別添資料2 重点的に取り組むべき事項について(案)

1 社会全体で教育の向上に取り組む

(1)学校・家庭・地域の連携協力を強化し、社会全体の教育力を向上させる

 改正教育基本法第13条(学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力)の規定を踏まえ、学校・家庭・地域の三者の連携協力のための具体的な仕組みを構築するとともに、社会全体の教育力向上に取り組む。

◇地域ぐるみで学校を支援し子どもたちをはぐくむ活動の充実

 学校と地域との連携体制を構築し、地域全体で学校を支え、子どもたちを健やかに育むことを目指し、地域住民による積極的な学校支援の取組を支援する。

◇コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の設置促進

 保護者や地域住民が一定の権限と責任を持って学校運営に参画し、地域に開かれた信頼される学校づくりを進めるコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の設置促進に取り組む。

◇放課後や週末の子どもたちの体験・交流活動の場づくり

 放課後や週末等に小学校の余裕教室等を活用して、子どもたちの安全・安心な活動拠点を設け、地域住民の参画を得て、学習活動や様々な体験・交流活動等の場を提供する取組を、関係省庁が連携して支援する。
 あわせて、子どもたちの自然体験活動や生活体験活動のための指導者養成やプログラム開発などの取組を関係省庁が連携して実施する。

◇青少年を有害環境から守るための取組の充実

 インターネットや携帯電話、テレビ、ビデオ等のメディア上の有害情報が深刻な問題となっていることを踏まえ、社会の有害環境から子どもたちを守るための体制を関係省庁が連携して整備するとともに、保護者をはじめとする関係者の意識向上に向けた啓発活動を実施する。

◇企業等と教育関係者の相互理解・連携・協力の拡大

 企業等と教育関係者の代表が一堂に会し、教育課題について議論を行う場を定期的に設けるなど、相互理解の促進に取り組む。
 企業等に対し、労働者が、仕事だけでなく、子育てや自らの学習活動、地域貢献活動などに十分に取り組むことができるような勤務条件の配慮を促すとともに、学校や地域での教育活動に対する支援、教育的な観点からの採用の在り方の改善等について継続的に協力を要請する。同時に、教育委員会や大学等教育関係者に対し、産業界との積極的な連携協力の拡大を呼びかける。

(2)家庭の教育力を向上させる

 改正教育基本法第10条(家庭教育)の規定を踏まえ、子の教育に第一義的な責任を有する保護者が、各家庭において、子どもたちに生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図ることができるよう、教育の原点である家庭の教育力を高めるための支援を進める。あわせて、すべての親が自信を持って安心して子育てをすることができるよう、社会全体で子育てを支援する。

◇子育てに関する学習機会の提供など家庭の教育力の向上に向けた総合的な取組の充実

 それぞれの家庭が置かれている状況やニーズを踏まえ、かつ、家庭教育の自主性を尊重しつつ、子育てに関する学習機会や情報の提供、相談や専門的人材の養成などの家庭教育に関する総合的な取組を関係機関の連携により支援する。

◇幼稚園等を活用した子育て支援の充実

 幼稚園、保育所及び認定こども園が有する人的・物的資源を活用した、施設の開放、情報の提供、子育てに係る相談・助言などの子育て支援の充実を促す。

(3)人材育成に関する社会のニーズに応える

 教育と職業や産業社会との関わりを一層重視し、キャリア教育の充実を支援するとともに、産業界と連携して、また、初等中等教育段階から高等教育段階に至る教育の連続性に配慮しつつ、人材育成に関する社会の要請に応える職業教育の充実を支援する。併せて、グローバル化に対応し得る国際的通用性のある高度専門職業人の養成を支援する。

◇地域の人材や民間の力も活用したキャリア教育・職業教育、ものづくりなど実践的教育の充実

 子どもたちの勤労観や社会性を養い、将来の職業や生き方についての自覚を促すため、経済団体、PTA、NPO法人などの協力を得て、関係省庁の連携により、小学校段階からのキャリア教育の充実を支援する。特に、中学校を中心とした職場体験活動や、普通科高等学校におけるキャリア教育の充実を支援する。さらに、実務に精通した専門人材の学校への派遣など、中学校や高等学校等におけるものづくりなど実践的な教育への支援を充実する。あわせて、高度ICT人材の育成を進める。

