洋では弱いかと思うのですけれども、気にしないで、世界じゅうというか太平洋をあちこち回っている。

【門馬委員】
 外洋はあまり得意ではないです。

【平(啓)主査】
 「よこすか」というのは、「しんかい6500」の母船ということであります。
 それから「かいれい」というのは、これは実は海洋物理あるいは生物に使うには非常にもったいない船で、地学の研究ができるようにいろいろな装備を持っていますね。

【小池委員】
 主にマルチチャンネルですね。

【平(啓)主査】
 今、ほかの分野も使いますか、海洋物理あるいは生物採集などにも。

【小池委員】
 ピストンとかドレッジとかそういうものが多いですね。

【平(啓)主査】
 どっちにしても、それは海底用で、これはそういう面では非常に望ましい専用船に近いと思います。
 「みらい」は、原子力船を転換した船で、これも何でもできるのですが、最大の特徴は、先ほど言いましたトライトンブイだとか、そういうことをやっているわけです。
 それでは、3ページについてコメントとか質問はございますか。よろしいですか。
 それでは、4ページについてですが、MCS、OBSって何でしたっけ。MCSはマルチチャンネル?

【門馬委員】
 はい。

【平(啓)主査】
 OBSって何ですか。

【門馬委員】
 OBSは海底地震計です。屈折法の探査に使っている。

【平(啓)主査】
 これで固体地球物理ですか。海洋物理というのは私の分野かと思ったら、どうも使わない装置なのですけれども。

【小池委員】
 海洋物理は分野にないのですよ。

【平(啓)主査】
 あ、海洋物理はないの。いいです。そしてCTDですね。何だ、これは、生物はあるじゃないですか。水産もありますね。

【平(朝)委員】
 海洋環境分野。

【平(啓)主査】
 海洋はCTDだけか、まあいいや。「淡青丸」のCTDは3,000メートルしか入らないので、四国沖でも、3,000も入らないですね、2,500までなのです。だから、非常に困るのです。極限分野というのはないか。「よこすか」は有人潜水船、「しんかい6500」を積む。「かいれい」が「かいこう7000」を積む。今度は「かいよう」でSCSと、何でしたっけ、これは。

【門馬委員】
 これはシングルチャンネルです。

【平(啓)主査】
 OBSはオーシャン・ボトム・サイズモグラフというので、地震計ですね。
 何か質問とかコメントとかございますか、この分野について。特に「みらい」について大型観測ブイ設置・回収というのは、エルニーニョの監視のために赤道域で日本は非常に大きな役割を果たしているというのがここに出てきます。
 それから「なつしま」は、無人探査と「ハイパードルフィン」を用いているわけです。

【小池委員】
 海洋物理というのはやはり海洋学の中で非常に大きな分野で、ここにいらっしゃる花輪さんも、松山さんも、みんな海洋物理の人です。

【平(啓)主査】
 それでは5ページに行きます。これも、特に一番下の「淡青丸」というのは、これも生物と水産だけというわけではないです。

【西田教授】
 いや、もう全分野です。

【平(啓)主査】
 この絵はどう考えますか。さっきおっしゃったように、これがなくなると生物、水産は「白鳳丸」しかないですと言えるのでしょうけれども、どうも実態と合わないのではないですかね。

【小池委員】
 この絵はなかなかよくできていると思うのです。ある分野が抜けることがわかります。やはりもう少し分野を広げる必要はあるかもしれませんが、基本的にはこういう考え方だと思います。

【大土井海洋地球課長補佐】
 今現在は、フルのエリアをカバーするのはできておりません。さらにこれがまた穴が増える可能性があるということについて、何かしら先生方にご指導いただきまして、穴をあけてはいけない、特にこの分野は絶対だめだという話をご議論いただければと考えております。

【平(啓)主査】
 では、まず皆さんから今のこの資料について意見や質問をお願いします。先ほど大塚さんが何かおっしゃっていましたが。

【大塚委員】
 古い船がなくなったときにどうなるのでしょうか、という話です。だから、重複採択とか重複のイメージがあるのはよくないというのが言いたかったことです。
 あと、例えば分野で、平主査の思われている分野というと、ここはどうなるのでしょうか。

