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科学技術・学術審議会

2001/10/11 議事録
第1回海洋利用委員会議事録



第1回海洋利用委員会議事録


1 日時 平成13年10月1日(月)14:00〜17:00
2 場所 経済産業省別館825号会議室
3 出席者 (委員会)
  吉田主査、
小林、近藤、田代、田中、橋口、堀、松永 各委員

(事務局)
文部科学省: 大塚海洋地球課長
総  務  省: 伊丹次世代航空通信システム開発室長
外  務  省: 佐藤海洋室長
農林水産省: 丹羽企画課主席企画官
経済産業省: 本城鉱物資源課長、市原石油・天然ガス課課長補佐
国土交通省: 岡部総合政策局海洋室長、笹川国土計画局総務課課長補佐、 大沼河川局海岸室課長補佐
             
4  議題  
  1各省の海洋利用分野の施策について
  2我が国の海洋利用のあり方について
  3その他

5  会議経過
○議題1  各省の海洋利用分野の施策について

    ●資料1−2−1に沿って総務省、資料1−2−2に沿って農林水産省、資料1−2−3に沿って経済産業省、資料1−2−4に沿って国土交通省からそれぞれの省の施策の説明がなされた。

【吉田主査】    どうもありがとうございました。これをもちまして本日関係のご省庁さんからご用意いただきましたご説明のお話は全部していただいたと思います。あとの話はこれからの委員会の運営の仕方等も含めてお話になろうかと思います。この関係省庁の話と絡むところもあるわけですが、先に今のお話に直接関係のある質疑応答、あるいはコメントについてしばらくの時間を使ってやらせていただきたいと思います。今のご説明に関してご質問等がございましたらお願いをいたします。

【橋口委員】    全体的にお話をお聞きして、いちばん最初この分科会で何をやるかという話のときに海洋開発分科会という名前がついていたものですから、全体の予算的な話も開発的なことだけかなと思いました。それと公共事業との関係がよくわからなかったのですが、今日のお話を聞いていますと開発だけじゃなく、公共事業とのつながりというのが一緒に審議されるということでよろしいですか。港湾整備などが入っていますので、そうすると公共事業も全部入っているのかなという感じがしましたので。

【文部科学省・大塚課長】    はい。そういうことで今日各省から説明をこういって設けていただいたわけでございまして、この委員会の対象となる海洋利用の中には今お話がございましたような港湾利用、それから漁業資源の活用等が入ってございます。

【吉田主査】    今の大塚課長のご説明で大体尽きていると思いますが、私がこの座長をやらせていただくということの一種の前提ということで、この間、打ち合わせをさせていただきましたときのお話でも今のようなことであって、日本の海洋開発の全体を視野に入れた委員会というのは海洋開発分科会以外にはなく、その中でこの利用委員会は特に利用開発部分の項目を対象にするということになっております。単に海洋に関する科学技術の分野だけでなくて事業に関わる分野も審議の対象であるということです。そこで以前海洋開発分科会の全体委員会で関係する各省庁の審議会にはどういうような審議会があって、何をご議論しておられるかということについては、かなり詳細な一覧表を出していただいております。そういう意味で審議会との関係のあり方は今日の2つ目の議題にも関係するところかなと思っておりますが、とりあえず対象からはずすというほどクリアーな対象分けをするのではなくて、含んでいるのだと私は理解させていただいております。
ほかに個別のことにつきまして何かご質問はございませんでしょうか。

【堀委員】    細かい質問になってしまうのでございますけれども、大変、皆さんすばらしい保全を考えながら開発技術を錬磨し、追求するというので、それぞれご熱心な発表をちょうだいしたのですけれども、例えば経済産業省におけるエネルギーの問題で石油、天然ガス、メタンハイドレートというような大変課題な開発に対して、深海とかそういう分野はかなり大変だと思います。しかし、例えば文部科学省における海洋科学技術センターではかなりのメタンハイドレートの調査・研究のような、鉱物資源等の調査・研究という段階で、フロンティアが先行してやっています。そういう調査・研究段階において、共同的な調査とか情報交換というのは具体的には経済産業省とされているのか、全然そういうものをなさらないで独自に互いに進めているのかを伺いたいと思います。

【経済産業省・本城課長】    もちろん政府全体として政府の1つの省庁としてやっていますので、連携しながらやっているということでございます。文部科学省においても大深度掘削といいますか、地球を深くまで掘るという計画が進められておりますけれども、そういった中でも一つの目標といいますのがメタンハイドレートということになっております。そういった成果も私どものこれからの計画の中でもちろん十分生かした形でやっていきたいと思っております。ただ役割分担としては地球の大きな構造を解明する文部科学省と、そういうものをベースに具体的に資源エネルギーという利用の分野で開発を進めていく経済産業省という役割分担はおのずとあります。そういった大きな役割分担の中で必要な情報は共有しながら計画を進めていくということでございます。

【文部科学省・大塚課長】    今、本城課長のほうからお話がございましたように具体的な連携はそういう方向で進んでございますが、もう少し具体的に申し上げますと、メタンハイドレートというのは、海洋科学技術センターで地球深部探査船という大深度掘削船の建造をしてございますが、それの日本にとっての主要な、かなり重要なテーマの一つでございます。今、具体的に相談を始めていますのは、地球深部探査船が日本の周りで最初に掘るときに、可能性の一つとしてメタンハイドレートが想定されるところを試掘するということが可能なのかどうかという検討を、今両省庁でやっているところでございます。なかなか最初にメタンハイドレートを掘りにいくというのはちょっと難しいかもしれませんが、重要な要素の一つでございます。

【吉田主査】    私から、ちょっと関連の質問をさせていただいてよろしいでしょうか。メタンハイドレートですが、国が本格的に力を入れるというお話が出てきたのが、今年度から始まるという話がありましたが、これまでも天竜川沖とか調べられたりしたことなど多少は知っておりますけれども、そうなってきた大きな理由は何でしょうか。これは田中委員にお聞きしたほうがいいかもしれませんが、何が一番原因でございますか。

【経済産業省・本城課長】    もし必要でしたら先生に後で補足していただければありがたいのですけれども、1つは現実に昨年非常に幸運にもボーリングによって、メタンハイドレートの実際のものがコアとしてサンプルできたことが1つ大きなポイントかと思っております。今まではいろんな物理探査等を実施しまして、そういったものの賦存というものは推定されていたわけですけれども、現実に東海沖といいますか御前崎沖で平成12年度、昨年度ボーリングしまして、実際にメタンハイドレートを採取できたということが1つあるわけです。

【経済産業省・市原課長補佐】    もう1点補足させていただきますと、実は平成6年の6月に国の基礎調査の今後のあり方でメタンハイドレートについて所要の調査をやっていくべきとの提言がされ、平成7年度から物理探査を始めてきまして、その結果、御前崎沖で初めて確認しました。そこがやはり一番の基点になっているかと思います。

【吉田主査】    ただし先ほどのお話にもございましたように、利用する資源として我が国が将来利用する資源として使えるということになると、単に賦存するという話だけではないということですね。賦存でしたら多分世界あちこちで既にそういう採取はあったように聞いてもおりますし、旧ロシアではシベリアの陸上でたくさん出るようですけども、我が国がそういう資源の利用として前向きになったということは、それだけの量と開発技術が多分伴うだろうということでしょうか。また、環境に対しての影響があまりシビアなことにならないだろうという見通しがほぼ立ったということでしょうか。

【経済産業省・本城課長】    先生のご質問は2点あると思います。1つは我が国にとってエネルギーの安定供給を図るというのはもちろん経済産業省、資源エネルギー庁として重要と考えております。中東依存率が、石油ショック以降一時期はいろんな中東以外のウエートを上げるということで中東依存率は下がってきたのですけれども、ここ数年でいうと、むしろオイルショック以前の高い比率で中東依存率が8割以上になってきている。そういった中でまさに純国内資源として、日本の領海といいますか、日本の排他的権利が及ぶその中で、まさに自国資源として開発できる可能性のあるものが今の天然ガスの消費量から言って100年分ぐらい賦存しているということで、非常にエネルギーの安定供給という意味が1つです。   それからあえてもう一つ言えば、天然ガスというのはいわゆる化石エネルギーの中では単位発生熱量当たりのCO
2発生原単位は非常に低いということで、そういった環境政策との関連の中でも今いろいろエネルギー政策を議論しているわけですが、そういった中でもその天然ガスというものは日本のエネルギー資源の中では非常に高いプライオリティーが置かれています。そういった中で我々は環境への影響などは技術的にも難しい問題ですので、今すぐ開発できるというものでは残念ながらないわけです。したがって生産技術の開発の中には当然のことながら生産というものが環境に及ぼす影響への予測技術、あるいはそれを防ぐための技術、そういったものを一体的に技術開発していくしかないということは間違いないのです。しかし、技術的には非常にまだハードルは高いけれども、国が投資をしていけばそういったハードルを乗り越えられるチャンスというのは十分あると我々は判断して、それを始めようとしているということかと思います。