◇専門高校における職業教育の充実

 職業教育の拠点としての専門高校の活性化を図るため、社会や地域のニーズに応じたスペシャリストの育成の先導的な取組を行う専門高校等に対する支援を充実する。高等学校普通科、総合学科や小・中学校との連携、大学等との連携・接続の強化を促す。また、専門高校と地域産業界の連携による専門的職業人の養成を関係省庁が連携して支援する。先進事例の普及等を通じ、産業社会の動向や地域や生徒の実態やニーズに対応した教育内容の改善や学科等の改編等を促す。

◇大学・高等専門学校・専修学校等における高度な専門職業人や実践的・創造的技術者の養成の充実

 国際的に通用する高度専門職業人の養成に向け、関係機関との連携などによる専門職大学院における教育の高度化を図る取組への支援を充実する。また、高等専門学校におけるものづくり技術の継承・発展とイノベーション創出を担う実践的・創造的技術者育成のための取組の支援を充実する。専修学校における社会的要請の高い課題に対応する教育の取組に対する支援を充実する。

◇産業界・地域社会との連携による人材育成の強化

 人材育成に関する社会の要請に応えるため、大学と産業界・地域社会とのより幅広い連携協力の下でのインターンシップの充実や教育プログラムの開発などの取組への支援を充実する。

(4)いつでもどこでも学べる環境をつくる

 誰もが生涯を通じて学び、自己の内面を磨くとともに、新たなチャレンジ等を通じて学んだ成果を社会に還元することのできる「知の循環型社会」の構築を目指し、情報通信技術も活用しつつ、必要な環境を整備する。特に、個人の自立や住民の学習活動を通じた地域の活性化に重要な役割を果たす図書館や博物館、公民館等の地域の社会教育施設の機能の充実について、積極的な取組を促す。

◇地域の課題解決、住民の学習活動、個人の自立を支援する図書館・博物館の機能の充実

 住民にとって身近な「地域の知の拠点」である図書館の質量両面における充実が図られるべきであり、先進的な事例の普及や研修の充実等を通じ、司書の配置をはじめとする取組を促す。また、地域の自然や文化等に関する充実した博物館活動が行われるよう、その質の向上を促すとともに、国民の参画の増進に取り組む。

◇地域の学習拠点としての公民館等の機能の充実

 公民館をはじめとする社会教育施設を、地域が抱える様々な教育課題への対応や社会の要請が高い分野の学習など地域における学習拠点として位置付け、その機能を充実させるための取組への支援を充実する。

◇地域の自立支援のための学習やボランティア活動の促進

 あらゆる世代が、学習活動やその成果を生かしたボランティア活動を通じて地域の活動に参画し、その絆を深め、地域の教育力を高めることができるよう、こうした取組への支援を充実する。

◇持続可能な社会の構築に向けた教育に関する取組の充実

 一人一人が地球上の資源の有限性を認識することなど、持続可能な社会の実現に向けて取り組むための教育の重要性について、広く啓発活動を行うとともに、関係省庁が連携してこのような教育を担う人材の育成や教育プログラムの作成・普及に取り組む。

◇地域住民に身近なスポーツ環境の整備

 国民の誰もが生涯を通じていつでも身近にスポーツに親しむことができる環境を整備するため、地域における総合的なスポーツの場の整備をはじめとした取組への支援を充実する。

◇「学び直し」の機会の充実と学習成果を社会で生かすための仕組みづくり

 誰もが生涯のいつでも必要な時に学び、何度でも新たなチャレンジを行うことができる社会の実現に向けて、大学等において情報通信技術も活用しつつ社会人を受け入れる取組の充実を促す。また、全国の受講者がより学習しやすい教育条件を整備するため、放送大学等の充実を図る。
 さらに、学習した成果が社会で適切に評価され、活用されるよう、個人の学習成果の評価の仕組みについて検討する。

