資料2-2 科学研究費補助金制度の評価と改善に関する検討状況 ~研究費部会における審議状況~

科学技術・学術審議会
学術分科会(第10回)
平成15年4月24日

科研費制度の評価と改善の趣旨

 競争的研究資金の拡充及び制度改革が進められる中で、我が国の学術研究を支える基幹的研究費として中心的役割を担っている科学研究費補助金制度の一層の充実を図り、その意義・重要性について広く社会の理解を得ること等を目的として、制度及びその運営全般について検討を行い、必要な拡充及び改善方策を審議。

 また、総合科学技術会議から要請されている競争的研究資金制度の評価への対応についてもあわせて審議。

検討状況及び今後の予定

  1. 平成15年2月より、科学研究費補助金の趣旨・目的とその制度の在り方及び課題採択の状況や研究費配分の状況等について審議中。(別紙「研究費部会における主な意見」参照)
  2. 今後、5月末までに評価結果をまとめ、総合科学技術会議における競争的研究資金制度の評価へ対応する予定。
  3. なお、6月以降も、引き続き制度及び運営全般の評価と改善について、中長期的視点から審議を進める予定。

主な審議事項

《総論》

  1. 科学研究費補助金の趣旨・目的について
  2. 科学研究費補助金制度の特長と役割

《各論》

  1. 研究費等の配分状況について
  2. 審査・評価体制について(今後審議予定)
  3. その他、科学研究費補助金制度の改善に関する事項(今後審議予定)

別紙 科学研究費補助金制度の評価に関する学術分科会 研究費部会(第2期第1~3回)における主な意見

1 科学研究費補助金の趣旨・目的について

  1. 科学研究費補助金は、優れた独創的・先駆的研究を格段に発展させることを目的としており、大学及び研究機関における今後の研究の在り方やその成果を左右する重要なファクターの1つ。
  2. 科研費制度は、学術研究の魅力の増加、研究の活性化、研究者の資質の向上、学問分野の多様性の十分な保持等の観点から評価すべき。
  3. 若手研究者からの申請が多い研究種目において性急な評価を行うことは、科研費や日本の将来を損なうことにつながるとの認識が必要。
  4. 学術研究で優れた成果を出すためには、ある一定のすそ野を保ち、研究者を育てる必要がある。
    特定領域研究は、研究者が補い合いながら領域全体で成果を創出するという調和の概念を競争的環境に持ち込んだ日本独自の研究支援。
  5. 先生が科研費の配分を受け、その研究で優れた大学院生を育ててきたという点からみれば、実質的に人材育成面で果たしてきた科研費の役割も非常に大きい。

2 科学研究費補助金制度の特長と役割

  1. 研究者が自由にテーマ設定できる点が他の競争的資金とは大きく異なっている。研究者として最も重要な能力であるテーマ設定のセンスについて審査を行う科研費制度は、研究者に対する一つの大きな評価を与えることにもなる。
  2. 優れた研究者を長期的視点に立って育成しているのは科研費の長所。科研費には、色々なタイプの研究種目があり、研究者が自らの年齢や業績に応じて次のステップに行く時に評価され、審査で評価を得た者は、継続的にサポートが得られるシステムとなっている。
  3. 新しい学問分野の創出は科研費の大きな役割であり重要な特長。学問の多様性を維持しつつ、新しい学問分野を創出することは、他の研究資金ではほとんど不可能。
  4. 科研費は研究者相互のネットワーク形成に寄与しており、研究の原動力となっている。また、経済や文化に直接的・間接的に貢献している。

3 研究費等の配分状況について

  1. 競争的資金全体の年代別配分状況では、金額ベースで50代に最も多く研究資金が配分されているが、科学研究費補助金の採択件数ベースの傾向は全く異なり、30代の採択件数が最も多く(35%)、50代の採択件数(24%)と比較しても、若手研究者に配慮がなされている。
  2. 若手研究者にとっては、資金獲得の手続に煩わされずに研究に没頭できれば、それはいい制度と見るべきではないか。
  3. 科研費の分野別配分状況を見る限り、分野間の割合はほとんど変化していない。学術研究における新分野の整理の仕方にもよるが、新分野の創出を制度側で把握する方策も検討する必要がある。
  4. 科学研究費補助金は学術研究を推進する研究資金であり、人材養成に資するものであるので、5、6年で分野の割合が大きく変化するようでは、逆に困ってしまう。
  5. 基盤研究等の配分状況は数年間ではあまり変化していない。一方、特別推進研究等の配分状況は大きく変化している。これは、合議により時代や学術研究の動向を反映して課題が採択されているためと考えられる。

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