参考4.用語集

〔はじめに〕

0-1.ミリ波

波長が10mm以下で1mm以上の電波。比較的低温低密度の星間物質の観測に適している。

0-2.サブミリ波

波長が1mm以下で0.1mm以上の電波。ミリ波と遠赤外線の中間に位置する。可視光や近赤外線と異なり星間減光の影響をほとんど受けないので、星間塵の雲に深く覆われた原始惑星系円盤や原始銀河などの観測的研究に適している。今まで殆ど本格的な研究がなされていない波長域である。

0-3.干渉計

電波観測において、複数のアンテナを組み合わせ、極めて大口径のアンテナに匹敵する解像力を実現するための装置。可搬アンテナや地球の自転を利用して像合成に必要なデータを取得する。その他の条件が同じであれば、アンテナ台数が多いほど得られる画像の品位が高く、アンテナの集光面積が大きいほど感度が高い。

0-4.アタカマ

チリ北部の年間降水量が100mm以下というアタカマ砂漠を中心とする地域。

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1-1.電波望遠鏡

電波で宇宙を観測するための装置。アンテナ、受信機、相関器や電波分光器などからなる。構造上、単一鏡と干渉計に区分される。短ミリ波用では、単一鏡としては国立天文台の45m電波望遠鏡が世界最大で、干渉計は野辺山ミリ波干渉計など世界に4つある。

1-2.惑星系

恒星とそれを周回する惑星からなる系。太陽系以外にも、惑星を持つと間接的にわかる星はすでに約100個が発見されており、そのうち8個は2個以上の惑星を伴うことがわかっている。

1-3.解像力

細かい構造を識別する能力。人間の目でいうと視力に対応する。45m電波望遠鏡は視力4程度に相当し、アルマは最高で視力6000程度が実現できる。電波干渉計の解像度は観測波長を基線長で割った値で決まる。

1-4.感度

天体から届く微弱な信号を、雑音と区別し、明確にとらえる能力。集光面積が大きく、受信システムの効率が高く、さらに受信機や大気の雑音が低いほど、感度は高い。アルマは現在の電波望遠鏡に比べ、ミリ波帯で20倍以上、サブミリ波では50倍以上の感度を達成する。

〔2ページ〕

2-1.全米科学財団(NSF)

米国政府の独立行政法人で科学振興の目的で設立された。天文学分野では地上計画のみを管轄し、スペースの計画はNASAが管轄している。理事長はRita Colwell博士。アルマ計画の米国側の推進・管轄機関。

2-2.ヨーロッパ南天天文台(ESO)

南天の天体を観測するためにヨーロッパ諸国が組織した国際機関。アルマ計画のヨーロッパ側の推進母体。すでにチリ北部でラ・シヤ観測所とパラナル観測所を運用中。現在の加盟国は、イギリス、イタリア、オランダ、スイス、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、フランス、ベルギー、ポルトガルで、これにスペインが加盟予定。

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3-1.惑星系形成領域

ごく若い恒星を取り巻くガスと塵の円盤。その中で惑星が形成されるため「原始惑星系円盤」とも呼ばれる。その見かけの大きさは、太陽系に近いもので1秒角程度である。

3-2.秒角

1度の1/3600に対応する角度。

3-3.ハッブル宇宙望遠鏡

1990年にアメリカによって打ち上げられた可視域では初めての天文観測衛星。搭載望遠鏡の口径は2.4m。観測装置としては、撮像装置や分光装置を搭載し、宇宙空間では地球大気による像の劣化がないため、地上での従来の観測の1/20以下という鋭い星像が得られる。また、地上では大気による吸収のため観測できない紫外線域での分光観測も可能。

3-4.アタカマコンパクトアレイ(ACA)システム

直径7mの超高精度アンテナ12基とその較正用の超高精度12mアンテナ4基からなる小口径の干渉計システム。電波強度を正確に測定し、物質の量についての定量的な解析や、他波長の観測データとの定量的な比較を行うために用いられる。

3-5.受信機

天体からの信号を受信する装置。微弱な信号を検出するために電波天文学で用いられる受信機の雑音は、量子雑音(理論的限界)の数倍程度に抑えられている。

3-6.相関器

個々の素子アンテナから集められた天体の電波信号を処理し、天体画像を合成したり、周波数スペクトルを解析する装置。

3-7.高分散相関器

広い帯域を同時に高分散(高い周波数分解能)で周波数分析(電波分光)処理できる相関器。さまざまな分子の「輝線の森」に隠されている微量の分子の検出などに威力を発揮する。

3-8.較正用アンテナ

アタカマコンパクトアレイ(ACA)システムの中にあって、(1)天体の全強度の測定、および、(2)7mアンテナの指向精度・位相・利得の較正観測、を行うための超高精度12mアンテナ群。

