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科学技術・学術審議会

2002/1/9 議事録
第4回海洋利用委員会議事録



第4回海洋利用委員会議事録
1  日時 平成14年1月9日(水)9:00〜12:00
2  場所 経済産業省別館825号会議室
3  出席者 (委員会)
  吉田主査、
I林、小林、近藤、田代、田中、橋口、平  各委員

(事務局)
文部科学省: 吉田海洋地球課長、渡辺課長補佐、上野山課長補佐
外  務  省: 大久保首席事務官
農林水産省: 松井課長補佐
経済産業省: 本城鉱物資源課長
国土交通省:

岡部海洋室長、大沼課長補佐、宇都開発企画官

4  議題  
1    海洋利用委員会報告書について
2    その他

5  会議経過
○議題1
●事務局から資料4−3−1に沿って説明がなされた。

【吉田主査】    最初にお話がございましたように、これは本委員会での議論、今までの3回の議論、それといろいろな団体、この場合は例えば経団連のアンケート等の結果をできるだけふさわしいと思われるテーマは取り入れられ、またあるいは同じようなテーマの場合に、その表現等についてもいろいろ参考にしておられるように感じております。
  委員の皆様方のご意見は、こういう形にまとまって初めて、新たな感じを持たれる面もたくさんあるはずでございますので、基本的にこれは案と書いてあるように、非常にやわらかく考えさせていただいて、大いにこれをベースに議論、あるいは時間が足りないならば、その後の通信手段等でこれをブラッシュアップして、どこへ出しても恥ずかしくないものにしないといけないと思います。今後の日本の海の利用、開発に際して、国の考え方として役に立つものでないといけないのだと思います。単にこれができたというだけでは、皆さんのご努力が生きないという感じがしますので、きょう、それから今後のこれを見ながらのご議論の考え方として、そのようにさせていただきたいと思っております。その点についてはよろしゅうございますか。そんな基本的な扱い方の話でございます。
  ありがとうございます。それではそうさせていただきたいと思います。
  最初に、資料番号の整理をもう一回させていただきます。あとから配られた資料がいくつもございますので、資料4−3−2まではついていましたが、お話が出た順番で勝手に番号をつけさせていただきますけれども、我が国の今後の海洋利用のあり方に関する意見ということで、経団連の海洋開発審議委員会がまとめられたご意見を資料4−3−3とさせていただきます。橋口委員のお名前で出ているものです。それから小林委員のほうから、先ほどお申し出があって出たものが3件ございます。それで1行目に「第3回海洋利用委員会で提出された云々」とございますものを資料4−3−4とさせていただきます。それから、これは『港湾』という雑誌にお書きになった「社会的存在としてのヨット」を資料4−3−5とさせていただきます。それからもう一つ小林委員が『Ronza』にお書きになっておられる「マリンスポーツの暗闇」というご意見を資料4−3−6とさせていただきます。資料はこれで全部でございましたでしょうか。はい、それでは今のような番号で関連するところで、またご議論していくことにしたいと思います。
  それで目次でございますが、先ほどご紹介があったように1から6までですが、特に4章につきまして、この間の第3回において結論が必ずしも出なくて、私どもと事務局のほうで検討させていただく点が1点と、ペンディングにする点と2つあったと思います。残すというお話は何であったかというと、資料3−5−2に、私が「海洋利用のための政策の重点化(私案)」として出した一種の目次のようなものがございます。この考え方はここに書かれている4章の4.1から6までのタイトルがかなり理念的な書き方になっているために、現実に中に書かれることがこのタイトルと合うかどうかということがかなり気になる点があって、もう一つの案、どちらかというと現実的なものと理念的なものと並列させたような案を出させていただきましたが、その後事務局とのお話し合いのところで、やはりメッセージ性のあるという意味は理念的なものを表面に出したという意味でございますが、それが大切であろうということにいたしました。
  ということはどういうことになるかというと、今度は内容をそのタイトルに沿って、その理念に、できるだけ合わせるように修正していくことが必要になってくるわけで、それは1つの政策に対する誘導にもなるわけでございます。あまり現実に即したタイトルだけで目次をつくり上げてしまうよりも、このほうが適当であるという判断で、第3回海洋利用委員会で事務局より出た4章の骨子での4.1から4.6までは戻ったものになっております。その点まだご議論があれば、いただきたいと思いますが、まずはこのタイトルにつきましてはそういうことでここに書かれたものになっているということです。
  それから、ペンディングになったことのもう一つは、仮にこうだとしたときに順番の問題があったと思います。たしかこの海洋生物資源のお話を資源エネルギーと比べて、最初に持ってくるのがいいというお話だったかなと思うのでございますけれども、ここでは通常的なというか、あまり価値観には基づいていないとは思いますけれども、これまでの通念に従った並べ方になっているのではないかと私は思います。それから途中でもう少し海洋と国民との関係等が一番大事だというようなお話も出たようにも覚えていますけれども、常識的な通念という言い方は通るかどうかわかりませんが、それに従ってこれは並べてあると私は理解させていただいて事務局がこうおつくりになることで了解させていただいております。まずその目次の問題から入りたいと思いますが、いかがでございましょう。

【小林委員】    この目次ですが、私、まず海洋利用が理念として、「だれのために」「何を」「どうするか」をきちんと明確に挙げる必要があるのではないのかなと思いました。これは従来の手法でまとめられていると感じました。と言いますのは、まず物の利用があって何か物をつくる、利用する、開発するという比較的わかりやすい物のターゲットが一番初めに来ていることが気になりました。これから長い間、日本の海洋への指針ということであるならば、その「物」のための海洋利用委員会ではありますけれども、利用の前に「だれのために」、「何を」「どうするか」を明確に出す時代ではないかと思います。「だれの」というのは、つまり国民一人一人、あるいは市民のためということです。このようなスタンスをきちんと打ち出すことが新しい海洋へのアプローチの姿勢を、私たち普通の市民一人一人にわかってもらえる、つまり今までの物とは違う新しい物を目指して、私たちが取り組んだものです。私たちも一緒に取り組みましょうという意味になるのではないかと思います。
  ですから、そこのところにいきなり管理とか、開発とか、どう使うかということ以前に私たちの海なのだから、私たち国民一人一人が主役になった海とのかかわりを考えましょう。そのために行政が情報を提供してサポートすることが基本的な理念として打ち出される、新しい理念として打ち出されるべきではないかなと思いました。その根本的なものが1つ。
  それと2つ目、2番の海洋利用を取り巻く社会情勢がございますが、いきなり国際から入っているのですが、私は今後の政治は足元から全体を見るという姿勢がとても大事だと思います。特に海の場合はもちろん世界的につながっているのですが、海は地元の海をじっくり見ることで世界の意味も見えてくるという、それは保護に関しても、利用に関しても、安全に関しても、すべてそういうスタンスから海は考えられるべきであるし、そうなって初めて安全でいいものが私たちの手に入ると思います。ですから、まず国際というよりは国内、つまり国内というより私たち国民のという視点がまず初めに来るべきではないかと思います。その上に立って国際的な協調とかすり合わせとか、環境とか、そういったものを加えていく視点の基本的なスタンスの変換期というように思いました。ほかにもまだ具体的にはありますけれども、とりあえずその2点を申し上げたいと思いました。

【吉田主査】    3.3の「海洋利用の重点化」というようなことが利用に関する考え方、この委員会案だということで、それで4章へ入って、4章はそれに基づいて各論になっているというか、個別テーマになっているとご理解いただけると、今第1の点でおっしゃったことはこの7ページから9ページの間にそれなりに入っていると理解しております。いかがでございますでしょうか、その点は。

【小林委員】    そうですね。おっしゃる通りそういった考え方が今、ページを見ますと10ページに新しく何かを入れるべきか、あるいは7ページの利用の考え方、これをたたき台にして皆さんで意見を交換するというのは、多分いいことだとは思います。ただ、私が感じたのは「はじめに」がその全体の理念を示しているのかなと思ったのです。具体的には確かにおっしゃるとおりこの海洋利用の考え方はとても大事だと思いますが、何か各論の中に入ってしまいますと、潜ってしまうという感じがしますので、何かそういったことがパッと初めにぶつけられていると、この報告はそういう視点に立って書かれたものなのか、あるいは議論されたものなのかということが非常にわかりやすいと思います。

【吉田主査】    「はじめに」という、多分、これを手に取った人はやはり最初に読むのは当たり前かもしれません。

【小林委員】    目次と「はじめに」を見て、あと「おわりに」を見て真ん中を読もうかどうしようかなという感じですね。

【吉田主査】    そう考えるのが普通ですね。ですから、非常に大事だというのはおっしゃるとおりだと思いますので、ここにつきましては文章の修文といいましょうか、修正を必要ならば今後また検討させていただくと。
  それから2つ目のお話でございますけれども、これは非常に大事な点を含んでいるようにも思いますし、これでもいいのかなという気も私はするのですが、結局2.1と2.2の非常に具体的な話としては順序のお話かなと思うのでございますが。

【小林委員】    私たちのなぎさから、あるいはもっとさかのぼって川の源流からでもあるし、森からでもあるのですが、そこからもう海が始まって、それが世界につながっている。極論すればここの墨田川の水がテームズ川の水とも何千年かたつと混じり合うわけですから、そういうことで、それは大変極端なものの言い方ですが、つまり足元の海に親しむこと、それを利用して生きること、それが世界全体とつながっている。私は海洋法もそういう精神でできているのだろうと思っています。

【吉田主査】    一方で、我々は海洋をやっているわけですが、宇宙の時代に入っているわけですね。宇宙から見る地球、宇宙から見る海洋という非常に大きな視点で、それで地球環境問題等と海との絡みが、そこで大いに今論じられ、海洋観測などの重要性が増しているわけです。そういう観点から言うと足元のなぎさからのという話も大いにわかるのですけれども、一方で、もう運命共同体としての地球号というような考え方も地球上の先進国の方はほとんど全部が持っているような観念だろうと思います。そうすると、いかにして地球全体、あるいは海洋は1つでもあるわけです。地球全体を見て、こういう海の国際性を十分認識して海とおつき合いしていることも、特にこれからの時代、非常に重要な視点ではないだろうかと思います。

【小林委員】    おっしゃっている意味はとてもよくわかります。全体をパッと俯瞰してみられることで、自分の姿が見えてくるということもとても大事だと思います。ただ、今までこういうオフィシャルなものがまとめられるときに大変多いのは国際、あるいは外国の目を気にする、全体を考える中でいつでも取り残されてきたのは一人一人の国民です。ほんとうにこの建設が切実かどうか、それによってそれにかかわる人たちがほんとうに精神的な部分も含めて生活が豊かになるのか、そういったことがなおざりにされて、今まで日本の海洋利用がされてきたのではないかなという気がしているのです。社会的にもそういう指摘がこのごろ増えていると思いますね。
  そういうときに、足元から見て全体をまた大つかみにすることが、かえって身近に国際化、全体像を身近に引きつけて日常の中でそういうことが行われているのだということ、より切実に自分の問題としてとらえることになると思います。私は生活している人間としてそのように思っているのです。ただ、研究している人とか、国際的ないろいろな渉外、折衝している人たちから見ると、そうではなくて、全体を見ることで足元が見えてくるのだというご意見も当然あると思います。ただ、それは私の感じでは皆さんが地球環境といっても、「毎日の生活と地球環境がどうなのだ」。「日本の海洋開発と地球環境と自分の生活はどのように連鎖して、どのように見守るべきか」という実感が全然わいてこないと思います。
  確かにそういう市民運動も日本でも盛んになりつつあります。それをどれほど身近に引きつけているかということになりますと、何か地球環境というと論理だけのような感覚を持たれている方が少なくない。これは研究者の方ではなくて、国民一人一人の感覚として。ですから、それをもっと身近に引きつけて、さまざまな研究分野、深海ドリリングとか、メタンを開発することも全部自分たちの日常の1歩にかかわることですよという感覚から考えるほうが、関心が持続するように、私は自分の体験から思います。

