海洋研究船委員会(第3回) 議事録

1.日時

平成17年10月12日(水曜日) 10時30分~12時30分

2.場所

文部科学省10階 10F2会議室

3.議題

  1. 独立行政法人海洋研究開発機構における海洋研究船の運航状況について
  2. 東京大学海洋研究所における学術研究船の利用課題の選定と利用状況について
  3. 我が国の海洋研究船利用について

4.出席者

委員

 平(啓)主査、磯辺、今脇、大塚、加藤、小池、鈴木、平(朝)、瀧澤、田中、玉木、花輪、平井、松山、門馬、山室 各委員

文部科学省

 佐藤 海洋地球課長、大洞 海洋地球課課長補佐

5.議事録

(1)独立行政法人海洋研究開発機構における海洋研究船の運航状況について

【平(啓)主査】
 これから第3回の海洋研究船委員会を開催いたします。
 実は第2回海洋研究船委員会が平成15年10月21日ということで、ちょうど2年前で、間をあけてしまいました。平成16年4月1日というのは、新しいシステムというか、今まで東大海洋研が運航していました淡青丸、白鳳丸をJAMSTEC、独立行政法人海洋研究開発機構で運航するということで、この委員会では、今の学術研究船だけではなくて、もっと広い海洋研究船すべての問題を網羅するということで議論をしておりますけれども、一番関心のありました平成16年以降の運航状況等について早く結果を伺いたいということ思っていたのですが、きょうになってしまいました。
 もう1つ、新しい行政の変化としましては、深海地球探査船「ちきゅう」につきましては、もう引き渡しも終えて、慣熟訓練で、近いうちに掘削のテストが始まるということですし、それから、もう1つの「しらせ」の後継船につきましても、平成20年の運行を目指して準備が着々と進んでいるということでございます。本日のこの委員会で、今後の海洋研究船についての議論を深めていきたいと思います。それでは、議事に先立ちまして、佐藤課長のごあいさつをお願いいたします。

【佐藤海洋地球課長】
 事務局を担当しています海洋地球課長の佐藤です。
 あいさつということで、全体の話と、それからこの研究船委員会にかかる部分と、2つに分けて簡単にお話ししたいと思いますけれども、全体の話では、今年も概算要求を始めて、いろいろ予算折衝を始めているところでございますけれども、やはり今年の概算要求基準が、科学技術振興費については、ほかのケースと全く同じということで、3パーセント減から始めなさいと。それにプラスして施策的経費を要求していいということになっているのですが、ということで、ほかの経費に比べて、昨年までは幾らかゼロという中で優遇された部分がなくなったということで、非常に厳しいことも起こるのではと思っている次第ですけれども、できる限り海洋科学研の予算につきまして頑張っていきたいと思っています。
 もう1つは、第3期計画の策定の議論の場が、CSTPのほうに移りましたけれども、そういうものの中で、文部科学省としては、重点4分野ばかりでなく、いわゆる海洋、ほかにも宇宙とか原子力とかありますけれども、そういう国家基幹的な技術のものについては、もっとしっかりやるべきだというようなことで、その辺のところ、またいろいろあるかと思いますので、ご理解なりご協力なりいただければありがたいかと思っております。
 さて、また研究船委員会の関係でございますけれども、先ほど平主査からお話がありましたように、平成15年に2回ほど会議をした後、しばらく時間があいてしまいました。やはりどういうふうに取りまとめたらいいのかというのはなかなか難しかったのではなかろうかと率直に思っていますけれども、その辺のところは、また取りまとめ方針を後ほど論点整理のところで用意していますので、その議論をして、うまくまとめていきたいと思っています。一言で言えば、やはり海洋研究船が果たすべき役割とか機能というのをどうすればいいのかと、そういうことではないかと思っておりますけれども、また後ほど議論させていただきたいと思います。
 ということで、本日の会議は、前2回でいろいろな現状認識ということで勉強はしてきているわけですが、先ほども話題に出ました学術研究船の移管の話とか、その後、具体的に進んだ話もございますので、そういった意味で海洋機構の海洋研究船、また学術研究船の現状の話を少しお聞きしまして、その上で今後の取りまとめ方針を議論させていただきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

【平(啓)主査】
 佐藤課長、ありがとうございました。それでは、議事の前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。

【大洞海洋地球課長補佐】
 はい。資料の確認をさせていただきます。
 第3回海洋研究船委員会議事次第というのが1枚ございますけれども、めくっていただきますと、資料3-1として、委員の名簿がついてございます。
 資料3-2が前回の議事録、資料3-3がその概要ということでございます。ご確認ください。
 資料3-4、本日の議事の(1)に関係いたしまして、「JAMSTECの調査船及びその運用体制について」という横紙でございます。
 資料3-5、本日の議事の(2)に関係いたしまして、「学術研究船白鳳丸・淡青丸の共同利用による運航体制について」ということでございます。
 資料3-6、本日の議題の(3)に関係いたしまして、「わが国の海洋研究船利用について(論点整理)」という紙でございます。
 以上が資料でございますが、参考資料といたしまして、1、海洋開発分科会の運営規則。2といたしまして、「科学技術・学術審議会海洋開発分科会の委員会の設置について」。参考資料3といたしまして、「海洋研究における船舶利用の論点」。前回の委員会の配付資料でございます。参考資料4といたしまして、船舶の一覧表というのをつけてございます。これは1回目、2回目の海洋研究船委員会でいろいろ説明していただいた内容に基づきまして、船の一覧をつくってみたものでございまして、これはまだこれからちょっと充実をしていきたいと思っておりますが、とりあえずのところでまとめてございます。
 以上でございます。もし落丁等ございましたら、事務局のほうにお願いいたします。

【平(啓)主査】
 議事録、つまり資料3-2と3-3ですか。これの扱いというのはどういうふうになっていますでしょうか。もう公表が済んでいるものでしょうか。

【大洞海洋地球課長補佐】
 これはまだ公表はしておりませんので、もし前回ご出席の方で、ここを訂正していただきたいという意見等ございましたら、ちょっと2年前で申しわけないのですけれども、1週間程度で言っていただければ、また訂正して、最終的には公表したいと思っております。よろしくお願いいたします。

【平(啓)主査】
 それでは、この委員会の審議事項及び運営についての確認ということで、事務局のほうからご説明をお願いいたします。

【佐藤海洋地球課長】
 それでは、この委員会の運営の仕方ですが、参考資料1と参考資料2というのがかかわってくるのですけれども、参考資料1に海洋開発分科会の運営規則というのがございます。この分科会の下に、本海洋研究船委員会が置かれているわけですけれども、委員会の特別の運営規則というのは、これまでも特別つくってきておりませんので、この分科会の運営規則に準じて運営を行いたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、参考資料2のほうが、審議事項を定めているわけですけれども、これにつきましては、平成15年に決めたものと同様ということで、具体的な審議の進め方につきましては、特に取りまとめ方につきましては、この後、議題(3)で議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

【平(啓)主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、早速、議題に移りたいと思います。議題(1)というのは、ここにありますように、独立行政法人海洋研究開発機構における海洋研究船の運航状況についてということでございまして、海洋工学センター研究支援部、門馬さん、お願いいたします。