3-9.バンド10

合計10バンド設定されているアルマの観測周波数バンドの一つで、最高周波数となる787-950ギガヘルツ(波長0.315-0.381mm)のサブミリ波を観測するバンド。

3-10.バンド8

合計10バンド設定されているアルマの観測周波数バンドの一つで、周波数385-500ギガヘルツ(波長0.600-0.779mm)のサブミリ波を観測するバンド。

3-11.バンド4

合計10バンド設定されているアルマの観測周波数バンドの一つで、周波数125-163ギガヘルツ(波長1.84-2.40mm)のミリ波を観測するバンド。

〔4ページ〕

4-1.物質の同定

天体から受信された電波スペクトルに現れる輝線や吸収線の分析から、その信号が天体に含まれるどのような物質(原子、分子など)に起因するかを突き止めること。その結果、宇宙でしか安定に存在し得ない分子が発見されることもある。

〔5ページ〕

5-1.野辺山の電波望遠鏡

国立天文台野辺山宇宙電波観測所には、口径45mの電波望遠鏡と、口径10mアンテナ6台で構成する電波干渉計があり、世界一線級の地位を保ち続けている。

5-2.すばる望遠鏡

国立天文台がハワイ州マウナケア山頂で運用する直径8.2mの光学赤外線望遠鏡。一枚鏡のものとしては世界最大。1999年1月のファーストライト(初受光)以来、もっとも遠方の銀河の発見など世界的な成果を挙げている。

5-3.惑星形成過程

惑星が形成される過程。標準シナリオである「京都モデル」によると、まず原始星の周りに原始惑星系円盤というガスと塵粒子からなる円盤が作られ、塵粒子が円盤び赤道面に沈殿・合体して微惑星となり、それが成長して惑星となると考えられている。

〔6ページ〕

6-1.プレゼンス

存在感。国家などが、ある分野や地域において(国際的に)影響力をもつ存在であること。

6-2.天文学コミュニティ

天文学および関連分野の研究者の総称。学術分野では、健全な相互批判の精神のもとで研究者が常に研究成果を公表しあい研究動向を共有するため、ある種の共同社会(コミュニティ)と見ることができる。

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8-1.ブレークスルー

それまで研究の進歩を阻んでいた壁を破ること。またそれを導く発見。

8-2.銀河形成過程

銀河が形成される過程。ほとんどの銀河は宇宙形成初期に形成されたため、この過程を観測的に解明するためには遠方宇宙(過去の宇宙)の観測が必要である。銀河より小さな構造が合体して銀河が形成され、それらが重力で集まって銀河団などができるとするボトムアップシナリオと、逆に大きな構造から小さな構造が形成されるとするトップダウンシナリオの2つの可能性が議論されている。

8-3.シミュレーション研究

天体に起きるさまざまな現象を、物理学に根ざした数値シミュレーションにより再現して観測と比較したり、また条件を変えながら対応する結果の変化を見る数値実験を行うことにより、その現象の背後にある物理的法則を探る研究手法。

8-4.星間化学

星間空間における化学反応や化学組成を研究する学問分野。星間空間は限りなく真空に近いため、このような極限的な環境を実験室と見立てて分子合成反応の素過程の研究が行われているほか、宇宙における物質進化の観点からの研究が進められている。

8-5.宇宙生物学

宇宙における生命の発生とその後の進化について研究する学問分野。

〔9ページ〕

9-1.素粒子

物質を構成する単位は原子であるが、原子はさらに電子と原子核により構成されている。電子は現在のところこれ以上は細かく分けられないと考えられている。このように、これ以上細かく分けられない粒子を素粒子という。

9-2.テラヘルツ

周波数の単位。1THz(テラヘルツ)は10の12乗Hzで、波長に換算すると約0.3mmに相当する。テラヘルツ技術は電波技術と光技術の境界領域にあり、高い技術水準が必要とされるが、非破壊診断、環境計測、広帯域短距離通信などへの応用が期待されている。

9-3.宇宙生命学

宇宙における生命の発生とその後の進化について研究する学問分野。

〔10ページ〕

10-1.遠隔観測

離れた場所から望遠鏡をリモートコントロールすることにより行う観測。

〔13ページ〕

13-1.スピンオフ効果

あるプロジェクトのために集中的に行われる研究開発活動が、当該プロジェクトの目的以外にも利用可能な副産物的成果をもたらす効果。

〔21ページ〕

21-1.アルマ調整会議(ACC)

アルマ計画の研究・開発期における最高の意思決定機関で、それぞれの推進母体の予算決定権を持つ委員で構成されていた。建設時期にはいると解散し、役割はアルマ評議会に移る。

21-2.合同アルマオフィス(JAO)

アルマ計画全体のプロジェクトディレクタ、プロジェクトマネジャ、プロジェクトサイエンティスト、プロジェクトエンジニアからなる計画執行の中枢。

21-3.アルマボード

アルマの建設・運用期における最高の意思決定機関。

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-- 登録:平成21年以前 --