【文部科学省】    事務局のほうからお答えします。まず1番目の点ですけれども、それは主査の言われたとおり、7ページを見ていただいたらわかると思いますけれども、真ん中に書いていただいて、長期視点に立って国民一人一人の利益を行うことが必須であるという、海洋の考え方というコンセプトの部分で、できる限り小林委員が日ごろから言われていることなので、「国民一人一人」とか、「ベース」とかと言われているので、この利用の考え方というコンセプトの一番上に、事務局の考え方としては取り入れたつもりであります。少し不十分な点もあったのかもしれませんけれども、考え方としてはそう考えております。
  2点目ですけれども、6ページで最初に国内と国外の話ですけれども、1と2は多少関係ある話だと思いますけれども、「真に国民の利益につながる重要な施策を積極的に実施する必要がある」というような形で国民のためだというのも書いております。それからこの構成の流れからいきますと、吉田主査が言われたとおり、まず国際情勢という大きな、広い観点からとらえて絞っていくというような考え方で書かれています。小林委員のイメージを私が少し取り違えたのかもしれませんけれども、「はじめに」のところに「人類はその発祥から」というようにして、国民一人一人とは書いていないのですけれども、「我々の子孫が美しい海洋と共存しつつ、その恩恵を十分に受けた豊かな生活が行えるよう総合的な管理の持続的な利用に変えていかなければならない」という文章があります。あとはこの3段落目、「我が国の海洋利用施策は国民の利益のために行われてきたが、特定の利用目的に偏った施策になっていなかったか再検討の必要がある」という記述とか、最後の後半の2ページを見ていただいたら、「以上の認識のもと、21世紀社会において美しい海と共存する人間性豊かな社会を実現し、潤いある生活を送るために、真に日本の国民の利益となる海洋施策は何かについて検討した結果を以下に報告する」ということで、不十分かもしれませんが、基本的にはそこの部分に事務局としては反映したと考えております。

【吉田主査】    それでは、今の点について、これは議論としてはかなり基本的なところにも結びついていて、時間のかかる議論だろうと思います。小林委員のおっしゃることで、今後もこの会の運営のことを最後にご相談しようと思っておりますけれども、議論が続けられるなら続けたいと思いますし、それから、もしそうでない場合にはそのご意見を受けて適切な形で反映させていただくことで、ご了解が得られればと思っております。ここで結論を出さないで、きょうのおしまいのところで扱いについて考えたいと思いますので、お待ちいただきたいと思います。

【田代委員】    この目次に関してでございますけれども、4章の6項目にわたって各項目にふさわしい形容詞をつけるということを先般十分ご議論いただいて、合意を得たところでございますし、非常に適格な表現での形容詞をそれぞれ採用していただいていると思います。しかし、少し気になりますのが、この4.3の「持続可能な海洋生物資源の利用」の中の「持続可能」という言葉遣いでございまして、これはこの項目だけ見ますと、全く適切なふさわしい修飾語ではございますけれども、全体を見ますと、持続可能という言葉の使い方が、これは全般に共通した意味を持っているわけでございます。
  ここの1ページの総論「はじめに」のところでも、最初の前段の結びでも「総合的に管理された持続可能な利用に変えていかなけれならない」と、「持続可能」という全体のこれをカバーする意味合いで最初からスタートしているわけでございます。そこの中段ではもちろん今と全く同じような「持続可能な海洋生物利用」という表現を使われておりますが、こういうことからまいりますと、さらにまた意味を広げますと、「持続可能」は全地球的に見ましても、自然にかかわるいろいろな分野では共通したキーワードとして認識されておる意味合いもございます。ここだけに「持続可能」という修飾語をつけるのはどうかなと思います。
  ここだけ見ますと、非常にこれは適格な表現だと思いますが、この報告書全般の共通した基本が「持続可能な」がまずベースにあるということからまいりますと、もう少し違った表現でここを考えていただいたほうがわかりやすいし、区別がはっきりするのではないかという気がいたします。

【橋口委員】    「持続可能」は、全般的に「持続可能」ということなのですが、私はここにつけると、やはり漁業は、今までのとるだけの漁業を離れて、栽培漁業ということでやっていくのだという意味合いをここでつけるのは非常に重要かなという気がします。

【田代委員】    言葉の使い方だけということですね。

【橋口委員】    もう一つ、何か別の言葉があれば、区別ができるかと思いますけれども。

【吉田主査】    そういうことですね。そういう意味では田代委員のおっしゃるように中身はいいけれども、表現法としてサステイナブルに直接、直訳したような言葉は全部にかかるのではないかということで、ここだけにつくるよりも、ここらは別の言葉がいいのではないかと思います。

【橋口委員】    それから、私はこの前まず食べ物から行って、4.3を1に持ってくるとか、これはその次エネルギーということで申し上げたのです。これはこだわりません。これでも結構でございます。
  それから大きいのは、5番で「未来の新たな海洋利用」と書いてあるのですが、ここでは別に新たな海洋利用を書いているわけではないので、表現を変えたほうがいいと思います。例えば、「未来への海洋利用に向けた新た取り組み」とか、取り組み方が新しいというような感じが海洋利用のほうは上の4に全部書いてあると思います。何か表現を変えないと、また4番の中に入っていないものが5番に来るならという誤解が生じるのではないでしょうか。

【吉田主査】    実は、私は後で申し上げようと思ったのですが、これ、先ほどご紹介いただいて中身が豊かではないなと感じました。海の利用がこの程度しか書けないということは、非常に残念です。海の利用というものの未来がもっと豊かに書けないものかということを先ほど承りながら、概要を聞きながら思いましたので、そういう意味で言うと、橋口委員のお話と表裏なのかもしれません。「新たな」ではないかと。だから私は「新たな」というのが入るような中身をもっと書けないのかと、そういうことを後で申し上げようと思っていました。それで表題が変わらないで、中身を変える。この中身で行って表題を変えろという変な話をして恐縮ですが。

【田中委員】    先ほどの田代委員と同じようなことですが、4.1の「循環型社会を目指した海洋エネルギー利用」というのは、文章を言いますと、「循環型社会に適した」と。「目指した海洋エネルギー利用」というのはないだろうと思いますね。文章を読むと適したとなっているので、それなら理解できるなと思いますけれども、やはり循環型社会は大前提だと思いますね。先ほど言われましたように「持続可能」と「循環型」というのは。この利用から離れても、すべての政策におけるキーワードだと思います。

【吉田主査】    目指すのはもう自明なのだと。そういう意味でございますね。

【田中委員】    だから、先ほどの「持続可能な」と同じような意味合いで、もう大前提なのだということと、これだけ読むと、何を書いているのだろうという、理解がここまで読まない表題だなと思います。
  それと4.2のこれも当然と言えば当然ですね。今までもこうだったわけです。未来永劫、過去、現在、未来、みんな通じてこうでした。

【吉田主査】    なぜ今ごろつけるのですかという意味ですか。

【田中委員】    そういうことを聞かれたときにどう答えるのかなと。

【吉田主査】    その議論をやっていたら、やはりメッセージ性が重要だという話があって、そのことは今おっしゃるように当たり前ではないかと。何で鉱物やエネルギーが重要かと。それは国民生活の基盤の重要な1つだからで、それも表に出そうということだと思います。私はある意味ではあえてというところもあると理解しております。このタイトルというか題目、形容詞の修飾語のつけ方につきましてはです。

【小林委員】    今、4の項目に移りましたので、1と2に両方にエネルギー資源利用というエネルギーというのが2つ出てきているわけですが、これは特に何か意図があって、こういう形にまとめられたのでしょうか。

【吉田主査】    これは、まさに今の議論で、循環型社会をここでは目指したとなって、先ほど適したというお話がありました。こういう形容詞句に重点を置いた資源はどちらかというと、消費型なのだけど、エネルギーというのは循環型のものにと言う意味です。例えば自然エネルギーは循環型です。

【小林委員】    風とか波とかという。

【吉田主査】    あるいは風にしても、温度差発電にしても、今後のそういう意味のエネルギー利用、それから国民生活の基盤を支えるのは当たり前ではないかというお話がありましたが、当たり前のものに例えば石油があります。では、今石油は要らないのかと。そうしたら、もう自動車にしたって、発電だけではなくて、航空機にしても自動車にしても、今石油以外では天然ガスその他が動き出しましたけれども、まだまだ量的には維持していくのに必要であると。だからその区分が1と2の区分だと理解しております。

【橋口委員】    そういう点はこの前お伺いをしましたけれども、「循環型社会を目指した再生可能海洋エネルギー利用」としたら非常に定義がすっきりするなと、私は思ったのです。

【田中委員】    再生可能ではないと思う。リサイクルではないのです。

【橋口委員】    再生可能というのは、太陽のエネルギーですからね。

【小林委員】    再生するということではなくて、天然にどんどんあるものを利用するということですから。

【橋口委員】    地球的に言って再生可能という定義をしているのです。再生可能エネルギーというのは太陽エネルギーのことを言っているということです。

【小林委員】    リサイクルではないです。

【吉田主査】    仮に風力発電という、今話題になっているものを取り上げたときに、それはどういう言葉が適当なのでしょうか。

【橋口委員】    風力ですね。太陽光発電。

【吉田主査】    そうではなくて、風力発電はリサイクルなのか。

【橋口委員】    いや、再生可能エネルギーという言い方をしていますね。これはいわば資源を消費しない、太陽エネルギーで何回も循環するエネルギーという意味で再生可能という一般的に産業界ではそう言い方をしています。

【小林委員】    でも、それって、牛乳パックを再生してトイレットペーパーにするのとは違います。

【橋口委員】    産業界の言葉が正しいとか言いませんが、再生可能と言えば非常にピンときます。今、産業界では一般的に流布している言葉と認識しています。

【小林委員】    例えば魚を養殖して再生可能な漁業という、養畜をする漁業というのならばピンと来るのですけど。

【橋口委員】    風力が太陽エネルギーと言うべきかどうかというところも、これ、風力も入っています。

【吉田主査】    それはありますけれども、広く解釈することにすれば海上風は一種の海洋エネルギーであると。

【小林委員】    自然エネルギーの活用という新たに活用する道を開くということです。

【吉田主査】    そうですね。でも直接自然エネルギーと書くと、この中身がほんとうにそれにマッチしているかどうかは、私、よくわからない。
  今の言葉遣いについては事務局にここでのご議論を参考にしていただきながら、指摘していただいた点をできるだけ生かす形でいい言葉があるかどうかお考えいただくことにしたいと思います。社会でも通用する言葉ではないといけないと思っていますが。
  言葉という話で、私が途中で議論のときに申し上げたことですが、僕の常識が間違っていれば、謝らなければいけないのですけれども、官庁用語として使われている言葉が例えば、「かんがみ」、「かんがみると」とか、「何々するところである」とかいう表現がこの中にまだいくつも残っているように思います。私はそういうものは今の時代にかたいという気もして、それを要らない言葉だと言っているわけではないのですけれども、社会では使っていない言葉ではないかと思いますので、外したほうがいいのではないか。言いかえることはいくらでもできると思いますので。まだこの中にたくさん入っています。何か細々とした話になっていて恐縮ですけれども。
  目次の言葉は代表的な言葉ですから、非常に大切ですが、とりあえずそこまでにさせていただいて、中身のほうに行きたいと思います。1の「はじめに」については、先ほどの小林委員のご議論で、もう、少し出てきているわけですが、何かほかにございますでしょうか。

【田中委員】    やはり海洋は地球全体を考えて成り立っていると思います。海洋から蒸発して雲になって、山に降りて、川を通って、そういう水の大循環があるわけです。ですから、その観点が欠けているなという気がするわけです。

【小林委員】    つまり、連関の輪の中にあるという視点ですね。

【田中委員】    それが抜けている。海の水は、雨になって、陸から流れてくるわけです。だから、先ほど小林委員が言われたように、山とか、里山の問題とか、川の問題、そこら辺が全部つながってくると思います。何かそういった有機的につながっているものを、無機的にパッと切ってしまって、海と川を切り離している。魚にしてもそうです。海から上がって、川に行って、子供を産んで、また海に戻る。それをパッと切っている。そういうことでほんとうに沿岸漁業とか海洋の沖合の漁業とかが成り立つのかどうか。何か非常に機械的に切っているなと感じます。ですから、海洋という場合は水圏といいますか、そこら辺を全部含めた形で議論すべきではないかという気がいたします。
  それから、あとの美しい海洋という言葉が出てくるのですが、「美しい」というよりも、「豊かな」海洋にすべきなのだろうと思います。少し語弊的であれですけれども、昔から「水清ければ、魚住まず」であまり清くてもしようがないという。それよりもやはり豊かな海。だから死んでいない海だと。その意味で、そのためには死んでいない川をつくる。そういった豊かな海が必要ではないかなという気がします。

【吉田主査】    田中委員が今言われた美しいという言葉が入っているところは2ページの終わりのところですね。

【田中委員】    2ページにもありますし、1ページにもあります。1ページの最初の段落の5行目。「我々の子孫が美しい」。

【吉田主査】    わかりました。はい。ここですね。

【田中委員】    同じ言葉です。

【吉田主査】    同じ言葉、同じ感覚で使われているみたいですね。美しい海洋、美しい海。

【田中委員】    それでやはり川が死んでしまえば、水に親しむという感じが起こらないわけですから。そうすると、やはり川に親しまなければ、決して海に親しまないと思います。

