(平成14年3月26日)
(抜粋)
全国の国公私立大学等の関係研究者が集まって、大規模な施設設備の共同利用や国際協力事業等の実施等を行い、効果的な共同研究を進める大学共同利用機関は、研究者の自由な発想を源泉とする学術研究を推進する組織であり、国立大学セクターに属する機関として位置付けられている。このため、大学共同利用機関の法人化を検討するに当たっては、以下の諸点を除き、原則として国立大学と共通した制度設計を行うことが適当である。
なお、大学共同利用機関についての制度設計の検討に当たっては、次の視点に立って検討を行った。
大学共同利用機関は、それぞれの学術分野において我が国を代表する中核的研究機関であり、その研究成果は国際的にも高く評価されている。したがって、大学共同利用機関の法人化に当たっては、我が国の学術研究が高い国際的競争力をもち得るよう、学術研究をさらに発展させる積極的観点から、大学及び他の研究機関(独立行政法人・特殊法人等)との関係を含め、制度を検討する必要がある。
大学共同利用機関は、全国の国公私立大学や研究者コミュニティ(国内外の関連分野の研究者群)の研究者が集まり、共同研究を進めるところにその特徴があり、制度創設の当初から、評議員会と運営協議員会を通して機関外部に開かれた運営を行ってきたが、法人化後の大学共同利用機関の運営システムについても、大学や研究者コミュニティをはじめ、さらに広く社会に開かれた柔軟な運営体制を確保できるよう、制度を検討する必要がある。
○ 法人の単位については、大学共同利用機関ごとに法人格を付与する。
○ 法人の一般的な名称については、大学共同利用機関がいくつかの点で大学と異なる制度設計上の特殊性を有することになることに考慮し、「大学共同利用機関法人(仮称)」とする方向で検討する。
○ 大学共同利用機関法人(仮称)については、国立大学法人(仮称)の根拠法と同一の法律に、その名称、目的、組織、運営の在り方等を規定する方向で検討する。
○ 大学共同利用機関法人(仮称)の役員の構成については、機関の長(法人の長)、監事(2名)及びその他の役員とする。
○ 法人の長は、法人化された大学共同利用機関の包括的な最終責任者として、法人を代表する。
○ 大学共同利用機関は、共同利用のための機関であり、また、大学の学術研究の発展に資すること等を目的とする機関であることから、特に機関外部に開かれ、関連分野の研究者コミュニティに支えられる運営体制の確保を前提としつつ、今後、大学共同利用機関の間の分野を超えた連合等の可能性と、それにより形成される「機構」の具体的な在り方についての検討の状況、さらに法人化後の国立大学の運営組織との整合性等も考慮しつつ、具体的な仕組みについて結論を得る。
○ 大学共同利用機関の中には、現在、複数の研究所で「機構」を形成している機関があるが、研究所の組織業務運営、人事、予算等について、機関全体の運営方針を踏まえつつ、大学等の研究者コミュニティの意向を反映することを含め、一定の自律性を確保する。
○ 大学共同利用機関の研究組織については、各機関の予算の範囲内で随時に設置改廃を行うこととする。
なお、「機構」を構成する研究所については、いわば「機構」の業務の基本的な内容や範囲に大きく関わるものであり、これらの内容や範囲を法令で規定する方法を工夫する方向で検討する。
○ 各大学共同利用機関の目的を法律に規定する。
○ 大学共同利用機関の教員の人事に関する方針、基準・手続は、選考基準について大学側の対応する職種の選考基準に配慮して定めるなど、大学との人事交流を円滑にする観点を踏まえつつ、適切な審議機関の意見を聴いて、機関内部の規則として定める。
○ 法人の長である機関の長は、その機関に置かれる適切な選考機関により選考された者について、文部科学大臣が任命する手続とする。
○ 法人の長である機関の長の任期は、当該機関の長の申し出を斟酌しつつ、機関ごとに文部科学大臣が定めることとするが、国立大学における検討の状況をも考慮する。その他の役員の任期も同様とする。
○ 中期目標・中期計画の内容については、大学と共通のものに加え、共同利用に関する事項を記載する。
○ 国立大学評価委員会(仮称)は、大学共同利用機関も評価の対象とするが、同委員会の構成に関しては、大学共同利用機関においては、同一研究分野のコミュニティに開かれた運営を行っているため、現在又は過去に当該機関に関わった者を広く参加させないとした場合、その研究分野に適切な知識を有する評価者を確保できない恐れがあることに留意する必要がある。
○ 運営費交付金については、大学共同利用機関にふさわしい算出方法を採用する。
○ 総合研究大学院大学においては、多くの大学共同利用機関が連係して研究科を構成し、大学共同利用機関の高度な研究環境を利用した大学院教育が実施されているが、法人化後も高度な研究人材や専門家の養成が円滑に行われるようにする観点から、緊密な連係・協力関係が保たれるよう配慮する必要がある。
なお、今後、大学共同利用機関相互又は大学共同利用機関とその他の関連する研究機関等との連合・再編・統合等の進展の状況に応じて、総合研究大学院大学が教育研究を行う上での連係・協力の対象となるべき機関の範囲・要件等を適宜見直していくことが必要である。
本調査検討会議は、国立大学及び大学共同利用機関を法人化する場合の制度の具体的な内容について検討を行ったが、法人化後の国立大学及び大学共同利用機関の在り方と深く関わる問題として、以下のような課題についても、別途、速やかに検討されることが必要である。
(6)現行の大学共同利用機関が分野を越えて連合等を行う可能性及びそれにより形成される「機構」の具体的な在り方
研究振興局振興企画課学術企画室
-- 登録:平成21年以前 --