海洋研究船委員会(第7回) 議事録

1.日時

平成19年5月28日(月曜日) 13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省4階 宇宙開発委員会会議室

3.議題

  1. 海洋研究船委員会取りまとめについて
  2. 海洋基本法について
  3. その他

4.出席者

委員

平(啓)主査、今脇、大塚、小池、平(朝)、田中、玉木、徳山、花輪、原田、平井、松山、門馬、各委員

文部科学省

 近藤 海洋地球課長、山田 海洋地球課課長補佐

5.議事録

1.海洋研究船委員会取りまとめについて

【平(啓)主査】
 それでは、第7回の海洋研究船委員会をこれから開催させていただきます。
 まず議事に先立ちまして、事務局であります文部科学省海洋地球課の近藤課長から、ごあいさつをお願いいたします。

【近藤海洋地球課長】
 ご紹介にあずかりました近藤です。本日は、先生方には忙しい中ご参集いただきまして、どうもありがとうございます。
 本委員会につきましては、平成15年6月に第1回を開催して以降、今回で第7回目になります。これまで、各省庁が持っている船、大学の船等の状況について勉強し、それを踏まえて、どういう分野でどういう研究が今後期待されるのかということも勉強してきました。前回の委員会では、これまでの検討を踏まえて、今後の研究船の運用のあり方、それから、整備すべき海洋研究船についてご議論いただき、非常に多くの意見をいただいております。これをもとに、事務局として「海洋研究船委員会の取りまとめ(案)」を作成させていただき、恐縮でしたが、事前に送付させていただいて、各委員からいろいろな意見をいただいております。本日お示しする案につきましては、各委員から出された意見を可能な範囲で踏まえておりますが、同じ事柄について正反対の意見も出てきているところがありますので、座長と相談しながら整理させていただいております。
 本日につきましては、この委員会としての取りまとめ(案)について議論いただいて、一定の方向を出していただくということができれば幸いだと思っております。また、その後につきましては、後から座長からお話があると思いますけれども、本日の意見を踏まえて修正して、最終的な取りまとめ(案)を整理して、 6月の開催予定の海洋開発分科会に、平主査のほうから結果を報告していただくということができればと思っております。
 この研究会はもう7回目ということで、大分回を重ねてまいりますので、一つの区切りというものをつけていただくということが、非常に肝要であると思っております。ご協力のほど、お願いいたします。
 なお、まだ5月下旬ではありますけれども、文部科学省では、自主的にクールビズ対応ということになっておりまして、できれば、上着、ネクタイ等、自由にとっていただければと思います。
 以上でございます。

【平(啓)主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。

【山田海洋地球課長補佐】
 それでは、説明させていただきます。
 まず、資料の7‐1が、本日メインの議題になります「海洋研究船委員会 取りまとめ」の案でございます。資料7‐2が、前回の議事録(案)です。委員の皆様には、大変おくればせながら、つい先日メールでも送付させていただいております。コメント等ございましたら、修正の上、事務局までご連絡ください。メール等の連絡でも結構です。資料7‐3が、4月の下旬に成立しました海洋基本法の概要、資料7‐4は、海洋基本法本文でございます。不備等ございましたら、事務局までお知らせください。

【平(啓)主査】
 どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。
 それでは、まず、7‐2につきましては、今お話がありましたように、事務局のほうにeメール等でコメントをいただくということで、処理したことにいたします。
 7‐1の「海洋研究船委員会 取りまとめ(案)」について、これから審議をしてまいりたいと思います。
 この委員会は、最初に各大学の、例えば水産学部等の練習船の話、それから官庁船の利用等も含めて、海洋研究時に現在利用されております船舶についてもいろいろ議論をいたしました。しかし、この「海洋研究船委員会 取りまとめ(案)」のほうでは、我が国がこれから整備すべき船ということで、1,000トン級の沿岸・近海域を主体にした船をぜひ整備したいというふうにまとめてございます。
 それでは、先ほども話がありましたように、各委員のコメントで随分修正されておりますので、今の案ではどうしてもここは修正すべきだという意見を、まず持っていきたいと思います。