【吉田主査】    そうでしょうね。

【田中委員】    だからそういう意味では海に親しむというのはやはり川から始まると思いますが。

【吉田主査】    足元と先ほど小林委員がおっしゃったことと相通じているお話だとも思います。

【田中委員】    川で魚を釣っても臭くて食べないと。捨ててしまうと。そういうのは決して健全な姿ではないと思いますね。そういったところから再生していくことかという気がします。

【吉田主査】    ただし、景観とか、そういう意味での美しさは当然価値観として残っているのは当たり前です。それを包括するような言葉としては「豊かな」という言葉のほうが適当だとおっしゃる意味も大いにわかる。わかるという言い方は失礼ですが、私はこういうところは変えたほうがいいと思います。田中委員のご指摘のほうが適切だと思いますので、これは変えるほうがいいかと思います。「美しい」という言葉を書くところは、その意味合いをはっきりさせて書くべきなのでしょう。「美」という意味合いが「豊か」という言葉はもっと底の深い広がりのある言葉のように思いますので。

【田代委員】    文章上のことですが、1ページの一番後のところから、2ページの初めにかけまして、「厳しい経済状況下にあっても、停滞することなく」という表現がございます。この報告書、それから我々の委員会の使命も、中長期的な国の海洋戦略に関する提言ですから、足元のこういう経済環境ということは関係なく、長期的な展望に立っての考え方ということでだと思います。実際にこれを具体的な施策として実施するかどうかという段階ではこれを早めたり、あるいは遅らせたりと、こういう経済環境のいろいろな条件が関連するかもしれませんが、基本的な答申という場合には足元のこういう経済状況というのは触れないほうがむしろいいかと思います。
  同じようなことは、この5ページの後段のほうに「一方、我が国のGDPのマイナス成長云々」とありますけれども、これもカットしたほうが適当ではないかと。こういう感じでございます。

【小林委員】    よろしいでしょうか。今のご意見に賛成です。1ページの最後の「厳しい」から以下の段落、「期待される」までの3行のところは、私もカットしたほうが、広がりがあってよろしいかと思います。何かこれですと、従来型の開発主導は悪くないという印象を受けてしまう。それと、国を助けるということも大変抽象的で少し理解しにくい。なぜ、かぎ括弧でわざわざ囲ってあるのか、私としてはよくわかりませんでした。したがって今の田代委員の意見に賛成です。

【吉田主査】    今のお二人のご意見で1ページの「厳しい経済状況下云々」、私も賛成です。そういう意味で、これは削除ことにしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。「厳しい」以下は削除。それではとりあえずそういうことで修正することにしたいと思います。
  それで田代委員のご指摘の5ページは結局現在の経済状況で、あと受ける文章は可能性を論じていまして、この経済状況に振り回されないことを書くように調整があったのですが、この部分も我々としては短期でありたいと思っているわけで、10年先をにらんだものとしては、後から読む場合に不適切ではないかというご指摘ですが、どうでしょうか。そのような考え方でこれをこういう文言を外す。

【小林委員】    賛成です。

【吉田主査】    これ、事務局は何かご意見ありますか。よろしゅうございますか。それでは、これもつながり方は考えるとして、5ページの短期的な経済情勢についての表現は入れないことといたします。

【小林委員】    1ページ上から6行目に「総合的に管理された」とあるのですが、私が今まで海で出会ってきたもので「管理」と名がつくものの下には草も生えないといいますか、極端でしたが、あまりいい実態がなかったのです。ですから、「管理」というよりは、「総合的に調整」とか、「考慮」とか、そういう形の言葉を使ってくださると、直接的に管理体制をつくるというように、いわゆる規制する方向でどうしても行政は「管理」という言葉がありますと、「管理」イコール「規制」というように取られがちな部分もありますので、これはほかの言葉にご検討の上、お変えいただけると、より広い意味になるのではないかと思います。
  それと第3節目、真ん中に国民の利益のために行われてきたとございますが、これは何となく取ってつけたようで、どうなのでしょうか。わざわざ書くのは何となく今までのやり方の言いわけをしているような感じがします。
アこで国民の利益のために行われてきたという言葉を入れるならば、もっと前の一番初めの段階で一人一人の国民が精神面においても、物質的な面においても豊かな生活を構築するために日本を取り巻く海は大変重要なものであると。それをいかに利用するかを市民も含めてみんなで一緒に考えましょう。新しい価値観を創造するときではないですかという提言のほうが、国民の利益のためということが、より具体的に新しいスタンスを含めて提言できるのではないかと思います。

【吉田主査】    はい、この言葉がほんとうに取ってつけたようかは、少しわかりにくいところもありますが、もう少しわかりやすく中身を書き込める表現のほうがいいのではないかというご提言と思いますので、それを生かさせていただきたいと思います。ご検討いただくようにいたします。

【小林委員】    そうですね。行政は基本的に国民の利益のために行われているという大スタンスがありますから。

【吉田主査】    いや、もう根本です。

【小林委員】    またそれをここにわざわざ書くよりは、具体的なことを書き直すべきだと思います。

【吉田主査】    そういうことも踏まえて、もう少しわかりやすい表現、あるいは言いたいことの中身を書いていただくことにしたいと思います。
  それで、最初おっしゃった「管理」という、これはある意味で言葉の問題ですが、それは、例えば7ページの3.1、海洋利用の考え方のトップにあるのは、その総合的な管理ということであって、結局これまでの海に対する一種の英語的な言葉では「マネジメント」という言葉が総合的に必ずしも行われてきていない面があって、そのためにいろいろな問題が起こってきている。それに対するある種の反省から、今後はそういう全体を視野に入れた、そして、ここの事象の有機的な結合を考えたマネジメントが必要だという視点でここは書かれていると思いますが、そのマネジメントを「管理」と言っていると思います。

【小林委員】    ええ、そう思いますが、ただ物事というのは継続しておりますから、「管理」という言葉が出てきた場合、これまで往々にして、今主査がおっしゃったような「マネジメント」ではない方向で使われてきたケースが多いのです。つまり「管理」イコール「規制」であり、「排除」であり、「特定の囲い込み」であるという実態が海では少なからずありました。それは私自身、個人として体験してきました。それとさまざまな分野の人からのお話としても伺ってきました。したがいまして、ここでまた同様に「管理」という言葉がありますと、私としては行政にかかわっている人は継続的に何年か前の人もまだずっとかかわっているわけですから、そういう意味で懸念を抱かざるを得ないということです。
  「マネジメント」という考え方は当然必要なのです。「管理」というのもほんとうに自主的な管理というシーンをとらえたものであるならばよろしいのです。しかし、ほとんどにおいて、「管理」という言葉が使われた場合、ほんとうにいわゆる「排除」と「規制」という形で行われてきているのですね。ですから別の言葉にして、これを運用する人がそこに気がつくようにしていただきたいと思います。

【吉田主査】    言葉として適当かどうかは、やはり今のように規制の言葉だから色がついているとおっしゃっているのだと思いますけれども、その色をある意味で新しくするといいましょうか、そういう意味合いのことは、ここでどう使っているかということは中身にかかわっているわけですから、これはタイトルでございますからね。ですから中身が何を言っているかということで、それがここで言う「管理」なのだと。必ずしも規制で縛る、あるいは拘束を与える、それが「管理」だということではなくて、統御するといいましょうか、制御するというか、野放しではないのです。

【小林委員】    秩序をつくるための「管理」は当然必要だと思います。それで自主的な管理も必要でしょうし、自己管理も必要でしょう。そういう意味では「管理」という言葉自体に罪はないのです。しかしながら、今までの「管理」という言葉が出てきた場合、運用面において、ここに書かれているような中身を理解して運用されているというケースが大変少なかったのです。今までも管理のもとに書かれている条文は必ずしも規制とか、そういったものを全面的にしますよというものではなかったと思いますね。それでもなおかつそういう形になってします。
  新しい秩序をオーガナイズするものではなくて、手の平の上で管理されて、全部見えるようになさるという、そんな形の運用が多かったものですから、海に関してはそういう新しい秩序をつくって、それをみんなで守りましょう、大事にしましょうという方向の何か言葉が見つかれば。「管理」という言葉自体は悪くない。確かに必要です。しかし行政面があらわれた場合、懸念が多かったということです。

【吉田主査】    それでは、ほかの方、ご意見いかがでございますでしょうか。今のご議論に対して。

【農林水産省】    今の小林委員からの話ですけれども、確かに「管理」というと、基本的にはやはり「規制」というのが非常に強い受け方だとはわかります。
  最近、水産基本法をつくってから、特に水産資源の管理なり、保存という言葉をよく書きます。それは確かに一面で言えば「管理」は「規制」です。「規制」ですけれども、今小林委員が言われたように、「調整」とか、「考慮」という言葉でやっていった結果が、水産資源に関して言えば、最近魚がすごくいなくなったということです。要するに、確かに言葉としては、「管理」は非常に強い面があるかもしれませんが、ある程度、やはりそういった自主管理もありますし、強制的なというのもあるのでしょうけれども、どちらかというと、今我々が水産で特に言おうとしているのは、自主的にそれぞれが理解をして、それをとらえて、やはりやらなければならないのだと。これは言われるからやるのでなくて、やらなければならないのだという意識を持ってもらいたいという意味もあるのです。
  最近では比較的こういう水産資源の管理、それから保存というような言葉を使っていますけれども、やはりそのようとらえていただきたいという気持ちもあります。特に水産資源の場合、そういった意味で使っており、「総合的に管理された持続的可能」と言っています。取り過ぎてしまえば枯渇しますから、当然ながら、維持をしながら、その管理の中でとって供給していくことの管理なのです。これはただ単に調整だけではやりきれないのだというのです。そのように理解をしていただきたいと思います。

【橋口委員】    同じように廃棄物でも何もしないと、「考慮した」というのだったら、例えば不法投棄に結びつくとか、そういうようなこともあるかと思います。

【小林委員】    おっしゃるとおり、水産資源に関して自主的な管理が必要だというのは当然だと思います。上からいくら言っても、現場の人たちがそういう意識を持って当たらなければ、何も事は進まないし、回転していかないと思います。おっしゃっている意味、それから橋口委員のおっしゃっている意味もとてもよくわかります。
  ただ、私がとても懸念しているのは、「管理」という言葉があった場合、私の体験の中では「上位下達で何も言うな、言われたとおりにしろ」という行政とのかかわりがとても多かったのです。ですから、そういう管理という言葉が出てくると、懸念する点があります。
  それで「上位下達で言われたようにしろ」という形ですと、今農林水産省の方がおっしゃった自主的なというものが生まれないのです。それが生まれなかったのが、今の日本の海のさまざまな現状を生んでいると、私は実際の現場を回った体験から見ています。したがって、その「管理」ということに懸念をしたということです。

【栗林委員】    言葉の問題でもありますけれども、小林委員の言われていることもよくわかりますけれども、例えば200海里の経済水域において、沿岸国が持っているこの権能は、開発したり、あるいは資源を保存したりすると同時に「管理」という言葉が海洋法の中でも使われております。これはマネジメントですけれども、このこと自体、非常に新しい海洋秩序のコンセプトですね。今までの秩序をさらに管理という方向で進めたというところで、新しいと言われるゆえんですけれども、今言われている「管理」というのは、単にマネジメントするのではなくて、さらにガバナンスというのです。コーポレート・ガバナンスと同じように、オーシャン・ガバナンスという方向に向かっているという意味で「管理」という言葉が使われておりますので、この言葉は残しておいて、必要であれば「管理」をもう少し説明するなり、あるいはこの報告書全体を通じてこの「管理」の意味がわかってくると思います。そんなことで解決されたらいかがかなと思います。

【吉田主査】    いいご指摘をいただいたと思いますが、例えば「管理」という言葉をここではこう使いますよということが一言「はじめに」でもどこかに入っていると、あまり誤解が大きくならないで済むのかなという気がいたしますね。今の小林委員のご提案といいましょうか。
  そのような措置にしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

【小林委員】    大変よくわかりました。

【吉田主査】    ありがとうございます。
  それでは引き続いて、2の「海洋利用を取り巻く社会情勢」のところ、3ページから6ページぐらいまでのところの各論というとあれでしょうが、先ほどご議論が国際と国内という順序の問題でございましたが、いかがでございますでしょうか。

【橋口委員】    特に国内のところが気になるのは、我々のこの海洋開発分科会という位置づけですが、一応行政と離れた立場で産学官の委員ということでやっているのかなということですると、この2の「国内の海洋利用の現状と社会情勢」はあまりいろいろな細かいことを書いてあって、行政広告のような感じが少しします。特に、この諮問は去年、13年の初めに受けたわけで、それが13年度の7月にメタンハイドレートの報告書のことが言及してあり、こういうのがあまり行政の内容を具体的に書くと我々の分科会の立場というものをどのように考えればいいのかなと。

