科学技術・学術審議会
2001/12/27議事録第4回海洋保全委員会議事録 |
1. | 日時:平成13年12月27日(木)10:00〜12:00 | ||||||
2. | 場所:経済産業省別館825号会議室 | ||||||
3. |
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4. | 議題: (1)海洋保全委員会報告書(案)について (2)その他 |
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5. | 会議経過: |
【來生委員】 言葉遣いの問題なのですけれども、さっき目次のご説明を聞いていて、第4章の章のタイトルというか、最初伺ったときに4.2と4.3と4.4というものの時間的関係が何となくひっかかるような気がしたのです。つまり、「当面」という言葉と「喫緊に」、それから「適切な予防措置」と、短いところからだんだん長いところに行っていないなという感じがして、いろいろ考えてみたら、章のタイトル自体というか、特に4.2というのはむしろ総論的な議論だなということで、むしろ4.2のタイトルで「当面」というのをとったらどうなのだろうか。取り組むべき問題の重点化ということで、「当面」という言葉をつける意味がどこにあるのかなという気が若干したので、とりあえず申し上げておきます。
【磯部主査】 それはおっしゃるとおりですね。つまり書いてある中身というのは、4.2で、問題がいっぱいあるけれども、それをとにかく整理をしますということで、整理をした結果として「喫緊」に入ったものについて4.3に入っていて、「適切な予防措置」というカテゴリーに入ったものが4.4に書いてあるわけですから、「当面」というのは特に取り組むべき問題の重点化、「当面」、それなりに意味はあるのだけれども。
【來生委員】 ご検討いただければというだけの話です。あんまり大したことでは、本質的な話ではないのかもしれません。
【磯部主査】 全体の整合性を考えて、また後で決めたいと思います。なくてもいいかもしれない。趣旨としては、とにかくあんまりサボるのはいけなくて、とにかく早くやりなさいという意味で「当面」というのがついていると思いますので、それを削ることで対応が遅くなるとすれば入れておいたほうがいいということだと思います。
ほかにいかがでしょうか。
【來生委員】 もう一つ、第6章のタイトルなのですけれども、「海洋環境に配慮した海洋開発・利用、沿岸防災等に向けた施策の展開」となっています。これはある意味で好みの問題なのかもしれないのだけれども、保全委員会の立場からすると、むしろ海洋環境の配慮というのが重点であるとすれば、これも若干順序を入れかえて、「海洋開発利用沿岸防災等に関する」か「おけるか」はわかりませんけれども、「等に関する海洋環境に配慮した施策の展開」というほうが、力点の置きどころが「海洋環境への配慮」というところに移るのではないかという気がいたします。
【磯部主査】 ご指摘のとおりです。そんなことで順番を逆にするということを考えさせていただきましょう。
ほかにいかがでしょうか。
伊藤委員から、最後のところで目次についてもご意見をいただいていますが、これはいかがでしょうか。
【伊藤委員】 これは総合的に見て、同じ課題が2回ぐらい出るところもあって、大変書きにくいところがあったのかなと思って、必要があればまとめられるほうで目次を多少変えて書きやすければ、そのほうがいいのではないかなという意見で、こうするべきだということでもないのですけれども。比較的同じような課題が2回ぐらい出ているところもありますので、最初の目次立てに何もそう、書きにくければ抜くというか、まとめられてもよろしいのではないかという意味です。
それから、今も話題になりましたけれども、「当面取り組むべき課題」をスクリーニングして、図面で抽出するという作業されたわけですけれども、ここにある図の4.2−1、ここに書かれている課題と後から出てくるのと必ずしも整合していないわけです。
【磯部主査】 1対1でない。
【伊藤委員】 1対1でないので、これは思考の過程としてこういうことがあったということだけれども、最終的なレポートで、これがふさわしくないといったら語弊がありますけれども、ややほかの文章で書かれたところと合わなければ、こういう思考をしたということで、なくてもかえって理解が進めばなくてもいいのかなという感じで、エキスパートジャッジメントという言葉が入っていますので、もうエキスパートジャッジメントの結果だけがこう出ても、ここはこういうリーズニングがなくても、いいといえば、わかりやすいといえばいいのかなという気がしましたけれども。
【磯部主査】 では、前半については、こういう目次立てで書きにくいならばというお話だったので、後で1章ごとに議論しますから、それで、どうも組みかえをしたほうがいいという話になればまた考えるというようなことで受けとめていきたいと思います。
それから、今の図についてはいかがでしょうか。これは事務局でかなり野心的にというか、つくっていただいた図で、この委員会でも大分議論を進めてきたもので、おそらく率直なところとしては、こういうのがあるとわかりやすいけれども、けちをつけようと思えばいくらでもけちがつけられるという、おそらくそういうことなのだろうと思います。
皆さん、どうでしょうか。
【高橋委員】 これは後ろに述べられている内容がこの中に盛り込んでいればいいと思います。ですから、1対1で対応する必要はなくて、ただ、後ろに書かれていることが盛り込まれていないと困るという視点で。
【磯部主査】 そういう意味では私が見た限りでは、この中のものから選んで記述がされているという位置づけで、この中でも取り上げていないものもないわけではない。
【高橋委員】 そうです。それを入れるべきである。
【磯部主査】 済みません。逆にこの図に入っていて文章に入っていないものは構わないのです。では、そういう方向で再度チェックをして。
【田中委員】 この図は大変結構なのですが、私がひっかかるのは、「海洋環境問題の人為的要因」、環境問題というのは、人為的に引き起こされた問題を環境問題とはっきり定義されていて、例えば自然に起こる自然災害は環境問題ではないと我々は理解していて、だから、人間がかかわって起こってくる不都合な問題が環境問題。だから、環境問題というと、「人為的要因」というのは要らないと思います。
【磯部主査】 表現をどうしましょうか。
【田中委員】 表現だけの問題です。
【磯部主査】 「要因等」というと、何か寂しいですね。
【田中委員】 表現を工夫していただいたほうがいいのではないかという気が。
