科学技術・学術審議会

2001/10/1 議事概要

第１回海洋利用委員会議事概要

• 海洋開発と技術開発が一緒に議論されているということでよろしいか。（橋口委員）
• 日本の海洋開発全体を視野に入れた会議は海洋開発分科会以外になく、この中で海洋利用委員会は特に海洋利用分野を対象とすると考えている。（吉田主査）
• 経済産業省におけるエネルギー施策と関連して、深海分野では文部科学省の海洋科学技術センターでも研究がされており、情報交換をしているか。（堀委員）
• 文部科学省の成果も生かして経済産業省の施策を進めていっている。役割分担としては、文部科学省では地球の大きな構造の解明をし、経済産業省ではそれをベースに資源利用分野に利用している。（経済産業省本城課長）
• メタンハイドレートに関連してもう少し具体的に言うと、海洋科学技術センターでは地球深部探査船の開発をしているが、このときメタンハイドレートの試掘が可能かどうかを検討している。（文部科学省大塚課長）
• 国が本格的にメタンハイドレートの開発をすることとなったきっかけは何か。（吉田主査）
• 昨年御前崎沖でメタンハイドレートのコアが採取できたことがひとつある。（経済産業省本城課長）
• 平成６年６月に国の基礎調査の今後のあり方で平成７年度から開発を開始することが提言された。（経済産業省市原課長補佐）
• 我が国が利用に関して前向きになったのは、資源としての量と技術が伴うだろうと、また、環境影響に対してそれほどシビアにならないだろうという見通しが立ったということか。（吉田委員）
• 石油の中東依存率が高まる中、メタンハイドレートは純国産資源として開発できる可能性があるので、エネルギーの安定供給というメリットがある。環境政策の中でも天然ガスは環境負荷が少ない。技術的にはまだ多くのハードルがあるが、計画的に進めることによって乗り越えられると考えている。（経済産業省本城課長）
• 離島は国土と考えるのだろうが、海はどこまで国土と考えているか。（橋口委員）
• 沿岸域としてはどのような活動に焦点を当てるかによってその範囲は変わってくるものと考えているが、最大限ということであれば排他的経済水域までを考えている。（国土交通省笹川課長補佐）
• 原則、排他的経済水域まで含めて考えるべき。
    また、メタンハイドレートの環境問題について、自然現象としての環境問題は考えず、産業活動としての環境影響は最小化する努力をするとしている。メタンハイドレートによる環境問題はいろいろな側面があるので、すべてを含んでいるわけではない。（田中委員）
• 海洋深層水のエネルギー利用について、もうすでに結論が出ているのではないか。（松永委員）
• 温度差発電についてではなく、冷熱利用での利用である。（経済産業省本城課長）
• 各省庁での説明であったが、一緒にやるべきものが多いのではないか。例えば、資料１−２−３の最後にあるゲノム情報に関しては環境だけでなく食料等いろいろな分野に関わるものである。（松永委員）
• 松永委員の指摘はこの委員会の重要な論点と考えている。（吉田委員）
• モーダルシフトについて、今でも推進しているか。（小林委員）
• モーダルシフトは自動車交通から鉄道や海上交通に輸送のシフトを行う施策である。もともとは労働力不足から効率的な輸送をするための施策であったが、最近は京都議定書やNOx等の環境問題の観点からも重要になってきている。
• 資料１−２−４にメタンハイドレートの輸送というものがあるが、まだガスとして採集もできていないのに輸送が必要なのか。（橋口委員）
• 後日資料を送付させていただきたい。（国土交通省岡部海洋室長）
• 水産業の消費量は変わらない一方で生産量が下がっていると聞いているが、原因は捕りすぎなのか、沿岸環境の悪化なのか。なぜこれまでの施策が有効に働いていないのか。（吉田主査）
• 生産量について、資源変動が非常に大きいイワシのようなものがあり、これについては魚によって変わってくる。その中で捕りすぎれば資源は減少してしまう。漁業者は無私物の魚を競争して捕っているという中で、さまざまな規制をしているが、魚群探知機のような漁業技術の発達に規制が追いついていない面もある。資源管理が重要であるという観点から、水産基本法を作り、意識改革からはじめている。このような資源管理とともに増養殖にも取り組み、最適な漁獲量を確保していきたい。（農林水産省丹羽主席企画官）
• 見方として、自ら捕りすぎて資源を減らしていることと、環境変化という見方があると思う。水産物を育んでいるものとして、藻場干潟があるが、藻場干潟の消失面積と漁獲量の減少は解析できていない状況か。（近藤委員）
• 漁獲高の減少に関連して、山、川、海を流域として考えなければいけない。海岸侵食について、国土計画を関係省庁で話し合って実施していかないと、水産庁だけががんばってもだめである。関係省庁の協力が特に海岸域では重要であると思う。（堀委員）
• 海岸浸食はすでに大きな問題になっている。砂浜が非常に細くなっていることはいろいろなところで見られる。（吉田主査）
• 全国総合開発計画では、昭和５０年代の第３次全国総合開発計画からはじめている。現在の第５次全国総合開発計画では、個々の地域、課題ごとに対応する必要があるのではないかとの考え方から、国は指針を策定し、地方で総合的管理計画を策定している。（国土交通省笹川課長補佐）
• 有明海のような問題があるが、国と地方の関係、行政の調整はどのようになっているか。（橋口委員）
• 有明海については、水産庁でも現在科学的調査を実施しており、都道府県を越えるような問題であれば国として対応していく。（農林水産省丹羽主席企画官）
• 港湾整備に関しては地方公共団体が事業主体になっているが、国としては、例えば水質の浄化や藻場の造成の調査研究や調整等を行っている。（国土交通省岡部海洋室長）