【橋口委員】    国土交通省の説明の中の国土というのはどこまで入るのか。離島は国土に入るのでしょうね。

【国土交通省・笹川課長補佐】    はい。当然入ります。

【橋口委員】    海洋はどこまで入るのでしょうか。

【国土交通省・笹川課長補佐】    どこまで含めるかというのはいろいろ議論はあるのですが、当面は人間活動が主に活発な領域ということで、必ずしも200海里、領海全体を対象にしているかというとそういうことではなくて、何をその対象にするかによって計画の対象はやっぱり変わってくるという感じで考えております。そういう意味で、どのような活動に焦点を当てるかによって、その海洋の、もしくは沿岸域の範囲が変わってくるだろうと考えています。ただその最大限を言えば領海ではないかと思います。

【小林委員】    資料をお願いしたいのがあるのでございますけれども、農林水産庁省の1ページ目のところに漁港漁場整備法が平成14年4月からというのがございますけれども、この資料を参考として後ほどいただけるとありがたいのですが。

【農林水産省・丹羽企画官】    資料というのはその概要がわかるような資料とかそういうことでしょうか。

【小林委員】    はい。概要がわかるものとそれにあまりたくさんでなければ具体的なものも何かあればお願いします。

【農林水産省・丹羽企画官】    法律自体はそれほどありませんけれども、はい、わかります。

【小林委員】    平成14年に環境へ配慮しつつ漁港及び漁場のというのがございますので、それの書類をいただきたいと思います。具体的なものが入っているものがいただければと思います。それから2ページ目の最後のところに漁港漁場長期整備基本方針というのがございますね。これも具体的な方針をいただきたいと思いますが。

【農林水産省・丹羽企画官】    これは今からつくるということで、まだないのですが。

【小林委員】    でも平成14年度より実施される予定であると。

【農林水産省・丹羽企画官】    平成14年度までに、これから作成するということでございます。

【小林委員】    現在のところは何もないと。

【農林水産省・丹羽企画官】    はい。その法律が変わったところでございますので、それに向けて14年度に実施していくために今ちょうど作成をするところでございます。

【小林委員】    はい。わかりました。ありがとうございます。それから国土交通省のほうですが、最後のページのところに、一番上に3つ中黒がつきまして3種類あるのですけれども、この資料をいただくということはできますでしょうか。

【国土交通省・岡部室長】    はい。わかりました。ご用意させていただきます。

【小林委員】    以上でございます。

【吉田主査】    今小林委員からご請求があった資料はお送りいただくということですか。

【小林委員】    後日でも構いません。

【吉田主査】    それでは早目にご関係のところからお送りいただくということでお願いいたします。

【田中委員】    先ほど国土交通省の方からの領土の定義について沿岸域というのですか、200海里というお話がありましたけれども、やはり排他的経済水域、あそこまで含めて考えるべきだと思うのですが。

【国土交通省・笹川課長補佐】    すみません。先ほどちょっとマックスで領海と申し上げましたが、そういう意味で排他的経済水域も活動の内容によっては含み得ると思っております。先ほどの発言ちょっと訂正させていただきます。

【田中委員】    というよりもそれを全部含めるのだという前提を置いて、その中で何ができるのかと何をやるべきかということだと思うのですが。それから、先ほどのメタンハイドレートの環境問題とか言われましたけれども、要するに自然現象としてのメタンハイドレートによる環境問題は研究しないと。要するに産業活動に伴う環境への影響は最小限にするように努力するということで、メタンハイドレートに伴う環境問題というのがいろいろと出ておりますのでそれを全部含めるということは考えていないと思います。

【吉田主査】    ああ、そうですか。はい。

【松永委員】    資料1−2−3の経済産業省のメタンハイドレートの下にある、海洋深層水を発電所などのエネルギー分野に活用して、というものがあるのですけれども、これは海洋温度差発電のことを言っているのか、それともそれ以外の使い方を言っているのか。海洋温度差発電だとほぼ結論が出ているのじゃないのかなと思って。

【経済産業省・本城課長】    温度差発電はこの中に含めておりません。具体的には冷熱利用ということで、それをいろんなまさに冷凍倉庫のエネルギー源にするとか、広くはそういった居住環境の冷房源のエネルギーにするとか、まさにそういった冷熱を温度差に応じて段階的にいろんな目的に使っていくということで、いわゆる温度差発電ではございません。

【松永委員】    あともう一つですが、これは全部に関係するのですけれども、今説明いただいたものというのは各省庁のそれぞれのところでいろいろ説明があったのですけれども、やっぱり一緒にやってもらわなくちゃいけないようなところというのも結構あるような気がするのですけど。多少自分の詳しいところで言うと、例えば経済産業省の最後にあるゲノム情報に基づいた未知微生物資源ライブラリー構築、この場合微生物に限定されていましたけれども、そうするとやっぱり全体的な生物資源とか、そういうのをゲノム情報に基づいて整備していく、これは環境だけじゃなくても食料とかいろんなものにかかわるので、こういうことをやっぱり少しここで議論してもらったほうがいいのかな。今たまたまここだけでしかなかったので、各省庁とも固まった政策なので、そういうことはもう切り分けされた後で今日説明を受けたのでそうなのかもしれませんけど、この分野はやっぱりこれから発展させるためにはそういう観点が必要じゃないかなと思うのですが。

【吉田主査】    今松永委員がご指摘になった点はこの委員会の非常に重要な一般論としての論点であると私は思っておりまして、この省庁さんとのご質疑が終わった後で、この委員会の運び方のお話をさせていただこうと思っておりますけれども、そのときに議論する一つの題目であろうと思っております。また後ほどご発言がいただければと思います。

【小林委員】    質問でございますけど、国土交通省の資料の中にモーダルシフトという言葉が出てまいりましたのですけども、大分昔に聞いてその後あまり聞かなくなってしまったのですが、これは現在も方針としてはモーダルシフトを推進するという方向で。

【国土交通省・岡部室長】    モーダルシフトという概念は先ほど申し上げましたが、自動車交通から、特に幹線物流の分野を中心に、鉄道ないし海上輸送への輸送のシフトを推進するという政策でございます。経緯をたどりますと、例えば平成の初めのころいわゆるバブル景気という時期がございました。この時期におきます物流システムの主たる問題点として労働力の不足ということがございまして、なかなか若年のまさにそういう物流を担う担い手の確保が各事業でなかなか難しいと。そういう労働力の逼迫というようなことがモーダルシフトとして強く出て、それを打開するために比較的少人数で大容量が運べる輸送機関を使うべきじゃないかという議論がされてございました。
その後ご案内のとおり環境問題の意識の高まりということがございまして、現在はまずは先ほど申し上げた京都議定書の採択にあるような地球環境問題、それからいわゆるNOx、PM(粒子状物質)ような地域の環境問題、双方の受け皿としての海上輸送の利用を促進するための条件整備を進めると。こういう環境問題とのコンテクストで議論が強く最近なされるようになってきております。

【橋口委員】    ちょっと小さい点で申し訳ございません。国土交通省のメタンハイドレート輸送技術と書いてあるのですが、このあたりはちょっと非常に理解ができないところが。多分最初のほうはメタンガスとして取らないと採取できないと思うのです。それにメタンハイドレート輸送なんていうことが必要なのかというのがちょっと理解できないので。

【国土交通省・岡部室長】    本日こちらのほうで詳細なイメージが用意できるような資料まで用意してございませんでした。私のほうの船舶ないし海洋構造物の関係の技術開発をやっている研究所がございまして、その中で輸送に係る技術を研究しているものでございます。本日はその中身の実態の話を少しお手持ちの資料等ございませんので、また宿題ということで受け止めさせていただいて資料を用意させていただきたいと思います。

【吉田主査】    よろしゅうございましょうか。私から農林水産省の先ほどのお話にちょっと1つまたお伺いしたいんですが。非常に漠たる質問ですけれども、我が国の水産の実績というか消費量はほとんど変わらない、1,000万トンぐらいでしょうか。それで我が国の生産量は年々落っこちる方向にあって、ただいま約半分ぐらいかと聞いております。あとは輸入するということですが、ここの中でいろいろ施策としての漁礁なり、あるいは増養殖なりという技術がそれこそ懸命にこれまでも随分長く行われてきたように思いますが、それでもなおかつ我が国の生産額が下がっていく。これは基本的に、取り過ぎということが1つあるのかなと。私は素人として言っているだけですが、あるというお話があったんですね。それともう一つはやはり生産漁場と見た場合、魚を生み出す沿岸海域の環境の劣化が仮にあるとすれば、今まで行われてきた施策がなぜなかなか有効に効いてないのか、その辺、主管庁としてどんなふうにお考えになっているのかお聞きしたいのですが。

