○ 第1章・第2章で述べたように、大学共同利用機関は、大学の研究者の共同利用、大学の研究を集中的に行うCOEとしての性格を有し、大学と同様「学問の自由」が保障されるべき機関として、それを保障するための制度も設けられている。
○ さらに、大学共同利用機関は、元々国立大学の共同利用の機関として、国立大学の教員の共同利用・共同研究の拠点となることを構想して創設されたものであり、平成元年に法律改正され、「大学の共同利用の機関」とされて以降も利用者の大半が国立大学の教員であることから、実態として、国立大学群の研究システム全体に不可分の組織として組み込まれていると言える。
○ したがって、国立大学と密接な関係を有する大学共同利用機関の特性を踏まえ、法人化に当たっては、国立大学法人法(仮称)の中で規定し、基本的に国立大学法人(仮称)の組織運営システムを踏襲することが適当である。また、次のような大学共同利用機関の特色を活かした制度設計とする必要がある。
○ 大学共同利用機関は、学術研究を行うという観点において、非常に大学と密接な関係を有しているが、他方、大学の共同利用のための機関であることから、研究計画の策定や人事等に研究者コミュニティの意向が反映されるなど、大学と比較して、研究者コミュニティに開かれた運営が行われており、法人化後もこの特性を保持すべきものである。
○ 現在、複数の研究所が連合する形態をとる大学共同利用機関に関しては、機構に属する各研究所の運営に当該分野の研究者コミュニティの意向を反映する仕組みが法的に整備されている。すなわち、それらの研究所にも評議員会及び運営協議員会が設置されており、研究所長候補者の推薦、研究者の教員人事、研究計画の立案等について、機構における各々の研究所の自主性が確保されている。法人化と併せて新たな機能とする利点を十分に確保していくためには、こうした従来の制度設計の趣旨をも踏まえることが重要である。
研究振興局学術機関課