学術分科会(第98回) 議事録

1.日時

令和8年2月24日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 最近の科学技術・学術の動向について
  2. 大学研究力強化に向けた取組について
  3. AI for Scienceの推進に向けた基本的な戦略方針 方向性(案)について
  4. その他

4.出席者

委員

(委員、臨時委員)
大野分科会長、飯田委員、石塚委員、石原委員、宇南山委員、大竹委員、大橋委員、梶田委員、加藤和彦委員、加藤美砂子委員、北本委員、熊ノ郷委員、治部委員、関沢委員、鷹野委員、千葉委員、中井委員、永田委員、中野委員、中村委員、水本委員、森田委員、安田委員、吉田委員

(科学官)
北川科学官、北野科学官、杉岡科学官、染谷科学官、野崎科学官、深川科学官、藤森科学官、松田科学官、本橋科学官

文部科学省

淵上研究振興局長、石川研究開発戦略課長、奥人材政策課長、小川大学研究基盤整備課大学研究力強化室長、阿部参事官(情報担当)、板倉学術研究推進課長、助川学術企画室長、林学術企画室室長補佐、ほか関係官
 

5.議事録

【大野分科会長】  それでは、定刻になりましたので、ただいまより第98回の科学技術・学術審議会学術分科会を開催いたします。皆様にはお忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。今日もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、初めに、事務局より本日の委員の出欠、配付資料、オンライン会議の注意事項について説明をお願いいたします。
【林学術企画室室長補佐】  事務局でございます。まず、委員の先生方の御出席状況ですが、本日は五十嵐委員、小野委員、尾上委員、木部委員、仲委員、原田委員が御欠席の予定になってございます。
 また、飯田委員、石塚委員が遅れての御出席となる予定でございます。
 本日の資料でございますが、事前に電子媒体でお送りさせていただいておりますが、議事次第に記載のとおり、資料1-1から資料の3、参考資料1から5をお配りしてございます。もし不足等ございましたら事務局まで御連絡をお願いいたします。
 オンライン会議の注意事項でございますが、御発言の際は手を挙げるボタンをクリックしていただきまして、分科会長より指名を受けましたら、マイクをオンにして、お名前から御発言をお願いいたします。終わりましたら、ミュートにしていただきますようにお願いをいたします。
 もし不具合等ございましたら、マニュアルに記載の事務局連絡先まで御連絡をお願いいたします。
 なお、本日の会議は、傍聴者の登録を行った上で、公開の会議となってございます。
 また、本日は事務局より、淵上研究振興局長、その他関係官が参加してございます。
 以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。それでは、早速議事に移りたいと思います。
 まず、議題の1です。最近の科学技術・学術の動向について御報告いただきます。
 まずは山之内振興企画課長より、御説明をお願いいたします。
【山之内振興企画課長】  私からは、学術関係の令和8年度予算のポイントを説明させていただければと思います。
 次のページです。これは、令和8年度予算案の全体像になります。左の上に書いてありますが全体では9,863億円ということで、対前年度比約90億円増ということになっております。かぎ括弧も書いてあるのですが、これは補正予算の額を示しております。
 予算については4つに大きく分けておりまして、主な項目がそれぞれ書いてございますが、まず「科学の再興」では、ちょっと真ん中あたりになるのですが科研費・創発事業、2,479億円ということで100億円の増を計上しております。
 下に行って、未来を切り拓くイノベーションのところでは産学官連携によるオープンイノベーションの推進、202億円とか、Nano Terasuや富岳などの最先端大型研究施設の整備・供用では482億円を計上してございます。
 右上にいって重点分野の研究開発でございますが、ここではAI量子技術、マテリアル、健康・医療関係、こういった分野別の予算を計上してございます。
 最後の国民の安全・安心、フロンティアのところでございますが、宇宙・航空分野ではアルテミス計画には185億円とか、その下の海洋・極域分野では北極域研究船みらい2などを計上していると。
 このページの次からそれぞれの事業のポンチ絵集となっていますが、時間も限られていますので主なところを説明させていただければと思います。
 3ページを開いていただければと。まず、科研費・創発事業でございます。科研費は真ん中辺りに丸1とございますが、先ほど申し上げたとおり対前年度比100億円増の2,479億円を計上してございます。
 増の主な内容は2つございまして、この下の1ポツとありますが、若手・新領域支援ということで挑戦的研究(萌芽(ほうが))に若手支援強化枠を設定するとか、基盤研究(S)などの基金化、それと2ポツのところでは国際的な研究への支援強化ということで国際共同研究の重用などを考えております。
 その下、創発でございますが、これは当初予算ではなくて補正予算ということですが、令和8年度の新規採択分を計上しているものでございます。
 次のページでございます。これは、当初予算の説明というよりは科研費の今後の方針をまとめたものですが、昨年の財政審建議で指摘されたことを踏まえ、若手研究者の活躍機会の拡大とか研究の国際性の推進、資金配分の硬直性の打破などを行っていく予定でございます。
 また、下に新たな時代の要請とあるのですが、ほかの事業との連携やAIの活用、設備機器の共用の推進などを使って研究システム全体での改革も進めていく予定でございます。
 少し飛んで6ページでございます。「AI for Science」でございますが、令和8年度予算額は193億円となっております。補正で約1,100億円と、大きくついてございます。AI基盤のモデル開発だとか、AIによる自動、自律化ロボ、こういったものの推進を行っていくとさせていただいております。
 少し飛んで、次が8ページでございます。8ページは、科学技術人材に関わる政策、施策をまとめたものになります。令和8年度予算は247億円と、ほぼ前年同でございますが、ここに書いてあるとおり特別研究員、PD、RPD、DCなどを引き続きしっかり推進していきたいと考えております。
 次のページ、9ページでございます。WPIです。昨年のノーベル賞受賞者の北川先生、阪口先生も在籍しておりましたWPIでございますが、来年度は新規採択がないので前年同という形になってございます。
 少し飛んで、13ページ。ここは大型研究施設の整備・利活用ということで予算額としては492億円を計上してございますが、Nano Terasu、J-PARC、スーパーコンピュータ富岳、それと富岳の次のスパコンの整備、こういった予算を計上しているものでございます。
 その次の15ページでございますが、ここでは学術フロンティアを先導する大規模プロジェクトの推進ということで340億円を計上してございます。前年比同ですが。ハイパーカミオカンデ、すばるなどの大規模学術フロンティアの推進のための予算を計上しているというものでございます。
 次のページ、16ページでございます。国立大の運営費交付金でございますが、令和8年度予算額としては1兆971億円ということで、対前年度200億近くの増となってございます。この予算案は上にも赤で書いていますが、過去最大の増額となってございます。物価、人件費の上昇が続く中でも安定的、継続的な教育、研究活動ができるよう大きな増額となっているものでございます。
 説明としては以上でございます。ちょっと時間も限られていることから、かなり駆け足で説明してしまいましたが、お時間あるときにほかのところを見ていただければと思います。
 以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 続きまして、奥人材政策課長より御説明いただきます。その後、10分程度を目安に質問、そして皆様の御意見の御発言を頂きたいと思います。
 それでは奥課長、お願いいたします。
【奥人材政策課長】  ありがとうございます。資料の1-2に基づきまして御説明をさせていただきます。
 今回、研究開発マネジメント人材、それと技術職員のガイドラインについての御説明になりますが、参考資料として本体もお配りをさせていただいていますので、そちらもまた随時、御覧いただければと思います。
 2ページ目をおめくりください。今回、今後の科学技術人材政策の方向性を、この科学技術学術審議会の下の人材委員会で議論を進めていまして、昨年の7月に中間的な取りまとめをさせていただきました。その中で、この研究開発マネジメント人材、それと技術職員、それぞれの人事制度のガイドラインを整備すべきということを書かせていただいていますので、それについて最初に触れた後、2つのガイドラインについて概要を御説明させていただきたいと思います。
 3ページ目をおめくりください。まず、今後の人材政策の方向性になります。
 4ページ目となります。これは、第7期の科学技術・イノベーション基本計画に先立って今後の人材政策の在り方というのをまとめたものでして、やはり今後の科学技術・イノベーション政策の中核として人材を位置づけた上で、関連する施策と一体的、体系的、総合的に進める必要があることを基本的な考え方として書いています。
 左下、3つ今回、基本方針を挙げています。1つ目、人事的な資本投資を抜本的に拡充しようということ。2つ目として、研究者、技術者のみならず、研究開発マネジメント人材、あるいは技術職員といった、こうした科学技術人材に多様な場の機会、活躍の機会を拡大していこうということ。それと3つ目として、人材は組織や機関の役割が大事ですので、こうしたガバナンスも含めて機関・組織の役割を一層強化していこうということを挙げています。
 その上で今回、右側にありますように、3つの柱で全体の施策事業というのを整理しました。1つ目が多様な人材の育成・活躍促進ということで、研究者、技術者、技術職員、研究開発マネジメント人材といった、いわゆる職種別での人材育成が丸1、丸2として、大学、大学院、初等中等教育あるいは社会教育に至るまで教育の段階別での人材育成、丸3として、こうした人材に関わるような制度システム改革ということで、この3つの柱に基づいて具体的な施策を整理しています。
 次5ページ目です。これが1つ目の柱の多様な人材の育成確保になりますけれども、1ポツ目で研究者、右上で技術者、それと右下のところで高度専門人材という形で3つの柱で整理をしています。このうち、今回のテーマに関わるような研究開発マネジメント人材あるいは技術職員に関するところを、赤囲いを入れさせていただいています。
 例えば、研究者の育成活躍促進のところでは組織、機関における環境の整備も大事だということで、研究開発マネジメント人材、技術職員の育成確保を取り上げていることに加えて、2ポツ目の技術者の育成確保のところで、産学で活躍できるような優れた技術者の育成・活躍促進、その一環として大学等における技術職員の育成・確保を挙げています。この中で人事制度のガイドラインの策定を挙げていまして、それも後ほど御説明させていただきます。
 また、3ポツ目の高度専門人材ということで、特に、いわゆるURAを含む研究開発マネジメント人材について位置づけ、役割を明確化していこう、そのためにも人事制度のガイドラインを整備しようということで書かせていただいているところです。
 6ページ目のところは2つ目の柱、3つ目の柱として教育段階別での人材育成、博士であるとか初等中等教育、6ポツのところ、いわゆる3つ目の柱の制度システム改革のところではダイバーシティの確保や、関連する制度システム改革に関しての取組を書かせていただいているところです。これは御参照いただければと思います。
 続いて7ページ目からが、研究開発マネジメント人材の人事制度等に関するガイドラインになります。これは、昨年の6月末に既に公表させていただいていますので御覧を頂いた方も多いかと思いますが、改めて御説明をさせていただきます。
 8ページ目をおめくりください。研究開発マネジメント人材については、特に研究大学等において教員、事務職に次ぐ第3の職種として、こうした人材の活躍の場、機会の拡大が大事だということを挙げさせていただいています。
