科学技術・学術審議会への諮問について

19文科振第553号
平成19年10月18日
文部科学大臣 渡海紀三朗

科学技術・学術審議会

 

次に掲げる事項について、理由を添えて諮問します。
長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策について

(理由)

我が国においては、社会が高齢化し、多様化・複雑化も進む中で、精神・神経疾患や心に問題を抱える人の数の著しい増加が大きな社会問題となっている。脳は認知、記憶、思考、情動、意志等を司り、その研究は、真に人間を理解するための科学的基盤を与え、心の理解や人類社会の調和と発展につながる科学的価値の高い成果を生み出すとともに、こうした社会問題の解決に資するものと期待される。

また、近年、ヒトゲノムの全塩基配列の解読による分子生物学の進展、情報科学及び脳機能計測技術の進歩など、脳科学研究を大きく進展させる手段が発達してきた。

このため、脳科学研究を進めることにより、記憶や学習などの脳機能の解明、精神・神経疾患の病因解明や予防・治療法の開発、脳からの情報で制御される身体補助具の開発等が可能となってきている。

こうしたことから、脳科学の研究開発を重点的に進め、成果を社会に還元する必要がある。一方で、脳科学研究は社会への影響が大きいことも予想されることから、倫理的側面など社会との調和に配慮しつつ研究を進めていくことが不可欠である。

このような状況を踏まえ、我が国における脳科学研究を戦略的に推進するため、その体制整備の在り方、人文・社会科学との融合、さらには大学等における研究体制等を含めた長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策を策定する必要がある。

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