【山田海洋地球課長補佐】
 まず初めにこの資料の説明をさせていただきます。

【平(啓)主査】
 お願いします。

【山田海洋地球課長補佐】
 この取りまとめ(案)は、「はじめに」、「我が国が保有すべき海洋研究船について」それから「海洋研究船の運用方針について」という3部立てで構成されております。それぞれ説明させていただきます。
 3ページ「はじめに」の部分でございますが、こちらについては、2ページにわたりまして、この取りまとめの意味や、海洋研究の一般的な重要性などが述べられています。以下、詳しく説明させていただきます。
 まず「はじめに」にですが、海洋は地球の全表面の約7割を占めていると。太古の昔から地球環境の調和機能を果たすとともに、生命の誕生と進化の主要な舞台であり、加えて、海産資源、鉱物資源、海運など、我々の人類の生活に不可欠な存在であるということでございます。さらに、我が国は、特に海洋国家ということで四方を海に囲まれまして、国土面積の約12倍の排他的経済水域、EEZと呼びますが、を有する海洋国家でありまして、これまでも海洋からの恩恵を受けており、これからも受け続けることと思います。一方で、その海洋の脅威にさらされることもあるなど、我が国においては、特に海洋の存在は国民生活に非常に密着した存在となっております。こういった点を踏まえまして、文部科学省科学技術・学術審議会海洋開発分科会は、海洋の持続可能な利用を実現するための 10年程度の長期政策ビジョンとして、「21世紀初頭における日本の海洋政策」を平成14年8月に取りまとめました。その中では、海洋の持続可能な利用を実現するためには「海洋を知る」、「海洋を守る」、「海洋を利用する」といった、この3つのバランスのとれた政策への転換が重要であるということで指摘をしております。特にこの中で「海洋を知る」ということが、「海洋を守る」とか「海洋を利用する」といったことの前提となっていることで、必要不可欠であるという提言をしております。
 さらに、最近の動きですが、平成19年の4月には、海洋基本法、海洋に関する施策を、総合的かつ計画的に推進するための法律が制定されました。この中においても上記の答申の趣旨が反映されており、海洋に関する科学的知見の充実が明記されるとともに、基本的施策として、海洋調査の推進、海洋科学技術に関する研究開発の推進等が位置づけられております。
 海洋を知るためには、人工衛星での調査・観測、これは国家基幹技術の海洋地球観測探査システムでも唱えられていることですけれども、そういった海面の調査のほか、海面より下の部分の調査、潜水船や無人探査機を運用するといった必要からも、実際に海に出て調査をするといったことが不可欠であり、これを達成するために、各国においてもさまざまな海洋研究船の整備を行い、調査・観測を行っているという事実があります。もちろん海洋国家である我が国でも、そのような海洋研究船を継続的に整備するとともに、幅広く国内の研究者の利用に供しまして、今後とも海洋に関する知見を蓄積し、科学技術水準を向上し続けていくことが大切であります。
 我が国の研究体制ですが、我が国における研究者の利用に供される海洋研究船の整備を振り返りますと、国公私立大学の研究者の共同利用に供するため、東京大学海洋研究所において海洋研究船の整備及び運用が図られ、一方、国の政策課題に対応しつつ、かつ研究者の利用に供するために、海洋科学技術センター、現在の独立行政法人海洋研究開発機構でございますが、において、海洋研究船の整備及び運用が図られてきました。
 一方、平成13年12月に「特殊法人等整理合理化計画」が閣議決定され、海洋科学技術センターと東京大学海洋研究所の組織の一部を統合し、新たな独立行政法人である海洋研究開発機構を設立するということとなりました。これにより、海洋研究に必須の研究基盤である海洋研究船の効率的な運営体制が整備されることとなりました。このため、海洋機構では、海洋センターが持っていた5隻と、東大海洋研から移管されました2隻をあわせて、合計7隻で運用・運航を実施しております。
 この7隻の中で、特に昭和56年に建造されました「なつしま」、昭和57年に建造された「淡青丸」は、船舶の標準的な限界年齢である25年を超え、または25年を迎えているといった状態です。この委員会においては、海洋国家として、このような船舶の老朽化に対応する必要があるのではないかということで検討を進めてまいりました。こういった問題意識を踏まえて、海洋研究船を用いた研究に対するニーズを取りまとめ、研究船の機能を整理し、我が国が継続的に整備及び運用を行う必要のある海洋研究船の全体像について議論を行いました。あわせて、船齢を重ねた海洋研究船にかわって、早急に整備すべき海洋研究船に求められる具体的な機能、施設及び設備について検討を行いました。さらに、運用体制についても検討を行いました。政府においては、これらの趣旨を踏まえて、早急かつ継続的な海洋研究船の整備・改修を図ることが強く望まれるということで提言をしていきたいと思います。
 それでは、具体的な話に移らせていただきます。
 「我が国が保有すべき海洋研究船について」ですが、これは「海洋研究船に対するニーズ」、「我が国の海洋研究船が持つべき施設・整備」、「我が国の海洋研究船が持つべき機能」、「今後の海洋研究船の整備に関する基本的考え方」、「当面整備すべき海洋研究船」の5部構成となっております。
 まずは、海洋研究船がなぜ必要かというニーズを整理しようということで、各委員のご意見を踏まえつつ、事務局において整理しました。
 海洋に関する研究分野は非常に多岐にわたっておるのですが、事務局では、合計8つの分野で整理をさせていただいております。以下、申し上げます。
 海洋物理学分野に関しては、深層までの海洋循環の形成と大気との相互作用による循環の変動、とりわけ地球温暖化に伴う海洋構造の変化の検出等についての調査・観測を行う必要がある。これらのデータの多くは、化学、生物関係の研究を行う際の基礎データとなる。この点が、海洋物理学分野の重要な点です。
 地球環境観測分野に関しましては、海洋と大気の相互作用の解明とエルニーニョ現象など気候変動予測を目的として、海洋大気観測ブイを展開しています。
 海洋化学分野に関しましては、海洋の物質循環や温室効果気体の海面における交換、そして海水溶存、海洋の深部での蓄積等についての調査・観測を行う必要があります。
 海洋生物学分野に関しましては、生物の種の生活史や海洋汚染の生態系への影響などについての調査・観測を行う必要がございます。特に各層‐各層というのは、深層、中層といったことでございますが、のプランクトンなどの微小生物を層ごとに採取することや、生物を生存状態のまま観察し、採集、飼育することが必要です。
 極限環境生物学分野に関しましては、熱水墳口、あるいは海底下など極限環境における独立栄養生物についての研究を推進する必要があります。また、潜水船や無人探査機で生物を生存状態のまま観察採集し、現場環境で飼育することが必要です。
 海洋地学分野に関しましては、プレートテクトニクス、地震発生過程、海底下の地球構造や海底鉱床の形成過程、さらには資源探査、採取に関する研究を行うということですが、これは研究成果の社会還元という点から推奨されることが望まれる分野ということです。さらには、精密な海底地形探査やコア試料採取、こういったものも地殻形成過程の解明や古環境復元、そして海底の位置情報の把握の点で必要です。
 水産学分野に関しましては、生物資源量の変動の把握や生物資源の持続的利用などについての調査・観測を行うことが必要です。
 最後に、海洋工学分野に関しましては、船舶の性能向上、潜水調査船、もしくは船舶機器及び観測機器に関する技術開発を行う必要があります。
 その他、南極海や北極海の極域における調査の際は、研究船は十分な耐氷性能が必要です。それに加え、人間活動と密接に関係のある沿岸域とかいったところの調査もしっかり行うことも必要であると考えております。
 さらに、研究船は、海洋研究者、技術者の育成の場でもあり、研究船の乗船を通じて、教員等からの指導を受けデータをみずから解析するといったことは、研究者や技術者の育成に必要なことで、そういう点からも、できるだけ多くの学生や大学院生、教員が乗船を可能とすることが必要です。
 以上、申し上げましたように、海洋研究船には多様なニーズが存在しており、我が国の研究船全体として、これらの多様なニーズヘ対応していくことが必要です。
 次に、施設・整備について、事務局で整理いたしました。
 こういったニーズを踏まえますと、具体的にどういう施設、設備が必要であるかということが自然に抽出することができます。これを、先ほど説明いたしました8分野で整理しますと、7ページ以下のとおりになっております。
 海洋物理学分野に関しましては、海面から海底までの海水の電気伝導度、温度、深度を精確に計測する必要があり、高精度CTD採水観測装置の整備が求められます。また、ブイや無人探査機を使った調査・観測を行うための係留観測ウィンチやAフレームの整備も求められます。
 地球環境観測分野に関しましては、海洋環境計測に加えて、海上大気の同時観測が必要で、さらに、海象、気象の厳しい条件下で連続観測を実施するためには大型のブイが必要と考えております。さらには、それを搭載するための研究船も必要になってまいります。
 海洋化学分野に関しましては、これは海洋物理学分野と同様でございますが、高精度CTD、多層クリーン採水観測装置、ウィンチ、Aフレームに加えまして、さらには、クリーンルームの整備が求められます。さらには、ケーブルもチタン合金製のものが必要と考えております。
 海洋生物学の分野に関しましては、プランクトンや魚をネットで捕集するための各種捕集装置に適したウィンチ、Aフレーム、また、船上で迅速にその機能や生物的特性を把握するために、RI、放射性同位元素の実験室ですとか、飼育水槽などの整備が求められております。
 極限環境生物学分野に関しましては、大水深の生物の現場採集装置と、その操作のための潜水船や無人探査機が欠かせないものとなっています。さらには、海底下深部の生物の採集には深海掘削船を利用する必要があります。また、船上の実験室では現場での飼育装置が必要と考えております。
 海洋地学分野に関しましては、3次元の海底地形を精密に探査するマルチビーム測深機や、海底下の地質構造も観測できる音響測深器や大型ピストンコアラーの整備が求められています。さらに、地殻構造データを高精度・高分解能で取得するための3次元反射法地震探査装置の整備も求められています。海底を観察しまして、岩石などの標本を採集する無人探査機も必要です。
 水産学の分野に関しましては、飼育生物をネット採集するためのウィンチ、Aフレームに加えまして、飼育水槽の整備が求められます。また、資源量を評価する科学魚群探知機と、さらには高性能の電子計算機も必要です。
 海洋工学の分野に関しましては、有人潜水艇、ROV、さらにはAUVといったような機器を使用するためのAフレームの整備が求められています。
 こういった設備は、船上で研究をすることが必要であるという海洋研究の特性を踏まえ、世界最先端の研究設備・装備を常に船上に保持することが重要です。さらには、船内に研究用の十分なスペースを確保しつつ、可能な限り多くの研究者や学生が乗船できるよう、十分な規模を持つということと、数多くの運用を行うということが重要であると考えています。
 そして、我が国の研究船が持つべき機能についても整理をさせていただきました。
 現在、我が国の海洋研究は世界を牽引する水準にございますが、特に世界・社会・国民に貢献しているという部分をピックアップさせていただきました。
 「気候変動等の地球環境問題の解決」「大気・海洋・固体地球の相互作用」「地震・津波等の自然災害の予防」「海洋生態系及び地球生命史の解明」「持続的な海洋生物資源の利用」といった研究で貢献していくというふうに考えています。
 これらの研究において、今後とも世界最高水準の研究を振興するためには、海洋研究船の整備が不可欠であると考えています。しかし、限られた財源の中で最大限の成果を上げるためには、先ほどの整備とか設備だけでなく、機能も整備をすることで、その体制を保持していこうと考えています。
 まず、整備の仕方でございますが、我が国の海洋研究船を以下の規模ごとに整備する必要があるということで、9ページの冒頭に、「沿岸型」「近海型」「外洋型」「遠洋型」で整理をさせていただきました。この数字につきましては、皆さん、いろいろご議論はあるかと思いますが、事務局ではこのような形で整理をさせていただきましたので、ここの議論をお願いします。
 さらには、海域で整理をさせていただいたものでございますが、それとは別に、汎用性のものと専用的な機能を持った船、あるいは特殊な機能を持った船も整理をさせていただきました。先ほど申し上げましたように、汎用観測研究機能といいますのは、浅い海から深い海にいたるまで、いろいろな海域で多目的な研究観測や研究を行うということに適した機能です。上記の、4つの海域ごとに整備されることが望ましいということです。固定施設や設備は基本的な機器とする一方で、研究航海の内容に応じて船の上の施設や設備を変更することによって、さまざまなニーズに対応したいと考えています。
 それ以外の、特殊あるいは専用の観測研究機能ですが、「潜水船支援母船機能」、これにつきましては、海底面の詳細な観測等に有効な潜水船や潜水機の母船機能を果たすものが必要であると考えています。さらに「深海高解像研究機能」につきましては、深海や海底下の地質を高機能の音波探知機、及びシステム化されたハイドロフォンアレイケーブル等によって詳細に探査する機能が必要と考えています。最後に「海洋生物研究機能」ということで、各種海洋生物の調査を行う機能のことで、具体的には、大型トロール、自動開閉ネット、採泥器や採水器等を用いた生物採捕等を考えています。
 以上の機能、整備を踏まえまして、「今後の海洋研究船の整備に関する基本的考え方」を整理いたしました。
 これにつきましては、まず、現在、海洋機構が運用を行っている研究船を、トン数、1回の航海あたりの平均運航日数で整理をすると、表の1に整理をさせていただいております。
 さらには、各海洋研究船の特徴をまとめますと、その次のページ以降の表2に記載をさせていただいています。これらを見ますと、短期間で沿岸域、近海域を調査・研究することに適した海洋研究船の数が比較的少ないという点について気がつかれるかと思います。また、これら沿岸域、近海域を対象としてきた「淡青丸」「なつしま」「かいよう」といったものは、船齢を重ねて老朽化が進んでおり、これらの研究船がこれまで担ってきた役割を今後も維持・強化するためには、継続的な海洋研究船の整備が必要であると考えています。
 こういったことを踏まえまして、「当面整備すべき海洋研究船」として、以下のように整理をしたいと考えております。
 先ほど説明したとおり、沿岸域、近海域を主な調査・研究対象とした海洋研究船の老朽化が顕著となっているわけですが、先ほど主査からもお話がありましたように、総トン数で1,000トン前後の、沿岸域・近海を主な航海対象としました海洋研究船の整備を最優先で行うことが必要と考えております。これについては、我が国の排他的経済水域内での機動的な、さらに詳細な調査研究を行うことを趣旨とする船と考えています。
 さらに、当面整備すべき海洋研究船については、多様化する研究船へのニーズヘ対応することが必要で、そのためには、連続航行距離、研究区画の確保といった基本的性能・設備は確保しつつ、各分野の研究資材等は、例えば、コンテナのようなもので整備し、航海の内容に従ってそれを交換するという融通のきく方式が適当であると考えております。
 この当面整備すべき海洋研究船に要求される基本的性能・設備としては、まず以下の8つを想定しております。「ダイナミック・ポジション・システム」それから「CTD採水システム」さらには「用途別の観測用ウィンチ」「ガントリー・クレーン」「科学魚群探知機」「探査用音響ソナー」「音響ドップラー流向流速計」「エアガンコンプレッサー」こういったものが必要だと考えております。さらには、船の上で研究を効率よく行うためには、以下の3つのことについても整備が必要と考えています。具体的には「常時接続可能なLAN設備」、「防音性、防震性、防火性、換気性にすぐれた研究区画」さらには、「ウェットラボ及びドライラボ」といった設備です。さらに申し上げますと、一般的な内容としまして、「女性研究者、外国人研究者の乗船を容易にするための諸設備」、これは浴室、厨房が具体的に挙げられますが、そういったものを整備していくということが重要と考えています。さらには、「排水、排気ガス、ごみ等に対する環境保護設備」「観測時の操船が容易な電気駆動式の動力源」といった、一般的な内容も必要と考えております。なお、海洋研究船の整備を行う期間においては、他の海洋研究船の運用を柔軟に行い研究者の影響を少なくすることが必要と考えています。

