第2章 研究領域について

1.基本的な考え方

 本事業では、大学等を中心として行われている「『地域』を対象とする研究」を推進することを想定している。
 このため、研究領域の選定に当たっては、次の3つの観点から研究が行われるよう考慮した。

(1)時間軸及び地理的拡がりにおいて俯瞰的な視点を持った研究が行われること

 諸外国と長期的に関係を有しながら活動を行う我が国の政府関係機関や商社、銀行、海外拠点を持つ民間企業、国際緊急援助等を行うNGO等では、駐在員、当該地域で採用された職員等を通じて、関係の深い各地域の情報を調査担当部門・機関が集約し、それぞれの活動に役立てている。日本では、これらの官民の調査担当部門・機関が最もリアルタイムに諸外国の一次情報を収集・調査していると言ってよい。
 これらの調査担当部門・機関は、当該地域との間で日々生じる様々な課題に直接対処するため、それぞれの活動目的に必要な範囲内での情報収集を行うことを業務としている。このため、例えば、1現在の活動に関係しない地域についての情報は収集する仕組みがなく、世界各地を比較分析することができない、2民間の調査担当部門・機関で収集した情報のうち、企業活動に直結する重要情報は公開される性質のものではなく、新たに海外で活動しようとする者が活用することができない、3当該地域との関係で友好関係を維持・発展するために自らがどう活動すべきか、といった大局的な視点は持ちにくい、といった課題を抱えている。
 こうした官民の調査担当部門・機関の状況にかんがみ、様々な学問分野において長期的な視点を持って世界各地を対象とした研究を行い、その成果は基本的に公開することを前提としている大学等に対する期待は大きい。
 このことから、本事業では、大学等でなければできない、あるいは大学等が優位にあるタイプの研究が推進されるべきであり、企業の調査部門等で行い得る個別の地域情報を収集して紹介するといった調査ではなく、当該地域について、時間的及び地理的に俯瞰的な視点を持った、大学等の研究機関において実施するのに相応しい研究が行われることが必要と考えられる。

(2)中・長期的に活用可能な研究成果の見通しのある研究が行われること

 本事業では、研究の枠組みである「研究領域」の下に、3年以上5年以内の中期的な研究期間で「研究課題」を公募することを予定しており、少なくとも10~20年程度先を見越して、研究成果が一定期間にわたって活用できるような中長期的な視点を持った研究が行われることが必要である。
 また、本事業は、単なる当該地域の事情調査ではなく、大学等の研究者の知を活用して、研究対象となる地域・国を総合的に把握することを目指すものである。したがって、短期的な視野に立った個別情報の収集ではなく、中・長期的な視野に立って地域・国の本質を理解できるような普遍性を有する研究成果の創出と、そうした研究活動を通じてその研究に関わる人文・社会科学の諸分野の活性化が期待される。

(3)幅広く社会的な還元が期待できる研究が行われること

 本事業では、特定の業種の利益になる研究を推進するものではなく、研究成果は広く公開し、主に国際社会で活躍する日本人(国際援助活動に従事する政府関係者、NGO関係者、海外赴任者やその家族、留学生等)等に活用されることを期待するものである。また、その成果が、国際機関、学術団体など、公共性の高い活動に従事する個人、団体にも幅広く活用できるものであれば、さらに望ましい。
 このことから、日本・日本人が今後世界で様々な活動をし、地域の人々、機関と協力をしながら、地域にとって有意義な形で積極的に活動することにより、友好関係を発展させるための共通ベースを構築し、広く国民に還元され、活用できる研究が行われるようにすることが必要である。

 第1章2.の本事業の目的で述べたとおり、本事業において実施される研究は、それが学術的に高い水準にあることはもちろんであるが、日本と当該地域との相互理解及び共生の促進に資する学際的・学融合的な研究であることが求められる。その目的を達成できるよう、上記の(1)から(3)までの観点の下に、研究領域について審議を進めた。
 その結果、本事業の研究領域として、

