資料4-1 「学術研究の総合的な推進方策について(最終報告)」における具体的な取組の検討状況について

「学術研究の総合的な推進方策について(最終報告)」における具体的な取組の検討状況について(平成27年1月~平成28年8月)

1.第8期学術分科会における主な検討課題について

  第59回学術分科会(平成27年3月10日)資料4(別添)において、今期学術分科会の主な検討課題の1つとして「学術研究の総合的な推進方策について(最終報告)」のフォローアップが掲げられており、以下、最終報告(5.(2)具体的な取組の方向性)の各項目における現在の取組状況等を取りまとめている。

2.各項目における具体的な取組状況について

1.デュアルサポートシステムの再生
(具体的な取組の方向性)

  1. 学術政策、大学政策、科学技術政策の連携
  2. 運営費交付金等の基盤的経費の確保・充実
  3. 人事・給与システム改革、研究支援体制の強化・大学事務局改革、施設設備や図書・史料等の機関内外での共同利用・共同研究の推進等、各大学での改革を行うための学内外の資源の再配分や共有の実施
  4. 科研費改革の実施方針・工程及び具体的な改革案の検討
  5. 科研費以外の競争的資金における改革の検討
  6. 間接経費の確保・充実等

(取組状況)

  1. 科学技術・学術審議会総合政策特別委員会最終取りまとめ(平成27年9月28日)や第5期の「科学技術基本計画」(平成28年1月22日閣議決定)においてイノベーションの源泉の強化として「学術研究の推進」の重要性を明記。
  2. 平成28年度予算において、国立大学法人運営費交付金1兆945億円(前年同)、私立大学等経常費補助3,153億円(前年同)を計上。
  3. 各国立大学においては、「国立大学改革プラン」等に基づき、各大学の強み・特色・社会的役割を踏まえた機能の強化や、ガバナンス機能の強化、人事・給与システム改革などを積極的に推進。「国立大学経営力戦略」に基づき、第3期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方について、「3つの重点支援の枠組み」を設け、機能強化の方向性に応じた自己改革に積極的に取り組む国立大学に対し、メリハリある重点支援を実施。また、国立大学法人法の一部を改正する法律の成立(平成28年5月)を踏まえ、平成29年度中に世界最高水準の教育研究活動の展開を目指す指定国立大学法人の指定を目指す。
  4. 研究費部会において科研費の抜本的改革に向けた審議を実施。「我が国の学術研究の振興と科研費改革について(第7期研究費部会における審議の報告)(中間まとめ)」(平成26年8月)に基づき、平成27年度より、「国際共同研究加速基金」の創設による国際共同研究や海外ネットワーク形成の促進、「特設分野研究基金」の創設による新しい審査方式の先導的試行の充実等の改革に着手。第8期研究費部会においては、第5期科学技術基本計画の計画期間(平成28~32年度)を展望した科研費改革の実施方針(工程表を含む)について審議し、学術分科会にて了承。平成28年度3月より、研究費部会の下に設置した「挑戦的研究に対する支援強化に関する作業部会」において、「挑戦的萌芽研究」、「若手研究」及び「特別推進研究」の見直し等の検討を進めており、「科研費による挑戦的な研究に対する支援強化について(中間まとめ)」を部会了承。「挑戦的萌芽研究」の発展的見直しについては、より大規模な支援を可能とする「挑戦的研究」を新設し、平成29年度助成(平成28年9月公募)に向けた準備を進めている。また、審査システムの抜本的な改革として、分科細目(審査区分)の大括り化を含め、新たな審査の仕組みを平成30年度助成(平成29年9月公募)より導入するための検討を進めている。平成28年4月に実施したパブリックコメントに関し、科学研究費補助金審査部会にて対応方針を決定し、日本学術振興会と共に更に検討を深めており、年内をめどに見直し内容を決定する予定。
  5. 第5期科学技術基本計画を踏まえ、研究力及び研究成果の最大化、一層効果的・効率的な資金の活用に向け、今後、国は、競争的資金以外の研究資金について、間接経費の導入、使用方針及び実績等について公表を促すための方策、使い勝手の改善等の実施について、内閣府を中心とした関係府省間で検討を進める。なお、文部科学省においては、イノベーション指向の戦略的な基礎研究を推進する「戦略的創造研究推進事業」において、サイエンスマップや科研費の研究成果等に係るデータベース等の客観的根拠を活用して、優れた成果をより着実に戦略目標等の策定プロセスに反映させる仕組みを整備する等、事業の更なる改革・強化を実施しているところ。
  6. 国の競争的研究費における間接経費については、「研究成果の持続的創出に向けた競争的研究費改革について(中間取りまとめ)」(平成27年6月)等を踏まえ、文部科学省の競争的研究費について、平成28年度予算において新規採択分について30%の間接経費を措置。また、大学と民間企業との共同研究における間接経費を含む費用負担の在り方については、「本格的な産学連携による共同研究の拡大に向けた費用負担等の在り方について」(平成27年12月)を取りまとめ。共同研究の大規模化に向けて、「組織」対「組織」の関係の下、大学は間接経費も含めた共同研究に係る経費の必要性や根拠を示し、「費用の見える化」を図ること等を前提とした上で、個々の契約に基づき、産業界は必要な経費を措置していくべきとされたところ。今後は、こうした取組の実現に向けて各大学による体制整備の促進に向けた支援やガイドラインの策定等を実施予定。

