9 総合・複合新領域分野の研究動向(要旨)

◇当該分野の特徴・特性等

 総合・複合新領域分野は、従来の分類では、複数の分野に属するような学際的な分科から構成されている。総合領域は、情報学、神経科学、実験動物学、人間医工学、健康・スポーツ科学、生活科学、科学教育・教育工学、科学社会学・科学技術史、文化財科学、地理学の各分科からなり、複合新領域は、環境学、ナノマイクロ科学、社会・安全システム科学、ゲノム科学、生物分子科学、資源保全学、地域研究、ジェンダーの各分科からなっている。これらの分科では、既存の学問分野にこだわらず、複数分野の専門家が集まって、新しい学問分野を築こうとしている。

◇過去10年間の研究動向と現在の研究状況等(主要な例)

 平成15年度の科学研究費補助金「分科細目表」の改正により、上記の総合・複合新領域が設定され、すでに5年が経過している。これらの分科は、他の分野に比べると話題が多いが、特に次の点が注目される。

1)インターネットが普及し、社会的影響力が極めて大きくなった。

 ブロードバンドネットワークが一般家庭にまで普及し、携帯電話でのネットワークへのアクセスも容易になった。このことにより、情報学、科学教育・教育工学の研究テーマが根本的に変革しつつある。ネットワーク科学が重要なテーマとなり、社会科学との連携も進んでいる。

2)環境学への関心が高まった。

 一般人の環境への関心が高まり、学問領域としての確立が求められている。

3)ナノテクノロジーが一般市民に広く認知されるようになった。

 化学や材料分野では以前よりナノテクノロジーの研究が活発に行われてきたが、ここ10年の間で化学、材料分野の研究は更に深化し、また、バイオ、IT、環境分野の研究との融合が進んだ。

◇今後10年間で特に進展が見込まれる研究対象・推進すべき研究及び諸課題と推進手法等(主要な例)

1) ソフトウェア検証の実用化
2) セマンティックWebによるWebの知能化
3) ユーザ中心のユビキタスコンピューティングの確立と、人工知能、特にデータマイニングとの連携
4) ブレインマシンインターフェース(BMI)、ブレインコンピュータインタフェースの研究
5) 地球温暖化・オゾン層破壊への対策
6) 医学と工学の融合による革新性治療、新規薬剤探索の推進
7) ナノ量子テクノロジーとIT技術の融合
8) 環境に負荷を与えない新エネルギー源の創製

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