【平(啓)主査】
 「淡青丸」が全分野をカバーすることになります。
 それから、実は、航海日数が短いというのは「淡青丸」の場合にはもう1つの意味がありまして、大体1つの研究室ぐらいで、あるいは1つの分野で一航海となる。多くの範囲も、例えばこれは西田さんたちの分野なのですけれども、相模湾に定点を決めてプランクトン採集を年に4回から6回ぐらいやっているわけです。それで何人も学位を取ったし、それからさらにそこで生物採取をするためには、神奈川県とか東京都の許可が要るので、漁船でないといけないと聞いてきたのですけれども、その辺、専門的な立場から西田さんどうですか。漁船でなくてもいいのですか。

【西田教授】
 漁船というのは、要するに漁業の調査を主体とする船です。必ずしも漁船でなくてもよろしいのではないでしょうか。実はプランクトンネットの場合には、漁業というか、規則に引っかかるような部分はないので、もうちょっと大きなトロールとか、そういうものを引くときには許可をとっていますけれども、実際に調査する限りにおいては、そういった制約はないです。

【平(啓)主査】
 ですから、「淡青丸」は航海期間が短いというのはそういう意味でありまして、「白鳳丸」でも例えば同じ研究はできますけれども、資料をみると、航海日数は大体平均すると40日前後。しかも乗船研究者が30人を超えますので、5グループとか6グループが乗っている。ある期間に自分の仕事をやってもらえるのは、例えば6分の1というと、先ほどの40日としても6分の1は1週間もないというわけで、この「淡青丸」の10日とほぼ同じになる。ただし、遠くまで行こうと思ったら「淡青丸」では行けない、こういういろいろなやり方が出てきます、使い方の違いはありますけれども。何かそういうことも含めていかがでしょうか。

【西田教授】
 どのような船が必要かという意味では、この分野分け、確かにそれぞれの船の特徴を示す意味はあると思うのですけれども、どのような船が必要かという方向からは、今どき分野分けというのは、ナンセンスというのはちょっとあれですけれども、結局、水産にしても生物にしてもそれ以外の分野にしても、単一の分野だけではとても海のことはわからないといって全部調査するわけです。そのグループ間の協力は非常に盛んになっていますし、いわゆる学際的な航海というのはいっぱいあります。それがごく普通であるというぐらいの感じです。私は「淡青丸」の代船のワーキンググループを行っていまして、UNOLSの船も見てきましたけれども、方向性としては、何でもできる船だと。分野ごとの仕分けというのは、なるべく船の自由度を増して、固定的な利用ではなくて、航海によって、例えばコンテナを積んだり、アメリカなどで非常によく行われているのは、ウインチもかえたり、Aフレームもかえてしまう。場合によっては可搬型のウインチを積んで、ROVもできる。むしろ自由度を増すような方向、それが1つの方向性ではないか。
 だから、分野でくくるというのは、意味はあると思うのだけれども、むしろイメージとしては分野でくくらないで航海日数で、このUNOLSのクラス分けというのも、どの船も何でもできます、けれども、航海日数がオーシャンクラスで長いですよ、そういう仕分けをしてあると思います。

【大土井海洋地球課長補佐】
 それは重々承知をしております。事務局としましても、それは考えております。事務局といたしましては、やはり寿命を考えますと、「淡青丸」、「なつしま」あたり、若干小さめの船が早目に寿命を迎える。代船を考える際には、やはり小さめの船であろうと我々は考えております。その際に、小さい船でございますので、やはりおのずと積めるものには限度があるだろう。ただ、カバーする分野として、ではそこで特定の分野に特化するのか、オールマイティーにするのかという点があると思います。その際には、先ほど西田先生がおっしゃったとおりコンテナ式にするというのも1つあるでしょうし、いろいろ意見があると思っております。事務局としての意見もそれなりにありはしますが、先生方のご意見をとりあえずいただきたいというのが、そもそもの趣旨でございます。