 第2章のところで、特に研究大学においてはこうした組織経営や、多様な研究活動に付随する業務において、こうした研究開発マネジメント人材が多様な活動をしていただくことが大事だということ。
 それに向けて(2)のところにありますが、人事部門や財政部門、あるいは研究担当部門との連携を図っていくことが重要だということ。
 丸2で、特に経営戦略に関わるようなところで、こうした人材を活用していくことが大事だということを挙げています。
 第3章のところで、研究開発マネジメント人材に期待される業務、役割、これは次のページにも関わりますけれども、コア業務構造として今回4つに整理をしています。組織マネジメント、プロジェクトマネジメント、産学連携・知財マネジメント、そして研究基盤のマネジメントになります。こうした専門性のある職種として、この人材を明確に位置づけることが大事だということを挙げています。
 右上、人事制度になります。この研究開発マネジメント人材について、機関の中、大学の中で職責、職務、職階をしっかりと明確に位置づけた上で、適切な給与水準、高い給与水準を設定し、キャリアパスの整備も併せて行うことの必要性を書かせていただいています。特に経営人材として理事、副学長まで上がっていくようなキャリアパスの整備が大事だということを挙げさせていただいています。
 また、第5章では安定的な組織運営ということで、この研究開発マネジメント人材を無期の雇用として安定的に雇用するための方策として、研究費、競争的資金、民間からの共同研究の経費、あるいは目的積立金等の活用を図っていくこと、こうした人材をきちんと確保していく上で、組織としての運営体制を整備していくことが大事であり、併せて研修体系も大事だということも書かせていただいています。
 このガイドラインに基づいて、文科省ではこの研究開発マネジメント人材の育成事業を今年度から開始しているところでして、こうしたものをよりいろいろな場に広げていきたいと考えています。
 9ページ目は、先ほど申し上げた、この研究開発マネジメント人材のコア業務構造を図示する形で示させていただいていますので、御参照いただければと思います。
 次、10ページ目になります。もう一つのガイドラインで、技術職員の人事制度等に関するガイドラインを、今、人材委員会の下に置かれている多様化ワーキンググループの中で議論を進めていまして、今年度末までに取りまとめ、決定をしたいと思っています。現在、お示しさせていただいているのは、その暫定的な案になります。
 次のページをおめくりください。技術職員の人事制度等に関するガイドラインの現時点での案になります。この技術職員についても、先ほどの研究開発マネジメント人材と同様に、専門人材としてしっかりと大学の中で位置づけていくことが大事だということ。その際に経営層のリーダーシップ、技術職員の活躍に対するコミットメントをしっかりとしていく必要があるということを第1章で書かせていただいています。
 第2章のところで、技術職員に求められる役割として研究基盤の確保、研究者との協働、あるいは技術力を生かした社会との連携と3つ整理させていただいています。
 また、併せて技術職員について、組織化、学内の中で部局ではなく全学的な組織としてしっかりと整備をするということ、併せて組織改革と人事制度の改革を一体的に進める必要があることを書かせていただいています。
 また、(3)のところの研究支援の体制、職務内容の可視化に関する取組も例を挙げて説明をさせていただいています。
 併せて第3章のところですけれども、これも同じように優秀な人材を確保するために人事制度を整備する必要があるということで、柔軟な処遇の実現や、あるいは多様な採用ルート、多様なキャリアパスのルートを整備していく必要があると、評価に応じた適切な処遇と業績評価の在り方を例としてお示しさせていただいています。
 第4章では、高度専門人材として特に研修ですとか、育成確保に向けた体系的な取組が必要だということで、東京科学大学におけるTCカレッジの取組、あるいは大学共同利用機関における取組も具体的な事例として示させていただいています。
 第5章は、先ほどの研マネ人材と同様に組織において財源を確保していく必要があるということで、競争的資金や民間企業との共同研究、それらの直接経費、間接経費を活用したような取組が大事だということを書かせていただいています。
 次のページが技術職員のキャリアパスのイメージを書かせていただいているもので、先ほどの研究開発マネジメント人材と違って、技術職員については特にマネジメントの職に行く人たちと技術のスペシャリストとして活躍していく人たちと、2つ以上の複線的なキャリアパスが必要だろうということで一つの例として示させていただいているところです。職務内容等についてはページ下部のとおりであります。
 私からの説明は以上になります。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、ここで少し時間をとって今の予算の令和8年度予算のポイントについてと、そして大学等で活躍する研究開発マネジメント人材、技術職員の育成確保に向けて御説明いただきました。皆様から何か御質問、あるいは御意見があったらば挙手の上、御発言いただければと思います。いかがでしょうか。
 中野委員、お願いいたします。
【中野委員】  ありがとうございます。御説明の最後の方で触れられていた技術職員についてコメントします。今回のガイドラインで技術職員を高度専門人材として位置づける方向性が示された点は非常に重要だと思います。
 一方で、特に大型研究施設や共用設備の現場では、技術職員の専門性が研究力そのものを左右するような状況になっています。人事制度として、研究基盤戦略と連動したキャリアパスや処遇設計の具体化が今後の課題ではないかと感じました。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 それでは鷹野委員でしょうか。お願いします。
【鷹野委員】  ありがとうございます。私も今の中野先生の話題と近いところですけれども、資料の1-2の8ページの第5章という所の右下に安定的な組織運営という説明がございます。ここで私、質問があるのですけれども、雇用の在り方についての考え方というのをまとめることは大変重要だと思いますので、こういったところを指摘してくださっているのはいいことだと思うのですけれども、ここでは競争的資金、共同研究の経費の活用ということになっておりまして、安定的な組織運営と言えるかどうかというのにちょっと疑問を感じました。
 運営費交付金などを安定的に使ってやっていくというのが主なところではないかと思うのですけれども、その辺の考え方について、もう少し説明していただければと思いました。よろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  いかがでしょうか。
【奥人材政策課長】  ありがとうございます。おっしゃるとおりで、安定した雇用を確保するためには運営費交付金の確保は当然ながら重要だと思っています。その上で、こういう研究開発マネジメント人材、あるいは技術職員を数も含めて増やしていくためには運営費交付金のみならず、多様な外部資金の獲得によってしっかりと雇用を確保していくことも併せて必要だと思っています。
 具体的には、直接経費の中で研究開発マネジメント人材、あるいは技術職員を充てるような人件費をしっかりと確保していくということ、併せて間接経費の活用によって、大学としてこうした人材の無期の雇用を確保していくこと、これは大学が戦略的に取り組んでいくことが大事だと私としては思っています。
【鷹野委員】  分かりました。その辺りが、この表現ですとちょっと分かりにくいと思いましたので、もしそういうことでしたら少し加筆していただければと思いました。よろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 それでは続きまして永田委員、お願いいたします。
【永田委員】  ありがとうございます。科学技術人材の必要性については全く賛同いたします。非常に重要だと思います。
 その上で、このような人材の整備をどうやって大学に動機づけしていくのかというところをもうちょっと具体的に伺いたいのですけれど、これ、例えば評価項目の中に入れ込むという感じになるのでしょうか。あるいは、これの財源になるような競争的資金を、それはちょっと考えにくいのですけれど、大学評価の中の項目に入っていくという理解で、これが一番近いんですかね。
【奥人材政策課長】  ありがとうございます。
 この技術職員、あるいは研究開発マネジメント人材のガイドラインをしっかりと普及、活用、促進していくためにも、現時点で関係課とまだ調整中のところはありますけれども、例えば大学、国立大学の次期の中期計画の中でしっかりとこうした体制整備を明記するということ、併せて機関対象向けの競争的資金が様々あると思いますけれども、その中でこのガイドラインの活用を促していくことを積極的に進めてまいりたいと思っています。
【永田委員】  ありがとうございます。両方あるということですね。
 あとすみません、もう一つ全体的な質問なのですけれど、補正予算を前提としない予算要求というのが今、議論されていますけれど、今回の予算要求の中にはそれは入ってないんですね。
【大野分科会長】  山之内課長、いかがですか。
【山之内振興企画課長】  具体的な内容というのは多分、今、検討されていると思うので、それについて、中身が分からないので含まれているというものではありません。
【永田委員】  分かりました。ありがとうございます。
【大野分科会長】  これからということですね。ありがとうございます。
 それでは安田委員、お願いします。
【安田委員】  ありがとうございます。もう既に出た質問とかなりかぶり恐縮ですが、1点目として、研究開発マネジメント人材だとか高度技術職員に関して、実際に博士を取ってからのキャリアパスのルートについて是非詳しく、具体的なイメージを教えていただきたいです。
 また、2点目として、間接経費などで、そうした人件費を確保するという話について、やや自転車操業的で、やはり、何か安定資金でないと雇用が確保できないのではないか、というところが気になったということです。
 いずれにしても今回過去最大の増額ということで、感謝お伝えしたいです。
【大野分科会長】  それでは、結構、御質問があるようなので、まず御質問いただいてから最後に必要があれば文科省から発言をしてもらいたいと思います。
 次は大竹委員、お願いいたします。
【大竹委員】  ありがとうございます。今の安田委員の御質問あるいはコメントと似通っています。12ページのキャリアパスのイメージ案というのが出ているのは非常に理解が進むと思っている中で、マネジメント系統とスペシャリスト系統ということで左右に分けて表現していただいていて、スペシャリストの場合には上席主幹といったような3段階になっていることが、はっきり明示されています。それは理解が進んで良いと思っている中で、キャリアパスを考えたときに、1大学であれば、閉じていればあまり問題はないのですが、ほかの大学、あるいはほかの組織で違う形になっていると、キャリアパスを共有しにくいと思います。これをどこまで統一化できるかということについて議論が進んでいたら教えていただければと思います。
【大野分科会長】  まずは御質問を受けたいと思います。
 大橋委員、お願いいたします。
【大橋委員】  ありがとうございます。研究マネジメント人材ということで今回取り上げていただいているのは、私は大変適切だなと思っています。産学での研究も、より広範で、かつ金額も相当大きくなってきている中で、企業も相当額の研究費を大学に投じるだけのメリットを見せるよう、大学に求めるようになってきていると認識しています。そのために大学側もそれなりの体制と、学術研究の推進に資するための形をつくっていかなきゃいけないということなのですが、教員だけでこれをやっていくのはなかなか四苦八苦するところあるなと感じています。
 企業と大学をつなぐ人材としてのプロジェクトマネジメントができる人材を育成していくのも、この研究マネジメント人材の中に是非取り入れていただきたいと思いますし、また、人材としては恐らく、産業界から人材を採ってくることも多分大きなルートとして考えていかなきゃいけないのかなとは感じていますので、そういった点も含めてキャリアパスを検討していただければと思っています。
