学術分科会(第95回) 議事録

1.日時

令和7年4月16日(水曜日)10時01分~12時05分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 分科会長及び分科会長代理の選出等について(非公開)
  2. 最近の科学技術・学術の動向について
  3. 意見交換
  4. その他

4.出席者

委員

(委員、臨時委員)
大野分科会長、木部分科会長代理、五十嵐委員、大竹委員、鷹野委員、千葉委員、仲委員、原田委員、水本委員、飯田委員、石塚委員、宇南山委員、小野委員、加藤和彦委員、加藤美砂子委員、北本委員、関沢委員、永田委員、中野委員、中村委員、森田委員、安田委員、吉田委員

(科学官)
松田科学官、北野科学官、染谷科学官、北川科学官、原田科学官、藤森科学官、本橋科学官、杉岡科学官、外田科学官、池田科学官、安原科学官、深川科学官

文部科学省

塩見研究振興局長、松浦大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、髙見高等教育政策室長、山之内振興企画課長、俵大学研究基盤整備課長、山村大学研究基盤整備課学術研究調整官、熊谷大学研究基盤整備課長補佐、高橋大学研究基盤整備課連携推進専門官、板倉学術研究推進課長、大鷲学術研究推進課企画室長、加藤学術研究推進課専門官、豆佐学術研究推進課企画室長補佐、助川学術企画室長、林学術企画室室長補佐

5.議事録

・議事のはじめに委員の互選により、大野委員が分科会長に選任された。
・続いて大野分科会長により、木部委員が分科会長代理に指名された。
(以上の議事録は、人事に係る案件のため非公開。) 
 
【大野分科会長】  
 それでは、議事を進めたいと思います。これは第13期の学術分科会でございます。
 最初に、冒頭で塩見研究振興局長より一言御挨拶をいただければと思います。
【塩見研究振興局長】  失礼いたします。文部科学省研究振興局長の塩見でございます。第13期学術分科会の最初の会合ということで、一言御挨拶を申し上げます。
 まず、委員の皆様におかれましては、本当にお忙しい中、第13期学術分科会の委員をお引受けくださいまして、誠にありがとうございます。現在、政府におきましては、次期の第7期に当たります科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けて検討を行っているところでございますけれども、前期の学術分科会におきましても、委員の皆様から大変活発な御議論をいただきまして、学術分科会として、第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けた意見をお取りまとめいただいたところでございます。
 その意見の中には、多様な学術研究・基礎研究を安定的・継続的に実施していくことは、社会が持続的に発展し、また、未知の変化に対応する、いわば「基礎体力」をつけることだということをおまとめいただいているところでございまして、これが時を得て花開くときにイノベーションという果実をもたらす原動力になるのだとおまとめいただいております。世界の変化のスピードが一層増していく中で、予測困難な未来に備えて、また前向きに対応していくためにも、研究者の知的好奇心に基づく学術研究の重要性は一層大きなものになってきていると考えております。
 また一方で、我が国の研究力につきまして相対的な、また長期的な低下傾向が指摘されている中にありまして、こうした学術研究の社会的意義を踏まえ、また、これをどのように振興させていくことができるのかという点について議論することが求められております。この学術分科会におきましては、ぜひそうした観点から、委員の皆様方にそれぞれの御知見を生かし、活発な御議論をいただきまして、御提言をいただきたいと思っておりますし、我々、それを踏まえながらしっかりと学術の振興に取り組んでいきたいと考えております。
 これから2年間、大野分科会長をはじめ委員の皆様には大変お世話をおかけいたしますけれども、どうぞお力を賜りますようお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  塩見局長、御挨拶いただきまして、どうもありがとうございます。それでは、先ほど分科会長に選任されました私からも一言御挨拶を申し上げます。塩見局長のお話にもありましたけれども、前期の学術分科会におきましては、第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けた学術分科会としての意見を取りまとめました。今期も引き続き、前期の学術分科会の議論を踏まえながら、学術の振興方策について議論を進めていきたいと思います。
 また、学術分科会の下には各部会が設置されております。そこにおいて、大学共同利用機関を中心とした共同利用・共同研究体制の機能強化の方策、研究者の内在的な動機に基づく研究を支援する科研費、人文学・社会科学の振興方策などについて積極的な議論を行ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 これまでの議論を土台として、今後、学術の振興に向けて委員の皆様と検討を進めてまいりますが、学術の環境は非常に大きく早く変化しています。それも踏まえて、いかにタイムリーに学術の振興の方策をここで議論できるかも重要だと思っていますし、また、息の長い基本的な考え方も、これまでの考え方を踏襲しつつ発展させていかなければいけないと思いますので、どうぞ引き続き御協力をお願いいたしたいと思います。ということで、どうぞよろしくお願いいたします。
 続いて、分科会長代理をお願いいたしました木部委員より一言お願いできればと思います。
【木部委員】  代理を拝命いたしました木部でございます。会長をお助けして、この分科会の議論がスムーズに進むように努力してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、続いて事務局から人文学・社会科学特別委員会の設置について、助川学術企画室長より御説明をお願いします。
【助川学術企画室長】  改めまして、学術企画室長、助川でございます。資料3をお示ししているところでございますけれども、こちらを御覧くださいませ。学術分科会の運営規則は、特定の事項について機動的に調査するため、必要があると認める場合は委員会を置くことができるとしております。これに基づきまして、前期第12期と同様に、第13期、今期におきましても、人文学・社会科学特別委員会を設置し、これから申し上げる3点、すなわち、人文学・社会科学の学問的特性を踏まえた振興の在り方、人文学・社会科学におけるデータ基盤整備方策、その他人文学・社会科学の学術研究に関する事項について調査することとしたいと考えておりまして、このように設置することについてお諮りするものでございます。
 私からは以上でございます。よろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  ありがとうございました。今も御説明いただいたように、今期も3つの部会に加えて、人文学・社会科学特別委員会を設けることとし、人文学・社会科学に関する審議をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 ありがとうございました。なお、委員会の委員及び主査は分科会長が指名することになっておりますので、委員会に御出席をお願いする委員各位には、それぞれ後日、御相談をさせていただきます。御多忙のこととは思いますけれども、どうぞ御協力いただきますようお願い申し上げます。
 それでは次に、第12期の審議状況や第13期の検討事項等について、助川室長より御説明をお願いいたします。
【助川学術企画室長】  ありがとうございます。改めまして、学術企画室長、助川でございます。資料4を御覧くださいませ。第12期の審議状況及び第13期での検討事項について簡単に御紹介申し上げます。
 第12期におきましては、学術分科会を合計7回開催いたしまして、学術の振興方策について調査審議をいただいたところでございます。また、政府において、次期科学技術・イノベーション基本計画に向けた検討が開始されることを踏まえまして、学術の振興の観点から特に重要となる点について委員の先生方に御議論いただきまして、令和6年、昨年の8月23日付で第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けた学術分科会としての意見をまとめていただいたところでございます。
 今後、第13期におきましては、今期におきましては、学術分科会意見に記載された方向性の具体化に向けた取組ですとか、社会経済情勢や科学技術・イノベーションを取り巻く状況の変化を踏まえた学術の振興方策について、各部会及び関係審議会等と必要な連携を図りながら、引き続き御審議をいただければと考えてございます。
 ここで今、私が触れました8月の学術分科会意見について若干補足いたします。こちら側の学術分科会意見のポイントでございますけれども、上の青いところにございますとおり、学術研究の意義について改めて強調いただきつつ、下の赤い部分において、多様で質の高い知の基盤を構築するために、(1)として研究者の知的好奇心に根差した独創的な研究の強力な後押し、(2)といたしまして、大学等における研究環境の改善・充実、マネジメント改革、(3)におきまして、日本全体の研究力発展を牽引する研究大学群の形成というように、研究者、大学、研究大学群という3つの切り口から課題や今後の方向性を御議論いただきまして、様々な取組を重層的に実施することによって、研究力の低下傾向を反転させていく必要があるという御意見をいただいたところでございます。
 なお、3ページ、4ページは、研究環境基盤部会、研究費部会、人文学・社会科学特別委員会の第12期の審議内容、及び引き続き検討すべき論点、今後の方向性等を記してございますけれども、こちらは資料を御参照いただくといたしまして、詳細の説明は割愛させていただきます。
 以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。まず、資料の御説明をしていただきたいと思いますので、続きまして、次期科学技術・イノベーション基本計画に向けた検討状況について、引き続き助川室長から御説明をお願いいたします。
【助川学術企画室長】  ありがとうございます。続きまして、資料の5-1を御覧いただければと思います。こちらは、昨年末の総合科学技術・イノベーション会議におきまして、内閣府から提出、説明された資料でございます。
 右下のページ番号でいう1ページ、全体でいうと2ページになりますけれども、右下のページ番号で申します1ページを御覧くださいませ。科学技術・イノベーション基本計画は、一番上の箱にございますけれども、科学技術・イノベーション基本法という法律に基づきまして、5年ごとに策定をしております計画となっておりまして、5年間の政策の方向性ですとか取り組む施策等を整理したものでございます。
