参考資料6 イノベーション総合戦略2016(抜粋)

科学技術イノベーション総合戦略2016(抜粋)


平成28年5月24日
閣議決定

第3章 科学技術イノベーションの基盤的な力の強化

(2)知の基盤の強化

  持続的なイノベーションの創出のためには、イノベーションの源である多様で卓越した知を生み出す基盤の強化が不可欠であり、その際、従来の慣習や常識にとらわれない柔軟な思考と斬新な発想を持って研究が実施されることが特に重要である。しかし、我が国の論文数、高被引用度論文数は共に伸びが十分でなく、国際的な共著論文の伸びも相対的に低い。そうしたことから、我が国の基礎研究力の低下が懸念される。
このため、国は、研究者の内在的動機に基づく自発的・独創的な学術研究や戦略的・要請的な基礎研究等の更なる推進を図るとともに、オープンサイエンスの世界的な流れにも適切に対応していく必要がある。

 1) イノベーションの源泉としての学術研究と戦略的・要請的な基礎研究の推進
研究者の内在的動機に基づく学術研究は、新たな学際的・分野融合的領域の創出や幅広い分野でのイノベーション創出の可能性を有している一方で、学術研究に対する社会からの負託に応えていくことが求められており、国は、挑戦性、総合性、融合性及び国際性の観点から改革と強化を進める必要がある。また、学術研究に関する研究資金の分野別等の配分状況を踏まえ時代の要請と学術研究の継続性を両立させつつ、学術研究の健全な多様性を確保していくことが重要である。
具体的には、科学研究費助成事業(以下「科研費」という。)について、多角的な視点による優れた研究課題の選定、研究者による新たな課題の積極的な探索と挑戦を可能とする支援の強化、研究種目の性質に応じた基金化による研究費の使い勝手の改善など、更なる充実を図る必要がある。
戦略的・要請的な基礎研究は、学術研究によって生み出された多くの知を社会的・経済的価値の創造に結びつけるために重要であるが、分野間連携・異分野融合の更なる推進という観点からも重要であることや、成果の創出に当たって高い不確実性を伴うことから、国は、客観的根拠に立脚した戦略目標の策定、若手・女性等による挑戦的な研究や分野・組織・国境を越えた研究の推進など、さらなる改革と強化を図る必要がある。
これらの取組に当たっては、研究の進展に合わせた切れ目ない支援、研究情報・成果のデータベース整備やネットワーク化等による一層の可視化を図り、研究成果を最大限活用して、社会的・経済的価値の創造に結びつけることが重要である。
さらに、国際性の観点から、学術研究の大型プロジェクトの推進や国際共同研究の戦略的な推進、優れた研究環境と高い研究水準を誇り、国内外から第一線の研究者を引き付ける世界トップレベルの拠点の形成が重要である。


【重きを置くべき取組】

  1) イノベーションの源泉としての学術研究と戦略的・要請的な基礎研究の推進
○科学研究費助成事業の改革・強化
・全ての分野にわたり、裾野の広い配分をしつつ、既存分野の枠にとらわれない斬新性を重視するプログラムの設定、最大種目である「特別推進研究」の見直し、研究者が異動・独立した際の研究継続を円滑にする支援等により、挑戦性の観点から取組を強化する。 【文部科学省】
・平成30年度公募から導入する新しい審査システムへの円滑な移行に向けて、審査区分の大括り化など必要な措置を行う。 【文部科学省】

○戦略的な基礎研究の改革・強化
・政策的な戦略に基づき出口を見据えた基礎研究を推進する代表的事業である戦略的創造研究推進事業について、若手等の挑戦的な研究等を更に推進していくとともに、より客観的根拠に立脚した戦略目標の策定に向けた改革に取り組む。 【文部科学省】

○研究情報・成果の可視化
・科研費成果等を含むデータベースの構築等に取り組み、研究成果の一層の可視化と活用を図る。 【文部科学省】

○世界トップレベルの研究拠点の形成等の促進
・国内外から第一線の研究者を引き付ける拠点を形成する世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)について、世界的な知名度の維持・向上を図りつつ、国際的な頭脳循環の中核となる研究拠点の着実な形成に取り組む。さらに、WPIの手法・成果を展開しつつ、地域の大学等を含め、特定分野で世界に伍する国際的研究拠点を形成することで、国内外から第一線の研究者を惹きつける取組を推進する。また、我が国の基礎研究の向上に資するような国際協力によるオープンイノベーション拠点の形成や戦略的な国際共同研究の促進等に取り組む。 【文部科学省】

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(研究振興局振興企画課学術企画室)

-- 登録:平成28年06月 --