 以上です。ありがとうございます。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 それでは続きまして、千葉委員、お願いいたします。
【千葉委員】  御説明ありがとうございます。非常にいい方向性だと思っています。
 これをより何というかな、実質的に発展させるために、この人材に必要なものというところで今、科学とビジネス、つなげていくという話も大きく出ていますけど、このビジネスの感覚をどうやって付けて、どうやって中身に入れ込んでいったらいいんだろうかと思って、自分事のように考えていました。
 というのは例えば知財戦略、特許の出願等と、これ、ビジネスが分かっていないと全く意味がないわけですね。それからスタートアップ育成ということについても、実際の事業の未来の姿が読めている人じゃないと、単にアントレプレナー教育やりますとかいう話ではないわけですね。新株予約権が機能するところまで持っていくには、事業が分かっていなければいけない。
 それから多様な経営資源と言っても今、例に示していただいているような国の競争的資金とか、企業からの共同研究費等々は大学の基盤的な経営力につながらない、つながりにくい資金になります。実際につながる資金、要するに自由になる資金を得るための方策はどうするか。これも、この研究開発マネジメント人材がそこを結構中心になってやるとしたら、相当これ、事業戦略、あるいは企業の作業行くようなビジネスを構想できるような力が必要なるなと思って。それぐらいのものだということを、是非皆さんで理解して、そういう人たちが生まれてくるような土壌をしっかりつくっていくことが大事じゃないかなと思いました。
 以上です。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 ここのセクションは今、お手が挙がっている方の御質問をお受けして、あるいは御発言を受けして、文科省にまずその部分をお答えいただきたいと思います。
 続きまして吉田委員、お願いします。
【吉田委員】  ありがとうございました。私からは2点ほどコメントと質問をさせていただきます。
 1点目は、先ほどもう既に出ましたけれども、マネジメント人材の育成確保に向けての雇用の財源の確保、先ほど答えがありましたが、是非長期的な支援を行う施策、これが必要でありますので、引き続き検討をお願いできればと思います。
 2点目は、人材の確保についてということで、これ、資料の5ページだったと思うのですけれども、左の下にクロスアポイントメントということが示されています。これは、依然として国内では人材の流動性というのはなかなか進んでおりません。特に資金力が脆弱(ぜいじゃく)な中小規模の大学、こういうのは給与などの条件で国際卓越などの大規模大学、あるいは民間企業にひけをとるために研究マネジメント人材の確保、これが引き続いて非常に困難と考えられます。
 特に競争的資金や外部資金などに雇用が多い大学、これ、任期制の雇用が多くて、企業から転職というのはかなりリスクが多いため、民間経営者などの需要の高い人材ほど確保ができにくい状況があります。従いまして、是非産学官の人材流動を活性化する、こういう政策を是非極めて重要であると考えておりますので、深掘りをしていただければと思っております。
 以上になります。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 それでは続きまして、治部委員、お願いいたします。
【治部委員】  ありがとうございます。
 私、20年弱、企業で働いておりまして、5年、大学にいる立場からお話をしたいと思います。
 今、千葉委員と吉田委員からお話のあったこととほぼ同趣旨になるのですけれども、ビジネスが分かるマネジメント人材といったときに、現状、一番ネックになってくるのは給与水準だと思っております。率直に申し上げて大学の給与水準、特に国立大学の給与水準というのが民間企業と比べてかなり低いところがありまして、そもそも理工系に関して言えば博士課程に進まないことの大きな要因の一つでもあるかなと思っております。
 その点は、もしかしますとクロアポ等々で解消され得るのかなとも思うのですけれども、予算の確保もさることながら、どうしても国家公務員に準ずる待遇ということになりますと、これまでの勤続年数等々から給与が試算されるのですが、それを労働市場に見合ったものにしない限り、研究に見合うような高度な人材というものを確保するのが相当難しいということを理解して、是非プランニングしていただけたらと思いますし、ちょっと私もできることがあればと思っております。
 以上です。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 それでは加藤委員、お願いいたします。加藤和彦委員、お願いいたします。
【加藤(和)委員】  加藤です。後半の技術職員のPDF資料でAIを検索すると、「AI for Science」で2つのページが見つかるだけです。AIが急激に3年で来たものですから、技術職員でAIができる方を学内で育成しながら、かつ、外からも採ってくることも戦略的にやっていく必要があります。AIの技術ができる方は、研究にも教育にも必要ですので、是非技術職員の方のAIのスキルを上げていくことも御考慮いただけたらと思います。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。ほぼ人材の研究開発マネジメントですけれども、奥課長から、少し質問もあったようですので。
【奥人材政策課長】  ありがとうございます。御意見ありがとうございました。
 まず、安田委員、千葉委員、吉田委員等々から雇用財源、安定財源の確保についてお話がありました。先ほどと重なりますけれども、運営費交付金等の基盤経費をきちんと確保することはもとより、こうした人材の活躍の場を更に広げ、その処遇をしっかりと改善していくためには、この基盤経費だけではなく競争的資金の中の直接経費、間接経費、それに加えて企業からの外部資金をしっかりと活用した上で、この無期雇用も含めた安定雇用をきちんと確保していくことが大事だと思っています。そうした方向に大学の取組を促してまいりたいと思っているところです。
 また、大竹委員から、安田委員も同じですが、キャリアパスのイメージについて御質問ありました。研究開発マネジメント人材あるいは技術職員、いずれも、一つのイメージとして書かせていただいているもので、大学によってここの職種も含めて様々だとは思っています。
 ただし、大竹委員の御指摘のとおり、ほかの大学との人事交流を進めていくことも大事だと思っていますので、大学においてこのキャリアパスのイメージを一つの例として、しっかりとした職階や、処遇を整備していただくことを求めてまいりたいと思っています。その際に競争的資金の要項や、中期計画、中期目標のようなところも使いながら、大学を促していければと思っています。
 また、大橋委員、それと治部委員から、企業の人材をどう活用していくのかということが大事だということを御指摘いただきました。おっしゃるとおり研究開発マネジメント人材について、大学の中で自発的、自主的に育成確保していくとともに、企業からも実務的な経験を持っている人を研マネ人材として積極的に登用していくことも大事だと思っています。
 その際にもしっかりと処遇やキャリアパスを整備していくことが大前提だと思っていますので、そうした大学の取組を促してまいりたいと思っているところです。
 最後、吉田委員あるいは加藤委員から、クロスアポイントメント制度あるいは人材の流動性についてお話がありました。おっしゃるとおり、研究者、技術者、研究開発マネジメント人材、技術職員、いずれも大学と企業との間で人材が交流する流動性、あるいは人事交流を拡大していくことが非常に大事だと思っています。
 ということで我々として、文科省で今年度の補正予算の中で、産業革新人材事業という270億の新しい事業を整備させていただきましたが、これは、大学と企業との間で研究開発を通じて人材育成、あるいは人材の流動性を高めていき、その際にクロスアポイントメント制度や、双方向の雇用、兼業を推進していこうという取組も盛り込んだところでありまして、こうした事業も活用しながら、大学において人材の流動性を高めるような取組が積極的になされるように促していきたいと思っているところです。
 以上です。
 あと、技術職員のAIはおっしゃるとおりですので、後ほど「AI for Science」のお話があると思いますけれども、技術職員においてもこうしたAI、新しい知識と経験が得られるような研修、人材育成の機会もしっかりと確保していきたいと思っています。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。給与水準も含めて、大学の経営力が必須になってくる時代になったと私は捉えています。
 時間になりましたので、次の議題に移りたいと思います。
 大学研究力強化に向けた取組について御報告を頂きます。小川大学研究力強化室長から御説明をお願いいたします。
【小川大学研究力強化室室長】  よろしくお願いいたします。
 本日、事務局から、国際卓越研究大学の第2期公募の審査の状況について御報告させていただきます。資料につきまして、資料2-1と資料2-2を使用いたします。
 本題に入る前にまず、この国際卓越研究大学は文部科学大臣が法律上は認定・認可をするということになりますけれども、それに先立ち、科学技術・学術審議会に意見を聞くとされております。このプロセス自体は科学技術・学術審議会の直下にございます大学研究力強化部会において行います。この部会は、ちょうど本日も御出席いただいている千葉先生に部会長を務めていただくとともに、大野委員ほか御参画いただいているところでございます。
 プロセスとしましては、こちらで既に御意見を伺って東京科学大学の計画について認定・認可は適当である、また、こうした形で進めることでよいのではないかというお話を頂いているというところですので、最初に付言させていただきたいと思います。
 その上で、国際卓越研究大学の第2期公募の状況について御報告とさせていただきます。
 1ページ目をおめくりください。国際卓越研究大学の将来像、イメージでございます。こちら、人材・知の好循環と新たな知・イノベーションの創出、資金の好循環、更に多様性・包括性のある環境、こういったものを通じて世界最高水準の研究大学を目指す取組でございます。
 2ページ目でございます。本件につきまして、第1回目の応募におきましては東北大学が認定・認可されているというところでございます。第2回目の公募をこれまで進めてまいりました。公募に当たりまして有識者会議、アドバイザリーボードにおいて審査を行っていただいております。
 審査に当たっては、申請が8大学からございまして書面審査、また、国内外のレビュアーの意見に加えまして、8大学全てに対して面接審査を実施するとともに、研究現場の状況等を把握するために6大学の現地視察を実施してきたところでございます。これらの審査も踏まえて総括審議を行った結果、選定してきたところでございます。これは計15回の会合をこれまで開催しているところでございます。
 後ほど観点等は御説明させていただきますけれども、審査結果についてというところ、一番下でございます。こちら、東京科学大学につきましては令和8年4月、この4月から体制強化計画を開始する、また、計画初年度、また、3年度内に進捗状況を厳格にモニタリングするとなってございます。
 京都大学については最長で1年間の磨き上げを、東京大学については最長で1年間の審査の継続、また、その上で採否を判断する御判断に至っていただいております。
 3ページ目でございます。本制度における公募・選定のポイントでございます。これまでの実績や蓄積のみで判断するのではなく、変革への意識とコミットメントの提示に基づき実施していくこと。また、要件としましては研究力、事業・財務戦略、ガバナンス、この3点をベースに実施しております。
 審査体制につきましては、後ほど御説明いたしますけれども、総合科学技術・イノベーション会議、また、科学技術・学術審議会と情報共有等をしっかりと行えるような体制を構築すること。更に段階的な審査としまして、大学との丁寧な対話を実施するということでございます。