【門馬委員】
 それでは、JAMSTECの船についてご説明したいと思います。
 「調査船」と書いてあるのですけれども、言葉がいろいろありまして、JAMSTECでは英語にするとすべてリサーチベッセル(research vessel)と読んでおりますので、ここでは調査船と呼ばせていただきます。
 まず、JAMSTECの船舶の紹介と、それから運航計画の策定ということで、どういうふうにして運航計画をつくっているかということをご紹介します。続きまして、船の現在の船舶の運用に関する問題点をご紹介し、最後に、船舶の長期保守計画について触れたいと思います。
 まず組織なのですが、JAMSTECでは船の運航をする部署が3つあります。JAMSTECには7つのセンター(研究開発をする部署)があり、その中で、我々は海洋工学センターにいるのですが、海洋工学センターの中にある、研究支援部、それから学術研究船運航部という、この2つの部署で船の運航を行っております。もう1つは「ちきゅう」を動かす部署で地球深部探査センターといい、この3つの部署で船を動かしているということです。
 まず船舶についてですが、現在、「ちきゅう」を含めて8隻の船が動いております。このJAMSTECオリジナルといいますか、もともとJAMSTECで建造した「なつしま」「かいよう」「よこすか」「かいれい」「みらい」、この5隻に加えて、昨年度から東大海洋研究所から2隻、「白鳳丸」「淡青丸」が移管になりました。また今年から、「ちきゅう」が運用を開始したというわけです。
 この船に加えて、調査装置としては、「しんかい2000」、これが一番古い有人潜水船で、現在は廃船になっております。「しんかい6500」、それから無人探査機として「かいこう」。この「かいこう」が2年前になくなりましたので、「かいこう7000」という暫定ビークル(vehicle)をつくって、7,000メートルまでのROV(遠隔操作無人探査機)として動かしております。それから「ハイパードルフィン」、これは3,000メートル級のROV。それから「ディープ・トゥ」、これは6,500メートルまで行けます。あと「トライトンブイ」と、マルチチャンネルの音波探査装置、それから海底地震計、これらのものを使って調査研究を行っております。
 まず船舶の運用形態なのですが、2種類あります。1つ目は運用委託。外部の民間に委託している運用です。「なつしま」「かいよう」「よこすか」「かいれい」「みらい」、この5隻は運用を民間に委託しております。自主運用というのは、JAMSTEC自身が運用している、つまり船員がJAMSTECという運用の形態もありまして、これは「白鳳丸」「淡青丸」それから「ちきゅう」。この「ちきゅう」については、まだ暫定的なのですけれども、将来は運航委託になる予定です。
 それから、このほかに研究を支えるスタッフとしまして、観測技術員という制度があります。これは乗船研究者の支援をする。観測のサポートをしたり、みずからが観測したりするわけですけれども、このスタッフがいて、JAMSTECの研究が成り立っているといってもいいかと思います。
 海上支援だけで年間のべ1万5,000人日。これだけのサポートをしております。合計150人以上のメンバーがこの観測技術員になりまして、これは外部の委託、民間企業から派遣しております。
 各船についてご説明しますが、まず「なつしま」ですが、これは一番古い船でして、もともとは「しんかい2000」の母船として建造されました。「しんかい2000」が廃船になりまして、その後は「ハイパードルフィン」、この無人機の母船として動かしています。「ハイパードルフィン」以外に「ディープ・トゥ」あるいは汎用の調査船としても動かしております。建造が1981年で、今年で24年目になります。主な実績として、今年の初めに、スマトラ沖の地震に派遣しまして、「ハイパードルフィン」と、この「なつしま」では、最近マルチビームの音響測深機を搭載しまして、これはシーバットというのですけれども、これで地形を調査して、「ハイパードルフィン」で海底を観測するということを行っております。
 次に「かいよう」ですけれども、これは特殊な船型で、半没水型双胴船と呼んでおり、長さのわりに幅が広いという船です。1985年に建造されまして、今年で20年目になります。主なミッションとしては、マルチチャンネル音波探査。これは大陸棚調査に使っておりますけれども、マルチチャンネル海底深部探査装置と海底地震計100台を同時に運用して、反射法、屈折法の地震探査を行っております。研究室もあり、ウインチ等は外付になっていまして、必要があるときに搭載するという形をとっております。
 それから「よこすか」。これは「しんかい6500」の母船です。これが主なミッションでして、1990年に建造されました。いろいろ世界中の海を調査しておりますけれども、「しんかい6500」を積んでいろいろな場所に行っております。研究室も、数は少ないのですけれども、幾つかありまして、当然ながら、マルチ音響測深機を常時搭載しております。必要に応じて、ピストンコアを用いたりシングルチャンネルを使用したりということを行っております。
 「かいれい」ですが、「かいれい」は「よこすか」とほとんど同じ船型でして、大きさもほとんど同じです。97年につくられました一番新しい船です。これは主に「かいこう7000」の母船として使っておりますのと、あとはマルチチャンネル音波探査。これも大陸棚に活躍しております。現在、この「かいれい」と「かいよう」を使いまして、主に大陸棚の調査、これが主要なミッションになっております。「よこすか」に比べて研究室も充実しております。
 それから「みらい」ですが、これは東大から移管された白鳳丸をスケールアップしたと思っていただきたいのですが、97年に、もともと原子力船の「むつ」から原子炉を外して改造されたものです。一番大きい船でして、全長が129メートルあります。研究者もかなりたくさん乗れます。主なミッションとしては、海洋の物理観測、トライトンブイの設置・回収。それから定点観測のようなこともやっております。一昨年、2003年に南半球の世界一周航海を行いまして、半年以上の期間をかけて世界一周をしております。「みらい」は白鳳丸にならって建造されたものですから、非常に研究室が充実しております。ほかの船は、ウインチは外付なのですけれども、「みらい」の場合にはウインチは船内に搭載しております。これもよしあしはあるのですけれども、いちいち積みかえる必要がないというメリットがあります。
 それから「白鳳丸」「淡青丸」。これは後で小池先生からご説明がありますので省略いたします。
 それから、JAMSTECの船の年間の行動なのですけれども、これは過去3年間の実績を棒グラフで示しております。ごらんのように、大体250日~300日の範囲で運用しております。白鳳丸・淡青丸に関しましては、昨年度移管になりまして、運用日数が180日から280日ぐらいと、約100日増えております。つまり、もう1隻、船が増えたと同じようなことになっております。
 船舶の運用日数が官庁船に比べて多いのですが、これは船の定員だけではやっていけないのはおわかりのとおりだと思います。つまり、船の定員プラスアルファ、予備船員というのがおりまして、大体定員の1.5倍ぐらいの船員を抱えておりまして、これは休暇をとるためにそれだけの人数が必要だということです。ですから、官庁船が180日ぐらいだと思うのですけれども、これは定員しかいないということで、やむを得ないことだと思います。JAMSTECの場合には、定員以外に予備船員を抱えておりますので、これだけの日数を動かせるということです。当然、白鳳丸・淡青丸の移管になった後、JAMSTECとしては予備船員を増やしまして、これだけの運用日数を稼いでいると思います。
 次に、船舶の運用計画の決定プロセス。これについてご説明したいと思います。3種類の運用の計画策定プロセスがありますけれども、これ以外に、白鳳丸・淡青丸については、東大海洋研究所が窓口となって運用計画をつくっております。これについては小池先生からご説明があると思うので省略いたします。
 まず、所内利用というものがあります。これはJAMSTEC自身のプロジェクト研究と重要な委託研究を行うためのものです。次に、深海調査研究と「みらい」共同利用型というものがあります。この深海調査研究と「みらい」に関しては、公募という形をとっておりまして、それぞれ若干違う形をとっております。「みらい」のほうは、海洋研の白鳳丸・淡青丸に近い形をとっております。深海調査研究は全くの公募で、JAMSTECには何の優先権も全くありません。すべての研究者が同じ資格で応募しております。
 まず深海調査研究についてなんですが、深海調査研究推進委員会、計画委員会、実施計画調整部会、この3つの委員会がありまして、この中で応募課題について審査して、採否を決めております。もう1つの「みらい」の共同利用型というのは、運用検討委員会の1つしかありませんが、所内で主要課題というものを決めておりまして、この委員会で応募課題を審査するという形をとっております。
 それぞれについて、もう少し詳しくご説明しますと、まず深海調査研究ですけれども、4月の頭に計画委員会と実施計画調整部会の合同部会を開きまして、ここで来年度の計画を策定いたします。これを推進委員会にかけて、総合的な見地から計画をつくる。これに基づきまして、7月の末から8月にかけて公募いたします。これはネット上で応募してもらいます。これをまとめて計画委員会で応募課題の審査を行います。各委員は幾つかの課題を受け持ちまして、その課題の提案者の考え方に基づいて各委員に説明して、これを各委員が審査するという形をとっています。
 これに基づきまして、点数をつけたものを船の線表に当てはめる。これが実施計画調整部会。ここで線表に当てはめるという作業を行います。この計画委員会と調整部会というのは非常に大変な重労働でして、計画委員会のほうは2日間缶詰になります。調整部会のほうは1日で済みますけれども、これはかなかハードな仕事だと思っております。これに基づいて、線表に当てはめたものを推進委員会にかけて、最終的には年度末に理事会にかけて、これを承認するという形をとっています。実際には、大体の線表はできているのですけれども、予算に応じて年度末に若干の修正もありますので、これは最終的に決まるのは年度末ということになっています。ただし、科研費の申請等に間に合うように、10月中には内示という形でお知らせするようにしております。
 一方の「みらい」のほうなのですが、これは所内で主要課題というものを決めまして、主要課題に基づいて運用検討委員会でその主要課題の審議をしまして、これに基づいて7月末から8月にかけて、共同利用課題を募集いたします。その募集課題について運用検討委員会で採否を決定いたします。これに基づいて、年度末になりますけれども、理事会で承認するという形をとっております。
 一方の所内利用ですが、これはJAMSTECのプロジェクトを実施するためのものでして、各研究部署、各センターから課題が出てきたものを、ランクづけは各センターで行って、それを線表に当てはめるという形をとっております。所内で委員会のようなものをつくって、ここで検討して年度計画をつくっております。
 問題点として、所内の7隻の船に関して、年度計画の策定システムが所内と所外にあり、またJAMSTECの中でも3つのやり方があるということで、JAMSTECの中の場合にはある程度調整はできるのですが、白鳳丸・淡青丸に関しては重複するようなこともないとはいえないということで、この辺の全体の計画についての調整をする部署が何か必要ではないかと思っています。
 それから、船舶の長期保守運用計画ですが、これはまだ公式な見解ではありませんので、研究支援部の意見としてお聞きいただきたいと思いますけれども、7隻の船がありまして、「なつしま」が一番古くて今年で24年目。来年度、25年を迎えるわけですけれども、「なつしま」に関してはかなり近代化を行っておりますので、まだしばらくは大丈夫かと思っております。「淡青丸」は、もうすぐ25年を迎えますけれども、こちらは代船の話が出てきております。
 それから、「かいよう」については、今20年でして、これを何年もたせるかということですが、一番「かいよう」が船齢的にはもたないのではという気がしております。「かいよう」は双胴船でいろいろ荷重がかかり、ひずみが集中するということがありまして、耐久性に若干問題があると思っています。「かいよう」は非常に使いやすい船なのですが、耐久性が若干落ちるということで、25年を目安に何とかしなければいけないのではないかと思っております。
 「よこすか」「かいれい」「みらい」については、しばらくは大丈夫だと思っております。
 それから、これは船舶の全長と重量(トン数)の関係で、JAMSTEC船とフランスのIFREMERの船を縦軸に国際総トン数、横軸に全長をプロットしたものを見ると、IFREMERの船、一番新しいのは「Pourquoi pas-」という船があるのですが、これはかなり大きい船ですけれども、全体に、JAMSTEC船よりも若干上にある。これは何を示しているかというと、船が太っているということです。JAMSTEC船のほうがスリムで船長が長い。つまりスピードが出やすいということです。これに対してフランスのIFREMERの船は搭載スペースを重視しているということが言えると思います。おそらくアメリカの船は、JAMSTECの船に近いのではないかと思っております。
 最後に、これはローカルな問題なのですが、JAMSTECの岸壁はもともと「なつしま」を考えてつくられた岸壁なものですから、水深が浅くて、「よこすか」「かいれい」「かいよう」、これが干潮時には着岸できないという問題がありまして、これを掘らなければいけないと思っております。
 以上です。