2.若手研究者の育成・活躍促進
(具体的な取組の方向性)

  1. 自ら主体的に課題を設定して挑戦的な研究に取り組む若手研究者の育成
  2. 若手研究者を育てる意識を共有し、大学における自立した研究に必要な環境(設備、スペース、資金等)の整備やシニア研究者による若手研究者の支援などのサポート体制の構築、若手研究者の研究費マネジメント能力の涵養(研修機会や事務支援体制の確保・充実)
  3. 若手研究者による国際的な研究者ネットワークの形成や国内外における国際シンポジウム等の企画や中心メンバーとしての参画についての積極的な促進
  4. シニア研究者を含めた全国規模での人材の流動化や若手研究者の安定的なポストの確保
  5. 国による特別研究員などのフェローシップの拡充、大学による基盤的経費や競争的資金からのRA経費などの経済的支援の充実
  6. 博士課程の人材に対する異分野に携わる機会の提供や異業種との交流を通じた教育の実施
  7. 国内外の優秀な若手研究者や大学院生等が交流・集結できる人材交流・共同研究のハブとなるような世界最高水準の卓越した大学院の形成

(取組状況)

  1. 優秀な若手研究者に対する自由で主体的な研究機会を提供するための「特別研究員事業」を実施するとともに、優れた若手研究者が安定した研究環境の下で挑戦的な研究を自立的に推進するための「卓越研究員制度」を実施。
  2. 上記の「卓越研究員制度」等を活用し、若手研究者が自立して研究活動に取り組む環境の整備を推進【再掲】。
  3. 「海外特別研究員事業」において、優れた若手研究者が海外の特定の大学等研究機関において長期間研究に専念できるよう支援するとともに、新進気鋭の若手研究者にトップレベルの国際経験を積む機会を提供することで、次世代のリーダーとなる若手研究者の育成や国際的研究者ネットワークの拡大・強化を図るための「若手研究者研鑽シンポジウム事業」を実施。
  4. 上記の「卓越研究員制度」等を活用し、流動化の向上や安定的ポストの確保を推進【再掲】。
  5. 平成28年度予算において上記「特別研究員事業」等を実施【再掲】。
  6. 博士課程教育リーディングプログラムを通じ、専門分野の枠を越え俯瞰力と独創力を備え、広く産官学にわたりグローバルに活躍するリーダーを養成。
  7. 平成27年9月に、中央教育審議会大学分科会において、「卓越大学院(仮称)」の形成を含め、大学院教育の在り方について「未来を牽引する大学院教育改革について(審議まとめ)」をとりまとめた。平成28年4月に、「卓越大学院(仮称)検討のための有識者会議」において「『卓越大学院(仮称)』構想に関する基本的な考え方について」をとりまとめ、これを踏まえた大学における構想の具体化を促進。