【磯部主査】 そうすると、大筋としては、おそらくこのように書いてしまうと、とにかく現象は、実際は複雑なのだから、ここがおかしいという意見は多分出るのだろうと思いますが、ただ、野心的な試みとしてこういうものを示したい。いろいろあるのだろうけれども、この委員会として整理してみたらこうなりましたということで、委員会あるいは私が主査で矢面に立てというなら、私がディフェンスをするということを前提にして、こういう図はつくる。ただ、できたらディフェンスをする前に委員会の内部でももう少しリライズをしておきたい。今、田中先生からご指摘があったような人為的ということもそうですが、ほかにいかがでしょうか。
【田中委員】 この並べ方、少しおかしいですね。「人為的要因」「環境負荷要因」、全部人為がもたらすものが環境問題で、それは環境負荷である。環境負荷がかかるから、環境問題が起こってくる。だから、この分類を変えて、ストレートに書いたほうがいいのではないでしょうか。
【來生委員】 私みたいに法律をやっている人間にとっては、こういう分け方というのは非常にわかりやすいというか、ある意味でこの図を見ていると、研究のヒントが出てくるような気もして、要するに人間がやっていることと、そこから出てくる要因と、それで結果という自然科学の目から見ると違う整理があるのかもしれないのですけれども、社会科学系の人間から見ると、ある意味で非常にわかりやすい絵になっているなという印象が私はありまして、なかなか難しいなという気がするのですけれども。
【磯部主査】 これは田中先生、変えるとすれば、どんな変え方があるかというのはありますか。箱の中にどういう言葉を入れるかという問題。
【田中委員】 そういう問題なのですね。
【磯部主査】 では、後でお気づきになりましたら意見をいただくことにして、図は、來生先生の意見もいただいたので入れる線で考えるということにさせていただきます。
私のほうも目次について言っていますが、目次を変えようということではなくて、少し気になったのは9ページの「基本理念」で、あと、10ページにかけて「ビジョン」という言葉が出ているのですが、実は具体的なビジョンというのがここではあんまり記述されていなくて、むしろ5章30ページ、「健全な海洋環境とは」というところにかなり具体的な「健全な海洋環境」が記述されていますので、こんなところもあるし、それから、35ページの6章のところは比較的簡単に、さっきの章の名前を変えるという話、ひっくり返すという話にしましたけれども、そこのところが書いてあるので、できたら提案としては3.1の「基本理念」を書いたところで、5章、6章を参照する格好で、5章、6章に書いてあるとおりという意味の参照かもしれないし、あるいは5章、6章の短いフレーズだけを取り出して、それで10ページに入れるということか、どちらかぐらいで、理念についても具体的にかなりこの委員会で議論しましたということを前半に書いてはいかがかと思います。そんなところで扱わせていただきます。
それでは、あと、順番にやっていきたいと思いますが、全体についてはよろしいですか。
では、全体についてはこんなところで考えることにして、「はじめに」にはいかがでしょうか。「はじめに」なので、1章、何かありますか。もしよろしければ、第2章。後に戻るのはいくらでも結構ですし、先も先走りでも結構ですので、大体2章ぐらいのところ、「取り組みの動向」、これは現状を書いていただいたということなので、何か忘れていますよというご指摘があれば、また後日意見をいただく機会もつくりたいと思いますから、そのときにお願いします。
それでは、3章、9ページからですが、「海洋保全に関する基本的考え方」、ここは大分この委員会でも第1回、第2回と議論をしてきたところではあります。ご意見、いかがでしょうか。
【田中委員】 まず、3章、最初のページ、9ページの下から2番目のパラグラフに「海洋に係わる環境問題は」と、ここでうたって、3行目で「地球温暖化やオゾン層破壊等の地球規模の環境問題としての側面を有しているが」と書いてあって、地球環境問題というのは、地球温暖化問題あるいはオゾン層破壊問題、そういう地球規模の環境問題。
今度、先へ飛びますが、13ページを見ていただきますと、また「地球環境問題」というのが出てきて、「地球温暖化、気候変動、オゾン層破壊」と書いてあって、海洋環境というのは地球環境問題と非常にかかわるけれども、別の問題という認識になっているように見えるのです、何となく。地球環境問題とは何かというのは国としての見解がありますね。その中には、海洋汚染というのは9つの問題があって、地球環境問題である。その中に海洋汚染というのは1つの重要な地球環境問題として位置づけられているから、この辺を整合的に書いたほうがいい。
【磯部主査】 まず、1点としては、海洋環境の問題は地球環境問題そのものだということですね。
【田中委員】 そうそう。海洋環境は地球環境問題そのものなのだ、ただ、ほかの地球環境問題とも非常に深くかかわる、そういうようにすれば、より主張がはっきりして、強くなる、そういうことではないかと。
【磯部主査】 では、文言についてはまた私と事務局で相談をさせていただくということで、もしすぐご提案があれば文言についてもご提案いただきますが、とにかくご指摘をいただいたということにして、そのご指摘は全くもっともだということにしておきたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。それでは、どんどん前に戻って結構ですので、4章あたりから重点化と、今回黒丸で書いたものが施策ということで幾つか書いてありまして、この辺から第3章をはじめとしてトップダウンで理念から始めて、ずっとだんだん具体化をしてきて、やはり最終的には施策という、特に行政の方々がやられる活動というか、事業というのか、そういうものと関連をさせてくるので、だんだん絞り込みがなされていくということで、いろいろご意見があろうかと思いますので、ぜひ積極的にお願いしたいと思います。
【田中委員】 25ページ、4章、4.4.3「二酸化炭素等の海洋隔離による生態系の影響」、これは火力発電所等の二酸化酸素を分離回収して、海へ捨てる。かつてこの話は非常にされた。通産省はうんとお金を出して、各電力が何百億円のプラントをつくって、火力発電所の煙突のCO2を抽出する。それをどうするかという捨てるところまでは行かなかったのですけれども、今、全部、撤退しましたよね。通産省のお金も一銭も出ていない。電力会社はあんなものは我々、やりません。なぜやらない。あんなもの、金がかかって冗談じゃない。もともと初めから当事者に聞いてみたら、当事者はこれを温暖化対策。国はそうやって資金は出すかもしれないけれども、電力会社が地球環境問題に対して積極的で、やっていればいいイメージになる。そうですよ。だって、国からは資金がおりてくる。それでいろいろな技術オプションが得られればいいという考え方も当事者はあった。実際問題として、そういうことをやっている国はほかにはないです。日本しかない。実際、今、ほとんどさめたように思います。この問題は終わった、今のところ。私の認識ではそうです。