【平(啓)主査】
 どうもありがとうございました。運航から岸壁まで、非常に広範囲な、しかも多くの船の紹介をいただきました。
 ちょっと時間をとってご質問をお願いします。いかがでしょうか。

【鈴木委員】
 よろしいですか。質問というか、門馬先生からの説明の補足というような言い方がいいのかもしれませんが、船舶の運航日数を延長するために予備員というお話がありましたけれども、大変誤解を与えやすい言葉のように感じるのですね。やはり船とそれに伴う観測機器というハードの大きな投資をするわけですから、それを有効に活用する。活用というのは研究課題にいかに対応するかということになれば、それは稼働率を上げること。船は本来、365日、24時間仕事をするということででき上がっているわけですから、陸上でいえば自動車工場で交代勤務制で設備稼働率を上げることと全く同じ考え方で、同じ能力ができる各職域ごとの要員を抱えながら、交代勤務をしていくために、定員以外に人員が必要であると。それは単に休暇消化というだけの問題ではないように思いますので、ややご理解を深めていただくために補足をさせていただきます。

【平(啓)主査】
 交代要員という言葉がいいだろうということですね。

【鈴木委員】
 船舶というハードをフルに稼働させるためには、365日24時間、1人の人間では仕事ができないわけですから、それを何人かでやっていくというのが船のシステムだということです。

【平(啓)主査】
 ほかにいかがでしょうか。

【小池委員】
 先ほど29ページのところに、「みらい」の共同利用型公募採択のプロセスというのが1ページございますけれども、このところで、最初に所内で主要課題を募集して、それを審議すると。そうすると、この段階でどこの海域にいつごろ行くかということは大体決まってしまうということですか。

【門馬委員】
 そうですね。それでいいです。

【小池委員】
 それでよろしいですか。そうすると、その後の共同利用課題というのは、ここの海域に、こういうところにいつごろ行くけれども、一緒に乗っていく人はいますかというような形で公募すると。

【門馬委員】
 そうですね。まあ、「この指とまれ方式」と呼んでいますけれども。

【小池委員】
 そのときに例えば、行き先を少し別のほうに行ってくれとか、時期はここでは困るとかという話はもう受け付けられないと。

【門馬委員】
 そうですね。それは大きな変更はなかなか難しいですね、今のところ。ただ、3カ年計画を毎年更新していくのですけれども、その中で3年先ぐらいになれば、ある程度の用意はできるのですけれども。そういう希望があればですが。

【小池委員】
 今、そうすると大体どれぐらい、例えば、赤道域のブイの展開とか、それからあと、北のほうの定点観測の維持とか、それで大体毎年行き先とか時期というのは、ある程度今固定されているというふうに考えてよろしいでしょうか。

【瀧澤委員】
 3年ベースでいくと大体決まって、要するに3年先まで、例えば来年は北極に行くとか、再来年はチリ沖に行くなど、そういうベースでは大体時期と海域もかなり大きな海域ですが、それぐらいは決まっていると思っていただいていいと思います。

【門馬委員】
 ただ、北極域を中心にするか赤道域を中心にするか、その辺は毎年変わっています。

【小池委員】
 毎年変わるわけですね。

【平(啓)主査】
 これは完全な公募、共同利用と言いながら、そういう考え方をとられたのは、今おっしゃった、所内でトライトンブイの展開とかやらなければいけないことがありますね。それを重視したからこういうことになったのでしょうか。

【門馬委員】
 必ずしもそうではなくて、今、トライトンのウエイトは徐々に下がっています。要は、JAMSTECの研究が主という考え方ですけれども、JAMSTECの中期計画に基づいて主要課題を進める。「みらい」という特殊な船で、非常に大型船です。その大型船という特徴を生かすために、そういう形をとっています。

【瀧澤委員】
 ちょっと補足を。結局、「みらい」が生まれたときの定義みたいなものがございまして、「みらい」をどう運用するかという、今から10年ぐらい前、昔の科学技術庁でつくられた委員会があるのですけれども、そこでの基本方針で、当時は海洋科学技術センターでしたが、海洋科学技術センターの計画を主要に据えて、それをもとにして広く日本国内、世界の海洋研究に貢献するというようなミッションになっているのですね。そういう形ですので、主要研究課題というのをJAMSTECのプロジェクト研究というのに据えているという、そういういきさつがございます。

【門馬委員】
 あと、実際に運用してみまして、「みらい」というのは何でもできる船なのです。ただ、それをあまり切り売りすると、本来のミッションができなくなるというのと、特徴が発揮できないということで、今の形はやはり将来もある程度維持すべきではないかと思っております。

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 それでは、私のほうから、28ページのプロセスのところですけれども、正式決定は予算が決まらないと、ということですが、その前に、それではやはり困るということで、前から要望があったと思われることで大きな前進は、10月ごろ内示というか、一応予約をしておくということですね。それは当然いろいろな事情で変わることがありますという意味の内示なのでしょうけれども、私の質問は逆に、正式決定というと、予算が決まってから、どれぐらいになるのですか。4月とか5月とかでしょうか。

【門馬委員】
 予算の時期にもよるのですが、年末には大体決まります。実行予算が決まるのは正月明けぐらいですね。そのあたりには大体決まるというようなことです。

【平(啓)主査】
 そうすると、先ほどから説明された年度末には決まるということは、もう期待していいわけですね。

【門馬委員】
 ええ。ただ、来年度は非常に厳しいということを聞いております。

【平(啓)主査】
 それから、ちょっと応募研究課題の審査で、Watch Dog方式というのが書いてありますけれども、これはどういう方式なのでしょう。

【門馬委員】
 これは玉木先生から説明をお願いします。

【玉木委員】
 研究課題には、生物から水産分野もありますし、地球物理あります。それから海洋物理、地質学と、多岐にわたるわけです。委員の構成も、すべての専門家の方が入っているのですけれども、やはり専門が違うほかの分野の課題を正当に評価するのはなかなか難しいです。ですから、各課題に専門家のWatch Dogといいますか、その人が一番先頭に立って、まず前面で評価を行います。評価委員会の中では、まずWatch Dogに指名された専門委員の人が、その課題について詳しく紹介して、専門的な分野、見地からそれを評価して、皆さんにわかるように説明を行い、その話を聞いて、いわゆる全くその分野と関係ない委員も、そこで同等に点数をつけるという形になっています。それがWatch Dog方式で、専門分野を超えて公正な評価をするためにつくったものです。

