参考資料5 第6期学術分科会における主な審議経過及び今後の検討課題(抜粋)

第6期学術分科会における主な審議経過及び今後の検討課題(抜粋)

平成25年1月10日
                          科学技術・学術審議会
学術分科会

1.第6期の学術分科会における審議経過の概要・・・・・・・・・・・・・・ 1


2.主な審議事項の審議経過・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

(1)大学等における研究環境の改善と研究支援体制の強化

(2)科学研究費助成事業の充実

(3)学術研究体制の整備
1.大学共同利用機関の機能強化の在り方
2.大学等における学術情報基盤の充実

(4)学術研究の戦略的推進
1.学術研究の大型プロジェクトの推進
2.人文学・社会科学の振興の在り方


3.次期の学術分科会において検討すべき課題・・・・・・・・・・・・・・・ 9

1 長期的視点から検討すべき課題

2 当面の検討課題

(1)大学等における研究環境の改善と研究支援体制の強化

(2)科学研究費助成事業の改善

(3)学術研究体制の整備
1.大学共同利用機関の機能強化
2.全国共同利用・共同研究拠点
3.学術情報の発信・流通の強化

(4)学術研究の戦略的推進

(5)研究者倫理の向上

(6)学術の振興に不可欠な人材育成の在り方等
 
1.第6期の学術分科会における審議経過の概要
(略)

2.主な審議事項の審議経過

学術研究の更なる発展のためには、研究者が高い志をもって、新しい知の開拓と集積をもたらすことが重要である。これを可能とするためには、研究環境の現実を直視し、課題と改革の方向性を明らかにすることで、研究者及び大学の挑戦が社会の理解と支援を得られるようにすることが必要であるとの認識の下で、以下のような審議を進めた。

(1)大学等における研究環境の改善と研究支援体制の強化

◎ 大学における研究力強化の在り方については、研究費部会において基本的な方向性について議論され、学術分科会において、ヒアリング等を踏まえた審議が行われた。主な意見は以下のとおり。

(大学の研究力強化の基本的考え方)
○ 大学は、我が国の学術論文の約7割を生み出し、論文数や被引用数が年々増加するなど、数多くの優れた研究成果を上げ、我が国の重厚な知的基盤の形成に貢献してきた。しかしながら、近年、我が国の論文数等の国際的なシェアが低下傾向にあり、論文発表の一定割合以上を担う大学層が薄いなど、我が国の研究力が相対的に低下しているとの指摘がある。このため、研究力を図る指標の一つとされている論文数や論文の被引用回数シェアの向上など、国際競争力の向上が課題の一つとなっている。

○ 我が国において、一定以上の論文発表等を担う大学数は、諸外国に比べ少ない状況にあるが、基盤的経費の削減により、競争的資金による研究を含めた研究体制・環境に支障を来している。また、学術研究基盤の脆弱(ぜいじゃく)化、機関間の格差拡大による、研究の多様性や人材流動性の低下により、我が国の学術研究、科学技術の活力低下が懸念される。

○ 第5期の「学術研究の推進について(審議経過報告)」においても指摘されているとおり、今後の大学における学術研究については、各大学がそれぞれの強みを生かして、限られた資源を集中的、効率的に投入し、将来にわたりその個性・特色が発揮され、それらの分野や課題について研究を深化させていくことが期待されている。

○ その際、大学は知の拠点として、短期的に成果が求められる研究だけでなく、基礎・基盤研究に継続的・長期的に取り組み、研究の厚みを備えるような研究環境の構築や教員の年齢構成等の各大学の状況や課題に応じて、若手研究者の活躍を促進するための組織運営に取り組む必要がある。
○ 大学には学術を担い社会をリードしていく責務がある。国や社会との間に適切な緊張関係を保ちつつ、緊密な信頼関係を維持することが必要である。大学の自主性・自律性を尊重しつつ、世界的な変化の中で大学の構成員の参加を促すリーダーシップにより、マネジメント体制の改革を行う必要がある。

(大学において取り組むべき事例)
○ 我が国の大学においては、いかに研究に振り向けるべき時間を増加し、研究ポテンシャルを確保するかが大きな課題となっている。研究者の研究時間を確保するためには、研究に専念できる国際水準の研究体制・環境の整備が不可欠であり、まず、研究者や研究支援人材の確保に積極的に取り組むことが重要である。

○ 大学等の研究力を強化するためには、高度な研究支援人材等の確保とあわせて、国際競争力のある研究や萌芽(ほうが)的な分野間連携の研究などを活性化することも必要である。その際、国内外からの積極的な人材確保のための活動も求められる。国際的に優れた人材を集めるためには、国際的な公募の充実や、幅広い国際人材交流策の充実についても検討する必要がある。

○ 国際水準の研究体制・環境の整備に向けて、研究者や研究支援人材の登用を進めるに当たっては、各大学等においては、これらの人材の配置や就業規則等における位置づけの明確化、適切な評価・処遇の方針を整理する必要がある。また、大学は自主的に従来の取組を取捨選択することが重要であり、自らの強みや特色について分析を行っておくことが求められる。

○ 世界の知をリードし発展し続けるためには、優れた若手研究者の育成と活躍が必須であり、学内における挑戦的研究の掘り起こしや研究指導体制の構築、継続的かつ魅力的なポストの確保など若手研究者の活躍促進について、産業界等社会での活躍も視野に入れて、組織的に取り組むことが重要である。

○ 更に、国際的な研究体制・環境の下での国際共同研究や国際的な査読制度などを通じて、我が国の研究者が世界の研究ネットワークに参加することが不可欠であり、サバティカルの奨励等を活性化させることが必要である。