【吉田主査】    なるほど、そうですか。

【橋口委員】    こういうことをやられていることは、私はこの開発計画自身は今知ったということですけれども。

【吉田主査】    今の点について、事務局はどのようにお考えになりますか。特に時期に絡んだ点ですね。諮問を受けたより後に出ている開発計画が引用されているのは平仄が合わないのではないかというご指摘だと思いますけれども。小さい問題を取り上げて恐縮ですけれども。

【文部科学省】    諮問の時期というお話があったと。それは状況として並行して行っているので、別に言及すること自体おかしくはないとは思っております。要するにいろいろ検討の最中でいろいろなところの話も聞いておりますし、実際のところ経団連のほうからも報告をいただいて、その内容を反映させていこうと考えでおるわけですね。時期的に諮問後であるからいけないということはないと思います。ただ、その書きぶりとしてあまり行政的なことをこういのような書きぶりでいいのかどうかという考え方はあると思いますけれども、その至近点ということでは、別に特段問題はないと思います。

【橋口委員】    我々第三者的な元審議会の立場、少し行政から離れた書き方のほうがいいのかなと思います。

【吉田主査】    私は細かい「時」の問題だけ取り上げましたが、これは必ずしも問題ではない。こういうことがあってもいいとして、基本的な問題として橋口委員のおっしゃっているのは、分科会の立場と行政の立場との違いがあまり見えない書き方になっているのが気になるとおっしゃっている点ですが、これがほんとうにそうかどうかはよくわからない点もありますけれども、もしそうだとすればその書き方は改めたほうがいいです。行政報告のような格好になっているのは必ずしも適切ではないのではないかというご指摘なのですよ。

【文部科学省】    いろいろな他省庁がやっていることで、重要なことであれば、それなりに書くことは意味があると思いますが、そういう行政報告のニュアンスが強過ぎるということであれば、それは書き直します。

【橋口委員】    私、文章のニュアンスの書き方だとね。

【文部科学省】    ここはちょうど現状の部分を書いているわけでございますね。そうすると、この分科会として国に対してこういった海洋政策を今後負っていくべきだというご提言をいただくことになるわけですけれども、その際、現状ということになりますと、国の各府省がどういった施策を行ってきており、また今後どういった計画を持っているかをまず押さえること。そのページなのだろうと思います。そういった意味で相当行政側の施策の紹介という感じになっておりますけれども、この章の性格自体がそういったものを含んでいるということもご理解いただければと思います。

【吉田主査】    ただ、ご意見がわざわざ出た理由を想像しますと、それがいかにもフォーマリズムに従った書き方みたいになっていないか。ほんとうはこの分科会は行政そのものではなくて、ひとつ離れたところにある存在。だから逆に存在価値があるということだから、そういう立場の違いが見えない形になっていることが気になるとおっしゃっていると理解させていただきました。ですからこれを取り上げられていること自体に対するご異論ではないと思いますので、これはもう少し適切な表現法のほうがいいのではないかと。

【文部科学省】    そのニュアンスが出るように工夫してみます。

【小林委員】    今の関連ですが、この中にたくさんいろいろな計画とか、条約とか出てきて、書いてあるのです。それは私たちではなくて、客観的に外から見た場合、海洋利用委員会委員の全員がこの内容も承知していると考え、承知していないで書くことはあり得ないと思います。ただ資料としてこういうものが今まで提出されておりませんので、もしここに加えるならば、ぜひこれの関連の資料をいただきたいと思います。
  手順としては前後するかと思いますが、やはり私個人としては、ここに参加しながら、ここに書いてあることを「え、これは何だろう」と思うのがとてもたくさんあるのです。策定とか何とかという言葉が並んでいます。事務局としては中身も承知してお書きになっていらっしゃるし、当然知っていらっしゃると思いますが、これの責任を持つのは委員会のメンバーなので、決して事務局ではありませんので、このあたりをきちんと整理していただきたいと思います。それでお書きになって引用しているものについては、私個人としては資料をいただきたいと思います。

【吉田主査】    わかりました。こうします。ご専門によってはお持ちの委員もたくさんおられると想像しますので、全員に配っていただく必要はありません。そういう意味でご請求いただいたらいいと思いますので。委員が個人的に事務局にご請求を、例えば新たに書面なり何なりでも。そうすれば事務局は対応されると思います。そういう処置をさせてください。

【小林委員】    わかりました。

【田代委員】    1つ。細かな点ですけれども、4ページのちょうど中段のところに、これはこのまま残すという前提で申し上げますが、この「ニッケル、銅、コバルト云々」で「レアメタル等」という表現がしてあるのですが、ここで細かく申しますと、この銅、亜鉛、それから金、銀。これはレアメタルではありません。それ以外のところがレアメタルという区分でございますので、この「レアメタル等」となっている。「等」だから全部ぼかしているよと言えばそうなのですが、ここでいきますと、順不同に並べてあって、全体がレアメタルという印象が非常に強く出ますので、ここのところは少し考えていただきたいなと、事務局へのお願いでございます。

【田中委員】    そうだと思いますね。

【吉田主査】    これは書き方を変えていただけるといいと思います。

【田中委員】    2.1のほうには、国内におけるところにメタンハイドレートとか海底鉱物資源が挙がっていますけれども、国際的にはどうなのだというのは一言も入っていないわけですね。本来はメタンハイドレートにしろ、海底鉱物資源にしろ、これは地球規模のものです。それに対して、日本はどういうアプローチをしているかということだと思いますが、2.1の国際的なほうに抜けています。こちらのほうにそういったものの重点を置いて、それに対してメタンハイドレートにしろ、海底鉱物資源にしろ、日本はどういうアプローチをしているかと書くほうが自然ではないかと思いますが。これで見ると海外はやっていないと取られてもしようがないという書きぶりになっていると思いますが。

【吉田主査】    短過ぎると言えば、短過ぎるのですね。この3ページ。

【田中委員】    そうですね。

【吉田主査】    もう少しあって。でないと書けないです。

【田中委員】    2.1のほうがね。もう少し詳しくていいのかなと思います。

【吉田主査】    これは今のように簡単過ぎないかというお話だと思いますね。あまり長くなくていいと思いますけれども、世界の動向を手短に少し入れて、それと国内が受けるかどうかよくわかりませんが、ともかく関連があることは事実です。そのように、読みやすいようにもう少し内容を追加していただくことがいいと思いますので、ご異論がなければおおよそは追加だと思いますけれども、そのように内容修正していただけるといいと思います。

【小林委員】    3ページ目の海賊のところですが、これはただ単に海賊があると書かれていて、技術的な問題でリーダーシップを発揮すべきだと書いてあるのです。ただし現実に海賊の問題の場合、一番大事なことは2つありまして、1つは政治的な情勢とか、社会的な情勢のために海賊事件が起きているのが1つと、もう一つ目、実際に起きた場合に日本人、私たち国民がどのように保護されるかということもとても大事なことだと思いますね。基本的には今までの海賊事件を見てもわかりますように、日本船に日本人が乗っている場合は日本の権限でいろいろなことができますが、便宜置籍とか外国船籍に日本人が乗っているケースというのがこのごろとても増えているのです。あと日本の船員というのは大変減少しておりまして、外航船員はほんとうに数えるほどしかいなくなるぐらいとても少なくなっています。
  ですから、技術的なものも大事ですが、ここに書くべきかどうかは少し迷うところがありますが、邦人保護という、どうやって乗り組んでいる国民の安全確保ができるかということもとても重要な視点ではないか。そういう視点がないと、海賊問題は解決しないと思います。航行安全の確保という言葉で言ったり、技術移転という言葉で言ったりしていますけれども、いわゆる航行標識とか監視をいかにしても、どうしても海賊は100%防ぎ切れないものでありますから、そういった視点も必要ではないでしょうか。ここに加えるべきなのかどうかはわからない点もありますが。

【吉田主査】    具体的に海賊問題については、2というのは前書き的なところで、4章のどこでしたか。延々と書いてあったところがありましたけれども。

【文部科学省】    28ページの安全な輸送の実現のところからずっと行っていただいて、32ページのところにありますね。

【吉田主査】    32ページですか。長いのはこれです。これはまず少し長過ぎると思いますが、それは後で申し上げようと思っているのですが、今おっしゃったような視点というか、そういう必要性はここの中では書いていないのでしょうか。よく覚えていないのですけれども。

【小林委員】    なかったように記憶しているのですが。日本人船員も被害に遭っておりという具体的な指摘だけに終わっているので、具体的な指摘をここのレポートに盛り込むだけでは問題が残ると思います。ここでこんなに具体的に書く必要があるのでしょうか。

【吉田主査】    まずここです。後と絡んではいますけれども、異常に長過ぎるようにも思いますけど。

【文部科学省】    この委員会の議論の議題に挙げるために一応長めには書いていますが、もし長いと言われれば、短くすることは全然構わないので、それは気がねなく言っていただいて構わないと思いますので、よろしくお願いします。

【吉田主査】    この経過の説明が詳細に過ぎるように思いますね。

【文部科学省】    そうですね。前回まではなかったので、余分に入れ込んだものもあります。ご指摘のとおりだと思います。

【吉田主査】    やはりこれは我が国の海洋利用の施策を書くのが目的のところですから、従来の経過の説明は必要最小限にとどめる。そしてまた、ここの場所がいいのか、あるいはこれは先ほどのような前段のところで書いて、施策をここで書くのか。どのようなことがこれから行われようとしているかを書かなければいけない。かつて小渕総理大臣がどう言ったみたいなことまで書いてありますけれども、少し詳細に過ぎるのではないかという気がします。ここはそういう意味で直していただくことにしたいと思います。
  そこの中に先ほどの小林委員のような視点も含めるように、少し努力していただいたらどうかと思います。国民という言い方よりは、この場合は具体的に言うと、乗組員の安全という問題だと思います。多分、国がどう責任を持つのかとういことにかかわっているのだと思いますが。

【小林委員】    32ページに移行したので、申し上げますけれども、ここのところにわざわざ乗組員を殺害とか、船名を偽装しとか、そういう手口までこと細かく書くのは、大変異様に思いました。その後を受けて、ずっと続いておりますのが、33ページでも海上警備とか、連携訓練、警備機関等という、直接、力で海賊と対峙しなければいけないというような、現場にいる襲われた船のような感じがいたしますので、これはこの海洋利用委員会のレポートにはあまりなじまないと思います。

【吉田主査】    私もなじまないと思います。ですから、この辺は適切に削除しながら、それから先ほどの長過ぎるということもありますし、あるいは今の話で言えば詳細過ぎると思いますね。

【小林委員】    海賊の場合、ほんとうにここで基本的なことが触れられていないのですが、1つは関係する近くの国の経済情勢の安定であるとか、政治情勢の安定であるとかということが第一に必要なことであると思います。
  第2は乗り組んでいる人々の安全ということ、その場合、便宜置籍ということが大変長い間日本では言われてきましたが、解決しておりませんけれども、そういう便宜置籍の問題である。それから外国船に乗り組んだ日本人船員の保護の問題であるという根本的なことが見られていない、海賊問題ではそこにこそ焦点を当てるべきだと思います。
  海賊は基本的にはなくならない行為です、陸上でも強盗とか窃盗とかいうものがなくならないように。ですから、起きた場合にいかに身柄を安全に保つか。そのための位置を表示するようなものを各人が携帯するとか、そういったITの利用であるならば、とても大事なことだと思います。警備とか警備機関とかの連帯ではなくならないと思います。むしろ反対に危険を助長するような、乗っている人個人に危険が及ぶようなことが起き得ないとも限らないと思います。もし海賊問題を取り上げるならば、そこの海賊問題の根本をきちんと提示することが大事だと思います。

【栗林委員】    前回、海賊問題を取り上げてもいいのではないかといった意見を私が出したものですから、あれですが、確かに後のほうは長いですし、やはりこれは少し整理する必要があろうかなと思います。
  私は航行の安全確保ということにおいて、海賊問題は現在の問題の1例として挙げることを申し上げたわけで、実は航行安全の確保という問題は海上のバイオレンスによって攻撃を受けるという問題だけではなくて、もっと船舶構造の改善だとか、あるいは原子力船の規制だとか、いろいろな形で航行安全確保のための措置が求められてきているわけです。そういう意味ではあくまでもこれは1例として出すべきだろうと今は考えております。
  そして、今小林委員が言われたように、船の航行を安全にすることは、同時に中に乗っている人の人命確保になるわけですけれども、最近の海上バイオレンスが例えばボートピープルに対する攻撃とか、暴力とかいうこともありまして、人命の尊重、人権の尊重という方向にもまた話が進んでいますので、そういう意味ではやはり人命の尊重、人命の安全をここの部分に入れることは意味があると思います。