2 個性を尊重しつつ能力を伸ばし、個人として、社会の一員として生きる基盤を育てる

(1)知識・技能や思考力・判断力・表現力、学習意欲等の「確かな学力」を確立する

 「知識基盤社会」の時代を担う子どもたちに、

  1. 基礎的・基本的な知識・技能の習得、
  2. 知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等、
  3. 学習意欲を喚起し、自ら追求・探求する姿勢・能力等、

を重要な要素とする「確かな学力」を確立するための取組を実施する。

◇学習指導要領の改訂と着実な実施

 「確かな学力」を確立するため、国語力の育成、理数教育の重視、小学校段階における外国語活動(仮称)を含めた外国語教育の充実などの観点から学習指導要領を改訂するとともに、その運用について常に見直しを行う。また、学習指導要領の改訂趣旨や理念が各学校や国民に深く理解されるために必要な措置を講じていく。

◇総合的な学力向上策の実施

  • 新しい学習指導要領を踏まえ、基礎的な知識・技能の定着と思考力・判断力・表現力等の育成や、国語力の育成、理数教育の充実などに取り組む。
  • 児童生徒の発達段階に応じた情報活用能力の育成に加え、情報安全を含め情報モラル教育を充実する。
  • 異なる文化的背景を持つ人々との相互理解を深め、国際社会において主体的に行動できる人材を育成するため、各学校段階における国際理解教育を充実する。
  • 発達段階に応じた教育課程上の工夫の観点から、各学校段階間の円滑な接続のための取組を促す。

◇教科書の質・量の一層の充実

 児童生徒が学習内容について十分に理解を深め、基礎的・基本的な知識・技能を確実に身に付けるとともに、それらを活用する力をはぐくむため、教科書を質及び量の両面で充実させる。

◇全国学力・学習状況調査の継続実施とその結果を活用した学校改善への支援

 児童生徒の学力や学習状況を把握し、教育施策や指導の改善に活用するため、全国学力・学習状況調査を継続的に実施する。あわせて、その結果を分析・検証し、課題がみられる学校の改善に向けた取組への支援や、優れた取組の普及等を行う。

(2)規範意識を養い、豊かな心と健やかな体をつくる

 一人一人が、生涯をより良く生きようとする力の源泉となる豊かな心と健やかな体を育成するための取組を充実する。あわせて、将来社会の責任ある一員として生きる自覚を促し、そのために必要な資質を養うための取組を充実する。

◇道徳教育の充実

 子どもたちの規範意識や公共の精神などをはぐくむ観点から、道徳教育の充実に向けて、指導方法・指導体制等に関する研究や教材の作成などに総合的に取り組む。

◇伝統・文化に関する教育の充実

 我が国の伝統と文化を基盤として国際社会を生きる日本人を育成する観点から、我が国や郷土の伝統・文化を受け止め、それを継承・発展させるための教育を充実する。あわせて、学校や地域の文化施設において、子どもたちが優れた芸術文化や伝統文化に直に触れる機会を充実する。

◇環境教育の充実

 改訂学習指導要領の趣旨・理念を踏まえ、環境教育の充実のための取組を関係省庁が連携して実施する。また、環境を考慮した学校施設の整備を支援し、当該学校施設を教材とした環境教育の実施を促す。

◇職業観・勤労観や知識・技能をはぐくむ教育(キャリア教育・職業教育)の充実

 子どもたちの勤労観や社会性を養い、将来の職業や生き方についての自覚を促すため、経済団体、PTA、NPO法人などの協力を得て、関係省庁の連携により、小学校段階からのキャリア教育の充実を支援する。特に、中学校を中心とした職場体験活動や、普通科高等学校におけるキャリア教育の充実を支援する。また、専門高校における地域社会等と連携した職業教育の充実を支援する。さらに、実務に精通した専門人材の学校への派遣など、中学校や高等学校等におけるものづくりなど実践的な教育への支援を充実する。