3.女性研究者の活躍促進

(具体的な取組の方向性)

  1. 特別研究員(RPD)の支援人数の拡大等による研究者の研究と出産・育児・介護等との両立や指導的立場を担う女性研究者の活躍推進を図るための支援強化、システム改革等の推進

(取組状況)

  1. 平成28年度予算において、研究と出産等との両立や女性研究者の研究力向上を通じたリーダーの育成を一体的に推進するなどの優れた取組を実施する大学等を支援する「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ」や、出産等による研究中断後の円滑な研究現場への復帰を支援する「特別研究員(RPD)」等により科学技術イノベーションを担う女性の活躍を促進。また、平成28年度より「海外特別研究員‐RRA事業」を新たに創設し、学術研究分野における男女共同参画を推進する観点を踏まえ、優れた若手研究者が結婚・出産・育児・介護のライフイベントによる研究中断等の後に、海外の特定の大学等研究機関において長期間研究に専念できるよう支援。

4.研究推進に係る人材の充実・育成

(具体的な取組の方向性)

  1. 研究者以外の研究推進に係る人材について、類型ごとに求められる知識やスキルの明確化、各機関におけるスキル標準作成への支援や研修・教育プログラムの活用支援
  2. 複数の機関が連携した研究者以外の研究推進に係る人材の育成・確保や職責に応じた処遇
  3. 最先端設備の機能と研究課題の双方に精通した技術者について、民間企業のシニア・中堅技術者を活用するなど、研究基盤を支える技術者の育成・確保に向けた共用環境の積極的な活用

(取組状況)

  1. URAとしてのスキル標準の策定・運用や研修・教育プログラムの整備・運用など、大学等におけるURAを育成・確保する全国的なシステムを整備するとともに、研究活動をマネジメントする専門性の高い職種として定着を図るための「リサーチ・アドミニストレーター(URA)を育成・確保するシステムの整備」事業を推進。また、世界水準の優れた研究活動を行う大学群の増強を図るための「研究大学強化促進事業」を通じ、研究戦略、知財管理等を担う研究マネジメント人材を配置。
  2. 上記「リサーチ・アドミニストレーター(URA)を育成・確保するシステムの整備」事業において、シンポジウムの開催等を通じ、大学間の連携を促し、URAの全国ネットワーク構築に寄与。また、「科学技術人材育成のコンソーシアムの構築」事業において、複数機関が連携した研究推進に係る人材の育成・確保を推進。

5.国際的な学術研究ネットワーク活動の促進

(具体的な取組の方向性)

  1. 研究環境や住環境等の整備の促進、海外の優秀な日本人研究者や外国人研究者の戦略的な受入れや国際的な研究ネットワークの構築(国際的な頭脳循環のハブ形成)
  2. 個々の研究者の国際ネットワークの構築や大学等機関による海外トップクラスの研究グループとの組織的なネットワーク形成の取組
  3. 標準的な評価の仕組みや大学、学会、ジャーナル等の在り方など学術研究に関する議論や国際機関等を通じた国際的ネットワークへの積極的参加、国際社会への発信・貢献

(取組状況)