(2)東京大学海洋研究所における学術研究船の利用課題の選定と利用状況について

【小池委員】
 海洋研究所は昭和37年に東京大学に設立されましたけれども、全国の海洋研究者の共同利用ということで初めから考えられております。それで、昭和38年に淡青丸、これは初代の淡青丸ですけれども、257トン、それから昭和47年に白鳳丸、これも初代で、3,200トンが建造されて、後でも出てきますけれども、それぞれ大体150日~200日くらいの研究航海が行われていました。淡青丸は主に沿岸、それから白鳳丸は太平洋・インド洋を含む長期の外洋域の研究航海ということで、その後、昭和57年に淡青丸が代船になり、470トン、ほぼ倍の大きさになりました。それから、白鳳丸の代船が平成元年で、このときは約4,000トンということになっております。
 それから、先ほどからも話が出ておりますけれども、平成16年度から海洋研究開発機構のほうに移管されて、両方の新しい運航体制のもとで年間約300日弱の運航が平成16年度は実施されております。
 きょうお話しするのは、いわゆる学術研究船というか、共同利用の考え方ということと、それから海洋研がどういう共同利用を行っているか。実際の具体的なものと、主に平成16年度の実績についてお話ししたいと思います。
 共同利用研究所について、これは大学にいる方にはかなりなじみがあって、今脇さんのところも共同利用研です。これが日本の大学の中では学術研究を支えてきた部分なのですけれども、昭和28年に日本学術会議の決議に基づいて、東京大学の宇宙線研究観測所、今の宇宙線研究所ですが、それと京都大学の基礎物理研究所が初めて共同利用研究所として設立されたことに始まります。海洋研究所も比較的共同利用研究所としては古いほうで、やはり同じく日本学術会議が決議して、その設立を要望されて、昭和37年に海洋の学術的基礎研究を行う共同利用研究所として東京大学に設置されています。
 共同利用研究所がどういう機能を持っているかというと、大型設備や卓越した実験設備を持つ実権室の共同利用、貴重な資料の収集や閲覧あるいはそれを広く使うこと、国際的な共同観測や広い分野の研究者がある期間、同一場所で同じ課題について研究するための研究環境の共有など、それぞれの学問分野で、この場合、海洋学ですけれども、その国際的、あるいは国内的な研究拠点としての役割を果たすということで、共同利用研究所ができております。
 同時に、大学の中に設置されておりますので、全国規模で各分野を専攻する大学院の学生が、最先端の研究活動、例えば白鳳丸は非常に設備が整っているわけですけれども、そういう場で教育を受けること、それから、研究交流の場に学生が参加することなどによって、大学院教育が質的に強化されるということで、若手研究者の育成という面も非常に重視されています。
 では実際に共同利用研究所がどういうふうに運営されているかというと、全国的な公募を通じて、施設の利用、研究集会等で受け入れております。現在では海外の研究者も受け入れている場合が多くなっています。
 このための経費は、国立大学が法人化される前は、共同利用研究経費として文部科学省が措置しておりまして、法人化後も特別教育研究経費の一部として、文部科学省がこれを措置しています。海洋研の場合も、共同利用に関する旅費、それからその維持、その他に関しては文部科学省が措置しています。
 では共同利用というのはどこが見ているかということですけれども、現在は文部科学省の中に置かれた科学技術・学術審議会の学術分科会の学術研究推進部会というところで審議されて、共同利用研究所になるという形をとっています。
 それから、共同利用研究所というのは、その研究分野の全国の中核であるということが期待されていますので、そのコミュニティの意見がその運営に反映されることが必要で、外部の研究者から成る協議会や共同利用の運営委員会等も設けられていて、教官人事、教員人事にも外部の委員が入る、あるいは、外部の委員だけでかなり重点的にやっているところも多いと思います。ですから、共同利用というのが日本の大学、大学利用共同機関において、こういう役割を果たしてきたという前提で海洋研究所の2隻の船の共同利用は行われていたということです。
 それから、海洋研究所は、今、白鳳丸・淡青丸の共同利用ということで議論をしておりますけれども、それ以外にも、中野のキャンパスにおける共同研究員及び研究集会、それからあと、岩手県の大槌にあります国際沿岸海洋研究センターという沿岸の海洋センターも共同利用にしておりまして、その研究室で研究集会が行われております。ですから、海洋研は3つの共同利用を毎年公募で行っているということになります。
 それから、平成16年度に白鳳丸・淡青丸が移管されましたけれども、その移管に当たって、実際私が文部科学省といろいろな議論をして移管ということになったわけですけれども、その業務の分担に関しては、一応研究船の運航計画においては海洋科学における、今言った共同利用研である海洋研が全国の海洋研究者の意見を集約して運航計画を策定すると。機構はそれを尊重して、運航の責任に当たるということになりました。それで、移管に当たっては、先ほどからも出ておりますけれども、両船の運航日数、従来が170~180日だったのですけれども、それが300日に拡大したと。それから、研究支援に関しても最大限配慮すると。それから、これは海洋研としては特に言っておきたいのですけれども、船齢が20年を超える淡青丸に関しては、文部科学省が責任を持って代船建造に当たるということになっております。
 このような文部科学省と東京大学との合意を受けて、海洋研究所では共同利用研として従来、共同利用運営委員会があったのですけれども、それをこの船のためだけに研究船共同利用運営委員会というものを新しく設置しまして、ここで全国の海洋研究所の海洋研究者の意思を反映した研究計画に基づく研究船の運航計画を策定することにしました。
 白鳳丸では3カ年の計画を決めていまして、それに基づいて単年度ごとを決めます。淡青丸では、毎年具体的な研究計画、公募を受けて計画を策定するということにしております。今、観測研究企画室を設けておりまして、そこが共同利用の業務に当たるという体制をつくりました。
 次に所内の体制です。研究船共同利用運営委員会があり、共同利用研というのは、外のいろいろな人の意見を集約して運営するということになっておりまして、海洋研究所の場合は、従来もそうでしたが、学術会議の中に海洋科学研究連絡委員会というのがございます。そこから委員を推薦してもらうという形で、今、委員はそこからの推薦者が6名、海洋研究所から3名、それから機構のほうからの推薦を受けた2名という形でこの委員会が構成されて、委員長は海洋研の所長が務めるという形で行われています。
 その下に、運航部会、船舶部会、観測部会というのを設けまして、一番大変なのは運航部会で、今も、淡青丸の公募を9月15日に締め切って、現在その審査を行っております。そこで評価をして順番を決めるという形になっています。それに関しては後でご説明します。
 船舶部会では、研究船に設置されたいろいろな機器その他の管理、それから更新等の議論を行い、観測部会は、船のいろいろな観測機器等の検討を行っています。また、観測研究企画室ですが、ここを今全部で7人の室員で担当しておりまして、結構タイトな状態です。
 その次に、海洋研究所の研究船の共同利用に関する業務の流れですが、先ほど申しましたように、白鳳丸は3カ年の計画を決めて運航するという格好です。そのためには、ちょうど今年がその年に当たるのですけれども、3カ年の航海計画シンポジウムを開いております。今年の場合は、2007年から2009年です。だから2006年まではもう計画が決まっていて、2007年から2009年の3カ年計画をそこで議論して、大筋を決めるというプロセスをとっております。
 淡青丸に関しては、毎年申請を受け付けて、それで審査して決めます。決め方は、これも玉木さんが海洋研にいたときの、先ほども出ましたWatch dog方式が広がっておりまして、海洋研も同じような方式で行っています。非常に海洋の分野が広いので、今12人、委員をお願いしていて、6人が外部の委員、2名が機構からの推薦、それからあと4名が海洋研の所内という形で、その分野を、物理、化学、地学、生物、水産、と幾つかの分野に分けて、それぞれの専門家が2人ずつぐらい入った形で審査するという形をとっています。
 今実際に行っていますけれども、研究の目的、内容、それから実施計画の具体性、妥当性等、学術性の先端性等を評価して点をつけて、それに基づいて、一番点の良い研究は一番いい季節に十分な時間を与えられる、という形をとっています。その意味では、かなりしっかりした数字で点が出てきてしまいます。
 もう1つ、海洋研の場合の特徴は、乗船資格が国公私立大学及び公的機関の研究者及びにこれに準ずるもの、それから大学院の学生、研究生。それから、来年度からは学部学生も特殊な場合は認めようということです。学部学生の場合は、指導教官が乗船して、研究者がそれに同意するという形で、学部の4年生を乗せても構わないという形になっています。
 次に淡青丸における共同利用の流れですけれども、淡青丸の場合、毎年の公募ですので、6月から7月に公募要項を決めて、1カ月半ぐらい公募します。今年の場合は、9月15日に締め切って、今、いわゆる運航部会のほうで順位づけをするという形で、その順位づけができたら、あとは海洋研究所と機構と、それから先ほどの運航部会のほうで大体張りつけをしてしまいます。張りつけというのは、実際にどの航海をどこに持っていき、だれを主席にするというところぐらいまで決めてしまいます。
 それと実際の運航に当たっては、機構とともに個別の実施計画をつくらなければいけません。淡青丸の場合は外航がありませんので、大体半年前ぐらいからいろいろな準備を始めて、いろいろな港の手配ですとか、その他を行っていくということになります。ただ、白鳳丸の場合は、外航は、今EEZのクリアランスがかなり厳しくなってきまして、少なくとも半年前には申請を出していないといけませんので、1年前ぐらいから準備をしていくことになります。ですから、3カ年計画をあらかじめ決めておくということは、どの海域にいつごろいくということがあらかじめわかっていれば、EEZのクリアランス等に関してのプロセスがやりやすいということと、あと、主なのは、いろいろな国際共同研究に対して、ある年にここの海域にこの船を持っていきたいのだけどというときに、3カ年まである程度見通しがつくと、こちらからプロポーズができるのだけど、毎年毎年ではとてもそれができないということで、海洋研の場合、それで3カ年というのがいいところじゃないかということで、3カ年の計画で進めております。
 淡青丸は、大体1航海が7日~2週間ぐらいです。研究者が乗れるのが11人です。主に沿岸です。白鳳丸はかなり長期の航海ができますので、今まで最大100日を超えたこともあります。乗船研究者は34から35人です。
2代目白鳳丸の航跡図を見ていただきますと、やはり太平洋の西半分が圧倒的に多いということはおわかりいただけると思います。淡青丸は日本の周りをすごい密度で回っているということもおわかりいただけると思います。時々小笠原に行ったり沖縄に行ったりしています。従来、淡青丸の場合は、例えば日本海に行くと、南のほうには行けないとか、そういう制限があったのですけれども、年間の運行日数が300日になったことにより、日本を一周して、なおかつ沖縄のほうまで足を伸ばしても十分航海できるということで、かなり研究者の要望にこたえることができるようになりました。
 航海実績ですが、平成16年から淡青丸・白鳳丸とも航海日数が約300日になっています。淡青丸の場合、航海日数が232日というのは、淡青丸の場合、1週間とか10日で港に入ります。港に入って二、三日いて、それから出ていくという形で、この場合は乗りかえの日数を航海日数に数えていません。白鳳丸の場合、一旦出てしまいますと、かなり長い間航海しますので、そういうロスが少ないということで、多少航海日数は違ってきています。
 乗船研究者数も従来に比べると、平成16年から約1.5倍に増えています。
 それから、淡青丸・白鳳丸の分野別の採択比ですが、学術研究船としての白鳳丸・淡青丸がどういう分野の研究者に使われているかがわかると思いますが、例えば、白鳳丸の従来を見ていただきますと、生物、地学、化学、物理がほぼ同じぐらいの割合で使っていると。非常にオールラウンドです。たまたま白鳳丸の平成16年で物理が多いですけれども、これは物理の航海があったということを意味していて、10年間を平均するとほぼ同じぐらいの割合になります。淡青丸も比較的似たようなパターンですけれども、特徴的なのは、やはり生物や化学の航海が多いことです。見ていただくと、物理の航海は比較的少ない。これはやはり、淡青丸の航海は、どちらかというと沿岸ですが、物理の興味というのは、どちらかというとやはり外洋にあるということで、比較的利用が少ないということを反映しているのではないかと思います。
 ではどういう人が乗っているかということで、大学が主体ですので、教授相当、助教授相当、助手相当、技術職員相当、学生というふうにして、平成16年のデータを調べてみました。1つ特徴は、半分が学生であるということです。それから、あと助手相当が24パーセントですけれども、ここにはポス・ドクが入っております。ですから、実際はポス・ドクと学生で75パーセントを占めるということです。
 あと、もう1つ、これを見ておもしろいなと思いましたのは、教授や助教授の場合は、海洋研の人が乗っている比率が、外の機関よりも高いです。例えば、白鳳丸ですと、外航だと、海洋研のほうが乗っている比率が少し高いですね。淡青丸はそうではないです。一方、学生になると、外の機関の人が圧倒的に多くなっている。これは何を意味しているかというと、今、大学の先生は非常に忙しくて、白鳳丸の場合、外航ですと1カ月ぐらいは乗っていないといけないので、とても1カ月乗せてもらえないのですね。そのかわり、海洋研ですと、船に乗るというと、まあ仕方がない、「これは仕事ですから」ということで、皆さん許されるということです。結局、海洋研究所から乗った先生が、よその大学の大学院の学生の面倒を見ているということになる。