◇体験活動・読書活動等の充実

 命を大切にする心や他を思いやる優しさ、社会性、規範意識などを育てるため、小学校、中学校及び高等学校の各段階において、自然の中での長期宿泊体験、職場体験、社会奉仕体験等の様々な体験活動を行う機会を関係省庁が連携して設ける。また、朝読書をはじめとする読書活動の実施を促す。

◇いじめ等の問題行動等に対する取組の充実

 いじめ、暴力行為、不登校等の問題行動等への対応の充実を図るため、未然防止、早期発見・早期対応につながる効果的な取組や関係機関や外部の専門家と連携した取組等への支援を充実する。また、スクールカウンセラーの配置など教育相談体制の整備・充実や自殺防止に向けた取組への支援を充実する。

◇子どもの体力向上に向けた総合的な方策の充実

 子どもの体力の向上を目指し、運動部活動を始めとする学校体育や地域におけるスポーツ活動を振興する。そのため、学校体育における外部指導者の積極的な活用を促す。あわせて、子どもの体力の全国的な状況を把握し、学校や地域における体力向上の取組を支援する。また、子どもが安心してスポーツが行えるよう校庭の芝生化を支援する。

◇食育の推進、地域の医療機関等との連携による心身の健康づくり

 子どもたちに望ましい食習慣を身に付けさせるため、栄養教諭を中核とした学校・家庭・地域の連携による食育の充実を支援する。
 また、学校、保護者、地域の保健部局や医療機関等の連携により、様々な心身の健康問題を持つ子どもが安心して学校生活を送ることができる環境を整備する取組を支援する。

(3)優秀な教員を養成・確保するとともに、一人一人の子どもに教員が向き合える環境をつくる

 子どもたちの心身の発達に関わり、その人格形成に大きな影響を与える教員に優れた人材を確保するとともに、その資質・能力を絶えず向上させるため、適切な処遇の実現や教員の養成・研修の充実に取り組む。
 特に、今後しばらくの間、教員が大量に退職し、地域によっては大量の新規教員採用が見込まれる中で、教員の確保については、質及び量の両面が重要であり、養成・採用段階における教員の質を確保するための取組を行う。
 あわせて、教員が、授業のための準備等も含め、一人一人の子どもに丁寧に向き合うことのできる環境を実現するため、必要な教職員定数の措置や外部人材の活用、事務の外部化等の支援に総合的に取り組む。

◇優れた教員を確保するための優遇措置の維持及びメリハリある給与体系の実現

 教員に優秀な人材を確保するため、人材確保法による優遇措置の基本を維持しながら、教員の勤務実態を踏まえた適切な処遇とメリハリある給与体系の実現に取り組む。

◇教育課題に対応するために必要な教職員定数の措置等

 教員の勤務実態を踏まえて、多忙な教員が子ども一人一人に向き合う時間を確保し、様々な教育課題に対応することができるよう、必要な教職員定数を措置する。また、問題行動等への対応の充実のための外部人材の活用や、学校と地域との連携体制を構築し、地域住民が事務等について学校を支援する取組を支援する。

◇教員養成・研修の充実

 高い資質を備えた教員を養成するとともに、その能力の向上を図るため、教員養成に係るカリキュラムや教職課程に係る事後評価、認定審査を充実する。あわせて、専修免許状の取得を促す。さらに、実践的な指導力を備えた新人教員を養成するとともに、現職教員を対象にスクールリーダーとなる教員を養成するため、教職大学院の整備・活用や、教職大学院と教育委員会との連携を促す。また、学校の責任者である校長をはじめ管理職等の資質向上のための研修や、重要課題について指導的役割を担う教員等に対する研修、教育委員会に対する支援を充実する。あわせて、初任者研修の充実に向けた取組を促す。