【農林水産省・丹羽企画官】    我が国の漁業生産自体は最高で1,200万トンぐらいの漁獲量がありまして、今お話がございましたように大体今が600万トン強ということで、約半分の水準になっていると。ただその中には、資源変動が非常に大きいマイワシのように、一時期(総量で)1,200万トンぐらい取れた時代に400万トンぐらい取れていたが今は20万トンぐらいしか取れていないというような、非常に変動の大きい浮魚類と呼ばれているものがかなり入っておりまして、そういった資源変動というのは魚によって変わってくるというところはございます。
ただもちろんそういった変動のある中で漁獲量を取り過ぎれば資源が減っていってしまうという中で、先ほど申しましたように、魚を取って生活する方々というのは公有の海面で無主物の魚を競争して取っていて、そういう中で漁業に対するいろいろな規制を何とかはめて、その取り過ぎを防ぐように努力をしているということです。そういった努力にも増して漁業技術の向上といいますか、例えば魚群探知機が発見されて魚を見つけやすくなったとか、そういうふうな形でなかなか私どものほうの規制みたいなものが追いついていかないというところが若干あると。ただそれと同じように漁業者の方々は自分さえよければいいのだと言って取るようなところがある。そういう体質的なものもあるわけです。
こういった魚がだんだんなくなる中で、やっぱり資源管理をしていくことが大事だという意識も非常に高くなってきているということで、そういった意味の変革が必要な中で、先ほど申し上げたような水産基本法というものをつくって意識改革からやっていこうというような状況になっているということでございます。
ただ、今言われましたように、取る技術の向上とか競争的に取る体質みたいなところがありまして、人工漁礁を入れるとかいったものを越えて取っているという状況の中で過剰漁獲という状況が起こっているのは間違いない話でございまして、先ほど説明しましたように私どものほうでは資源管理というものが重要であると。そういうものにプラスして増養殖というような人工漁礁を入れたりすることを加えて何とか一番よい漁獲量を確保できるように持っていきたいというのが今の状況でございますが。

【田中委員】    今の資源管理というお話がありましたので、それと関連するかと思うのですが、昔と違って海を利用する仕方がいろいろ変化しておると思うのですが、それでまた国土交通省になりますと海洋沿岸域を多面的に利用していると、その後書いてあるわけですけれども、そういった場合に海洋を多面的に利用していくための産業間の、利用の仕方の調整といったものについてはどういうところで検討しておられるのか。

【吉田主査】    ほんとですね、なんていうと無責任な言い方になるのですけど。

【田中委員】    農林水産省というか国土交通省というかそういうところと特に関係ないと思うのですけど。

【吉田主査】    さっきちょっとお話があった漁業権なんていう問題では非常に関係が、多分農林水産省の管轄のお仕事にはあるはずですよね。

【田中委員】    そうですね。まあほかの省庁とも要請においては関係がおありかと思うのですが。

【近藤委員】    見方として、みずから取り過ぎて漁獲そのものの資源を減らしているということと、それからやはり特に底生魚と言えばいいんですかね、回遊とか浮遊とかそういうのじゃなくて、底にいるような魚に対しては環境そのものの劣化が資源そのものを減らしているという面と2つあると思うのですけど。そこら辺はある程度漁獲高の中でどれくらいの割合が現象に寄与しているとかいうような分析はされているのですか。

【農林水産省・丹羽企画官】    先ほどもちょっと座長のほうのお答えで漏れていたかもしれませんけど、確かに今言われましたような漁場の劣化といいますか、例えば私どものほうで水産物を育んでいるというような話のときに、藻場、干潟というような言葉を使って、そういった藻場、干潟が非常に消失しているという現状もありまして、そういった面から漁獲量が減っているということは容易に判断できるのですけども、そこのところの因果関係といいますか、その消失面積に伴ってどれだけ漁獲量が減っているかというところまではちょっと解析的なものはできていないという状況ではありますけど。

【堀委員】    以前に海岸中期ビジョン懇談会で、4省庁で豊かな海と自然環境について議論をしたとき、漁獲高が落ちたのは、取り過ぎではなくて、環境諸条件で、山、川、海に連続した問題であるということでした。ダムとか堰とかその砂防、いろんな形で海岸浸食という問題がものすごく深刻であるということです。潰滅的な海岸浸食で年間18ヘクタールなくなっていくというような問題は、農林水産省と国土交通省とで海岸について調整した国土計画のようなものを話し合ってやっていくような方向がないといけないと思います。どんなに水産庁がすばらしい政策を考えても、海岸がなくなってしまっては意味がないのです。今後ともそういう各省庁の調整における国土計画が特に海岸域においては重要じゃないかなと考えております。

【吉田主査】    国土交通省のほうで今の堀委員のご指摘、これはかなり常識的になっていることでもあるかと私も思うのですが。私の見る海岸、私の勤め先の隣は駿河湾なのですが、これは安倍川にできている砂防ダムの結果でかなり砂浜が細くなりつつあるということが起きておりまして、今になくなるのじゃないかと心配しているのですがどうですか、まあ冗談ですが。

【国土交通省・笹川課長補佐】    国土計画の中に海洋・沿岸域を含めて考えて、総合的な施策を打つべきではないかという問題意識は、旧国土庁の時代になりますけれども、昭和50年代から我々も持っておりまして、全国総合開発計画の中では、3全総のときから、海洋・沿岸域についての大きな施策の方向性を書いてございます。ただ、個々の問題、地域となりますと、そこにはいろいろな領域、活動がありますので、各沿岸域で、国、地方公共団体、利害関係者を含めた協議会を作りまして、個々の課題を洗い出した上で総合管理計画を策定する必要があるのではないかというのが、現在の5全総の考え方でございます。ですから、全体的な国土計画の観点からの計画策定の必要性という問題意識は持っておりまして、そのための支援もしておりますけれども、正直なところ、今のところは必ずしもうまく回っていないというのが実情でございます。

【橋口委員】    ちょっと関連して、例えば有明海のああいう問題がある場合、国と地方との関係ですね。今どういう関係になっているのか、地方の、それから業者とのいろいろ関係もありますし、地方公共団体が自分で何か推進したいというのがありますし、予算は多分国が出すと思うのですが、その辺の行政の調整というものは、今どういう関係になっているのでしょう。

【国土交通省・笹川課長補佐】    有明海の個々の問題についての話と考えてよろしいのでしょうか。

【橋口委員】    例えば有明海というような、ああいうものが今非常に大変な問題になるのですが、あれは公共団体の問題なのか、国の問題なのか、そのあたりですね。

【農林水産省・丹羽企画官】    工事をやっているほうも、被害を受けているほうも、言われているほうも農林水産省だと思いますが、ちょっと今のお話のところでは、今参っているのは水産のほうの企画ということで、ちょっと担当外なものですから、そこのところはお話に即答できる状態ではないことをご了解いただきたいと思うのですけれども。
いずれにしましても、今水産庁のほうで、有明の問題については科学的な調査を実施中だということで、その調査結果等を判断した上で、その問題については対応していくということになっておりますので、ちょっと今何か即答できる状態ではないのですが。いずれにしろ県を越えるような大きな話であれば、先ほど国土交通省のほうからもありましたように、国が調査や、いろいろなことをやっていく必要があるのだろうとは思っておりますけれども。

【吉田主査】    とりあえずよろしゅうございましょうか。議論し出すときりのないような大きな問題です。

【国土交通省・岡部室長】    有明の話についてはお答えできないのでございますけれども、港湾整備の関係についてご参考になるかどうか、港湾管理者として地方公共団体さんが一時的に事業主体になりまして、それについて国としてインセンティブとなる補助を出すなり、計画論での後押しをすると。主としては地方公共団体ということでご理解いただければと思います。
先ほどのお話の中で、例えばいわゆる水質の浄化ということが、海域でも非常に重要なテーマでございますので、事業面では例えば汚泥のしゅんせつなどを行うということ、それから干潟や藻場の造成を事業として行うということ、あとそれから水質、底質の浄化を図るために調査研究をするということをやっています。例えば、いわゆる割石を水中に散りばめた護岸というのがあるのですが、この割石の表面に微生物が付着しますと、海水中の汚濁物質を酸化分解する作用があるということで、こういったところを応用した形での護岸築造によって、その水質浄化を図ると。こんなことをずっと研究などはしていると。要するに、国としては事業主体がやることを根本づけなり、インセンティブ、あるいは調査研究するということでバックアップしていくという、こんな構造を港湾に関してはとっていると理解しております。