 下の図にございますけれども、当初は科学技術予算の拡充といった点から始まりまして、第4期から社会実装の重要性をより明確にさせた上で、第5期、第6期はSociety5.0という社会像を描く、そういったものになってございます。現在は、一番右にございます第6期が現行の計画でございまして、今年度、2025年度が最終年度でございまして、現在、次期計画、第7期の計画の策定に向けた検討が内閣府を中心に進んでいるという状況でございます。
 右下のページでいう2ページを御覧いただきますと、これが現行の計画でございます。現行の第6期計画は、我が国が目指す社会といたしまして、ここに赤字でありますけれども、国民の安全・安心の確保を実現する持続可能で強靱な社会、また、一人一人の多様な幸せ、ウェルビーイングが実現できる社会を掲げてございます。
 そしてその実現に向けて、この下の青色の「持続可能で強靱な社会への変革」、黄緑色の「知のフロンティア開拓・研究力の強化」、黄色のところで「教育・人材育成」と、こういった3つの柱の下、政府が行う施策をまとめているところでございます。
 続いて3ページでございますけれども、我が国、日本の科学技術・イノベーションの現状についての資料でございます。グラフでも書かれてございますけれども、先端科学技術をめぐる主導権争いは激化する一方でございまして、一方、日本の研究力は、ここは論文についてデータを一例として引っ張っておりますけど、相対的に低下しておる、また、右のところ、イノベーションを生み出すようなエコシステムの形成も遅れている、そういった状況としてございます。
 また、次のページ、4ページでございますけれども、これを踏まえて次期計画についてでございます。このグレーのところが、次期に向けての想定される論点として内閣府で整理されたものでございますけれども、その前に上の箱から見ますと、科学技術・イノベーションは国力の源泉でありまして、経済成長を加速させて、社会課題を解決する原動力であるという認識の下、「国力の基盤となる研究力の強化・人材育成」、また、右の「社会変革を牽引するイノベーション力の向上」、また、「経済安全保障との連携」という3つの柱を軸に検討が進められているところでございます。
 その下に、今後のスケジュールとして想定で書いてございますけれども、昨年末から大体月1回程度、内閣府の基本計画専門調査会という会議で、目指すべき社会ですとか、先ほど挙げました論点それぞれについて議論が進められてございます。夏頃に中間取りまとめ、年末を目途に基本計画の素案を取りまとめて、来年の3月に閣議決定をし、来年度から新しい計画がスタートするということを予定しているところでございます。
 続きまして、こちら側の資料の5-2を御覧くださいませ。先ほど申し上げました内閣府の基本計画専門調査会、これのうちの2月25日に開催されました第3回、このときに文科省から御説明した資料でございます。第3回、2月25日のテーマが「研究力の強化と人材育成」というテーマだったもので、私ども文科省からは第7期計画に向けた検討状況を御説明する機会があったところでございます。
 前回の学術分科会において、研究振興局の検討状況といたしまして、今回だと参考資料6とつけておりますけれども、基礎科学力の強化に向けた今後の方向性というのを私ども事務局より御説明いたしまして、議論いただいたところでございます。これらも踏まえまして、また、ほかの部会等々の検討も併せて、文科省全体としての検討状況をまとめたものが資料5-2でございます。本日は簡単にその内容を御紹介申し上げられればと思います。
 また、ページを飛ばしますけれども、右下のページの2ページを御覧くださいませ。我が国が直面する未来社会についての認識でございますけれども、Society5.0の実現に向けた道のりはまだ道半ばでございまして、また、国際情勢ですとか社会構造の変化は常に加速しておって、将来が不透明となっていく中で、将来に対する国民の漠とした不安が高まってきておりまして、また、基礎研究と経済社会活動の距離は短くなっている傾向が見られまして、またさらには経済安全保障といった、こういう点の重要性も高まる中で、先端技術においては、各国とも熾烈な研究開発競争が繰り広げられている状況となっております。そこで、これまで以上に科学技術・イノベーションの力が国力に直結する時代だと認識してございます。
 3ページを御覧いただけますでしょうか。こうした状況において、科学技術・イノベーションに何が求められているのかという部分についてでございます。我が国が、日本が国際社会においてプレゼンスを発揮しまして、国民の誰もが安心して豊かに暮らせる社会を実現するためには、先端技術における優位性を獲得し、それを確実にイノベーションにつなげるといったことは必要不可欠でありまして、そうした活動を通じて、揺るがない頑強な国の力を蓄積していくことが当然重要になるかと考えております。ただ、それに加えて、例えば自然災害、感染症など、予期せぬ事態ですとか、社会の不連続な変化にも柔軟かつ迅速に対応する、また、対応を我が国が主導できる、そういうように将来の競争力の源泉への先行投資をどれだけ行うことができるかというのが、未来の我が国の盛衰にとって重要であると考えております。
 そして、世界各国がしのぎを削る重要分野についても、予期せぬ未来での重要となり得る分野についても、どちらにおいても優秀な研究者の知的好奇心に基づく研究によって得られる知がその芽になるものと考えてございます。その芽をイノベーションにつなげていくことも重要でございますけれども、そもそもその芽が豊富に生み出され続けるというのが大前提として必要不可欠でございまして、そのために優秀な研究者の先生方のパフォーマンスを最大限引き出すことが喫緊の課題と考えてございます。
 この点、先ほどご紹介いたしました、昨年8月にまとめていただいた学術分科会の意見においても、研究者の知的好奇心に根差した独創的な研究を強力に後押しするということが重要と強く御意見をいただいたところでございますけれども、文科省としても強く訴えているところでございます。
 1ページ飛ばして5ページを御覧いただければと思いますけれども、研究力の現状を議論する上では様々なデータがございます。なので、こちらではほんの一部ではございますけれども、研究者の知的好奇心を引き出していくためには、そういった現状を踏まえ、対応を考えていく必要があると考えております。物価高の一方で運営費交付金は横ばいになっているですとか、主要国と比べて博士号取得者が少ない、支えるテクニシャン等も少ないですとか、あるいは論文の数についても、英独と比べて大学数が多くて、幅広く意欲・能力がある研究者がおられるということも踏まえた最適な研究大学群の在り方を考える必要があると。また、大学部門の研究開発費の伸びについては、他国と比べて小さいということも書いてございます。
 6ページを御覧いただきますと、ここでは研究力の強化に向けまして、近年の私ども文科省の取組を紹介してございます。近年、国際卓越研究大学制度ですとか、J-PEAKS、左上ですけれども、あるいは右上のところ、創発的研究支援事業等、研究力低下傾向の反転の起爆剤となり得るような施策を始めてございまして、こういった取組を着実に進めていくとともに、次の一手を考えていく必要があろうかと考えてございます。
 8ページのところでございますけれども、こうした状況の中、文科省として第7期の基本計画を見据えた今後の取組の方向性として5つ書いてございますけれども、学術分科会関係ですと、施策1は特に関係が深いので、1について特に次のページ、9ページで御説明申し上げたいと思います。
 施策1については、学術分科会からいただきました研究者個人、大学、研究大学群の3つの視点を踏まえまして、右下の研究者の「挑戦的な研究活動を後押しする投資の拡大・充実」、左下の「研究に邁進できる充実した研究環境を提供する『研究組織』を実現」、上のところにあります「組織・分野の枠を超えた研究ネットワークの構築」というのを進めていく方向を打ち出してございますけれども、近年の人件費、物価高騰等も踏まえまして、それらを支える基盤として、基盤的経費ですとか科研費等の十分な確保によって、多様で豊富な知を支える研究基盤の維持・強化がまずは必要と考えて真ん中に記載しているところでございます。
 さらに、上のところの「組織・分野の枠を超えた研究ネットワークの構築」についてもう少し補足いたしますと、近年、高い研究力を持つ研究大学に対する、組織全体としての機能強化策として、例えば国際卓越、J-PEAKSを例に書いていますけれども、これを創設し、研究大学の研究・経営システム改革を促進しているところでございますけれども、そうした大学以外にも、先ほど申しましたように、全国各地にすばらしい意欲・能力ある人材が広くいらっしゃると認識しておりまして、また、世界の潮流として、研究設備の共用・集約化、自動/自律化、遠隔化、サービス化といったような形で、研究の生産性を向上する、研究データ基盤を含む情報基盤が支えるデータ科学、AIを活用した研究の高度化が図られてきているところでございます。
 これらの状況を踏まえまして、我が国全体の研究活動の生産性、創造性、クリエーティビティーを最大化していくためには、高度かつ高効率な研究環境を実現して、それを組織・分野を超えて日本全体として活用するといったことによって研究パフォーマンスの最大化を図ることが重要だと考えてございます。
 こうした議論においては、研究環境基盤部会で御議論いただいております共同利用・共同研究体制が大きな役割を果たすことになってまいりますし、また、研究者の知的好奇心をより発揮させるために、すなわち学術研究を振興していくためには本分科会での議論が大変重要になると考えております。ですので、引き続き先生方の御知見を頂戴しながら進めていければと考えているところでございます。
 10ページ以降が、より細かい施策のイメージとなってございますけれども、ここでの御説明は省略させていただきます。
 駆け足でございますけれども、私からの説明は以上とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 それでは、資料の最後ですけれども、「我が国の『知の総和』向上の未来像~高等教育システムの再構築~(答申)」について、髙見高等教育政策室長より御説明をお願いいたします。
【髙見高等教育政策室長】  御紹介いただきました高等教育政策室長の髙見です。私からは、資料6に基づきまして説明します。
 本年の2月、中央教育審議会におきまして、「我が国の『知の総和』向上の未来像~高等教育システム再構築~」が答申として取りまとめられました。本日は、その主なポイントに絞って、概要に沿って説明します。
 まず初めに、1ページの上の部分ですが、1ポツ「今後の高等教育の目指すべき姿」のうち、直面する課題として、社会の変化、高等教育を取り巻く変化を掲げております。特に大学進学者数の推計として、現在約62.7万人いる進学者が、2035年には59万人、2040年には46万人まで減少することを示すとともに、今後の目指す未来像、人材像を示しております。
 その上で、高等教育の目指す姿として、我が国の「知の総和」、これは学ぶ人の数と一人一人の能力を掛け合わせたものですけれども、「知の総和」を向上することが必須と位置づけております。