◇教員免許更新制の円滑な実施

 教員免許更新制の実施に向けた準備に着実に取り組むとともに、平成21年4月の制度開始後は、その円滑な実施に努める。

◇指導が不適切な教員に対する厳格な人事管理

 指導が不適切な教員が子どもたちの教育に当たることのないよう、厳格な人事管理の実施を促すとともに、代替教員の措置などの必要な支援を行う。

(4)教育委員会の活動の充実を促進するとともに、学校の組織運営体制を確立し、学校教育を充実させる

 各自治体における教育行政にあっては、合議制の執行機関である教育委員会と、その構成員である教育委員が、自らの責任を十分に果たし、住民の期待に応えることが必要である。
 このため、国は、地方の自主性や自立性を尊重し、適切な役割分担を踏まえつつ、その活動の充実に向けた積極的な取組を促す。
 あわせて、学校が、地域との連携を深めながら、人材や時間を有効に活用し、子どもたちにきめの細かい指導を行うことができるよう、また、外部の専門家等の協力も得て保護者や地域の多様な要望により適切に対応することができるよう、学校の組織運営体制の充実に向けた各教育委員会・学校の取組を促す。

◇教育委員会の責任体制の明確化及び体制の充実

 教育委員会の責任体制の明確化を図るとともにその体制を充実するため、教育委員の資質向上のための研修や情報提供を実施するとともに、各地方自治体における、より熱意と責任感を持った教育委員の人選や地域住民の意思の反映などによる機能の活性化、合議制の教育委員会において管理・執行する必要がある事項の明確化、第三者の知見を活用した活動状況の点検・評価、市町村教育委員会の共同設置等の連携などを促す。

◇新しい職の設置等による学校の組織運営の改善

 各学校において、改正学校教育法により新設された職の活用も図りつつ、校長のリーダーシップの下、組織的・機動的な学校運営が行われるよう、学校の組織運営体制や指導体制の充実に向けた各教育委員会等の取組を促す。

◇学校評価の推進とその結果に基づく学校運営の改善

 教育活動等の成果の検証を通じて学校運営の改善と発展を目指すとともに、適切に説明責任を果たし、保護者・地域住民等との連携協力の促進を図るため、学校評価システムの充実に向けて取り組む。

◇コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の設置促進(再掲)

(5)幼児期における教育を充実する

 改正教育基本法第11条(幼児期の教育)の規定を踏まえ、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性にかんがみ、幼稚園と保育所との連携の強化を図りつつ、その質の向上や保護者負担の軽減に向けて取り組む。

◇認定こども園の活用促進

 少子化や核家族化をはじめとする社会の変化や、幼児期の教育に対する家庭や地域の多様なニーズに柔軟かつ適切に対応することを目的とする「認定こども園」を国民のより身近な存在にするため、運用の改善を図り、その制度の積極的な活用を促す。

◇幼児教育全体の質の向上

  •  幼児教育の質の向上に向け、幼稚園教育要領と保育所保育指針を改訂するとともに、幼稚園・保育所の教職員に対する合同研修を促進する。幼稚園と小学校の連携を促す。あわせて、幼稚園における学校評価の実施とその結果の公表に向けて取り組む。
  •  幼稚園の適切な学級規模について検討を行い、結論を得る。
  •  幼稚園の保健安全対策の充実を促すとともに、耐震化について計画的な整備を支援する。
  •  教職員の資質向上のため、養成段階から幼稚園教諭免許と保育士資格の取得を促すとともに、現職者においてもそれらの併有を促す。

◇幼児教育の無償化の検討を含む保護者負担の軽減

 幼児教育の無償化について、歳入改革にあわせて、財源、制度等の問題を総合的に検討しつつ、当面、就学前教育についての保護者負担の軽減策を充実する。

◇幼稚園等を活用した子育て支援の充実(再掲)

(6)特別なニーズに対応した教育を充実する

 幼稚園、小学校、中学校及び高等学校に準ずる教育を行うとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し、自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする特別支援教育を充実する。あわせて、外国人児童生徒など、特別なニーズを有する者に対応した教育への支援を充実する。

◇特別支援教育の充実

 幼稚園から高等学校までを通じて、発達障害を含む障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに応じた適切な支援を行うための体制整備を支援する。また、特別支援学校については、外部専門家の活用を含めた教員の専門性の向上や就職率の改善のための取組への支援を充実する。あわせて、障害のある子どもと障害のない子どもとの交流及び共同学習等の一層の充実を促す。