(1)日本と諸地域との関係性の解明-協働に向けて-
(2)地域のアイデンティティーの解明-相互理解を深めるために-

の2つを立てることとした。
 また、予算規模の観点から、「中東」及び「東南アジア」を研究対象地域とすることとした。

 研究領域を選定するに当たっての考え方は次のとおりである。

2.「日本と諸地域との関係性の解明-協働に向けて-」選定の考え方

 「日本と諸地域との関係性の解明-協働に向けて-」は、外交、経済、文化といった様々な観点から、日本と諸地域との関係性を解明することにより、他者を通じて日本・日本人が自己理解を深め、日本と諸地域との協働関係の構築に資することを目的とする研究領域である。
 このため、本領域に提案される研究課題については、我が国と諸地域との「協働」に資する観点から、練り上げられたものであることが期待される。

 例えば、我が国と当該地域・国との間の交流の進展は、当該地域・国の人々と日本人との間の相互理解を深化させると同時に、相互認識のギャップを顕在化させることにもつながる。当該地域の人々が、長年の体験・見聞の中で日本・日本人に対して形成してきたステレオタイプ的なイメージが、お互いの関係をさらに深めていく上での障害となる場合があるとともに、そのイメージゆえに日本・日本人によってなされたことが誤解されるだけでなく、かえって日本に対するイメージを悪化させる場合さえあり得る。また逆に、日本人も当該地域の人々に対して一般化したイメージを持っている場合があり、不必要に身構えたり、対等な関係を築いていくことを妨げる一因ともなりやすい。
 今後、当該地域において、よりよく活動していくためには、まず当該地域の人々の日本観や日本人観(あるいは日本人の当該地域に対するイメージ)を十分認識した上で、良いイメージは活かしつつ、悪いイメージは乗り越えていくような建設的なアプローチが必要であるとの声が高まっている。
 したがって、当該地域・国の人々が日本・日本人(日本企業や日本文化を含む)をどのように理解しているのか、あるいは日本人は当該地域をどう見ているのか、歴史的な背景・経緯なども含めて明らかにすることにより相互理解を深めるとともに、日本・日本人として今後どのように当該地域・国に関わっていくべきなのか、当該地域社会に好感を持って受け入れられるためにはどのように行動したらよいのか、という問いかけに対する一つの示唆を提供するような研究に対するニーズが高まっている。
 このような社会的・政策的ニーズを踏まえると、例えば次のような研究が期待される。このテーマは、およそ当該地域で活動するすべての日本人に関係する問題を扱うものであり、社会的・政策的ニーズが非常に高いことから、研究課題の選定に当たっては、このテーマの下での研究を優先して取り扱う必要がある。

【例】日本・日本人観をテーマとするもの

1)地域における「日本観」、「日本人観」(及びその裏返しとしての日本人の「当該地域・当該地域の人々に対する見方」)
2)地域の政治指導者、オピニオンリーダー、ジャーナリズム、日本での滞在経験のある外国人(留学生等)などの「日本観」、「日本人観」(及びその裏返しとしての日本人の「当該地域・当該地域の人々に対する見方」)
3)国際緊急援助など、最近の日本の活動を踏まえた「日本観」、「日本人観」の変化
4)地域における現代日本研究の現状分析
5)日本・日本人に対するイメージ形成の在り方
6)日本・日本人観を踏まえた今後の我が国の関与の在り方
7)日本と当該地域との交流史とその現代的影響
8)メディアを通じた日本イメージの形成(日本、当該地域、欧米諸国の発信する日本情報の比較研究など)

【キーワード】

異文化理解、植民地経験、第2次世界大戦、日本企業、日本製品、経済協力、開発援助、日本への留学生、帰国留学生、日本への留学希望者、日本研究、対日政策、災害支援、メディア、日本・日本人の役割