【平(啓)主査】
 ここで1回切りたいですけど、いかがですか。

【山田海洋地球課長補佐】
 はい、わかりました。

【平(啓)主査】
 これから、12ページ以降は運用方針というのが出てきますもので、これまでのところは、まず「はじめに」で船に対する、船がないと研究ができないということからあったわけですが。やっぱり皆さんの意見を伺いたいと思いますので、「はじめに」のところで、つまり三、四ページについて、ここは是非こうしてほしいというのは、ございますか。
 平井委員どうぞ。

【平井委員】
 意見としては、海洋研究船の定義みたいなものを明確にまず出していただいて、これまで、課長からも座長からも話がありました、官庁船だとか大学の練習演習船等も含めていろいろ検討してきたわけですけれども、その辺のことが全然書かれていずに、後を読めば十分にJAMSTECの船だということはわかるんですけれども、最初の段階で、海洋基本法があって、海洋研究調査の推進が大事だというところがあって、それは全部、海洋研究船で扱うというふうなイメージでとらえられてしまうので、そこを、誤解がないように、海洋研究船というのはこういう船を扱う、検討したんですということをぜひ書いていただきたいなというふうに思います。

【平(啓)主査】
 そうすると、今、3ページのところで、人工衛星の話とかというのは、まず一般的な船の話ですね。それで、ここのところで「海洋研究船」というのが出てくるわけですけど、このところにどういうふうな工夫をすればいいでしょうか。私が最初に申し上げましたように、練習船とか官庁船とか、あるいは場合によってはフェリーボート等も使われているということから、この委員会は議論してきたんですが、どうしてもやっぱり今の場合で言えば、官庁船等が困るということですね。

【平井委員】
 後半を読めば理解できるでしょうけど、「はじめに」というところで読んでいくと、海洋基本法に対応するような調査研究の船はこれだけですよというイメージでとらえられてしまう可能性もあるので、できれば、純粋の政策検討だとか、あとは教育に特化したような船というのは除いて、純粋な科学技術振興だとか研究者の育成に関する船ということで、「海洋研究船」というものを位置づけて、この中で、将来構想というものを検討するんだというふうな一文を加えていただいたらいかがかというふうに考えております。

【平(啓)主査】
 これはそうすると、4ページの「我が国における研究者の利用に」というところのパラグラフを工夫して少し前に持ってくればいいわけですね。

【近藤海洋地球課長】
 どの程度詳しく書くかは別として、前段の3ページのところまでは、確かに「海洋研究船」という言葉は使っておりますけれども、今、座長が言ったように、ここの「海洋研究船」というのは、あくまでも我が国における研究者の利用に供されると、供されるという形で複数者に供用される船を対象にしていますというのをここで書いております。またその具体的な内容を、経緯も含めてJAMSTECが運用している7隻ですよと書いてあります。「しかしながら、これらの研究船のうち」という言い方をしているように、「これらの」というように絞った形になっていますので、一応最低限わかるように、「はじめに」というところで概念がわかるようになっています。ですから、「はじめに」の全体を読んでもらうと、対象にしている船がわかるという構図になっている、というのが今の整理なわけです。

【今脇委員】
 案としては、3ページの下から2段目ですか。「海洋を知るために」というので船が要るという話がありますね。ここは一般的な話なので、その次あたりに、そういう船としてどんなものがあるというのを書いて、その一部をこの後では問題にするというのが、今、座長も何かその辺を考えられたと思うんですけれども、いかがでしょう。

【平(啓)主査】
 少し工夫をさせていただくということでよろしいですか。松山委員の水産・海洋系大学水大の船とかというのは同じことでいいわけですね。

【松山委員】
 それぞれ本務があると思うんですね。教育船は教育船の本務があって。その前の、今脇委員がおっしゃった下から2段目のところが、海洋研究船ってダイレクトに出てきているから、それが後ろにつながっているように見える、この部分を修正してもらえればいいかなと。そこから何か加えるとしても。

【平(啓)主査】
 はい、わかりました。これはもう少し、今ここで字句までつくると大変ですので、ご意見を伺いたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】
 非常に当たり前のことなんですけれども、やっぱり書いておいていただきたいなと思うことが、例えば、3ページから4ページにかけて、「今後とも海洋に関する知見の蓄積と科学技術の水準の向上を図っていく」というふうに書いてあるんですけれども、当然のことなのですが、科学技術水準の向上というのも最終的には国民の生活に利するということが目的だと思うので、国民の生活に利するか、もちろん人類の幸福を図るということか、何かそういった言葉をやっぱり押さえて入れておいたほうがいいんじゃないかという気がいたします。

【平(啓)主査】
 よろしいですか。事務局はテイクノートできました?

【山田海洋地球課長補佐】
 はい、かしこまりました。

【平(啓)主査】
 はい。ほかにいかがでしょうか。

【玉木委員】
 ただの言葉の問題ですけれども、最初に出てくるので少し気になるのでコメントさせていただきます。3ページの「はじめに」の3行目のところで、「水産資源、鉱物資源や海運など、我々人類の生活に不可欠な」というところですが、「鉱物資源」という言葉ですけれども、実際の海の地質的な資源というのは一番大きなのは石油資源あるいは天然ガス資源ですから、もちろん鉱物資源というのもあるんですけれども、だから、私はここは、言葉は単に「海底資源」としたらどうかということです。
 それから「海運」という言葉ですけれども、これはもうあまり使われない言葉じゃないかと思うんですけれども、ちょうどきょうは海洋基本法のコピーが資料 7‐4につけていますが、ここでは「海運」という言葉は使われていなくて、第6条にいろんな似たような言葉が並んでいますが、「海上交通」といいますか、「海運」というと何か古い国交省の言葉のようなあれですので。最初に出てくるのでちょっとコメントさせていただきました。