ところで、こんなに強く書いていいのかな。ここで少し和らげたほうがいいのではないか。これが将来の温暖化対策の有力なオプションとして注目されているという状況には少しないと私は認識しています。この問題は依然として検討しておく必要はあると思いますけれども、あんまり強く書かないほうがいい。もう少しぼかしたほうがいい。一般的な問題として定義したほうがいいのではないか。
【難波委員】 例えば製鉄会社がそういうものの投資をやめたとか何とかという話は、必要性を感じないということよりも、そういう活動が企業のメリットに返ってこないからやめたということだと思います。そういう活動をすることによって税制のインセンティブを与えるとか、そういうことにならないと、ガスを除くということは、一般的な生産活動の中で商品価値のない仕事ですね、商品価値として売れない。そうすると、企業に責任を持たせるということは、インセンティブがないと当然ながらやらないです。そういう問題ではないかと思います。
【田中委員】 それから、実際問題として、1つの火力発電所から出る二酸化炭素ならそういうこともできるかもしれませんけれども、今、人間が出している炭素、何十億トン、80億トンも出しています。二酸化炭素としてはとてつもない300億トンに近いものを毎年出している。そんなものを処理して、二酸化炭素を抽出して、捨てるところがないから海へ捨てる。そんなことをしたら、もうそれだけで今までやっている人間活動と匹敵するような人間活動になってしまって、化石燃料もほとんど燃料としての価値がなくなってしまう。
【難波委員】 そうでしょうね。ただ、海洋隔離という問題は、全部そういうものを海に捨てるというのは多分不可能だと思います。
【田中委員】 僕は反対ですけど。
【難波委員】 海の収容能力そのものもオーバーしてくるでしょうし。だけど、そういう一般産業問題で、例えば自動車のNOxの問題とかディーゼルをやめるとかという問題は、消費者に負担をそれぞれしていくことになるわけです。自動車を買う人が負担する、そういうものをしていくことになるのですけれども、一般のそういうものではない、例えば製鉄みたいな話とか、そういうものになると価格に転嫁できないものはやらないと割り切るというのが企業には出てくるのです。だから、自動車とかいろいろな個人生活のものというのは、個人それぞれがみんな満遍なく負担する形をつくれるから普及できると思いますけれども、一般の産業活動のそういったものというのは、どうやって促進するかという手段がないと、海洋隔離と別問題ですよ。例えば炭酸ガスを落とすために石灰とまぜて炭酸カルシウムで落としていく。これは確かに今やっているわけです。そのうちに炭酸カルシウム、一体どうするのかということになってしまいます。企業価値のないもの、一般的なものに対する活動というのは、何かの形で国が1つのインセンティブを与える活動をしないと、減ってこないのではないかと思います。
【田中委員】 それは環境経済です。全部それは受益者に、完全にそうしていかないとだめです。受益者側が全部負担する、そういう仕組みにしていかなければいけない。
【難波委員】 ただ、海洋隔離は全部やり始めると、多分収容能力をオーバーしてしまってどうしようもないです。
【文部科学省】 確かに田中先生おっしゃるように民間企業のインセンティブは若干ダウンしている点があるかもしれませんが、特にこの間、炭酸ガスの国としての排出目標が決まってきた関係で、経産省としてはかなりこれを政策としては重視しておりまして、ただ、民間にインセンティブを与える点とか、そういうところはまだ十分でない可能性はありますけれども、政策としてはかなり経産省の推している、かなり大きな施策の1つなのです。ですから、表現は若干、検討するところはあるかもしれませんが、特にこのオプションとしての検討がまだ十分でないところはもちろんあるのですけれども、これが1つのオプションであるというところでは、オプションであるという状況ではあると思います。
以上でございます。
【高橋委員】 確かに私も海をやる人間として、海に二酸化炭素を捨てるというのは基本的には反対なのです。ただし、ご存じのように二酸化炭素の削減というのはなかなかうまくいかないです。一番とりやすいのが火力発電所で、僕の記憶では3分の1ぐらいの二酸化炭素が火力発電所から出てくるという、かなりとりやすい位置にある。それが1つ。
もう一つは、海が吸収するのですけれども、出すのが速過ぎて、吸収するのが、時間差がついてしまっているということで、オーバーシューティングという現象が起こっているわけです。オーバーシューティングを人間の手でもって海にまぜてやる。それは均一にまぜられれば一番いいのですが、そういうことができないので、一応中心層に入れるということを考える。
それから、確かに日本が今、イニシアチブをとっているわけですけれども、ほかの先進国は地中隔離という方法を持っているのです。日本の場合は、地中隔離は不可能ではないのですけれども、非常に難しい。同時にやっているのですけれども、まず、海洋隔離というものの可能性を世界に先駆けて検討するというので、経済産業省は今年度までかなりの金額を投入して、7年間計画でやっています。
それから、それはぷつんとやめるのではなくて、まだ結論が出ていないので将来にわたってもやりましょうという形で意欲的にやっているというので、研究要素としては十分にこれはやるべきだという気はいたします。
【磯部主査】 そうすると、必要であれば現状を把握するという意味で、行政の動向というのはよくおわかりになるのでしょうから、例えば電力中央研究所でこういう海洋隔離についてどのぐらい技術的に研究が進んでいるかとかいうこともヒアリングをした上で、このトーンをどの程度のトーンで書いたらいいかということを事務局で考えていただいて、それで必要があれば、田中先生のご意見などで修文をするということを考えましょうか。そんなことでいかがでしょうか。
【田中委員】 私はそんなに強くなくて、例えば将来の有力なオプションとして注目されている。「有力なオプションの1つとして」とか、そういう言い方が必要だと思う。あんまり強くこんなことを書く状況でもないかということです。