 また、日本企業が海外に拠点を置きながら活動し始めると、商取引慣行の違いや雇用した当該地域の人々の労働観の違いなどから、日本人にとっては当たり前のシステムが当該地域の社会システムとの間で摩擦を生じる場合がある。また、国際緊急援助でNGO等が活動する場合にも、無意識でとった日本的な行動様式や組織マネージメントが当該地域社会に思わぬ波紋を広げる場合もある。
 当該地域・国と関わりながら諸活動を行う人々にとって、当該地域社会の全体像について的確な理解を得るとともに、当該地域の将来について、専門的な知見を踏まえた展望を知っておくことが極めて重要である。
 したがって、研究対象地域の現在の社会システムの背景について、政治的、法的、経済的、社会的、歴史的、文化的側面から総合的に明らかにするとともに、我が国(あるいは欧米等)の社会システムとの相違を明確にし、具体的な摩擦事例を踏まえた上で、日本人、日本企業等が今後どのように当該地域・国において活動していくべきなのか、また、我が国の援助スキーム、企業システムや商取引システム等を当該地域で実施していく場合にどのようなことに留意すべきか、将来的な融和への示唆といった観点からの研究に対する社会的・政策的ニーズが高まっている。
 なお、日本の法システムや企業システムは、制度的には欧米的な伝統を継受しつつも、これとは異なる我が国の社会文化を前提として運用されている場合が多い。欧米のシステムを導入した経験をもつ我が国の経験は、他の欧米以外の国々にとっても意味があると考えられ、このような我が国の経験を踏まえながら、研究が行われることも考えられる。
 このような社会的・政策的ニーズを踏まえると、例えば次のような研究が期待される。

【例】日本の社会システムと地域の社会システムとの比較をテーマとするもの

1)法制度や社会慣行等、日本の社会システムと当該地域の社会システムとの比較
2)当該地域において活動する日本企業、NGO等と当該地域社会との関係(当該地域において採用された従業員の人事・労務管理、当該地域の企業や欧米系企業・NGOとの比較、地域住民との関係等)
3)日本の社会システムに対する当該地域の人々の認識

【キーワード】

文化伝播、交流史、漢字、律令、租税制度、慣習法と実定法、家族制度、労務管理、雇用制度、人事評価、報酬(賃金)、経営者と従業員との格差、生産管理、企業観、契約観、納品期日、違約金、環境問題、地域社会、欧米系企業・NGO

3.「地域のアイデンティティーの解明-相互理解を深めるために-」選定の考え方

 「地域のアイデンティティーの解明-相互理解を深めるために-」は、研究の対象となる諸地域のアイデンティティー(地域の固有性)の起源について、歴史的、文化的な背景を含め解明することにより、我が国と諸地域との相互理解を深めることに資することを目的とする研究領域である。
 このため、本領域に提案される研究課題については、我が国と地域との「相互理解」に資する観点から、練り上げられたものであることが期待される。

 例えば、1980年代頃からマレイシア、インドネシア等に工業製品の生産拠点を築いた日本企業は、商慣習の違い、民族問題や宗教問題などを背景とした社会的不安定等、十分理解していなかった地域の諸事情から、当該地域の日本人が困難に直面する場合もある。また、平成16年12月のスマトラ沖地震による津波で被害が大きかったインドネシアのアチェは、中央政府と民族的・宗教的に対立して長年独立運動を展開していた地域であり、内政上不安定な地域に国際社会が人道上の国際緊急支援を行うことの難しさを痛感させられた。
 このような経験を通じて、現在、インドネシアやマレイシアなどのイスラーム的なものが卓越する地域には、共通した独自性が認められ、今後どのように日本・日本人がこの地域に係わっていくべきかという点に関心が集まっている。特に、「東南アジアのイスラーム圏」については、当該地域が、我が国と政治的、経済的、社会・文化的に密接なつながりのある「東南アジア」であるという側面を有するとともに、自律的な経済発展に成功しつつある「イスラーム圏」でもあるという側面を有しており、例えば、イスラームと近代化という観点から人文・社会科学各分野の知見を動員した総合的な提案が期待される。このような意味で、「東南アジアにおけるイスラーム」研究に対する社会的・経済的ニーズが非常に高まってきている。
 このような社会的・政策的ニーズを踏まえると、例えば次のような研究が期待される。このテーマは、今後の日本との関係を考えると、社会的・政策的ニーズが非常に高いことから、研究課題の選定に当たっては、このテーマの下での研究を優先して取り扱う必要がある。

【例】東南アジアにおけるイスラームをテーマとするもの

1)東南アジアにおけるイスラームの影響
2)マレイシア、インドネシアの経済発展とイスラーム
3)イスラームと地域の社会構造
4)イスラーム法の東南アジア的修正
5)他のイスラーム圏との共通点と相違点

