4.研究者の業績評価

 大学等における研究者の業績については、学会等を通じた研究者間における学問的な観点からの相互評価が日常的に行われている。また、競争的資金を獲得するに当たっての評価が業績の評価となっている面もある。
 各大学等においては、これらの状況も活用しつつ個々の研究者の業績を評価し、それを大学等の組織運営の中に活かしていくことが重要である。なお、研究面における大学等の機関評価を行うに当たっては、各大学等における研究体制や研究推進のための取組み状況のほか、研究活動の内容・水準なども評価項目になると考えられるが、大学等においては、機関としての研究活動の内容・水準は、実際には個々の研究者の研究活動の内容・水準の総体によって評価されることになるであろう。したがって、研究者の業績評価は、大学等における自己点検・評価の一環として実施することも考えられる。
 研究者の業績評価に当たっては、研究者の創意を尊重し、優れた研究活動を推奨し、支援するという積極的視点が重要である。一方、研究者は、大学等がその使命を全うするために自由な研究環境の保障が必要とされていることを自覚し、自らを厳しく律して研究を推進することが望まれる。
 なお、大学等は多様な内部組織から構成されており、各組織の設置目的も、教育、研究、社会貢献など多元的な要素を総合したものであることが多い。このため、教員の活動状況もその所属組織によって様々であり、すべての教員を研究業績により評価される「研究者」として一律に位置付けることは必ずしも適当ではなく、教員の中には「教育者」として教育活動により評価されるべき者や、研究計画の企画等への貢献によって評価されるべき者も少なくないと考えられる。大学等における教員の業績を評価するに当たっては、この点を十分考慮して、一面的な評価にならないように留意するとともに、研究業績によって評価する「研究者」の範囲について適切な考慮が払われるべきである。大学等にとっては、教育機能も極めて重要な要素であり、教員の評価に当たって研究面での業績のみが重視されることによって、教員の研究指向に拍車がかかり、大学等における教育面での機能の低下をもたらすことのないよう、十分な注意が必要である。

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