【今脇委員】
 そういう言い方もありますね。

【小池委員】
 この数字をみると、そういうことかなと思っております。
 それから、その下に機関別の乗船者数が書いてありますけれども、いろいろな大学から、特に淡青丸の場合、非常にいろいろなところから乗っているということがおわかりいただけると思います。
 あと最後に、いわゆる白鳳丸・淡青丸の載った研究業績ですけれども、皆さん、論文を書かれている、それは当然のことですけれども、もう1つ、やはり特記しなければいけないのは、多くの大学の大学院学生によって、淡青丸・白鳳丸を使って修士論文や博士論文が書かれているということで、全部コ集めたわけではないのですけれども、前にアンケートをとって、白鳳丸とか淡青丸を使って博士論文を書いた人のそれぞれ大学等に問い合わせて聞いてみたところ、大体200篇ぐらいのドクター論文が白鳳丸・淡青丸を使って出ているということがわかりました。海洋研だけでも博士論文提出者が70名近くですから、この学術研究船の場合というのは、先ほど言いました研究の中で、やはり大学院の学生を先生が指導しながら研究を行っていくというスタイルが定着していると考えていいと思います。

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。せっかく徳山先生がおみえですので、観測研究企画室について、もう少しだけ、補足をお願いできますか。

【徳山観測研究企画室長】
 ここに書いてあるとおりですけれども、私ども、6カ月ぐらい前から淡青丸の場合は航海の実際の計画をつくります。そのときに研究者と運航をつかさどるJAMSTECとの橋渡しということで緻密な計画、粗相がないような計画をつくっているということです。管理班、企画班、技術班の3つがあり、技術班というのは、航海の際の観測の支援。野外調査というよりか、船上調査の観測支援と、またできれば新しい技術、海洋観測の技術を高めたいと、そういう班でございます。企画班というのは、プランニング。管理班というのは、共同利用研の1つの目的である情報を、データ、資料を整理しておいて、それを後々使用したいという研究者、また研究者だけではありませんけれども、いろいろな機関、個人に提供するという、そういう役割を持っています。3つの班から構成されている、それが企画室の構成です。

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。それでは、この技術班について、先ほど門馬委員のほうから、海上支援で150人以上の支援員がいるということですが、この関係というか、これは白鳳丸・淡青丸はこちらだけですか。

【徳山観測研究企画室長】
 私ども、海洋研究所のほうで持っている管理班、企画班、技術班、すべて7名。それではもう対応できないということで、「観測支援員の派遣」というブロックがありますけれども、これが先ほど門馬委員が発言した観測支援員を指しています。実際どのくらいかといいますと、淡青丸には原則1名が必ず乗船して、観測支援を担っていただいております。白鳳丸の場合は、随時、どうしても私どもの技術班では対応できないというような場合に観測支援員の方をお願いして、今回の場合は、今、白鳳丸が航海中でございますが、その場合は1名。次の航海も1名というような、大体1名、または最大2名という程度で観測支援をお願いしているということです。
 少しつけ加えたいのですけど、実はこれだけでは足りなくて、移管して300日運航を円滑に行いたいという要望がありまして、そのときには延べ15人とか大変な数が上がったのですけれども、現実、予算等の問題、なかなかそういう数は当然満足できないという状態になりまして、延べで言うと年間2名乗船という、そういう配置でございます。

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。それでは、小池先生に質問しておきたいのですけれども、特別教育研究経費の一部としてということですが、従来どおり白鳳丸・淡青丸の乗船者の乗船研究旅費というのは出ているわけですか。

【小池委員】
 最低限出しております。

【平(啓)主査】
 これは海洋研経由で出るということですか。

【小池委員】
 ええ、海洋研経由で旅費を出しています。ただ、昨年から、結局300日になって、こちらでなかなか文部科学省もタイトで、共同利用の経費がそんなに増えないものですから、今年度から日当はやめました。ですから、共同利用に乗った場合は、食費は払わなくてもいいのですが日当は出ません。また交通費は出ます。

【平(啓)主査】
 では「みらい」とか、JAMSTECの船では旅費はどうなっているのですか。

【門馬委員】
 JAMSTECの場合には、つい最近まで、深海調査の外航の場合には出していました。けれども、予算の削減によって現在廃止しております。「みらい」については、まだ一部出していたのですけれども、これも間もなく廃止になります。

【平(啓)主査】
 そうすると、ほとんど、つまり科研費とか自分でお金を持っていないと乗船は難しいということになってしまいますか。

【門馬委員】
 ええ。

【小池委員】
 海洋研の場合も、持っている方はどうぞお払いくださいと。ただ、ない場合にはこちらで、という言い方をしております。

【平(啓)主査】
 それから、小池先生にお伺いしたいのですけど、船舶部会で、船舶搭載機器類の保守・更新というのがありますけれども、この辺はいかがでしょうか。これは、予算はすべてJAMSTECを通して行ってもらうということになるわけですね。

【小池委員】
 船舶部会は、基本的に船に据え付けのいろいろなものですから、そういうことになります。ですから、こちらとしては、例えば、もうウインチがそろそろだめだとか、それから、ここのところが不都合だからこうしてくださいとかという、1つはドックのときのいろいろな使用上の問題点の指摘とか、そういうことですね。

【徳山観測研究企画室長】
 つけ加えてよろしいですか。船舶部会はドック前に、前年度乗船された方にアンケートを出しまして、どういう次年度の航海を目指して、どういうような観測をしたいのかということで、ドック作業の項目の希望を聞いております。その中で優先順位をつけなければいけないのですけれども、そこまではまだできないので、今はまだしておりません。それで、その項目をすべてJAMSTECの学術研究船運航部のほうにお渡しして、予算の範囲内でこなしていただくというようなことをしております。研究者の意向は相当反映されているものと思っています。

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。それでは、淡青丸の470トンについて一言ご説明させていただきますと、建造時は国内トンということでしたが、2年後ぐらいから国際トンを用いることとなり、現在では610トンの方を使用しています。

【今脇委員】
 小池委員から共同利用に関して非常にわかりやすい説明をしていただきました。この共同利用、学術会議から出たということにあるように、研究者が必要だということでつくられたわけです。東京大学にあるというのは、たまたま東京大学にあるだけで、どこかの大学に、全国の研究者のためにまとまって何か海の研究をする共同の研究所が必要だということです。その意味では、東京大学の問題というよりは、全国の研究者の問題であるというふうに私は考えています。共同利用研というのはそういうものだと思います。今は全国の研究者に支えられて、この後もこの形を続けてほしいという希望は非常に強いと思います。共同利用研でここまでやってこられて、今も非常に活発に活動されているというので、ぜひ続けていただきたいと思います。

【小池委員】
 海洋研が設立された当時の歴史というような本があって、それを読むと、初めは旧科学技術庁で議論されたそうです。そういうものをつくるかどうかと。だけど、やはり学術基礎研究ということで、文部省のほうに移されて、それで文部省のほうでどこの大学に移設したらいいかということで、東京大学になったと。ですから、最初に学術会議から行ったのは、科学技術庁のほうに話が行ったというふうに書かれています。

【平(啓)主査】
 もう1つ、先ほどのお話で、今脇先生が九州大学応用力学研究所の所長をなさっておりますが、他にも、東京大学地震研究所、北海道大学低温科学研究所等は、約8年前に共同利用研究所になったもので、今、小池先生の資料にありますのは、共同利用のために初めから設立した研究所というのと、それから新たに加わったものになります。

【今脇委員】
 我々の方は後から名前もらったもので、そちらのほうが本式の共同利用研究所ですね。できるときから、これは共同利用研究所だというふうに、必要だというのでつくられた。我々は後から名前をいただいた。