 先ほど申し上げたとおり、スケジュールにつきましては公募締切りが5月、また、段階的審査をこれまで実施してまいりました。今回、東京科学大学については認定、認可を行って4月から開始することが適当とアドバイザリーボードの結論出ておりますので、既に国際卓越研究大学の認定というところにつきましては文部科学大臣から実施していただいております。
 また、今後の計画、今後、最長25年間の計画についての認可というところは、これは正に今、手続を進めておりまして、先日、大学研究力強化部会におきましても適当というお話を頂いたところでございます。東京科学大学については、この4月から計画が開始できるように進めていくということでございます。
 4ページ目は、申請があった大学についてまとめておりますので御参考でございます。
 6ページ目でございます。アドバイザリーボードの構成員でございまして、初回公募から変更があった点としては、例えばニューヨーク大学の元学長、また、オックスフォード大学の元学長であるアンドリュー・ハミルトン先生ですとか、また大野先生、あと、NTT Research, Inc.、今、カリフォルニアにいらっしゃいますけれども山本先生、こういった先生にも新たに御参画いただいて議論いただいたところでございます。
 資料2-2でございます。資料2-2は、アドバイザリーボードにおいて議論を行って取りまとめいただいたものでございます。
 3ページ目、結論のところは先ほど申し上げたところですので割愛させていただきます。
 4ページ目、審査の概要でございます。こちら、8大学それぞれから現状を変革しようとする強い意思が示されたこと、また、先ほど申し上げた3つの観点で審査を行ってきたこと。
 5ページ目でございます。審査の主な観点としまして、各大学に対しては共通する論点として13項目を挙げて、面接審査等で確認をさせてきたところでございます。こちら、丸1から丸3まで掲げております。ここ、詳細には割愛させていただきたいと思います。
 6ページ目でございます。ここから、各大学に対するアドバイザリーボードの意見が続きます。時間も限られておりますので東京科学大学のポイントのみに御説明させていただき、総論も御説明させていただきたいと思います。
 東京科学大学に対して、研究分野、組織等の壁を越える抜本的な改革を目指すと、また、執行部のリーダーシップのもと、全学的に検討された計画であると評価されてございます。特にディシプリン横断型の研究教育組織であるVisionary Initiativeの導入により、大学統合によるシナジーを高めることが期待されるということ。
 また、CFOの下で執行部の事業・財務戦略の意思決定の考え方や保有する土地の活用など、計画の詳細が明確である点、更に大学統合を背景に医工連携の強力な推進を掲げた計画ということで、新たな大学のモデルになることが期待される。特に臨床系教員の研究時間確保、こちらは野心的な目標であるので工夫して進めてほしい。また、医療ビッグデータの利活用等を目指す意欲的な試みを実現していくことを強く期待する、こういった御意見を頂いていたところでございます。
 少し飛ばさせていただきまして、15ページ目でございます。こちら、最後にということで先生方からコメントいただいております。今回、国内で高い研究力を誇る8つの大学から申請いただきまして、申請に至るまでの意欲的で真摯な検討過程、また、選考過程でのアドバイザリーボードの対話、こういったものが抜本的な改革を進める上で大きな役割を果たしてきたのではないかという点。その意味でも大きな意義があったのではないかということ。
 また、上から4つ目のチェックでございますけれども、全申請大学で意欲的で考え抜かれた計画が提出された一方で、一定の課題があるということでございます。
 また、16ページ目最後でございます。2つ目のチェックでございますけれども、今回認定候補等とならなかった大学につきましても、意欲的な提案があったことを高く評価すると。例えば重要分野の大型産学連携、また専門人材の輩出、更に国研・他大学との新たな連携の模索、地域経済圏の中心として企業群との共同研究、また、スタートアップの創出など、高い研究力をもとに我が国の研究力強化とイノベーション創出を牽引(けんいん)する研究大学群の一翼を担うことが期待される取組の提案があったということでございます。
 改めまして、こうした研究大学群の形成に向けましては、本制度とともに地域中核・特色ある研究大学強化促進事業が既に展開しておりますけれども、こうしたものを通じて研究大学群が総体として世界と戦っていけるような支援策を講じる、これは有効な投資だと確信していること。また、文科省が関係府省や経済界とともに、研究大学群の本格的な始動に向けて、更に必要な取組を速やかに検討実施することを強く求めるとされております。
 こちらは法定の意見聴取をしていただいている大学研究力強化部会や、大野先生に座長を務めていただいている文科省と経産省の間で実施している大学の経営に関する勉強会でもこうした支援策、また、必要な取組は何かという議論を今、正に進め始めたところでございます。
 事務局からの御説明、以上でございます。御報告、以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、本件に関して御質問あるいは御意見ございますでしょうか。
 中井委員、お願いいたします。
【中井委員】  私、私立大学に属しているのですけれども、今回の制度、まず、国際卓越の審査結果というのは研究力に加えて、ガバナンスとか資金配分とかの実効性を重視して、きちんと評価されていると思いました。
 一方で、私立大学はもともと、かなりこういう資金に関することとか、ガバナンスに関しては、学長ではなくて総長、あるいは理事長という立場が多いということで、結果的には少し国際卓越には向かなかったのかなと何となく思っております。
 それはさておき、最後にJ-PEAKSとの関係も述べられていると思います。地域、分野の特色のある研究拠点というのは現在既に走っています。ただ、国際卓越とJ-PEAKSとの間は、予算規模で言うと数桁違います。これらの間を埋める施策というのは、研究大学エコシステムという意味でも、今後は重要になってくると思います。既に検討されていることについて、どういう方向性があるか、少し、御披露いただきたいと思います。
 以上です。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、次の中村委員の御発言で区切りとして、小川室長から今の御質問にお答えいただきたいと思います。
 中村委員、お願いいたします。
【中村委員】  ありがとうございます。私、今、東北大学に所属しておりまして、法人化のときとは比べものにならないような巨大な変革の渦の渦中におります。最初に東北大学が採択していただいたときに、1点、非常に何か大きな誤算といいますか、読み違いがありまして、次世代研究者挑戦的研究プログラムですか、国際卓越の採択と引換えに、今まで30億近い御支援いただいてた、それが得られなくなるということで、国際卓越に採択される前と後とで、かえって博士学生のサポートが後退してしまうようなことが起こったのですけれども、今回の東京科学大学の場合にはもうあらかじめ、それを織り込み済みで計画されていたのであればいいと思うのですが、ちょっとその点が心配をいたしまして。
 もちろん、それもいつまでも続くものじゃないかもしれないんですけれども、当面の間はかなり響くと思いますので、その点についてお尋ねしたいと思いました。
 以上です。
【大野分科会長】  それでは小川室長、いかがでしょうか。
【小川大学研究力強化室室長】  ありがとうございます。まず、中井先生からの御質問について、国際卓越研究大学とJ-PEAKSの間に、大きく金額でいえば開きがあるというところはおっしゃるとおりですので、今後しっかりとその点は検討していきたいと思います。
 検討の方向性については、今、正に検討をキックオフしているところで、どういう形で大学群が進んでいくべきか、大学の強み、また、方向性とは何かという話をしております。
 幾つか先生方から頂いているキーワードとしては、日本の経済を引っ張っていくような大規模な経済圏、こういったところに人材もそうですし、研究もそうですし、どのような貢献をこれまで日本の大学がしてきて、これから更にそこに対する重要性が高まるだろうと、技術と産業の距離が縮まっていく中で重要なのではないかという話ですとかがございました。
 あと、高市政権になって17の重要技術領域がイノベーションを進めていく上で重要ということで立てられていますけれども、大学としてこういったところに対して、それだけじゃないと思いますけれども、どういうプラスアルファができるのか、こういった議論も今、させていただいているところですので少し御紹介させていただきたいと思います。
 また、中村先生から頂いたSPRINGの話、おっしゃるとおりで、大学ファンドから出ている資金というところで、そういった重複整理の整理させていただいていたところです。御心配をおかけして申し訳ありません。東京科学大学との関係では今回、公募要領の記入例に明記させていただいておりますので、そこは所与のものとして、重複で受給できないことは御理解いただいた上で提出していただいているかと思います。
 以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。研究大学に対する期待は非常に高いものがありますので、今、御議論いただいたのと同時に、文科省はもとより、経済産業省も非常に注視しているということです。これから様々なスキームが出てくると思います。多様な試みをいかに支援、そしてそこから巣立つ仕組みにできるか、これからのファンディングのスキームに注目して見ています。
 いずれにせよ、その予見可能性というんでしょうかね。今回も国際卓越に関しては、じゃ、次の公募があるのか、ないのかということも必ずしもはっきりしなかったわけで、J-PEAKSの大学群の方たちも含めて、いつ準備をして、どのように手を挙げていいのかということはあまり明確ではなかったと思います。今でも必ずしも透明ではありません。研究大学群に対して、どのような施策がこれから打たれるのかということ自身も、省庁で御努力いただいているわけですけれども、大学側にはそこまでよく見えないところもありますので、これから我々としても注視して、きちんと意見を述べていく必要があろうかと思います。
 どうもありがとうございました。よろしゅうございますね。
 それでは、最後に議題の3、こちらに少し時間をとって皆様と意見交換をしたいと思います。「AI for Science」の推進に向けた基本的な戦略方針、方向性(案)について、阿部情報担当参事官より御説明を頂きます。お願いいたします。
【阿部研究振興局参事官】  情報担当の阿部です。よろしくお願いいたします。
 最初から恐縮ですが、一番最後のページをめくっていただけますでしょうか。61ページ目になります。これまでの検討状況、経緯等、一覧にしておりますが、昨年の5月にAI法が成立した後、文科省では学術分科会、情報委員会等々で議論を深めていただいてきた状況でございますが、学術分科会におきましては昨年12月に御議論いただいていた状況でございます。その後、様々な検討をしながら、また我々も有識者100人以上の方にヒアリングをしながら議論を進めてきたところ、一定の方向性をまとめつつあるところで、本日御報告しながら意見交換をさせていただければと考えております。
 冒頭のページに戻っていただいて2ページ目を御覧ください。まだまだ検討中ではございますけれども、AI for Scienceの推進に向けた基本的な戦略方針、これを年度内に策定せよという指示がございまして、それに向けた作業検討を進めている状況で、その概要のイメージとなります。
 冒頭に概要の全体像をつかんでいただいた上で、中の説明をしたいと思います。まず、上から見ていただければと思いますが、第7期基本計画の方向性として現状認識の一つとしてAIと科学の融合による研究開発パラダイムの転換が指摘されておりまして、AI for Scienceによる科学研究の革新という方向性が出ている状況です。また、昨年12月に閣議決定されておりますAI基本計画におきましては、信頼できるAIの追求、世界で最もAIを開発、活用しやすい国を目指すという方向性が出されている状況です。他方、右にありますとおり、海外の動向としまして各国はAI for Scienceを国家的ミッションと位置づけ、研究投資、計算基盤整備、人材育成等々を強化しており、勝者総取りというような構造になってきている中、科学的発見のプロセス自体が大きく変化している状況だと捉えております。
