資料2-2
科学技術・学術審議会
学術分科会(第57回)
平成26年8月27日
(1)共同利用・共同研究拠点の経緯
○ 個々の大学の枠を超え、全国の国公私立大学等から研究者が集まって行う共同利用・共同研究のシステムは、我が国独自の仕組みであり、学術研究の発展に大きく貢献してきた。
⇒平成20年7月、文部科学大臣による共同研究の拠点としての認定制度を創設。
平成26年7月現在、共同利用・共同研究拠点(以下、拠点) 95拠点(国立77拠点、公立2拠点、私立16拠点)
(2)共同利用・共同研究拠点の意義・役割
1) 当該・関連分野の中核的な研究拠点としての意義・役割
○ 異分野融合・新分野創成を促進し、人的・物的資源を効率的に活用する観点から、拠点において研究者が共同研究を進め、研究施設・設備や資料・データ等を共同利用する必要性・有効性は大きい。
2) 各大学に設置されている研究組織が共同利用を行うことの意義・役割
○ 国立大学改革やミッションの再定義の流れの中、大学に求められる「グローバル化」、 「研究力強化」等の実現に向け、附置研究所や研究センター等の研究機能が十分な役割を果たすことが求められる。また、拠点としての活動は、大学の研究活力の増大、研究機能の向上に直結するものである。
(1)拠点数の増加に伴い研究者コミュニティ内での連携推進が一部困難
○ 拠点数の増加に伴い、例えば、一分野多拠点制度の導入などにより拠点の役割分担などが過度に進むことがあると、かえって拠点におけるバランスのとれた研究推進が難しくなることが指摘されている。
(2)拠点の活動に対する各大学の位置付けが不明確
○ 大学の枠を超えた共同利用・共同研究の推進は、各大学固有の研究機能を向上させるものとは必ずしも見なされず、本来の大学の強み・特色として活用されるべき拠点の位置付けが不明確となる。
(3)新たな要請に応える拠点の取組への財政的支援が年々困難
○ 国立大学法人運営費交付金等により、拠点活動への基盤的な支援が行われているが、拠点活動の活性化や機能強化に資する新たな要請に応える拠点の取組への財政的支援は、年々困難になっている。
(4)拠点を全国レベルの機関に転換するインセンティブが欠如
○ かつては、大学の附置研究所等を発展的に改組して大学共同利用機関を設置する事例も見られたが、法人化以降、附置研究所等を全国レベルの機関に転換することのインセンティブが失われている。
(1)拠点間連携の一層の強化
○ 人的・物的資源をより効果的に活用する観点、分野を超えた新たな学問的融合を促進する観点などからも、拠点間の連携(ネットワーク型等)を一層強化することが必要である。
(2)大学の機能強化への貢献
○ 拠点は、大学の研究力向上に直接的に寄与するとともに、我が国の学術研究における共同研究推進のハブとして、また人材育成の拠点としても機能することで、大学の研究の活性化と機能強化にも資するものと考えられる。
(3)時代の新しい要請への柔軟な対応
○ 国際ネットワークを形成して、国際共同研究や人材交流などを主導し、国際的な頭脳循環のハブや情報の収集・分析のプラットフォームとしての役割や、若手研究者の人材育成拠点としての役割、異分野融合による新分野創成など、大学の枠を超え、時代の新しい要請に柔軟に対応することが重要である。
(4)拠点の体制強化の推進
○ グローバル化、異分野融合・新分野創成、若手・女性・外国人研究者などの人材育成・確保の基盤としても拠点が機能するためには、特に組織運営、人事面等での体制強化を図ることが重要。
(共同利用・共同研究拠点の整備に当たっての基本的方針)
○ 中間評価結果を踏まえた改善が図られない、期末評価で低評価等の拠点には、拠点の認定更新はしない等、厳正な質の保証・管理を行うことが考えられる。また、 期末評価の評価項目の設定に当たり、拠点の規模や研究者コミュニティの動向、分野の性質などきめ細やかな評価を行うための検討が重要。
○ 拠点の一層の機能強化を図る観点から、新たな要請に応える拠点への重点的支援に向けた検討を行うとともに、拠点への基盤的経費の支援の在り方についても見直しを行う。
(1)一分野多拠点に係る考え方とネットワーク型拠点の形成の促進
○ 拠点間の連携を促進し、資源を効率的に活用する観点から、ネットワーク型拠点の形成を促進。
(2)大学の機能強化と連動した取組への支援
○ 大学に求められる「グローバル化」、「研究力強化」等に向け、拠点間連携やネットワークの構築による国際化、分野融合による新分野創成など、新たな取組を行う拠点に対する支援の枠組について検討。
(3)国際化や産業界との連携等への対応
○ 拠点を発展させるため戦略的に活動できるURAなどの人材育成、国際対応を専門とする事務職員や技術職員の配置、国際的な人材登用を含めた若手人材育成等を支援。
○ 待遇面等について柔軟な人事制度を整えることで、国内外から卓越した研究者を集め、国際的な研究環境を整備。
○ 拠点における研究成果が製品開発等への貢献につながり得る場合には、産業界へ積極的に情報発信。
(4)拠点間の連携等による新たな学問領域の創成
○ 拠点が異分野融合・新分野創成による新たな学問領域の創成や国際連携を図る際には、同じくそれを重要なミッションに含む大学共同利用機関との関係等について、更なる検討が必要。
(5)共同利用・共同研究拠点の運営体制(組織運営、公募の採択、人事等)
○ 当該分野の研究者コミュニティの連携・自主性・自律性に基づいた運営を確保することが必要。
○ 任期制や公募制、年俸制の導入等により、人材の流動性の向上を図る。
○ 運営体制の整備に当たり、研究活動が適切に行われることが大前提であり、高い研究倫理を醸成し、公正な研究活動を推進するのはもとより、研究に当たって安全の確保が図られるよう努めることが必要。
(6)共同利用・共同研究に係る研究成果等の情報発信
○ 拠点の研究成果や共同利用設備等について、国民や学術界に対する情報発信を十分に行う。
○ 中間評価等で高い評価を得た拠点の好事例は、国においても幅広く情報発信していくことが必要。
(7)学術研究の大型プロジェクトの推進
○ 学術研究の大型プロジェクトは、共同利用・共同研究体制の強化を図る上でも有効な取組であり、大学共同利用機関や拠点が実施主体となるなど多くの研究者の参加を得て推進することが必要。
○ 日本学術会議の「学術の大型研究計画」に関するマスタープランを踏まえつつ、推進の優先順位を明らかにしたロードマップを策定するなど、戦略的・計画的な推進を検討することが重要。
(1)共同利用・共同研究拠点と大学共同利用機関法人・機関の連携方策
(2)共同利用・共同研究拠点と大学共同利用機関法人・機関相互の位置付け及び関係
(3)共同利用・共同研究体制強化に向けた大学共同利用機関法人・機関の在り方の見直し
(4)共同利用・共同研究体制強化に向けた学術研究の大型プロジェクト推進の在り方
(5)共同利用・共同研究体制の成果の国民・社会への情報発信力の強化
研究振興局振興企画課学術企画室
-- 登録:平成26年09月 --