【近藤海洋地球課長】
 議論していただくときにこれを用意した理由は、1つは、大きさというものが1個の視点で、軸としてあるだろうと。それを3ページ目に大きさから見るとしたら、各船にはこういう要素が入っていますよと。それから分野としては4ページに一回整理し、その中で、全体を俯瞰するものは5ページです。そのときに、もう一回3ページに戻っていただくと、やはり老齢化している船もある。だから、そのときにまず全体を整理しておいて、ここが必要です、という話をしないと、なかなか説明がつかない。それで、全体を俯瞰した概念を整理して、その中で、当然次はここが必要です、ということを論理的には整理していく必要があります。この3ページ、4ページの個々については必要があればまた直しますが、縦軸、横軸をまず頭に要素として入れていただいて、それで、全体はどういう整理で、次は当面何をしますかという議論を若干していただければと思います。

【門馬委員】
 UNOLSに関してなのですが、これができたのは2001年です。それ以前にはアメリカはこういうクラス分けはしていなかったのです。長年の歴史を経てこういうクラス分けをすることによって、この船が欠けたら補充する、そういう分け方にたどり着いたと思うのです。ですから、非常にうまい分け方だと思って、それをJAMSTEC船に当てはめると3ページになるわけです。そうすると、やはり大きさが大きいほうに偏っていて、小さいものが少ない、そういうことがすぐわかるわけです。だから、やはりこういう考え方に基づいて、どこを補充するかということを考えていったほうがいいと思います。

【瀧澤委員】
 実際は単一分野の航海はないと思っていますけれども、やはりこのようにここが欠けたら困るという全体像をある程度意識しての資料づくりというのは必要ではないかと思っております。

【花輪委員】
 門馬さんに質問したかったのですが、このUNOLSの4種類のクラス分けで、全部で40隻ぐらいだと思うのですが、どれが何隻という数字はつかんでいませんか。

【門馬委員】
 詳しい資料はあるのですが、ちょっときょうは持ってきておりません。アメリカの場合は、圧倒的にローカルクラスとリージョナルクラスが多いです。

【花輪委員】
 ローカルとリージョナルが多くてグローバルは少ない。

【平(啓)主査】
 グローバルは3隻か4隻です。NOAAなど。

【近藤海洋地球課長】
 先ほど最初にお話ししましたように、将来的に全体をどうするのか、ここ数年ではなくて、全体構想を持っていないといけない。

【平(啓)主査】
 それでは、3ページをもとにして船の大きさだけ、議論したいと思います。

【小池委員】
 さっきNOAAの話が出ましたけれども、NOAAも結構たくさん船を持っていると思うのですけれども、NOAAはこういう分け方をするとどうなっていますか。

【平(啓)主査】
 大きいですね、グローバルクラスが圧倒的だと思います。

【小池委員】
 アメリカの場合、NOAAと大学というのは相互に乗り入れていろいろな研究を行っているのですけれども、大学の人もNOAAの船に乗るし、NOAAの人も大学の船に乗っている。JAMSTECとほかの船というのは、やはりNOAAのそういう感じだと私は思うのですけれども、そうすると、やはりNOAAの船も全部一緒に入れてどういうふうになるかというのをアメリカと比較してみないと。大学の船だけ取り上げると確かにアメリカは小さい方が多くなっちゃうのです。多分ローカルクラスがすごく多くなります。

【平(朝)委員】
 済みません、JAMSTECはNOAAを目指していません。うちはウッズホール海洋研究所と同格になろうと思っているわけで、NOAAではございませんので。

【平(啓)主査】
 いや、政策的なというようなところ。

【平(朝)委員】
 政策を行うのは気象庁や水産庁であって、我々ではありません。

【花輪委員】
 いずれにせよ、アメリカという1つの非常に海洋に目を向けている国が、NSF、NOAAも含めてどういうラインナップでやっているのか、どういう隻数があるのかというのは、やはり私たち日本にとっても参考になると思うのです。これはぜひ次回までに、ちょっと数字を入れていただくと、例えば大学連合、NOAAはこんなラインナップでやっていますというのがあると非常に参考になると思うのです。