 他方、日本はというところで、まず日本の強みを整理しております。3つありますが、情報基盤、研究基盤、社会基盤ということで、情報基盤は情報流通基盤であるSINETであったり、NII RDCのような研究データ基盤があるということ、それから富岳を筆頭とした計算基盤が世界から見ても日本の強みの一つと言えるのではないかという点。研究基盤としましては、基礎科学力であったり多様な研究者層、それから世界最先端の研究施設等々があること、さらには信頼性の高いこれまで蓄積してきたデータがあるということが言えるのではないかと思います。社会基盤につきましては、精緻な製造・計測技術、ロボティクス、それから暗黙知を含むような現場知、こういったものがあるのではないかと捉えております。そうした背景を踏まえまして、目的と目標を中ほどに記載しております。目的は3つに整理しております。科学研究の革新と科学的発見の加速・質の変革、2つ目が研究力の抜本的強化と科学の再興、3つ目が国際的優位性・戦略的自律性の確保としております。この目的に向けた目標として、まず、中長期的なところとしましては、科学基盤モデル/AIエージェント、AI駆動ラボなどを活用することによりまして、先端的成果の創出と研究開発期間を劇的に短くしていくこと。そして当面の5年間の目標としましては、AI for Scienceの推進により国際的優位性をしっかり確保していくことを記載しております。具体的なターゲットの例ということで、具体的なところをもう少しイメージしやすいように記載しておりますが、1つ目がマテリアルの分野になりますが、3年後までに新素材開発速度10倍の潜在力を有するようなAI駆動ラボシステムを開発するんだということ、2つ目がライフサイエンス系になりますが、大規模なデータ取得などを通じましてバイオ生成基盤モデルを開発すること、3つ目が横断的になりますけれども、AIエージェント群による最先端大型研究施設等々からの大量・高品質データの創出や、仮説検証・実験の自動、自律化を実現していくことを挙げております。こうした目標に向けて、具体的な取組の内容としましては3つ、下に記載してございます。研究力・人材、計算資源、研究データ、各国見ておりましても、大体こういったカテゴリーになるのかなということで整理しております。また、全体的なイメージとしましては左下にあるとおり、まずこのトップ層を更に上げていくということで、世界を先導する科学研究成果を創出していく点。その際には国際連携が非常に重要なポイントになるだろうと捉えております。これと併せて、あらゆる分野でAI for Scienceを波及・振興させて底上げをしていくという横を広げていくと、この縦と横、この両輪を一体的に捉えて推進する必要があると考えており、またこれらを支えるための基盤を国としてしっかりと構築することが重要かと認識しております。
 3ページ目を御覧ください。全体の目次を書いておりますが、本日は、特に総論のこれまで議論してきたところを中心に御説明させていただいた上で、各論につきましては、これまであまり説明していなかった点、ポイントを絞って御紹介したいと思います。
 4ページ目を御覧ください。はじめにとありますが、ここ繰り返しになりますけれども、科学研究の在り方そのものが変革してきており、AIをいかに開発・活用できるかが国家の競争力及び持続的成長を左右する状況になっているということで、AI for Scienceを国家戦略として位置づけて推進していくことが不可欠だということを記載しております。
 5ページ目飛ばしまして、6ページ目を御覧ください。背景、これも繰り返しになりますので省略しますけれども、国際情勢、先ほど御紹介したとおり、研究の高度化・高速化が国家主導で推進されている状況にあるというところで、国内動向としましては第7期基本計画においてAI for Scienceが取り上げられている点、それから昨年12月にAI基本計画ができたという状況。そうしたことを踏まえますと、喫緊の課題として、日本の強みを生かしたAI for Scienceを先導的に実装していくことを、ここ数年が勝負だということで、スピード感を持って取り組む必要があることを記載しております。
 7ページ目を御覧ください。こちらも前回御紹介しているかと思いますが、国際動向ということで、昨年2025年は各国でAI for Science、AIに関する計画が発表されているということで、特に右にありますとおり、昨年11月にはアメリカで大統領令としてGENESIS MISSIONが公表されておりまして、10年間で生産性と影響力を2倍にするような野心的な目標が掲げられており、またイギリスにおきましても昨年11月にAI for Science Strategyということで、15個の具体的なアクションが示されるとともに、最初のミッションとして2030年までに薬物候補を100日以内に創出するんだというようなことが公表されている状況でございます。
 8ページ目を御覧ください。その他の国を含めまして、各国の戦略において、どこが重点分野を担っているかということを一覧にしたものでございます。左から、材料やバイオ、医療などというところにおきましては比較的丸印がついておりますが、量子や核融合、宇宙といったような、できる国が限られるようなところもあることがこの一覧を見て分かるかなと思っております。また、その他のところ見ていただきますと、各国で特徴的な取組も行われている状況です。
 9ページ目を御覧ください。日本の強み、こちらも繰り返しておりますので省略しますけれども、世界最高水準の情報基盤があること、蓄積してきたデータがある点、ロボット等々におきましての基盤があること。他方で、少子高齢化、人口減少というような課題先進国というのが日本の状況だと捉えておりまして、AI for Scienceの推進によって科学の再興を目指すことを記載しております。
 この際、10ページ目にありますとおり、日本が強みを有するデータセットとはどういうものがあるのかということを一覧でまとめております。データの量だけでなく、中核機関に蓄積されているキュレーション等のかかるノウハウや人材、そういったものも強みだろうと思いますし、また、AI for Scienceが加速可能なのはAI向けデータが充実している領域や、自動実験等でAI向けデータを戦略的に取得可能な領域ではないかということで記載しております。マテリアルやライフサイエンスのような分野におきましては、これまでもデータが蓄積し、データセットが公表されている状況だと思いますし、また右にありますとおり、経産省が力を入れていると承知しておりますがロボットの分野、それから防災、海洋を含めまして地球観測データについても日本はかなりの蓄積があるのではないか。更に右下にありますとおり、世界最先端の大型研究施設等から出される、創出される研究データ、またフュージョンや量子のような、できる国が限られる、こういったところから出てくるデータというのは、日本が強みを有することが可能なところではないかと見ているところでございます。
 11ページ目を御覧ください。日本の現状の課題ということをまとめております。まず、研究力・人材におきましては分野組織、垣根を越えた連携であったり、透明性、信頼性や安全性、説明可能性ということが盛んに言われているところですが、信頼できるAIをどう開発していくのかというところがあろうかと思います。計算資源におきましても、各国が今、その確保に巨額な経費を投資しているところでございますけれども、計算資源の確保、AI for Science時代に対応した新たな計算基盤の構築ということは必要ではないかという点。データにつきましては、データの一元的な把握とアクセスの確保であったり、保管・利活用できるインフラの構築、データの秘匿性等を踏まえたオープン・アンド・クローズを両立させていくことが重要だと捉えております。また、横断的な課題等々におきましては、AI for Scienceを前提とした研究環境等々をしっかりと再構築していく点であったり、継続的な資金投入も不可欠だと思います。さらには、研究インテグリティ・セキュリティ、リスク、それから最後に改革のスピードというのが重要なポイントかと思っております。
 12ページ目、こちらは第7期の記載でございますので説明は省略させていただきます。
 13ページ目を御覧ください。こちらも以前、御紹介しておりますが、日本の現状ということでランキングであったり計算資源量、投資の状況というのを一覧にしております。
 以上のような背景を踏まえまして、14ページ目、15ページ目に全体像の説明を入れております。
 まず、14ページ目で今後の方向性(目的)でございますが、左上にありますとおり、イメージを書いておりますが、AIを活用した科学研究を根本から革新していく必要があるというところで、研究環境をAIで刷新するということ、それから研究システム、プロセスをAIで変革していくということ、それから研究の在り方そのものをAIで革新していということを記載しておりますが、右にありますとおり、2030年代、自律性と信頼性を備えた研究国家として確立していく必要があるのではないかと考えております。そういったことを頭に置きながら、政策的な目的を3つ入れております。こちらも冒頭御紹介したとおりですけれども、研究の質、スピードを上げること、それから研究力を抜本的に強化するということ、国際優位性・戦略的自律性を確保するということを記載しております。
 こうした目的に対しまして、具体的な目標として15ページ目に記載しております。目標は2つの柱になろうかと思います。研究力の強化・人材の確保、2つ目としてAI for Scienceを支える研究基盤の構築ということに集約できるかと思っています。この目標に向けた具体的な手段として3つ掲げておりますが、研究力向上・人材育成の推進、計算資源の戦略的増強と利便性の向上、そして3つ目として高品質データの創出、一元化ということを記載してございます。
 全体としては、このような形で今、議論しているところではございますけれども、16ページ目以降、各論になります。こちらは、これまで御説明しているところも多いですので少し省略して飛ばさせていただきますけれども、何ページかめくりまして28ページ目を御覧ください。
 AI for Scienceの取組を進めるに当たって、よく指摘される事項、それから我々として注意しなければならないと考えているところは2つございます。まず、1つ目としてデータに関してでございますが、研究データの取扱いに関する考え方をある程度まとめなければならないのではないかということで今、議論している最中でございます。基本的な考え方としまして、オープン・アンド・クローズ戦略の下で研究データの管理・利活用をしっかりと推進するところかと思いますが、その際、留意すべき研究データとして、ここにありますとおり、輸出管理、個人情報等に関する国内法令やガイドライン等で取扱いの制限があるものには留意しなければならない。さらには、企業の秘密性であったり研究の新規性、研究セキュリティ等の観点から非公開とすべきものがあることには注意しなければならないと思います。その際、研究データを共有する相手先であったり、その時期、タイミング、研究分野・データの特性など様々な要因がありますので、そういったことをよく考慮した上で個々に慎重な対応、検討が必要ではないかと。その際、ここの3つ目のポツに書いてありますけれども、これまでも国で幾つか関係するような考え方や手順書がまとめられております。さらには現在、内閣府やデジタル庁などにおいても、このデータに関してはいろいろ議論がなされておりますので、そういったことをしっかりと横に見ながら、我々の取組にも反映しながら進めていく必要があろうかと考えているところでございます。
 それから42ページ目を御覧ください。国際連携の考え方の案を記載しておりますが、日本の研究の現状を捉えますとトップ層から少し遅れている現状かと思っております。そうしますと世界のトップレベルの研究機関や研究者との間で互恵的な連携・協働を戦略的に進化させ、日本のAI for Scienceを高めていく必要があるのではないかと捉えております。そのためには、分野・目的に応じた戦略的な連携が必要だろうというところになりますが、各国の動向、強みなどを捉えながら、日本としてどことどう連携していくのかということをよく考えながら国際連携を図っていく必要があろうかと思いますし、またデータの扱いについて国境を越える、越えないというところ、国内にデータを置くのか、置かないのかという様々慎重に考えなければならないところがありますので、国際連携、データを含めてしっかりと検討を更に深めていきたいということで、現時点での考え方をある程度まとめているのが42ページ目になります。