【難波委員】 全般について1つお伺いします。メールで送っていただいたものをざっと見たのですけれども、網羅的に1つ1つの案件がきちんと全部挙がっているということに対して異論は全くないのですけれども、全般的な印象として、では、どこがどういう総合的な取り組みをしていくのかというのが非常にわかりづらいのです。あちらこちらに、例えば総合的な取り組みが必要だとか、各省庁の連携が必要だとかいうのはあちこちにはあるのですけれども、逆に言うと、書いているところだけがそうかという印象になるのです。だから、海洋の問題というのは、人間の活動とかいろいろなものを全部ひっくるめて結果として出ている問題なのだから、これはもともと総合問題なのでしょう、多分。だから、従来の取り組みと違って、海洋というものに対して国として施策としては何か変えるべき点があるのではないか、本来。それが何となくこの中であるのか、海洋開発のこれは保全の答申の一部ですから、例えば利用とか、後書きのところに出るのかわからないのですけれども、もう少し総合的な取り組みというものに対して、国の施策はこう変えていくべきではないかというものが欲しい気がするのですけれども、どうなのでしょうか。
【磯部主査】 伊藤委員からも組織ということでご意見をいただいたかと思います。内湾の問題ですか。組織をどうするのかというような。
【伊藤委員】 あれは、東京湾蘇生プロジェクトの推進などがあったので、もしそのようなことが気になるのであればどのようにするのか、提案したほうがいいのではないかという、たまたまそこの1フレーズに対するコメントでした。おっしゃるように、だれが主体になってやるのかということであって、誰でもできるという表現で、行政はそのほうがやりやすいのかもしれないけれども、なかなかはっきり提案するというのは難しいところがあるのでしょうね。
【難波委員】 例えばこういう組織をつくれとか、それは言い過ぎだと思いますけれども、少なくともいろいろなところに少しずつ、「総合的取り組み」ということは入っているところ、入っていないところがあるのですけれども、だけど、基本的には全部「総合的な取り組み」のはずなのだから、従来と違った取り組みをするべきであれば、それをきちんとした答申としては出すべきでないか。どういう組織でやるかはまたお考えいただいたらいいのですけれども。
【文部科学省】 実はそれはこの保全だけではなくて、特に利用のグループの検討で、体制問題というか、体制の構築、海洋政策全般を推し進めるに当たっての体制をどう議論するかというのが大きな議論になっていて、今、検討しているところでございます。検討の方向はまだ具体的になっておりませんけれども、ですから、この答申の中では、1つ、そういう議論がまとまって出ると思います。
【難波委員】 それで結構です。
【田中委員】 この文章というのはオールジャパン。文部科学省だけではないのでしょう。
【文部科学省】 もちろんオールジャパンです。
【田中委員】 オールジャパンですね。文部科学省としてはとてもではないけれども、実力がなくて手がつかない。そういうことをいっぱい書いてあるから、これはオールジャパンでいいでしょう。
【文部科学省】 そうでございます。
【田中委員】 わかりました。
【文部科学省】 予算規模で言うと、研究開発の大体10倍ぐらい、港湾ですとか水産ですとか沿岸ですとか、そういう予算がございますから、その中で研究開発というのは大体10分の1ぐらいです。
【磯部主査】 伊藤委員からも先ほどご指摘がありましたけれども、私も有明海の問題などに取り組んで、いざ問題が起こったというのですけれども、それで何か答えを出せと言われてもデータが全然ない。では、だれが有明海をずっと見てきたのかというと、もうばらばらで、全然まとまってないのです。そういう1つの有明海何とか何とか機構で、東京湾の蘇生と言うのだったらば、東京湾のモニタリングをやり、そして分析をし、対策を打つようなことを総合的にやる協議会のような組織とか、そういうものがないと、実際には全体のことが考えられない。しかも、東京湾のことをやろうと思ったら流域のことを考えなければいけませんから、陸域から全体を見なければいけないわけです。
組織というのは緩い結合もあるし、密な結合というのもあるし、いろいろな形態があり得るとは思うのだけれども、それなりに全体を見るところがないと、結局は有効な効果的なものになっていかないので、希望としてはぜひそういうものが入るといいし、現実に必要ではないかという気がするものですから、難波さんのご指摘も全く私もそのとおりだと思うし、その辺のところを、実はレポートとしては、黒丸は比較的実現しそうなところが書いてあるという色分けがあるので、書き方としては黒丸に至る前の前文みたいなものがそれぞれついていますから、そういうところでそういう機関というか、組織というか、あるいは組織とまできつく言わなくても何か連絡調整をする必要があるとか、そういう書き方もあるだろうし。
【伊藤委員】 東京湾をどうするかね。17ページに書いておりますが、一番上に「沿岸域の総合管理の推進」というのがありますね。そこに「計画策定のための指針(平成12年)」とありますけれども、実際に総合管理計画というのがいろいろなところで立ち上がっているのですか。
【磯部主査】 今、ことしは、伊勢湾の知多半島の奥あたりをケーススタディーのサイトとして、新しい名前は国土計画局に、そこといろいろな省庁が入ってケーススタディーをやるというフェーズには入ってきていると思います。
【來生委員】 私も今の問題は非常に重要な問題で、全体で組織の問題を検討されるというのだったら、それはそれなのですけれども、ここでも「基本理念」の例えば9ページの最後から10ページの頭にかけて、「海洋に係わる環境問題は」とか「今後、人類が」云々というところにそういう趣旨のことが、「理念」のところで環境の問題というと、特に総合的にいろいろアプローチしていかなくてはいけないということ。先ほどご説明でも「総合的アプローチ」はキーワードだというお話もあったし、そういうことを踏まえると、「基本理念」のところでも触れておいていただいたほうがいいのかなという気はいたしますけれども、場所がどこかということはご検討いただければいいのだと思います。
【磯部主査】 「基本理念」の中で「総合化」というキーワードが入るような、そういうことですね。
【來生委員】 ええ。
【磯部主査】 解決するためには総合的な取り組みをしなければいけないとか、そういうニュアンスですね。