• 優先順位をつけるということであるが、海洋はわかっていないことも多く、弾力的に進めていく必要がある。これまでの公共事業ではいったん予算がつくとそのまま進めてしまうということが多かったように思う。例えば、メタンハイドレートの開発では、安全に採集できるかから始まって、経済的に採取できるかまでさまざまな段階がある。予算を固定せず、フィジビリティースタディーから段階的に実施することが必要ではないか。（橋口委員）
• メタンハイドレートについては時間とお金がかかる事業なので、きちんとした計画を作って実施しなければならない。経済産業省としては３つのフェイズに分けてフェイズごとに評価しながら進めていく。（経済産業省本城課長）
• 計画をしっかり立てる一方で弾力性も必要だということである。資料１−２−３にあるようなフェイズ１からフェイズ３までの計画で、フェイズが終わるごとに評価をし、評価によって計画の変更もあり得るのか。
• １７年間、計画通りいくとは限らないし、サンプルは採集しているが、経済的に採取する技術はまだ開発されていない。さまざまな困難はあると思うが、必要なものであるので、評価をしながら進めていく。
• 今回の長期計画はメタンハイドレートの科学的性質を明らかにするのではなく、資源としての採掘を目指すものか。（吉田主査）
• 平成１６年以降に商業生産を目指すものである。（経済産業省本城課長）
• 科学的性質を調べることと、商業生産では評価がかなり変わってくる。（吉田主査）
• 昨年、経済団体連合会で「２１世紀の海洋のグランドデザイン」を作成し、各省に説明に行ったとき、経済性について質問されるのであるが、経済性がわからないものについても、調査するという弾力性があってもいいのではないか。（橋口委員）
• 事業の実施についてはきちんと評価しなければならないと考えている。経済産業省では全ての技術開発に事前評価・中間評価・事後評価を義務付けている。（経済産業省本城課長）
• 例えば海上通信について、海難が起きたときイギリスでは市民がもてる無線機で救助にきたヘリコプターや他の船舶との通信ができるようになっている。ところが、日本ではこれができない。このように固定的、強制的な規制であってはいけない。国土交通省の規制も固定的で強制的なものが多い。（小林委員）
• 基本的には同じ認識である。海の場合は、遭難安全が第一であり、国際的に義務化して、緊急通信を確保するということが基本であるが、小規模な船舶については特に、無線器コストの増加や資格の問題があるので、この基本を踏まえつつ、規制緩和を検討したい。（総務省伊丹室長）
• 資料１−３−２で分野間の関係を２つの視点から見ている。内容の適・不適ではなく、今後の議論にどのように生かすかがポイントと思う。どのように海洋利用委員会で生かしていけばよいか。（吉田主査）
• 基本的認識はこの通りだが、問題はこれまではそれぞれの立場から海の施策を進めてきたが、今後はそれを総合的に進めることである。これまでは海の施策を実施する側の調整も不十分であった。この問題点を解決するためには海洋政策を立案するシステム、それを評価するシステムの２つのシステムの構築に焦点をあわせることが重要。資料１−３−２の中からどこに重点を当てるかという目標の重点化も必要。（田代委員）
• 国の施策を実行するのは通常は民間ではないか。民間が考えなければならないは資料１−３−２の中の利害関係の調和だと思います。海洋の利用が多様化していることを考えると、今までのシステムではなく、海洋を利用する上で管理するシステムを構築するかが必要。
    言葉として、資料１−３−１に「人類の生存基盤としての海洋」とあるが、もう少し広げて「生物の生存基盤」ではないか。（田中委員）
• 人類は全生物まで責任はとれないと考えており、人類の生存に関しての責任までが精一杯ではないか。（吉田主査）
• 分野について、材料や化学物質を考えなければならないのではないか。新産業を創出する観点からも、例えば生分解材料、バイオプラスチック等の無機材料は重要と思う。（松永委員）
• 材料は、新しい材料を作るときの海洋資源と、海洋を利用するために必要な材料という２つの側面がある。どのような利用分野でどのような利用をするかという意味で、整理の仕方の問題と思う。（経済産業省本城課長）
• 循環型社会を考えたとき、材料によって環境負荷を減らすという観点も重要。（松永委員）
• 最終的に材料についてどう取り上げるかは、多面的な議論をすることにして、今の時点ではペンディングとする。必然性が出てきたらこれを入れる。（吉田主査）
• 海洋へのアクセスや藻場や干潟の問題もある。これはどこに入れるのか。（橋口委員）
• 海洋性レクリエーションが航行の安全を害しているという認識は間違い。基本的認識を変えていただきたい。市民が海に直接関われることが重要。（小林委員）
• 基本的姿勢はその通りだが、水上バイクの問題やライフジャケットをつけていないために子供がなくなるということが起きている。安全のための規制は必要ではないか。（国土交通省岡部海洋室長）
• 安全教育を実施することが必要。強制的な規制であってはいけない。（小林委員）

（研究開発局海洋地球課）

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