 前後して恐縮ですが40ページ目を御覧ください。現在の検討体制全体像になります。内閣府で第7期基本計画、それからAI基本計画の策定等々が進んでいる中で、文科省として、AI for Scienceをどう進めていくのかということについて今、推進に向けた基本的な戦略方針の策定に向けた検討を進めているところでございまして、AI for Science推進委員会というものを別途設けて検討を加速している状況です。また、さきに成立しました補正予算におきまして、JSTにAI for Science基金事業320億円、3年間の基金事業が立ち上がっておりますので、そこをうまく活用しながら、更に右に記載してあるとおり各国との戦略的な国際連携、国際共同研究をいかに展開していくのかというのが重要な課題だと認識しているところでございます。
 それから47ページ目を御覧ください。産学連携の考え方というところで記載しておりますが、AI for Scienceが進むAI時代になってきた中で、アカデミアが求められる役割というのも少し変わってきているのではないかと捉えております。AIを活用した科学研究が進む中で、データというものは非常に重要になってくるわけですけれども、そのデータの取扱いも含めて、産業界側からのニーズであったり、その役割というものが変わる中で、改めてそこを捉え直していく必要があろうと思います。研究プロセスが変革してきている中、何を一緒にやっていくのか、何が求められているのかであったり、また人材育成についても様々難しいところありますけれども、産業界側から求められている人材育成というものは何かということをしっかりと検討しながら、進めていく必要があろうかと思います。一番下に今後と書いておりますが、科学とビジネスの近接化が非常に進んできている中で、研究課題の設定段階から企業と大学が協働するような取組も必要だろうということ、それから丸2と書いてありますが、非公開のデータであったり、高度計算資源を活用した基盤モデル開発を産学連携でやることも必要かもしれません。丸3にありますとおり、AI駆動型ラボの共創実装や標準化という話であったり、また丸4のように、企業と大学双方の人材育成・知識交換というものも必要ではないかということを記載してございます。
 以上、ざっと説明になりますが最後、48ページ目を御覧ください。おわりにと書いております。本来であればこちら、戦略をまとめる一番最後に記載するところになりますので、まだここの内容は変わるところもあるかと思いますが、下から2つ目のポツを御覧ください。様々議論があるところですけれど、ここでは基本的な方針、方向性として4点挙げております。1つ目は、研究者の創造性をやはり中核に捉える必要があること。2つ目は、計算基盤を共通資産として整備・運用することが必要ではないかという点。3つ目が、分野横断及び国際連携を前提として考えなければならないこと。そして4つ目が倫理や信頼性、透明性、これをしっかりと確保するといった、この辺りが基本的な方向、方針として位置づけていく必要があるのではないかと考えております。
 今後、5年間を集中的な改革期間と位置づけて戦略的な自律性の確保を実現すべく、AI for Scienceをしっかり推進していきたいと考えておりまして、本日いろいろ意見交換をさせていただきながら、3月末の基本的な戦略方針の策定に向けて取り組んでいきたいと思っております。
 説明は以上になります。
【大野分科会長】  阿部参事官、どうもありがとうございました。
 それでは本件、今、御説明いただいたことに関して、意見交換あるいは御質問を受けたいと思います。御意見、御質問のある方は挙手をお願いいたします。
 石原委員、お願いいたします。
【石原委員】  ありがとうございます。本戦略では基盤制度を包括的に示していただいてどうもありがとうございます。私からは、研究力の抜本的強化には基礎科学が必要なので、基礎科学の観点から3点ほど強調させていただきたいと思います。
 まず、1つ目が大型基礎科学装置とAIの戦略的な連携なのですけれども、CERNなどの欧米研究機関ではAI研究の先端的な実証のフィールドとして、そこから得られる成果というのがショーケース的なベンチマークになっているので、AIというのが単なる重要なデータの利用ということではなくて研究基盤そのものと結びついています。ですので、日本においても大型基礎科学装置をデータの供給元にとどめず、AIの実装を牽引(けんいん)する象徴的なフィールドのような位置づけにする視点が重要かなと思います。
 もう一つが、このAIの基本計画に記載されている信頼できるAIというものに対する定義といいますか、具体化というところが、今回の資料ではちょっとまだ読み解けなかった部分があるかなと思います。
 特に今、基礎科学では物理整合性、不確実性の推定や再現性とかバイアス制御というのが不可欠なので、単なる高性能モデルというのではなくて、科学的な検証に耐えるということをAIの明確な政策目標に入れていただきたいと。先ほどの高度人材育成に通じるものがあるのですけれども、物理とAI、両方に通じるソフトウエアエンジニアとかHPCアーキテクトとかの建設的な安定的な育成というのも科学的な検証に耐えるAIを目指すうえで、一つ重要になってくるかなと思います。
 もう一つが、採算面、時間軸なのですけれども、基礎科学は装置の寿命が10年とか30年あって、データのアーカイブも何十年という蓄積の上に成果が生まれることをちょっと考えていただいて、短期的な成果の指標だけで評価するのではなくて科学的な資産の形成、基盤の形成、そういう科学的な検証に耐えるシステムの形成、そういうものを重要視した政策にしていただきたいと考えています。
 以上です。長くなってすみません。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは永田委員、お願いいたします。
【永田委員】  非常に検討状況を整理して説明いただいてよく理解できました。
 この中で、日本がどうやってキャッチアップしていくのかということなんですけど、御説明いただいた資料の13ページを見ると、これ、数字だけ見るとかなり絶望的な気持ちになるような資料なわけですよね。もう投資額は桁違いだし、あるいはGPUの稼働率もアメリカ、中国、その他の中でもう1%ちょっとしかないと。
 そういうところから、どうやってキャッチアップしていくのかということを考えたときに、これ多分、科学技術での利用だけを考えて国が投資したというのでは全然間に合わなくて、アメリカの特に企業の投資額が多いというのは、これはもうAIが産業として成立していて、世界中にユーザーがいっぱいできていて、そこから収入がいっぱいあって、その収入を再投資しているような、産業構造全体の日本との圧倒的な差というのがあると思うんですよ。
 ですので、これはもう文科省だけでどうにかなるような話ではなくて、AIを使ってもうけられるような企業というのをまずつくっていって、そこの市場規模を広げていかないと、なかなか難しいんじゃないのかなと思いながら、この資料を拝見しておりました。ですので、文科省の中で提案、検討いただいているということはすごく大事な内容なんですけど、もっと産業規模まで含めて検討を広げていく必要があるんじゃないのかなと思います。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 途中退出予定と伺っている大橋先生に、まず、御発言を頂きたいと思います。大橋委員、お願いします。
【大橋委員】  すみません。お気遣いいただいて本当ありがとうございます。
 「AI for Science」で1点なんですが、研究現場もAI使わなければ動かないぐらいAIが入ってきていると思いますし、また、国際競争の中でAIを扱わざるを得ない領域もどんどん増えていると社会科学の現場からも感じています。その点で、個々の研究者の活動の中でスピード感はともかく、自律的にAIは普及していくものだと思っています。
 そこで重要なのは、国家として「AI for Science」を科学技術政策の観点でどういう戦略を持っていくのかという点が、私は重要な点なのかなと思っています。まず、このAI活用については、一つ、デジタル赤字の問題というのは避け難い問題としてあると思いますが、それに加えて、日本の学術における国際優位性を確保するために国家としてこのAIを政策のツールとしてどう使っていくのか。今回、国際連携って言葉ありましたけれども、これは本来、戦略的不可欠性とリンクしてくるべき概念だと思っていますが、その戦略的不可欠性をどう確保していくのか。
 こういった点は、実のところ、個々の研究者とか研究グループの視点ではなくて、国家が持つべき視点だと思っています。そういう意味で、科学技術政策としてどういう心構えで取り組んでいくのか、その点はしっかり議論して、この「AI for Science」を進めていくべきなんだろうと思っています。
 以上です。ありがとうございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは宇南山委員、お願いいたします。
【宇南山委員】  ありがとうございます。
 私は、一つは先ほど永田委員からもありましたけれども、「AI for Science」という位置づけが社会全体の中でどう位置づけられるかというのが非常に重要で、結局、サイエンスの世界だけではなかなかAIの整理というものが進まないと思いますので、世の中全体でのAIというのがどういうふうに位置づけられていくのかと、その関連の中で「AI for Science」というものが位置づけられるのかの、社会全体での位置づけがやや見えていないところがあるような気がしますので、もう少しそこの社会全体でAI、若しくは日本におけるAIがどういう位置づけを保ち、海外と競っていくのかという部分についても言及があっていいかなと思いました。
 もう一つ、社会科学者としての立場からなんですが、人文社会科学に関して若干、申し訳程度に言及されているだけで、あまり期待されていないのかもしれないんですが、社会科学分野、特に経済学なんかですと、数量化されたデータというのが公的統計として極めて大量に蓄積している実態がありますので、社会科学分野におけるAIというのももう少し分野全体の中、全体としての位置づけを上げていただいて、例えば公的統計の整理と関連付けたりすることで議論できるような土壌をつくっていただけるといいかなというように感じました。
 私からは以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 それでは水本委員、お願いいたします。
【水本委員】  とてもたくさんの視点から書かれた資料で全部を把握できてないんですけれど、全体の印象として私、2つ申し上げたいと思います。
 一つは、途中に書いてありましたけど、信頼できるAIの開発というのがありました。特に、基礎科学に「AI for Science」という考えを適用しようとした場合には失敗を含めたデータの投入というんですか、学習、これが必ず重要だと思います。この点も書いてあったと思うのですけれど、今、申し上げた信頼できるAIの開発をやりながらこれを使っていくんだというような、そういう流れが全体として、しっかりと読み取れるような資料になっていないという印象を持ちました。もう少しこの辺りを強調していただくのがいいのかなと私は思いました。
 それともう1点は、14ページに30年代はということで、AIが自然なツールとして研究の自然な一部として活用される環境というのがあったのですけれど、これはむしろ、もっと早くこういうことを普通に行えるような環境に持っていけるような方向性が重要じゃないかなと思いました。
 この2点です。以上です。ありがとうございました。
【大野分科会長】  ありがとうございました。
 それでは中野委員、お願いいたします。