【吉田主査】    今、栗林委員からある意味で新しい視点も含めたご提案がありました。先ほどのようなご意見とあわせて、今2章の2.1、2.2のところに関連して話が出てきて、4章の後半の話につながっているわけですけれども、海賊問題はそういう視点からもう一回文章だけではなくて、基本的に書く内容を整理していただきながら、長さについても十分考慮を入れていただいて、少し書き直していただくとよくなるのかなと思います。お願いしたいと思います。
  それで、最初の話でペンディングになっていた国際的なというのと、国内におけるというどちらを先にするかというお話ですが、足元を見るという考え方も非常に重要ですけれども、一方で今の海賊問題もそうであるように地球上が1つにつながっているようなところで動いているわけということもあって、この国際的なというのをそのまま先にして2番目に国内という具合に入れることでどうかと思います。よろしゅうございますでしょうか。

【小林委員】    それについては異論があったという記録を議事録にでもお残しいただければよろしいかと思います。

【吉田主査】    ありがとうございます。ここの節の順序についてはそうさせていただき、内容については先ほどのようにさせていただきたいと思います。
  それから次に3章の海洋利用の考え方です。これも先ほど少し議論があったわけですが、「管理」というお話については先ほどのようなことで、「管理」「マネジメント」あるいは「ガバナンス」という新しい概念も入っている言葉として、ある意味で定着させるためにという使い方もあるかもしれません。単にコントロールとかそういうことではなくて、そういう意味でこの言葉は先ほどご指示もあったと思いますので、残していくことでいきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。「海洋の管理」という言葉は「総合的な」とかつける言葉は別にして、海洋を管理するという、そのときの「管理」という言葉では「調整」その他では意味が逆に通らないということになるという事務局の発言もあったわけですが、それでいきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

【小林委員】    その場合、市民の生活にかかわるものに関しては、市民の意見を吸い上げて、自主的な管理をサポートする、あるいはもっと違う部分については行政が情報を提供してサポートする、そういう管理のあり方であるという、新しい管理の概念を加えていただきたい。

【吉田主査】    それは文章として入れていただきましょう。

【小林委員】    はい。入れていただけるとよろしいかと思います。

【吉田主査】    どこか、適当な場所、そういうことを言って不適切ではないところがいいと思いますので、どこかへ、そういう新しい概念の「管理」という言葉の意味合いを入れていただくようにしたいと思います。

【小林委員】    そこには必ず市民の目が、立場が、参加があるということも入れていただきたい。

【吉田主査】    上からの管理ではないということをおっしゃっていると思いますけれども、それは新しい時代には絶対に必要なことだと思いますので、入れていただきたいと思います。

【小林委員】    もう一つ、ついでに、いわゆる市民の自主的な管理とか、自主的な参加があることによって、違法なこと、例えば先ほど橋口委員からご指摘のあったようないわゆる海洋投棄とか、そういう不法なことに対してもきちんとした態度で強く臨めるという体制が構築されると思います。

【吉田主査】    なるほど。確かに今のようなことについては市民の監視とかそういうことも多分大事なことでしょう。役所がやるだけでは、多分できない。役所がそんな大変な数を雇うわけにはいかない。

【小林委員】    それで、行政がしていることが市民のためにしていることが、市民一人一人が実感できれば、例えば不法投棄があった場合でも、それをきちんと連帯して動くことができるようになるだろうと思います。

【田中委員】    3章の3.2の8ページですけれども、IPCCの報告書のことが書いてありますが、温室効果ガスはCO だけではないと思います。このCO が一番量が多いということかと思いますが、下のほうの3行目、「したがって、CO2吸収に影響を及ぼす海洋表層と海洋大循環」ですか。そこはいいと思います。だけどその後の「及びCO 発生源である化石燃料の主たる供給源である海底の利用方法について十分配慮すること」となると、これは海底の化石燃料はもう開発するなと言っているのと同じことだと思います。だからここは削除だろうと思います。このCO の吸収に関しては表層と海洋大循環が影響していますが、「及び」以下は少し違うことを言っています。ですから、「及び」以下は削除のほうがいいと思います。

【吉田主査】    今のご指摘で「及び」以降は削除。海底の利用方法について注意が要るよという。海底石油、天然ガスはCO2 を出すわけですけれども、使わざるを得ない状況です。

【田中委員】    それと言うより、CO2吸収に影響を及ぼす海のほうか。CO2の吸収に対する海の効果をきちんと科学的にスタディーしようということを言っているのだと思います。そこでとめておかないと、意味が不鮮明になるということです。

【吉田主査】    それでは、そこについてはそうしたいと思います。ご異論がなければ、そう決めさせていただきます。

【小林委員】    質問ですが、つまり海底の利用方法について十分配慮することが求められるというのは当然のことですが、これがどこかに入っているならばというか、どこかに入れることは必要ではないかと思います。

【吉田主査】    ただ、あまりに抽象的ですと、何を言っているのかわからなくなると思いますね。海底の利用法には注意すべきだと。いや、それは一般論としてはあると思うんですですけれども、何かというところで、これは例えば今のご指摘のようなお話に絡んで出てきたと思いますけれども。

【小林委員】    なるほど。すると各論においてこれが入っていればということですね。

【吉田主査】    必要に応じて入っているということです。

【小林委員】    入れるということですね。はい、わかりました。

【橋口委員】    9ページの最後の文です。後ろ全体をよく通して読んでいませんので、整合性が取れているかというのが、「なお、重点化施策の検討に関しては、海洋利用が海洋環境に及ぼす影響、及び国際貢献に特に留意した」という、これは整合性が取れているかどうか、チェックしないとわからないと思います。

【吉田主査】    ああ、そうか。なるほど。はい。「特に国際貢献」ですね。

【田代委員】    色的にはあまり出てきませんね。

【吉田主査】    実はそのことが4章の節のタイトルに絡んでいると思います。ここにわざわざ書いてあるから、余計目立ったことになったと思いますけれども、後に書いてある施策がほんとうにそうなのかということを一つ一つきっちり吟味し出すと、私はそうでないとしか言いようのないものも含まれていると理解しております。ただ、それだけではメッセージ性が出ないというお話もあって、そのほうがいいと判断したわけです。これはそういう意味では、橋口委員としては残すほうがいいのでしょうか。

【橋口委員】    全体的に整合が取れていればいいなと期待を持っています。

【吉田主査】    はい。それではそのことについて、多分これは、全体の検討が残る問題になりますので、整合性が取れていると思えるか思えないかという判断にかかわると思いますので、これはペンディングにさせてください。
  それでは、大分時間がたちましたけれども、4章の「海洋利用による重点化の方向性」に入りたいと思います。

【小林委員】    4章の各論は大変長さも長いし、深く専門的に入っていると思いますね。ですから、今までの10ページ以前のところで、かなり時間を取りましたから、それをこの短時間のうちに駆け足でやってしまうと、かなり問題が残るのではないかなと思います。
  まずとにかくパッと気になったのは、10ページの真ん中より下にあります「原子力を推進する」となっているのですが、私は世界的な傾向として、この前の国際貢献に特に留意したという言葉がありますが、国際的な傾向としては原子力を国の政策としてやめようというところがどんどん増えているわけです。そのかわりに風力発電などの天然エネルギーを取り入れたりしているわけなのです。ですから、私個人としては導入を推進することにはとても賛成しかねます。大変危険なものですし、もし危険が起きた場合、それを取り除くのに半減期まで100年、何百年という単位のもの。しかも目に見えない。汚染されたことを本人が判断できない。今原子力発電が終わりつつある部分もありますけれども、終わったものについてどう処置するかもわかっていない。廃棄物の処置も方策が講じられていない。手段も何もわからないというめくらの状態で推進することはあまりにも無責任だと思うし、あまりにも恐いことだと思います。私は賛成できません。

【吉田主査】    はい。多分国の原子力政策については、いろいろ賛否、意見はおありになろうかと思います。

【小林委員】    ということならば、海洋エネルギーとか、海洋に関する部分とは直接原子力は関係していないわけですから、わざわざここに推進するということを入れるのはいかがかなと思います。

【吉田主査】    必要がないのだということですね。はい。そういうことですか。なるほど。

【小林委員】    もし、推進するならば、省エネルギーであり、新しい自然エネルギーの推進ということになるのではないかと思います。

【吉田主査】    これ、文脈的にはどうなっていますか。

【文部科学省】    「原子力の推進」と書かれているのは、10ページの最後の段落です。この「本答申」というのは、総合資源エネルギー調査会の検討報告となられた答申なので、その答申の内容がそのようになっているという理解で、答申の内容が原子力とか、天然ガスとか、新エネルギーを書いた後で文章上、そのように書いてしまったといった状況になっています。

【吉田主査】    議論をインタラクトさせていただいて恐縮ですが、今小林委員は例として取り上げられたわけです。原子力の問題1つでも議論し出すと大きな問題です。我が国の原子力政策に対する賛否は従来から意見の多いところでもありますから。そういうことを含めて、専門分野にかかわっている4章で、ここにご出席の皆様方、多分それぞれのご関係の深い分野が4.1から4.6までまとまってあるわけですけれども、先ほどのご発言はそれを短時間でやれるのかというご指摘だったと思います。逆に言えば不適切であろうというご意見だったと思います。
  それで、最初のお話のように事前に見る時間がなかったというのも、まさに委員の皆様方に一昨日やっと届いているというような状況で、お時間を急に取っていただきながら見ていただいたと思うので、不十分だというご意見もあろうと思います。
  お話が変わりますけれども、事務局のほうとしての今度のスケジュールはどのようにお考えでございますでしょうか。順序が逆になっていますけれども。

【文部科学省】    事務局の希望といたしましては、一応、海洋利用委員会の関係についてはきょうのご議論で大方のところのご了解がいただければ、後は吉田主査にご一任をいただくという形にいたしまして、ただこの後、いくつかご意見があったりいたしますので、メールなどを使いながら修正したものを最終報告書にしたいと考えております。

【吉田主査】    大分修正が出ました。

【文部科学省】    はい。ですから、メールとかFAXとか、そういったものを使いながら、修正をしてまいりまして、固めていくということを考えておりまして、もしもそれが可能ならば、その後2月ごろに親の分科会のほうに報告をさせていただくといった段取りを考えてはおります。

【吉田主査】    なるほど。その海洋開発分科会は平委員長もお見えになるから、ちょうどいいのですが。いつごろお考えでございますか。

【文部科学省】    そういう意味では諮問が下りましたのが、昨年の4月ぐらいというのがあって、大体1年程度でやはり答申という形に持っていくのが相場かと思います。それで、逆算するという形になりますけれども、6月ぐらいを目標にいたしますと、ある程度のまとまったものをパブリックコメントという形でいろいろご意見をいただく時間もあります。

【吉田主査】    そういう予定になっていますね。

【文部科学省】    そうすると、4月ぐらいにはある程度海洋開発分科会としてまとまったものを出す必要があります。またその検討を海洋開発分科会で二、三回かけるとすると、2月、3月、4月ぐらいの間で検討できるとスムーズかなと思っているところでございます。

【吉田主査】    2月の初めぐらいにもう一回会合を開くことは不可能ではありませんね。会合とは具体的に言うと、第5回目の海洋利用委員会を開催するという意味です。

【文部科学省】    きょうのご議論をお伺いしても、事務局のほうの不手際もありまして、先生方にこのたたき台なるものをお送りする時間的余裕がほとんどなかったこともございまして、いろいろなところでご注文がついてということでございますから、なかなか今回だけで、あと主査一任という形に持っていくのも難しい状況かなという感じもしております。そういう意味では、今第4章のところを行っていますけれども、これをまたこれからつぶさにやっていきますと時間的にも大変厳しい状況がございますので、そういった意味では今主査がおっしゃられましたように、これから委員の先生方のスケジュール調整をさせていただかなくてはいけませんけれども、2月の初めぐらいを目途にもう一度開くという方向でやらせていただこうかなと思います。