【平(啓)主査】
 門馬さんのほうだとすぐに資料は集まりますか。

【門馬委員】
 はい。

【鈴木委員】
 ちょっとお伺いしたいのですが、3ページの表で大学関係者がこれだけ乗っていますというのがありますね。それから先ほどの、そういう公募型にしてテーマが取り上げられなくて乗船研究できなかった人というのはどのぐらいいるのですか。ほぼ埋まっていると考えていいのですか。

【小池委員】
 採択率ですよね。

【鈴木委員】
 それが、やはり船を考えていく上で重要な要素だと思うのですよ。まだ足りないのか、ということで。

【小池委員】
 採択率というのか、従来の「白鳳丸」・「淡青丸」の共同利用のやり方というのは、基本的にはなるべくたくさん乗せる。昼間こちらをやったら夜はこちらをやってもらうとか、そういう格好で、もう船がベッド数だけ乗せていたのです。ですから、そうすると自動的に採択件数は増えるのです。なるべく充足率を増しますということでずっと動いてきて、ただそうすると、外から見たときに、これはほとんど選択していないのではないかという話がここ数年出てきて、それでここ数年は、点数をつけて落としてしまうという方向に行って、それで今、採択率が70とか80ということになっています。それでもやはり抱き合わせの航海というのは非常に多いです。今、やはり大学だと、そんなに10人とか11人1つのグループでは乗れないです。やはり四、五人のグループを2つぐらい採用するか、あるいはもう抱き合わせができなければ四、五人で使ってもらうとか。そのかわり従来は11人のベッドを全部埋めていたのが6人ぐらいで行う航海がここ数年増えてきた。そのどちらがいいのかというのはなかなか判断が難しいところですね。

【鈴木委員】
 それともう1つ、数の問題ですよね。サイズの問題もありますけれども、たくさん研究者が乗っても、行けるところは1つしかないわけですね、同じ時間の中では。そのことを考えたときに、今の船で足りているのかどうかということを、多分僕は足りないのではないかと考えます。

【門馬委員】
 ほかの5船についてなのですが、深海調査に関して非常に厳しくて、採択率が5割いっていないと思います。「みらい」の場合には主要課題がありますので、採択率は非常に高い、95パーセントぐらいはいっていると思います。

【鈴木委員】
 目的があって船があるわけですから、単なる量の問題ではないと思います。そこをはっきりする必要があると。

【近藤海洋地球課長】
 要するにどこがどういう要望があるのかという話がありまして、それは分野もありますし船の大きさもありますし、年によってもかなり違うので、一概に言えないと思います。採択率を上げる方向で頑張りたいというのはありますけれども、いたちごっこの話は当然あります。ですから、要望が全くないところについて、ほんとうに採択率が確実に100パーセント近いところは考えないといけないですけれども、全体を同じ採択率にするとか、そういうことは船の場合はできないと思っています。今のところ、各クラスの船とも要望は高いということではないでしょうか。
 では船はどのくらい用意できると考えられるのかというと、これ以上数を増やすというのは難しいと思っております。まさに独法は中期目標の段階で、もう毎年業務の1パーセントの効率化、そういうこともあり、財政事情も考えると、増やすというよりも、今の中でどういうふうにうまく使っていくのか、あるいは7船体制から若干減る可能性がありますと。「淡青丸」、「なつしま」、「かいよう」、かなり厳しい事態になってきています。これをどれだけカバーできるかというと、そのまま同じ台数を維持するのも難しい。そういう中で、分野のことも考えなきゃいけないでしょう、それから大きさも考えなきゃならないということです。結論から言いますと、採択率を上げる方向で頑張りたいと思います。そのためには、運用の体制を変え、それから、仮に新船ができるのであれば、もっと何回も航海ができるようにする。そういう努力は必要だと思っております。ただ、ここのクラスの船が余っている、こっちは非常に過密になっている、という話の整理は、まだできておりません。

【鈴木委員】
 実際、現在の財政状況で、当事者である課長は当然それを考えなくてはいけないと思います。しかし、独法の効率化のために海洋研究があるわけではないです。日本としてどういうことが必要で、それについては、それを最も効率的にやってもこれだけは必要ですというベースが先であり、二個を一個にするとかなんとかという話が先にきてしまうと、それはもうそれしかないですね、という話になってしまいます。