【中野委員】  ありがとうございます。今回の御説明では省かれていましたが、25ページにある「AI for Science」のチャレンジ型の裾野拡大や萌芽(ほうが)研究支援という趣旨は非常に重要だと考えています。特にAIを活用した科学研究の分野では国際的な競争が急速に進んでおり、やや後れをとっている日本にとって、新たな勝ち筋となる領域を見いだしていくことは国際競争力の観点からも極めて重要だと思います。
 ニッチな分野であっても、研究者の独自のこだわりや問題意識から新たな領域を切り開いていくことは、アカデミアが本来得意とするところであり、その意味でも、研究者の創造性を中核に据えたこのような探査的枠組みの意義は大きいと考えています。
 一方で、実効性という観点では幾つか検討すべき点もあるのではないかと思います。まず、研究期間が半年程度という点ですが、AI活用研究では環境整備やデータ整備に一定の時間を要する場合が多く、特に実験系分野ではPoCに到達する前に期間が終了してしまう可能性があります。成果創出という観点では、もう少し柔軟な期間設定や継続支援の仕組みを検討していただいてもよいのではないかと思います。
 また、チャレンジ型で新たな勝ち筋が見えた場合に、それをどのように次のフェーズにつなげていくのかが、現時点ではやや不透明に見えます。萌芽(ほうが)支援から本格研究へのシームレスな移行ルートを明確化すると、研究者のモチベーション向上や施策効果の最大化につながると思いますのでよろしくお願いいたします。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは梶田委員、お願いいたします。
【梶田委員】  まず、御説明ありがとうございました。私がこれから述べる意見は基本的に全て今の資料に書かれていることですけれど、要は強調する点ということでお話ししたいと思います。
 まず、AIが本当に研究を進める上で大切になってきていると感じます。恐らく今後、AIが言わば、それぞれの研究者の研究のパートナーとしての役割というのがますます大きくなっていくのかと思います。研究力を高めるために「AI for Science」の波及、振興による科学研究力の底上げの観点で、本当に底上げをするというのであれば、もちろん底上げは極めて大切と思いますけれども、非常に多くの研究者が、言わば例えば研究費がなくてもAIを使用できるような環境を整備することが本当に大切かと思っています。
 そして汎用のAIを誰でも使える環境の整備と、一方で特定分野などの専用のAIの開発をしようという、両面での「AI for Science」の推進ということが、この両面性が非常に重要な気がしています。
 それから、これは聞いていいのかどうか分からないのですけれど、こういうことを聞くのは不謹慎なのですが、13ページに各国の比較のデータがありましたけど、我が日本国としては今後5年くらいで、この位置をどの程度まで高めることを考えて今の戦略を考えているのかを知りたいなと思いました。その点を理解してないと、なかなか、考えていることが十分分からないと思いました。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 続きまして飯田委員、お願いいたします。
【飯田委員】  ありがとうございます。御説明いただきありがとうございました。「AI for Science」に注力いただくことは、産業界としても非常に有り難く心強く思っているところになります。
 さきに委員の方からキャッチアップという言葉がございましたけれども、本当にスピードというのも極めて重要だと感じております。今回の「AI for Science」に取り組む中で、様々、網羅的にカバーしていただいているところではございますけれども、その中でも優先順位というものも必要ではないかとも感じております。その意味で8ページに各国の重点領域という表もお示しいただいておりますが、日本はどこに重点マークがつくのかなと思って聞いておりました。いかがでしょうか。
 2点目は、国際協業、連携につきましても非常に期待しつつ、更に国としてのもう一歩踏み込んだ戦略といいますか、具体策というものをお示しいただけると、具現化に際して有用ではないかと感じております。既に委員から御発言ございましたけれども、御検討をお願いしたく思う次第です。
 以上になります。ありがとうございます。
【大野分科会長】  ありがとうございました。
 それでは続きまして北本委員、お願いいたします。
【北本委員】  いろいろな観点から御説明いただきましてありがとうございます。
 私も梶田先生の先ほどの意見と近いのですが、この「AI for Science」は世界を先導する方向と底上げの方向という両面で進めていくべきと思います。22ページにプロジェクト型とチャレンジ型というのが出ていましたが、これは正にその両面として、プロジェクト型が先導する方、チャレンジ型が底上げを狙うということだと思います。ただ、全体的に目立つのは先導的な方で、チャレンジ型はやや陰に隠れているような印象があります。とはいえ、チャレンジ型の方が、人数が圧倒的に多いので、そちらにも是非目を配っていただきたいと思っています。
 例えば、AIそのものの開発だけではなく、既存のAIをうまく使って研究のワークフローを改善していくような使い方が、数の上では圧倒的に多いと思うんですね。必要な金額としては恐らく、年間数万から数十万程度だと思いますが、そのような形で使う人が圧倒的に多いことも考えられますので、そのような使い方に向けての予算、あるいは研究の方針をどう考えるかが重要になります。またこの話は、先ほど話題になったデジタル赤字にもつながっていきます。そういった論点も是非取り入れていただきたいと思っています。
 いずれにしろ、人文社会科学の分野は特にそうですが、個人でワークフローを改善していく形の使い方が多くなると思いますので、両面で記述していただきたいというのが意見です。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして加藤美砂子委員、お願いいたします。
【加藤(美)委員】  御説明ありがとうございました。
 15ページの政策的な目標のところに記載されておりますように、AI専門家と分野専門家が協業する体制の構築というのが非常に重要なことではないかと考えています。研究者はAIを活用することで少し異なる専門分野の研究にも参入しやすくなりまして、この点は研究領域の広がりや分野融合研究、協力に後押しするものであると考えております。
 ただ、AIの活用だけでなくて、活用するAIの基盤を支えるAIの専門家を戦略的に育成して確保することが、国際競争力をつけるためには必須だと思っております。先ほどの技術職員のお話にもつながりますけれども、コアファシリティの戦略的な整備とか、先端的な研究設備、機器の整備、供用、高度化というのは「AI for Science」の実験系への業務の応用につながりますので非常に大切だと思います。その点から、AIデータの管理や活用をサポートできる専門人材の育成というのは非常に急務でありまして、専門人材の配置が、コアファシリティの整備の中にも含まれていくと思っています。
 また、研究データの管理や利活用も含めまして学術界と産業界がつながる体制の構築というのも非常に重要で、28ページのデータの取扱いにありますように、産業界でアクセスしやすい環境の整備というものを急速に進めることが必須だと思っております。
 以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして吉田委員、お願いいたします。
【吉田委員】  ありがとうございます。御説明を受けまして、AI研究や活用における日本の位置づけや課題、やるべきことが非常に明確になったんじゃないかと感じました。それを持ちまして、2つほどコメントさせていただきます。
 一つは、海外のAIにおける現状、これを踏まえますと、もはや個別の大学、企業、これでは太刀打ちできない状況というのが十分分かりました。戦略とスピード感を持って国が組織的に政策を実行することが極めて重要であると思います。
 そこで先駆的、先導的な取組の推進やノウハウ、技術、人材、そのほかのリソースを国内で共有する仕組み、これを早急に構築することが重要だと思います。更に情報基盤などのインフラ整備、AI関連人材の育成、これは引き続き国家戦略として確実に対応していただきたいと思いました。
 2つ目は、資料の10ページに事例が出ております、日本が強みを有するデータセットの例というのをお示しいただいておりますが、AIによって研究の飛躍的な推進、これが期待できる一方で、これらの日本の優位性、これが失われないように特に重点分野、これを国家プロジェクトについては国として十分なサポート、危機感、これをもってAI活用が加速していくこと、これを期待したいと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして中村委員、お願いいたします。
【中村委員】  本日は全体に「AI for Science」をどう推進するのかと、アクセルをどう踏んでいくのかというようなお話であったと思います。そこで車の運転で言えば、あえてブレーキの構えに相当するような内容についてお伺いしたいと思います。
 AIの信頼性とか情報セキュリティについては、これまでも御議論があり、資料でも随所で触れられておりますが、例えば倫理については資料ではどうも一言だけ触れられているのみのようでした。また、AIを導入する場合には、非常に慎重に検討すべき事項というのもあるのではないかと思いまして、具体的には、例えば公的な競争的研究費の審査のようなプロセスですね。先日、とあるIT事業者の方と話をしたときに、科研費の審査などに導入したら手間が省けていいんじゃないかというようなことを簡単におっしゃってちょっとびっくりしたのですが、もしかしたら効率化の観点からすれば1次審査などでは現実に起こってくるかもしれないと思いました。
 そこで本事業に関連しましては、あらかじめ慎重に扱うべきこととか配慮すべきことについて想定をしておくとともに、「AI for Science」事業への応募に際しては、例えばどのような点について、どのような配慮をするのかといった項目も一緒に考えて記載してもらうなどの配慮があってもよいのではないかと思います。
 以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは関沢委員、お願いいたします。
【関沢委員】  ありがとうございます。資料の25ページについてです。
 チャレンジ型のプログラムというのを500万円程度で1,000件、支援するということであります。これまでの議論で、AI利用に向いている分野と、そうでない分野があることというのを議論してきたかと思いますけれども、私などは人文系で、どういうふうにAI、「AI for Science」に取り組んでいくのかなというのはなかなか難しい課題だと思っているところです。今回のこのチャレンジ型プログラムは、できるだけ幅広い分野で応募がありましたらば採択の御検討いただけたらと思っております。それによってどんな可能性があるのかというのが人文系をふくめて見ることができると思っています。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして加藤委員、お願いいたします。
【加藤(和)委員】  加藤和彦でございます。
【大野分科会長】  和彦委員、お願いします。
【加藤(和)委員】  ありがとうございます。
 コメント的なところを先に申し上げます。例えばスライドの13ページを見ると、日本のAIの位置は、順位は低いし、投資額が非常に低くって、お先真っ暗ですねというという印象ですが、実はアメリカの投資は過熱し過ぎなところがあって、AIバブルとも呼ばれています。日本の投資額は低いですが、アメリカ等が先行で開発したものを受益できるという見方もあると思います。
 それから最近、気になっているのですが、AI関連のこの種の議論をしていると「勝ち筋」という表現をよく聞きます。あまりに日本が負けぎみなので、勝ち筋を突いていけということを考えたくなるのかもしれませんが、多分、簡単な勝ち筋はない。地道な努力をしていくことこそが重要じゃないかという印象を持っています。
 そのためには梶野先生もおっしゃっておられましたが、誰でも研究者ならばある程度のAIが使えて、更に必要な専門家はより先端的なAIも使えるようになっているという、2段構えが必要であろうと思います。
