4.財源措置等の在り方

(1)運営費交付金

○ 附置研究所及び研究施設に関する運営費交付金については、国立大学の法人化後においても、それらの研究機能の維持と向上に向けて、研究活動の状況や将来の発展の見通し等を踏まえた適切な算定方法を検討する必要がある。

○ 具体的には、個別の附置研究所及び研究施設ごとに、人件費、基盤的な研究費やプロジェクト研究経費等の所要経費を積算し、大学への運営費交付金の中で確実に措置する必要がある。今後の附置研究所及び研究施設の研究水準の維持向上のためには、国による安定的な財政支援は不可欠である。なお、これらの運営費交付金については、積算根拠の明確化に留意する必要がある。

○ ほとんどの全国共同利用の附置研究所や研究施設においては、当該研究所等の研究目的に則したプロジェクト研究経費等の比重が大きい。教官数などに基づいた外形標準的経費だけでは、全国連携・共同利用が効果的に推進できないことから、共同利用研究施設運営費や附属施設経費等によって、全国連携・共同研究を推進するための財政基盤が形成されている。

○ これらの共同利用に関わる経費は、単に外部の研究者に対する研究サービスのための経費ではなく、当該研究所・研究施設に所属する研究者を含めた全国の関連研究者群のための研究経費であることに十分注意する必要がある。

○ 法人化後も、全国共同利用の附置研究所及び研究施設を各分野における大学を横断する全国連携の中核的組織と位置付け、そのための経費が安定的に措置されるべきである。そのためには、所要の運営費交付金が全国共同利用の附置研究所及び研究施設が置かれた大学に適切に措置される必要がある。

○ 法人化後の全国共同利用の附置研究所及び研究施設に関しては、国においては、全国連携・共同利用に関わる経費を運営費交付金により大学に対して確実に措置する一方、当該大学においては、研究所等の目的が達成されるよう所要の予算を適切に配分すること等が重要である。我が国の学術研究体制に重要な役割を果たしている全国共同利用のシステムを発展させるためには、国及び国立大学法人の関係については、責務を分担して協力するパートナーと捉えるべきである。このような協力の下で、今後の附置研究所及び研究施設は、始めて適切に全国共同利用の機能を果たしうるものである。

(2)施設費補助金(仮称)

○ 附置研究所及び研究施設の教育研究に必要な大型設備については、施設と同様、教育研究活動の重要基盤であり、国家的資産を形成するものであることから、施設費補助金(仮称)をもって措置する必要がある。

○ 巨額の予算を要する大型の施設・設備の導入については、従来から学術審議会等による審議結果を踏まえてなされてきたが、今後とも適切な評価システムの下で十分な検討が行われることが必要である。

○ このように、附置研究所や研究施設での大型プロジェクトについては、その施設費や設備費について、この施設費補助金(仮称)で適切に措置していく必要がある。

(3)中期目標・中期計画への記載

○ 「最終報告」には、「国としての政策的判断や相当の予算措置を要するような大規模な教育研究組織や事業については、当該大学の業務の確実な実施を担保するとともに、運営費交付金等の公費の支出の積算根拠を明示する観点から、あらかじめ中期計画に記載し、文部科学大臣の認可を得る。」旨記述されている。
 附置研究所や特色のある研究施設の活動の基本的な事柄については、中期計画に全学的視点から個別に記載することが適切である。また、その他の研究施設についても、全学的視点や当該施設の研究目的を考慮した記載方法を工夫する必要がある。

○ さらに、全国共同利用の附置研究所及び研究施設については、大学の中期目標及び中期計画において当該研究所及び研究施設の果たすべき役割・機能等を明確にすることが適当である。

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