【近藤海洋地球課長】
 そのために、ここでどういうクラス分けや大きさなどで、そういうものが必要かということを議論していただきたい。まさに鈴木先生のおっしゃるとおりのところの議論をしていく必要があると思います。

【大塚委員】
 前に山室先生が沿岸の船のことをおっしゃっていたと思うので、やはり沿岸のことを研究していらっしゃる方は結構多いと思いますし、その辺のニーズはとても多いと思います。船としても多分そんなに高くないというのもあったりして、そういう意味では必要性をここで言っておく、この表ももっと下、もっと小さい船まで下げていったほうがいいのではないでしょうか。

【近藤海洋地球課長】
 ものすごく端的に言ってしまうと、やはり沿岸クラス、それからオーシャンクラス、グローバルクラス、何隻要るかというのはちょっと言えませんけれども、そのクラスごとに船は要ると、それは守っていきたいと考えます。ただやはり、実際に建造年を見ていただくと、重要な分野である近海、沿岸域の辺が今後課題になるでしょう、ということはしっかり位置づけていく必要があるのではないかと考えています。

【平(啓)主査】
 では、せっかく専門の人がそろっているので、特に総トン数600トンとか、今「なつしま」は1,800トン、それと研究者が11人、18人というところなので、何かそういう船のサイズについて言えればと思うのですけれども、私個人の経験からいくと、初代の「淡青丸」というのは250トン。この船は相模湾の観測をしていると、夜は伊東の港に入っていた。船の大きさはどれぐらいがいいのか、少し意見を聞きたいと思います。

【平井委員】
 私たちのところは基本的にはリージョナルなものをベースとしていて、それよりもさらに沿岸の船と、2種類の船、600トンクラスが5隻と、100トンクラスのものが4隻で、私たちの独法は、我が国周辺を基本的に押さえる、そしてもう少し沖合のほうは水産庁直属の2隻の3,000トンクラスの船と1,500トンクラスの船がありますので、それで分担しているという形です。やはりどういう海域をどの船でするかというのをもう少しはっきりとする必要があると思います。それから我々は基本的に、ルーチン的、モニタリング的なものが多い、特に生物を主体とした観測、物理の観測もしますけれども、季節感もあって、大体船の運航は決まっているので、できれば大学等の船については、どういう採集の仕方が一番よいのかとか、どういう測器がいいのかという、そういう開発的な部分をぜひお願いしたいと思います。
 大学がそれぞれの沿岸に船を持つというのはかなり難しいことだと思うので、こういうふうな運航計画をもとに考えるものとしては、かなり大きな、リージョナル以上の船で考えていただいたほうがいいかと私は思っています。そういう点では、今、最も足らないのは「淡青丸」クラスのリージョナルな船であるというふうに感じております。

【平(啓)主査】
 乗員数38名、うち研究者11名で差し引き27名の船員がいます。これはどうしてかというと、大学の人、研究者というのは、サンプルは欲しいと言うのですけれども、どうやってやるのか、あるいはどういう肉体労働が要るのかというのはとても頼りにならないのです。ですから、27人で、ものすごく多いように思うのですけれども、こういう人たち、船員がいないと観測作業ができないという大きな問題があって、このようになっているわけです。これは全く「なつしま」などほかも同じだと思うのです。
 今、平井さんから「淡青丸」クラスが不足ということですが、何かほかにいかがでしょうか。

【松山委員】
 大きさの問題ではなくて、「淡青丸」の守備範囲というか、ここで生物と水産しか書いてないけれども、もともとの海洋研究開発機構の船は、どちらかというと、採水などの仕事はそんなに得意ではなかったわけです。今は「みらい」でやっていますけれども。だから、「淡青丸」は、大量採水等の化学分野の仕事にはかなり必要ではなんです。だから、環境観測分野というのは、非常に抽象的なので、小池委員や加藤委員を前にして化学の分野が抜けているなんて言うのは失礼かもしれませんね。この分野がやはり全体として弱いのではないかと思うので、入れたらいかがでしょうかという提案です。