 それから、AI基盤が重要だということは以前申し上げて、今回の資料にも書かれているので結構なのですが、更に重要なのは人材です。AIの進歩があまりに早いために、AIを研究の現場とか、あるいは研究以外の教育とか業務の分野に生かすためのそのエンジニアが不足しています。AIエンジニアというか、AI活用をお助けいただける人材を戦略的に育成・拡充していく必要があるんじゃないかと思っています。
 以上です。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 続きまして、ごめんなさい。小さくてよく。石塚委員ですか。御発言をお願いいたします。
【石塚委員】  ありがとうございます。もしかしたら今日ディスカッションの主題ではないだろうというのは、ちょっと予想はしているのですが、先ほど中村先生がおっしゃった倫理について、私もちょっとずっと気になっておりまして、今回の資料でしたら例えば48ページのおわりにの下に重要な位置づけとして出てきてはおりまして、また、今回の資料のあちこちにAIの信頼性というようなことも、それは非常によく使われている言葉なのですけれども、具体的にどうするのかというのは今回の資料ではなかなか見えにくいなというのが率直な感想ではあります。
 ただ、今までもいろいろ議論をしておりますし、また今後も恐らく議論していくところではあるんだろうと思っておりますので、今回はコメントにとどめたいと思います。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 続いて、ごめんなさい、森田委員、お願いします。
【森田委員】  ありがとうございます。先ほど宇南山先生からも今回のこの案ではなかなか社会科学について触れられていないということがありまして、私も社会科学の観点から、ほかの先生方からの言及がなかった点について2つ補足したいと思います。
 まず一つは、社会科学の中でもお金がつく部分というのもあります。 一部の分野についてはもう既に民間の投資があるわけなのですけれども、どうしてもお金がつかない、民間のお金がつきにくい部分があります。その点について後押しをしてくださるような、そういったシステムがあるといいなというのは感じました。それが第1点です。
 第2点は、社会科学あるいは人文科学の特有の点なのですけれども、AIを使った研究をした場合、例えば多くの自然科学ですと国際雑誌などでの成果の公表のような形で目に見えるのですけれども、なかなか社会科学や人文科学ではそういった目に見える形でパフォーマンスの成果が数字で目に見えてきません。そこで、そこを何とかうまく評価していただけるようなシステムがあればいいなと思いました。
 以上2点です。ありがとうございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 それでは大竹委員、お願いいたします。
【大竹委員】  ありがとうございます。短く2点申し上げたいと思います。
 1点目はやはり人の話でございまして、今、高校においても文系から理系にいかに人を増やすかという、そういうことが言われている中で、DSAIの教育者というのは、正に加藤和彦先生もおっしゃっていましたけど不足しているというのは、大学だけではなくてもう高校にもこれから敷衍(ふえん)するというか、問題になるのかなという意識もある中で、AIの進みがこれだけ早いと、これも加藤先生おっしゃるように、何らかのうまくAIを使ってAIを教えるみたいなことがないと、なかなか行き着かないかなというのは感想として持ちました。
 もう一つは人文学、社会科学のことなんです。私自身は理系の人間です。いわゆる理系の人間ですけれど、今、人文学、社会科学はチャンスだと思っていて、AIに関しても先ほど関沢委員もおっしゃっていましたけれど、どうやって人文学の方がそこに入り込んで、その知というのをAIの中で生かしていくのかというのが今、とても大事なんじゃないかなと思っています。
 アリストテレスをよみがえらせるとか、そこまでは言いませんけれども、いろいろな知見、人類が培ってきた知見というのをAIの中でよみがえらせるというか、活用していくというところに期待したいなと思っています。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。ほぼ皆様、御発言いただいたと思いますけれども、まだ御発言いただいてない方、よろしゅうございますか。
 私からも何点か、感想というとあれですけれども、お話ししておきたいと思います。AIの進歩はものすごく速いので、なかなか我々がこれまでやってきたタイムスケールとは合わないところがあるのですけれども、合わないからといってやらないわけにはいかないので、倫理も含めて走りながら考えることが今回求められているのだと思います。
 そういう意味で、予算もそうですけれども、単年度予算でこういうことをやると決めたからやるんだという部分も必要だと思いますけれども、新たな課題が年度の途中で出てくるということもありますので、アジリティというのが極めて重要と思っています。
 2番目は研究データですけれども、これはナショナルアセットなので、ナショナルアセットをきちんと使えるように、もうそういうふうに御発表いただきましたけれども、していただきたいと。しかも各大学がやるべきこともあるとは思いますけれども、そこは、それぞれどうやるべきかということを学内で議論して仕組みをつくるというのは、これは極めて時間の無駄です。私の意見ではですね。時間の無駄になりますし、最終的に統合したいというときには、話題になっている多数の自治体のやり方がみんな違うということの二の舞になると思います。きちんとデータはナショナルアセットだと位置づけ統一的に扱うきだと思っています。
 もう一つ、3点目は、データを価値化するというときに、価値があるからデータを大事にしているわけですけれども、特に金銭的な価値に関しては、スタートアップが大きな役割を果たすと思っています。一方で、スタートアップは丸ごと買われるということがありますので、そういうナショナルアセットを使ったスタートアップがどこかに買収されるようなときに、どのような手立て、あるいは制度的なことを考えておくべきなのかということは重要なポイントかと思います。なかなか学術分科会の範囲を超えているところもありますけれども、こういう時代になったんだということで皆様と一緒に考えていくべきだなとは思っています。
 ということで、皆様からいろいろな様々な御意見を頂きました。最後、阿部参事官、御発言いただいて、幾つかの御質問などにお答えいただきたいと思います。
【阿部研究振興局参事官】  ありがとうございます。先生方、皆様から頂いた御意見、ごもっともなところでございまして、これから3月末にかけて更に議論を深める中でしっかりと勘案していきたいと思っております。それから冒頭申し上げませんでしたけれど、3ページ目の目次にありますところの(6)と(7)を本日示しておりません。ここにつきましては最終的にどういうアクションを打ち出していくのかという検討を今、内部でしているところでございまして、今日頂いたコメントも踏まえながら具体的なアクションを更に考えていきたいと思っております。それから、3月末までに結論が得られない、今もアジリティにという話ありましたが、検討を更にしていかなければならない項目もあるだろうと思っておりまして、そういったことは一旦、更に検討が必要だということでまとめることを考えている状況でございます。
 あともう1点、データ周りの話であったり、倫理もそうですけれども、AI for Scienceの枠よりもう少し大きい議論が内閣府でされておりまして、AI政策全体の議論につきましてはAI基本計画の中で様々な議論がなされております。AI基本計画につきましても、昨年12月に日本で初めて策定されたところでありますけれども、当面、毎年のように改定すると示されておりまして、そちらの議論も並行して進んでいるところでございますので、そういった中で議論されることも見ながら、しっかりとこちらでも議論していきたいと思っております。
 それから基礎研究につきましては、例えば2ページ目の概要のところの下の丸1、研究力の右下にあります青い箱枠の2ポツ目、AIの基礎研究含むAIそのものの研究の強化というような形で記載したり、我々もここの重要性を非常に意識していまして、単にAI for Scienceということで使う側の話だけじゃなくて、Science for AI、Science of AIということでAIそのものの研究、それからAIが科学研究に浸透していく中で出てくる様々な課題、リスク、そういったものにどう捉えて対応していくのかということも大きな課題だと思っておりますので、本日、御指摘いただいたところをよく踏まえながら検討を深めたいと思っております。
 それから、チャレンジ型プログラムについても幾つか御指摘を頂いていたかと思います。26ページ目に具体的なイメージとしてこういったテーマが出てくるかなということでお示ししているものがございます。何名かの委員から頂きましたが、こちらのプログラムにつきましては人文学、社会学を含めてあらゆる分野を研究対象、候補課題としての対象としているものでございます。金額は確かにあまり大きくありませんし、どうしても財政的な制約の中から研究期間がなかなか短いというところではございますが、できるだけ迅速な支援、伴走支援をしていきたいということで、今回、年に2回の公募にチャレンジ、トライしようということを我々としても考えておりまして、そういった中で1,000件程度を採択しながら、あらゆる分野でAI for Scienceが進んでいければと、そういう起爆剤になればと考えております。他方、予算についてコメントを頂いたとおり、今回1回やれば、それで日本がよくなるとは当然捉えておりませんでして、今回のノウハウを生かして次にどう生かしていくのか、更にこれをどう伸ばしていくのか、いいものが出てきたときに次にどう発展させていくのかというのは次の課題だと思っております。ここにつきましては夏の概算要求に向けた議論も含めて、これから更に検討を深めたいと考えているところでございます。
 全体として、答え切れてないところも多々あるかとは存じますけれども、ちょっと時間の制約もある中、私からは以上とさせていただきたいと思います。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 よろしゅうございますでしょうか。これは聞いておきたいということが、最後に御発言があればお受けしたいと思いますけれど、よろしゅうございますか。どうもありがとうございました。
 それでは、本日の御意見を踏まえて今後我々としても審議を進めていきたいと思いますし、文科省の皆様におかれましては、是非いいものを、アジリティの高い、難しいのですけれども、政策をつくっていっていただければと思います。いろいろなところで言っていますけれども、独創性は科学者だけの専売特許ではなくて、行政官も独創性をこういう時代には見せなければいけないということになると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、これにて本日の議題は終了させていただきます。今回が今年度の最後の学術分科会です。拙い司会ではございましたけれども、皆さんに助けられて有効な実りある審議ができたと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、最後に事務局から連絡事項があればお願いいたします。
【林学術企画室室長補佐】  事務局でございます。本日の議事録につきましては、後日メールでお送りをさせていただきますので、委員の先生方、御確認の方よろしくお願いいたします。
 また、本日の議題に関しまして、もし追加の御意見等ございましたら、こちらも後日、事務局までメールでお送りいただければと考えております。次回の開催日程でございますが、こちらは調整させていただいた上、改めて御連絡をさせていただきます。
 連絡事項は以上でございます。
【大野分科会長】  それでは、本日はこれで閉会といたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

研究振興局振興企画課学術企画室

電話番号:03-5253-4111(内線4226)
メールアドレス:singakuj@mext.go.jp

(研究振興局振興企画課学術企画室)