資料1-3 科学研究費助成事業(科研費)の在り方について(審議のまとめその1)概要(案)[研究費部会]
1.基金化について
- 学術研究は、国内外の最新の研究動向を踏まえつつ、未知なる世界を切り拓くという性質上、研究の進展に応じ、当初の研究計画を随時見直しながら研究を進めることが必要。
- このため、科研費について、年度にとらわれない研究費の使用について、長年の間、現場から強く要望が寄せられていた。
こうした中、平成23年度より独立行政法人日本学術振興会に「学術研究助成基金」を創設し、「基盤研究C」「若手研究B」「挑戦的萌芽研究」を基金化。
2.基金化の効果の検証
- すでに平成21年度に設置された基金により研究を行っている「最先端研究開発支援プログラム」(以下「最先端プログラム」という。)において、基金化の具体的な効果や課題について調査した結果、以下のような回答が得られている。
◇(すべての研究者が)年度の切れ目なく思い通りに研究を進められることにより基金化の効果を実感している。
◇基金化による問題は特段ない。
◇基金化の効果は、研究費の総額に関わりなく期待でき、研究規模が比較的小さい科研費においても、最先端プログラムと同様の効果が期待できる。
- 基金化された制度においては、予算を伴う制度改革を行う際に、後年度への影響を考慮する必要がなくなる(複数年に渡り右肩上がりに予算増額を継続する必要はない)。これは、現在の財政状況を踏まえれば大きなメリット。
3.基金化の対象拡大
- 最先端プログラムでは基金化のメリットを活かした成果が既に表れており、科研費においても同様の効果が期待されること、2633億円もの研究費がより効率的に使用されればメリットは多大であること、基金化は自然災害等の不測の事態にも強い研究費制度となること等から、科研費の基金化を計画的に進め、できるだけ早期に基本的にすべての研究種目について基金化することが必要。
- その際には、研究計画の変更に対応することが他の種目に比べて困難な比較的小規模の種目や、若手研究者向けの種目について、優先的に基金化を進める必要。
4.基金化によるメリットを最大限発揮するために
- 各研究機関において、制度改正の趣旨を踏まえ、実際に年度をまたいだ研究費の柔軟な活用を行うことが必要。
- 基金化は、不正使用を減らす上でも効果があると考えられるが、研究者一人一人のモラルや、研究機関における適切な研究費管理の徹底により、一層適正な執行を図ることが重要。