【吉田主査】    どうもありがとうございました。各省庁さんからのお話と質疑で、問題がいずれも非常に大きくて、それこそ省庁間にわたる問題がいくつも今ご質問にあったように思うわけでございまして、これからに残された大きな問題かなと思いますけれども、一応省庁さんのお話と、それに対する質疑はここで終わりにさせていただきまして、次のテーマへ移りたいと思います。
  
○議題2  我が国の海洋利用のあり方について

【吉田主査】    我が国の海洋利用のあり方についてというところへ移りたいと思います。私が配らせていただきまして、番号がついていない資料がございますが、海洋利用委員会における審議内容の提案というのです。これ、仮の番号として、続き番号で1−3−4とさせていただきます。ちょっとこれからの議論の方向づけということに関連しますので、これを先に一通りの説明だけをさせていただいて、中身の具体的なところへ入っていきたいと思います。
ここにございますように、この科学技術・学術審議会、それから海洋開発分科会、海洋利用委員会の位置づけという問題が、まずあるかと思います。こういう3つのヒエラルキーのことを位置づけと必ずしも言っているわけではなくて、この位置づけというのは国の海洋政策を議論する上で、こういう現在の組織がどういう位置づけになるのかということが、まず認識として必要かなと思うということです。
それから、その次に認識ということで書いてあることは、少し勝手な言い方も入っているのですが、海洋を生命体的複雑性、総合性のあるものと認識しようと。それから人類の生存の基盤、それは環境、資源、エネルギー、空間という意味で、海洋というのはそういう生存基盤の中でも非常に重要な存在だと。
それから全球的な視野と、海域を接する隣国との関係、海洋法を主に基準とするいろいろな隣国とのや、地球全体の問題があるわけですが、そういうことを常に認識しておく必要があるということ。それから総合的な海洋管理による持続可能な開発という認識も常に意識に置いておくべきもの。
最後には、まことに残念なことですが、海に取り囲まれた国でありながら、昔よりも、あるいは他分野に比較して、この相対的というのは時間的、空間的、いろんな意味合いがありますけれども、現在は少なくともいろいろな意味で相対的に国民の海洋に対する関心は低いと、私は言わざるを得ないような気がしております。
こういう認識のもとに、何を議論していく必要があるかということですが、総合性を意識した海洋政策。これは網羅性ということが1つは非常に大事で、きょう5つの省庁さんからお話を伺ったのも、その重要な一端であるというふうに理解いたしますが、一方でそういうのと違う視点からの各テーマの相互関連や比較評価というようなことが要るであろう。
それから国民にアピールする海洋政策というものを出していく必要があろう。それから200海里体制に対する海洋政策という、これは国際的な上の認識の中でも申し上げたことに関連して、こういうものに反映したようなものである必要がある。それから総合的な海洋政策システムを構築する必要があろうと。総合的な内容をつくるためには、それを構築するシステムが要るのではないか。今までどおりでできるかどうか、これは議論してみなきゃいけないのかなと思います。
  それから、最後になっていますが、海洋政策の追跡評価を行うシステムが構築されると、よりこの海洋開発分科会、これは海洋開発審議会に相当するものというふうに私は理解させていただいておりますけれども、そういうものでの議論や結論がむだにならないという言い方は何ですが、多くの委員の方が貴重な時間を割きながら、関係の省庁の方々が資料を準備されながらされることが意味を持ってくるものであると考えております。
  後でここの中から必要に応じて議論をいたしたいと思いますけれども、ちょっと勝手としたことは、このきょうの委員会の打ち合わせをさせていただいたときに、事務局の海洋地球課のほうでのお話し合いの上のことを基礎にして書いておりますけれども、海洋地球課のほうでご用意いただいたイントロダクション的なお話の資料が1−3−1と、1−3−2にあるかと思いますので、まずこの両資料についてご説明と質疑を行いたいと思います。

 

●資料1−3−1、資料1−3−2および資料1−3−3に沿って文部科学省から我が国の海洋利用のあり方についての議論のたたき台、海洋利用各分野間の関係および海洋利用委員会の今後のスケジュールについて説明がなされた。

 

【吉田主査】    これから一年弱という期間の中でどんなことが全体の委員会として行われ、またこの利用委員会ではどんなことをベースにしながら議論していくかという案のようなものが、今示されたわけでございますけれども、非常に大きなテーマにかかわっているところでもありまして、私もどこからご議論させていただいていいのかよくわからないのでございますけれども、これはやっぱりせざるを得ないといいましょうか。

【小林委員】    すみません。5時までですよね。

【吉田主査】    ええ、5時までと予定しております。

【小林委員】    それでちょっとコーヒーブレークがあるとよろしいかなという気もするのですけれども、いかがでしょうか。

【吉田主査】    いいご提案ですね。この辺でちょっとコーヒーブレークしましょうか。ちょっと暑いし。それじゃ、かなり部屋の中が暑くなっておりますので、大変短いあれですが、5分ぐらいちょっとコーヒーブレークじゃないようですけれども、ブレークを入れさせていただきます。それじゃ5分ぐらいして開始したいと思います。

 
(休憩)

 

【吉田主査】    それでは、申し上げていた時間も過ぎたようでございますので、続きの議論に入りたいと思います。
  先ほどは資料1−3−1、それから2、3につきまして課長さんのほうからご説明をいただきましたが、まずこの3つの資料の内容等につきまして、またご質疑、あるいはコメントをいただきながら始めたいと思います。いかがでございましょうか。

【橋口委員】    海洋の優先順位をつけるという、最後はそうやるべきじゃないかというお話で、全体のそれと相関関係を見て、何を選んでいくかということですが、非常に海洋というのは難しいと思うのですね。知見もわかっていないところがたくさんあると。そういうことからいけば、かなり弾力的に考えていかないといけないのじゃないかということで、例えば先ほどメタンハイドレートをやるのだとおっしゃっていますけれども、何があるかわからないからね。やっぱり安全に取れるかどうかというのもわからないし、掘った後どんな現象が起こるかもわからないし、あるいは経済的に取れるかどうかというのは、もう大変な難題だし、そういうことからいくと、これはFSとしてやるのだとそう言い続けて、ここまではFS、その先はまた別途考えるというような、弾力的、段階的に考えていくと。予算を固定化して、やりだしたら何が何でもやるというふうにずっとという、大体今までそういうケースが公共事業は多いわけですね。予算を取っちゃったらもう次は決まりと。そういうことではちょっと海洋は問題かなという感じがするのですが、そのあたりをちょっとフレキシブルにやれれば良いと思うのですが。

【吉田主査】    今ご指摘のこと、大事な点だと思うのですが、現実問題としてはやっぱりかなり難しい点でもあろうかと思うのでございますけれども、今のようなご意見に対して、お役所のほうとしてはどんなふうにお考えでございますか。

【経済産業省・本城課長】    今お話ありましたけれども、まさにおっしゃるとおりでございまして、私どもも今メタンハイドレートのお話がありましたけれども。

【吉田主査】    はい、1つの例だと思うのですが。

【経済産業省・本城課長】    非常に時間とお金のかかることでございますので、きちっとしたロング・レインジの計画をつくって、やらなくちゃいけないということで、先ほどもご説明しましたように、田中先生に委員長になっていただきました、ちょっと私からご説明するのも僭越ですけれども、まさに一年かけて検討していただいて、この7月にまとめていただいているわけですけれども、やはりその報告書はフェーズ、3つの段階に分けて計画的に進めていくというところが1つのポイントかなと思っております。そういう中できちっとフィードバック評価しながら進めていくということと、報告書の中にはおのおののフェーズごとに、どういった手順で進めていくのかというようなこともきちっとまとめていただいておりますので、そういったことで進めていく必要があるのかなと、私どもも思っております。

【吉田主査】    今の橋口委員のご質問の一番のポイントは計画をしっかりするということもあるのですが、一方でフレキシビリティーが必要だということをおっしゃっておられるように、今私はお聞きしたんですね。そうすると、さっきのフェーズT、フェーズU、フェーズVという計画の、ワンフェーズが終わるごとに、その報告書を私はちょっと見ていないのでわかりませんが、評価とか、最近の大きな計画にはそういう事前評価なり、中間評価、事後評価ということをほぼやっておられますよね。あるいはやることが政府の基本方針に書いてございますよね。ですから、そういうことを実行しておられると思うのですが、そうするとその評価によって、計画が変更になるということも最初に立てた計画のまま10年なり、15年なり突っ走るのではなくて、3年なり、5年なりで出てくる中間の評価で変えていくというようなことは当然前提になっているわけでございましょうかね。

【経済産業省・本城課長】    そういうことです。そのスケジュールの中では当然のことながら中間評価というステップを置いておりますし、それはこれだけの有償資金を投入するわけですから、16年間といいますか、17年間の計画どおりいくはずもないし、正直言いまして、サンプルが成功したといっても、ほんとうにどれぐらい賦存しているかもわからないというような現状ですし、ましてや、それを経済的に採掘する技術というのは、今の段階ではむしろ全くないということなのです。もちろん、この計画どおりいくのは非常に難しいという判断なのですけれども、先ほども言いましたように、あるということが相当見込まれている。そういうものに日本の国として、挑戦していくべきだということで始めたわけですので、当然のことながら、きちっと評価をしながら進めていくということです。

