おわりに

 本事業における研究領域は、世界各地で活躍する日本人の社会的・政策的ニーズに基づき設定したため、現実の複雑さを反映して、従来の人文・社会科学の学問分野(discipline)一つだけでは取り組むことが不可能なものとなっている。
 学術研究における学際的・学融合的な協働の重要性は、近年盛んに主張されてきているものの、実際にこれに取り組むためには、相当なエネルギーを必要とすることが予測されることから、研究者に二の足を踏ませている側面がある。
 しかしながら、大学等には、21世紀を生き抜くための新しい知恵を創造する場として、社会から大きな期待が寄せられている。本報告書では、社会的・政策的ニーズに対応した具体的な研究のイメージを示したところであるが、これに必ずしもとらわれることなく、研究者自らが社会のニーズを考えながら研究課題を設定し、本事業で求める現代社会の課題の解決に示唆を与えるタイプの研究に果敢に挑戦することを切望する。
 本事業を通じて、社会の声に耳を傾ける器量を持ち、学問的にも新しい境地を開拓していく研究者が一人でも多く生み出されること、そして本事業が、学術研究の成果を社会に還元し、人類が共に生きていく社会を形成する一助となることを期待してやまない。

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研究振興局振興企画課学術企画室

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