【高橋委員】 細かいことになってしまうかもしれないのですが、28ページの先ほど座長がおっしゃったモニタリングの問題なのですけれども、もう一歩突っ込んで、モニタリングは結構、水産試験場とか何かが出やっているのですけれども、使おうと思うとレベルがばらばらなものですから、ただみんなで集まってもだめなのです。ですから、それをどうするかというのは非常に難しいのですけれども、ある程度使用目的みたいなものを例として挙げると、データの精度というのも、それにおのずと引っ張られて決まってくるのではないかと思いますけれども、ただ一緒にやりましょう、集まりましょうというだけでは何もうまくいかないという気がしますので、突っ込んだ書き方をお願いします。
【磯部主査】 何かプラットホームみたいなのが要るということですね。
【高橋委員】 ええ。
【磯部主査】 そのほか、いかがでしょうか。
【田中委員】 32ページ、2つ目の丸の「適正な漁獲等の推進」、ここに書いてあることは何のことかわからない。「漁獲は本来、環境改善のための事業ではないが、海域で生産された生物を陸域に取り上げる活動でもあることから、海域の栄養塩類や有機物の削減に寄与するものである。このような点も考慮し、水産資源の適切な保全・管理を図りつつ、今後とも適正な漁獲な行う。」適正な漁獲は、少なくとも資源の保全という意味からも不可欠ですね。こんな回りくどいことを言わなくても、漁獲は結構、乱獲だけではなくて、海洋環境等を劣化させている面もあるのです、漁獲そのものも。
【磯部主査】 漁獲そのものが劣化させている……。
【田中委員】 例えば今、世界的に問題になっているのは魚をとる網を捨てる、釣り道具の天蚕糸で、渡り鳥なんかはみんな惨めな状態になっている。あるいは船の廃油を捨てる人もいる。だから、漁獲は非常に……。これ、やはり回りくどくないですか。こじつけているように僕はどうしても思える。
【磯部主査】 なるほど。わかりました。これは書いた趣旨から言うと、内湾のことがかなり頭にあるわけですね。
【文部科学省】 そうです。
【磯部主査】 内湾でこれだけ負荷があって、あるいは栄養塩が河川等から供給されて、その栄養塩を取り上げるという形態が海水交換で外海に出るか、鳥が食べて出て行くか、人間が魚をとって取り上げるか。人間が魚をとって取り上げる分も随分大きいよ。ノリを養殖して、ノリが栄養塩を吸い上げてしまえば、有明海の水質をよくするのに随分効いているではないか。こういうことが頭の中にあるわけですね。回りくどいという話ですね。
【田中委員】 魚がとれなくなっています。既に。魚がとれなくなって、鳥が来てすめなくなる。物質循環的な観点から書くより、ここはもっとわかりやすく書けるのです、ずばり。この書き方ではみんな納得しない。
【文部科学省】 表現については検討させていただきます。
【磯部主査】 これは、その趣旨が伝わるようにしましょう。しかも、今ご指摘があったようなマイナスのインパクトというのも、ここで書くにはふさわしくないかもしれないけれども、それは頭に置いておかなければいけない話であります。
【高橋委員】 同じ32ページになりますが、その上の「人工干潟・藻場造成の推進」という項があるのですが、「人工海浜、干潟の造成」「人工藻場の造成を行う」と非常に簡単に書いてあるのですが、これは非常に難しいことだと思います。ですから、今できる技術というのは、できやすいところをよりできやすくするぐらいだと思います。そうではないと、非常に単純な人は、もう人工海浜をどんなところでもつくってしまうという発想をしてしまう部分も出てきますので、ここは慎重に書いていただいたほうがよろしいのではないかという気がします。
【伊藤委員】 今の32ページで、魚をとるというのは、乱獲というのが出てきましたけれども、前に環境負荷要因として養殖漁業というのが出ているわけです。漁業を言うのでしたら、内湾の養殖漁業が与える負荷というのももう少し指摘しておいたほうがいいのではないかという気がするのですが、いかがでしょう。魚をとるばっかりではなくて、養殖も意外に大きな負荷になっているという指摘をいろいろ。
【難波委員】 どこかに入っていなかったですか。読んでいて、記憶があります。どこかにありましたよね。
【文部科学省】 負荷要因のところに記述しています。表4.2−1で、「海洋資源の開発」の下の「水産資源の乱獲・混獲」、それから「栽培漁業・養殖」というところですね。「水産資源の枯渇」のほうにも当然、現象のほうにも線を引っ張ってありますが、上のほうの「栄養塩類」とか「有機物」のところに、それを表現しようとしているのですけれども。
【磯部主査】 それは13ページの文章ではないのだけれども、箇条書きみたいなところに入っているということですね。
【伊藤委員】 それから、同じ漁業の36ページのほうは、これを読むと、養殖業を推進するというように、「資源管理型漁業の推進」というところで「養殖業や栽培漁業」云々とあって、最後は「を推進する」となっていますね、「今後推進すべき取り組み」として。どちらかというと乱獲を防いで養殖漁業を推進したり、栽培漁業をしたりというのは、1つは水産資源の、資源そのものを議論しているように聞こえるのですが、ここのレポートは本来、海洋保全という意味で言えば、ほんとうに栽培漁業をただ推進していいのかということで、やや矛盾があるのかな。その辺は、栽培漁業や養殖漁業をするにしても、海洋保全という面で少し議論しておいたほうが、ここは大分矛盾があるのかなという感じがするのですが。
【高橋委員】 僕も伊藤委員と全く同じ感じで、養殖業や栽培漁業の前に、今の海域を汚染しないような配慮とか、あるいはもう一つ、別に出ています「生物多様性を攪乱しないような配慮を十分した養殖業や栽培漁業を」というように入れればいいのではないか。
【磯部主査】 それはぜひ加える方向で考えましょう。小川委員がきょういらっしゃいませんが、通常、問題になっていることでもありますので。
ほかにいかがでしょうか。
【田中委員】 今のお話を聞いていて、海洋環境の一番重要な1つの点は、海洋における生物多様性の保護ではないか。要するに魚をとり尽くすことや、いろいろ人間活動で、魚だけに限りませんけれども、生態系がおかしくなる。これを保存するという観点から言うと、まさにそれこそ養殖業とか管理された海からの自然からくみ上げるやり方を考えていかないと、海の生物多様性を守れない。一言、生物多様性というのはここには書いてないみたいですね。
【高橋委員】 ですから、今、入れていただこうという。
【磯部主査】 ぜひ、入れましょう。生物多様性ですね。