【吉田主査】    そういう点で、私もほかの部門ですけれども、エンジニアリングの一部にかかわっている者として思いますことは、今のお話でもメタンハイドレートの科学的性質を明らかに……。科学というのはサイエンティフィックなといいますか、海洋学的なと、海底地質学的なというか、そういうことではなくて、今回のこの長期計画は商業的な資源として、その調査、採掘等を目指す計画でございますね。

【経済産業省・本城課長】    ええ、そうです。

【吉田主査】    目標がどこにあるかということですね。

【経済産業省・本城課長】    16年までのフェーズV全体として見ますと、先生がまさにおっしゃったように、16年以降商業的な生産を目標にして進めていくということでございます。

【吉田主査】    それが大目標でございますね。

【経済産業省・本城課長】    はい。

【吉田主査】    それによって、例えばそういう評価というものも変わってくるはずでして、科学的なデータを採取するというのと、商業生産が可能になる、施設が提案できるかどうかというのは、かなり落差がある。ご存じのように、私は技術屋だからそういうことも多少わかるのですけれども、落差のあるお話なので……。

【橋口委員】    ちょっともう一点。今の逆でフレキシビリティーというのは、逆にはっきりしないと。でも予算をつけてやってみるというようなこともあっていいのじゃないかと。私は去年、経団連で200海里の利用ということで、1つの例として200海里の遠洋に漁場をつくってみたらどうかと。稚魚を育てる、プランクトンを育てて、やってみたらどうかという提案をして、いろいろ省庁を回りましたね。経済性はどうかとか、いろいろ言われるのですけれども、そうすると何もできない。だけど、成り立つかどうかというやつを、ひとつやってみると。

【吉田主査】    いよいよ、難しい話になってきた。

【経済産業省・本城課長】    橋口委員がおっしゃるのは当然で、一般論として言えば、話は2つあるわけですね。事業の実施については財政支出の効率化とかいろんな意味できちっと評価をして、その評価結果を次のステップに反映していくというのは、かなり全省庁的に行われていると、私も理解しています。ちなみに経済産業省のすべての技術開発プロジェクトにおいては、始まる段階と、中間評価の段階と、最終段階全部のプロジェクトについて外部評価を今義務づけていますね。これはきちっとやっていくということになっています。
  じゃ、将来の構想をどうつくっていくかというのは、これはいろんな次の世代に向けてどういう理念をつくっていくかということなので、この審議会においても、ぜひ海洋開発のこれからの21世紀というか、少なくとも10年間を念頭に置いて議論していただくということなので、ぜひそういったいろんな新しい切り口で、ある程度出していただければありがたいと思っておりますけれども。

【吉田主査】    ほかにはいかがでございましょうか。

【小林委員】    まず、全体として海洋利用委員会における審議内容の提案という、1−3−4という資料の番号がついたものですけれども、これは大変わかりやすくて、全体の目標がわかっていいと思います。この線に沿って議論を深めていければ何らかのプラスになるのではないかなと思っています。それと、たたき台も大変配慮されていて、これから議論を深めていくのに有効なものだと思っております。ご苦労様でした。
  全体的なものは一応そういうことで、ちょっと話が戻るのか、具体化するのか、どちらかになると思いますが、各省庁から資料をいろいろお出しいただいておりますけれども、これに関して、具体的にどんなふうに考えているのか、あるいはこんなことをしたらどうか、あるいはしてもらっては困るみたいな、そんな議論というのは深めてもよろしいのでしょうか。

【吉田主査】    どうぞ。はい。

【小林委員】    わかりました。たくさんあるので、長くなったら途中で切ってください。また次の機会にいたします。
  先ほど資料をいただきました中に、総務省の部分でございますが、これは海上通信では無線ということになるということがございましたが、海上での無線の利用に関しまして、私の場合は市民が使える無線の周波数帯、それから使い勝手の簡素化ということを昔からどうにかならないのかなと思っておりました。
  総務省としては、国産標準化のような形で、例えばアメリカとか、ヨーロッパとか、そのほかの海洋の大変盛んな国で行われているような基準で、マリン周波数、あるいは市民の使える周波数を開放するというようなことは将来的にお考えになっていらっしゃるのかどうか、あるいはもし考えていなかったら、ぜひ検討してほしいなと思うのです。
  なぜそういうことを申し上げるかと言いますと、例えば大変な海難が起きたときに、これは具体的にイギリスで海難が起きたときの例ですが、ヨットが持っている、市民が使える周波数の無線機で、直接救助に来たヘリコプターとも会話ができる。それから救助に来たほかの船、貨物船もそのときは救助に来ましたし、外国の海軍の船も来た、それからもちろん救難のプロの船も来ましたけれども。そういうところで海上でも一般商船とも、あるいは航空機とも、市民の船ともが同じ1つの無線機で話ができるということで、大変救助には大きなプラスになっています。
  ところが、日本ではそれができないという実情があるわけですね。私、これはほかの海の分野とも共通するのですけれども、総務省の電波監理というのが、まだ戦時臨戦下体制の法律のままで行われている、運用されているのではないかなというふうに思います。そろそろもうそういうことを離れて、国際標準化ということを考えていただきたいというのが1つです。
  このときにとても大事なことは、旧運輸省の行政ともかかわりますけれども、決してある1つのものを固定化して、強制的に市民がこれを持たなかったら海に出さないというような固定化と強制化をしないということ。これがとても大事なことだと思います。安全として推奨するのと、法的に固定化して強制化するのとは違いますから、基本的に国土交通省が市民の海の安全とかかわるときには、どうしてもこれまでの例を見ますと、固定化して、強制化して、大変に使い勝手の悪い、高いものを押しつけてしまうというのが現状なわけですから、その辺一緒に現場のところと考えながら、まず無線の海上分野での国際標準化と開放化をご検討いただきたいなと思うのですね。
  それと、3番目のところで、衛星を使ったものと、短波と中波というものがありましたけれども、衛星ですと、いろんな状況で電波が使えなかったり、取れなかったりすることもあるもので、短波や中波を使ったというもので、市民が使えるということも努力をぜひ続けていただきたいなと思うのですね。
  これは余談で全然余計な話なんですけれども、今度のテロがあったときに、私、FENを聞いていたのですが、あるとき、今衛星を使った回線が使えないから、皆さんはラジオとか、ケーブルテレビとか、そういうもので情報を取ってくださいというのをしつこく何度も流していたんですね。それと同じ放送というのが、湾岸戦争のあったときにも、始まる前だったのか、その前後に、いわゆるアメリカ軍関係の人たちに対して、一生懸命そういう放送を流していたと。これはGPSの正確度とも関連してくるのですけれども、衛星だけに頼らないで、中波とか短波という普通の波もぜひキープして使えるようにしていただきたいなと思いました。ちょっと長くなりました。

【吉田主査】    とりあえず、ちょっとそこら辺で切ってよろしゅうございますか。今のご質問に対して、総務省とか郵政関係としてお答えはございますでしょうか。

【総務省・伊丹企画官】    細かいところは、難しいのですけれども、基本的なところはごもっともなところなので、その辺は今後の電波行政を考えていきたいと思います。我々もそういう認識でおりまして、特に海だけに限らずに、周波数をできるだけ公平で、透明な使い方ということを念頭に置いて、今研究会がちょっとずつされていますよね。そういったことでとりあえずはより透明性を上げてどこの周波数をどういう方が使って、どういう効用があるのかということと、あと市民の皆さんから見てどういう使いにくさがあるのかとか、そういうものを含めて、適正な周波数の配置というのを考えていかないといけないと。
  特に海については今ご指摘のとおり、いろいろ大きな船から、小さいプレジャーボートみたいなところまでありまして、今おっしゃられたように義務化すると、無線機のコストがかなり問題になってきて、あと資格の問題があるなど、その辺は規制緩和とかも絡んできますので、今その辺も鋭意検討しているところでございます。
  何分にも、今おっしゃられたように海の場合は遭難安全というのが第1の命題ですから、そういうところから小さな船が漏れないような実効性のあるようなことを考えていかないといけないということと、衛星の利用については、今インマルサットとか、海洋で使える衛星のサービスというのが、あまり大きくは普及していませんけれども、使えるようになったということと、日本の近いところでは、NTTドコモがやられているNスターですね。端末など、海でもある程度使えるというようなことがあるのですけれども、何分コストが非常に高いというのがあって、すべてのものにそういうのをつけるというのはなかなか難しいということで、なれば短波とかそういったものが今後も重要だし、国際的にも短波の重要性というのが認識されていると思います。
  そういった趣旨から、先ほどご説明したような施策で、より利便が向上するような短波のシステムでなおかつ安い。安くなるためにはある程度、そういった標準化というのをうまくやっていかないといけないので、できる限り、陸上のそういった既存の技術というのをうまく利用して、皆さんが海の中で使っていただけるような標準化というのをやっていくというので、まさに今そこを研究しているという状況でございます。