 そして3段目ですが、高等教育政策の目的として、質、規模、アクセス、この3つの観点を示しています。ここで言う質とは、教育研究の質を図ることで学生一人一人の能力を最大限高めるという視点、規模とは、社会的に適切かつ必要な高等教育機会を量的に確保していくという観点、そしてアクセスとは、地理的・社会経済的な観点からの高等教育機会の均等を実現することを掲げております。これらと並行して、今後の高等教育を考えるに当たって重視すべき視点として、教育研究、学生への支援、高等教育機関の運営、社会における高等教育機関の4項目にわたる観点を示しているところです。
 次の2ページ目を御覧いただければと存じます。2ポツの「今後の高等教育政策の方向性と具体的方策」です。
 まず、1つ目の柱ですが、質のさらなる高度化について掲げております。
 初めに、「学修者本位の教育の更なる推進」として、厳格な成績評価や卒業認定を通じて、出口における質保証を促進すること。また、認証評価制度、この仕組みができて約20年以上たっておりますけれども、この制度を抜本的に見直して、在学中にどれくらい力を伸ばすことができたのかといった教育の質を評価する新たな評価制度へ移行することを示しております。
 また、「多様な学生の受入れ促進」として、外国人留学生や社会人等の受入れ促進に向けて、定員管理の柔軟化を図っていくこと、あるいは通信教育課程のさらなる質向上のための制度改善を図っていくことを掲げております。さらに左下の部分、「大学院教育の改革」としましては、特に人文・社会科学系を中心に、学士・修士5年一貫教育を大幅拡充していくという観点、あるいは幅広いキャリアパスの開拓促進について、「研究力の強化」としては、質向上に向けた研究環境構築や業務負担軽減について、また、「情報公表の推進」として、高等教育機関の情報を横断的に比較できる新たなデータプラットフォームを構築すること等を記載しております。
 3ページ目を御覧ください。2つ目の柱として、高等教育全体の規模の適正化、3つ目の柱として、高等教育へのアクセス確保を掲げております。
 まず、規模の適正化につきましては、マル1「高等教育機関の機能強化」として、意欲的な教育・経営改革を行うための支援、高等教育機関間での連携の推進、「高等教育全体の規模の適正化の推進」といたしまして、厳格な設置認可審査への転換、再編・統合、縮小、撤退について具体的な方策を示しております。
 また、(3)「高等教育への『アクセス』確保」につきましては、地理的観点からのアクセス確保といたしまして、地域の高等教育機関、地方公共団体、産業界などの関係者が議論を行う協議体である地域構想推進プラットフォームの構築を行い、これを支える地方公共団体や国の体制整備、コーディネーター等の支援について示しております。さらに、地域にとって真に必要な一定の質が担保された高等教育機関への支援として、協議体の議論を踏まえて国が支援する仕組みや大学との連携をより緊密に行うための仕組みとして、地域研究教育連携推進機構の導入も掲げております。加えて地方創生の観点から、国内留学や学生寮の整備、サテライトキャンパスの取組を進めるとともに、遠隔・オンラインを活用した大学間連携による事業の共有化についても記載をしています。
 また、「社会経済的観点からのアクセス確保」につきましては、個人への経済支援の充実に加え、社会的観点からのアクセス確保に向けて、高等教育機関入学前から負担軽減の情報を伝えていくことも示しております。
 4ページ目を御覧ください。上段では、機関別・設置者別の役割や連携の在り方として、機関別、設置者別、機能や特性に着目した政策の重視の3点を掲げております。このうち機関別の役割としては、大学、短大、高専、専門学校等の機関別の役割について示すとともに、「設置者別の役割」としては、国立、公立、私立大学のそれぞれの役割を示した上で、具体的方策として、定員規模の見直し、あるいは再編・統合について、また、「機能や特性等に着目した政策の重視」としては、教育研究の質の向上につながる取組の設置者の枠を超えて支援していくことを記載しております。
 下段では、「高等教育改革を支える支援方策の在り方」として、高等教育への投資は未来への先行投資であるといったことをまず明確に位置づけた上で、より一層社会からの信頼が得られるように、教育研究活動の高度化や情報公表を進めること、必要なコストを明確にした上で、その必要性を訴えかけていくこと、また、公財政支援、社会からの投資、個人・保護者負担のそれぞれについて、持続的な発展に資するような規模・仕組みを構築していくことを掲げております。
 その上で短期的な取組といたしまして、公財政支援の充実、社会からの支援強化、個人・保護者負担の在り方について掲げるとともに、中長期的な取組として、教育コストの明確化を踏まえた負担の仕組みの見直しや、新たな財源の確保についても言及しております。
 また最後に、一番下ですが、答申まとまった後、制度改革や財政支援の取組など、今後10年程度の工程を示した政策パッケージ、これを今年の夏ぐらいを目指して政策パッケージを策定して、具体的な方策の実行に速やかに着手することとしております。
 私からの説明は以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。それでは、今までの事務局からの説明がありました内容を踏まえつつ、第13期学術分科会において議論すべき事項や方向性、あるいは、今御説明のあった内容に関する御質問でも結構ですので、御意見をいただきたいと思います。本日は第13期の初回ですので、発言の最初には、非常に短くですけれども、恐縮ですが、自己紹介も兼ねて御発言いただければと思います。全員の皆様に必ず御発言いただけるように、お一人2分、多くて3分というような時間を今念頭に置いていますので、ぜひ活発に御発言をいただければと思います。「手を挙げる」ボタンを押していただいて、御発言いただければと思います。いかがでしょうか。
 千葉委員、お願いいたします。
【千葉委員】  東京農工大学の千葉です。今、研究力強化委員会の委員長も務めさせていただいております。非常に広範にわたる、また日本の重要課題についての御提案をいただき、非常に高いレベルでの議論がこれから進むというふうに大いに期待しております。当然、研究力強化のときには、こういう整理をして、こういうことももっとやらなきゃいけないとかという、そういう建設的な意見も非常に重要なことは重々承知の上で、これからの大学進学者人口の急速な減少、あるいは現在の日本経済の現状を考えたときに、どうそこを読み切って対応するかという観点、あまりそこに目を向けたくないというのはあるんですけれども、でも、そこはしっかりと目を向けて現実を直視して、どう対応するかということを考えていくことがすごく大事だと思っています。
 例えば、大学の数とか学生の受入れのトータルの数、あるいは日本の研究者の数、こういうものがどう変化していくべきなのか、あるいは、そこに残された建物とかをどうすべきか、これは最終的なところでの御説明にも入っていたと思うんですけれども、これは一般的には考えが止まってしまうわけです。そうなりたくないというようなものがありますので。そうではなくて、それをいかに前向きに、また先進的に考えるかということも、これは実は研究力強化という観点では重要なところではないかと私は思います。
 逆に言うと、それ自身も研究なんです。要するに、世界がまだ経験したことがないところを日本が先進的に乗り切るために何をどうしたらいいのかというのは、いわゆる学術研究ではない部分でもありますけれども、そこに対しての先進性を出すというのは、日本に求められているというか、日本がやるべき、それこそ世界の最先端のところになり得ることじゃないかと思いますので、こういうところについても、ぜひ勇気を持って、しっかりと現実を見詰めて将来を設計する、こういう在り方で進められればと思っております。
 以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。まずは皆様から御発言をいただいて、その後必要があれば、事務局、文科省からという形で進めたいと思いますけれども、いかがでしょうか。アイスブレークがなかなかできないので、千葉先生、どうもありがとうございました。 五十嵐委員、お願いいたします。
【五十嵐委員】  五十嵐でございます。第12期からこちらの委員を務めさせていただいております。私は産業界からですので、その観点からイノベーションに関して少しお話をしたいと思います。
 先ほどの資料の5-2番の3ページ目で、科学技術・イノベーションに求められる役割と研究者が生み出す「知」という話がありました。先端技術における優位性を獲得して、それを確実にイノベーションにつなげると。このイノベーションにつなげるというところですが、これは第12期から何度も言っているのですけれども、人文・社会科学の役割がここに出てくると思っています。
 産業界にいて、そもそもイノベーションの何が一番難しいかというと、技術の壁や事業化の壁、そして制度や規制の壁などがあるのですけれども、その先にある社会受容の壁、新しい技術なり事業を、市民社会の方々がいかに腹落ちして、それを受け入れてくれるかどうかのところ、ここの壁を破るのがやはり一番難しい。その技術や事業には、どういう価値があるのですかと。その価値に関して、人文学的、社会科学的にそれをうまく説明できるかどうかですね。市民社会との双方向のコミュニケーションになると思うのですけれども、そこのところをより深く学問的に示していただけると、産業界としては非常にありがたいです。技術開発とか事業化の過程で様々な解決策を見つけていくわけですが、本当に難しいのはスタート時点で「価値を見つける」、というよりは「問い」を探すこと。何が本当の価値なのですかという、そういう問いを立てるところが非常に難しくて、そこのところを人文・社会科学に期待しております。
 大きな話で言うと、人文学・社会科学を動員しなければ解けない問題というと、トランス・サイエンス的な話がありますよね。例えば原子力発電について、絶対的な安全性はどうかという話は、科学に問うことはできるのですけれども、科学だけでは回答が出ない問題ですよね。科学技術だけでは何ともならないと思うのです。第13期では、そういったところをより深く検討していただけると非常にありがたいと思っています。
 私からは以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、引き続き小野委員、お願いいたします。
【小野委員】  豊橋技術科学大学の小野です。私も前期からこちらの会議に参加させていただいております。日本学術会議の若手アカデミーの代表を務めており、若手研究者の現場の課題を中心に、コメントさせていただければと思います。本日は途中で退出させていただくため、早めに手を挙げさせていただきました。
