アルマ計画中間評価報告書 はじめに

 天文学の目指すものは「起源の解明」である。具体的には、宇宙そのもの、宇宙における構造、銀河、星・惑星系、ひいては宇宙における生命の起源の解明にある。21世紀初頭の天文学の著しい特徴は、これらが理論的な考察のみならず、観測的な実証によって解き明かされる道が見え始めていることにある。

 アルマ計画(ALMA:Atacama Large Millimeter/Submillimeter Array)は、大学共同利用機関法人自然科学研究機構国立天文台(以下、国立天文台)、米国国立科学財団(以下、NSF)及び欧州南天天文台(以下、ESO)の三者が協力して宇宙における銀河・惑星等の形成過程や、生命につながる物質進化の解明を目指す国際協力プロジェクトである。具体的には、南米チリの5,000メートルの高地に64台の高精度アンテナ群と、アタカマコンパクトアレイ(以下、ACA)システムと呼ばれる16台の高精度アンテナ群を建設し、これらを組合わせて、ミリ波・サブミリ波で世界最高の性能を誇るアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(以下、アルマ)として運用を行うものである。

 平成12年12月の文部省学術審議会(当時)において、本計画が「早急に実現に向けて推進すべき」と評価され、その後平成15年1月に実施された文部科学省科学技術・学術審議会による事前評価において「早期の正式参加の決定を実現すること」とされ、また、同年11月の総合科学技術会議における国家的に重要な研究開発の評価において「本計画を速やかに推進することが適当である」と評価されたことを踏まえ、我が国は平成16年度から本計画に参加し、建設を進めている。

 現在、平成24年初頭の本格運用を目指して日米欧それぞれで準備が進められている。国立天文台が担当するアンテナ、受信機及び相関器の製造等は順調に進んでおり、部分運用の一環である組上げ調整試験において、米欧に先駆けてアンテナの目標性能を確認するなど、国立天文台を始めとする関係者の努力によって計画は予定どおり進められている。

 このように計画が進捗しており、前述の事前評価から3年以上が経過していることから、科学技術・学術審議会の下に評価作業部会を設置し、事前評価における留意事項についての対応、アルマ建設計画の進捗状況、及びアルマの国際的運用計画、国際協力の状況等について中間評価を行い、結果を取りまとめるとともに、4年後の本格運用に向けた課題の抽出を行った。

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研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付

(研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付)