科学技術学術審議会

2001/10/19 議事概要

第２回海洋利用委員会議事概要

４　議題
    海洋における廃棄物処理について
    海洋エネルギー・深層水利用について
    海賊問題の現状と我が国の取り組みについて
    我が国の海洋利用のあり方について
    海洋利用の重点化のための仕組みについて
    その他

５　会議経過
○議題１　海洋における廃棄物処理について
嘉門教授からランドフィル島構想を中心に廃棄物処理について説明がなされた。
委員からの質疑 コメントは次のとおり。

• 廃棄物を海中に埋めるだけでなく、高く丘にして森林を作り自然に近い状態にすることには共感できる。新たないい環境を作り出すことを提案したい。（小林委員）
  
• 廃棄物は負の遺産と位置付けられているが、このように積極的に活用することを考えなければならない。（橋口委員）
  
• 浚渫土や廃棄物は汚染を防ぐための前処理をすることとしているか。（吉田主査）
  
• 正確には浚渫土は廃棄物ではないが、鉛汚染やダイオキシン汚染されているものもある。ランドフィル等構想では水面下は建設廃土のような無害のものを使い、地上は廃棄物ごとに管理し格納することを考えている。（嘉門教授）
  
• 海域を通して汚染が広がらないことは前提条件として重要なことだと思う。（吉田主査）
  
• 潮流の変化等の考察もされているか。（小林委員）
  
• 潮流や大規模気候変動等の解析は行っている。（嘉門教授）
  
• これからの日本の空間利用は水平から垂直の利用になると思うが、地下も含めた立体的な利用について危険性はどうか。（栗林委員）
  
• 廃棄物を無秩序に地下に入れることは危険である。いろいろなリスク、シナリオを検討しなければならない。（嘉門教授）
  
• 東京湾にこのような島を置くことによって循環装置の役割を果たすか。（堀委員）
  
• １００％循環させることはできないが、３０００ｈａの海面を使って島を作る以上の改善はある。（嘉門教授）
  

• 深層水利用について
  渡邊調査専門員から海洋エネルギー
• 深層水利用について説明がなされた。
  委員からの質疑
• コメントは次のとおり。
  
• 深層水を発電所に利用するとなると莫大なお金がかかると思うが誰が負担するのか。（橋口委員）
  
• 配水管の設置には１００億円程度かかり、発電所が負担するのは難しいが、深層水の場合さまざまな利用ができるので、最終ユーザーにも一部負担していただくことを考えなければならない。複合的な利用によって経済的なインセンティブも出てくるのではないか。（渡邊調査専門員）
  
• 間接的な経費として漁業権の問題もある。（橋口委員）
  
• 例えば、磯やけ修復のような水産事業や民生事業からスタートすることによって、解決できる可能性があるのではないか。（渡邊調査専門員）
  
• 漁業権以外にも許認可があるのではないか。（堀委員）
  
• 許認可については県が行っている。現在は県や市が事業主体となっているのでうまくいっているようだ。（渡邊調査専門員）
  
• 海洋深層水を全体としてどのくらいの量とることになるか。また、バランスの問題はどうなるか。（小林委員）
  
• 海洋深層水を取水している水深は３００メートル程度で、海洋大循環を起こしているものではなく北太平洋循環水という３０年程度で循環するものである。また、仮に日本全体の発電を海洋深層水にしても気候変動への影響はほとんどないという調査がある。（渡邊調査専門員）

• コメントは次のとおり。
  
• 日本の輸送中で海上輸送の割合、また、東南アジア海域の割合はどうか。（奥脇委員）
  
• 世界全体の海運のうち４割程度は東南アジア海域を通過していると記憶している。正確な資料については後ほど国土交通省と相談し報告したい。（外務省）
  
• 国際機関との関係はどうか。（奥脇委員）
  
• 世界海事機関（ＩＭＯ）の中でも海賊問題は大きな問題として扱っている。昨年くらいからＩＭＯの中でも地域の事情に応じた地域協定を作るべきとの議論がなされている。（外務省）
  
• 海賊対策味か協力会議の詳しい資料を出していただきたい。外務省の話だと貨物や船体に重きを置いているようであるが、人命に対する配慮が重要。外国船籍の船に乗っている日本人の問題をどのように解決するかについても考慮する必要がある。（小林委員）
  
• 海洋研究においても観測機器の破壊といった被害が急増している。海洋研究
• 基盤整備委員会でも議論すべきことかもしれないが、こういう面もある。（文部科学省）

• コメントは次のとおり。
  
• 海洋開発分科会のあり方とも関わるが、一人一人の市民と社会と海とのかかわりを、海側からどのように提案するかを考えていくべき。（小林委員）
  
• 排他的経済水域は領海ではないので、日本が独占できることは限定的である。全てが排他的に処理できるわけではないために難しい問題があることを認識しなければならない。（栗林委員）
  
• 浮体構造について、安全性や海底への影響はどうか。（小林委員）
  
• 安全性については工学的に進んでいる。また、環境について、大型浮体構造物の実験から藻場の形成など魚が増えたということもあり、環境影響についても大丈夫である。（橋口委員）
  
• 目次案の３に海洋保全との調和ということは分りにくいので、環境という言葉を入れたほうがよい。また、答申を実行していく仕組みは重要であると思う。（栗林委員）
  
• 海洋利用委員会は非常に広い範囲を議論することになるので、仕組みについて議論するには他の委員会より関連が深いのではないか。海洋開発分科会での議論の一時案のようなものを提案してもいいのではないか。（吉田委員、小野委員、堀委員）
  
• 海洋利用委員会は現実的な枠内での利用を検討しているという性格から、利用に伴う具体的な守るということで、海洋保全委員会から多分出てくるであろうグローバルな保全とは違うものが出てくるのではないか。最終的な調整は必要であるが、それぞれの視点で検討するのであるから個々の委員会の報告書が多少整合性を欠いてもいいのではないか。（奥脇委員、小林委員）
  
• わからないからやらないというのではなく、フレキシブルにフィードバックできるシステムを構築すべき。また、廃棄物の問題は１年２年という喫緊の問題である。また環境問題は海洋保全委員会の問題かもしれないが、きちんと考えなければならない。
  
• 汚染の問題は海洋保全委員会のメインの一つとして取り上げられると思う。廃棄物処理については、資料２−６−２の４．３の沿岸利用に入るのではないか。（吉田主査）
  
• 人材、教育、広報の問題も大事である。（堀委員）
  
• これらについては海洋研究
• 基盤整備委員会で取り上げることとなっている。（吉田主査）
  
• 資料２−６−２の４．３にウォーターフロントも含まれると思うが、水側と陸側両方含まれると考えたとき、原則的に自然の海岸線を残して利用することを加えてほしい。また、４．４で海上技術者への支援、４．５で箱もの開発だけでないことを明確にしてほしい。（小林委員）
  
• 海洋汚染防止については、海洋利用委員会でも必然的に触れる必要がある。海賊や事故による汚染も考えられる。（栗林委員、小林委員）
  
• 「自然との共生を視野に入れた」という視点を入れるべき。（堀委員）
  
• 海洋汚染防止については、資料２−６−２の３．基本的考え方か４．に新たな項目を作るかで対応したい。（文部科学省）
  
• 仕組みの問題について、何か仕組みがないと我が国の国益を損なうことになる可能性がある。目次案の６．として仕組みについて追加することを海洋利用委員会の結論とすることとしたい。（吉田主査）

（研究開発局海洋地球課）

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