【平(朝)委員】
 今まで海洋研究所がやってこられた共同利用について敬意を表したいと思いますが、淡青丸・白鳳丸が移って、機構がこの運用を担当しているという新しい形になって、まだそんなに時間はたっていないのですけれども、海洋研究所として、全体の運用に関する評価等々はなされたのか。あるいは、なされる予定があれば、それについて聞かせていただきたい。あるいは所内での自己評価みたいなものはあったのかどうか、お願いいたします。

【小池委員】
 1年半新しい体制で動いていますので、そこでのいろいろな問題点、それから今後どうしたらいいかということに関して、先月くらいに、所長を中心とするワーキンググループをつくって、そこで今議論を始めています。多分数ヶ月である程度議論がまとまって、それをしっかりした書き物の形で出したいと思っています。

【徳山観測研究企画室長】
 所長と話していることがありまして、海洋研が担っている部分だけですけれども、外部の評価委員の方をお招きしてというか、外部評価委員会をつくって評価していただくというようなことを、今年度の末には開催したいと考えています。そのときには、当然学術的だけではなくて、その他の分野の方も数名お招きして評価をしていただきたいということを今海洋研内では話し合っております。

【玉木委員】
 関連してですが、まず評価ということでは、門馬部長のほうの海洋工学センターの評価はありましたね。海洋工学センターで白鳳丸・淡青丸の運航体制に対する評価という年次評価、私、評価委員だったのですけれども、運航日数が格段に増えたということで、運航体制は非常に高く評価されたと思います。

【鈴木委員】
 先ほど小池先生のお話の中で、教育の問題というのがございました。学部の学生が乗るから、それで教授が乗って指導する。これは単位があるとかないとか、そういうような関係になるのですか。

【小池委員】
 これは、今乗せたいと言われているのは、やはり卒研のためのデータをとりたいということです。ですから、海洋研の場合は、実習と違い、それで単位は出しておりません。ですから、先ほど言った学生が乗る場合も、それは修士論文、それから博士論文をまとめるための研究を、船を使って行うという形です。

【鈴木委員】
 そうすると、乗られる教授が、その研究の指導をするというような観点で乗っておられるということになるのですか。

【小池委員】
 今までほとんど学部の学生は乗せていませんでした。というのは、やはり船の場合は、なれない人が乗った場合、なかなか安全とか責任の問題がありまして、今までも修士・博士の学生は、指導教官が計画案を書いて、実際に乗ってくるのは大学院の学生という場合で受け入れていたのですけれども、その場合も、やはりある程度経験があるということを前提にして乗せるという形にしておりました。ですから、学部の学生というのは、当面例外的な扱いにしたいと思っております。海洋研究所の船というのは、それなりの設備をきちんと持っておりますので、大学院レベル以上の人たちがユーザーだという前提は変えたくないと思っております。

(3)我が国の海洋研究船利用について

【平(啓)主査】
 3番目の議題でございますが、論点整理という観点から佐藤さんにお願いいたします。

【佐藤海洋地球課長】
 平成15年に2回ほど会議を開いていますので、そのときの研究船、ほかにも海洋実習船とか調査船とか、いろいろな船の運用状況について勉強した結果として、その過程の中でいろいろな意見が出されました。そういう意見を整理したものが資料3-6の論点整理、1の(2)ですけれども、当時は、その一番上に書かれてある東大海洋研の学術調査船が海洋機構のほうに移行された後も、学術研究の推進体制が維持されるかというか、そこをうまくやらなければならないという差し迫った現実の問題がいろいろあったと思っております。したがいまして、そこに現実の問題として力を注いだ結果として、この委員会としてのどういう取りまとめをするかというのは、必ずしも取りまとめ方向は、いろいろな意見が出されている中でうまくまとまらなかったのではないかと思っておりますが、そういう今までの勉強した経過も踏まえまして、現状を認識しまして、事務局としてはこういうふうに、この委員会の取りまとめをしていったらどうかということで、2として、今後議論すべき論点というのを整理しております。
 これで説明してもいいのですが、次ページの流れ図のほうがもっと概念がはっきりすると思いますので、それで説明させていただきたいと思います。
 我が国の船を利用した海洋観測に関する現状認識というのは今まで勉強してきたところでございますけれども、そういう中で、船を利用した海洋観測の今後のあり方というのはどうあるべきか。この辺をもう少し議論してクリアにして、その結果として、アウトプットというほどでもないのですが、まず基本的なものとして、今後の海洋研究船が果たす役割・機能、こういうものをきちんと整理をする。それが代船の話も出ていましたけれども、いろいろな予算状況、財政状況の厳しい中で予算を獲得するとなると、海洋研究船の果たすべき役割・機能というのは、やはりきちんと整理できていないといけないのではないかと思っておりまして、ここをターゲットにして整理をしたいと思っております。
 しかし、周りの周辺部も当然整理しなければいけませんので、それに付随しまして、海洋研究船以外の船舶の果たすべき機能と活用方策。どういう連携方策をとるのか。そういうようなことについても整理したいと思いますし、また、船というハードだけでは当然物事は解決しませんので、大学教育と海洋人材養成に果たす海洋研究船等の役割だとか、あるいは海洋研究をサポートする技術者等の確保方策ということについても考え方を整理できればと思っております。
 したがいまして、いろいろ整理しなければならないところもあるのですが、本命は今後の海洋船が果たすべき役割・機能というところに、最終的につながるような形で周辺の整理ができたらと思っている次第ですが、いろいろな取りまとめ方があるかと思いますので、ご意見をいろいろいただいた結果として、また議論の流れについても柔軟に考えていきたいと思いますので、ご意見を頂ければありがたいと思います。

【平(啓)主査】
 ありがとうございました。では、この議論の流れをもとにして意見を交換していきたいと思います。まずGEOSSというのがございます。これはグローバル・アース・オブザベーション・システム・オブ・システムズということで、この会ではまだご紹介がないかもしれませんけれども、科学技術・学術審議会の研究・評価分科会のほうにこの部会ができまして、議論しております。小池先生も私も、あと何人かの方が入っていると思いますけれども、今その最終的な段階に来ているという状況でございます。いずれにしろ、これは地球サミットというか、そういうことで、日本が特に主導して今後の人類のために地球を観測しましょうということで、その中でも、もちろん我々としては海が重要だということを強調しております。それでは、そんなところでよろしいでしょうか。その後の新しいものとして、何かまず第1に、この新しい課題等で質問をしたいこと等ありますでしょうか。これは佐藤課長がお答えいただけると思いますけれど、いかがでしょう。

【平(朝)委員】
 ちょっと確認ですけど、いいでしょうか。佐藤課長が言われたのは、この流れ図で、海洋観測に関する現状認識についてはいろいろやってきましたと。ですので、海洋研究船が果たすべき役割・機能というものを今後は中心に、この委員会でやっていきましょうと、そういうことですか。それとも全体をまたやるのですか。

【佐藤海洋地球課長】
 きょうもう1回、再度現状認識みたいなものを追加してやりましたので、ほぼ終わったと思っております。次の海洋観測の今後のあり方のところは、幾らか今までも意見交換をしたのかもしれませんけれども、不十分だと思っていますので、したがって、ここのところの議論を次回から始めて、最終的に、例えばこういう船で行うべき観測の種類と方向性みたいなことを整理したとしても、それが海洋研究船でどういう形でやればいいのかということになれば、またアウトプットの出し方というのは違うと思いますので、海洋科学観測の今後のあり方を議論した上で、海洋研究船というものがどういう役割を果たさなければいけないのかということについては、また少し視点が違うと思いますので、そこをきちんと整理したいと。その整理をしたときに、それだけでまとめるというわけにもいきませんので、他に書いてある海洋研究船以外の船舶、海洋人材教育、海洋研究をサポートする技術者等の確保についても整理して、海洋研究船の利用について、というようなトータルな物の考え方の中での整理ができるのではないかと思っている次第です。

【鈴木委員】
 海洋観測という言葉は、これはどういう概念でしょうか。JAMSTECさんは調査船、リサーチベッセルだとおっしゃっている。学術研究船のほうの調査も物理化学系が結構多いと、いうわけですが、海洋観測というのは、そういうものも全部含めた、海底の問題であるとか地質調査とか、そういうことも全部含めた海洋観測という定義でしょうか。

【佐藤海洋地球課長】
 ええ、海洋観測というのは、もう非常にいろいろと。

【鈴木委員】
 そういうふうに考えていいわけですか。

【佐藤海洋地球課長】
 それで、我々が海に出かけるためにはどうしても船が要るということで、船と結びつくということです。

【鈴木委員】
 海洋にかかわるあらゆる問題は海洋観測という言葉の中に含まれているという前提でよろしいのですか。

【佐藤海洋地球課長】
 ええ。特にGEOSSのほうで言いましたように、地球を理解しようと思うという非常に広い観点が必要であると、それも含めた一環としての海洋観測という視点です。

【大洞海洋地球課補佐】
 海洋観測、対象としてはすべて含むと思うのですが、ここで言います海洋観測というのは、海洋観測研究を主に念頭に入れた言葉ですので、例えば、単なる海の工事をする前の観測ですとか、そういうところは含まないで、海洋観測研究、研究を中心とした観測ですけれども、それは表面だけではなくて、当然海の中ですとか、地層や地質なども含めてと考えております。