 私からは、先ほどのご発言にもありました大学の規模や配置の適正化に関して、コメントをさせていただきます。私は専門が都市計画で、国土の将来像についても考えている立場から申し上げますと、大学は地域社会の存続にとって非常に大きな存在であり、国土の維持管理という観点からもその役割は大きいと考えています。その際、大学が担うべき機能については、教育や研究だけでなく、地域の産業・医療を含めさまざまなサービスなどとも密接に関わっています。したがって、大学のあり方を議論する際には、文科省だけで完結する話ではなく、省庁横断的な視点から検討していくことが重要だと思います。より広い視野での議論が行われることを期待しています。
 また、大学の役割を考える際には、研究と教育を切り離して考えがちですが、本来これらは不可分のものであり、両者を一体的に捉えるべきだと考えます。科学技術・学術審議会と中央教育審議会でそれぞれ議論されている内容も、可能であれば重ね合わせながら検討していけるとよいのではないかと思います。国民への説明責任という観点からも、大学は高度専門人材の育成と研究の両面が極めて重要であることを、社会に対して丁寧に発信していく必要があると考えています。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして、中野委員、お願いいたします。
【中野委員】  私も、前期から引き続き委員を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回初めて示していただいた資料5-2、9ページに、一番大事なこととして、多様で豊富な知を支える研究基盤の維持強化に対して、基盤的経費、科研費等の十分な確保−−これは、デュアルサポートの復活だと思いますが−−それを挙げていただいたのは非常にありがたく、これこそ我々が目指すべきところだと思います。一方、具体的な施策という面では、まだまだ十分ではないと感じています。これをいかに数値目標や、それを達成するための施策に落とし込んでいくかというところが、第13期で我々がやっていかなければいけないことではないかと思います。
 それから、第12期でデュアルサポートと並んで、言わば中堅大学、国際卓越研究大学やJ-PEAKSに採択されなかった大学の研究者の方々の研究力を−−これは向上というよりもリリースだと思いますが−−既にある研究力を発揮していただくために、中規模施設の改善や老朽化対策といったものをかなり強く提言してきました。しかし、これについてもまだ施策には落とし込めてないと感じております。この点についても、今後取り組んでいけたらと考えております。
 以上です。
【大野分科会長】  中野委員、どうもありがとうございました。
 続きまして、関沢委員、お願いいたします。
【関沢委員】  国立歴史民俗博物館の関沢と申します。よろしくお願いいたします。私も前期から引き続き委員を務めさせていただきます。資料4の3ページです。引き続き検討すべき論点のところで、大学共同利用機関の検証があります。前期の最後のほうの委員会ではこのスケジュール等について、若干審議が途中で終わっていたように思います。特にこの検証がどう進むのか、スケジュールについてなど早々に検討を行う必要があると思っております。それによって委員会での検討時間を長く取ることが目的でしたので、よろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして、永田委員、お願いいたします。
【永田委員】  ありがとうございます。今期から臨時委員を務めさせていただきます北海道大学の永田と申します。今までの非常に深い内容の検討状況につきまして、とても興味深く拝見させていただきました。特に重要だなと思うのが、いろいろあるんですけど、研究力を強化するのと人材育成と、それから、個々の研究者の知的好奇心に根差した研究提案、これらはいろいろ連関しているんですけど、やっぱり研究力を強化しようと思ったら、優秀な若手がどんどん研究者として参入してくるという状況をつくることが非常に重要で、そのためには、博士課程に進学してくれる学生を増やすのが重要で、増やすだけじゃ駄目で、優秀な学生は博士課程に行くんだと。今、学部と大学院とかそういう関係になっているんですけど、優秀な学生は修士課程まで行って、大学院に合格するのがちょっとおぼつかないような学生は学部を卒業して就職をするというような、そういう雰囲気の大学がいろいろあるんですけど、北大もそういう雰囲気があるんですけど、この関係を、修士課程から博士に進学するときに、研究者になりたいから博士に行くのではなくて、優秀な研究力を持っている人は、まず博士まで行って、しっかり教育をしてから社会に出ていくんだという雰囲気づくりが重要なんだと思います。
 そうなるためには、博士課程に進学した学生への経済支援が充実している必要があって、そのためには博士課程学生に給与を支払えるぐらいの研究費を獲得できる研究者がいっぱいいる必要があるというのもあります。ただ、それはお金が必要な話で、それだけ科研費を増額しなさいとか競争的資金をもっと充実しなさいって、できれば簡単なんですけど、それは簡単にできることではないと思います。なので、大学の研究費獲得先の多様化も必要になってきて、それを解決する一つの重要な方法が、大学の知を社会実装して、新たなイノベーションを起こして、そこの新産業から大学に還流していくというところをもっと強化すべきだと思います。そうやってエコシステムをつくりつつ、優秀な研究者は博士課程に行くんだという雰囲気をつくりつつ、大学の研究費獲得先の多様化を図るというような、全部一体化したような総合的な政策が打てればいいなと思いながら拝見していました。ありがとうございました。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして、石塚委員、お願いいたします。
【石塚委員】  同じく北海道大学からなんですけれども、今期初めて参加させていただきます石塚と申します。よろしくお願いいたします。
 説明をいろいろいただきまして、非常にいろいろ感銘を受けているんですけれども、特に資料5-2の3枚目のスライドのところで、様々な基盤研究の芽が必要であると。その芽も、十分な豊富な数の芽が必要であるというところ、私も非常に重要だと思って、こういう形で文章として作成していただいたことに感謝を申し上げたいと思います。
 幾つかの意見とちょっと質問も入っているんですけれども、まず、様々な教育プロジェクトあるいは研究プロジェクトが、大型のもの等々立ち上がっているんですけれども、やっぱり大学である以上、教育と研究はシームレスであるべきだと個人的には考えておりまして、十分そういう運用をされているプロジェクトがほとんどなんですけれども、中にはこれは研究プロジェクト、これは教育プロジェクトというように分けられてしまっている事業もあるかなという印象を受けております。そういったところをうまく活用して、プロジェクト同士の融合であったりとか、そういったところで教育、研究をさらにシームレス化できたらいいなと思うときがありましたので、一言申し添えさせていただきました。
 2つ目なんですけれども、研究環境の多様性というところの御説明をいただいたんですが、多様性は私も非常に重要だと思っておりまして、ただ多様性を実現するとき、例えば、かなり研究者サイドに作業量が発生、例えば留学生を受け入れたりとかいろいろなことが発生します。そういったところで、実は研究者あるいは学生だけではなくて、研究者を支えるような、インフラだけではなくてソフト面、そういったところの支援を今行っていただいてはいるんですけれども、さらにその辺りも厚くしていた、見えにくいところではあるんですけれども、ぜひ御検討いただけたらと考えております。
 3つ目にちょっと質問も入ってくるんですけれども、様々な異分野、分野の異なる研究者同士の連携をどんどん推進するようなところにあるかと思うんですけれども、そういったところで非常に重要になってくるのが恐らくデータ基盤だと思うんですけれども、リサーチマップ等々をはじめ、いろいろなところでそういったデータを利用しているんですが、今回の資料で何気なくUniv-mapというところが出てきたので、もしお時間があるようでしたら、どのようなデータプラットフォームなのか教えていただければと思います。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。御質問については、最後に事務局から御回答をいただきたいと思います。ありがとうございました。
 続きまして、吉田委員、お願いいたします。
【吉田委員】  岐阜大学長を拝命しております吉田でございます。私も前期から入れていただいておりまして、地域での課題であるとか、あるいは法人統合した大学としての課題、あるいはよかった点、そういう点からも意見を述べさせていただければと思います。
 そういう観点で、まず第1点として、資料5-2の7、8、施策全体についてですけれども、中教審の答申でも今回から明確にされていますけれども、大学の在り方という点で、大学間の連携や法人化、再編、統合、連携、こういうのがどんどん加速してくるということは容易に想像できるんですけれども、実際に事業のスキームとか法的あるいは制度的な対応がまだまだ追いついていないところがあって、資金や人員、そういうものの支援、これが十分に活用できていないような状況が生じる、こういうことが危惧されます。したがいまして、これらを踏まえて、常に既存事業の見直しを行いつつ、今後の施策を検討する際には、可能な限り現場のニーズを踏まえた事業の最適化あるいは規制緩和、そういうことも併せて、パフォーマンスが最大化できるようにぜひ議論いただければと思うのが第1点でございます。
 第2点は、資料5-2の9ページになるかと思うんですけれども、近年高い研究力を持つ研究力をもつ大学の整備や支援が行われている中、これらの大学以外や地域でも非常に優秀な人材がいるというのは以前からデータで見せていただいているんですけれども、ぜひこれらの人材あるいは組織をエコシステムの輪に巻き込んで十分活用できる、我が国の研究力に貢献できる、こういう施策は何なのかと、こういうことをぜひ議論していただければというのが第2点でございます。
 第3点は、この図の真ん中なんですけれども、多様で豊富な知を支える研究基盤の維持強化ということなんですけど、その下に人件費云々があって、「研究環境のこれ以上の弱体化を防ぐ」というコメントがあるんですけど、これ、ちょっと弱いかなと。研究力のこれ以上の弱体化を防ぐというのは現状維持が精いっぱいなので、このプラン自体が最大化プランというようなことが書いてありますので、「研究環境を最大限強化する」とか、もう少し力強い言葉があってもいいかなと思いました。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。重要な視点ですね。
 続きまして、水本委員、お願いいたします。
【水本委員】  水本です。私も前期から参加させていただいております。学術振興会の理事を務める立場で、2つ発言をさせていただきたいと思います。
 まず1つは、先ほど中野委員からもちょっと触れられたと思うんですけれど、大学の全体の研究力の強化という観点です。国際卓越、昨年度までで25校選定されたJ-PEAKS採択大学がありますが、日本の研究力の特徴として、多くの大学が裾野広く、比較的高い研究力を維持しているという特徴があると思います。そういう意味では、J-PEAKSの次の、「次の」と言うのは大変失礼な言い方ですけれど、それには残念ながら入らなかったけれど、研究力としては十分高いポテンシャルを持っている大学の支援を含めた基盤的な大学の経費の強化、こういったことをやはりこれから日本全体として進める必要があるのではないかと思っています。