  1. 諸外国の優秀な若手研究者に対し、我が国の大学等において日本側受入研究者の指導のもとに共同して研究に従事する機会を提供する「外国人研究者招へい事業」(外国人特別研究員)や、国際研究ネットワークを戦略的に形成するため、海外トップクラスの研究機関と研究者の派遣・受け入れを行う大学等研究機関を重点支援する「頭脳循環を加速する戦略的国際研究ネットワーク推進事業」を実施。また、大学等への集中的な支援により、システム改革の導入等の自主的な取組を促すことで、国際頭脳循環のハブとなる研究拠点の構築を目指す「世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)」において、9拠点を支援。
  2. 我が国の研究水準の向上や国際競争力強化を一層進めるため、二国間の研究チームの持続的ネットワーク形成や諸外国のトップレベルの学術研究機関との多国間交流ネットワークの構築・強化等の取組を支援。また、上記の国際頭脳循環のハブとなる研究拠点の構築を目指す「世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)」を実施。【再掲】
  3. ニューデリーで開催されたグローバルリサーチカウンシル(GRC)第5回年次会合において、JSPS理事長が議長を務めて議論を主導し、会合の成功に貢献し、同会合での成果文書「学際研究のための原則に関する宣言」及び「女性研究者の平等と地位のための原則及び行動促進に関する宣言」が採択された。

6.共同利用・共同研究体制の改革・強化等

(具体的な取組の方向性)

  1. 共同利用・共同研究体制の意義・ミッションを踏まえ、大学共同利用機関及び共同利用・共同研究拠点における意義及びミッションの再確認や自己改革・強化の推進及びその取組に対するメリハリある支援に向けた検討
  2. 学術研究の大型プロジェクトの戦略的・計画的な推進や我が国の学術研究の弾力性を高めること等を目的とした組織的流動性の確保に向けた在り方の検討。先進的な大型研究施設について、常に共同利用・共同研究を行うことができる体制の維持や、学術コミュニティーにおいて将来を見通した優先順位を議論した計画的な研究推進や国際的な枠組みの構築
  3. 大学共同利用機関や共同利用・共同研究拠点以外における設備等の共同利用や再利用の一層の促進や研究者以外の研究推進に係る人材の充実及び育成

(取組状況)

  1. 研究環境基盤部会において、大学共同利用機関や共同利用・共同研究拠点の意義や役割、その強化の方向性を含む「共同利用・共同研究体制の強化に向けて(審議のまとめ)」(平成27年1月)を踏まえ、共同利用・共同研究体制の改革に向け、構造的課題を、1.学術動向に応じた柔軟な組織整備、2.国際共同、3.産学連携、4.大学の機能強化への貢献という4つの視点から整理し、その解決に資する具体的制度改善の在り方を審議中。また、共同利用・共同研究体制への国の支援については、大学全体の機能強化を担う本体制の機能に着目し、大学共同利用機関や共同利用・共同研究拠点の意義や役割を再確認した上で、その機能に応じた重点支援を行うこと、並びに研究組織の見直しや研究拠点の形成など、今後の学術研究を先導するような取組に対して重点支援を行うことの方向性を取りまとめ、平成29年度国立大学法人運営費交付金の概算要求方針に反映。
  2. 研究環境基盤部会学術研究の大型プロジェクト作業部会において、大型プロジェクトの戦略的・計画的な推進のため、大型プロジェクト全体をマネジメントする仕組みの在り方、プロジェクト終了の在り方や具体的な評価の在り方など大型プロジェクトを推進する上での課題に対する具体的な方策について審議中。また、日本学術会議が策定するマスタープランが2017年に改定されることから、ロードマップ2017策定に向けた検討、審議を進める。
  3. 文部科学省の有識者会議において「研究成果の持続的創出に向けた競争的研究費改革について(中間取りまとめ)」を取りまとめ【再掲】。同報告において、競争的研究費による比較的大型の研究設備・機器を原則共用化することとした上で、文部科学省全体として効果的な共用化促進の仕組みを検討していくべきとされていることを踏まえ、競争的研究費においては、その具体化のため、順次、公募要領を改訂。また、競争的研究費改革と連携し、研究開発と共用の好循環を実現する新たな共用システムの導入を科学技術・学術審議会先端研究基盤部会で検討し、「研究組織のマネジメントと一体となった新たな研究設備・機器共用システムの導入について」(平成27年11月)を取りまとめ。平成28年度から、大学及び研究機関における新たな共用システムの導入支援を実施予定。国立大学法人については、運営費交付金の中で、特に全国的な観点から共同利用体制の推進に資する設備サポートセンターの整備支援や、文化的・学術的な資料の保存、収集、修復等のための支援を実施。