【平(啓)主査】
 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

【花輪委員】
 4ページの下から3段目、「しかしながら」という真ん中辺です。「これらの海洋研究船のうち」ということで、特に「なつしま」と「淡青」のことが船齢を重ねているということで例が挙げられているんですが、後ろのほうには「かいよう」も出てきて3つの船が対象なんですね。私は、根本的にこういう研究船が整備されることは望ましいと言っているんだけれども、この「なつしま」「淡青」、それから後ろのほうに出てくる「かいよう」がどうなってしまうのか、どうするのかというのが一言も書かれていないんです。それが、読みようによってはものすごくいろんなふうに読めます。

【近藤海洋地球課長】
 経緯をここに書いてあるということからもお察しいただけると思うんですが、海洋研究船委員会のこれまでの検討の中で、後に出てきます運用のところで大分議論させていただきましたけれども、単純な今までの学術研究船だ、JAMSTECの海洋研究船だという話ではなくて、全体を1個の海洋研究船、研究者に供する海洋のフリートとしてどういうふうに全体を見ていくのかということが一番の論点だと思っております。そういう視点で、どういうニーズがあって、どういう施設が必要で、どういう機能が必要でという議論をしていただき、当面必要な整備はなにかということを検討していただいております。全体のフリートを考えた中での議論であり、どの船は代船とかそういう議論をしないというのが、今回の検討の流れでした。

【花輪委員】
 だとすれば、あまり船の名前は挙げないほうがいいんではないでしょうか。特に気になるのは、ここに2隻書いておいて、後ろに3隻書いている。

【近藤海洋地球課長】
 今ご指摘いただいた前と後ろの整合性はちょっと検討させていただきたいと思います。

【平(啓)主査】
 少し配慮したいと思います。それじゃあ、今のところにつきましては、皆さんの意見を取り入れてこれから修正したいと思います。
 それから、今度は5ページから後、5、6のほうで、「(1)海洋研究船に対するニーズ」というところで気になるというか、直したほうがいいというご指摘をお願いいたします。

【今脇委員】
 表現の問題なんですけれども、5ページ目の最後に「海洋地学分野に関しては」というところ、ここだけ何か書き方がちょっと、日本語としてもちょっと読みにくいしおかしいので、ほかと同じように、関しては何々が必要というような修文をお願いします。

【山田海洋地球課長補佐】
 はい、かしこまりました。

【小池委員】
 海洋に関する研究分野の挙げ方が8つ挙げてあるんですけれども、これが、かなりカテゴリーの違うものをいろいろまぜてかいてあるような印象があるんです。それで、いわゆるオーソドックスな海洋科学の分野、プラス海洋環境観測というのは、これはかなり応用的な話が一緒になっているので、これは一体どういう基準でこういうふうなものをまず並べたかというのが一つ知りたい。例えば、海洋生物学って普通言ってしまうと、これはBiological Oceanographyで、普通はどちらかというと臨海実験所でやっている研究のことを指すんです。海洋のほうだと「生物海洋学」という言葉があって、それはBiological Oceanographyで、いわゆる船を使ってやる研究です。ですから、何かその辺が結構ばらばらに入っていて、しかも、これが全部、後のニーズだけと、あと、設備、施設、それが全部同じような調子で書いてあるので、ちょっとその辺を整理していただきたいというのが一つ。
 それとあと、やはり書き方として、先ほど今脇委員が言われたみたいに、海洋地学だけは「社会還元」という言葉が書いてあって、それからほかの、例えば水産のほうは社会還元ということは全然書いてないし、むしろ社会還元を書くんだとしたら、それとかあと環境のほうとか、それはもろに社会還元ですね。ですからその意味で、とるならとる、入れるならみんな入れるというふうにしないと、非常にでこぼこが目立つような印象を受けます。
 以上です。

【平(啓)主査】
 今おっしゃったように、ほんとうに8つになるのかどうかなんですけど、これはどういうふうにしましょうか。考え方としては、例えば、極限環境生物学分野に相当する、こういう名前では出ていませんでしたが、これがそれぞれの船でどういうことをやっているということで前は出ていたのが、分野としてこういう名前にしたらどうだろうというので出てきたように思うんですが、こういう言葉は使わないほうがいいんでしょうか。JAMSTECは……。

【小池委員】
 ちょっとよろしいですか。極限生物学分野というのは、海洋に限らないんですね。宇宙もそうですし、それから陸でも、いろんなところで極限生物というのは出てきて、やはり海洋をメインにする研究分野というところからは、ちょっとあまりにもこの言い方は広過ぎてしまうという印象があります。

【平(啓)主査】
 かえって、平朝彦委員にSOSですけれども、エルニーニョをやっていることとか、こういうのは今まで、例えばほかのところであんまりやっていなくて、JAMSTECが確立した分野だと思うんですけれども、それをどういうふうに呼べばいいでしょうか。

【平(朝)委員】
 私ですか。ど極限のほうでしょうか、それともエルニーニョですか。

【平(啓)主査】
 環境分野にしても、この2つが地球環境観測分野というのも、例えば、この2つを除くと、残りはほとんどが従来型ですね。

【平(朝)委員】
 いろいろご意見あると思いますが、このドキュメントはかなりある意味で政策的なことも入っているドキュメントだというふうに、要するに、純粋に基礎研究とかそういう面から掘り起こしただけではなくて、国家基幹技術とか、あるいは機構の持っている分野との関係等々もあると思いますので、いろいろご意見はあると思いますが、私としては極限環境というのは、やはりうちのほうでフロンティアというものを持っている関係上、そこが非常に船のニーズも高いので残しておいていただければ、それなりにいろいろ説明に役立つかなという見解でございます。
 地球環境観測をとりわけてなぜここに出すかというと、これも非常に政策的な意味のあることでございまして、このドキュメントが両面を持っているということをご勘案いただきたいというふうに思います。

【平(啓)主査】
 それでは、いずれにしろ、コメントはまたeメール等でください。それで、さっき小池委員がおっしゃったMarine BiologyとBiological Oceanographyというのが、これはどうでしょう。

【小池委員】
 私はできたら幾つかポチでつないで入れていただければいいかと思うんですけどね。ただ、やはりそういう言葉というのは伝統的にあって、海洋学の中では非常に大きな分野ですから、それはやはり入れておいていただきたいと思います。

【平(啓)主査】
 コメントをください。

【小池委員】
 はい、コメントを出します。出しましたけど。(笑)

【近藤海洋地球課長】
 すいません。この分野については、事務局は非常に弱いので、先生方から出てきたものを全部並べてみたというのに近いです。そういう点でいろいろなものが入っているのかなと思います。本日の意見を踏まえ、最後は座長と相談させていただきますので、ご協力をお願いいたします。

【平(啓)主査】
 了解いたしました。偏りが出てくる可能性がありますから、気をつけて修正したいと思います。
 ほか、いかがでしょうか。大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】
 この船というのも、やっぱりこれから20年、25年使っていくという感じなんでしょうか。

【平(啓)主査】
 そうなんですけど、今話しているのはまだ船は登場しないんですけど。

【大塚委員】
 ええ。

【平(啓)主査】
 すべての分野のということですので。

【大塚委員】
 はい、わかりました。

【平(啓)主査】
 今のことに関しまして言うと、要するに、船の寿命ということですか。これは要するに、メンテナンスとのバランスの問題でありまして。

【大塚委員】
 というか、どれぐらいのパースペクティブで考えていらっしゃるのかなと。

【平(啓)主査】
 大体、技術の進歩が今までは20数年ぐらいだったということで。

【大塚委員】
 これからはまた変わる可能性も?

【平(啓)主査】
 いや、どうでしょう。それは難しいと思います。

【大塚委員】
 はい、ありがとうございます。失礼しました。

【平(啓)主査】
 それでは、今度6ページの下のほうからになりますが、「我が国の海洋研究船が持つべき施設・設備」についてでございますが、この辺はいかがでしょうか。これも、じゃあ、見て気になるところがありましたら、ぜひコメントをくださいということでよろしいですか。いかがですか、今。じゃあ、花輪委員。

【花輪委員】
 1つだけ、すいません。7ページの極限環境生物学分野のところで、実はもう既にこの言葉は出てきているんですが、「現場飼育装置」それから、それ以前の 5ページのほうに「現場環境」という「現場」というのが、ほんとうの意味での現場というのは、私は海の中を現場というんだろうと思うんですが、ここは多分、船上のことですよね。

【平(啓)主査】
 はい。

【花輪委員】
 何か別の言葉のほうがいいのではないかなというふうに思いました。

【平(啓)主査】
 JAMSTECが一番苦労しているのは、特に圧力と温度を、その状態のまま船上あるいは陸上まで持ってくるということですが、これは何ていう言葉で言ったら。ですからこれも、平朝彦委員は何て言っていますか。

【平(朝)委員】
 正確に言えば、近現場環境維持飼育装置ということでしょうけれども、ちょっと言葉足らず、舌足らずなところもありますので、何らか追加させてください。インサイ中のコンディションを船上で温度・圧力を保って飼育する装置と。