 2点目は、これはたまたま今回の米国でのいろんな騒ぎに関係していると思ったことでございますので、若干思いつきな点もあるかもしれません。ポイントは海外で活躍している日本人研究者の情報を把握するということです。実は、少なくとも私自身もそうですけれど、あまり把握できていないように思います。どんな分野でどんな日本人が海外で活躍しておられるのか、そういう優秀な、あるいは非常に有力な研究者の、データベースというのはちょっと変な言い方ですけれど、情報をきちんと我が国として把握しておく必要があるのではないかということを最近ふと思いました。半ば思いつきですけれど、こういったことを考えているというのを発言させていただきました。ありがとうございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。海外で活躍している人材のデータベースをぜひ、JSPSも各地にオフィスがございますので、担っていただけるんだと期待しています。
 続きまして、宇南山委員、お願いいたします。
【宇南山委員】  京都大学の宇南山です。私は今期から参加させていただいております。よろしくお願いいたします。
 私、経済学を専門としておりまして、日本経済や財政などを専門にしておりまして、学術研究は当事者であるだけでなく、財政など立場から客観的に見ることも多いわけであります。そちらの関係の審議会等に出ておりますと、研究者ではない側からは「集中と選択」がキーワードになって、もっともっと効率的に研究を進めろというよう議論がされているように思います。
 研究者としては、例えば好奇心に基づく研究、しかもその総量を増やしていこう、裾野を増やしていこうというのが立場であると理解しています。知の総和を向上しようというような観点は、選択して集中するという前提とは必ずしも一致していないことも理解しています。ただ、学術の外の世界から見れば、少子化も進んでいて、財政状況もよくない中で、一定の規模の縮小はやむを得ないところがあると思っていて、研究者側の意向とは反しても何らかの選択はしなければいけない状況だと考えています。分野なり大学なり研究者なりを選択していかなければいけない状況の中で、どうも外の立場から見ると、学術の側からこういう選択をしますという積極的な立場のようなものが必ずしも出ていないように思います。その結果、例えば財務省のほうから、こういう選択をしろというような形で、研究者にとってベストでない選択を強制されているような気がします。私がこのような場に参加させていただける機会をいただきましたので、ぜひとも学術の側から最も望ましい形での選択ができるように積極的に議論をさせていただきたいと思っております。
 私の専門としております経済学は、まさしく選択をする学問でありまして、その意味では、人文・社会学がどういう貢献ができますかといったときに、一研究分野としてはもちろん他の分野とは同等の分野ではありますが、学術の将来を考え、どのような評価をし選択をしていくことがベストなのかということを議論する際に核となりえる学問分野ではないかなと思っております。
 その観点で、確認したいと思っているのは分科会として共有されている選択基準のようなものです。私は前期は参加しておりませんので、これまでの議論は分かっておりませんが、資料を見ますと、例えばトップ1%の論文がどれだけ出るかとか、AIの研究分野でどれぐらいの成果が出ているかなど、幾つかの指標が出ています。しかし、その指標間の関係が必ずしも分かりません。先ほど五十嵐先生から、いろいろな価値を人文・社会科学で提示できないかという話があったんですが、経済学は、どちらかと言えば何かの基準を与えていただければベストな選択を提案できるというタイプの学問分野です。その意味で、全体として一体どのようなゴールを目指しているのかが必ずしも見えてこないとうまく機能しません。複数のゴールが多く提示されていて、その相互の関係が明らかでないように新参者としては思います。その辺の整理ができればと思っています。これからどうぞよろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。極めて重要な視点を御指摘いただきました。
 続きまして、加藤美砂子委員、お願いいたします。
【加藤(美)委員】  お茶の水女子大学の加藤でございます。私はこの期から参加させていただきまして、今まで大変深い議論されていたということに感銘を受けております。私がかねがね研究力を強化するために少し不足しているなと思っていたことは、御説明の中にもありましたが、組織的な研究体制の整備が非常に遅れているということです。1人の研究者が研究費を申請して、学生を教育して、管理運営して、全てを1人でやる、1人で頑張っていることで回っているケースが多いわけです。この体制の中に研究支援要員を組み込むというような形の組織的な研究環境の整備を行うことによって、純粋に研究時間の確保が可能になりますので、この点から、大型化する国際共同研究を支えていくことのできる組織づくりを考えていくべきかと思っております。
 あともう1点、今後研究力を高めるために、まず研究に興味を持ってもらう若い世代を増やさなければならないので、私は初等中等教育レベルのアプローチも非常に大切なことだと思っております。中高生向けのSTEAM教育とか、スーパーサイエンスハイスクールとかありますけれども、これらをさらに時代に即した形にして、若い世代へのサイエンスの興味、関心を増やす、促進させる、そういう取組を考えていけたらと思います。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 続きまして、北本委員、お願いいたします。
【北本委員】  北本です。私は前回から継続で参加しております。私の専門は情報学ですが、人文学の方々と長年にわたって共同研究しており、そちらの視点からもいろいろ意見を出せればと思っています。
 私が申し上げたいのは資料5-2の9ページのところです。ここに高度かつ高効率の研究環境を実現して、それをオールジャパンで活用することにより研究パフォーマンスの最大化を図る、これが第7期の目玉として見えるように書かれています。ここは私としても、非常に重要で、かつ興味を持っているところです。ただし、これをどう実現するかという点が大きな課題だと考えています。
 1つはAIです。AIという言葉が上のほうにも書いてありますけれども、AIによって知そのものが再定義される可能性があります。あるいは、知のつくり方、生産方法の再定義と言った方がよいかもしれません。AIによって知が生まれる仕組み自体が変わったときに、インフラはどのようにその変化に対応していくか、そこを考えなければいけないと考えています。
 例えば、データをつくって、それをAIに学習させることによって、そこからどんどん新しい知が生まれてくるとなった場合、研究者の役割は変わってきます。そうした状況においてパフォーマンスを最大化するには、ただ単に頑張るだけでなく、新しい方法を取り入れてうまく使っていくことも必要になってきます。
 もう一つ、こうした研究環境をつくること自体がある種の研究となりますが、このような研究に対する評価基準は大きく変わってきます。先ほどの話にも出たようなトップ1%論文といった指標とは異なる方法が必要です。例えば、論文は書いたら終わりという面がありますが、研究環境は長年にわたって維持しなくてはならず、それを評価するための新たな評価基準が必要になってくると思います。
 このことに関連して、こうした研究環境を実現することは、当然ながらアカデミアだけではなく、民間企業も考えています。そうした中で、パフォーマンス最大化だけを目指すと、民間企業のインフラを使ってお金で解決するという方向に行く可能性もあります。例えば、生成AIなどは、まさに民間企業のインフラでパフォーマンスの最大化を図るという方向に進んでいます。そうなると、研究費を増やしても、そちらにお金が流れるだけになってしまうかもしれません。それは、短期的には効率がいいかもしれませんが、長期的には日本のアカデミアとしてそれでよいか。短期と長期のバランスを考えながら進めていく必要があるというのが、私の考えです。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 続きまして、鷹野委員、お願いいたします。
【鷹野委員】  ありがとうございます。私は、前期から引き続き委員を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。専門は化学です。
 今日の資料なども拝見しましてなんですけれども、日本の大学への進学率が57-58%に上っているということを最近、データで知りました。少し前までは52-53%だと私は認識していました。進学率は高まっているけれども、やはり少子化で非常に大学生が減ってきている。そういった状況を踏まえた上で、私たちは今後の大学での教育や研究環境、そういったものを考えていかなければならないのだということを認識しているところです。
 本日お示しいただいた資料で、資料5-2になりますけれども、5ページで、日本の大学に多様性があることが示されております。論文のトップ何%というような業績についての多様性が、諸外国に比べまして日本は幅があるということで、いろんなタイプの、それは首都圏だったり地方だったり、そういったことで差があるということだと思うのですけれども、資料5-2の5ページは今出していただいていますか。これです。これの右上の部分です。
 ここは日本の大学としては、研究者としては大変に強みになる可能性があるのではないかなと感じたところです。多様なタイプの大学における特徴的な研究活動を支援していけるといいのではないかと思いました。先ほども、地方の大学への支援を重要視していくというような御発言もございましたけれども、それに通じるような意見でございます。これを具体化していくことが大事であると思っております。
 もう一つ、5ページの資料の中の左下ですけれども、テクニシャンについてのデータがございます。テクニシャンの存在は、研究の活性化に大変効果があると私自身は期待しております。以前に欧州の大学を幾つか訪ねたことがございますけれども、そこではテクニシャンの方が大変誇りを持って仕事をされている姿を見ました。日本ですと技官ということになるのかもしれませんが、研究所や大規模大学には多く配置されていますけれど、多分小規模大学ではそのようなポストがないのではないかと思います。この取組についてはハードルが大変高いと思いますが、本気でやる意義はあるとも思っております。一方で、覚悟と計画性、そういったものが必要だと思っておりまして、この点について、もし、何らかの具体的な計画があるのでしたら教えていただきたいと思います。