【平(朝)主査】
 今、研究と言いましたけれども、観測だけを取り上げて、今後のあり方というのは、研究課題や研究ターゲットの方向性という大きな枠組みの中でとらえられるべきであって、観測だけ、手法等々だけを取り上げて、あり方を論じることは基本的に無理だと思うのです。かなり収束しない話になるので、ここら辺のところであまり延々と時間を使って、将来わからない話をするよりは、我々としては、やはりもう少し観測船の機能ということを主体にして、観測研究のあり方と研究船の果たすべき役割のところは直結して話をすべきだと思っています。

【小池委員】
 今のお話は、私もそのとおりだと思いまして、GEOSSの場合議論されている観測というのは、では何のために観測するかと。ユーザーはだれかということで、GEOSSの場合は、ユーザーをまず考えて、そのためにどういう観測をしなければいけないかという議論を中心にしています。ですから、基本的に観測や調査というのは、それだけで成り立つものではなくて、必ず目的があるはずです。この場合、目的を例えば、いわゆる政府の施策目的を達成するための研究と学術研究であるとか、そういう幾つかのカテゴリーに分けたときに、ではどういうミッションがあるかと。そのためにはどういう機能が必要かということの議論ならかなり話は具体的になってくるというふうに考えています。

【平(啓)主査】
 よろしいでしょうか。今はっきりしましたのは、海洋観測は、海洋研究があった上でないと、その手法というものが明確にできないという、そういうふうにとらえていますけれども。ほかにいかがでしょうか。

【田中委員】
 全く的はずれなことをお伺いするかもしれませんのでご指摘いただければと思うのですが、たまたま私の横に、お名前出して恐縮ですが、玉木先生がおられまして、大陸棚の限界委員会の委員を先生はおやりになっておられまして、私も非常に関心のある問題でして、2009年が日本がその委員会に、大陸棚の外縁についての科学データの提出をする期限になっていると思うんですが、先ほど船の名前で言いますと、海洋調査船の「かいよう」と深海調査研究船の「かいれい」の2つが2004年から大陸棚の確定調査を行っておられるという紹介がございましたけれども、これは、この委員会でご紹介のある船だけがやっているわけではなくて、他の省庁がそういう国連に出すデータの観測も進めているということなのでしょうか。そのあたりが、ちょっと私、全然わかっていないものですから、ここの委員会で、そのあたりを質問してもいいのかどうかも、ちょっとわからずに、そのあたりのことをちょっとご教示いただければと思って、今お尋ねをした次第です。

【平(朝)主査】
 実際の大陸棚の調査は、今、海上保安庁の水路部、海洋情報部、その探査船と、それから内閣府に今、推進室が置かれていますけれども、そこのお金を通して、民間の会社、大陸棚調査株式会社というところが行っております。これは民間のチャーター船というか、実際に日本の船として動かしているわけです。保安庁の船は、研究船ではありませんので、この委員会で保安庁の船がどこに行くべきかどうかということを論ずることはできないと思っています。それから、民間会社が行っている船の業務についても、これは委託業務で行っていることですので、本委員会で云々するということはありません。ただ、大陸棚調査のような、先ほど言った政策的目的にどのように船を使ったらいいのか。学術調査船といえども、時にはお国のために出動するのかどうかというようなことは、この委員会で、将来のあり方として議論されればよろしいのではないかと思います。

【平(啓)主査】
 補足いたしますと、平成14年にこの分科会で出しました海洋開発に関する長期的展望の中では、これは今おっしゃいました大陸棚の確定というのは非常に重要な課題であって、取り組むべきだということで取りまとめております。
 せっかく今、今脇先生がおいでですので、今後のあり方のところで、衛星、ブイ等の手法を考慮した上で、船で行うべき観測の種類と方向性について、両方のエキスパートであります今脇先生、ちょっとだけ説明していただけますか。

【今脇委員】
 まずは人工衛星の観測というのは、もう20年ぐらい前からですか、ものすごい進歩がありまして、海洋の研究では、今では海面高度、海の高さをはかる衛星が非常に威力を発揮していまして、衛星なしには研究ができないというのが現状だと思います。
 その前には、海の表面の温度をはかる衛星も非常に活躍しましたけれども、特に最近は高さをはかって、高さから海の表面の流れが求まるというので、衛星の活躍するところがだんだん増えてきました。
 それから、ブイについて、一番今注目されていますのは、アルゴ(Argo)計画で、平先生が推進委員会の委員長として推進してこられました。ブイが海の中、1,000メートルとか2,000メートルの深さまで潜ってデータを取って海面に上ってきて、人工衛星経由で陸上に送ってくる。これはもう極端に言うと、海の1,000メートルとか2,000メートルぐらいの限られた観測範囲ではありますけれども、船なしで海の中がわかるという、人工衛星だと表面しかわかりませんけれども、ブイを巧みに使うと海の中がわかり、たくさんブイを放流すると世界中の海がわかるというので、これは船の観測を、この後デザインする上でも、それを念頭に置いて船の活用を考えないといけないと思います。

【平(啓)主査】
 船で行うべき観測の種類の方向性というか、優先度についてですけれども、それとボランティア船等の利用に関連して、花輪先生お願いします。

【花輪委員】
 私も海洋研究船が、非常に抽象的な意味で、こうあるべきだという議論はやはりなかなか難しいと思います。現在、我々、どういう手法をもって海洋を観測できているのかという現状認識があって、さらに小池委員がおっしゃいましたように、どういうユーザーがいるかといいますか、どういう目的でデータをとらなければいけないか。そういうところと密接に議論を結びつけて、今後の海洋研究船が果たすべき役割とか機能とかを議論すべきだと思います。
 現在、世界中の海を、私の言葉で言うと、丸ごと知りたいと。では、丸ごと知るにはどうすればいいかというところで、今脇委員が紹介いたしました人工衛星による海洋観測。海面の情報に限られますけれども。それとブイ。アルゴブイと我々は呼んでいますが、全世界に3,000個まきましょうと。来年の末には3,000個に達しようということですが、これはいずれも物理的な観測です。やはり大事なことは、物理量(水温と塩分のこと)だけわかっても、我々は海を理解したことにならなくて、当然そこには化学的な量だとか生物学的なものだとか、そういうものをきちんとはかるということが絶対必要なのだと思います。そういう意味で、海洋研究船というのは、行きたいところに行けますので、そういう特徴を生かした非常に高精度にはかれる測器を現場に持っていくことができると、そういうところが海洋研究船の価値なのではないかと。もっともっといろいろな多方面の観点から海洋研究船の位置づけというのは指摘すべきだろうと思うのですけれども、まず今はそういうことを言っておきたいと思います。
 その中で、民間船も研究者が使いたいということで、今かなり利用されています。いつか時間がありましたら、まとめてお話ししたいと思うのですけれども、民間船はある決まった航路でしか動かないという面があります。ですから、私が考えるには、いろいろな手法を組み合わせて海を観測していかなければいけないと。そのいろいろな手法を組み合わせるときに、海洋研究船というのはこういう意義を持っているからという話が今度行われるべきなのだろうと思います。

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。それでは、この中で政策目的ということは平井先生のほうが一番関係があると思うので、もちろんJAMSTECもそういう政策目的というのもありますけれども、どちらかというと、JAMSTECが扱っている政策は学術そのものをテーマにやっているように私は思えますので、平井先生、何か一言お願いします。

【平井委員】
 私どもとしましては、基本的に政策目的、例えば水産業であったり、海上保安庁さん、気象庁さん、それぞれ目的があって観測をしているというのは、基本的にはモニタリングが極めて重要であるという点がまず大事なところで、そのために、例えば学術研究船、海洋研究船においては、どういう手法が一番いいのかというふうな手法開発とか、そういうものも非常に期待します。特にリスクの高いテーマについて海洋研究船に期待します。私どもとしては、基本的にモニタリングを重ねながら、その中で当然、研究活動も行うのですけれども、そういう手法開発というのが非常に期待すると思います。
 ここの論点整理の中で、それぞれの官公庁船が、私どもの独立行政法人も多分そこに入っていると思いますけれども、官公庁船という中と、それから海洋研究船の分担関係ですね。その辺を少し視点として論議していただいたらどうかというふうに1つ提案したいと思います。

【平(啓)主査】
 どうもありがとうございます。それでは、松山先生、これにある大学の練習船等の余席利用とか、あるいは実習船で。これは前回随分詳しくお話しいただいたのですけれども、補足がございますか。

【松山委員】
 前回、練習船の話をしましたが、同じ文部科学省でも担当課が海洋地球課ではなく、練習船を扱うのは専門教育課です。練習船では学生の航海・運用、漁業・海洋観測実習を行っていますが、練習船には、相当な観測設備が付けられていますので、ただ航海するだけではなくて、しっかりした観測ができます。例えば、海洋大の海鷹丸が南極航海に出かけた時には、先ほど今脇さんや花輪さんが言われたアルゴブイをたくさん投入してきました。今、水産高校まで含めてブイの投入作業に協力してくれていますので、研究に協力するという意味では、練習船は非常に機能を発揮していると思います。

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。それでは磯部先生、今まで私自身が外洋の人間なものですから、外洋研究船というと、もう陸が見えないほうがいいぐらいがいいと思ったのですけれども、いかがですか。陸が見えるほうをやっておられる立場から期待というのは。

