令和8年3月5日(火曜日)10時00分~12時00分
対面及びオンライン会議併用のハイブリッド形式にて開催
大竹部会長、鷹野委員、仲委員、宇南山委員、永田委員、中村委員、中井委員、塩見委員、華山委員、新福委員、茂呂委員、岸本委員
板倉学術研究推進課長、大鷲学術研究推進課企画室長、豆佐学術研究推進課企画室室長補佐、他関係官
【大竹部会長】
それでは、皆様、おはようございます。時間となりましたので、ただいまより第13期第4回の研究費部会を開催させていただきます。
本日は、予算の状況等について御説明いただいた後に、日本学術振興会から挑戦的研究の検討状況、事務局から学術変革領域研究の検討状況について御報告いただきたいと思っております。その後、基盤研究の役割と在り方、これはかなり基本に立ち返った議論ということになりますけれども、それらを行いたいと思っております。また、議題2の関係では質疑対応として、担当課からも出席いただいておりますので、事務局から御紹介いただきたいと思います。よろしくお願いします。
【豆佐企画室長補佐】
ありがとうございます。本日は、議題2の関係、科研費を通じた研究システム改革について、科学技術・学術政策局研究開発戦略課戦略研究推進室の神部匡毅室長に御出席いただいております。事務局からの説明後に質疑応答の時間を設けたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【大竹部会長】
よろしくお願いいたします。
まず、事務局から配付資料、それから、注意事項について御説明をいただければと思います。よろしくお願いします。
【豆佐企画室長補佐】
ありがとうございます。本日は対面とオンラインのハイブリッド形式で開催しております。事務局から配付資料の確認とオンライン会議の注意点について御説明いたします。
資料につきましては、議事次第の次のページに記載のとおりでございます。個々の資料の読み上げはいたしませんが、資料の欠落等がある場合や対面で御参加の方でタブレット端末の操作方法について御不明な点がある場合には、事務局までお申しつけください。
続きまして、オンライン会議の注意事項でございます。音声の安定のため、発言時を除き、常時ミュート(マイクOFF)にしてください。部会長、委員、オブザーバーを含め、メイン席の方は常時「ビデオをON」に、その他の方は常時「ビデオOFF」にしてください。発言される場合は、「挙手」ボタンを押してください。部会長が指名をされますので、「ミュート解除(マイクON)」にして、その都度お名前を御発言いただくとともに、オンラインでも聞き取りやすいよう、はっきりと御発言ください。資料を参照される際は、資料番号、ページ番号などを分かりやすくお示しいただくようお願いいたします。トラブルが発生した場合には電話にて事務局まで御連絡いただければと思います。
以上でございます。
【大竹部会長】
ありがとうございます。
それでは、早速ですけれども、議事に入らせていただきます。まず、令和8年度当初予算案、それから、令和7年度補正予算について事務局より御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【大鷲企画室長】
事務局から御説明させていただきます。まず、お手元の資料1でございますけれども、通し番号でいきますと右下4ページになるところでございます。令和8年度当初予算案・令和7年度補正予算についてでございますけれども、まずこちらの資料につきましては、若手新領域支援の一体改革というところでございますが、本部会におきましても、今年度前半に御議論いただきました学術変革研究種目群の強化、改善等を踏まえつつ、若手研究者を中心に既存の学問体系にとらわれないチャレンジングな研究への挑戦を後押ししていこうということ、それから、前期の部会において御議論いただきました国際の重要性、こういったものを踏まえて予算要求をさせていただいたところでございます。
その予算要求につきまして、まず令和8年度予算(案)の骨子と書かれているところでございます。科研費につきましては、2,479億円と計上しているところでございますけれども、こちら、15年ぶりの100億円超えの101億円増となっているところでございます。具体的には1ポツの若手・新領域支援の一体改革・拡充のところでございますけれども、右側の三角形の図がありますが、右下の部分、ピンク色の下のほうでございますけれども、挑戦的研究(萌芽)におきまして若手支援強化枠を設定するとともに、採択件数増ということで、1,000件の増を見込んでいるというところでございます。
そのほか、補正予算といたしまして学術変革領域研究(B)、それから、基盤研究(S)の基金化を進めているというところでございます。こちら、その他も含めまして令和7年度の補正予算額としては300億円を計上したというところでございます。基金化に関しましては、補助金種目がまだ残っているというところでございますけれども、冒頭の背景・課題の右下のほうにございますけれども、11月の閣議決定におきまして全面基金化に向けた取組を推進するということとなってございますので、文部科学省としても引き続き基金化に向けて努めていきたいと考えているものでございます。