 私からは以上でございます。今期もどうぞよろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、引き続いて木部委員、お願いいたします。
【木部委員】  人間文化研究機構の機構長をしております木部と申します。前期から続きですが、今期はこの分科会の会長代理を仰せつかりました。よろしくお願いいたします。
 これまでの議論と今後の方向性を示していただいて、大変ありがとうございます。いろんな方が引用されている資料5-2ですが、例えば、5-2の9ページ、ここに示されていることが非常に重要だと思います。上のブルーの枠で囲まれました機能強化策の国際卓越とJ-PEAKSは制度がかなり整い、指定大学も幾つか出ております。問題は、2行目の「そうした大学以外にも全国各地に意欲・能力がある人材が点在している」というところで、これをどう引き出すかということだと思うんです。これについてはいろんな委員が既に指摘されておりますが、この制度設計が実はまだできていないんです。
全体の流れで見ると、それを共同利用・共同研究により連携することで、卓越とJ-PEAKS以外の大学が連携することによって乗り切ろう、発展させようというストーリーだと理解しました。その制度をどうするかということが大きな課題だと感じました。
 それから、今、鷹野先生の御指摘がありましたけれども、テクニシャンですね。研究者を支えるテクニシャンの重要性。欧米では、研究者の支援は、図書館の専門的な技能を持っている方、資格、学位を持っている方がやっている場合が多いんです。それに比べて、日本の大学や、公共施設では、図書館で勤務している人のステータスが低過ぎる。図書館が研究の中心になっていくというのが欧米の考え方です。日本でもそこを充実させることをもっと考えるべきだと私も常々考えておりましたので付け加えさせていただきました。どうもありがとうございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 飯田委員、お願いいたします。
【飯田委員】  ありがとうございます。島津製作所の飯田でございます。今期、臨時委員を拝命いたしました。本日は、前期での議論を含めまして、網羅的に非常に分かりやすく御説明いただき、ありがとうございました。
 私は今、大阪大学の特任教授、あと今年、京都大学の特任教授も拝命しておりまして、そういう意味では産学連携、共創という形で今、仕事をさせていただいていますが、会社では、最先端研究に使われます装置の開発にずっと携わってまいりました。また、開発に関わる共同研究を、国内、海外の大学や企業の研究者の方々と進めてまいりました。本日、学術の振興に関わる非常に多くの論点があることを認識させていただいているところですけれども、科学技術における日本のプレゼンスの低下並びに研究力に関しまして多くの議論がなされます昨今、研究力の土台に関わる課題の一つとして、最先端を競う研究で使われる計測分析機器の多くを輸入に頼っているという現状がございます。これがなぜ課題であるかということに関しましては時間の関係で割愛させていただきますけれども、先ほどからコメントが出ておりますテクニシャンを含む人材育成のことも含め、問題となっております。
 この現状に対しまして、島津製作所並びに、計測分析機器の業界団体であります日本分析機器工業会は非常に強い危機感を持っております。本学術分科会での議論に、大学の先生方とは少し異なるバックグラウンドを持つ視点から、少しでも貢献できるように努めさせていただきたいと考えながら、本日の議論をお伺いしておりました。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして、安田委員、お願いいたします。
【安田委員】  ありがとうございます。前期からお世話になっております東京大学の安田です。今期もどうぞよろしくお願いします。また、非常に分かりやすい説明を冒頭でありがとうございました。
 私、話を聞いておりまして、目指すところが2つあるのか、2つと言ったらあれなんですけれども、大きく分けて2つのカテゴリーがあるのかなと考えております。1つ目が国民の幸せにつなげるイノベーションというところで、2つ目が国際的な科学的な競争力を高めるというところの2点かなと思います。
 前者に関して私非常に気になっていて、これは言っても仕方がないことなのかもしれないですけど、資料5-1の現行の科学技術の持続可能性のところで、地球規模の課題のところにカーボンニュートラルが入っているのに生物多様性の話が入っていないというのに非常に疑問に思った部分がありまして、地球規模の課題ということで考えますと、今、気候変動の話と生物多様性のインテグリティーは2つの大きな柱であって、両方ともが達成される施策もあれば、片方をやると片方が片手落ちになってしまうところもあるので、ぜひとも、カーボンニュートラルだけではなくて生物多様性のことも、これは地球規模の課題でありながら地域性も高いので、日本の国土にとっての財産であるということ、未来の重要な資産であることも考えまして、ぜひ考えてほしいなと思ったところでした。
 関連して、五十嵐委員なども御指摘されていたんですけれども、こうしたイノベーションとか科学技術、宇南山さんも指摘されていたかと思うんですけれども、世代間の不平等だとか環境整備、科学正義みたいなところは日本ではまだまだ議論が十分に進んでいなくて、いろんな技術がどんどん、どんどん発展していく中で、それをどうやって社会の中で持ち込むべきか、倫理的に何を我々が選んでいって、どういう国民の幸せをつくっていくのかというところを、もっと科学者の中でも議論をする必要がありますし、国民との対話の下地として、我々はどこに向かうのか、どうやって幸せにしていくのかというところをもっとステークホルダーを巻き込んで議論していく下地が必要だと思っておりまして、こうした観点の議論が今期、もっと充実してできるようになるとさらにいいのではないかと思ったところでした。
 あと、人材流動と地方の話との兼ね合いで言いますと、私は長いこと、宮崎大学におりまして、地方大学の大変さもいろいろ感じていたところなんですけれども、逆に今、東京大学に来て、東京大学の学生とかが研究という実学を通じて、例えば地方の自分の研究課題があるところに飛び込んでいって、住み込みでそこで、例えば地方行政とかとも対話をしながら、そこの地域の課題に取り組んでいくというようなシステムができると、住む場所があって、コネクションがあって、地方の大学の地域の人とも話ができるということを研究と結びつけて行うことによって、かなり逆向きの知の交流が活性化されるのかなというような形で、新しいシステムみたいなものをそういうので考えられたらいいんじゃないかなと1つ思っていたところでした。
 後半の科学技術の限られたリソースで最大限どう最適化していくかということに関してなんですけれども、今、ちょうど島津製作所の方がお話しされていたので、はっと思ったんですけれども、私の研究室は海洋分子生態学をやっておりますので、DNAのシーケンスとかをやるんですが、今、留学生の学生がいて、シーケンス代を日本で外注するのと中国で外注するので、同じことをやるのに4分の1の値段で中国でできる状況です。我々の分野は、ゲノムのDNAのシーケンスはかなりコストがかかりますので、当然同じお金だったら、たくさんサンプルを読めたほうがハイインパクトなものにできますし、論文の生産もできるという状況にあります。こういう中で考えますと、日本国内の機器とか試薬に関係する企業と大学とかがもうちょっと連携して、共同でどんどん、日本国内初のいい最新技術みたいなものをもっと生産できるようになると、長期的に見ると安くそうしたものを国内で流通させることができて、限られたリソースの中でもよりよい研究ができる状況になるんじゃないかなというところを少し思っていたところでした。
 あと、教育の改善について。すいません、資料がどの資料だったか忘れてしまったんですけれども、いろいろ教育の質の向上のところについて議論されているところがあったんですけれども、一番重要なのは、学生のモチベーションを高めていって、全体の中で学問を追求していこうという環境を醸成していくところなのかなというところを非常に強く思ったので、そういった場づくりというところも、ソフト面なところもあるんですけれども、重視していくと、総合的に非常にいい環境ができるんではないかなということで思いました。
 早口で申し訳ないんですけど、私からは以上です。ありがとうございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして、加藤和彦委員、お願いいたします。
【加藤(和)委員】  筑波大の加藤と申します。専門は情報工学分野です。前回に引き続き、この委員をやらせていただいています。
 文科省で作っていただいた資料、大変よくできていて、とても感心しながら拝見していましたが、今回、私が強い印象を受けた箇所があります。資料5-2の5ページに出ている、大学数が多いというデータです。日本の科学技術分析に関するデータはこれまでたくさん見ていますが、大学数が多いということは、今回、初めて気づかされました。英国、ドイツに比べて、日本807に対して英国295とドイツは422と少ないんですね。手元のAI検索エンジンでずっと調査をしていて、皆さんと共有したいことがあります。日本は大学数が多いのですが、学生数はどうかというと、日本の学部生は、日本、イギリス、ドイツで、私の手元の調査だと、260万、180万、170万と日本が多い。日本は人口が多いですけれども、大学生が多い。ところが、大学院生になると、驚くべきことに逆転するんです。私の手元の調査だ、27万、39万、72万。つまり、英国、ドイツのほうが、大学院生が多い。つまり、大学院への進学率が高い、もしくは、留学生を多く集めているとういうことになります。
最近、日本の科学技術の伸び悩みが指摘されています。何か構造的な問題があるに違いないと思っていたんですけれども、私が今、これを見ながら立てた仮説は、日本は大学が多いので研究者が分散し、また、大学院生数が少なすぎるということです。
 最近、医師の働き方改革というので医師の偏在が問題になっている問題を御存じかと思います。医学の方に聞くと、日本は医師の数が少ないんじゃなくて、偏在が問題であると仰います。何で偏在するかというと、日本は病院の数が多過ぎる。ちなみにこれも調べてみると、私の手元調査で病院の数が日本は8,000で、英国とドイツはそれぞれ1,100、1,800です。病院が多いんですね。だから、病院当たりの医師数が少なくなり、医師不足問題が慢性化していて、構造的問題でどうしようもないので、ブラック化してしまい、それを直すので医師の働き方改革をしている。実はこれと同じ構造が大学の一般的研究者にもあるのかもしれないという仮説を今、立てたところです。
 日本は大学数が多くて教員が偏在しているので、まとまった強力な研究が推し進めにくい。それから、恐らく英国、ドイツで院生が多い理由は、ヨーロッパで近隣の諸国から、あるいは世界から、留学生を集めているからと想像します。日本に来る留学生もたくさんいますけれども、恐らく数と質が高いレベルの人たちをイギリスとかドイツは集めているのではと拝察します。