【吉田主査】    ありがとうございました。とりあえず、小林委員、まだおありになるかもしれませんが、また後ほどということでよろしゅうございましょうか。
  今のお話にも関連するのですが、先ほどのご説明の1−3−2の資料ですね。これは海洋利用分野間の関係の各案ということになっていまして、非常にまとまりのいいといいましょうか、分野間の関係を2つの視点から見て、典型的な例のようなものが書き込まれていて、実際はもっと細かく拾い出したら、それぞれの箱の中に項目が非常にたくさんになるようにも思いますけれども、重要なものが挙げられているように拝見いたします。
  この内容が適、不適という話と、まあ不適ということはあまりないと。足りないとかそういうことはあるのかもしれないと思うのですが、これを今後の議論の中でどういうふうに生かしていけるのかということが1つのポイントかなという気もするのでございますけれども。
  結局、従来型で言えば、異分野の間の相関関係になります。ポジティブな意味と少しネガティブな意味との両方になっていると思うのですが、左下と右上の関係でですね。これをどういうふうにこの委員会の中の議論で生かしていくかということが、総合的な海洋政策というものを議論する重要なステップといいましょうか、そんな感じがするのですけれども。
  いかがでございましょうか、委員の皆様方のご意見。

【田代委員】    若干外れるかもしれませんが、これから作業を進めていって、その方向づけ、絞り込みをどういうふうな方向に持っていくかというスタンスなんでございますけれども、きょういろいろご担当のところのお話を聞かせてもらいましたし、次回は専門家からのいろんな分野のお話をというふうなことになっておりますし、ここの利用のあり方のたたき台を拝見しますと、まず基本認識につきましてはこのとおりであると思いますが、前提になっておりますところが、これまでの海洋開発を行うものが、それぞれの立場で海洋を利用してきたという問題指摘がまずありまして、今後これをもう少し総合的に持続可能な利用なり、あるいは保全なりの方向に持っていくべきだという基本。
  この最初の指摘のそれぞれの立場での利用のもう一つの側面としまして、この辺を実施する国の施策間の調整が必ずしも十分でなかったという側面があろうかと思うのですね。この辺がもし当たっているとしますと、これからの方向づけの課題の1つとしまして、これは先生のほうからもご指摘していただいていますように、1つは海洋政策を立案するシステムの構築、もう一つはそれを実施していく場合の目標達成をチェックし、あるいは評価するシステムの構築というのが、1つの重要なポイントになるのじゃないかと思うわけです。
  これはここの2ページ目の目標の重点化というところでも指摘してあるとおりに、実施体制とかスケジュールを明示した計画をつくるということが非常に重要であるし、それをチェックして、それを評価するという、ここでも同じような基本方向が、この海洋開発分科会の結論としても明示してあるとおりなんですけれども。これからの作業の時間の制約も考えますと、この2つのシステムの構築という、ここのところに一応焦点を合わせながら、作業を進めていくというのが1つの大事なポイントじゃないかと思うわけです。
  もう一つは、ここで出しておられます目標の重点化というところで、今個々の事業のマトリックスにまとめた非常にわかりやすいお話がございましたけれども、そういう中からどこに重点を一応絞り込んでいくのかと。これはこの委員会の当初からその辺のウエートづけとかあるいはプライオリティーとか、いろんな議論がございましたけれども、いよいよ具体的な作業に入ってきますと、ここの中身から目標の重点化という基本的な認識に立ちまして、この委員会としてのポイントをもう少し絞り込んでいくという作業が、このマトリックスの中からいろいろ議論しながら導いていくことができるのじゃなかろうかなという感じがいたします。
  だからシステムの構築と重点分野の絞り込みという2つを、これからご勘案いただきながら進めていってもらえたらなという1つの提案でございます。

【吉田主査】    ありがとうございました。
  今のお話の前半にこの資料1−3−1の基本認識の論旨の中で、従来、国の政策そのものにもそれぞれの立場でということが色濃くあったのではないかと。この行うものという言い方で、例えばこれが企業なりそういう専門分野の方々とだけ考えるのでは少し検討が不十分だというご指摘かなという気もしますが、いかがでございましょうか、この点については。

【田代委員】    いや、そこのところは一応追求するということだけでございますから。

【吉田主査】    それはわかっております。どうぞ。

【田中委員】    今の国の施策を実行する。実行する人は民間ですよね。

【吉田主査】    普通は民間ですよね。

【田中委員】    そうですね。それで民間が一番考えなきゃいけないのは、このマトリックスにあるような利害関係の調和だと思うんですね。調整、調和。それで先ほども申し上げましたけれども、海の利用が多様化しているという現状を見ますと、やはり今までのシステムじゃなしに海を利用する、調和が取れた、ここに先生が書かれた「管理された」システムをどうやって構築していくかというのが新しい世紀に向かっての1つの重要なことだと思うのですが。

【吉田主査】    なるほどね。

【田中委員】    そういう意味で、このマトリックスをあまり細かくつくってもあれだと思うのですが、これを見ましてもいろいろと起きているところがありますよね。例えば鉱物資源と生物資源との間には空間の重複というのが非常にあるわけですよね。

【吉田主査】    そうですよね。

【田中委員】    そういうふうに見ると、すべてどうやって調和を取るかということに尽きるだろうと思うのです。そうなると漁業権といったものをどういうふうに考えればいいのかというところに関係するかもしれないですよね。

【吉田主査】    関係してきますよね。特に我が国は独特の漁業権の考え方で、外国ではあまり例のない考え方だと聞いておりますので、今おっしゃったような問題も個別問題としてはあるのでしょうね。

【田中委員】    言葉として揚げ足取りで恐縮ですけれども、これ人類の生存基盤としてありますけれども、もうちょっと広げて生物の生存基盤としての海洋なんじゃないかと思うのですが。

【吉田主査】    なるほど。
  私がそれを最初に書いたのは、と言っても、こういう言葉はいろんなところに書いてある言葉でもあるかと思うのですが、人類でいいのではないかと思うのは、人類は私の個人的な感覚では、全生物まで責任は取れないと思っておりまして、人類は人類の生存に関しての責任範囲までぐらいが人類が考えられる精いっぱいで、生物の全部ということは自然界全部ということになるのですが、自然界全部を人間の視野の中に入れるのは逆におこがましいというか、とてもできないという感じで、だから人類が人類の滅亡につながることをやっているのだったらいたし方ない。別に地球がそれで、いや全生物が絶えるわけでは、私はないと思いますね。別の存続があるのだろうという気もしますので、ここではある種の制限を設けるという意味で人類のというふうな言い方でもいいのかなと思っていたのですけれども、いかがでしょうか。

【田中委員】    深海の微生物の話が出ていますので、松永さんもご意見があるだろうと思うのですが。

【吉田主査】    ほんとうですね。ちょっと私なんかが非常に勝手なことを言っておりまして恐縮なんですが、いかがでございましょうか。

【松永委員】    結局、環境ですよね。人に引きつけて考えれば、人類の生存に必要な環境で、環境だって全生物が入ってくるんだというところなので、そこのところはあまりストリクトに議論しなくてもいいような気がするのですけれども、私は。

【田中委員】    別にこだわりませんので、どうぞ。

【文部科学省・大塚課長】    事務局からぜひ、ちょっとご議論いただきたい点が1つございまして、今後絞り込みをするにしても、一応、各利用分野全体を見て、その中から重点分野を決めていくという、その利用分野の中でのプライオリティーもあるでしょうし、利用分野と利用分野の間のプライオリティーもあると思うのですが、そういう作業になるかと思うのですが、資料1−3−2のところで、利用分野の分類という、8つとりあえずやったのですが、これに関してはどうでございましょうか。要するに分類ですね。これが抜けているとか、これがないとか。

【吉田主査】    これは最も基本的なことの1つでございますね。この分野の分類は足りているかどうか。

【松永委員】    僕はちょっと今の件で気がついたのですけれどもね。資料1−3−1と、それから資料1−3−2では、今度も生物資源、鉱物資源という話で、材料とか化学物質とか、その辺がずっと欠如しているんですよね。僕はそこは入っていたほうがいいかなと。要するに資源エネルギー、特に経済産業省の範疇になるのかもしれないけれども、資源エネルギーとか来ているけれども、材料とか、物質とかそういう考え方があまり入っていないですよね。やっぱり海で材料開発というのは大事なんじゃないかなと。