【高橋委員】 33ページの一番上の「陸域からの発生負荷の削減」というところで、総量規制とか排出規制によって汚濁物質の流入規制云々ということはあるのですけれども、今、日本で一番問題なっているのは一般家庭から出る汚染なのです。これが多分一般家庭の皆さんに徹底するのは難しいから、下流で処理しようという形で、2番目の「高度処理技術の導入等を」という下水道を完備して高度処理技術を導入する。つまり2次処理を3次処理にしようということだと思いますが、これはイージーですけれども、ものすごくお金がかかるし、まずい方法だと思います。ですから、これはやるとしても一番の対策は何かといったら、一般家庭から出さないということを法規制や何からをソフトの部分でやるということが本質だと思います。これは多分厚生省から出ていることだと思いますけれども、ごみ問題で失敗しているところをまたここで結局、ごみ問題は、ごみはコントロールできないと思って、結局、出てしまったものを処理しようというので、高温焼却になってしまったのです。でも、ヨーロッパはそうではなくて、出すところを抑えたということで、それでダイオキシンのレベルが数ピコモルから今、日本の400ピコモルというその格差ができてしまったという非常に本質的な問題だと思うので、こっちの上のほうをもっとしっかりと書いていただいて、高度処理技術というのは黙っていてもやるのですから、こんなことはあんまり強く言う必要はないと思います。
【磯部主査】 わかりました。
ほかにいかがでしょうか。
【国土交通省(岡部室長)】 先ほど高橋委員から、32ページの「人工干潟・藻場造成」の関係でご指摘いただきまして、ありがとうございます。現在、既に港湾整備事業などで実事業を実施している箇所はあるはずと聞いております。ただ、ご指摘を踏まえて、今、書いてある安定地形、潮流、波浪といった形で条件づけされているかどうか、事務局とご相談しまして、改定すべき点があるかどうか少し検討させていただきたいと思います。
【磯部主査】 全部とにかく議論が進んでいますので、7章、8章、全部含めて結構です。
1つだけ片づけてしまいますと、きょうの参考の4−2で、「『4.1 海洋環境問題とは』に関し、水産資源の枯渇については、海洋資源開発のみならず、汚濁物質の流入による水質悪化等によってもたらされるものである」ということなので、その辺も考えてほしいという要望が来ていまして、12ページで見ますと、これを字面だけで読むと、3行目ですが、「および海洋資源開発による水産資源の枯渇」とつながってくるので、これが乱獲だけで水産資源がなくなったと見えますから、表現は確かにこれはそれだけではなくて、水環境全体が悪化したので水産資源が枯渇した、減少してくるということも当然あるわけですから、それが読めるような格好で、例えばこれがベストであるかどうかわかりませんが、「海洋資源開発による」、そこで「水産資源の枯渇」はとりあえず除いて、「……開発による水質汚濁・生態系の変化等およびその結果生じる水産資源の減少」とか「枯渇」とか、そういう格好にして、「水質汚濁も水産資源の減少」ですか、「枯渇」というのは全くなくなるという意味ですから、「減少につながっています」という表現に修文をさせていただきたいと思います。
あと、全部含めてどこからでも結構ですので、お願いします。
【高橋委員】 37ページ、「生分解性プラスチックの開発」なんですけれども、確かに世の中ではプラスチックは分解しないで困るというのが何となく問題となっているのですけれども、あれがもし分解したらもっとすごい問題が起こるほうが僕は大きいと思います。1つは分解産物が出るということと、分解するとんでもない生物が増えるということになってしまって、それはまた大きな問題を生んでしまう。ポイントは何かというと、プラスチックの使用を限定するとか、そういう方向が本来であって、生分解性プラスチックを営為に開発するというのは非常に間違ったことだと思います。ですから、少しこの辺のトーンをお変えいただいたほうが私はいいと思います。
【磯部主査】 意見をどんどんいただきたいと思います。いかがでしょうか。
【国土交通省(岸田海洋開発官)】 実は、伊藤委員のご意見ペーパーの中で、2ページ目の下から2番目のパラグラフで、問題のスクリーニングの範囲の中で、油流出の話について「顕在化していないとは言えないと思う」と、こういうご意見をいただいてございます。もしお時間が許せば若干ご議論いただきたいと思っております。ちなみに、国土交通省の中でこの問題のスクリーニングに関しまして、ここで何が顕在化していないかというところの客観的な物差しというのは議論の俎上には上がっていなくて、ここではエキスパートジャッジということになったものですから、それ以上の議論は事務局との間ではしてはいないのですけれども、ここの点でご意見があるものですから、もしご議論がいただけるようであればそのフォローをいただけられればありがたいと思っています。
【磯部主査】 では、伊藤委員からその趣旨をまた。
【伊藤委員】 今度の22、23ページでは、油流出の汚染について適切な予防措置をこんなことをやろうというのが述べられているので、よろしいのではないかと思います。前回は表現のニュアンスが違ったのかなという気がして、そういう意味で汚染が、油流出があるという前提でどういうことをすべきかという議論があればよろしいのではないかと思います。
ただ、例えば東京湾の中でタンカーが破れたというようなとき、一体どういうシミュレーションになるのかな。だれが指揮をとって、あるいはいろいろな企業や行政の持っている油の処理船であるとか、そういったもののデータベースがあって、それがすぐ共同して作業できるような状況になっているかどうかがよくわからないのですけれども、そういうのはあるのですか。例えば東京湾の中で何か事故が起こったときに、大きな事故が起こったとき。今まで幸いなことに、ある製油所で油が漏れたとか、そういうことしか聞かないのですけれども、多量な油が流出したときに東京、千葉、神奈川の自治体とか、あるいは保安庁とか、いろいろな行政が即応できる体制というのはあるのですか。
【国土交通省(岸田海洋開発官)】 私の知る範囲でお答えいたしますと、例えば東京湾というのは、海上保安庁の第三管区海上保安本部の所轄区域になっていまして、ここで第三管区としてのもちろん行政としての即応体制があるわけですが、さらに自治体との間では排出油防除協議会という組織があって、そこで官民を含めた関係者の連携体制というのは既にございます。あと、例えば石油公団さんの組織立てとか、そういったところの対応もあると伺っております。
【磯部主査】 よろしいでしょうか。
【伊藤委員】 はい。
【磯部主査】 それでは、この場所についてはそんなところでよろしいですか。
ほかにいかがでしょうか。全体を通していかがでしょうか。