まとめますと、日本は大学院への進学率が少なく、院生の絶対数も少ない。そうすると、研究者の絶対数も少ないし、研究者になる率も少なくならざるを得ない。そうするとアウトプットである研究リザルトも当然、質も量も下がっていく。この仮説の下で、例えば資料5-1に出ているトップクラス論文数が伸び悩んでいるという結果が出てくる。博士号取得数も伸び悩んでいる。研究開発費が伸び悩むのも、国が研究費を注ごうとしても、大学数が多いという問題があるので、集中投下ができないという問題があるのではないでしょうか。病院が多いのと似たような構造的な問題で。
 ですので、文科省の方におかれては、今後、こういうグラフを作ったり、分析を行うときに、学部生と大学院生の割合がどうなっているかということを多国間比較するという観点も入れて比較していただくと、今私が述べたことを検証できるんじゃないかと思いますし、このような議論の参考になるんじゃないかと思います。
 以上でございます。
【大野分科会長】  重要な視点、ありがとうございます。大学院生といっても、修士とドクターとどのくらいなのかという視点もあるかと思いますので、そちらも文科省におかれてはぜひお考えいただければと思います。
 続きまして、大竹委員、お願いいたします。
【大竹委員】  東京科学大学、Science Tokyoの大竹と申します。今期から参加させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 短く3つだけ申し上げたいなと思っていて、1つ目は資料5-2の9ページに相当しますが、中野委員からデュアルサポートが重要だというお話があって、私もそのとおりだと思っている中で、特に科研費ですね。この資料で科研費に言及しているのは9ページでしたっけ。そこの部分で、科研費はやはり減っていないという状況でもあまり増えていないのは本当のところだと思いますので、これは1.5倍とか1.6倍とか、少なくともそれぐらいにはするのが必須だろうと思っています。ここの基盤の部分をいかに支えるかが次の日本にとって非常に重要かなと思っております。
 もう一つは、これまで大変議論があった同じ資料のP4だと思いますけれども、五十嵐委員、宇南山委員がおっしゃって、先ほど安田委員がまとめてくださったのを私もそうだなと思っておって、人文学・社会科学への期待ですよね。私は東京科学大学の人間であります。科学をどうやって社会に還元していくのかと、科学の力を還元していくのかということを考える立場にあって、特に生成AIもそうですけれども、この力を正の方向に社会に還元するためには、どうしても人文科学・社会科学の方々と一緒にやっていくことが必要だと思うんですよね。そういった中で、人文学・社会科学の先生方、研究者の方々が科学者と寄り添って、並走してやっていただく環境がこれから強まるといいなと思っているところであります。そのためにも、恐らく科研費というのは大事なんでしょうね。そう思っています。
 もう一つ、3つ目は別の文脈になりますけれども、国際化、グローバル化という観点と、あるいは昨今の国際情勢を踏まえてということになりますけれども、海外の研究者を日本に呼んで、あるいは雇用するといったときのプラットフォームが未確立だろうというところは否めません。そこは、やはり日本の学術界としては整えていくことが今後重要なのかなと思っているところでございますので、共有させていただければと思いました。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして、中村委員、お願いいたします。
【中村委員】  東北大学理学研究科の中村と申します。今期から臨時委員を拝命いたしました。よろしくお願いいたします。第1回ということで、全体的にお話を伺いまして、感じたこと、あるいはちょっと疑問に思ったことなどに関して、今日は分析と、それから対応という2つの点からコメントさせていただきたいと思います。
 1つは、まず分析のほうでございますが、先ほど永田先生からも御指摘がございましたけれども、何といっても優秀な人材が研究、アカデミアに入ってきてくれる、残ってくれることが重要でございまして、そういった点で、日本人の研究費とか待遇という面はもちろんあるんですけれど、それ以外に精神性の変化とか、あるいはメンタルな部分でどういう人が研究者を目指しているか、研究をしているかというところの国際比較というところがどれくらい分析がされているんだろうかということを少し考えました。
 例えば、最近急激に伸びている諸国の中には、研究者の社会的・相対的な地位が高くて、割といい生活ができるといいますか、そういうモチベーションでかなりの若者が研究者を目指しているようなことも、正しくないかもしれませんが、そういうことも伺います。そういった方が研究をすると、もちろん自分の好奇心は重要と思いますけれども、それ以外に、非常に注目が集まる分野、はやっている分野にばーっと研究者人口が流れる。そうすると今、いろいろ分析で出ていますようなサイエンスマップとか、統計に表れるいろんなデータの中には、そういったことによってかなり左右されるものがあるのではないかと感じております。つまり、研究者の能力とともに研究者の選択の問題ですね。それにやっぱり精神的な面、人文・社会科学的な分析が欠かせないのではないかと思っております。
 もう一つ、対応ということに関しましては、やはり今、加藤先生なども御指摘がございましたけれども、初等中等教育との連携は極めて本質的で、即効性はないのかもしれませんけれども、高等教育とはやっぱり切っても切り離せない関係にあるのではないかと感じた次第です。
 以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 続きまして、原田委員、お願いいたします。
【原田委員】  原田です。第12期からの引き続きでよろしくお願いいたします。東京大学の大気海洋研究所におります。私からは2つほど指摘、コメントさせていただきたいと思います。
 資料6の高等教育システムの再構築、社会との接続・連携強化に関して、少子化で、高校から進学してくる大学入学者が減っていく現状の中で、リカレント教育のさらなる推進という視点も重要と思います。再構築の在り方として、大学の再編・統合が検討されていくと思いますが、専門学校、あるいは専門職大学院への転換など、地域や地方のニーズに加えて、地域社会に生活している人々が興味を持ちそうな部分を強化した専門・高等教育分野と組織への再編があると良いと思います。
 大気海洋研究所でも、自然科学系と社会科学を融合させたような分野の研究室ですと、進学者の7割ぐらいが社会人という研究室もあります。従って、社会人入学のニーズはそれなりにあり、地方でも同じようなニーズが考えられますので、進学者の対象として、ぜひ社会人も視点に入れることで、我が国全体の知の総和の向上にも貢献していくと思います。
 2点目は、資料5-2で、8ページにある研究力強化に向けてのところですが、力を入れるべき先端分野とか重要研究分野は、どうしてもはやりのテーマに資金も注がれがちだなと思います。資金を注いでいただいていることは大変ありがたいことで、Kプロとかムーンショットとかたくさんあるわけですが、実は既に周回遅れのテーマになっているのではないかという気がすることもあります。テーマになる前の、成熟する前の萌芽的サイエンスをどうやって見いだして、そこに資金を投入していくかという議論も重要かなと思います。科研費に萌芽研究がありますが、それをさらに大型化、発展させたような仕組みづくりの議論なども期待します。
 それから、私自身は海洋分野ですとか気候変動、環境変動などの分野におりまして、長期的に監視していく必要がある分野です。そういう分野では、即座にビビッドな研究成果が出てくるわけではなく、特許に結びついたり、経済的な価値指標で測れる成果には結びつかない分野です。しかし、今後の社会のあり方を考えていく上では重要なテーマであり、長期的な視点が必要な分野への予算的投資も大事と考えます。投資をしていく研究分野、短期・長期のテーマをどうバランスさせていくかということも重要な議論かなと思っています。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして、仲委員、お願いいたします。
【仲委員】  仲です。遅れましてすみません。理化学研究所におります。専門分野は心理学です。12期からの続きでさせていただいているところです。
 私も3つほどあります。既に議論に出てきたところかもしれませんけれども、今、世界情勢が目まぐるしく変わっている中で、日本を見ますと、日本はその中でも安定して安心して研究が進められる、そういう国ではないかなと思います。ですので、国内はもとより、世界からますます多くの研究者の方々に参画していただいて、科学技術を発展させていけるといいなと思うところです。
 そのために3つ申したいと思うんですけれども、1つはもちろん科研費等々において、今もお話にありましたように、大型、また重点化したプロジェクトが走っていく、ということがあると思います。これはもう大変重要ということで、これを推進していくのはもちろん、というのがあると思います。これ、1つ目です。
 でも、これに参加する、あるいは進めていく研究者の研究基盤、生活基盤もますます厚くしていく必要があるだろうなと思います。前回の多くの議論の中で、研究時間が足りないとか、基盤的な経費が足りないとか、あるいはライフイベントなどで十分なサポートが得られない,というような問題も示されました。挙げれば切りがないですが、こういうサポートもあるといい、ああいうサポートもあるといい、サポートがより厚くなるといいなと思います。外国人研究者にとってみれば、言語の問題もあるわけですが、これも今、AIなどが発展しているわけですので、より容易に外国人の言語サポートもできるのかなと思うところです。
 3番目なんですけれども、ここが一番なんですが、参考資料の8の2ページ目の「文部科学省予算のポイント」に、女性研究者、若手研究者の育成、中高生からの理系進路選択支援というのがあります。2ページ目と、3ページ目の赤い枠で囲ってあるところ、この辺りです。これは本当に喫緊の課題で、ぜひぜひ推進していければと思うところです。国土審議会の人口動態の資料などを見ますと、2050年となると、2005年から比べると人口が25%減で、生産年齢の割合は4割減で、若者が半分になるということです。そうなりますと、今8割方とか7割方日本人男性が占めている科学者層は、もっともっと女性研究者とか、あるいはインターナショナルな研究者の人たちが入ってきて支えていかなくてはいけないところだと思います。小中高からの支援であるとか、若手研究者育成というところにお金を出さないといけないと思います。
 1つの考え方として、私たち、ずっとセレクション、セレクションということに慣れていると思いますけれども、むしろ、まずはみんなにやってもらって、レビューをして、また適材適所とか、いい研究をつなげていくとか、盛り立てていくとかという、そういうセレクションよりもレビューという考え方への移行もあるかなと思ったりいたします。
