参考資料1_ 学術分科会(第41回)における主な意見

  【学術研究の意義、特性等】

  •    学術の振興が「人類社会の発展に資する」ことを記述してほしい。
  •    学術研究の意義として、人類的課題(環境、資源やエネルギー等)に対して学術研究が貢献するべき旨を記述することが適当。「国際社会をリードする国家として存続するためには」の部分は、人類的課題への貢献がまずあって、その貢献が結果として国家としてのステータスを上げることにつながるという表現にすべき。同様に、概要P1「国家存続の基盤として」を、人類の文明の行き先に対して学術研究が重要だという表現にすべき。
  •    学術研究推進体制の整備に必要なものを、財源、体制も含めて考えていかなければならない。
  •    「学術研究職の魅力の確保」の箇所で、研究者の研究活動にあこがれて研究者を志すという先輩の背中を見てということも動機の一つかもしれないが、やはり未知のものに挑戦するという文言を使うのがいいと思う。
  •    学術研究が人類的課題の解決に資することは、学生が研究者を志すモチベーションを作ることになる。
  •    「学術研究における社会との関わり」の箇所で、「人文学・社会科学から自然科学に至るまで」は削除されているが、元に戻してほしい。
  •    「学術研究における社会との関わり」の箇所で、「社会への還元が課題である。」で終わっているが、人文・社会科学から自然科学に至るまで」を復活させるとの他の委員の意見も踏まえた上で、新たな学問分野の構築が求められることを明記すべき。また、P8の1つ目の○は元に戻すべき。
  •    「学術研究における国際化の推進」の箇所で、「協調」が何を指すのか分かりにくいので表現の工夫が必要。

【学術研究体制の整備】

  •    一人一人の研究と組織化された研究と研究者相互の切磋琢磨があり、それらがうまく推進されるシステムが重要である。
  •    機能別分化が学術研究の推進の視点から書かれているが、機能別分化を進める上で、教員の研究に向ける時間だけでなく、教員制度の在り方、多様化も含めるなど教育に関する視点も取り入れていただきたい。各大学の自主性・自律性により教育にある程度集中的に時間を使うこと、定年延長が伸びたことなどの状況を含め、機能別分化を教育も含めて考えることによって、より学術研究が活かされるという総合的な視点があってもいいのではないか。
  •    「大学における学術研究の在り方」の箇所の「当面の課題に追われがちであるが」は、法人化してもうしばらく経っており、言い訳のように見えるため、言葉を変えていただきたい。
  •    「大学における学術研究の在り方」の箇所の「小規模ながらも特徴のある」はマイナーなことをことさら強調しているように見える。「小規模ながらも独創性のある」に変えてはどうか。
  •    日本学術振興会のPD・POの記述の箇所の「業務に対する評価」は、PD・POの仕事が大事であるという意味だと思うが、仕事をしているかチェックしなさいという意味に受け取られかねないので、表現を考えてほしい。

【大学共同利用機関の在り方】

  •    「国立研究開発機関(仮称)制度の創設が検討されている」は言葉足らず。
  •    国立研究開発機関に関する記述は、検討されているという事実だけを書くのがよいのではないか。
  •    国立研究開発機関を記述することについては検討が必要。
  •    「国立大学法人と共通した制度のもとで」は一般の方には分からないので、表現を変えるべき。
  •    「COEの機能強化」とあるが、グローバルCOEなどこれまで使われてきたものと同じか違うのかと検討が必要になるので、COEという表現は使わない方がよいのではないか。

