5 間接経費の充実

 間接経費は、競争的研究資金をより効果的・効率的に活用するために、研究実施に伴う研究機関の管理等に必要な経費を手当てする必要があることから、競争的研究資金を獲得した研究者の所属する研究機関に対して、研究費に対して一定比率の額を配分するものである。
 間接経費の配分は、創造的な研究開発活動を展開できるよう競争的な研究開発環境を整備する観点から、平成13年3月に閣議決定された第2期科学技術基本計画において、競争的研究資金の拡充とともに、システム改革の重要な柱として定められた。
 これにより、多くの競争的研究資金に間接経費が導入されるようになったが、科学研究費補助金においては、一部の研究種目については早くから措置されてきているものの、未だに措置されていない研究種目も多く、できるだけ早期に全ての研究種目に措置することが強く望まれる。
科学研究費補助金においては、平成17年度において、特別推進研究、基盤研究(S)、基盤研究(A)、若手研究(A)及び学術創成研究費について、研究者に交付される研究費(直接経費)の30パーセントに相当する額が、間接経費として別途研究者の所属する研究機関に配分されており、そのために措置された予算総額は約143億円となっている。しかし、特定領域研究、基盤研究(B)、基盤研究(C)、萌芽研究、若手研究(B)などの研究種目においては未だに間接経費が措置されていない。
 間接経費は、競争的研究資金を獲得した研究者の研究環境の改善や研究機関全体の機能の向上に活用するものとされ、研究機関は研究者が獲得した複数の競争的研究資金に配分される間接経費をまとめて、効率的かつ柔軟に使用することとされている。研究機関がこうした間接経費の運用を行うことで、研究機関間の競争を促し、研究の質を高めるものとされている。このように、競争的研究資金をより効果的・効率的に活用するために、研究実施に伴う研究機関の管理等に必要な経費を手当てするという趣旨で政策的に措置することとなったことを考えれば、同じような研究費について、研究種目の違いによって、配分されるものとされないものとの差が設けられていることについて、合理的な理由があるとはいえない。
 現在のままでは、研究費の規模が小さい研究種目の研究費を獲得している多くの研究機関に間接経費が措置されない状況が続き、科学研究費補助金を獲得できる研究者の価値を高め、研究者及び研究者の所属する研究機関の競争促進を図るための前提条件が整備されないままとなる。また、科学研究費補助金の管理や諸手続きを研究機関に義務付けている現在において、研究機関が管理等に費やすコストという観点から見れば、研究費の規模が小さい研究種目であっても、その件数が多ければ研究費の規模が大きい研究種目とそれほど変わらないことから公平でないという意見も強い。このようなことから、いずれの研究機関も等しく競争に参加できるようにすることが肝要であり、全ての研究種目への間接経費の措置を急ぐ必要がある。
 なお、科学研究費補助金の拡充を図っていく中で、第2期科学技術基本計画で掲げられた30パーセントの間接経費の措置を実現するに際しては、直接経費への影響がないようにすることが重要である。

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