審議会情報へ

科学技術・学術審議会

2001/11/07議事録
第2回海洋研究・基盤整備委員会議事概要

第2回海洋研究・基盤整備委員会議事概要



日時 平成13年11月7日(水)9:00〜12:00
         
場所 経済産業省別館825号会議室
         
出席者
    (委員会)
      小池主査、
奥脇、兼原、木下、平澤、松田 各委員
         
    (専門家)  
      平野海洋科学技術センター理事長
佐藤水路部海洋情報課上席海洋情報官
 
         
    (事務局)
     
文部科学省: 大塚海洋地球課長、渡邊課長補佐
外   務   省: 大久保首席事務官
経済産業省: 本城鉱物資源課長、宮崎海洋資源環境研究部門長
国土交通省: 日当海洋室専門官、大沼海岸室課長補佐
 
         
議題 1 海洋国家日本の国家戦略としての海洋研究・基盤技術の確立について
    2 国際海洋データ・情報交換と日本海洋データセンターにおけるデータ管理
    3 産業技術総合研究所における海洋開発関連事業概要
    3 我が国の海洋研究・基盤整備のあり方について
    3 その他

会議経過
 
○議題1  
  ●平野海洋科学技術センター理事長から海洋国家日本の国家戦略としての海洋研究・基盤技術の確立について説明がなされた。
委員からの主な意見は以下のとおり。
 
海の展示館はあるか。(松田委員)
海の展示館は非常に少ない。海洋科学技術センターでは横須賀のキャンパスに作ろうとしている。また、横浜に地球情報館として海洋や地球のデータをビジュアルで見られるようにする。(平野理事長)
今後10年くらいのタイムチャートをつくり、みんなに知らしめることで理解が深まるのではないか。宇宙では、毛利さんがテレビに出てやっている。(松田委員)
海は宇宙に比べると、非常に少ないお金で世界の第一線になり得る可能性がある。陸上での拠点はいろいろな実験設備を含めてもせいぜい数百億円で全部そろうと思う。(平野理事長)
モニタリング技術を開発し、それを用いてモニタリングを実際に行う場合、モニタリングをやるのか。10年、20年、さらにその先はどのようにお考えか。(小池主査)
例えば、地震の場合、防災科学研究所がK−NETでデータの公開をし、気象庁ともネットでつながっている。海洋科学技術センターでも海底ケーブルのデータを気象庁に送っている。このようにネット化することによって一つの機関でモニタリングする必要性は特にない。
 
       
 
○議題2  
  ●佐藤上席海洋情報官から国際海洋データ・情報交換と日本海洋データセンターにおけるデータ管理について説明がなされた。
 委員からの主な意見は以下のとおり。
 
J−DOSSのようなものは、全部各国が持つのか。
IODEではそれぞれの国で責任を持つということになっている。しかし、インターネットになり、世界中が相手になるので、IODEの世界も時代とともに崩れてきている。(佐藤上席海洋情報官)
データを地域的に割り振るやり方がいいのか、データの属性ごとにナレッジのウエアハウスを持つようにするのがいいか。そのような相談はないか。(松田委員)
一部そのようなことも始められている。各国のデータセンターだけでは能力が足りないので、いろいろな研究機関に手伝ってもらい項目ごとのデータを管理するという形で実施しているプロジェクトもある。それを有機的につないで、データの管理とデータの提供をしていこうという話もある。(佐藤上席海洋情報官)
ナホトカ号の事件のときに拡散シミュレーションを日本が即時にやり、それは世界初めてという報告があった。日本が最初にやってすごく役に立つのなら、そういうシミュレーションを日本は担当するというような分担の仕方もあると思う。(松田委員)
国の政策あるいは対策とつながったデータ収集、利用の具体例、方針について説明いただきたい。また、なぜ海上保安庁の水路部にデータセンターが帰属しているのかということについてもご教示いただきたい。(兼原委員)
日本海洋データセンターは海洋科学技術審議会の旧運輸省にデータセンターを設置するという答申を受けて設置された。また、大陸棚の範囲を確定するための調査のような当面の間、非公開にすべきデータは日本海洋データセンターでは取り扱っていない。各国も基本的にそうで、広く世界中の方々に海洋データを使っていただき、地球の諸現象を解明していただく。しかし、国益にかかわる部分については各国とも非公開にしている。(佐藤上席海洋情報官)
従来いろいろな立場からデータを公開できないという障害がありました。その社会的障害にどのようものがあったかを調査して取り除かないと、幾らデータ公開、あるいは共有、交換といってもこれはなかなかうまく進まないと思う。(奥脇委員)
旧ソ連軍のデータや防衛庁のデータも入手できるようになってきており、海水の物理的なデータにつきましては、どこの国も非公開とはなってないと思う。(佐藤上席海洋情報官)
海洋科学技術センターではデータの公開が原則であるが、海底下の調査に伴って経済活動に関係するデータもある。このようなデータの取り扱いが大きな問題になってくる。(平野理事長)
 