それから、2ポツのほうでございますけれども、国際的な研究への支援強化というところでございます。こちらにつきましては、基盤研究(B)におきまして前回から、前期の部会で御議論いただき導入いたしました国際性の高い課題への重点配分を基盤研究(A)(B)(C)で行っているところでございますけれども、今回は基盤研究(B)におきまして重点配分を拡充しているというところでございます。こちら、令和7年度助成の審査におきましては、採択件数の7%程度だったものを20%程度へ拡大していこうというところでございます。
それから、2といたしまして、創発でございます。こちらにつきましても令和7年度補正予算におきまして133億円を計上しているところでございます。四角く囲ってあるところの上から3つ目のところ、小さいところではございますけれども、追加的予算を確保し、国際競争力や研究者の融合・流動性等を強化する取組を実施していこうというところも考えているものでございます。そのほか、補正といたしましては、三角形の左上のほうにある国際的な研究への支援強化、この国際関連の各種目につきまして支援件数の増を図っているというところでございます。
より具体的には次のページでございますけれども、それぞれ補正予算額300億円の内訳、それから、令和8年度予算(案)の増分の内訳を示させていただいているというところでございます。
また、次のページでございますけれども、創発的研究支援事業でございます。こちらについても補正予算を受け、引き続き行っていくというところではございますけれども、補正予算ということもございまして、令和8年度公募におきましては、令和8年3月下旬から5月中旬までを予定しているというところでございます。補正予算を受け、速やかに準備を進めているところでございまして、前回は7月に公募をしているため、御注意いただければと考えているものでございます。
そのほか、次のページには、先ほどお伝えした追加的取組に関するところでございます。こちら、創発の中で国際競争力を強化していこうということで、海外の大学、研究機関で共同研究を行う場合には、その創発研究者の旅費、滞在費を支援していこうということ。それから、2といたしまして融合及び流動性強化等による研究力強化といたしまして、例えば融合の場、創発の場から芽生える共同研究への支援費用ですとか、それから、修士、ポスドク等の研究補助人件費を支援していくということを考えているところでございますが、現在、JSTと連携し、具体的な制度設計については検討しているところというところでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
【大竹部会長】
御説明いただきまして、ありがとうございました。
これだけの増額が図られたのは久しぶりのことだと思っております。令和8年度、101億円、それから、補正では科研費で300億円、創発で133億円ということで、御関係の皆様に感謝申し上げたいと思います。御意見、御質問があろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。どうぞ、永田委員。
【永田委員】
後の議論でも出てくると思うのですけれども、基本的に創発で若手を先が見える形で支援しましょうというのは非常にいい取組だと思います。賛成です。その上で、この4ページのピラミッド、よく出てくるのですけれども、このピラミッドの一番下のところに若手を支援するという位置づけが来ているわけですよね。それが右側を主体に上っていくような絵が描いてあるように見えるのですけれども、これはそういう意図で描いてあるのでしょうか。
【大鷲企画室長】
いや、あくまでも今回は、この研究種目群にターゲットを絞った形で要求をしているということもございますので、それが分かりやすいようにということでやらせていただいています。
【永田委員】
こういうふうにステップアップしていくというわけではないということですね。
【大鷲企画室長】
はい。当然、若手研究から基盤研究へ向かう方もいらっしゃいますので、もちろんここだけではないということで御理解いただければと思います。
【永田委員】
分かりました。後々そういう議論もさせていただければと思いますので、よろしくお願いします。
【大竹部会長】
重要な御指摘ですね。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
【大竹部会長】
塩見委員、お願いします。
【塩見委員】
