学術研究における評価の在り方について(報告) はじめに

 学術研究における評価については、平成9年12月に学術審議会が建議「学術研究における評価の在り方について」を取りまとめた。この建議においては、評価の基本的考え方、研究課題の評価の在り方、研究面における大学等(大学及び大学共同利用機関をいう。)の評価の在り方など、学術研究における評価全般についての考え方が示されている。また、平成11年6月の学術審議会答申「科学技術創造立国を目指す我が国の学術研究の総合的推進について」においては、特に研究面における大学等の機関評価について取り上げ、第三者評価の必要性やその方法・基準等について指摘されている。これらにおいて示されている考え方は、基本的には現在においても妥当であると考える。
 その後、平成12年4月には、大学等の教育研究活動について透明性・客観性の高い第三者評価を行う機関として大学評価・学位授与機構が創設され、大学評価に関する事業を開始している。
 以上のように、学術研究における評価は、課題の評価、機関の評価ともに着実な取組みが進められ、評価の充実が図られている。

 一方、国の研究開発全般については、第1期科学技術基本計画に基づいて、平成9年8月に「国の研究開発全般に共通する評価の実施の在り方についての大綱的指針」が策定され、研究開発評価の取組みが進められてきた。平成13年3月に策定された第2期科学技術基本計画においては大綱的指針を改定することとされ、総合科学技術会議における検討を経て、平成13年11月には新たに「国の研究開発評価に関する大綱的指針」が定められた。新しい大綱的指針では、評価対象として、研究開発課題及び研究開発機関に加えて、研究開発施策及び研究者等の業績が加わっている。
 大綱的指針は、国費を用いて実施される研究開発全般の評価を実施するに当たってのガイドラインとなるものであり、大学等における研究も国費を用いて実施されるものについては、その対象となるものである。しかしながら、大学等における学術研究は国の研究開発一般と比べて様々な特性を有している。学術研究における評価は学術研究の本質と特性に沿って行われるべきであり、学術研究の発展に資するものでなければならない。

 今後、この大綱的指針を踏まえ、文部科学省としての評価指針の作成に向けて科学技術・学術審議会での議論が進められることになるが、その中で大学等の学術研究は極めて重要な位置を占め、かつ取扱いに十分な配慮が必要になると考えられる。そこで、まず本分科会として、これまでの学術研究における評価の取組みの現状を踏まえつつ、大綱的指針の改定という状況を考慮し、今後の大学等の学術研究における評価の在り方について改めて検討を行い、その結果を以下のとおり取りまとめたものである。

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