【基盤的経費の確実な措置と科研費等の充実】

  •    基盤的経費の確実な措置が重要であるのは、学術の多様性の保障が重要だからであり、競争的資金だけで研究が進むことは、学術全体の発展が担保されることではないからである。こうした観点から、我が国の研究全体のアクティビティを担保し、裾野の広い研究を保障することが学術の研究にとって重要である旨の記述とするべき。畑に例えれば、まだ芽の生えていないところにも水をやることが明日の芽を育てるというところに学術の特性があり、そこを担保することが我が国全体の学術の発展のためには重要である。
  •    科研費の間接経費の部分は細かく、他と量的なバランスをとることが必要。
  •    研究テーマを研究するために間接経費を措置すると思うが、誰かが研究費を取ってくると、周りの人にもいい影響がある、例えば理系の人が研究費を取ってくると、文系の人の研究も進むといったことを表現しておいてはどうか。
  •    間接経費が当該研究以外の研究を支えているとの発言があったが、確かに実態上有効に使われているケースもあると思うが、原則としては科研費とは当該研究を支えるためのものという性質のファンディングであり、明記するのは控えた方がいいのではないか。
  •    科研費の増額について、すでに研究費部会等で議論されていて記載が可能であれば、新規採択率30%等の実現のためには、少なくとも○%の増額が必要と書くことが必要。
  •    科研費について金額的なことを書くのは難しい。科研費以外にも基盤的経費の拡充など全体に配慮しなければならないので、ここはこの程度でよいのではないか。
  •    第4次基本計画に関する意見書においては、具体的な数字を出したと思うので、そこに言及しておくという手段もある。

【研究者の研究活動の推進の推進のための環境整備】

  •    研究支援体制の箇所の「出産・育児等により」は「高度な能力を持ちながら」とした方がいいのでは。出産・育児等により第一線を離れた人もまた研究に戻りたいと思っているのが現状であり、日本学術振興会のRPDはそれを支援している。わざわざ特出しすると、こういう仕事を推奨しているととらえられかねない。
  •    研究施設の整備について、現在の第2次緊急整備5カ年計画だが、国立大学については緊急整備だけでやっていけず、恒常的には年間に2,200億円を措置しておかないと現在の建物の維持管理ができない。これを超えた時に初めて魅力ある研究環境が整備されると考えるが、現実には1次でも2次でもかけ離れた予算措置となっている。緊急整備では追いつかず、量的なことにも言及しておくべき。

【優れた研究者の育成・確保】

  •    政策研究者について誤解を招く表現となっている。専門的な知識とは、科学技術政策論としてロングレンジで日本として学術をどう推進するかについて、専門的な知識を持つエキスパートという意味であると思うので、表現を書き換えてほしい。有識者だけでなく、科学政策をエビデンスベースで議論できる政策研究者が、審議会等に同席して議論すべき。記述の位置も含めて検討してほしい。
  •    「専門的知識を有する政策研究者」は意味が分かりにくい。説明をつけた方がいいのではないか。
  •    政策研究者も、政策や学術研究の基盤部分に関わってくる人が出てくるべきだと思う。「学術研究の推進のためには」ではなく、もっと大きな観点で政策を考えていく幅広い人材を作っていくことを考えるべき。
  •    企業が共同で博士課程学生を育てようという機運が高まっている。産業界との連携の推進の部分で、講義も含めて、企業との連携を積極的に取り入れると企業にとっても参考になるのではないか。
  •    博士課程の雇用は厳しく、企業との連携の部分に「雇用」も入れてほしい。そもそも、ポスドクが雇用の対象と思われていないことが問題。企業がグローバル化して海外に進出しているにもかかわらず、実際には採用されていない。今海外では、ドクターという称号を持っていないとあまり相手にされないこともあり、ドクターを修了した学生を最前線に送り込めば企業にとって道が開けるし、学生にとってドクターに進学するモチベーションにもなると思う。ドクターを出た人の雇用に関する積極的な協力を記載してほしい。
  •    日本人の大学院生を海外に出して日本に戻ってくることをもって「頭脳循環」と考えてそれでいいのか議論を提起したい。今やグローバルな社会であり、海外でポジションを取って、そこへ学生を送り出すなど、海外を根城にしてやっていくことをもっと積極的に推進・支援することが必要。「日本人が内向き思考」とあるが、日本に帰ってくることも求めるのか。海外で頑張っている人々を支援することも大事であり、もう少し言及してはどうか。
  •    海外で活躍するためには、若い頃に海外で研鑽を積むことが重要であり、博士課程在籍時に国外機関で研究経験のある者は修了直後における国外就職者比率が高いという調査結果の記述をふくらませてほしい。
  •    頭脳循環に関して、日本の学術研究への公費による支援の必要性の文脈において、税金を使って育てた頭脳が流出してもいいというニュアンスは出さない方がいいのではないか。むしろ我が国が育てるということが重要。

