2 審議の状況

(1)一定の結論・方向性が得られた事項

1 独立した配分機関体制の構築

 (「系・分野・分科・細目表」の見直しに係る業務の独立行政法人日本学術振興会への移管について)

(問題の背景)

 独立した配分機関体制の構築については、前期(第2期)の本部会において、文部科学省において交付を行う9つの研究種目の独立行政法人日本学術振興会(以下、「日本学術振興会」という。)への移管について審議した。その結果、萌芽研究、若手研究、特別研究員奨励費、学術創成研究費については、前期計画として、平成17年度から概ね4年間で、順次日本学術振興会への移管を進めていくことが望ましいこと、また、特別推進研究、特定領域研究、研究成果公開促進費、特定奨励費、特別研究促進費については前期計画の終了までに必要な体制整備を検討しつつ、日本学術振興会に移管することが望ましいこと、を報告した。
 このことに関連して、日本学術振興会が審査を行う基盤研究等(基盤研究、萌芽研究、若手研究)の二段審査の実施に不可欠な「系・分野・分科・細目表」について、その見直しに係る業務を、今後とも引き続き文部科学省(科学技術・学術審議会学術分科会科学研究費補助金審査部会)において行うこととすべきか、それとも、独立した配分機関体制構築の観点から、今後は見直しに係る業務を日本学術振興会に移管すべきか、について対応を決めておく必要が生じている。
 「系・分野・分科・細目表」の見直しは、これまで5年に一度改正を行い、10年に一度は大幅な改正を行ってきている。前回の改正は、平成15年度の公募要領(平成14年9月)から適用するため、平成12年から作業を開始し、大幅な改正を行った経緯がある。平成20年度の公募要領から適用を予定する次回の改正に向けては、遅くとも平成17年度中に作業を開始し、平成19年8月までに作業を終了しておく必要がある。
 この課題は、独立した配分機関体制を構築していく上で初めて生じてくるものであり、前例がないことから、本部会は、「系・分野・分科・細目表」の見直しに係る業務の日本学術振興会への移管について、本審議会の科学研究費補助金審査部会及び日本学術振興会の意見を聴いた上で、今後、どのようなやり方で見直しに係る業務を行うことが適当であるかという観点から、審議を行った。

(検討に当たっての留意点)

 この問題について考える場合には、次の点に留意することが必要である。

  • 独立した配分機関体制の構築の趣旨から考えれば、日本学術振興会で見直しに係る業務を行うのが適当と考えることもできるが、科学研究費補助金全体の整合性という観点から考えれば、従来どおり文部科学省(科学技術・学術審議会学術分科会科学研究費補助金審査部会)において見直しに係る業務を行うことが適当と考えることもできる。したがって、業務の遂行が円滑に行えるよう、現状に即して現実的な方法を考える必要がある。
  • 「系・分野・分科・細目表」は科学研究費補助金の審査に用いられるものではあるが、日本の学術研究組織に大きな影響があり、これらの組織からの関心も高いことから、改正作業を進める上では日本学術会議、学会等の意見も十分聴いて、これらの意見ができる限り反映されるよう調整する努力が求められる。したがって、相当の時間と労力を伴う作業となる。
  • 実際に基盤研究等の審査を行う日本学術振興会の意向が十分に反映され、審査の現場において生じる問題に迅速に対応できるようにする必要がある。他方、日本学術振興会においては学術システム研究センターが設置され、体制の構築を進めている段階にあり、現段階では、現在の公募、審査、評価などの業務に加え、さらに「系・分野・分科・細目表」の見直しに係る業務を行えるだけの十分な体制が整っていない。

(具体的対応)

 以上のような観点から、様々な意見が出されたが、審議の結果、見直しに係る業務を全面的に日本学術振興会に移管することについては、日本学術振興会の状況を見極めつつ、将来的に検討していくこととし、当面は、文部科学省と日本学術振興会が協力して業務を行うこととすることが適当であるとの結論で一致した。
 具体的には、日本学術振興会が改正案を作成し、その案を基に、文部科学省(科学技術・学術審議会学術分科会科学研究費補助金審査部会)が国全体の立場から必要な調整を行い決定することが適当である。

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