私も創発に関してですけれども、若い人が独立して、これから自分のラボを立ち上げていくというときに、支援が全くないですよね。700万円だけであって、そのラボの立ち上げに必要なお金というような、例えばいろいろなものを用意する。例えば、さきがけなんかだったら、ある程度そういう支援があるのですけれども、創発の場合は、結局、例えば3年でステージゲートがあって、早く独立しろとお尻を叩くんですけれども、そういう支援がないので、結局、なかなか本当の意味での独立した研究者にはなれなくて、自分のラボを持てないという。
もう一つは、もちろん修士などの学生の支援をするというのも重要ですけれども、若い人は、実際、大学院生を正式にとれない人が多いので、その辺の制度改革も必要かと思います。また、ポスドクとかにも使えるということですけれども、これはある程度別枠にしないと、ポスドク、特に海外の人をポスドクとして雇おうと思うと、700万円かかります。もっとかかるかな。だから、ポスドク人件費として、1年で全部なくなってしまう。だから、その辺の制度をもう少し、もちろんこれは133億円も今回つくというのはすばらしいことだと思うんですけれども、何かもう少し若手の人が本当に独立して、尻を叩かれて独立したけれども、はしごを外されたみたいなことにならないようにしてほしいなと思います。
【大鷲企画室長】
ありがとうございます。私の説明が不十分だったところもございまして申し訳なかったところではございますけれども、まず、先ほど御説明した追加的取組につきましては、その研究費700万のほかに追加的予算を確保し、年15億円程度を確保してございますので、先ほどのポスドク等の人件費への補助については、700万円以外の枠として支援をしていこうということが1点です。
【塩見委員】
それはすばらしいと思います。
【大鷲企画室長】
それともう一つ、これも説明していなかったので申し訳ないのですけれども、創発研究者の独立支援という意味におきましては、6ページの資料の中で研究に専念できる環境を一体的に提供していくということにおきまして、真ん中辺りのピンク色の矢印のところに記載してございますが、研究に専念できる環境確保に取り組んだ大学等に対して追加支援といたしまして、研究環境整備支援をこれまた700万とは別に大学に対して配分をさせていただいているものがございます。その資金をもって独立に必要な環境を大学において整備していただくという趣旨で配分させていただいているところでございます。
【塩見委員】
ありがとうございます。そういう支援が必要ですので、よろしくお願いします。
【大鷲企画室長】
はい。ありがとうございます。
【大竹部会長】
そうですね。若手が独立したPIになっていく道筋というのは大切ですよね。
【塩見委員】
はい。
【大竹部会長】
ありがとうございます。仲委員、お願いします。
【仲委員】
どうもありがとうございます。このように300億円も増えたことはすばらしいなと思いました。
2つ質問があるのですけれども、1つは、この増額というのは現在の物価高騰とかを考えたときに、実質的にはどれぐらいになるのかという、本当に増になっているのか、補うような形になっているのか、そこのところを知りたいというのが1つです。
それから、別件で、いわゆる科学技術関係の予算というのを少し調べてみたところ、2015年、20年、25年と見ていくと、科研費の額は変わらないのだけれども、例えばムーンショットとか、AMEDとか、JSTの戦略的な経費などはだんだん割合として増えていって、科研費の割合が5割ぐらいから4割ぐらいに、少し「自由な発想に基づく研究」というものの予算の割合が減っているような感じがしていたんです。今、この増額によって、それって巻き返して、いわゆるトップダウン型ではない、創発型の研究の経費が割合として多くなったというふうに考えてよいのかどうかというのをお聞きしたかったです。つまり、いわゆる競争的研究費の中のこの科研費の割合というのはどうなのかということを伺いたかったです。お願いします。
【大竹部会長】
ありがとうございます。2点ございますが、事務局から。
【大鷲企画室長】
ありがとうございます。まず1点目につきましては、資料5ページを御覧いただきながらでございますけれども、今回、増額したところでございますけれども、基本的には採択件数の増が多く占めているところでございまして、例えば補正予算の国際関係の種目、それから、萌芽の若手枠についても、こちらは採択件数の増ということでなっているものでございます。ただ、一番下の基盤研究(B)の重点配分の拡充、これは国際性の高い課題に対して充足率を100%に近いものにしていこうというところでございますので、こちらについては、そういう意味で、充足率の増という意味で物価高への対応にも繋がっていくものではないかと考えているものでございます。