7.学術情報基盤の充実等

(具体的な取組の方向性)

  1. 学術情報ネットワークについて、全国の学術情報基盤を担う組織が一体となった国内・国際回線の強化やクラウド基盤の構築、深刻化しているセキュリティ機能の強化、学術情報の活用基盤の高度化の実現
  2. 学術雑誌について、我が国の学術研究の振興・普及や学術研究の国際交流の活性化の促進を図り、海外との情報受発信を強化する学協会の取組の支援
  3. オープンサイエンスについて、国際的な動向を踏まえ、その公開に関しては国益からの観点も踏まえつつ、適切に促進

(取組状況) 

  1. 高速(100Gbps回線)かつ信頼性を向上させた学術情報ネットワークを平成28年4月から運用するとともに、クラウド基盤の構築を進めている。また、セキュリティ機能の強化として、国立情報学研究所と国立大学等が連携し、サイバー攻撃に対応するための体制を構築しているところ。
  2. 科研費の研究成果公開促進費において、学会等が主催するシンポジウム等における研究成果の公開発表、重要な研究成果を発信する学術刊行物の国際情報発信力を強化する取組、データベースの作成・公開について助成し、優れた研究成果の公的流通を促進。
  3. 学術情報委員会において、公的研究資金による論文及び論文のエビデンスデータの公開を推進する方策について審議し、「学術情報のオープン化の推進について」(平成28年2月)をとりまとめた。同審議まとめを踏まえてフォローアップを行い、更に研究データの共有及び利活用を促進するための方策について検討する予定。併せて、公的研究資金による論文及び論文のエビデンスデータの公開を推進する関連施策の概算要求を検討中。

8.人文学・社会科学の振興
(具体的な取組の方向性)

  1. 科研費などの公募方法や審査方式の改善を通した挑戦的な研究の支援や、諸学の密接な連携や国際的な学術展開、社会的・国際的な要請への貢献を実践する共同研究の先導的なモデルの形成
  2. 個々の研究者による自己の研究成果と現代社会に果たす役割や貢献の意義の積極的発信や、学術界全体として、人文学・社会科学が担う社会的意義の不断の検討や学術の成果の教養知への還元を図りつつ、将来的な展望を広く社会へ提示
  3. 人文学・社会科学の固有の意義を尊重しつつ、成果に対する独自の評価基準の明確化・可視化

(取組状況)

  1. 科研費事業において、平成27年度より、「特設分野研究基金」の創設により、分野融合的研究を引き出す新しい審査方式の先導的試行の充実等の改革に着手。平成28年度においては、審査システムの抜本的な改革を進めており、「挑戦的萌芽研究」を発展的に見直して、より大規模な支援を可能とする「挑戦的研究」を新設し、平成29年度からの助成開始(平成28年9月公募)に向けた準備を進めているところ。【再掲】また、「課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業」を通じ、諸学の密接な連携によりブレークスルーを生み出す共同研究、社会貢献に向けた共同研究、国際共同研究を推進することにより、個々の研究者が現代社会との接点を常に意識し続け、人文学・社会科学の更なる深化を促す原動力となる先導的なモデル創出を促進。また、平成28年8月に、当該事業の成果発信のためシンポジウムを開催予定。