○議題3  
●経済産業省から産業技術総合研究所における海洋開発関連事業概要について説明がなされた。
委員からの主な意見は以下のとおり。
研究ユニットは、センター研究部門、研究系、研究ラボと分かれているが、どのようなカテゴリーで分かれているか。
研究センターは、ある特定の目的のために研究資源を集中投資し、期限を限って目的を達するもの、研究部門は対象分野を中心に継続的に基盤的な研究を行うものである。研究系は研究部門と、研究ラボは研究センターと組織的にはほぼ同じものであるが、部門やセンターほど大規模ではない。
●議題4に先立って外務省から海洋の科学的調査の実施状況について説明がなされた。
委員からの主な意見は以下のとおり。
事前同意は、どのような項目を通報しているのか。また、日本が同意を与える際にどういう点を確認、あるいは審査して、評価した上で同意をしているのか。(兼原委員)
国連海洋法条約に同意を与える場合、もしくは同意を申請する場合、海洋調査の概要として、目的、内容、海域等がある。それから、調査船の概要として、船の名前、船長、トン数等がある。審査については、外務省の中でも調査内容を審査して各省庁送付し、それを各省庁で審査する。(外務省)
こちらから要求を出す、あるいは条項に適合しているものを挙げていても、国の事情によって同意を与えないということもあり得るのではないか。そうした意味でのレビューはどういう手続になっているか。(兼原委員)
海洋の科学的調査は基本的には問題なく許可する。ただし、調査内容・海域等の変更がある場合は事前に連絡させているし、調査終了後、中間報告、最終報告を求めている。(外務省)
基本的には科学的調査は許可を与える、資源調査は許可を与えないということである。最近ロシアから理由なく許可を与えないということがあり、日露科学協定のもとに特別委員会を設置しそのようなことがないように協議している。(文部科学省)
我が国のほうから外国に116件出しているが、だめだと言われた件数は何件ぐらいあるか。(小池主査)
海洋科学技術センターでは2,3年に1回くらいと記憶している。(文部科学省)
海洋研究所では、特にロシア、中国が厳しい。(小池主査)
それは単独調査の場合か。(奥脇委員)
ロシアの研究者を招いていてもなかなかうまくいかない。(小池主査)
科学者レベルで幾ら覚書(MOU)や実施合意を結んでいても、地方政府、政党、中央政府それぞれで見解が違い問題となる。また、国内法の未整備も問題である。(木下委員)
ロシアはモスクワと極東の関係がそもそもよくない。また、連絡も悪いので、情報の行き違いが多くて困る例がかなりある。(外務省)
例えばロシアと日本の国内法の整合性が全くないと不都合が生じることもある。国際的に少しずつでも解決していただければと思う。(木下委員)
 
○議題4  
●事務局から資料2−4−1、資料2−4−2に沿って説明がなされた。
 委員の主な意見は以下の通り。
体制や国防についてはどうするのか。(小池主査)
体制については運営委員会で議論する。国防についても今まで盛り込んでいない。(文部科学省)
どこの国の海洋政策を見ても、海が周りにあることによって国のセキュリティが保たれているということは必ず言う。私は入れてもいいと思う。(小池主査)
海に囲まれており、海は日本の国家安全保障上極めて重要な役割を果たしているというのは全く問題ない。ただ、安全保障を1つの柱とするとき、国家の安全保障と研究の関連で窮してしまう。(文部科学省)
基礎データ、あるいは基本的な調査結果を提供するということは、ここに書かれるべき部分と思う。しかし、国防のための具体的な推進方策は他で審議することだと思う。(木下委員)
防衛庁は調査していないのか。(小池主査、平澤委員)
潜水艦の探知のために水温の鉛直分布を調べている。また、XBTという投げ捨て型の水温のセンサーを日本で一番使っているところは防衛庁である。それから、海底知見の調査もしている。(佐藤上席海洋情報官)
そういうのはここの枠の外であるという意味か。(平澤委員)
防衛庁は関係省庁の枠組みには入っていない。平和利用のための海洋開発ということからスタートしたと思う。(文部科学省)
国連海洋法条約でも軍事利用の問題は規律されてない問題のほうが多い。(奥脇委員)
軍事利用のグループと、純粋科学、応用科学の組み合わさったこのグループとの間で橋渡しがないと、将来的には国税のむだ遣いという問題が出てくると思う。(木下委員)
古くなったデータや技術を海洋科学者に提供いただけるとありがたい。(木下委員、平澤委員)
平和利用に限るというと、防衛庁関係は全然入ってこないのか。(小池主査)
厳密に言うと、今回の諮問の外だと思う。(文部科学省)
本日私の修正案を配布していただいたが、「知る」「利用する」「守る」が並列されていると問題があるかもしれない。また、この基本的考え方は未知の領域への挑戦、保全、利用の礎となる海洋研究と2層になっているような感じで、それに合わせた前書きをつけたほうがいいと思う。さらに、国際協力の枠組みに資料にあるような事項を入れたらどうか。(奥脇委員)
・「守る」と「利用する」は相対立するから、調和させるべきだが、「知る」と「守る」を調和させる意味はないと思う。奥脇委員の提案は、「守る」「利用する」を大前提として「知る」ことがあるという書き方をされており、このほうが頭に入りやすいと思う。(平澤委員)
最近の傾向として、国連海洋法条約が地球大のものであっても、例えば、まず一番近いもので共同資源開発なり共同の漁場を分け合うとか、この海域をどの程度汚染から守るかということは二国間でやり、その後、地域でやるという傾向も顧慮する必要がある。(兼原委員)
研究機関や関係省庁が適切に役割を分担しながら総合的に推進するというところは、もう少しフィロソフィーがないといけない。(木下委員)
人材育成では、大学を独立行政法人化しようとしている状況で、海洋科学の学部や学科が、せめて10ぐらいとか5つぐらいの大学であるべきという提言をしてもいいと思う。(平澤委員)
非常に大事なメッセージを2つか3つ出したいというときに、具体的推進方策は40とか50とか、それ以上になるかもしれない。その中に埋没してしまってわからなくなるかもしれない。ウエートをつけるかどうかの議論もしなければならない。(小池主査)
 
○閉会  
●次回は11月22日午後2時からというお知らせをして閉会した。
 
       

 

(研究開発局海洋地球課)

ページの先頭へ