【平(啓)主査】
 それは先ほど、物理が消されているのと同じように重要だと思います。たとえ沿岸というか相模湾ぐらいのリージョナルなところでも、物理だけ研究するわけにもいかないというのは西田さんも言っていたのですけれども、何か船のサイズに関してのご意見は。

【小池委員】
 私はずっと「淡青丸」を使っているのですけれども、一昨年から、運航が265日となって、非常に増えてありがたかったのですけれども、ただ、だんだん季節的に秋から冬にかけての航海が必要になってきて、やはり「淡青丸」は600トンありますけれども、黒潮を越えて先へ出ていくというのはかなり大変なのです。それで、私はこの間、11月に航海があったのですけれども、もう伊豆七島のところでうろうろして、結局なかなか出られなくて、8日間あって1回だけ黒潮を越して向こうへ出られました。それぐらいの船でもなかなか日本の近海というのは厳しいのです。ですから、ある程度余裕を持って航海が組めるとか、大きさにしても、もう少し大き目の船にすると、ある程度仕事ができ、また、その場に行けても採水ができないと私たちは仕事にならないので、それを考えるとさらにちょっと大きいほうがいいのかなと思います。

【加藤委員】
 僕も同じことを今発言しようと思ったのですけれども。やはり平均して3日に1回低気圧が来る我が国近海ですから、600トンというか、全長51メートルでは少し厳しいだろうと。

【平(啓)主査】
 やはり2,000トンぐらいは要るということですか。

【加藤委員】
 2,000トンいけば、このクラス分けでいくとオーシャンクラスになっちゃうので、もう少し小さくても。

【平(啓)主査】
 では1,000トン級。

【近藤海洋地球課長】
 船の大きさと、あと運用の仕方、運航日数というのは性格が違う話ですけれども、そこを併せて考える必要がある。そういう意味では沿岸を中心とする船ということを考えていて、その運用の仕方をどうやってつくるかというのも、だれか提案していただければありがたいです。そこは別としましても、船の大きさだけを固めてしまう必要はないのかと思っております。例えば、今までより若干大きい船でも使い方として沿岸をメインにすることもあると思います。

【平(啓)主査】
 私も思い出しました。小池先生は黒潮を越えられないと言ったのですが、私は東京湾から出られないということが何回もありまして、横須賀ぐらいまで行っては戻ってくるということがありました。

【平(朝)委員】
 私もリージョナルクラスというか、「淡青丸」のような使い勝手のいい総合海洋観測船であり、なおかつ、港へも頻繁に入れてというような船、そして沿岸も含めて黒潮ぐらい越えられることは、今一番必要だと。大学等々も今厳しい状況にあって、なかなか1か月とか2か月の長期航海に出ることができないという状況になってきて、また学生もなかなか外へ出るのが難しくなってきて、そういうニーズにこたえる、比較的短めの航海をたくさん繰り返しながら航海していくことは必要だと思っています。したがって、リージョナルクラスかオーシャンクラスか、その間ぐらいの船が1隻必要だと。
 もう1隻、私は緊急に必要だと思ったのは、ここは固体地球の人があまりいないのですけれども、やはりポスト大陸棚を目指して、なおかつ科学のために使う物理探査船、地殻構造を調べる船だろうと思っております。今、日本には「白鳳丸」、「かいれい」、「かいよう」でMCS、OBSを行いますけれども、「かいれい」のMCSは非常に古い型のシステムで、もう大体寿命も来ているし、使命も大陸棚調査で終わるのかなというところですので、新たに、特に「ちきゅう」に関するIODPの事前調査、そしてこれからのさまざまな海底資源等も含めて学術的にそれをきちんと行うという意味で、専用物理探査船をぜひつくらないと、日本の海洋学あるいは地球科学の未来はないと思っておりますので、ぜひ「淡青丸」クラスというか、リージョナルクラスと物理探査船2隻を3年以内につくるということをお願いしたいと思います。