 人材は、さっき医療の問題がありましたけど、日本中にいっぱい大学があるわけですので、どこかだけを重点化ということではなくて、広く厚く、研究資金、経費が割り当たるといいなと思うところです。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。これで、私以外の全ての委員の皆様の御発言をお伺いしたと思います。念のために、忘れられているという方いらっしゃいませんか。ありがとうございます。私も最後に発言をさせていただいて、あとは幾つか御質問がありましたので、事務局から回答の時間を取れると思いますので、お願いしていきたいと思います。
 私は、大学の諸活動に対して様々な手当てができてきたと思います。国際卓越であったりJ-PEAKSであったり、あるいは研究者に対しては創発、そして博士課程に対してはスプリングなどです。でもそれで手当てしたから終わったんだと思うとちょっと違うなと思います。多くの方々がおっしゃっておられますし、資料にもありますけれども、日本の大学の多様性、多様な現場にいる方々が今どういう状況に置かれているかということもちゃんと視野に入れていかないといけないと思います。
 1つの例としては、例えば論文を読めない、あるいは投稿できない、費用がかかって、うちの大学では取っていないということがあります。東北大学では、JSTの支援を受けたプログラムの一環として近隣の大学の研究者に東北大学に身分を持っていただいて、やり過ぎるとこれは契約がいろいろややこしくなるんですけれども、身分を持っていただいて、東北大学のリソースを提供しています。それが直接の目的ではなかったんですけれども、そのプログラムで参加している皆さんの一番の、これはありがたいというのは、自分のところで読めない論文がそこで読める。これって切実な問題です。読むだけでもそれだけ切実なわけですが、今のように(研究成果を発信するとき)オープンアクセスにしようとすると、著者に非常に大きな負担がかかります。きちんとそれらを支援する体制を整備することによって、研究ができない、あるいは研究を始めたけれどもアウトプットが出せないというようなことがないように広く目配りをしていく必要があると思います。
 もう1点は、大学全体の組織的な動きが必要だなとつくづく思います。これは予算がないのでやってない、やれないということに落ち着きがちなんですけれども、技術職員の手当てであるとか、あるいは支援職員、先ほどどなたかがおっしゃられましたけれども、研究者に負担がかかり過ぎるということは大学の経営の問題でもあるので、経営だけでは解決はできないところもありますが、大学をどう経営していくのかと。そして、卓越した研究を大学からどうやって出していくのかというところが極めて重要になるのかなと思います。
 もう1点だけお話しさせていただくと、やはりAIあるいは生成AIというものをどのように活用していくのかということは我々の喫緊の課題だと思います。学術の規模の縮小というのは、もしかしたら自明なものではないかもしれない。人口は減る、研究者が減るということで、海外の方々に来ていただくということは努力すべきですし、皆さんが努めておられるわけですけれど、もう一つは、これはなじまないと考えられる方もいらっしゃるので、いろんなところで御意見をお伺いしたいと思いますけど、科学あるいは学術の生産性という意味で、どうやってそれを上げていくのか。そのときに、生成AIあるいはAIに関連するツールが急激に整備されていますし、AI自身が推論もできるというような、科学や科学者に取って代わるような動きすらありますので、我々としてはそこをちゃんと見据えて、全国的な整備や、あるいは支援が、必要であれば、やっていかなければいけないと考えています。
 私からは以上でございます。
 これで全て終わりましたので、質問も幾つかいただきましたので、それに対して事務局から御回答をいただいて、本日の議事を終了させていただきたいと思います。事務局、よろしくお願いいたします。
【髙見高等教育政策室長】  まず初めに、資料6の関係で大きく3つほど御質問、御意見をいただきました。資料6の2ページで石塚委員からUniv-mapについてご質問がありました。大学の情報公表については、この数年間進んできておりますけれども、現在、大学ポートレートという仕組みで、各大学の様々な情報を公表する仕組みができております。ただ、大学間で比較ができないということになっておりまして、これは比較できることによって、進路志望する方が、大学の様々な情報を基に大学の進路選択を行っていく、あるいは今後IRを生かしていく、そういった取組を進めていくということで、このUniv-mapの仕組みを今後構築していきたいと考えております。
 また、この関連で申し上げますと、小野委員から、研究と教育の連携をということですが、研究力の強化の中にあるとおり、これについても教育と研究は両輪だということで非常に大事な視点であり、引き続きしっかりと連携を図っていきたいと思っております。
 それから、安田委員からモチベーションという観点がございました。これも非常に大事な観点だと思っておりまして、これから評価の在り方も含めて、具体的な内容を検討していく予定ですが、そういった視点についてもしっかり検討の俎上に乗せていきたいと捉えております。
 規模の観点では、吉田委員から再編、連携、これについて予算、制度あるいは規制緩和をどう進めていくのか、あるいは大学の数についてということで加藤先生からも御意見をいただきましたが、これについては、これから具体化に向けて、この夏までに政策パッケージにおいて、いろんな制度の在り方、もしくは予算の在り方についてしっかり議論を深めた上で、文部科学省としてしっかり提案していきたいと思っております。
 3点目、アクセスについて、小野委員から、地域の存続というご意見をいただきました。省庁横断的にというお話もございましたけれども地域の中でしっかり議論をしていく、自治体、産業界を巻き込んでやっていく、あるいは国の機関としっかり連携を図りながら、今後の地域の在り方を高等教育機関が巻き込む形でしっかり進めていくということを考えていきたいと思っておりますし、その中で、原田委員から御指摘いただきましたリカレント、これについても非常に大事な観点だと思っております。
 文部科学省では今後、地域の高等教育の在り方ということで、またその関係の会議を設置して、具体的な議論を進めていきますけれども、今日いただいた御意見も踏まえながらしっかり検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
【大野分科会長】  お願いします。
【俵大学研究基盤整備課長】  ありがとうございます。大学研究基盤整備課の課長の俵です。4月1日に着任をしました。これからよろしくお願いします。
 先ほど先生方から資料5-2の9ページ(研究力強化に向けた文部科学省の今後の取組の方向性)についてたくさん御意見をいただいたかと思います。大学共同利用機関であったり、共同利用・共同研究拠点のことについても御意見をいただきました。これらについては、この分科会の下に研究環境基盤部会を設置いただくということになっていまして、今年度の1回目をこの金曜日から始めるというふうにしたいと考えております。その中で、資料に書いてあるような方向性を踏まえながら具体的な強化方策についてまず議論をいただいて、議論いただいた結果を受けながら、概算要求などにもつなげていきたい、そういうふうに考えています。
 また、大学共同利用機関の検証に関しても御意見をいただいたかと思います。タイミングとしては、新しい中期目標期間が令和10年から始まると思いますので、その2年前である令和8年度にその検証を具体化して取り込んでいきたいと思っていますので、また、先生方からも協力いただければと思います。よろしくお願いします。
【助川学術企画室長】  すみません、学術企画室長の助川でございます。先生方、ありがとうございました。そのほか、もろもろデータ等がないかというお話があって、それについては探してみたいと思うんですけれども、1点だけ。ほかの国の研究者、どんな違いがあるのかという御下問がありました。どんな性格の人なんですかとかそういうものまで追っかけることは難しいんですけれども、今お出ししているのが参考資料6の、前回の1月29日のときに御報告した資料の一部なんですけれども、これが、科政研、NISTEP、科学技術・学術政策研究所が世界で出されている論文、各国で出されている論文を領域別に分析してみたものでございます。細かい説明は省略させていただきますけれども、右の日本と中国を見ていただくとという感じになるんですけれども、2004年と2020年で比べたときに、ここの水色のスモールアイランド型と書いてある部分が中国は大きくて、茶色のコンチネント型と書いてある茶色の部分が日本は大きいという違いがございます。
 どう違うかというのを一言で申しますと、スモールアイランド型というのが新たな研究の芽となる可能性のある研究の領域、コンチネント型というのが領域の分野として時系列的にも安定していたり比較的分野として大きいというんですか、そういうところ、継続性があって、規模も大きい研究領域と一言で言うとなるんですけれども、例えば日本と中国を比較したときに、特に最近の傾向なんですけれども、中国のような国が新たな芽となるところに積極的に入ってきている。日本はそれと比べると、比較的安定したところの研究をやっているという違いがございます。これは当然、人の性格によるものだけでは全くないんですけれども、一応こういう、今御指摘があったことに関わるデータとしてお示しさせていただきました。
 また、今、俵から基盤部会の話がございましたけど、これまでいただいた御意見、ほかの部会とかでも関係する話もありますので、そちらの先生方ともいろいろ御相談させていただきながら検討させていただければと思います。
 簡単でございますが、以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。まだ様々な御意見があろうかと思います。その際には、ぜひ事務局にメールでお送りいただければと思います。今いただいた、そしてこれからいただく御意見を踏まえて今後の審議を進めていきたいと思います。
 それでは、時間になりましたので、本日の議題は終了させていただきます。
 最後に、事務局から連絡事項があればお願いします。
【林学術企画室室長補佐】  事務局でございます。次回の学術分科会の日程等につきましては、後日、改めて御連絡をさせていただきます。
 また、学術分科会運営規則に基づきまして、学術分科会の会議の議事録を作成し、公表することになってございます。冒頭の部分、一部非公表となりますけれども、本日の議事録案につきましては、委員の先生方に後日メールで送付させていただきますので、御確認のほう、よろしくお願いをいたします。
 以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、これで本日の分科会を終了させていただきます。皆様、御参加ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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