3.  平成28年度に、諸外国の人文学・社会科学における自然科学との連携方策及び評価方法等の振興施策に関する調査を実施予定。


9.学術界のコミットメント

  1. 分野や機関等の利害を超え、制度設計や審査、評価への参画や、異なる分野や組織と柔軟に連携して新しい学問分野を創出する意識の共有など、学術界としての積極的なコミットメント
  2. 独立行政法人日本学術振興会において、学術システム研究センターを中心としたピアレビューに基づくファンディング機能を生かして学術コミュニティーを結集することや、海外と我が国の学術コミュニティーをつなぐ機能を強化
  3. 学術研究の社会における本来的役割を十分に認識し、自律的な評価と見直し、研究倫理を醸成するための研究倫理教育の徹底等により、学術研究の質を保証し、学術界による自律的な取組や国による不正防止の取組も踏まえ、公正な研究活動を推進
  4. 社会の中の学術研究として社会との対話を重視し、研究者一人一人が学術研究の役割を自覚し、自らの研究の意義や役割、成果等について実態に即して分かりやすく説明する責務があるとともに、アウトリーチ活動をはじめとする社会・国民との対話と交流を強化に向けた取組やその評価、奨励。産業界との実質的な対話の機会を増やすなど、双方の交流の一層の強化。
  5. 大学は卓越した研究活動の推進、研究組織の統率、体系的な教育活動の推進等、各研究者に期待される役割への貢献度に応じたメリハリある処遇や資源配分を行うことにより、過去の実績のみに頼らず、研究者の意欲や発展可能性など未来志向の観点に基づいて評価を行う制度を確立し、優秀な研究者を更に伸ばし、また、新たな課題に果敢にチャレンジしている研究者を支援する一方で、多様な学術研究の役割のいずれをも十分に担っていない研究者を見分ける峻烈さを示し続けること

(取組状況)

  1. 平成27年2月に「提言 第5期科学技術基本計画のあり方に関する提言」を取りまとめ、学術界全体で学術の持続的発展を確保するため、バランスの取れた資源配分や、未知・未踏の課題に挑戦できる人材育成の重要性について提言。また、内閣府「国際的動向を踏まえたオープンサイエンスに関する検討会」など、その後の内外における動向を踏まえて、日本学術会議において平成27年1月に「オープンサイエンスの取組に関する検討委員会」を設置し、平成28年7月「オープンイノベーションに資するオープンサイエンスのあり方に関する提言」を公表し、「研究データのオープン化」と「データ共有」のあるべき姿を示した。
  2. ニューデリーで開催されたグローバルリサーチカウンシル(GRC)第5回年次会合において、JSPS理事長が議長を務めて議論を主導し、会合の成功に貢献し、同会合での成果文書「学際研究のための原則に関する宣言」及び「女性研究者の平等と地位のための原則及び行動促進に関する宣言」が採択された。【再掲】
  3. 学術界をけん引する研究者による学術研究フォーラムと文部科学省からの予算措置により研究公正推進事業を実施する日本学術振興会の共同主催により、シンポジウム「科学研究のよりよき発展と倫理の確立を目指して」を開催(平成27年11月)し、研究活動上の不正行為の未然防止等の観点を広く周知する趣旨から、日本学術振興会において、平成28年3月に議事録や資料等をまとめた報告書を作成するとともに、ホームページにて情報を発信。また、生命医科学系・理工系・文系等学術研究を代表する研究者により、研究倫理とその教育に関する議論と実践の場を国内外に設けることや、研究倫理関連教材等の教育手段の提供を通じてグローバルな研究倫理を啓発することを目的に、一般財団法人公正研究推進協会を設立。
  4. 日本学術会議において、これまで「声明 科学者の行動規範」の改訂(平成25年1月)を行い、科学者の責務や社会との対話、政策立案・決定者に対する科学的助言等の科学者としての行動規範について科学者個人及び科学者コミュニティーに対して求めるなど、学術界への働きかけを実施。
  5. 日本学術会議において、平成27年2月に「学術振興の観点から国立大学の教育研究と国による支援のあり方を考える検討委員会」や、平成27年6月に「学術研究推進のための研究資金制度のあり方に関する検討委員会」を設置し、検討を継続中。また、時代の展開においてわが国の大学は何処に向かって舵をとるべきかについて、平成28年1月に日本学術会議主催新春緊急学術フォーラム「少子化・国際化の中の大学改革」を開催。


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(研究振興局振興企画課学術企画室)

-- 登録:平成28年08月 --