【磯部委員】
 私の専門分野でも津波が起こったり、高潮が起こったりということで、非常に大きな災害が海岸に起こっていて、そういうものを考えるときに、やはり深海で例えば津波がどう発生しているかであるとか、あるいは、高潮であれば、かなり深海からいろいろなものが調査できれば、相当陸上に対して警告を発することができるというような、そういう意味で深海の挙動を明らかにするということは、沿岸域のいろいろな防災や環境であるとか、そういうところにすごくつながってきます。流れについても、例えば東京湾に、黒潮がある瞬間にさっと入ってくるというような現象があって、それが東京湾の水環境にものすごく影響していますので、そういう意味で、いろいろなことをモニタリングしていただくというのは、沿岸域としても大事なことだと思っています。
 例えば大陸棚の確定というのは、非常に政策的に大事な問題。ただ、それに全部引き込まれるといけないので、きょう、問題提起の中には、重複を避けるとかって、そういうことがありましたので、そういうことは一方で大事でありますけれども、研究なので、多様性を許すというような視点も今後まとめていくときに考えていく必要があるのではないかと思います。つまり、全体の議論をしますと、全体を論理的によく合うようにということになりがちになって、それはなかなか、見ると美しいのだけれども、実はやってみると、わりに単純になって、研究成果として、「あれ?」と思うようなことが出にくい。プロジェクト型になってしまう。そういうことがあるので、ちょっとどういうふうにまとめていったらいいのかというのは、あまりよくわからない。最後まではわかっていませんけれども、そういう多様性とか、あるいは学術調査とかという、そういう側面が入るように、まとめていくのがいいと印象を持っています。

【平(啓)主査】
 では、加藤先生、海洋人材養成として、望星丸による未来の海洋学の話が出たのですけれども、あるいはそれ以外に科学という立場から一言何かございますか。

【加藤委員】
 私ども望星丸は200日ちょっと運航していますけれども、その90パーセントは学生の海洋実習と、それから夏休みになりますと、市や県、地域の団体の中学生・高校生の海洋教育ということを行っているのですが、その海洋教育はあまり十分な内容を持ったものではなくて、つまり私たち教員があまりそれには参加していないということがありまして、それで先ほど最初にお話ししたように、望星丸は基本的に海を観測する、あるいは研究する能力を備えていますので、そういったものを使って、これから有為な学生が育つような活動ができないものかと思っていましたところ、海洋学会も前会長からこんなことができないだろうかということで、来年から日本科学協会が主催、日本海洋学会と東海大学が共催で、そういう有為な学生を育てるための、もう少し本格的な高等教育を行おうと。その裏には少子化の問題で最初に問題が起こるというか、一番損な役割は私立学校だと思うのですけれども、現在でも定員確保がなかなか難しいということがあって、そういうことを機会に、海洋学部に人員確保ではありませんけれども、そういう形で、この海洋研究に一定の役割を果たすことができれば、我々も立場として、十分我々の意味が、存在する意味があるだろうと思うし、その役割が東海大学にもあるのだろうと思っています。
 私立学校ですので、こうすべきだというような、その明文化したものというのはございません。ただ、唯一あるのは、建学の精神だけですので、それで前に、この席で無謀なことをしているということで、つまり海洋学部の学生1学年700名ですけれども、3年間にわたって必ず船に乗って実習を行うと。そんなことをしております。選択制ではありません。そうやってなるべく多くの学生に海を調べるということのおもしろさとか、そういう体験をさせて、社会に送り込む。あるいは、その中から、さらに高学年に向かう学生がいれば、私たちもこんな幸いなことはないと思っています。来年から学部学生も白鳳丸に乗れるチャンスが生まれるということは、そういうものにつながる1つの線ということで、大変我々にとっても期待したい道筋だと思っています。
 そんなわけで、これからも望星丸の役割は、こういう人材養成が主になるだろうと個人的には思っています。

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。山室さん、一言いかがですか。

【山室委員】
 沿岸という観点からですけれども、実は水深10メートルから50メートルの海というのは、陸からの影響があって、なかなか衛星でいろいろなことをとらえるのは雑音があって難しい。またブイも流れが複雑なので係留が難しいということで、外洋で使っている先端ニーズは使えない。一方で淡青丸などが入って探し回るということもできない海域であります。
 ただ、陸からの栄養塩も多いですし、生物量という観点から見ると非常に大切な海域でありますし、あと何か今後地球の環境変動が起こったときに、水深が変わることで一番大きな影響を受けるのは水深10メートルから50メートル。その研究は、実は日本ではすぽっと抜けているのではないかという印象がありまして、私、産総研という技術開発を行う部署が併設されている研究所にいることから、ROVを使って10メートルから50メートルのウミクサの分布を調べるという研究を手がけたことがあります。そうすると、いろいろな課題がありまして、例えば水中でのROVの位置をどうやって決めるか。それから、全体での位置をどうやって見るかといういろいろな問題が出てきました。
 この研究というのは、発端としてそういうことがあったのですけれども、こういう研究というのは、今後、地球環境を考える上で、沿岸域というのは、面積は少ないですけれども、生物生産性が非常に高いところですし、学術的な研究課題としても1つ重要なところではないかと思います。今までモニタリングの対象にもなかったという点で、新しくやってほしいなという点があります。
 さらに、こういうところで調査をするには、例えばROVの操船にしても、流れが複雑で、どちら側から流れがあるからこういうふうに操船するとかいうようなこともありますし、それから位置決めの知識ですね。GPSはどうなっているかとか、いろいろな陸だけではない知識も必要になってくるので、水産調査船で行っているような教育に匹敵するような教育がないと10メートルから50メートルという海域の調査はできない可能性があるので、今後1つ、心の片隅にとめておいて、ここでも話していただければと思います。

【平(啓)主査】
 研究船は、今は淡青丸が一番小さいような形になりますか。もっと小さなものも当然、視野に置くべきだというふうに受けとめたいと思います。
 大塚さん、いかがでしょうか。

【大塚委員】
 白鳳丸と淡青丸がJAMSTECに移管されて非常に稼働日数が上がったというのはとてもすばらしいことだと思いますけれども、あとやっぱり、見ていて、修理とかメンテナンス、稼働率が高まればそれなりにそういったことも注意をしなければいけないことだと思いますし、これから数年で老朽化という問題が出てくると思うので、代船という問題はほんとうに真剣に考えなければならないことだと思います。その代船を考えるときに、これから新しいタイプの、例えばハイブリッドであるとか、石油の高騰とかいろいろなことがありますので、環境を考えながら新しいタイプの研究船ができればいいなというふうにちょっと思いました。
 私たち、一般の人から見ても、自然災害というものが非常に最近目につくようになりました。地震や、温暖化の影響ですか、ハリケーンとか台風にしても大変厳しくなっておりますので、そういった海洋の研究というのは非常に大切だということは一般の人にも非常に最近理解が進んでいると思いますので、代船とか、それから何かこういった研究船のことというのは、私たちはほんとうに真剣に考えていかなければならないと思います。

【平(啓)主査】
 どうもありがとうございました。佐藤さん、次回の予定等も含めて、もう最後になったのですけれども、お願いいたします。

【佐藤海洋地球課長】
 なかなか難しいという感じもしたのですけれども、いろいろご意見いただきましてありがとうございました。
 我々からすれば、最後はやはり、具体的には学術研究船と海洋研究船の代船も含めた整備のあり方みたいな問題をどうするかというところと思っているわけですけれども、ただ、そこだけがねらいでこの整理をしているわけではありませんので、そうしたときに、いずれにしても海洋研究船委員会ですから、海洋研究船がどういう役割分担にあるべきなのかと。こういう海洋観測をする際のですね。その辺のところを整理したいと思っているのですが、お話を聞いている中で印象的だったのは、もう少しユーザーの気持ちというか、観測するのは何のため、ということで、おっしゃるとおりだと思いました。
 したがいまして、きょうもご意見ちょうだいしたのですけれども、次回までに、もう海洋研究船が果たすべき役割・機能というかた苦しい調子ではなくて結構なので、それぞれのお立場から海洋研究船というものに、どういう研究のためにどういう調査をしてもらったら良いかみたいなところで、それぞれ分野が違うと思いますので、あまり幅広く考えることでは全くありませんので、ご自分のお立場で、そういうようなご意見をちょうだいした上で、次回の会議をセットしてみたいと思います。そうしたところで、この船を利用した海洋観測の今後のあり方を議論しつつ、海洋研究船の果たすべき役割・機能の取りまとめ方ではなくて、もう少し何か取りまとめ方みたいなものを示せればと思います。残りの3つ、海洋研究船以外の船舶、海洋人材養成、海洋研究をサポートする技術者等の確保については、むしろいろいろな立場で直接かかわりのある分野の方も多いので、そこはまたまとめ方についていろいろご相談して進めていくというような印象を持った次第です。
 そんなような整理の仕方でいいのかどうか。なかなかいいか悪いかも難しいところがあると思うのですけれども、主査、どうでしょうか。

【平(啓)主査】
 わかりました。もう少し皆さんの意見を聞いた上でということですね。どうしましょうか。では、きょうはもう時間がなくなったので、事務局と私のほうでもう少しディスカッションを進めて、それで皆さんからの意見を最初に、課長がご提案のように集めたいということであれば、いつまでにこうしてほしいというのを委員の皆さんにお願いするということで進めさせていただきたいと思うのですけれど、それでよろしいでしょうか。
 では、事務局ともう少し詰めてご案内いたします。

― 了 ―

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