【吉田主査】    お考えをいろいろ聞かせていただきまして、ありがとうございました。委員の皆様方、4章を駆け足で今から30分ばかりで済ますのは多分議論が残り過ぎるのではないかというご指摘なのですが、座長としてもそのように思います。不手際もあって申しわけないのですけれども。多分それが委員会としては確実に最後になるかと思いますけれども、もう一回開催させていただいて、そこでは4章以降を主議題にすることにしたいと思います。
  きょうの時間の使い方についてご提案がございますが、あと30分ばかりあるわけですけれども、4章、5章についてはここまでで、これ以上議論をしないようにして、6章の海洋政策の立案評価というシステムの話がわざわざ前回でしたか、前々回、取り上げるような決定になったわけですが、それの内容はここの6章の原案に一応あるのですけれども、十分書き込まれた内容にはなっていないと理解しております。
  事務局と私との話し合いでは提案した私のほうでも案を用意することになっておりまして、先回私は資料3−6で骨格みたいなことだけは書いたものを出させていただきましたが、文章化できておりません。きょうはそれの文章化のための基本的な考え方について少しご議論をいただきたいという要望を持って、簡単な参考資料みたいなごく簡単なものを用意させていただきました。本日委員の先生がご用意いただいたそれ以外の資料がそれに絡むならば、それについて審議させていただく。もし4章に絡むならば、残りの資料は次回に持ち越させていただくことにしたいと思いますが、いかがでございますでしょうか。

【田代委員】    逆戻りして申しわけないのですが、4章について1つだけ要望を申し上げさせていただいて、次回またご議論いただければと思います。
  17ページをごらんいただきまして、上から2つ目の黒丸のところでございますが、「海洋における鉱物資源の調査及び開発」という項目でございまして、ここで深海底鉱物資源探査専用船を利用してということで、以下のことが書いてあります。その辺の国際的な全体の水準ということを一応考えながら、その技術開発を行うことが非常に重要だという指摘でございますけれども、まさにこのとおりでございますけれども、実は探査専用船でございますけれども、現在稼動しているのは日本に1隻しかございません。深海底6,000メーターぐらいの深いところまでの地質調査船ということで1隻だけございまして、これが既にもう20年経過しておるわけでございます。
  この船の寿命は大体二十五、六年でございます。2年前まではもう1隻ございまして、2隻で活躍しておったのです。1隻は船の寿命が参りましたから、廃船をいたしました。ただいま片肺操業ということで1隻。これも五、六年後には寿命が参りますし、この当時20年前に建造したときは大体二十五、六億円のコストがかかっておりまして、これから建設ということになりますと、おそらく30億を超える予算が必要かと思います。しかし、五、六年先と言いますと、もうすぐ参りますし、ここで言う専用船を利用してということになりますと、現在既にそういう検討準備を進めてまいりませんと間に合いません。端的に言えば、海外から用船すればいいではないかという意見もありますけれども、しかし日本全体での水準を考えますと、技術開発の面から見ましても、これにかかわる専門家の人材育成という面から見ましても、日本に1隻もない状態では、スポットのそのとき限りの調査なら用船でもできますけれども、長期的に考えた場合の海洋の地質調査を勘案いたしますと、ここで言う項目の1つの重要課題として国際的にも十分通用し得る新鋭の専用調査船の建造も検討課題としてぜひ挙げていただきたいと思います。これはもう強い要望でございます。
  私は今かかわっています仕事を代表してではなくて、日本全体の深海底の地質調査を考えた場合に、今、非常に恐ろしいような状況だということをぜひご理解いただきまして、この新鋭専用調査船の建造が重要な課題であることをここに提起していただいて、次回ご議論いただきたいというお願いでございます。

【田中委員】    今のに関連しまして、次の18ページで、「資源開発及び国土・領海の基本情報の知的基盤整備」がありますが、ここにも地質調査船等とありまして、やはり排他的経済水域(EEZ)の中をきちんと調査して、管理するのはいわば日本としての義務だろうと思います。それのツールがないというのが現状ですから、今の田代委員の言われたのと、18ページのEEZの情報整備とは関連することだろうと思いますので、そこを含めて総合的に検討する必要があろうかなという気がいたします。

【橋口委員】    3章のところで申し上げたのですが、行政報告と我々の分科会報告と少し視点を変えたほうがいいのではないかと思います。例えば15ページ、メタンハイドレート開発について現在の政策でやって検討していることがずっと書いてあるのですが、やるのはもちろん反対ではなくて、やっていただくということ、やるべきだと思いますが、ただメタンハイドレートの場合はまだほんとうに安全に掘れるかとか、その後ガスが突然噴出しないかとか、あるいは地盤に対する影響とかいうのもあるし、経済性についても書いてありますけれども、もう少し一般的な書き方にしないと答申にそぐわないのではないか。行政報告的になり過ぎていないかなという感じがします。

【吉田主査】    ぜひ次回までに例えば適切な修正法等、ご提案がありましたら、お考えいただいてご議論させていただけるといいのかなと思います。お手数でも、例えば文章でも書いていただければそれをお持ちいただくということで議論が早くなるかなと思います。

【文部科学省】    事務局からの案ですけれども、4章以降について、今時間もないという話で、再度よく読んでいただいて、来週の16日の木曜日、一週間後ぐらいを目途にある程度文章で出していただければ、こちらの事務局のほうで修正可能ですので、それを出していただいて、いろいろ意見を言ってもらったほうが次の会合もスムーズに行くと思いますので、できれば来週の16日を目途に書いていただきたいと思います。

【吉田主査】    ただし、それ以降受けつけないという話ではありませんね。

【文部科学省】    そういうものではございません。

【吉田主査】    早めに出していただければ、完成度の高いものが出せるとご理解ください。いろいろご予定もおありになるでしょうから、そんな1週間でこれを全部読んで、それをまた書き物にするのは一仕事ですので。

【文部科学省】    それは事務局として希望する日程でございますが、別に後から来ても対応できますので。

【吉田主査】    ぜひそうしていただきたいと。

【田中委員】    文章を出す場合、Eメールでよろしいのですか。

【文部科学省】    構いません。Eメールでもよろしいですし、通信手段は限定しません。

【吉田主査】    それでは、4章はいろいろご議論が多いと思いますので、先ほどのようなことで、きょうはここまでにさせていただきます。4章、5章ですね。それで6章は話が違っていまして、この資料の39ページですが、「今後の海洋政策のあり方」でございますけれども。
  その前に資料ではこの6章に絡む私から出した資料で、資料4−3−2なのですが、資料4−3−3、資料4−3−4、資料4−3−5、資料4−3−6は4章に絡んでいると考えてよろしゅうございましょうか。この小林委員の資料4−3−4は4.6に直接関係しているご意見でございますね。

【小林委員】    はい。前回の第3回海洋利用委員会に出されたものに対して、このようにしたらどうでしょうというご提案です。

【吉田主査】    それではきょうは審議しない形にさせてください。

【小林委員】    はい。つけました資料は参考まででございまして、どうしてこういう提案をするかという具体的な事例といいますか、具体的指摘がそこに出ておりますので、自分で書いた記事で恐縮ですが、それぞれ資料をつけさせていただいております。

【橋口委員】    資料4−3−3で補足させていただいていいですか。私はそこの名前の下に書いてある経団連海洋開発推進委員会総合部会長の立場で出ておりますので、経団連の意見を代弁する義務があります。この上部委員会である海洋開発推進委員会はほとんど開かれないのですが、これを12月19日に開きまして、こういうことで私は経団連の代表として分科会の委員として意見を表明しますということで、この書類を提出することにつきまして了承を得ました。そのときには平先生に来ていただきまして、分科会活動をこういうことでやっているという海洋関係の活動状況についてもいろいろ紹介していただきました。この内容については4章の内容をあちらに入れていただいていると思いますので、本部のほうで審議すればいいと思いますが、1つだけ、先ほど順番として「持続可能な海洋生物資源の利用」ということで、これを1番にしていただく点と、それから2ページの「再生可能型海洋エネルギーの利用」という名前を書いたぐらいが違う点です。

【吉田主査】    ありがとうございました。この辺もご議論は次回にさせていただきます。
  それでは資料4−3−2を見ていただきたいと思います。これは先ほども申し上げましたように、報告書の39ページの6、「今後の海洋政策のあり方」と、ここでは仮の題がつけられていますが、ここに絡むものです。それで、先ほど申し上げたように、前回「今後の海洋政策立案と政策評価のシステムについて」というタイトルの、こういうシステムの必要性と1つの提案をごく簡単に書いたものを出させていただきました。
  その後、ここにお見えになる多くの方がご存じだと思いますが、日本財団からまさにここのところに直結するようなアンケートが関係者に配付されております。日本財団の「我が国海洋政策に関するアンケート」というものです。そんなことも受けて、どういう提案をするのが望ましいかということについて、少しご議論いただいて、その上でまた事務局ともご相談しながら、6章をもう少し中身のあるものに変えていきたいと思っております。
  参考的にお出しした資料を紹介させていただきますと、海洋開発審議会ができて、第1次の答申が1973年にされました。ここには書いてございませんが、それのタイトルは「我が国海洋開発推進の基本的構想及び基本的方策について」で、この中に推進体制、あるいは法制等に関する総合的なお話がどの程度書かれているかについては、実は今手元になくて、これをリファーすることができませんでした。第2次の1980年の答申のタイトルは「200海里経済水域時代への対応と基本対策の提案」という、手書きで書いてありますが、そういうものになっておりまして、ここでは1章を使って第5章「海洋開発の総合的推進体制・法制の整備」という章があって、数ページにわたっているのですが、それを要約したものがそこに書いてあります。提案として大きなものは海洋開発基本法を制定すると。この法律によって総合開発基本計画の策定、海洋開発委員会の設置等が提案されております。海洋開発の総合的推進体制に根拠を与えるというのは私の解釈です。
  それから、ローマ数字の2番目に具体的に海洋開発委員会の設置。これは恒常的な機関だということが書いてあって、以下の事項を取り扱う。1、2、3、4ということで、国の中長期目標の設定、それから200海里水域の総合調査・観測その他省庁に関連する国家プロジェクトの策定に関する事項、3番目、海域の総合利用の方策の基本に関する事項、それから4番目、こういうことに関する経費の見積もり及び見直しに関する事項ということが書かれていて、その後にこれは、私書いてありませんが、1980年代初頭と書いてありましたが、ともかく初めの時期にこういうことを実行することが焦眉のテーマだということようなことが書いてあります。
  それから2番目として第3次答申と、これは1990年ですが、タイトルは「長期的展望に立つ海洋開発の基本的構想及び推進方策について」これは今回の文部大臣からの諮問と同じテーマですけれども、ここの中ではどう取り扱われているかということですが、ローマ数字のTというところ、この答申はT部U部に分かれていますが、T部の最後の基盤整備の最終項目として「海洋開発関係省庁連絡会議」の場などを活用し、省庁間の連絡調整の強化を図り、体制のあり方を検討するよう「勧告している」というのは、私の解釈です。検討するように書いてあります。
  それからローマ数字の2番目に第U部の11章「基盤整備の中で海洋開発を促進するための体制、制度のあり方について」の検討を開発目標というところの最後に入れてあります。いずれもここに書いてあるのとほぼ同じぐらいの長さしかない極めて短い文章です。言いかえれば、2次の答申ではかなり書かれていましたが、3次では非常に単純な扱いがされているように思います。
  3番目が冒頭にも言いました日本財団の最近のアンケートでございます。提案が4つほどありまして、それの2番目がここで議論しようとしているというか、6章の中身に直接関係するところであります。提案1も深くある意味では関係すると思いますが、海洋基本法のようなものが必要かどうかというのが提案ではありませんが、その提案に絡んで、そういうことが重要なアンケートになっています。
  これは2番目の項目ですが、読みますと、「海洋は地球の生命維持システムの不可決な構成要素であり、その開発利用にあたっては環境に十分配慮して持続可能な開発利用を目指すことが重要である。そのため、上記のような海洋管理の理念に沿って政策実行がなされるように、関係する多数の省庁にまたがった海洋政策の総合的検討、策定とその推進のための任務と権限を有する有効な行政機関を整備すべきである」とあります。これが提案であって、この提案に関係して2ページ目の設問がありまして、そのローマ数字で書いてあるTからYまでの設問が最初の設問で、それで表現がまずいですが、「上記で」がアラビア数字になっているのは間違いで、ローマ数字のT、U、Vですが、を選択する場合、すなわち恒常的な新しい行政組織がぜひ必要とか、あったらいいとか、現行組織を改革して対応すべきだという選択を選んだ場合、下記の中から具体的な方策を選択してくださいというアンケートになっています。
  私は日本財団のこのアンケートに直接何もかかわっておりません。いただいた1人という、多分非常にたくさんのところに出されたように伺っておりますけれども、これの期限がしばらく前に来ていて、整理がされつつあるのではないかと想像いたしますけれども、そういう意味で、それをPRする役割を負うというつもりでは全くございません。特にこの最後に書いてある算用数字の1から7までがこの間申し上げたシステムの具体的な形をある意味で述べておられるように思いますので、ここを参考にさせていただきたいというのが、主たる意図でここに入れさせていただきました。
  1番の海洋省を創設するという規模として大きいものが1番ですね。
  それから最後7番は海洋に関する行政権限を有する行政委員会を設置する。類似例として、これはその文章に書いてあることですが、旧宇宙開発委員会というようなもの。途中には海洋問題担当大臣を設置する。海洋問題担当大臣を設置するのとか、内閣府に常設の海洋関係部局を設置するとか、6番の既存の海洋開発関係省庁連絡会議を改革して、政策調整権限を有する新しい省庁間常設機関を設置するとか、いろいろなレベルのことが書いてございます。
  それできょうのお話としては、まず6章のような文章を起こす。言いかえれば、こういう問題を答申の末尾につけるということはご賛成をいただいて決定されたことであったと記憶しております。その中身の話ですが、この間私が資料3−6で提案したものに、立案システムというところで具体的に「海洋政策統括室」と名づける組織をつくるものとするということを書いてございますが、これがこの1から7までのどの辺に当たるかですけれども、私の解釈では5番、あるいは6番かなと思います。あるいはこれの中間くらいかもしれないと感じております。
  本日、時間は十分でございませんけれども、こういう立案システムの具体的な内容としてどういうものが適当か、ご意見をいただければありがたいなと思います。