【平(啓)主査】
 そういうつもりの言葉のようですけれども、よろしいですか。長くなるだけだと「現場」のほうがいいのかもしれないし。ほかにいかがでしょう。

【今脇委員】
 7ページの最初の「海洋物理学分野」、基本的なことが書いてあって、これでも尽きていると言えば尽きているんだけれども、流れの観測のことが書いてないんです。後ろの船の整備なんかのところにいくと、音響ドップラー流速計なんかが出てくるので、流れを測る測器を一応ちょっと言葉だけでも入れておいていただいたらと思います。

【平(啓)主査】
 私としては、ブイや無人探査機というところの、要するに流れを船で直接はかるわけではないので、ブイを使うということで係留装置やなんかをつけたつもりなんです。あんまりまだ使われていませんが、無人探査機というのもまた場合によると非常に有効になるだろうと。事務局の原案をそういうふうに私が理解したというべきなんですけど、いかがですか。ちょっと違うんですね。要するに、船から離した測器になりますから。

【今脇委員】
 こっちのほうはね。今は、船に装備する測器を話題にしているのですが。

【平(啓)主査】
 例えばドップラーとか。

【今脇委員】
 後ろの、船の装備品に書いてあるんでちょっと気になったというだけです。

【平(啓)主査】
 今脇委員、やっぱり、すべてをこの3行で終わるわけにいかないのでと思うんですが、いかがでしょうか。特に水産学分野というのが、これは平井委員しかいないんですけど、いかがですか。

【平井委員】
 基本的に結構ですけれども、「高性能の電子計算機」というのは何かとってつけたように書いてあるので、これはパソコンのいいやつぐらいのイメージなので、そんなに書かなくてもいいんじゃないかと思いますが。

【平(啓)主査】
 海洋研ではこのグループが一番計算機を使ってたんですけど。

【平井委員】
 どうしてもということがあればですけど、特に僕は必要はないのではないかと。魚探そのものにシステムとして普通は納品されているので。

【平(啓)主査】
 「高性能電子計算機が」というところを「科学魚探が必要である」というふうに書いておきます。
 いかがでしょうか、ほかに。では、松山委員から。

【松山委員】
 7ページの真ん中辺に「海洋生物学分野に関して」と書いていますけど、「プランクトンや魚」って書いているのですが、大型トロールって出てきていますので、この魚というのはどの程度の大きさの魚をいうのか、稚魚程度なのか。

【平(啓)主査】
 この中で魚がわかっているのはやっぱり平井委員だな。

【平井委員】
 僕は水産の分野で、前回の委員会のときに、特に稚仔とか遊泳性の弱齢魚を考えていたんですけれども、遊泳性が強い大きな生物を採取できるようなネット採取とか中型トロールとかという意見を出しましたけど、ここの魚がどういうイメージかというのは私もわかりませんが、大きな魚はあまり研究船では対象ではないように思いますが。

【松山委員】
 稚仔魚ですかね。

【平(啓)主査】
 よろしいですか。

【玉木委員】
 7ページの一番下です。海洋工学の分野で、有人潜水船、ROV、AUVを使うと。そのためにAフレームが必要ということが書いてあるわけですけれども、あともう一つ、AUV、特にROVに必要なものとして、音響測位システムというんですか、トランスポンダ装置ですけれども、「音響測位システム」と入れたほうがいいと思うんです。

【平(啓)主査】
 音響測位でいいんですよね。よろしいでしょうか。

【徳山委員】
 大した話じゃないんですが、7ページで海洋化学分野で、最後に「チタン合金製」って、無汚染採水が重要であってチタンでなくてもいいと思うので、そこまで海洋研としてはありがたいんですけど、しかし、ここまで言い切る必要があるかってやや疑問なもので、「無汚染採水が可能となるケーブルが必要である」で僕はいいと思うんですけれども。

【平(啓)主査】
 わかりました。よろしいですか。

【近藤海洋地球課長】
 はい、了解しました。

【徳山委員】
 だけど、いろんな、例えば、ケップラーでも今やっているところもありますから、決め打ちはこういう文章の中ではあまりよくないんじゃないかと思ったんです。

【平(啓)主査】
 では、「無汚染採水を行うためのケーブルが」というふうにしておきましょう。ちょっと商品名みたいになるといけないので。いかがですか。
 それでは、次に、8ページの真ん中の「我が国の研究船が持つべき機能」ということですが、これはいかがですか。何となく「地震・津波等の自然災害の予防」というのが、ちょっと予防できるのかあれなんだけど、どうしましょう。減災か予測かどっちかでしょうね。予測にしましょう。それは、後で学会のほうで、後から調べるとこういう変動例があったということも研究されているようですから、津波の発生について、インド洋津波に対して。
 ほかに、いかがですか、9ページまでで。

【近藤海洋地球課長】
 私のほうから若干補足をさせていただきます。一つは、前回の議論のときにありました高緯度研究船というのが、遠洋型とかなり重なるのではないかということで、今回特殊船の中からは削っているということです。
 それから、従来、汎用型と機能型という形で整理してあったんですけれども、やはり対外的に説明するときに、汎用と機能では説明しにくいので、一般的にやっている汎用観測研究機能というのと、特殊というか、一定の機能、設備を持ったという意味で、特殊観測研究機能という形で整理をし直しておりますので、ご報告申し上げます。

【徳山委員】
 8ページの我が国の云々というところの5つの、世界、社会、国民に貢献しているという中核のタイトルがあるんですけれども、今までの中に、鉱物エネルギー資源というか、玉木委員のようにに言えば、海底資源に対する資源というのは、最後に生物資源はあるんですけれども、持続的という利用も含めて、海底資源も入れるようなことはできないでしょうか。

【平(啓)主査】
 非常に重要でしょうね。海底資源の開発じゃないな。

【近藤海洋地球課長】
 この前も議論があったんですけれども、ここは書き方の問題なのかもしれませんが、「特に、以下の研究においては世界の中核となり」というところがあったので、海底資源で、そこまで中核となりと書いていいのかどうかというのが、前回のこの委員会では難しいんじゃないかという意見がありましたので、記載しておりません。

【徳山委員】
 少なくとも、メタンハイドレードとかは、日本が引っ張っているんじゃないんでしょうか。

【平(啓)主査】
 玉木委員、どうぞ。

【玉木委員】
 私も、そこの5項目に海底資源が落ちているのは認識していたんですけれども、「中核となり」ということであると、必ずしも、中核となっていない。私自身も、それを専門としていますが、中核となっていないと言われても仕方がない状況であるのと、中核となって海底資源をやるんだというと、経産省の調査船もありますし、いろいろまずいかなということもあって、あえて、ここで海底資源をここまで出さなくてもいいかなと考えました。

【平(啓)主査】
 省きますか。というのは、今朝、今のような議論があるのを思い出して、中核ではないんじゃないか。
 徳山委員、そういうわけでいいですか。

【徳山委員】
 いや。いいんですけれども、きょう始まってからずっと気にしているんですけれども、このペーパーがどういう使われ方をするということにかかわってくるので、微妙なところなんですけれども。

【平(朝)委員】
 僕も徳山委員に賛成で、鉱物というのは海底資源に広く入れて、今はメタンハイドレードもあるし、コバルト・リッチ・クラスト等の探査では、今はほとんど日本しかやっていませんので、いいんじゃないですか、海底鉱物資源というのは。

【平(啓)主査】
 入れますか。海底資源の……。

【平(朝)委員】
 海洋生物資源、及び海底資源の利用。

【玉木委員】
 海底資源も持続的開発が重要なテーマです。

【徳山委員】
 そう思います。

【平(朝)委員】
 「持続的な海洋生物資源・海底資源の利用」。

【小池委員】
 1つ、9ページの特殊観測研究機能の、この船をこういうふうに切り出したのは、やはり船全体が特殊な船でなければ難しいという形で、多分、切り出してあると思うんです。そうすると、海洋生物研究機能というところは、これだけ見ていると、これは普通の船でもできることなんです。それで多分、大型のトロールとか、そういうのをやろうとすると、後ろの形をスリップウェイにしなきゃいけないので、それはやはり書いておかないと特殊にはならないので、追加をしておいたほうがいいと思いまして。何というんですか、スリップウェイ?

【松山委員】
 スリップウェイ。

【小池委員】
 スリップウェイですね。

【近藤海洋地球課長】
 今、そういう船ってあるんですか。

【小池委員】
 ありますよ。

【平(朝)委員】
 スリップウェイを持った船が必要なの?