【吉田主査】    そうですね。

【松永委員】    例えば国でも今材料とかナノテクというのは1つの重点分野になっているけれどもどこにも入っていない。

【吉田主査】    最重点分野の1つですね。

【松永委員】    あと、いろんな新しい産業をつくっていくとしたら、そういうことは結構重要なのに、どこにも読めなかったので。例えば循環型社会だったら、バイオプラスティックみたいなもの、いろんな生分解のプラスティックの問題もあるだろうし、いろんな海の材料がありますよね。船の材料とか、それからプラスティックの船とか、あらゆるところにすごく市場が大きいような気がするのですけれども、そこの観点がちょっと入っていないので、入れていただいたほうがよいでしょう。鉱物資源ということで、無機的な物は入っているのですけれどもね。

【吉田主査】    ここで読めばいいということですね。なるほどね。

【経済産業省・本城課長】    今の先生のご指摘ですけれども、材料ということで言えば、2つの切り口があるわけですね。いろんな材料をつくっている、あるいは新しい新素材を開発していく、そういう中で海洋資源といいますか、そういったものを利用していくという切り口が1つ。具体的には海洋の深海底鉱物資源の中にはいろんなレアメタルとか金属鉱物があるわけなので、そういった金属源を使って新しい材料の開発をしていく。あるいは海洋の微生物の持ついろんな特性を利用して、バイオ技術を使った材料開発をしていくというのが1つあるわけです。
  もう一つは海洋を利用するに当たって必要な材料を開発していくという面があろうかと思います。これは例えば石油の掘削なんて、あるいはプラットフォームなんかもつくるのにそういった厳しい条件の中で新しい材料をつくっていかないと、なかなかそういった利用がうまく進んでいかないといった両面があると思います。
  そういう観点で現実に我々経済産業省としても、さっき全体の中でご説明しましたように、いろんな海洋構造物を安全なり、強固にしていくための材料開発とか、現実にこういったレアメタルをベースとした技術開発とかいろんなことはやっているのですけれども。
  ですから、あとは整理学の問題だと思います。どういった利用分野でどういった材料が必要で、そのための材料を開発するというのは、現実にはこういったいろんな分野の中に入っているわけです。それを横串的に材料開発ということで列挙するのがいいのかどうか。そういった整理の仕方の問題だと思います。

【吉田主査】    これは事務局のほうでは、選ばれた時点で今の材料のお話はどんなふうなお考えでこういう分類になったのでございましょうか。

【文部科学省・大塚課長】    今本城課長がおっしゃったように、この中に我々は分かれているのかなと思っていたのですが。例えば微生物利用というのは一応生物資源のところに入れましたが、海を使って材料開発をするというのはちょっと思い浮かばなかったものですから。むしろ掘削のときの材料とか、あるいはさっき先生がおっしゃったバイオプラスティックみたいな話はここの船舶ですと、とりあえず沖合海上輸送のところの問題点として書くのかなと思っていた。そういう意味ではスペシフィックに材料を挙げるべきかもしれません。

【松永委員】    やっぱり1度、具体的な分解プロセスという話をしたけれども、例えば生物付着の、貝がつかない材料とか、ああいうのはやっぱりそれなりに大きいのではないかな。それから今ボートを使っているFRPなんかがありますよね。ああいうのはどんどんできて、余ってくるという問題も。そこの観点が入っていないと循環型社会は考えられないのじゃないか。

【吉田主査】    なるほどですね。

【文部科学省・大塚課長】    そうしますと、材料というよりは、海における循環型社会実現のための施策とか、何かそういう分類でしょうかね。

【経済産業省・本城課長】    私どもも、材料の分野というのは非常に重要な分野でありまして、さっきご説明した中でもいろんな予算を使って、石油の構造物の材料開発はかなりやっているんですね。だけどこれは海洋利用における分類ということで、生物分野とか、資源エネルギー、そういう分け方になっているので、この分け方とはちょっと次元が違うのかなということで、別に材料が重要でないとかそういう意味では全くなくて。ですから、整理学の問題なんだと。これは事務局で相談しながら、どういう整理をしたらいいのかいう問題だと、私は思いますけれども。

【吉田主査】    材料のお話は、とりあえずはあちこちにばらけて入っているということで、最終的に取り上げるかどうか、ちょっとペンディングにして、今の時点でここへ新たにつけ加えるかどうかは、もう少しお話し合いが多面的に進んだ上で、またこれを変えることはいくらでも可能だと私は思いますので、とりあえず今の時点では生物資源とか鉱物資源とか、廃棄物処理とかというような段階に材料の問題が分かれて入っているというようなご説明で、一応はこのままにしておいて、必然性が強くなったら新たにつくるということにとりあえずしたいと思いますが、それでよいでしょうか。

【橋口委員】    この海洋性レクリエーションと生物資源と、そのあたりがちょっとうまくぴったりと来ないなという感じがするものは、例えば干潟とか、それから海岸の砂浜とか、そういうものはレクリエーションで、直接それも生物資源にするということでもないし、だけど人間に役に立つというようなものをどこに分類するかというところが難しいなと思って。

【小林委員】    今のご発言とも関係しますけれども、そういう基本の上の立って、海のレクリエーションがあるのですが、この中で大変気になっていることが1つあります。海洋性レクリエーションの一番右から2つ目のところに、航行の安全への影響というのが書いてございます。これはデメリットのほうとしてあるのですけれども、>港湾審議会なんかでよく問題にされるのですが、これははっきり言うと基本的な認識の間違いだと私はいつも思っています。
  と言いますのは、道路を走るのに、自家用車が走ったら道路の交通行政は乱れるという考え方は通用しないわけですよ。マリンレジャーの場合は自家用の船がヨットということですから、形ではなくて、用途による分類によって、ヨットという名称があるわけなんです。ですから、貨物船は走っていいけれども、あるいは小さいはしけは走っていいけれども、同じ大きさの個人が持っているヨットは航行の安全上まずいという考え方は成り立ち得ないものだと思うのです。ですからこれはぜひ消していただきたい文字であるのです。昔の運輸省の方々もこの辺の認識をぜひお改めいただきたいと思っております。
  それがないと、海洋国家の基本が成り立たないんですよね。市民がいろんな形で海にかかわる。浅瀬でもいいし、海の上でへ出ていってもいいし、そういうことがあって、その上にさまざまな教育であれ、科学であれ、産業であれ、いろんなものが花咲くわけですから、その基本の認識をぜひ変えていただきたい。これは先ほどおっしゃった国の方針の基本的なスタンスというのにも共通する部分だと思うのですが、市民が海とあらゆる部分で直接的にかかわれるというスタンスの上にでなければ、海洋のいろんなものの議論というのは成り立ち得ないのだと思います。

【橋口委員】    先ほどちょっと小林さんと話したけれども、やっぱり海洋へのアクセス、海岸へのアクセスというのが今欠けているのではないかという話があったのです。そういうアクセス。砂浜とかアクセスとか干潟というのはどこに入れたらよいのか。

【文部科学省・大塚課長】    そこは一応、5番目の沿岸空間の利用ということで、入るかなと事務局としての分類はしておりました。今小林委員の航行の安全の影響の点ですが、これは国土交通省から出た意見ではなくて、海洋地球課の中でどういうことがあるかということを列挙しただけですので、必要な修正をさせていただきます。すみません。

【国土交通省・岡部室長】    今の話に関連しまして、国土交通省で現在おっしゃったヨットとか、あるいはモーターボートとか、多くの国民の皆さんが海に親しみ、プレジャーボートに親しむんだと。こういう仕事を進めたいということは基本思想としてございます。
  ただ、水上バイクによる事故とか、子供さんがライフジャケットをしていないがために海に落っこっちゃって不幸な事故が起こるとか、海を使う全員にとっての航行の安全をいかに確保したらいいかという仕事がある。
  海を楽しんでいた方々の生命、身体の安全を一般国民の方々を念頭に置いて、それをどう確保したらいいかという問題だというようなことは、仕事の一部としてございます。いずれにしてもご指摘を踏まえて、文部科学省さんのほうと強くここは論点の扱い方をご相談申し上げられるかと思っております。