【国土交通省(岡部室長)】 先ほど総合管理の17ページの件で、グラウンドデザインに基づきます沿岸域の総合管理計画策定云々という話を伊藤委員から、磯部主査からお話があったところなのですが、これ以外にもいろいろな計画がございまして、例えば国土交通省でも沿岸保全事業指針と、河川局中心ですが、そういうものが今、全体は71あるのですが、そのうちの半数ぐらいができているという状況もありました。これは具体的に何か決定されたとかそういうものではないのですが、そういう面的な計画は沿岸ごとに沿岸でつくっていくという実態もあるということです。それを補足しておきます。
【磯部主査】 ありがとうございます。私の知る限りでも、少なくとも総合的な管理に取り組む方向にものすごくかじが切られているというのはそのとおりではないかと思います。期待できるのではないかと思っています。
【伊藤委員】 もう少し新しい動きを支援できて、こういうレポートとしては目に見えるように書かれているといいですね。
【文部科学省】 既にあるものについては、できる限り記述する方向で。
【伊藤委員】 あるものと、そういう方向性で進めたほうがいいのではないかといって、みんなをエンカレッジするような。
【磯部主査】 国土交通省のほうからも、やっている情報を事務局にお届けください。そんなことも考えて書いていただく、修文していただく。
【高橋委員】 どこで述べたらいいのかよくわからないのですが、日本の場合、環境アセスメントというのがあまりうまく移行ができていないと思います。ただ、日本の私たちの国民性からすると、アメリカでやられているような仕組みが定着するとは思えないので、ただし、これは保全という面からしたときに、そういう姿勢をマニュアルの中に入れておく必要があるような気がするのです。だから、多分7章あたりではないかという気がするのですが、ただ、今のところ、理念みたいなのは書かれていて、このままでは、みんないい、いいと思っても、実際にはできないという感じになってしまうような気がするのですけど。
【磯部主査】 なるほど、そうですね。環境アセスメントのことはどこにも書かなかったですね。
【文部科学省】 アセスの紹介、影響評価法の紹介は40ページのところに若干書いてありますけれども。
【高橋委員】 評価手法の高度化。これは法律の問題とも絡んでいて、非常に微妙なところだと思いますけれども、ああいうアセスメント法が、実質的なアセスメント法が承認されるような土台づくりに貢献するようなものであってほしい。
【難波委員】 まことに変なことを聞きますけれども、今、文部科学省の地球課というところはこの事務局になっていますね。実行に移すときには環境省になるのですか。
【文部科学省】 そうですね、アセスの。
【難波委員】 事務局といいますか、こういう答申が出ましたね。これを国の施策にどうやって反映しましょうといって、例えば環境アセスも含めて、1つの施策に反映していく事務局というのは環境省になるのですか。文部科学省になるのですか。
【文部科学省】 その物事によっても全部いろいろな役所に分かれますので。アセスであれば環境省と経産省だったか。基本的には環境省でやります。
【田中委員】 これは昔の海洋開発審議会でしょう。ということは、総理大臣を含めて関係大臣にずばり建議することができるの? 今、これは答申だから文部科学大臣に答申する、今は。
【文部科学省】 はい。
【田中委員】 だけど、この部会というのは各大臣に直接建議を出せる部会ではないのですか。
【文部科学省】 法律上、各関係大臣からこの部会に対して諮問ができる。
【田中委員】 大臣のほうから。
【文部科学省】 ええ。
【田中委員】 逆。そうなのですか。
【文部科学省】 はい。ですから、それはなぜそういう条文が入ったかというと、要するに文部科学大臣だけではないので、関係大臣からも、昔は総理の諮問機関でしたから、それを受けてそういう条文が入った経緯がございます。ですから、この答申がまとまった段階では、もちろん文部科学大臣に答申するわけでございますが、関係の役所、できれば大臣まで何らかの形で、答申ではないのですけれども、これをご説明できるような機会ができればと事務局としては考えているところでございます。
【難波委員】 私が伺った趣旨は、前回の答申、保全委員会の報告書しか読んでいませんけれども、すべてのものは網羅してあるのですけれども、逆に言いますとモノトーンになっているということなのです。一種のモノトーンで、優先順位があるわけではないですね。喫緊の課題という中にも幾つかあって、どういう形でどう進めるかというのはわからないのですけれども、ここでまずこれを何年度やりなさい、その次、何年度やりなさいと。答申だったらいいですよ。それは非常にはっきりするのだけれども、全般としてやるべきことが網羅されたモノトーン。そうすると、これをだれがどういう順番でやるのが一番、国も経済的なのか、もしくはやりやすいのか、そういうものをだれがやるのかなと思ったのです。それが地球課なのか環境省なのか、どっちなのだろう。
【文部科学省】 それはものすごく幅広く多岐にわたってきますから、どこか1つの役所、1つのセクションができるというものではないと思います。
【難波委員】 それはよくわかるのです。基本的に施策はこのうちの建設省はこれをやる、文部科学省はどんな研究対策をやる。これはそれぞれの部署の話でわかるのです。だけど、海洋の問題というのは、もともと複合問題を扱っているのですね。だから、逆に言うと、各省庁みんな入るわけです。という問題を答申するということは、今度の答申をだれが受けるのだろう。総理大臣しかいなくなりますね。私が申し上げたのは、若干、どうできるということは難しい、それはわかるのだけれども、複合した問題を扱うのだから、これはそういう問題に対する体制というのを整備するべきではないかとか、そういうことを答申としてやるべきではないかと言ったのが最初の私の質問なのです。すぐできるとか、できないというものではない。この中の例えば読んで、ああー、建設省がこれをやるべきだ、ああー、これは国土交通省になる、あっ、これがおれのところの問題ととらえる問題ではないのではないかなと。
【文部科学省】 そこは体制問題と、この答申が出された後にどうフォローアップしていくか。その体制になるわけでございます。それについても今、議論は一応しておりまして、答申の中にどのように書くか。非常に重要な問題であると思いますので、多分そこは利用部会のほうから何らかのものが出て、それを踏まえて答申全体の中でどう書くかということを答申全体の議論の中で、全体委員会で議論していただくことになると思います。非常に重要な問題だと思います。