○ また、優秀な女性を大学にとどめるためには、女性研究者の割合の低さについても危機感をもって、改善に取り組む必要がある。

○ 産業界の知を学内に呼び込む共同研究など、新しい知識の創造や発見のために、大学と社会との間の知の循環を活性化することが重要である。

○ 大学等の研究力を向上するためには、研究を適切に評価することが重要である。その際、革新的な飛躍知を生みだす研究を促進するために、論文数等の定量的な評価のみならず、研究の独創性や着想などに関する多様な評価が不可欠である。


 
(国の支援の在り方)
○ 我が国全体の研究力を向上するためには、科研費を含めた競争的資金による研究や拠点形成が一層効果的に行われる好循環を創出する必要がある。このため、基盤的経費と競争的資金の双方による支援の維持を基本としながら、研究面で国際競争力を有する大学(リサーチ・ユニバーシティ)の層を厚くすることが必要であり、各大学において、学長のリーダーシップの下、長期的な視点をもって、研究戦略に基づく魅力ある研究体制・環境の構築を推進する必要がある。我が国全体の研究の多様性を確保しつつ、世界のトップランナーを目指す大学の研究力を強化するための支援が必要である。

○ 大学における取組の支援に当たっては、質の高い研究活動、質の高い論文、産業界への貢献など、適切な評価の手法等を検討する必要がある。また、客観的な指標による評価を改善していく上では、国の研究機関等における政策決定等に係るシンクタンク機能の強化も重要である。

○ 教育研究が活発な研究者ほどアドミニストレーションの負担も大きい傾向がある。研究効率を上げるための運用面での工夫とともに、研究戦略を立案する企画部門の設置などによる研究者の負担軽減に向けた改善を促し、大学において研究者の研究時間が確保されるようにする必要がある。

○ 我が国全体の研究力を強化するためには、優れた研究拠点形成や先端研究支援とともに、研究の多様性、研究の裾野の広さを確保し、熟成する可能性の芽を摘まないようにすることが重要である。

○ また、我が国における独創的・先端的な学術研究の発展には、大学共同利用機関や共同利用・共同研究拠点のような個々の大学の枠を越えて国内外の研究者が共同で研究を行う体制の整備により、研究手法や研究対象への視点を異にする複数の研究者の取組が融合することで、新たな学問領域の創成や社会的な課題の解決への方途を拓(ひら)くことが重要である。

○ 共同研究の促進や効果的・効率的な設備整備の観点から、大学内外におけるコアファシリティーの共同整備・利用システムの構築を促していくことが重要である。

(研究力を支える人材養成の在り方)
○ 優れた研究者の育成のためには、修士課程修了者の進学率が低下する中、大学院生や若手研究者に対する経済的支援の充実とともに、国内外及び学術界や産業界等社会において多様なキャリアパスの展望を描くことができるよう、産業界とも連携した組織的な取組を広げることが重要である。

○ 創造性豊かな人材の育成のため、初等中等教育段階から高等教育段階まで、俯瞰(ふかん)的な視野や論理的・実証的な科学的な考え方を培うような教養教育の充実が重要である。
 
(2)科学研究費助成事業の充実
(略)

(3)学術研究体制の整備
(略)

(4)学術研究の戦略的推進
(略)


3.次期の学術分科会において検討すべき課題

1 長期的視点から検討すべき課題

○ 将来起こり得るあらゆる事態に備え、自らの社会的役割及び使命を常に検証し、国民の期待や社会の要請に応え得る体制に変革することが重要、という東日本大震災からの教訓を踏まえて、引き続き「社会のための、社会の中の学術研究」の視点からの検討が必要である。

○ 大学等の研究を支えるデュアルサポート等の基本的な枠組みの重要性を認識しつつ、長期的な視点から、明確なビジョンを持って学術研究を推進していくためには、「学術研究の推進について」(平成23年1月17日、第5期学術分科会)で提起された、基盤的なシステムの整備、研究環境の改善、学術研究職の魅力の確保、国際化の推進、学術研究と社会との関わりといった現状と課題について、継続的に検討することが必要である。
その際、学術研究を巡る国際的な評価軸、学術研究を国際的にどのように進め、発展させていくのかといった視点が重要である。

○ 更に、第4期科学技術基本計画期間(平成23~27年度)における、学術の振興に関する取組を検証するとともに、第5期科学技術基本計画に向けた検討を開始する必要がある。


2 当面の検討課題

(1)大学等における研究環境の改善と研究支援体制の強化

○ 我が国における戦略的な研究推進のためには、大学の研究環境を支え、改善していくための財源の在り方について検討する必要がある。
また、「リサーチ・ユニバーシティ」の研究力を強化するため、その在り方や研究環境について、更に検討を深める必要がある。その際、科研費の獲得状況等を指標として計測しつつ、長期的には、分野ごとに分析・評価が可能なデータの整備や高い論文水準を示す英国やドイツなどの大学システムとの比較も必要である。また、民間資金の獲得や社会のニーズに応えていくためのコーディネートをする人材の確保といった、大学と外部とのインターフェイスを構築する仕組みなど大学等における研究支援体制の充実についても検討が必要である。

○ 改正労働契約法施行への対応も考慮しながら、大学等のネットワークを利用して、テクニシャンをはじめとする高度な研究支援人材及び研究者の情報共有を進めることなどにより、継続的なキャリアパスの確立と流動性の確保を同時に可能にし、研究力を高めていけるような仕組みの構築について、関係部会等での議論も踏まえながら検討が必要である。


(2)科学研究費助成事業の改善
(略)

(3)学術研究体制の整備
(略)

(4)学術研究の戦略的推進
(略)

(5)研究者倫理の向上
(略)

(6)学術の振興に不可欠な人材育成の在り方等
(略)

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研究振興局振興企画課学術企画室

(研究振興局振興企画課学術企画室)

-- 登録:平成28年06月 --