【小池委員】
 ちょっと聞きたいのですけれども、経産省の物探船はどうなったのですか。

【平(朝)委員】
 知りません。

【平(啓)主査】
 では、もう1つ話題があるので、これは600トンがいいか、800トンがいいか、1,000トンがいいかなどと多数決とってもしようがないので、ここで打ち切りにします。

3.海洋研究船委員会取りまとめ骨子(案)について

【平(啓)主査】
 それでは次は資料5-5ということで、お願いします。

【大土井海洋地球課長補佐】
 資料5-5でございます。まだまだ議論が尽きないところではありますが、若干イメージを持つためにも、取りまとめ(案)の骨子、章立てだけでもつくらないと、と思ってつくったものでございます。
 大体の流れとしましては、「はじめに」としてこれまでの経緯、もともとの海洋研究船の必要性は、海洋研究は海に出なければだめだということを踏まえた上で、海洋研究船が必要だという話をする。あとは、これまでの経緯及び現在の体制は、JAMSTECが運用することになっているという話をさせていただければと思っております。この報告書としては、今後の将来的なあり方と、整備すべき研究船について議論したものであるということを書きたいと思っております。
 2.につきましては、「我が国が保有すべき海洋研究船について」として、これまでいただきましたニーズを簡単にまとめたらどうかと思っております。それに付随して、持つべき機能として、こういう分野でこういう研究が必要であるというものを書きたいという考えでございます。あと、本日の議論等を踏まえまして、運用方針としては、本来あるべき姿はこういうものである、というものが書ければいいと思っております。
 3.でございますが、「今後の海洋研究船の整備について」としまして、先ほどご議論いただきましたような、我が国としてこれだけの全体像としてフリートが必要であるというものを書きたいと思っておりまして、その上で、直ちにということで、これは一番予算要求に直結する部分でございますが、次の船はどういう船がいいか、先ほど平委員のほうからご示唆がございましたのは、リージョナルクラスの船がいいというような内容のものを書いて報告書としたいと考えております。

【平(啓)主査】
 あまり議論をしなかったのですが、やはりきょう最初の議題で、運航形態というか、特に学術研究船と海洋研究船の使い方も、ある程度気をつけないといけないと思うのですけれども、全部がJAMSTECの海洋研究船になりましたというと、性格がはっきりしなくなるというふうな危惧を私は覚えております。
 では、せっかくですので、コメントございますか。

【小池委員】
 先ほど、やはりどれだけ日本として船が必要かというときに、国の施策として、どういうところにどれだけの船が要るかというのは、ある程度きちんとした見積もりを出さないといけないと思うのです。それで、大学のほうは、ある程度今までの実績がずっとありますからわかるのですけれども、これから先、例えば海洋基本法で、日本の200海里をきちんと調査するために一体どれだけの船が必要か、そういうことをある程度きちんと入れていかないと、今あれが欲しいと言われても、なかなか難しいと思うのです。ですから、そこのところを、機構を中心に、どういうものをどういうふうにやっていくのかということを、まとめて出していただければありがたい。もちろん、大学もそれにいろいろな形で協力はしていますけれども、やはりこれは法人としての機構がやるべきミッションです。ですから、それを出して、それを含めた議論をしていただきたいと思います。

【平(朝)委員】
 今、小池さんが言われたことは、機構として将来どういう計画があって、それにどのような船舶を整備するべきかという、まず青写真を提出しなさい、それにプラスアルファで大学共同利用としてのビジョンもつけ足して、あるいは融合させて一緒にしたいと。

【小池委員】
 それをあわせて、日本としてこれだけのものが必要だと。ここに産業界の観点からのニーズと書いてありますけれども、これはちょっとしたつけ足しです。やはり基本的には学術の観点、国のプロジェクトとしての観点の2つが主になる。