【來生委員】 私もここで議論しても仕方がないので、むしろ本委員会できちんと議論していただきたいと思いますけれども、今、議論されているいろいろなことは、結局、海洋開発審議会から科学技術学術審議会の海洋開発分科会という組織に省庁改変との関係で、組織が、性格がかなり変わったということに規定されている問題だと思います。こういう組織体制で日本の海の問題全体がうまく取り扱えるかどうかという問題はすごく重要な問題で、それはまさに本委員会のほうできちんと議論していただきたい問題の1つだなという気がするのですけれども、ここで議論しても、まあ、しようがないか。ここはギブンでやらざるを得ない。ですから、できることはできるだけ総合性みたいなものをいろいろなところで生かせるところでは生かした表現をしていただいて、本委員会でどんな議論になるかわかりませんけれども、少しでも全体のシステムがそういう方向に行くような部会からのバックアップをどうするかというところに尽きるのかなと思います。
【難波委員】 どこかで議論していただければいいのですね。どんな形にするかというのは別にして、いわゆる提言だけはどこかで入れていただいたほうがいい。
【田中委員】 オールジャパンとしてベストだというものはつくって、諮問した文部大臣は、この中からまず、文部科学省としてどの辺を予算化していくか。これは多分文部科学省で到底、研究ですから全然できないということはないと思いますけれども、他の省庁がやったほうがいいと思われることも、オールジャパンだからいっぱい書いてある。同時に、これがいいものであれば、大臣は閣議でこれを説明して、ぜひあれする。そういう手続きは多分あるのですね。大臣、これを説明するでしょう。
【文部科学省】 明示的に閣議で議論するということには今のところなっておりません。これは文部大臣から諮問を受けて、文部科学大臣に答申する、そういうプロセスでございます。そこから後はどうするかというのは、各省庁とも相談する必要があると思います。ただ、明らかに今、いろいろな委員おっしゃいましたように文部科学省だけの問題ではないことは非常に明らかでございますので、それをどういう形でこの答申の中身を固めて、答申のフォローアップについてどう記述して、それから、その答申そのものについて、どう各役所に周知していただくかというのは非常に重要な議論だと思います。
【磯部主査】 私もアメリカのエスチュアリーの環境改善のプログラムをつくるというところで見たことがありますけれども、要はレポートは理想像を示し、これだけのことをやったらよくなるなというところをきちっと示しておく。その上で、予算がついたときにできるところからどれでもいいからとにかく早くやってくださいという言い方なのだろうと思います。おそらくメニューがたくさんあって順番をつけたとしても、その順番を待っていたら一番後で並んでいる人はいつ来るか、順番はわからないので、書いてあるもきでできるもの、予算化されるものはとにかくすぐやってください。ただ、その中には私たちとして喫緊なものとか将来とか、ある程度の区別、差別が若干してあります。だけども、基本は全部すぐやってくださいということだと思います、できるところから。そういうことで位置づけて、レポートとしては、理想的なところをこれだけやったら環境保全のためによくなるというところを書いておくというのが重要かと思います。
【來生委員】 44ページの8.5の「教育及び普及・啓発活動の推進」というところに、私、さっき高橋委員がおっしゃった各家庭での排出ということにどれだけ一人一人の、あまり大量過ぎて、うまく法制度でとらえるのが難しいところを吸収するのはすごく大事なので、こういうところにでもそういうのをできるだけ書き込んでおいていただけたらという気がします。
【磯部主査】 ありがとうございます。
予定した時間を過ぎていますが、何かほかにご意見はございますでしょうか。
【伊藤委員】 私の大変個人的な感想なのですけれども、例えば16ページの下のほうに、沿岸域管理に関する計画に基づいて、関係行政機関が連携して、いろいろ調整するのが不可欠であるということが出ていますし、それから17ページにも、さっき議論になりました総合管理計画というのがありますね。これが中・長期的な云々というより、やはりこういう体制づくりというのが、こういうレポートでも一番喫緊の課題であって、それをベースにいろいろな問題が議論され、今、先生がおっしゃったようにそれぞれの地域でお金があるところから、それぞれの行政なり自治体がやりたいということに手をつけていくというのが実際的なプログラムでしょうね。
そうすると、これは中・長期的というより、みんながひとつ仲よくやりなさいというのが、今の議論をお聞きすると一番喫緊の課題であって、その後のことはだんだん解決できるのかなという気もするのですが、いかがでしょう。これは全体の委員会の中で今度、座長にご議論していただけたらと思いますが。
【磯部主査】 これは「喫緊」という中に「中・長期」という言葉が入っていますけれども、「喫緊」の中ですから、喫緊の中でもそういう体制をつくるのが大事ではないかということをぜひ入れたいし、何らかの形でというのは、先ほど申し上げたように黒丸と、それから、その前文とは多少書き分けてありますから、どちらに入れるかというのは判断をさせていただいて、でも、そういう体制づくりというか、そういうことが大事だということは入れようということで考えさせていただきます。
ほかにはよろしいでしょうか。もしよろしければ、時間が足りなかったので申しわけありません。委員の方々に、より精読していただいて、言い忘れたとか、あるいは新たに気がついたという点について、またご意見をいただきたいと思います。事務局からの案によりますと1月10日木曜日までということでございますので、もしさらにきょうの議論に追加してお気づきのことがあれば、事務局のほうにそこまでにお知らせをいただきたいと思います。
その上で、そろそろ本分科会のほうに持ち込むということですので、この委員会の最終報告については、私主査と事務局で相談をさせていただいて、この案をとらせていただくということにしたいのですが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【磯部主査】 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきますので10日までに、もし意見があったらお願いいたします。きょうあった意見についても、事務局とまた相談をして最終版をおつくりするということにしたいと思います。
○閉会
(研究開発局海洋地球課)