学術情報基盤としてのコンピュータ及びネットワークの今後の整備の在り方について(中間報告) はじめに

検討の経緯

 学術情報基盤(学術研究全般を支えるコンピュータ、ネットワーク、学術図書資料等)は、研究者間における研究資源及び研究成果の共有、研究成果の一般社会への発信、啓発及び次世代への継承、研究活動の効率的な展開等に資するものであり、学術研究全体の進展を支える上で極めて重要な役割を負っている。
 一方、近年、国立大学の法人化による各種のシステム・考え方の変化、大学財政の緊縮化、コンピュータの普及と電子化の進展等による情報基盤の高度化・多様化と研究・教育活動への浸透、学術情報の受・発信の国際的なアンバランスなどの環境の変化が生じている。
 こうした環境変化に適切に対応し、学術情報基盤として学術研究活動を支え続けるための基本的な考え方や国が考慮すべきこと等を検討するため、平成16年11月15日、科学技術・学術審議会学術分科会学術研究推進部会の下に、学術情報基盤作業部会が設置され、平成17年2月14日の研究環境基盤部会の設置に伴い、その下に再編され、審議を行ってきた。
 コンピュータ・ネットワークワーキンググループは、学術情報基盤作業部会の下、国公私立大学及び大学共同利用機関(以下、大学等という。)の情報処理関係施設、学術情報ネットワーク等の役割、在り方等について検討を行い、当面緊急に対応すべき事項等を中心に本中間報告をとりまとめた。ワーキンググループとしては、中長期的に検討が必要であるとした事項について、今後さらに検討を行うこととしている。

基本的考え方

 平成17年3月17日の研究環境基盤部会に対する学術情報基盤作業部会の審議状況報告で示された今後の審議の方向性を踏まえ、本ワーキンググループにおいては、下記の4点を基本的な考え方として審議を行った。

1)学術情報基盤は、いまや学術研究活動における国際競争力の死命を制する極めて重要な役割を果たすようになっており、コンピュータやネットワーク等のハードウェアはもとより、これらの有機的連携を強化するグリッド等の基盤的ソフトウェア、それらを包含する制度・人材等を含め、国全体の学術研究のための基盤(インフラストラクチャ:インフラ)として、これらの整備について総合的かつ戦略的に取り組む必要がある。

2)学術情報基盤は、学術研究の基盤(インフラストラクチャ:インフラ)であり、その効果が大学の教育研究活動全般に及ぶがゆえに、かえって整備の効果が見えにくく、ともすれば各種施策の中で優先順位が低くなる傾向にある。これらの整備は、単純に競争原理にゆだねるのではなく、学術研究全体の停滞を招くことのないよう、一定の政策的配慮が必要である。

3)情報処理関係施設や大学図書館等、各大学等に置かれる学術情報基盤を構成する施設においては、限られた資源をより充実し、最大限の効果を生み出すために、今後、大学等の壁を超えた、さらには大学等と他機関相互が連携するシステムを構築していくことが必要である。

4)特に、情報基盤センターをはじめとする全国共同利用施設は、これまで国により全国共同利用としての位置付けが明確にされてきたが、国立大学の法人化の中で、全国共同利用としての役割を果たす際に支障が生じかねない状況も懸念される。しかしながら、全国共同利用施設が全国の研究者に良好な研究環境を与える役割はますます大きくなってきており、整備・運営に当たっては、個別の大学等の都合のみによることなく、国の施策として推進する体制構築が必要である。

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研究振興局情報課 学術基盤整備室

(研究振興局情報課 学術基盤整備室)