【近藤海洋地球課長】
 将来的にどういうものが出せるかとかという議論はあると思います。ただ、全体でこれだけというJAMSTECの全体像、あるいはどういう分野が要るか、先ほど平委員のほうからありました海洋物探船、そういうものも必要だということもありますでしょうから、そういうものも含めて提案していただきたいと思っています。
 ただ、一言誤解のないようにご説明しておきたいのは、大陸棚の調査については、我々は協力しておりますけれども、メインは海上保安庁あるいは資源エネルギー庁で行っておりますので、それが我々のミッションのメインではありません。どちらかというと我々は、そういうバックグラウンドの中で海洋の科学技術をどういうふうにうまくこれから行っていくのか、どういう分野で頑張っていくのか、その辺を考えながら新しい船も、あるいは全体を考えていく必要があると思っております。

【鈴木委員】
 その視点の中に、海洋科学を目指す人がだんだん少なくなってきているという話を大学の先生から聞くのですが、産業界でも、現場力を鍛えなければならないとか、今盛んに言っているわけです。昔から、現場をきちんと見て、現物を見てという流れがある。だから、極力、希望する研究者はもちろんですけれども、やはり学生ももっと海の現場に出て行けるようなことが必要、今が充足していないと私は思っているのですけれども、そういう視点もちょっと入れる必要があると思うのです。

【花輪委員】
 この委員会は、海洋研究船、研究をミッションとする船の委員会であることは重々承知しているのですけれども、世の中にはほかのカテゴリーの船舶もたくさんあります。そしてそれらの船もどんどん減っていく運命にある。そういう周辺の船の、いわゆる純粋に研究船としてはミッションを持っていないけれども、実はそれらの船だって大学の研究者が乗って研究をしたということはいっぱいあるわけです。そういう周辺の船も今どんどん減船される時代になっているのです。ですから私は、海洋研究船が、今7隻から6隻になる可能性が非常に強い、その危機感も非常に大事なのですけれども、日本が持っている、研究のために使う別のカテゴリーの船の動向もきちんと把握したほうがいいのではないかなと思います。例えば、横軸にここ20年ぐらいの年をとって、縦軸に適当な、1,000トンから3,000トン、3,000トン以上でもいいのですけれども、そこに研究船と、研究に使える船の数を入れていったら、もう激減しているのが目に見える。そういうことまで踏まえて純粋な海洋研究船の主張をしたほうがいいのではないかなという気がします。

【近藤海洋地球課長】
 今、花輪先生の言った話はできるかどうか、検討はしてみたいと思います。しかし、ちょっと難しい面もあると思います。
 それから、鈴木先生がおっしゃった話については、あまり議論しなかったのですけれども、全国の学生、研究者がうまく使えるようにという視点は持っております。
 それから、すこし言い過ぎましたが、減船を目的にしているのではなくて、守るために必要であると思っておりますので、ご協力をよろしくお願いいたします。

【平(啓)主査】
 よろしくお願いいたします。
 この骨子(案)の取りまとめについての見通しなど、今後の作業についてお願いできますか。

【大土井海洋地球課長補佐】
 この取りまとめにつきましては、可能であれば年度内をめどに何かしらの形にし、夏までを目処にとりまとめていただきたいと思っております。それを踏まえて、次期整備船の概念設計等につきましては、次年度の概算要求に乗せていきたいと我々の方は考えております。これは事務局のただの希望ではございますが、事情が許す限りはそういうふうにしていきたいと思っております。

【近藤海洋地球課長】
 取りまとめ、特に2の(3)の運用方針、あるいは今後の整備については、いろいろなご意見を聞きながらもう一回調整も必要ですので、そういうことも踏まえながら進めていきたいと思います。いずれにしましても、予算と絡む話でございますので、そこをいかにうまく結びつけられるかというのも1つの大きな課題だと思っておりますので、また先生方に会議だけではなくていろいろな面でご協力をお願いすることがあると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それからもう1点、審議会の関係で、1月末までが委員の任期となっております。それぞれの先生方にできるだけ引き続き議論に参加していただく方向で今調整しております。具体的には、臨時委員の方々には、現在、委員の委嘱手続中でございますし、専門委員の方につきましても、事務局より連絡させていただくということを考えておりますので、ご協力のほどをよろしくお願いいたします。

【平(啓)主査】
 それでは、今日はほんとうにありがとうございました。

【近藤海洋地球課長】
 どうもありがとうございました。

─了─

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