【共同利用・共同研究の推進】

  •    共同利用・共同研究の推進において、もっと幅広く共同することが重要。法人化によって各大学が競争する傾向にある中、ただ連携するといっても難しい。連携に推進するような長期的な視野に立った財政的支援の枠組みの構築が必要。
  •    追記部分で重要なのは、大学共同利用機関におけるコーディネート機能が今まで評価されてこなかった点。
  •    日本に来て研究する価値がある、また日本の知的財産が海外でも価値がある、そういった研究体制を整備するという気概を示さなければならない。日本の学術がある程度のレベルの高さを持っていて、そこに来る、もしくはそこから人類社会全体に出ていくレベルのものを目指さなければならないことを感じられることが必要。

【人文・社会科学の振興】

  •    3つ目の○の「また」以降については修文をお願いしたい。グローバル化が進む中で、全ての研究において相手国の理解が必要になることから、相手国の文化的・社会的基盤の理解が必要になればなるほど、我が国の、日本の文化的・社会的基盤の理解がないといけない。その意味で人文・社会科学の振興そのものが必要という表現にしてほしい。
  •    今後の課題として、人文・社会科学の振興についてもっと検討すべき。これからの社会では、人の考え方や行動規範を考えられる人が日本の隅々にいることが必要。各地方において施策や考え方を持った人が周りに影響を与えることが、日本の社会を良くしていくことにつながる。人文・社会科学はこれから重要になると思うが、振興策が少ないことと人文・社会科学の中が閉じていることについて検討することが必要。

【学術研究と社会との連携強化】

  •    人文・社会学の振興においては、ボトムアップについては、現実には自治体を中心として具体的な課題を追求している。自治体なり、大学なりが主体となって提案されるような産官学連携がなされれば具体的に政策課題に対応することは可能。他方、トップダウンとしては特定の政策課題を担当省庁が委託するにあたり、学際的、国際的研究が加わるとすれば、それを通じて人文・社会学研究が推進される。自治体を通じた産官学連携、各省を中心とした産官学連携の振興を意識していただきたい。
  •    社会とのコミュニケーションのところは、様々な研究があることを踏まえ、「本来」という言葉を入れてほしい。
  •    これまでも大学や学会等において市民講座等の取組がすでに行われていることを入れていただきたい。
  •    評価は社会の信頼と支持を獲得するためにしているものと考えており、評価の在り方についての検討も必要。
  •    将来考えてほしい視点についてコメントしたい。プレーヤーもサポーターも多様化している。現時点ではサポーターとしてパブリックセクターだけを想定しているが、将来は非パブリックセクターからの学術研究への支援も考えることが必要。

【概要】

  •    学術研究の意義について、例えば学術が科学技術の推進の原動力となり、同時に社会国家の発展の源泉となるものというように、位置づけを明確にすることも大切ではないか。
  •    学術研究体制の整備の「個性・特色の発揮」部分は、整理が必要。
  •    大学共同利用機関の箇所の「国立大学法人と共通した制度の下での機能強化」は唐突。
  •    「研究開発独法との機関間の連携・協力」について、今回の修正で本文に「それぞれの特性を踏まえて」を入れたのだから、概要も修正してほしい。
  •    大型プロジェクトの箇所で、大型施設研究と大規模研究を明記したので、それを書き込んでほしい。
  •    人文・社会科学については、それ自体の価値に基づいた振興を柱として一つ立てた方がよいのではないか。

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-- 登録:平成23年02月 --