◇外国人児童生徒等の教育及び海外子女教育の充実

 小・中学校等における外国人児童生徒等の受入体制の整備や指導の充実のため、外国人児童生徒等の指導にあたる人材の確保や資質の向上、指導方法の改善、就学の促進等の取組への支援を充実する。
 在外教育施設に在籍する児童生徒の教育環境の向上に向けた支援を充実する。

3 教養の厚みを備えた知性あふれる人間を養成し、社会の発展を支える

(1)社会の信頼に応える学士課程教育等を実現する

 大学の大衆化が進行して同世代の過半数が進学する「ユニバーサル段階」、そして、少子化により18歳人口が減少し、「大学全入」時代を迎える中で、大学等における教育の質の確保が重要な課題となっている。
 このため、大学等が社会的ニーズや学習者の様々なニーズに的確に対応するとともに、それぞれの掲げる教育研究上の目的の下、教養と専門性のバランスのとれた人間を養成することができるよう、各学校の位置づけや期待される役割・機能を十分に踏まえた質の高い教育の展開を支援する。その際、それぞれの個性・特色を一層明確にする教育や大学教員の教育力向上のための取組を促す。

◇学士課程教育等の質の向上

 個人や社会の様々なニーズを踏まえた各大学等の質の向上や、教育内容・方法の改善、成績評価の厳格化の取組等に関する個性・特色ある教育実践を支援する。さらに、教育環境の改善・充実を図るため、教員の教育力の一層の向上に向けた組織的取組(FD)などの展開を促す。

◇共通に身に付けるべき学習成果の明確化と分野別教育の質の向上

 学生が教育分野にかかわらず共通に身に付けるべき学習成果について、国際的通用性の確保にも留意しつつ、明確化に取り組むとともに、分野別の教育の質の向上・保証を行うため、「学習成果」や到達目標の設定、教材の研究開発などの取組を支援する。

◇高等学校と大学との接続の円滑化

 各大学が入学者受け入れ方針の明確化を図りつつ、高等学校段階の学習成果を適切に評価する大学入試の取組を促すなど、高等学校と大学との接続の円滑化を図る。

(2)世界最高水準の卓越した教育研究拠点を形成するとともに、大学院教育を抜本的に強化する

 国際競争力のある世界最高水準の大学づくりのため、世界的な卓越した教育研究拠点の形成を支援するとともに、大学院における優れた組織的な教育の取組を支援する。あわせて、意欲と能力のある若手研究者等が活躍できる環境づくりを支援する。

◇世界最高水準の卓越した教育研究拠点の形成

 博士後期課程の学生を含む優れた若手研究者の育成機能の強化や国内外の大学・機関との連携強化等を通じて国際的に卓越した教育研究拠点を形成するための支援を一層充実する。

◇大学院教育の組織的展開の強化

 産業界をはじめ社会の様々な分野で幅広く活躍する高度な人材を養成するため、大学院における組織的・体系的な優れた教育の取組に対する支援を充実する。

◇若手研究者、女性研究者等が活躍できる仕組みの導入

 若手研究者の自立的な環境整備のためのテニュア・トラック制の導入、多様なキャリアパスを切り拓くための人材養成等に組織的に取り組んでいる機関を支援する。あわせて、女性研究者がその能力を最大限発揮できるよう、研究と出産・育児等を両立するための支援等を一層充実する。

(3)大学等の国際化を推進する

 海外の有力大学等との連携を通じ、我が国の大学の国際競争力を強化するとともに、国際的な環境で学生や教員が学ぶことができる機会を飛躍的に充実する。

◇留学生交流の推進

 我が国の高等教育機関在籍者に占める留学生比率について、諸外国の状況を踏まえつつ大幅な増加を目指すとともに、その質の確保を図るため、外国人留学生に対する支援を充実する。また、国際的に活躍できる人材の育成を図るため、日本人学生に対する海外留学支援を充実する。

◇大学の国際活動の充実

 国際的に通用する大学教育の質の向上と国際競争力の強化を図るため、海外の有力大学等と連携し、ダブル・ディグリー等の複数学位制や単位互換、外国語による教育、サマープログラム等を実施するなど、大学の国際活動を支援する。