【徳山委員】
 大型の生物をやるときは必要ですね。

【松山委員】
 ここの大型トロール、さっき気になりましたけれども、それをやるなら必要ですし。

【平(朝)委員】
 やるなら必要だけども。

【松山委員】
 ええ。小さな稚魚ネットみたいだったら、別にそれは必要ないでしょうと。

【徳山委員】
 いや。稚魚ネットは今だんだん大きくなって、間口がでかいのをつくり始めているみたいですね。

【松山委員】
 そうなると……。

【平(啓)主査】
 どう書けばいいんですか。大型トロール……。

【小池委員】
 大型トロールは外にやるほうで、船のほうの設備とすると、スリップウェイですね。ですから、それは船尾がそういう格好になっていないとできないので。

【松山委員】
 大きな網を回収するのに、それが必要だろうと。

【小池委員】
 昔、鯨の母船が後ろに、斜めに開いていましたね。知らないかな。もうそういう時代じゃないから。あれと同じような。

【門馬委員】
 外国でも、そういう船はあるんですけれども、みんな使っていないですね。今ではふさいでいますよ。

【平(啓)主査】
 実際はあまり……。今の海鷹丸もやめたんでしたっけ?

【松山委員】
 通常はふたをしているんです。

【平(啓)主査】
 危ないから。

【松山委員】
 作業甲板になっていまして、作業をするときに、それを取り除いて作業する……。

【平井委員】
 水産研究所の船なんかは、ほとんどそういうスリップウェイのついた船で、網を中心に巻きつけて、ウィンチで巻き上げるので、漁獲しやすいようになっていますので、それが研究船として、対象の魚とするのかどうかはあれですけどね。

【原田委員】
 きょうから登場させていただきます、JAMSTECの原田と申します。
 ここの機能の(3)のところは、多分、一番重要かなと。資料の中で読んだんですけれども、これまで我が国が中核となって引っ張ってきた研究をますます推進することに加えて、さらに、こういう研究も重要だから、例えば、沿岸の1,000トンクラスの船をつくっていくんだという、もう少し研究項目、今後もさらに、我が国として重要な科学課題といいますか、そういうものも、また挙げてもいいんじゃないでしょうか。例えば、さっき徳山委員がおっしゃられたようなハイドレードですとか、あるいは沿岸域というのは、海全体の物質循環を考えた上でも、非常に重要な海域ですし、あるいは生物の多様性ということからも、ますます重要な海域だと思うので、その辺の説明文を加えて訴えるのがいいのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

【平(啓)主査】
 具体的には、どこに入れていきましょうか。

【原田委員】
 この「中核となり」の5つの項目の後に、さらに、これ以外にもという形で、例えば2つ、3つ羅列するとかというのは、いかがでしょうか。

【平(啓)主査】
 すいません。コメントをください。

【原田委員】
 コメントとして、メールで差し上げたいと思います。

【平(啓)主査】
 事務局と一緒に考えていきたいと思います。
 それでは、今のところについては、海洋生物研究機能ということで、じゃ、「大型トロール用」にしておきますか、「要スリップウェイ」ぐらいにしておきましょう。
 それでは、今度は9ページの(4)であります。基本的な考え方、これはいかがでしょうか。ここが先ほど花輪委員がご指摘の、3隻目になっちゃたんですけれども、これをどうしましょうか。全部挙げることもないので、25年のものだから、「淡青丸」「なつしま」と書いておけば、前にも出ていたのでいいんだと思うんですけれども。
 ほかにいかがでしょうか。
 では、次の(5)「当面整備すべき海洋研究船」。

【小池委員】
 11ページの最後の「なお、海洋研究船の整備を行う期間においては」というところ、これはどういうニュアンスとしてこれを言っているのか、ちょっと意味がわからない。

【平(啓)主査】
 これは、この前も議論になったところで、代理船とは書けないから書いていないんですけれども、建造中は不便のないようにしてほしいという、そのくらいのようですが。

【小池委員】
 そうすると、例えば半年とか1年、2年かわかりませんけれども、そのぐらいかかるのか。

【近藤海洋地球課長】
 基本的な意味合いとしては、海洋研究船の整備をする、これは新造船もそうだし、改修もそうですけれども、その場合、1つ問題があります。
 問題は、そのときに全体の運航をどうするか。要するに、限られた予算の中でやるということになりますので、そのかわりになるような船を1隻を全部とめてしまうのか、それとも、全体の船を、それぞれの目的に合わせて、少しずつ運航日数を調整するのかという議論があります。ここで言っている問題点は、全体のフリートを皆さんで、うまく有効活用していきましょう。ただ、運航日数などは、当然、整備なんかをすれば影響を受けるので、それは全体の中で考えていきましょうという意味です。

【平(啓)主査】
 あるいは、今のお話だと、ごく当然のことだから、切ってしまったら何か困りますか。

【近藤海洋地球課長】
 切っても構いませんが、あったほうが、いろいろ対外的に説明するときには、説明しやすいのかなと。

【平(啓)主査】
 わかりました。よろしいですか。

【玉木委員】
 今は5ですか。

【平(啓)主査】
 ええ、5です。

【玉木委員】
 必要な装置が○(まる)で列記してある部分ですけれども、先ほどコメントしました音響測位装置、1,000トンクラスの船で、多分、ROVは使用するでしょうし、AUVも、将来は少し小型化されて、米国のものはもうかなり小さいので、AUVを使用すると思いますけれども、そのときは、やっぱり音響測位が生命線になるかと思います。有人潜水船も、1人用という小さいものが将来はできるかもしれないと思います。
 ですから、音響測位装置というのを入れていただくか、あるいは、途中で探査用音響ソナーというのがありますから、その後に、トランスポンダ用ソナーか何か、そういう、音響測位用ソナーというか、あまり増やしたくなければ。

【平(啓)主査】
 いや。別に増やしたくないわけではないんですけれども、じゃ、今、探査用音響ソナーというのが、11ページの上から5つ目ぐらいのところにありますから、そこに、さっきトラポンじゃなくて、何ていうのがある、音響……。

【玉木委員】
 音響測位用ソナーです。

【平(啓)主査】
 そうですね。

【玉木委員】
 音響測位というのは、送受信のソナー自身は船につけないとどうしようもないんですけれども、海底に置くものは別にあると思いますけれども、先ほど言いました、音響測位システムというと、海底に置くソナーも一体であるというイメージですけれども、少なくとも、船底につけるソナーですね。

【平(啓)主査】
 ソナーであれば、これをやりますか。探査用音響ソナーの前に、マルチチャンネルのソナーと、音響測位用ソナーとか。

【門馬委員】
 それは別物なんじゃないんですか。

【平(啓)主査】
 音響測位用ソナーとしておけばいいですか。

【平(朝)委員】
 探査用音響ソナーですかね、何ですかね。マルチナロービームのことを言っているんですかね。

【玉木委員】
 そうですね。

【徳山委員】
 探査用音響ソナー、これは私もよくわかりませんけれども、多分、精密にはマルチチャンネルソナーであると思います。

【玉木委員】
 ちょっとここ、書き直せます?

【平(啓)主査】
 そうすると、探査用音響ソナーじゃなくて。

【玉木委員】
 マルチチャンネルの地形探査システム。

【徳山委員】
 ひょっとしたら、マルチチャンネルで思い出した。今の最新のシステムは、CDMに3.5の、サグトンプロパイラーの機能もついていると思いますから、それを言っているのかもしれない。

【平(啓)主査】
 いかがですか。

【平(朝)委員】
 精密地形探査用音響ソナー。

【平(啓)主査】
 よろしいですか、事務局。

【平(朝)委員】
 それから、あと、玉木委員の音響測位装置。

【平(啓)主査】
 はい。音響測位装置。

【今脇委員】
 今の話と、ちょっと関係があるかと思うんですけれども、9ページで、せっかく汎用と特殊機能を分類したので、今度、要る船というのは、基本的には汎用ですよね。せっかく分類したので、ちゃんとそれを受けた形で書くべきだと思うんですけれども。

【平(啓)主査】
 では、書くという配慮で。

【小池委員】
 ここに出ている船の分け方で、沿岸型、近海型とあって、これは基本的には沿岸域、近海域の両方が同じようなウエートで書いてあるんですけれども、基本的に最後に話を絞っているのは、沿岸域なんですね。だから、私は「かいよう」というのは、やはり沿岸域から外れて、どちらかというと、近海域に入ってしまうんですね。ですから、その辺の取り扱い方の整合性がずれているなという印象があるんです。

【近藤海洋地球課長】
 そうすると、具体的にどういう形のイメージに?