【キーワード】

ソフトイスラーム、イスラームと経済発展、イスラームとナショナリズム

 また、我が国はこれまで政府・民間レベルで様々な人的・財政的な国際支援を行ってきたが、そのような支援が必ずしも日本側が期待するような形で当該地域では受け止められていないのではないかという声が出ており、日本側の価値観が当該地域の価値観とすれ違ったまま支援が継続されてしまうことが懸念されている。
 ODA等の政府援助や草の根レベルでの協力が当該地域の人々に真に有益な形で行われ、研究対象地域の人々と長期的な関係を構築していくためには、歴史、文化、風土、国民性といった当該地域・国のアイデンティティー(地域の固有性)について、その本質を起源に遡って明らかにするとともに、その固有性が地域を越えた普遍性を有するものかを検討することが重要である。
 例えば、当該地域・国の人々に固有な心性を理解するため、当該地域の人々がどのような政治的・経済的・社会的・文化的・宗教的な価値観をベースにして、経済・社会その他の行動原理としているのか、あるいはそのような価値観がいつ、どのように、さらにはなぜ形成され、定着していったのか、といった研究に対する社会的・政策的ニーズが高い。また、伝統的な社会が都市化・工業化、グローバリゼーションの進展に伴いどのように変容しつつあり、そのことについてどう理解すべきなのか、あるいは、地域の特徴、特性を踏まえ、当該地域の経済発展のポテンシャルがどの程度あるのか、また、環境問題や人口問題といった経済発展に伴う負の側面の状況はどのようなものか、といった研究も重要である。
 このようなニーズに応えるためには、政治学、経済学、歴史学、文学、社会学、宗教学、文化人類学、地理学、農学、生態学、都市工学、美術芸術学等の諸学が協働して、文献による研究のみならず、地域におけるフィールド研究を前提に、当該地域に固有の社会のあり方、国民性、民族性等について生きた研究成果を発信することが期待される。
 このような社会的・政策的ニーズを踏まえると、例えば次のような研究が期待される。

【例】地域の人々の価値観をテーマとするもの

1)研究対象地域の人々の宗教的・歴史的・文化的・民族的な背景
2)人々の生活文化、社会習慣、伝統と欧米的・近代的価値観
3)人々の生活圏と自然観、人間観
4)「民主主義」、「人権」、「法の支配」、「契約」等の欧米的な法観念との相克
5)「地域統合」、「国際協力の枠組み」といった近年の国際的な動向についての認識
6)先進国等からの経済的支援に対する認識
7)1)~6)について、地域内での共通点と相違点

【キーワード】

国家観、民主主義観、人間観、人権観、経済観、契約観、労働観、宗教観、死生観、幸福観、自然観、生態系、伝承文学、道徳倫理、文化

【例】グローバリゼーション等に伴う社会の変容をテーマとするもの

1)グローバル化への対応の諸相
2)都市化・工業化の進展による生活様式の変容(家族、社会関係等)
3)都市化・工業化の進展に伴う新たな課題(都市の貧困、格差の拡大等)
4)宗教が地域社会において果たしてきた役割の変容
5)メディアのグローバル化にともなう地域社会の文化の変容

【キーワード】

グローバリゼーション、都市化、工業化、人口移動、農地改革、コモンズ、宗教、メディア、社会制度

【例】経済発展の潜在的能力(経済発展の負の側面を含む)をテーマとするもの

1)経済発展の考え方と可能性
2)地域の経済政策の現状と課題
3)地域における産業競争力の現状と課題
4)地域の金融市場の潜在的可能性
5)地域の政治的安定に関する研究
6)地域の人材養成システムの現状と課題

【キーワード】

工業化、都市化、人口移動、農地改革、石油、資源、多国籍企業、民族資本、モノカルチャー、社会主義の影響、労働力の量と質、公教育、開発援助、貧困、環境問題、政治体制、民主化、民族運動、原理主義、テロ、災害復興、持続的開発