【田中委員】    意見ではないのですけれども、参考までにしていただきたいのですけれども、この海洋開発分科会のほかに2つ委員会があります。基盤整備とか環境とか、そちらほうでも同じように海洋政策のあり方について議論しておられるのでしょうか。

【平委員】    今のところ、今のような議論はないです、法制度を含むような話は。もちろん基盤としては教育とか考えるということですけれども。

【田中委員】    そうすると、ほかのところはこういうのを考えなくてもいいと。ここの利用委員会で出された海洋政策のあり方が海洋開発分科会の答申になっていくと理解してよろしいですか。

【文部科学省】    そういう意味では、ここは運営委員会なり、もしくは海洋開発分科会なりで検討するという方向では考えておった問題ではございます。

【吉田主査】    先日の運営委員会において簡単に言及だけさせていただきまして、こういう下の委員会で議論することもよろしいということはいただいたように覚えております。ですから、ここで原案ができたら、それが運営委員会を経てかどうかわかりませんが、海洋開発分科会へ持っていって適切ならば全体の中、あるいは修正が要るかもしれませんし、入れる場所も問題になるかもしれませんけれども、取り上げていただく方向でご議論がいただけるものと思っております。

【田中委員】    そうしますと、そのときにはこの6章ではなく、6章から外れて出ているという形になるのでしょうか。

【吉田主査】    外れる場合もありますし、外れない場合もあるのかもしれません。というのはもし海洋利用ということだけでまとめるならば、6章かどうかは別にしてこのパートにもし限定されるならば、そこにくっついた問題になると思いますし、書き方において、とりあえずここでは利用という面でご議論をいただきたい。どういうのが適切かというご議論をいただきたいと思っておりますけれども、最終の形は全体委員会で検討する問題かと思っております。とりあえずは今3つに分かれた中の1つでやっておりますから、そこに固有の問題は言い過ぎかもしれませんが、そういう問題を意識したシステムのお話としておくほうが話はシンプルだと思いますので。

【田中委員】    海洋利用委員会の固有の問題となると、一番ネックといいましょうか、問題になるのは、例の漁業権の問題だと思います。私個人としては漁業権というのは漁民同士の間で境界を分ける。その話し合いのための法律なのだろう、権利なのだろうと思いますが、それをよその産業界にも適用すると、拡大解釈して入れちまうと。そんなところがもちろん問題ではないかなという気もしているのですが、そこら辺の法的な根拠は栗林先生に教えていただかないとわからないのですが。ですから漁業権のあり方もこれに含めるというように考えてよろしいわけですか。

【吉田主査】    私の考え方では漁業権の話はどちらかというと、4章の中で議論すべき問題であって、ここはそういう個別のお話ではなくて、政策というものは全体としての国の政策を論じているところでありますから、その国の政策としてどういうつくり方、そしてそれが答申に含まれるのが望ましいか。今回は必ずしもここで議論するやり方でないのは、時間の問題でそういうことになってしまうわけですけれども、これは今後への提言みたいなことかと思っていますけれども、そういう意味で今のお話はここで議論すべきテーマではないように、私は思っております。

【小林委員】    これはさまざま利用の観点だけではないと思います。ただし具体的に利用とした場合、いろいろ提言をしても実際にそれが省庁間の縦割りの法律の違いもあったりして、運用できないということも当然出てくると思います。そういったことを調整して、しかもそれを実行させるだけの権限のある方策というのは基本的にはとるべきだと思います。提言だけでは何も実行されないだろうと思います。
  それは私の今回の提案の中にもありますけれども、例えば遊休港湾があった場合に当初の建設目的がこれであるから、ほかには使えないというような障壁がたくさんございます。したがってそういう場合、もっと有機的に垣根を越えて現状に合った使用に供する場合でも、とても大変な障壁があると思います。
  例えば漁港の隣に新しい漁港ができて、そこがフィッシャリーナと名づけられてガラガラであると。隣の漁港もガラガラであるという場合、これをどのように地域の人たちが快適さを感じる形で社会資産として生かしていくか。あるいは大きな工業港があった場合。そういうことが全くなしに隣に今度はマリーナがつくられるというのが今までの状況であったわけです。それを有機的に活用するためには、どうしてもいろいろな省庁と海を確認して障壁を取り払った話し合いと考え方が必要だと思います。
  そのためにはやはり話し合うだけではなくて、それを実行しなさいと言える権限のある部分は、どうしても必要ではないかと考えます。その中で先ほどの漁業権の問題とかそういったことも当然議論されるのかなと思います。運用の部分で。

【吉田主査】    そうでないと申し上げたのは、漁業権にしろ、今のような港湾の利用の仕方について、いくつかの省庁の管轄だからというお話、私、まさにそうだと思います。遊んでいる港湾は海岸を歩くといくらでも見られます。

【小林委員】    なおかつ、その上に新しい港湾がつくられているということもあるわけです。

【吉田主査】    そうですね。それでもまた隣の駅のところにまたできてというようなことが現実にあるわけですが、そういうことが問題ではないと言っているのではなくて、そういう問題をここでは問題にしなくて、なぜそういうことになって行くのかということ。あるいは行ってしまったのか。

【小林委員】    もっと根源的な問題ですね。

【吉田主査】    そうです。それは例えば今ご指摘になったように省庁間でのお話し合いがなかったかもしれないわけですね。私は細かくはわからないのですけど、ここで言っていることはそういうことをなくす。もう国としてはやれない状況にもなっていますので、お金の問題からもそういうことをなくす。あるいは減らす。
  ただそれだけではなくて、実を言うと積極的な意味では、私は日本の海洋利用はもう弱ってきているのではないかと思います。あまりに長くこういう縦の自己規制のもとにいろいろなことがされているように思います。先ほどの夢の話ではないですけれども、もっともっとあるべきだと思いますが、そのためにどう活性化していくかということにこれは絡んでいるのではないかと思っているわけです。ですから、そういう個々の問題がいいか悪いかという話ではなくて、そのシステムの話です。それは1例ずつです、先ほどのお話は。

【橋口委員】    私もこのアンケートをもらいまして、私は4番の海洋問題担当大臣を設置すると回答したのですけれども、行政の方にお聞きしたいのですが、多分文部科学省は海洋関係の予算はそんなに持っていませんし、国の全体の沿岸まで入れた海洋政策を指導していくのはかなり厳しいのではないかという気はするのですが、どこかに事務局か常設機関を置くとして、実質そういう全省を束ねるような権限を持たせるには、どうすればできるのでしょうか。大臣を置けばできるようになるのか。そのあたりが我々わからないところです。

【文部科学省】    私見も混じるのですけれども、各省にまたがる問題は海に限らずいろいろなところで指摘されております。1人が全能あれば、あらゆる業務ができるわけですけれども、多くの人が必要なので、いろいろなところで組織を分けているわけです。その中で閉じるような問題であれば、うまくいきますけれども、そうでないものは当然いろいろ省庁間の権限がある世界です。全体的な取りまとめをするのはどこがいいかと言うと詳細なところはわからないけれども、上で見ているというようになるのか。それとも役所として縦割りでどこがいいかということになるのか。要するに今の状態に近い部分はいずれにしてもでき上がってしまう。ですから、どこに置いたらいいかと問われても、なかなかその答えが出ないからこういう形になっているのだろうと、私自身は思っています。

【橋口委員】    どこに置くかよりも、大臣をつくれば非常に機能するだろうということになるかどうかという感触です。

【吉田主査】    もう少しそれを敷衍して言うと、海洋省がいいというお考えでございますか。

【橋口委員】    海洋省まで行くのは人もたくさん出てくるから、少しそれは効率的ではないので、やはり大臣が全体を仕切れるようなパワーがあればと思います。会社だったら、かなりそういうのができるのです。取締役1つつけて、各事業を統括するような役目をつくれるのですが、実際にそういう力を発揮できることがあるのですけれども、国の場合、私はそのあたりの想像ができないのです。

【小林委員】    海洋省というものに関してですが、橋口委員はそれは大規模なとおっしゃったのですが、省庁というもののあり方はもっと基本的に考え直してもいいかしらと思いますね。例えば海洋省をもし仮につくるとするならば、そこで行政の政策を考えて、目標を考えるということであるならば、二、三十人か四、五十人で1つの省という、規模ではなくて、重要性において省という重要性を持ちつつ、中身においては政策を考えることで、二、三十人、四、五十人でも1つの省が成り立つと思います。
  実際にそこでさまざまな事務をこなして末端までの事務をする必要はないと思います。なぜなら、各省庁でそれぞれの窓口があるわけですから、大変コンパクトな省というのも考えて、そういう発想に変えないと、今の行政システムをもっと有機的に動かすことができなくなるのではないかと思います。
  必ずしも何百人、何千人というものでなければ省にはなり得ないものではない。中身の重要性で省があって、二、三十人なり、四、五十人なりの人たちが各専門分野でディスカッションをして、研究をして、調査をして、それを提言するという。調査が必要ならば、専門の調査の人たちに下ろす。現場の人たちに聞く。そういう形で非常に有機的な行政活動ができるモデルケースにもなり得ると、今のご提案を聞いて思いました。

【吉田主査】    私が前回出させていただいた資料のものが5ないし6ぐらいに当たるということを先ほど申し上げましたが、今のご議論とそこは関係があるのですが、海洋省的なもの、今のお話のように規模が小さくて実質重要なら、それを省と呼ぶと。それは呼称の話は別にして、省を今の現実の行政組織で考えた場合には、やはりかなり大規模なものになって、海というものの広がりから言えばそのぐらいあってもいいということで韓国や中国やインドネシアには、そういう省が現実にあるわけです。ただし、ほんとうに韓国でもそれがうまく機能しているのだろうかと聞いたりしますと、私の個人的な評価はやはりものすごく幅の広いものに薄くかかったような省になって、何となく逆に重要度が増すようでいて、力が発揮できない可能性もあるなと思います。
  それからもう一つ、行政委員会という、これも一番下ですが、ほんとうは非常にこれは重い委員会だと思います。行政権能を持った委員会ですから、普通の委員会と少し違う委員会ですから。最初のページにある第2次答申の海洋開発委員会は、多分こういうものを意識された委員会ではないだろうかと思います。これは私の想像です。間違っていたら訂正していただければいいのですが。こういうものも有効ですが、なかなか現実の中で難しかった、多分いろいろなことがあって、これは実現しなかったと思います。
  そういう意味で先ほどの5番、6番、特に5番ぐらいの内閣府なら内閣府の中に海洋政策統括室という組織があって、その組織は恒常的な組織であって、そこでそれぞれの省の専門分野の方が集まっていて、議論があって、ある意味でコンセンサスを得る人的結合団体、組織のようなもの。現在の海洋開発関係省庁連絡会議は多分そういうものとは違うものであろうと想像いたしますので、そういうある程度現実も考えたものができて、しばらく期間がたつと、総合的な施策が出せる。あまり矛盾したものがなくなったりするのではないか。ただ、そのときに法律としてのどういう裏づけが要るのか等がまだここでは調べてありませんが、そういうことも少し検討しながら、提案するが前回の私の意見だったのです。

【小林委員】    私は海洋省が必要だという観点からお話をしたのではなくて、つまり中央省庁の省は、重要なことを考えて政策を示すということであるならば、非常にスリムな形で存在し得る。現実の仕事を各地域に下ろすことによって、より有機的な行政が行われるのではないか、省というものを位置づけて検討することも必要ではないでしょうかと思ったもので、少し本論とは外れた枝論で申し上げました。