(4)地域における国公私立大学等の連携等を通じた地域振興のための取組を支援する

 地域社会においてニーズの高い教育や地域の活性化等の社会貢献のため、国公私の大学の協同で行う取組を支援する等、各大学がそれぞれの特色を活かして行う地域振興に貢献する取組を促す。

◇複数の大学間の連携による多様で特色ある戦略的な取組の支援

 各大学における教育研究資源の複数の大学間での有効活用による地域人材の育成・イノベーション創出等の地域貢献機能の強化・拡大及び教育研究の多様化・特色化を支援する。

◇地域の医療提供体制に貢献するための医師育成システムの強化

 医療人養成の中核的機関である大学・附属病院の運営基盤を強化するとともに、地域の医療機関との緊密な連携体制の構築を通じた医療分野における大学の地域貢献の取組を支援する。特に、地域医療、がんなど社会的要請の強い分野について、専門性の高い医療人の養成を促す。

(5)大学教育の質の向上・保証を推進する

 高等教育の量的拡大や多様化の一層の進展に伴い、学習者の保護や国際的通用性の維持・向上が重要な課題となっていることを踏まえ、高等教育の質を保証する取組を充実する。その際、個々の機関の設置目的や使命等も踏まえ、それぞれの機能や役割に則して多元的な評価が行われるよう留意する。

◇事前評価の的確な運用

 我が国の大学が国際的に通用するための最低限の要件を明確化する観点から、事後評価との適切な役割分担と協調を図りつつ、教員組織、施設・設備等に関して大学設置基準等の見直しを行うとともにその的確な運用を進める。

◇共通に身に付けるべき学習成果の明確化と分野別教育の質の向上(再掲)

◇大学評価の充実

 大学評価システムの確立・定着に向け、認証評価(機関別、専門職大学院専門分野別)、自己点検・評価、分野別評価等の大学評価に関して、大学と評価機関が行う効率的な評価方法の開発等を支援するとともに、参考となる多様な事例を集積・提供すること等により、認証評価等の大学評価の充実と質の向上を図る。

(6)大学等の教育研究を支える基盤を強化する

 次世代をリードする人材の育成に向け、大学等の教育研究を安定的・継続的に支えるための基盤を一層強化するとともに、競争的環境の中でそれぞれの特色ある発展と教育研究の質の向上を図るための支援を充実する。

◇大学等の教育研究を安定的・継続的に支えるとともに、高度化を推進するための支援の充実

 大学教育の質を確保し、あらゆる分野において優れた教育研究が安定的・継続的に行われるよう基盤的な経費(国立大学法人等運営費交付金・私学助成等)を確実に措置する。あわせて、人材の育成や大学の教育研究の高度化に資する科学研究費補助金等の競争的資金の拡充及び国公私立大学を通じた共同研究拠点の整備の支援に取り組む。

◇大学等の教育研究施設・設備の整備・高度化

 優れた人材の育成と創造的・先端的な研究を進めるため、教育研究活動の重要な基盤である国立大学法人等の施設・設備について、安全性の確保だけでなく、現代の教育研究ニーズを満たす機能を備えるよう、重点的・計画的な整備を支援する。

4 安全・安心で質の高い教育環境を整備する

(1)安全・安心な教育環境を実現する

 すべての子どもが安全・安心な質の高い空間で学び、生活できる教育環境の整備に取り組む。

◇学校施設の耐震化や施設環境の改善・充実

 基本的な教育条件を全国を通じて確保するため、公立学校施設の整備を確実に支援する。また、児童生徒等が安心して学び、生活する場であるとともに、非常災害時には地域住民の応急避難場所としての役割も果たす国公私立の学校施設等の耐震化について、計画的な整備を支援する。あわせて、老朽施設の解消、学習内容・方法の変化への対応、バリアフリー化、防犯対策等、施設環境の改善・充実を支援する。

◇地域のボランティア等との連携による学校内外の安全確保

 学校や通学路等において子どもたちが安全に過ごせるよう、学校と地域のボランティアや関係機関との連携による地域ぐるみで子どもの安全を守る環境の整備や、子ども自らが安全な行動をとれるようにするための安全教育の取組を支援する。