【小池委員】
 ですから、私は「淡青」「なつしま」の2隻を挙げれば、それで十分かなということなんです。それと、沿岸域、近海域を主な航海対象としたと、それはそれでもいいんですけれども、そうすると、こちらの分類からいきますと、大体1,000トン以下、1,000トンから3,000トンという分類に入ってしまうんですね。

【近藤海洋地球課長】
 具体的に言えば、「総トン数1,000トン前後の」というのを削れということですか。

【小池委員】
 ええ。そこと、その前のページの分け方との整合性が、多少ずれている。これはどうなんですか。

【平(朝)委員】
 総トン数1,000トン前後というのは必要なんですか。

【近藤海洋地球課長】
 事務局としては、特段のこだわりはないです。

【小池委員】
 (5)のところで、総トン数1,000トン前後というのを外してしまったらいかがですか。

【近藤海洋地球課長】
 はい。わかりました。

【小池委員】
 そうすると、別に全体として整合性がとれていると思いますけれども。

【平(朝)委員】
 私も賛成します。

【平(啓)主査】
 これは取っちゃいますか。沿岸域、近海を主たるということで、大きさは特に言わないと。よろしいですか。それでは、もう随分オーバーしていますので、12ページの3の「海洋研究船の運用方針」について、お願いします。

【山田海洋地球課長補佐】
 はい。それでは、あまり時間もありませんので、手早く進めさせていただきます。
 この運用方針につきましては、現在の運用体制、それから、現状の運用体制における長所及び課題、そして、具体的な改善方策ということでまとめさせていただきました。簡単に申し上げますと、現在の運用体制は、旧海洋科学技術センターより運用を行っている「なつしま」「かいよう」「かいれい」「よこすか」「みらい」の5隻については、海洋機構がいわゆるプロジェクト研究を行っている一方で、各海洋研究船に、研究者のための供用期間を設けています。研究課題の公募、選定は、海洋機構の中の委員会が行って、採択された課題ごとに計画をつくって決定しているということでございます。
 東大海洋研のほうから移管された「淡青丸」「白鳳丸」の2隻については、移管前と同様に、全国共同利用方式による海洋研究船として共同利用に供しております。ですので、現在は2つの体制が併存しているという状況でございます。
 これにつきましては、2番の長所及び課題に入るわけですけれども、これから、実際に研究者の便を図るとか、より効率的に研究目的の達成を図るためには、やはり研究課題の申請先を一元化したりすることによって、課題評価の透明性を向上させることが必要だと考えております。
 さらに申し上げますと、科学技術水準の向上を図る観点からは、従来は困難であった複数の研究船の集中観測、長期・継続定点観測や、遠隔地における長期運用など、新しい運用方式にチャレンジしていく必要がありまして、その意味でも、7隻一体という形での運用が必要であると考えております。
 といったことを踏まえまして、具体的な改善方策ですが、現時点で、JAMSTECと東大海洋研の議論が完全に終わっていませんので、現時点で取りまとまっているものでございますけれども、当方の案としましては、現行の東大海洋研に設置する「研究船運営委員会(仮称)」に、7隻の運用を一元化してはどうだろうかと考えております。
 具体的なイメージについては、13ページの(1)、(2)、(3)のところに述べさせていただいておりますが、つまりは研究船運営委員会といったところで、一体的に課題を募集しまして、そこで選定を行い、最終的な運用については、JAMSTECに任せるという形で整理をしてはどうかと考えております。
 さらには、海洋研究船を利用することによって得られた観測データについても、研究者の利便性を担保しながら、海洋に関する情報の収集、整理、保管、あるいは一般の提供への観点から、データの所在管理等を適切に行うことが必要であると考えております。
 ですので、今後、整備する海洋研究船については、こういった運航体制で運用して、海洋機構は、その船舶を持っている施設・整備などの特性に配慮しつつ、実際に研究者が扱う分を決定していく、としたらどうかと考えております。
 以上でございます。

【平(啓)主査】
 ご意見、ご質問はございますか。
 今説明がありましたように、海洋研側も、JAMSTEC側も、まだ完全に、こういう形でというものにはなっていないとの説明ですけれども、基本的に、すべての船を、ここで言う研究船については、共通の基盤で運用したいということでありますが、よろしいですか。何かありますか。言い出すと、まだはっきりしていないから、難しいんですけれども。

【花輪委員】
 新船ができるのが、(1)から(3)まで減るということに書いていますね。そうすると、新船に対して、海洋機構はあらかじめ、プロジェクトにこれだけ使うということを宣言できるというふうに読めますね。その理解でよろしいんですか。

【平(啓)主査】
 難しい問題という意味は、架空の話ですけれども新しい船が整備された場合、一部、JAMSTECが使って、共用部分という形でしか使えないんじゃないかということの危惧だと思うんですけれども、それは今の段階では何とも言えないですね。

【平(朝)委員】
 私から。新しい船は全くJAMSTECがアクセスできないとか何とかということは、一応、私は外していただきたい。それは研究船の運営委員会で十分調整していただく事項であって、何も新しい船ができて、JAMSTECにも権利があると。じゃ、これに100日寄こせとか、そういう無体なことはやらないであろうということは信じていただきたいと思うんですが、同時に、そういう船も、一朝ことあるときには、やっぱり国家的なこと、あるいは政策的、あるいはプロジェクトとして十分話し合っての話ですけれども、出さざるを得ないということは、一元の体制というのは、そういうことであると思いますけれども。

【徳山委員】
 私が発言するのが適切かわかりませんが、やはり研究船運営委員会が議論しながら、JAMSTECの持ち分云々というのをミッションに使う持ち分云々というのを割り当てを提案するということで、それを重く受けて、JAMSTEC側は、いろいろな事業を進めていくということになると思います。
 したがいまして、ユーザーの希望が、新しくできた船に、全国の研究者がいっぱい、倍率5倍ぐらいになってしまえば、そういう場合は、よっぽどのことがない限り、JAMSTECは全国の研究者の意向を深く受けとめて、持ち分云々というような話は起こらないのであろうと期待していますけれども、そういうことになるというのは、やっぱりユーザーの意見が反映されてくると、私は思います。

【小池委員】
 これは、やはり少し問題がありまして、JAMSTECの、いわゆる政策的な研究というのが、結局、これはファンドに依存してしまうわけです。ですから、それが、非常に大きなファンドがとれてくると、これだけの船は使いたいということになると、じゃ、いわゆる今まで探査をやってきたような共同利用のほうは縮小しなさいという話になる可能性があります。
 ですから、なかなか今、徳山委員が言ったような、こちらとしては、こんなに競争率が高いんだということだけでは、多分、これはおさまらない話になってしまう。ですから、その調整が、一体どこができるのか。例えば、そういう大型のプロポーザルをJAMSTECのほうで書かれて、それをどうするかまで、この運航委員会の事項では、多分ないことになります。ですから、私は将来的に起こり得る問題というのは、ある程度、予測はしておいたほうが、後々いいのではないかという気はいたします。

【近藤海洋地球課長】
 JAMSTECの機構法の中に、ミッションの研究とともに学術研究への支援というのはしっかり位置づけられております。ですから、JAMSTECとしても、ミッションの中で、それをしっかり位置づけてやっていますというのは認識いただきたいと思います。その上で、全体のフリートを見た中での役割を見ていくということが、まず基本の考えとして必要だと思います。
 そのときに、やはりJAMSTECの場合、ミッションがあります。さっき言ったように、学術支援もありますけれども、当然、プロジェクトとしてのミッションもあります。それについては、13ページの(1)のところに、「海洋研究機構は、研究船運営委員会と調整を図りつつ」と書いてありまして、具体的な手法についてはここに書いてありませんが、当然、全体のバランスを見て、調整を図りながらやっていくと。ただ、平(朝)委員から話がありましたように、当然、全体の中で考えて、むちゃなことをするような話は、調整を図る中でないと我々は考えております。
 具体的な方法については、もう少し、今後詰めていく課題だと思っております。全体の方向として、全体のフリートを扱っていくんだということのまとめを、今回したいということです。

【平(啓)主査】
 よろしいですか。

【徳山委員】
 最後に1つ。JAMSTECが仮に、ミッションが大きなプロジェクトをとりました。その場合、傭船費というか、船を動かすお金を取りますと。そうしたら、例えば260日動いているのを60日増やして、そのお金はプロジェクトの中から出して、新しくできた船を320日動かすという対応の仕方があると私は思うんです。だから、むやみに、研究船運営委員会で決まるところから、ミッションの分をガーッと取るというのではなくて、じゃ、運航費がありますから、それを上乗せしてでもやりましょうというのだったら、非常に形としては美しいし、それでも日数が足りなければ、じゃ、もっと沿岸の船を増やしましょうという議論になっていくんだと思うんです。そこを抜きにして、初めから、割合で取ってしまうとか、そういうのはあまり建設的ではないと思うんですけれども、今の段階から考えるのは、あまり好ましくないような気がするんですけれども。