4.研究対象地域の限定について

(1)基本的な考え方

 「はじめに」で言及したとおり、平成14年6月の学術分科会報告では、「『地域』を対象とする研究」を推進するに当たっての対象地域の例示として、アジア、アメリカ、イスラーム圏の3つが提言されている。しかし、このことを踏まえつつも、本事業の実施に当たっては、予算規模(平成18年度予算案8,800万円)及びこれに伴い想定される研究プロジェクト数(4~6程度)を考慮した場合、3地域全てを対象として研究プロジェクトを実施することは困難であり、地域研究振興のための予算の状況などを考慮して、本事業を実施する地域を「中東」又は「東南アジア」に絞ることとする。

 「中東」はイスラーム的なものを理解する上でいわば心臓となる地域であり、今後の世界情勢を左右する重要な要因を有する地域として、21世紀の国際社会の中で我が国が政治的、経済的その他様々な面で活動していくに当たって、欧米の中東・イスラーム研究の追随ではなく、グローバルな視野から日本・日本人としての理解を打ち立てるべき地域である。
 また、「東南アジア」は、従来から、官民ともに密接な関係を有する地域であるとともに、特に近年、東南アジア諸国との間でFTA(自由貿易協定)締結の可能性が高まるなど、経済的な交流が緊密な地域である。このような意味で、社会的・政策的なニーズの観点から、研究の一層の幅・深まりが期待される地域であり、本事業の対象地域として重要な地域であると考えられる。
 なお、厳しい予算状況を考慮して、まず、「中東」と「東南アジア」を最初の研究対象地域としたところであるが、東アジア、南アジアについても社会的・政策的ニーズは高く、今後の検討課題としたい。

(2)本事業における「中東」の範囲

 本事業における「中東」とは、具体的には以下の範囲の国々を指すものとする。研究課題の設定に当たっては、全域を対象とする必要はないが、研究テーマに応じて適切な地域設定を行い、複数の国々にまたがった研究とすることが望ましい。
 なお、本事業において実施される研究課題については、必ずしも、国単位での課題設定を条件とするものではない。また、研究課題の設定の仕方によっては、マグレブ(北部アフリカ)、中央アジアの周辺諸国等の一部も研究対象とすることで研究が深まる場合も想定されるため、このことまでを排除する趣旨ではない。

○本事業における「中東」の範囲

アフガニスタン、アラブ首長国連邦、イエメン、イスラエル、イラク、イラン、エジプト、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、シリア、トルコ、バーレーン、パレスチナ、ヨルダン、レバノン

(3)本事業における「東南アジア」の範囲

 本事業における「東南アジア」とは、具体的には以下の範囲の国々を指すものとする。研究課題の設定に当たっては、全域を対象とする必要はないが、研究テーマに応じて適切な地域設定を行い、複数の国々にまたがった研究とすることが望ましい。
 なお、本事業において実施される研究課題については、必ずしも、国単位での課題設定を条件とするものではない。また、研究課題の設定の仕方によっては、中国、インド等周辺諸国等の一部も研究対象とすることで研究が深まる場合も想定されるため、このことまでを排除する趣旨ではない。

○本事業における「東南アジア」の範囲

インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、東ティモール、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレイシア、ミャンマー、ラオス

5.まとめ-具体的な研究領域の設定-

 公募に当たっては、次の2つの研究領域を設定し、研究課題を公募する。
 ただし、本事業の趣旨目的に合致した研究課題のうち、学術的にも高い水準のもののみを選定することとしているため、すべての研究領域で研究課題が採択されるとは限らない。また、応募のあった研究課題について、研究コーディネーターが複数の研究課題の組み合わせや課題の修正、研究領域の変更、研究体制の組み換え等により、事業目的に相応しい研究課題となるようなコーディネートを行うことが期待される。

研究領域1 日本と諸地域との関係性の解明-協働に向けて-
(特に日本・日本人観をテーマとするもの)

研究領域2 地域のアイデンティティーの解明-相互理解を深めるために-
(特に東南アジアのイスラームをテーマとするもの)

※「中東」を研究対象とする研究課題、又は「東南アジア」を研究対象とする研究課題を公募する。

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研究振興局振興企画課学術企画室

(研究振興局振興企画課学術企画室)