「今後の大学共同利用機関の在り方等について」(報告要旨)

(平成14年1月29日)

1.法人格の単位の検討の基本的考え方

○ 大学共同利用機関の法人格の単位を検討するに当たっては、1学術研究体制の全体戦略の中での大学共同利用機関が果たすべき役割・機能を踏まえ、2大学等の研究者の共同利用・共同研究の推進、柔軟な研究体制の構築、3組織再編も含めた新しい学問展開が可能となるシステムの追求、4各研究所の自主性、研究者コミュニティによる共同利用のより一層の高度化のための方策の確保等を考慮する必要がある。

○ 大学共同利用機関は、1全国の大学等の研究者による共同研究の拠点、2大学院学生の受け入れ等による人材養成への貢献、3先駆的な研究分野への対応、4国際協力事業等への貢献などの役割を果たしている。

○ 将来において附置研究所等、特に全国共同利用型の附置研究所等との連携、連合などが可能となるような形態に配慮することが適当である。

2.法人格の単位の可能性

懇談会においては、以下の3類型を想定し、比較検討を行った。

  1. 全機関1法人案
    • 学術研究全体の中核となる法人の形成の可能性
    • 新しい学問分野開拓への機動的な対応 等
  2. 分野別機関1法人案
    • 各学問分野の多様な発展
    • 学問的に意味を持つ単位でのまとまりを形成し、法人の一体性を確保 等
  3. 1機関1法人案
    • 各機関ごとの責任の所在を明確化
    • 各機関の自主性の重視、人事・予算執行等の独自性の確保 等

3.検討結果及び具体的提言

○ 懇談会の検討においては、ボトムアップ型の学術研究の中核機関が緩やかに連携するというイメージを前提に全機関1法人案が有力になったものの、次のような課題を残した。

  • 法人の意思決定と研究所の自主性との関係
  • 法人内の研究体制の見直し等に関する企画機能の在り方
  • 法人における主体的な資源配分の実現可能性 等

○ 法人化を契機に大学共同利用機関がその組織力を強化して我が国における学術研究の中核的な役割を担おうとする全機関1法人案には関係者の期待が大きいが、その実現には大きな課題もある。一方、大学共同利用機関の法人格の単位は、学術研究体制全体に関わる問題を含むことから、本懇談会の枠を越えたより広い視点からの検討が必要であると考えられる。このため、本懇談会として、以下の提言を行う。

≪提言≫

大学の研究者による共同研究の拠点である大学共同利用機関が分野を超えて連合し、多数の研究所等からなる機構として総合的な学術研究の中核の一つとなることについては、今後の我が国の学術全体の発展に資するという観点から意義深いと考えられる。したがって、そのような機構の在り方、実現可能性、大学附置研究所等との連携の在り方等について、国立大学の法人化の在り方や総合研究大学院大学との関連にも留意しつつ、大学を中心とする研究者コミュニティの意見を踏まえて科学技術・学術審議会において検討が行われることが適当である。

4.総合研究大学院大学との関係等について

○ 総合研究大学院大学の仕組みを活用した人材養成は今後とも重要であり、総合研究大学院大学と基盤機関である大学共同利用機関との連係・協力を強める取組が必要である。連係・協力の形態については、大学共同利用機関の法人格の単位に関する検討結果を踏まえて、一層の機能強化の観点から必要な改善が図られることを期待する。

○ 全機関1法人案を構想する場合に、同一法人に大学院機能を併合することについては、法制上の問題等について慎重な検討が必要であると考えられる。

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科学技術・学術政策局政策課

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