◇放課後や週末の子どもたちの体験・交流活動の場づくり(再掲)

(2)質の高い教育を支える環境を整備する

 子どもたちが、質の高い充実した教育環境の中で学ぶことができるよう、優れた教材や図書の充実を図る。また、学校の情報化は、「わかる授業」の実現や「確かな学力」の向上に効果が期待されるとともに、家庭や地域との連携の促進に資するものであり、その支援に取り組む。さらに、教育に関する研究成果等の蓄積・活用等に取り組む。

◇学校図書館の整備充実

 学校図書館の蔵書を充実させるため、地方財政措置の活用も促しつつ、物的整備を促進する。あわせて、引き続き司書教諭の有資格者養成とその発令を促進するとともに、専門性をもつ学校図書館担当職員の配置を促すなど、学校図書館を中核とした子どもの読書活動に関する取組を支援する。

◇教材の整備充実

 学校現場に十分な教材が行き渡るよう、調査研究や今後予定されている学習指導要領の改訂等を踏まえ、新たな教材整備年次計画を策定し、教材の整備・充実を促す。

◇学校の情報化の充実

 教育用コンピュータ、校内LANなどのICT環境の整備と教員のICT指導力の向上を支援する。また、教材・コンテンツについて、その開発等を支援し、ICTの教育への活用を促すとともに、校務の情報化、ICT化のサポート体制の充実を促す。
 また、高等教育においても、ICTを活用した教育の普及・充実を支援する。

◇教育に関する研究成果等の蓄積・活用

 個々の学校における教育内容・方法等の改善や教職員の資質向上を支援するため、教育に関する様々なデータや研究成果の蓄積とその活用に取り組む。

(3)私立学校の振興策を充実する

 私立学校が我が国の学校教育において果たす重要な役割に鑑み、その自主性を尊重しつつ、建学の精神に基づく特色ある教育研究への支援を充実する。あわせて、少子化の影響等により、厳しい経営状況にある学校法人が増加する中で、学校法人の自主的な努力による健全な経営の確保を促す観点から、学校法人に対し、経営に関する指導・助言等の支援を行う。

◇私学助成の充実

 教育条件の維持向上、私立学校に在学する幼児から学生までに係る教育費負担の軽減、私立学校の経営の健全性の向上のため、私学助成を更に充実する。

◇学校法人に対する経営支援

 学校法人の健全な経営を確保することを目的として、学校法人の自主的な経営改善努力を促すため、経営相談や経営分析を通じた指導・助言などの支援を充実する。

(4)教育費負担を軽減する

 教育の成果は社会全体の共通の資産となるものとの認識の下、教育を受けることを望む人が、経済的な理由によりその希望を断念することなく、その意欲と能力を伸ばすことができるよう、家計の教育費負担の軽減に向け取り組む。

◇奨学金事業等の充実

 教育の機会均等の観点から、意欲と能力のある学生等が家庭の経済的状況によって修学の機会を奪われないよう、学生等の多様なニーズ等を踏まえて、奨学金事業等を充実し、教育費負担を軽減する。また、経済的理由によって就学が困難な児童生徒に対し、各市町村において適切な就学援助が行われるよう取り組む。

◇学生等に対するフェローシップ等の経済的支援の充実

 優れた資質や能力を有する博士課程学生に対し、経済的負担を軽減するための生活費相当額程度のフェローシップによる支援を充実する。

◇幼児教育の無償化の検討を含む保護者負担の軽減(再掲)

◇私学助成の充実(再掲)

◇民間からの資金の受入れ促進等のための仕組みの充実

 教育の振興に資する寄附の促進や教育に関する取組を行う民間団体等の自立的・継続的な活動の支援、家計の負担が大きい高校生・大学生の教育費負担の軽減等のため、税制上の措置等の充実を図るとともに、社会における寄附文化の醸成に向け取り組む。

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研究振興局振興企画課学術企画室

(研究振興局振興企画課学術企画室)

-- 登録:平成21年以前 --