【小林委員】    すみません。ちょっとこの本題から外れるのですが、今のご発言でちょっと聞き落としてはいけない部分があったので申し上げたいのですが、子供がライフジャケットをつけていなかったから、海に落ちて亡くなったという不幸な事故があったというご指摘があったのですが、私はそれをもとにして、ライフジャケット着用を強制、義務づけるという法制化といいますか、システムづくりが進んでいるのを大変懸念しているのですね。これは海と人とのかかわり方の基本とは相反するものなんです。基本を言うならば。
  ごめんなさい、余計な話になって。人間は海の上に出ていくということは危険なんです、もちろん。これはほんとうに危険なんです。そういう認識の上に立って、どうやって航海するかというために今いろいろみんながやっているわけなんですね。ライフジャケット着用義務化というのは、私は反対です。なぜかというなら、ライフジャケットをつける必要があるかどうかというのを判断するのは、船長の判断なんです。普通の一般市民がもし、それだけの安全の教育を受けていないというならば、関係省庁がやるべきことは安全教育をだれでも簡単に受けられるようにすべきことが安全教育の徹底なんです。ライフジャケットの義務化じゃありません。これは本末転倒です。
  もしもそういうことが必要であるというならば、むしろ市民の船よりも、漁船の人たち、漁業に従事する人たちに安全服とか、冬の海に出ていくためのドライスーツとか、そういうものを法律で必ず人数分用意しなさいとか、そういうことのほうがむしろ必要なんですね。絶対に海の上の安全というのはライフジャケットをつけていたからといっても確保されないんです。
  むしろ暑い真夏の油照りの日にライフジャケットなんかつけていたら、暑くて動けないんです。船の作業ができなくなっちゃうんです。じゃ、子供たちをどうするか、老人をどうするかという問題も出てきますから、これはその場に応じて、先ほど砂防ダムのときにちょっとお話があって、すごくいい指摘だと思ったのですが、個々のケースに基づいて、具体策を打ち出すということをおっしゃっていましたけれども、まさに海の上ではそれが必要なんですよ。
  ですから、私は大変にこのライフジャケット着用義務化というのは懸念しておりまして、これはさせてはいけない法制化だと思っています。海の本質というのは、そんなことでは解決できないことなんですね。趣味の海へ出ることというのはもうちょっと基本のところでとらえていただきたいと思うのです。余計なことをここでお話ししてしまったのですけれども、とても大事なことなので。

【吉田主査】    考え方に関する基本のところでございまして、ただし、この委員会としては関係ないのでは。

【小林委員】    全然関係ないです。別のことです。

【吉田主査】    そういう個別のお話は全部やるということではないというご理解はいただいているので、ありがとうございます。

【田代委員】    ちょっと質問してよろしいですか。
  資料1−3−2の最後のところで空間に対して矢印で説明してございますが、この2番目は鉱物資源ですね。鉱物資源のところは200海里のところでとまっておりますけれども、これはマンガン団塊とか、熱水鉱床とか、この辺はもっと世界的に、今もう既に実際の仕事も進んでおりますから、一番右側まで、ぜひ公海まで伸ばしていただきたいと。

【文部科学省・大塚課長】    先ほど本城課長からもご指摘がございました。右のほうに伸ばさせていただきます。

【小林委員】    ついでに、今の図ですと、生物資源のところも陸部まで延ばしていただきたい。なぜかと言いますと、漁業資源保護のために森をつくる、山に木を植えるというのが日本でも行われていますし、これは歴史的にそういう事実があるので、ぜひ点線でも結構ですから、延ばしていただけるとありがたい。

【文部科学省・大塚課長】    関係があるということで、点線で延ばすことにしましょう。

【小林委員】    はい。

【吉田主査】    今までのお話で、非常に分野が広範であるということと、それらがインタラクティブの度合いというのが非常に濃いわけでして、これはある意味で初めから予想されていることであるのですけれども、海洋利用というのをどう考えていくかというのを、いや、どのような判断を、あまり細かいことよりも大きな視野での判断というふうにも思っていますけれども、それも価値観の問題にも絡みますし、それからいろいろ影響の広がりの広さから、なかなか判断がしにくいところなのですが、それをやっぱり議論せざるを得ないと思います。
  さっき田代委員のまとめ的なご発言は、今のような現状に関して矛盾とかいろんなことがいっぱいあるけれども、議論すべきはどうやってその矛盾を少しでもなくすような政策を立ち上げるシステムをつくるかということと、それから何を重点と思うかということを議論すべきだとさっきのご指摘でおっしゃったと覚えておりますけれども、私も実はそのように思います。個々のことを挙げていくときりのないお話にもなるわけでして、きょうはそういう議論が次回の有力な議論の対象であるということだけを確認するということで、総合的な海洋政策づくりを議論するのに、どんなプロセスがいいのかということを議論することはきょうはなしにして、次回にさせていただきたい。
  そして、またどんな観点から重点と思われるものを考えるか、個々の重点的なテーマそのものの選択ということじゃなくて、やはりまずは考え方のような気がするのですけれども。結果は別の機会でもいいと思うのですが、そういうプロセス、さっき田代委員のご指摘になった2つのテーマを次回の論点にしたいと思います。
  あと、きょうの関係省庁さんのご提案というのは、現在既にやっておられるもの、あるいは近未来的におやりになろうとするもののご説明だったわけですが、これは非常に有力な素材を提供していただいていると思いますが、まだ足りないところがいくつかあるであろうということで、先ほど大塚課長のほうからもご指摘があったように、分野的には資料1−3−1の資料の最後のところに海水利用分野、海洋エネルギー分野、沿岸空間利用分野、廃棄物処理分野というふうになっています。
  それから招聘する専門家の方からこういう分野でのお話を承って、きょうの前半のような審議するソースを得るというお話で、短時間ですが、官庁以外の方にお話を少しずつしていただいて、そういう分野を広げようということは有効だし、必要なことかと思いますけれども、よろしいでしょうか。どういう分野のどういう方というのは、今から少しご議論するとして、基本的な進め方としてよろしゅうございましょうか。

【文部科学省・大塚課長】  今ここで、これにとらわれず、こういう人、あるいはこういう分野をぜひここに書いてある以外で聞きたいということがあれば、ぜひ言っていただければその方向で考えます。
  それともう一つお願いですが、先ほど田代委員からシステムの話と重点化の2つのご提案がございましたが、時間的に非常に限られていることもあって、システムのことは、ぜひご議論いただきたいのですが、優先順位としては、この重点化の議論をぜひここで集中してやらないと、それはほかのところではちょっとできませんので、システムの話はある程度していただいた上で、それを運営委員会に上げて議論するという全体の進め方を取らせていただきたいと思います。
  それと聞きたい専門家と、もう一つ重点化も、きょう大体各省からお話を聞いていただいた中で、あまり細かいものを挙げていただいてもなかなかやりにくいと思うのですけれども、資料1−3−1の議論のポイントの最後にある国民が海洋政策を身近に実感できるようないくつかの説得力のある重点化された柱。それがこの委員会として外に出たときに、非常に国民にわかりやすくて、説得できるそういう重点分野の柱を、具体的にこういうのがあるのではないかというのを各委員からコメントいただければ、非常に我々の作業がやりやすいので、ぜひどんな手段でも結構でございますので、事務局のほうにコメントいただけますでしょうか。

【吉田主査】    次の機会に専門家の方のお話を聞くことに関して、委員の皆様方からご提案はございませんでしょうか。
  事務局のほうで一応お考えになっておられることがあるように聞いておりますが、それではご提案をしていただけますか。

【文部科学省・大塚課長】    今例えば海水利用、それからエネルギー分野ということで、海洋エネルギー、深層水利用等の知見が深いと聞いておりますNEDOの調査専門委員で、前東芝の電力システム部長さんだった渡辺裕さんという方を考えてございます。
  それとあと、沿岸地域計画では、知見が深いということで、神戸大学の黒田勝彦先生を考えてございます。それと廃棄物処理分野というのはちょっとあまり今のところ知見がなくて、これは関係省庁とも相談して、だれか人を探したいと思っております。
  今申し上げた3名ぐらい、次回考えてございますが、もしこういう人がいいということがあったら、ぜひうちの局までお知らせください。また関係省庁からもご推薦があればぜひお願いいたします。

【吉田主査】    それじゃ、今ご提案のあったうちで、時間のこともありますから、3名ほどのお話を伺おうと。お2人につきましては、渡辺さんと黒田さんにはお願いをするということでよろしゅうございましょうか。
  それでは、そういう方向でお話を進めてくださいませ。そして今の最後の部分についてはこれからご検討をいただき、また委員の方々からどなたか思いつかれる方がありましたら、ご提案をいただいて、事務局のほうで進めていただければと思います。
  お話はあまりまとまりのいいことになっておりませんけれども、ほぼ予定の時間が来てしまっておりますが、事務局からあと何か事務的なことでお話いただくことはございましょうか。

【文部科学省・大塚課長】    1点だけ、11月の第3回、第4回の日程を決めたいと思いまして、委員の皆様にはこういう用紙を配っておりますので、これを早急に記入していただいて事務局まで提出していただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

【吉田主査】    それでは、今のようなお願いをよろしくしていただきたいと思いますが、きょう長い時間、大変熱心なご討議いただきました。ありがとうございました。これでお開きにさせていただきたいと思います。どうも、お疲れさまでございました。

 

(研究開発局海洋地球課)

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