★我が国の学術雑誌は、主として学協会が刊行。
★海外の学術雑誌は、商業出版社または大規模な学協会、大学出版局が刊行。早くから本格的な電子化に取組む。
★我が国の研究者の論文の多くが海外の学術雑誌に掲載される「論文の海外流出」といわれる状況に至っている。
★経営基盤の脆弱な我が国の学協会は、学術雑誌の電子化の取組みに遅れ。電子ジャーナルによるビジネスモデルを持つ学協会はごく少数。
★我が国の英文学術雑誌の品質向上が必要だが、刊行業務、専門分野、英語等の知識と経験のある人材の不足、高コスト、機動性の低さ等により、目的を達成する水準に達しないところが多い。
★学術雑誌に関する各種の施策は、これまでに一定程度の成果を収めている。
★「無料で制約のない学術論文のオンライン利用を認める」オープンアクセス運動が関心を集めている。
★我が国の研究成果情報の発信、流通は、欧米を中心とする学術雑誌の編集、刊行、講読システムに多くを依存。結果として、研究成果情報を自らが評価し、発信する段階に至っていない。
★掲載される論文の質の向上、英文校閲、レイアウトの工夫等の品質向上を実現していないことは、我が国の学術雑誌の流通が促進されないひとつの原因。
★学術雑誌の発信力の強化には電子ジャーナル化は不可欠だが、欧米に比べ、学協会の予算規模、投資力、人材の厚みに格段の差。
★雑誌評価に使われるインパクトファクターを個々の論文の評価に転用する誤った使い方がたびたび行われている。
★オープンアクセスの実現方式のうち、機関リポジトリは社会に対する説明責任などの観点からも注目される。
★遡及電子化は電子ジャーナルが国際的な競争力を持つために必要。また、最終的なアクセスを保障する恒久保存の取組みとの連携が不足。
★研究評価能力の育成、自立、研究成果の生産に見合った発信地としての国際的地位の確立のため、学術情報発信機能の強化充実が不可欠。
★国際的な学術情報発信力において海外に伍する学術雑誌の育成のため、学協会は、製作・流通・経営に関して適切な改善を図るべき。
★英文校閲の実施、編集方針の特化、専任編集者の雇用など体制の強化。
★流通推進のため、国際的マーケティング、セールスの機能、投稿勧誘などのプロモーション機能の強化。
★文部科学省は、関連事業を通じさらに競争的な環境の中で重点化した形で学協会に対する支援を充実させる必要。
★インパクトファクターを論文そのものの評価として利用することは、問題点が大きく、避けることが適切。
★機関リポジトリについては、大学、研究機関において、学協会との連携を図りつつ、積極的に進めるべき。文部科学省は国立情報学研究所の事業などを通じて、取組みの支援を行うことが考えられる。
★遡及電子化を支援する各種事業の充実と、最終的な恒久保存事業との適切な連携が必要。