【平(啓)主査】
 ここで幾ら決議しても、そのときの問題ですから、ただし、両方とも、特にお互いの立場を理解し合って、円滑に運営していくと。
 ただ、方向としては、この委員会としては、私は猛反対だったんですが、やはり外に対して、こういう新しい体制のもとで、新しい運営をするというのは、非常に説得力があるということでは、私も、そのように考えますので、こういう方向で、この報告をまとめさせていただきたいと思います。それでよろしいでしょうか。

2.海洋基本法について

【平(啓)主査】
 それでは、海洋基本法について、お願いします。

【山田海洋地球課長補佐】
 はい。それでは雑駁に説明させていただきます。
 資料7‐3と7‐4をごらんください。この法律は、今年の4月27日に公布されました。これにつきましては、国会議員と有識者が集まって議論をした場である海洋基本法研究会というものが昨年の4月に発足し、この場で、海洋政策大綱ができ、それを下敷きに法律案が作成されましたのが、この海洋基本法です。特に最近は、中国との東シナ海の資源掘削の問題ですとか、韓国とのEEZ問題ですとかといったことで、権益関係における海に対する意識が高まっているといったことから、議員立法で成立したものでございます。
 この1.の本法の目的というのは、こういった形で、「国際協調」ですとか、「海洋立国の実現が重要」ですとかといったところを主張させていただいているということでございます。
 2.「海洋政策の基本理念」ですが、6つあるうち、特に3の「科学的知見の充実」という点に、我々は注目していきたいと思います。さらには3.としまして、「国、地方公共団体、事業者、国民の責務」、これは法律の中の各条文の中で整理されております。
 4.としまして「海洋基本計画」、これは法律ができましたので、これから作成されるものす。これにつきましては、以下の7.にあります総合海洋政策本部で議論をされた上で、最終的には閣議決定をされるものとなっています。
 5.の「海洋に関する国の基本的施策」ですが、12個ある中で、特に6の「海洋調査の推進」、そして、さらに7「研究開発の推進」といったところが、当方に関係する部分でございます。
 6.としまして、「海洋政策担当大臣の設置」といったことも、法律で定められています。
 7.の「総合海洋政策本部」につきましては、現在、内閣官房にその準備室が設けられておりますが、この本部長は内閣総理大臣ということで定められておりまして、全閣僚が参加しての本部ということが、法律で設定されております。
 以上が概要でございます。具体的なものにつきましては資料7‐4に記載されていますが、詳しい説明は省略させていただきます。
 以上です。

【平(啓)主査】
 田中委員、お願いします。

【田中委員】
 一、二、コメントと質問をさせていただきたいと思います。
 1つは、今事務局のほうから、この海洋基本法が、最近、中国や韓国との間で問題になっている海洋権益との関係が特に意識されて制定されたという趣旨のご説明がございましたけれども、全くそういう側面がないということを申し上げようとは思いませんが、もう1つ、きょうは紹介されていませんが、海洋構築物等の周りに安全水域を設定する法律というのが、この法律と合わせて一緒に採択されましたが、あちら法律は、確かに、東シナ海のガス田の周辺の安全水域設定等が意識されていますので、まさに海洋権益の確保という点が十分意識された法律だと思いますが、こちらの基本法のほうは、繰り返しますが、そういう側面がないとは申しませんが、むしろ、日本の海洋政策全体を、全体的な立場から、きちっと打ち立てていこうという趣旨がかなり強く出てきている基本的な法律だと説明を受けてきましたし、認識しております。だから、そのあたり、大事な法律ができたと我々も受けとめているということでございます。
 関連して、この法律がまだできる前、国会の審議中の段階で開かれた、前回の海洋開発分科会で、既にこの法案の説明や、この法案の影響について、少し意見交換があったと思いますが、こうやって一たんできてしまいますと、改めて、この法律の影響の大きさ、もちろん、まだわからないところもありますけれども、考えていかないといけないのではないかという思いを強くしているわけです。特に、きょう説明がございませんでしたけれども、たしか附帯の決議がございますね。附帯の決議によれば、総合海洋政策本部に、海洋に関する幅広い分野の有識者から構成される会議を設置するという附帯決議が、この基本法の採択と合わせて採用されたわけでありまして、これはもちろん、この委員会だけで議論できる種類のものではないと思いますが、まさに海洋開発分科会等で、この法律の運用を含めて慎重にいろいろ吟味していく必要がある、そういう性格を持っている法律だと思うわけです。
 したがって、海洋開発分科会そのものの全体会といいますか、そこでの課題になると思うんですけれども、また、いろいろ関係の責任者等の方々は、よろしくご審議いただければと思っているところです。

【平(啓)主査】
 ありがとうございます。
 これは近藤課長のほうから、補足をお願いします。

【近藤海洋地球課長】
 ご指摘ごもっともでございまして、海洋基本法の策定については、海洋に関する施策を総合的かつ計画的に推進するということがありまして、これが本法律の一番の目的です。山田のほうから申し上げたのは、背景として、そういう議論もあったということでございます。そこは十分、我々も承知して、対応していきたいと思っております。
 それからもう1点、施策を総合的、かつ計画的に推進するという中で、総合海洋政策本部をつくって、その中でまた有識者会議を開くということでございます。当分科会と直接の関係はございませんが、そちらのほうにも、本分科会での議論が反映されるような形が何か考えられないかということは、今後、分科会長の今脇座長と相談していきたいと思っております。
 いずれにしましても、当面、ここに書いてあります4.のところで、海洋基本計画というものを策定することになっておりますので、これとの関わり合いをどのようにしていくかというのが、当面の課題かと思っております。
 以上です。

【平(啓)主査】
 よろしいでしょうか

【花輪委員】
 質問いいでしょうか。基本計画のロードマップといいますか、タイムスケジュールといいますか、それは今どういうふうになっているんでしょうか。

【近藤海洋地球課長】
 対外的に言えることは、先ほどもご指摘があったように、衆・参の附帯決議がありまして、その中に、本法に規定する海洋基本計画を早急につくりなさいということが書いてあります。これが公式的な言い方でして、いつまでにつくるという話は、まだ本部もできておりませんし、何とも言えませんが、そんなに遅くつくるなということがありますので、そこは憶測でしかないですけれども、年内とか、もっと早い時期とか、そこは今後設置されます本部での議題じゃないかと思っております。

【小池委員】
 今もう準備室ができて、この間のお話ですと、もう8人ぐらい人がいると伺ったんですけれども、それに対して、文部科学省は、どの程度、そちらに力を入れていくご予定なのか、差し支えなければ教えていただければと思います。

【近藤海洋地球課長】
 準備室のほうができたということは承知しております。ただ、具体的な話は、まだ外に出ていないということでございまして、我々のほうから、この場でという話は、なかなか厳しいのかなと思います。
 ただ、いずれにしましても、7月のしかるべき日に施行という形になりまして、本部ができるというときには、文部科学省としても、それなりの対応をさせていただきたいということで、今、申し入れはしております。

【平(啓)主査】
 それでは、本日は、長い間、どうもありがとうございました。これで終わりにしてよろしいでしょうか。

3.その他

【近藤海洋地球課長】
 それでは、最後に事務局のほうからご連絡を。

【平(啓)主査】
 お願いします。

【近藤海洋地球課長】
 本日いただいた意見をもとに、平座長と相談して修正案をつくらせていただきたいと思います。それを皆様のほうに見ていただきまして、それを踏まえて、またさらに座長と議論して、最終的に取りまとめということでさせていただきたいと思っております。
 その後のこの研究船の委員会の扱い方については、まず報告を分科会に上げた後、座長ともゆっくり相談していきたいと思っております。その後のことについては、恐縮ですが、まず取りまとめをするということの方向だけご報告申し上げて、事務局からの連絡を終わりたいと思います。
 以上です。

【平(啓)主査】
 どうもありがとうございました。

【原田委員】
 すいません。1点だけ、申しわけないです。この資料7‐1の一番最後の表3、これも合わせて全部オープンになっていくんですね。

【近藤海洋地球課長】
 はい。

【原田委員】
 ちょっとこの表3の意義づけがよくわからなかったんですが、これは研究船の利用実績のような形で外に出ていくことになるわけでしょうか。そうだとすると、「みらい」という船は一番数字が小さくて、「みらい」ユーザーとしては少し残念です。といいますのは、「みらい」は乗船する研究者のみならず、非乗船という形で、非常に多くの研究者が参加していますし、これとほぼ同じくらいの人数。それから、一方で、技術員という方々の人数も、これと同じだけありますので、もし利用実績という形でこの表がオープンになっていくんだとしたら、もう少し実態に則した表として出していただければというお願いです。

【平(啓)主査】
 よろしくお願いします。

【近藤海洋地球課長】
 はい。では、本日は、どうもありがとうございました。

─了─

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