資料4 既存の核融合研究計画の評価結果

1.磁場閉じ込め核融合研究

(1)成果と評価

CHS(核融合科学研究所)

  • ヘリカル系のサテライト装置として長期に渡り多くの成果を挙げた。
  • LHDの物理設計の最適化にも貢献。

GAMMA-10(筑波大学)

  • プラズマ中の電場形成に関わる物理現象を中心として成果を挙げた。

Heliotron-J(京都大学)

  • 立体磁気軸を持つヘリカル系としての要素研究の位置づけにある。

JFT-2M(日本原子力研究所)

  • JT-60のサテライト装置として多くの成果を挙げた。また、フェライト鋼試験を実施し成果を挙げた。

JT-60(日本原子力研究所)

  • 臨界プラズマ条件を達成し、ITER計画の推進に必要なデータベースと先進トカマク炉心プラズマ開発において多くの貢献。

LHD(核融合科学研究所)

  • 超伝導・無電流プラズマ装置としての特徴を生かし、高性能環状プラズマの閉じ込めの物理の探求、定常プラズマ実験等で多くの貢献。

プラズマ実験設備(東京大学)

  • 多様性を持つ超高ベータプラズマを中心とする学術研究として展開し成果を挙げた。

TPE-RX(産業技術総合研究所)

  • 原理実証規模の研究には到達していないが、興味ある成果を挙げた。

TRIAM-1M(九州大学)

  • 定常トカマク運転の実証において特徴的な成果を上げた。

(2)今後の展開

CHS

  • LHDの先行実験としての役割を果たしつつ、揺動研究等の先進的研究を進め、その成果を学問的に評価すべき。
  • 大学との連携を通じ、学術的にインパクトのある相当規模の全国的共同計画としての展開案を探るべき。

GAMMA-10

  • 残された課題である閉じ込めのメカニズムの解明に向けてプラズマ物理に重心を置く研究の展開が必要。
  • 大学の研究としてのあり方を探ると同時に、学術的にインパクトのある相当規模の全国的共同研究計画としての展開案を探るべき。

Heliotron-J

  • 配位の新規性によるプラズマの特性を早く同定し、その成果を学問的に評価すべき。
  • 大学の研究としての在り方を探ると同時に、学術的にインパクトのある相当規模の全国的共同研究計画としての展開案を探るべき。

JFT-2M

  • 今後の展開については、材料評価(C&R)の結果と次期高ベータ・定常トカマク計画に必要なデータベースが十分得られているかに照らして判断すべき。

JT-60

  • 大学等との共同研究を強化しつつITERへの寄与を最大化し、トカマク国内重点化装置(次期高ベータ・定常トカマク計画)への転換を図るべき。
  • 次期計画への転換の前後を問わず、国の核融合開発計画上に占める役割を果たすとともに、先進トカマク炉心プラズマ開発の中心として国内関連研究者との共同計画、共同研究の適切な発展を図るべき。

LHD

  • 共同利用装置として、炉心プラズマに外挿可能な高性能プラズマの生成による環状プラズマの普遍的性質の探求を進め、ヘリカル系の炉心へのビジョンを明らかにすると同時にITERを含む環状プラズマへの学問的寄与を明確にするべき。
  • 国内関連研究グループの受け入れ態勢をさらに整えるべき。

プラズマ実験設備(東京大学)

  • 今後とも多様性を持つ学術研究として発展を図るべき。

TPE-RX

  • 開発型の研究ではなく学術面への貢献を目指した研究としての位置づけの確認が必要ではないか。今後大学等とのどのような学術的な交流が可能であるかの検討が必要。

TRIAM-1M

  • 強磁場超伝導装置としての特徴を生かし、定常トカマクプラズマを用いた学術的研究を行い、その成果を学問的に評価すべき。
  • 大学の研究としてのあり方を探ると同時に、学術的にインパクトのある相当規模の全国的共同研究計画としての展開案を探るべき。

2.レーザー核融合研究

(1)成果と評価

激光X2号(大阪大学)

  • レーザー核融合研究の中核としての実績を持ち、高温・高密度爆縮実験において多くの貢献。
  • 高速点火概念の発明と1000万度の加熱の実証。

Super-ASHURA(産業技術総合研究所)

  • KrFレーザーの開発で成果あり。

(2)今後の展開

激光XⅡ号

  • 高速点火方式レーザー核融合の原理実証実験計画第1期を学術研究として開始すべき。全国共同利用施設として活用していくうえで、核融合科学研究所との強い連携の方策が必要。

Super-ASHURA

  • ドライバーとしての将来性の判断を行った後、方針の策定が必要。
  • FIREX計画との連携・相互乗り入れが必要。

3.炉工学関連研究

(1)成果と評価

炉工学関連施設(大学関係)

  • 大学は、炉工学分野の研究を進める上での高いポテンシャルを有しており、材料開発・ブランケット、超伝導等において多くの貢献をしている。

炉工学関連施設(物質・材料研究機構)

  • 材料関連開発研究において成果を上げた。

トリチウム施設(富山大学)

  • トリチウム安全取り扱い技術開発等トリチウム研究分野で重要な役割を担っている。

(2)今後の展開

炉工学関連施設(大学関係)

  • ITER、IFMIF計画等を進めていく上で、日本原子力研究所、大学等の炉工学研究相互の連携が必要。その中での役割分担を明確にする必要がある。
  • 東北大学金属材料研究所大洗施設は今後とも照射後材料試験を実施する施設として発展を図るべき。
  • 核融合科学研究所が果たすべき役割の策定が急務である。

炉工学関連施設(物質・材料研究機構)

  • ITER、日本原子力研究所、大学等の炉工学研究と連携が必要。
  • 研究のポテンシャルを維持することの方策の検討が必要。

トリチウム施設(富山大学)

  • 大学の研究として活動を継続すべきであり、そのための方策の策定が必要。

(注)スーパーコンピュータについては、核融合プラズマを総合的に理解し、核融合科学とプラズマ理工学を体系的に進展させるため、解析的研究や大型シミュレーション及び可視化法を駆使した理論研究がますます重要になっており、評価においてはその重要性が認識された。従って、スーパーコンピュータシステムをより一層充実させ、研究所・大学間の共同研究を推進することが極めて重要である。WGでは、主として実験装置について審議が進められたため、スーパーコンピュータシステムの具体的推進策については今後の機会に譲るものとする。

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