【吉田主査】    わかりました。

【田中委員】    総合科学技術会議の8つのプロジェクトがありますね。あそこの権限は要するに各省庁にまたがる問題を集めて、整理して、重点的なあれを決めることが総合科学技術会議のファンクションだと思います。そこで海洋とか宇宙とか集めて、各章のヒアリングをやりましたけれども、海洋に関してもそういったシステムというか、組織があればいいのではないかという気がするのです。要するに省をつくると、今と同じことになってしまうのではないかという気がするのです。その委員会がどういう権限を持つかということかなという気がします。

【文部科学省】    そういう意味では当海洋開発分科会は昔の海洋開発審議会の衣がえをしたものですけれども、関係省庁に出ていただいて、この場でいろいろ話を聞いて意見を言うということは、海洋開発分科会がまさに可能なところではあります。ただ、そういうことを今まであまり積極的にやっていなかったのではないかということに関しては多分そのとおりだったのだろうとは認識しております。

【田中委員】    それと、予算のつけ方とか、その後の実行の仕方まで見ることが総合科学技術会議の方針だったと思います。ですから、その予算のつけ方、後の評価、追跡、そこが抜けていたので、今までいろいろ出してもなかなか実りあるものにならなかったのではないかと思いますが。

【平委員】    審議会ではそう伺っています。

【田中委員】    最近は情報が入ってこないのかもわかりませんけれども。

【平委員】    これは橋口委員の示された資料にも最後は海洋利用の推進に向けた政府の検討の進め方で、海洋基本法、この場合は前の海洋開発基本法ではなくて、海洋基本法になっていますね。だとか、そういう権限の強化ということですが、一応きょうのまとめのところに行きますと、現在のこの分科会を頻繁に開きかつ海洋開発関係省庁連絡会議を活用することでというように受けているのですけれども、これではなくて、もう一つ先に行ったような組織をということを今提案されているのでしょうか。

【吉田主査】    ごく簡単に申し上げれば、そういうことです。

【平委員】    ですから、80年の答申のときは海洋開発基本法をつくれとか、あるいは海洋開発委員会を設置しろというのは実現しなかったですね。

【吉田主査】    そうみたいですね。

【平委員】    90年というのは、その形で制約はあるのでしょうけれども、できたと。どうして80年はできなかったのでしょうか。そうすると、あるいは逆に、今全く同じというか、そういうのを実現する見通しがあるようなものをぜひ提案していきたいと思います。

【吉田主査】    私も今、平委員長のおっしゃることが大事な視点だと思っています。80年のときのはひっくり返してみますと、海洋開発基本法という大きな法律を前提にして、その上に海洋開発委員会が乗っかっているという、体制と法制とをセットにした非常に大きな構想であったと理解します。その海洋開発委員会の権能というか、権限もかなり非常にはっきりしたものにしようとしておられたのだと思いますが、少しその独立性が強過ぎて、なかなか全体の合意が得られないままに実現できなかったのかなとも思いました。これは勝手な想像でございますが。
  それで今回、私が考えている、この間ご提案したような統括するようなものは、そこまで強いものではなくて、ただし現在の海洋開発関係省庁連絡会議のように調整機能等のあまりないものではなくて、両者の中間ぐらいのところというような現実の姿を踏まえた上での総合的な視点で検討する場所が持たれるようなものにしてはどうかと考えておるのでございます。

【文部科学省】    先ほど、若干申し上げましたけれども、ちょうど国の行政組織についてはご存じのとおり、昨年の1月に省庁再編ということで、それまでのものをある意味では相当大幅に見直しをしております。その中ではいわゆる省庁というところだけではなくて、審議会なり、委員会といったものも含めた大きな改革を行った段階であります。そうしますと、そこで少なくともこれから先21世紀を見通した段階でどういった機能配分、それぞれの組織の役割分担をしていけばいいかということについての一応結論は出て、それに基づいて実行されたという経緯になっております。
  それから、まだ1年がやっとたったぐらいの段階でもあり、また一方そういった中央省庁の改革だけではなくて、現在特殊法人ですとか、そういったほうの改革に、今入っていっているわけでございます。こういった海洋関係について体制整備が重要ではないかというご指摘、それはそうだと思いますけれども、ただ、いかんせん今のような状況からいたしますと、先ほど平先生がおっしゃいましたように、現実性のある答申ということからすると、どこまでそういう形になるのかなというところで、やはり若干危惧がございます。
  海洋政策のあり方の議論をする。その際に各省庁の施策を調整しながらするという部分については、実は海洋開発分科会そのもののある意味では目的ということになっておりますので、単に政策のすり合わせということだけであれば、現在のこの姿をもっと活用していけばいいのではないかという議論になってしまうのだろうと思いますね。
  ただ、確かにこれまでのやり方として、各省庁の行っている施策のフォローアップをしていくべきではないかとか、より省庁の垣根を越えて連携を深めていくべきではないかとかいったご指摘はあろうかと思いますが、それについては今回私どもが答申の原案で書かせていただいたように、定期的にこの分科会を開催することによって、そういったフォローアップにも加勢をすることができるだろうし、また海洋開発関係省庁連絡会議の機能についても、もう少し見直しをすることが考えられるだろうと思います。なかなか大きな体制ですとか、権限の再配分というような問題になってまいりますと、大変状況としては厳しいなということを事務局としては感じておるところでございます。

【吉田主査】    そういうことは、重々想像はしております。その上で今回の報告は利用という面だけでございますけれども、そういうものの経過、それから出てきている結果、それから我が国の置かれている状況、特に我が国は海洋国家のはずですけれども、なぜこんなに国民にとって希薄なのか。そういう根本問題は今から10年、20年、50年後の我が国に非常に悪い影響を与えると、私は個人的に思っております。今の青年たちがなぜこんなにも海に対する関心が薄いのかということも含めてでございますけれども、学校にいるから余計そう思います。
  そういう意味で国の中枢のおられる行政のところにおいて、我が国の海洋に関しての理念が何かということをきっちりと述べていかれるようなシステムが要るのだと思います。先ほど夢のところを批判的に言いましたけれども、これは事務局のことを批判しているわけではありません。その出てくる根拠の問題があると思いますけれども、海というものに対する夢はもっといろいろあるはずです。それが出てこない。
  そのシステムの弱さは「改革」というのは少し大げさですけれども、必ずしも権限の委譲という観点ではなくて、人の心というか、モチベーションみたいなものをもっとかき立てるようなシステムが要るのではないかということで、今回のシステムのことを言っているのではなくて、今後の話というように申し上げているわけですが。

【小林委員】    これは車の両輪なのです。そういう今吉田主査のおっしゃったような仕組みができることが1つ。もう一つはそういう仕組みと連動しながら、私たち一人一人が海に関して今抱いている窒息状態といいますか、逼塞状態、そういうムードをなくすことがその両輪だと思いますね。
  なぜなくなっているか、なぜ逼塞状態になっているかということは、具体例を記事の中で書いていますけれども、国民が海に非常に出にくい行政の施策があったり、新たなそういう法制ができてきたり、指導があったりということがあって、海のほうには向かない。向いていた人まで離れざるを得ないような全体を覆う大変暗いムードがあるのです。それは現場に出ている私としては大変強く感じます。私自身も感じますし、ほかの人たちもそのように感じているのですね。そういったものを取り払いつつ、目標を掲げてサポートして展開させるための行政の組織と、その両輪がうまく回転していくことによって、海に対する関心といいますか、生活の中に海を取り入れることが初めてできると思いますね。

【田中委員】    宇宙のほうは、一度あったものが解体されて、また今年度になって新たな組織に統合されたと思います。そういう意味では宇宙と海洋と比べた場合にどちらが身近と言えば、海のほうが身近でもっと生活に密着しているわけですね。そういう意味では宇宙と対抗というわけではないですけれども、宇宙と同じように海洋についても全省庁的な組織があってもいいのではないかという気がしますし、新たにできているわけですから、新たにつくることは不可能ではないという気はいたします。

【小林委員】    おっしゃるように、例えば漁船の専門家の人たちも減っている。プロの船員も減っている。研究者もなかなか育たない。その根本にはやはり市民が海から隔てられているという仕組みがあると思いますね。そのために海が社会の存在としては大変希薄なものになっている。その象徴といいますか、私前に船舶振興ビルに行きましたら、もうビル全体のお部屋がガラガラなのですね。あいているというのを見て、これは象徴だなと思ったのです。
  日本の漁船と言っても、今はもう働く人がいなくて、外国人がなっていたり、沿岸漁業は後継者がいなくてどんどん亡くなったりという、考えも実情も希薄になっているということにもっと危機感を持って臨む。多分皆さんはお持ちだと思いますね。そのために考え方を示すことと、機構をつくることと、これは両輪必要なことではないかと思いますね。

【橋口委員】    報告書の39ページには海洋開発関係省庁連絡会議を活用と書いてあるのですけれども、海洋開発関係省庁連絡会議といったら、無論コンセプトをつくるという議論はないはずですね。

【吉田主査】    ないと思います。

【橋口委員】    だから、私は吉田先生にそういう機能を持たす何かが要ると。それが、大臣があったら機能するのかどうか知りませんけれども、委員会はまた烏合の衆になる可能性もありますから、何かそういう1つ実質的に機能する機関が必要かと私は思うのです。

【吉田主査】    時間も予定時間を過ぎておりますので、そろそろ終わりにしなければいけないと思っておりますが、今の6章にかかわる問題はまず基本的に海洋利用委員会としてこの6章の位置づけで、こういう問題を取り上げていくと。それで具体的にシステムについてはもう少し検討して、例えば私が事務局と相談しながら、案をつくって出させていただくということで検討していくということは委員会としてはお認めいただけますでしょうか。
  はい、ありがとうございました。それではそういう形で進みたいと思います。

【平委員】    それと、この各委員会の報告書と、海洋開発分科会の答申は1対1ではないので、この記録はあまりオープンにはならないのでしょうか。

【文部科学省】    オープンになるかならないかという点では、会議はもうオープンではあるのですけれども。

【平委員】    ディストリビューションは。

【文部科学省】    それを土台にして全体の答申をまとめるという形になろうかと思います。

【吉田主査】    だから、こういうもの自体、それは基本的にはパブリッシュにはならないと理解しておくほうがいいのでございますね。

【文部科学省】    この会議自体が公開であるので、オープンであるかといったら、そういう意味ではオープンになりますけれども、ただ、最終段階かというと、それを踏まえた次の答申が最終的なものという位置づけが正しいかなと思います。

【吉田主査】    そうですね。

【小林委員】    中間的な、流動的な資料ということになるわけですね。

【吉田主査】    なるのだと思います。オープンかどうかは明快だと思います。

【農林水産省】    もしなければ、最初の話に戻って申しわけないのですが、一言だけ私のほうからお話しておきたいのですが、やはり4章の序列の話ですね。このとき私のほうとしては国連海洋法条約上の順番として記述しているのは、生物資源、非生物資源ということと、それからやはり食糧の確保ということは重要課題ではないかと思っておりますので、そこら辺をよろしくお願いしたいと思います。

【吉田主査】    4章の議論の中に含めさせていただきます。

【栗林委員】    きょうは4と5は議論しないということで一番目の「はじめに」に戻って大変申しわけないし、また今議論している6番の「今後の海洋政策のあり方」と関連するのですが、このいずれの部分、1と6を見ましても、「国際社会」という言葉がないのです。
  人類ということはありますし、先ほど田中委員の言われた地球規模大の大循環というようなことで、そこら辺は含まれているのかもしれませんけれども、我が国の海洋政策を考えていく上においても国際社会との協力関係は無視できないわけで、よく言われますように、海の向こう側には必ず海岸を持った国があり、国民がいると言われますけれども、海洋政策を立案し、執行していく上においては必ず、諸外国、諸国民との利害調整、協力作業は必要になってくるわけですので、どちらでもいいのですけれども、「はじめに」でもいいし、「今後の海洋政策のあり方」のところに盛り込んでもいいのですけれども、「国際社会との協力関係」という表現をどこかで入れていただきたいと思います。
  これは「国際協力」ということで、お題目と言っているのではなくて、我々日本がこれまでやってきた政策の中でやはり海洋法会議における新しい海の秩序において、日本だけの立場を固執したためにかなり遅れを取った部分はやはりあったわけで、そういうことの反省の意味も込めて国際協力という言葉を少し高いレベルで表現するようなことを入れていただきたいなと思っております。

【吉田主査】    ありがとうございました。

【小林委員】    「はじめに」に入れることに賛成です。

【吉田主査】    それを念頭に置いて、「はじめに」という文章を、先ほどのことも含めて考えさせていただきたいと思います。


○閉会

 

(研究開発局海洋地球課)

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