それから、2つ目につきましては、割合的にどうかというのは、手元にデータがないものですから何とも言えないのですけれども、ただ、今般、様々高市総理からも基礎研究への投資をしっかりしていくというようなお言葉もあるとおり、基礎研究を強化していこうという動きは当然のことながらありますので、この予算もその一環というふうに捉えているものでございます。我々といたしましては、やはり基礎研究、科研費、学術研究、ここら辺をしっかりと支えていければと考えているものでございます。
【仲委員】
どうもありがとうございました。たいへん心強いです。ありがとうございます。
【大竹部会長】
ありがとうございます。
競争的研究費の中での科研費がどれぐらいかということについては、また継続的に見ていきたいと思います。ありがとうございます。
【大竹部会長】
新福委員、お願いいたします。
【新福委員】
ありがとうございます。私も予算の増ということと、また、国際的な活動に非常に使うことができる予算が増えたということで、非常にうれしく思っております。私自身は国際保健の研究をしておりますので、もろもろ該当するのですけれども、例えばJ-PEAKSで国際交流で使えるお金が出たりだとか、また、今、EXPERT-Jで海外からの研究者が来たりですとか、様々な研究費の組合せでできることがいろいろ増えたなというのが現場としての感覚です。どうもありがとうございます。
もう一つ、やはり国際的な状況におきましては、例えば私の場合、アフリカに行くような研究をしているのですけれども、先日の中東情勢におきまして、飛行機が取りにくくなったりですとか、値段が高騰したりですとか、非常にこの国際状況が不安定なことに影響を受けて、使わなければいけない資金が物すごく上下してしまうというような状況にございます。ですので、様々な設計をしていただく際に、そういった今の不安定な政治的な状況も踏まえた柔軟な制度設計をしていただければと思っております。
以上です。
【大竹部会長】
御指摘、ありがとうございます。今の状況を踏まえてということでございます。
【大鷲企画室長】
はい。ありがとうございます。科研費におきましては、これまでもそうでございますけれども、やはり研究者の方々の研究環境をいかに改善していくかというところで取り組んでいるところでございますので、引き続き社会の情勢、それから、研究者の方々の環境等々を見ながら、しっかりと対応していきたいと思います。ありがとうございます。
【大竹部会長】
御指摘、ありがとうございます。それでは、中井委員、お願いいたします。
【中井委員】
私もこの予算増、非常にうれしく思っております。先ほど永田委員からも指摘がありましたこのピラミッドなのですが、創発的研究、こちらはJSPSではなくて、JSTでやっておられる事業をこの学術変革種目群の中に入れたということは非常に良いかなと思います。私、創発のアドバイザーもしていますが、科研費というのはやはりキュリオシティ・ドリヴンで提案していきますが、その途中をフォローアップはしません。それに対して、この創発は少しさきがけ的なところもあり、しかし、研究テーマは、その創発研究者が自分で提案して、なおかつ同じような世代の横の交流もあります。この創発研究は、多分、まだ確立までは行っていなくて実験的だと思いますが、そちらに手厚く今回増額いただいたというのは非常に良いと思います。さらに、先ほどの話では、額がどれぐらいなのか分からないですけれども、プラスアルファの大学への補助もあるというのは非常に方向性としては非常に良いかと思いました。感想です。
以上です。
【大竹部会長】
ありがとうございます。御説明にもありましたけれども、これからも継続的に、かつ有効な増額が図れるように部会としても努力していければと思います。
それでは、次の議論に移らせていただきます。科研費を通じた研究システム改革、これについて、まず資料に基づいて事務局より御説明をいただければと存じます。
【大鷲企画室長】
事務局から御説明させていただければと思います。資料といたしましては、右下9ページからになるところでございます。こちら、資料を用意しているところでございますけれども、科研費の重要性、それから、科研費の期待ということがますます高まっていく中におきまして、科研費として今後どう進めていくかということを簡単に整理しているものというものでございますけれども、科研費そのものにつきましては、若手研究者の活躍機会の拡大、それから、研究の国際性の推進といった、これまでも本部会でも御議論いただいた内容も踏まえつつ、しっかりと対応していく。
それから、資金配分の硬直性の打破というところの1つといたしまして、学際性の高い研究にもしっかり対応できるように、学際研究の発展に資する審査の導入というものも検討していきたいと考えているものでございます。こちらは前回の本部会におきましても、学術変革領域研究(B)を想定しているという話をさせていただいたところでございますけれども、現在、審査部会でも検討を開始したという状況でございます。さらに、今後はより一層、他事業と連携し、新たな時代の要請に対応した研究システム全体での改革を進めていく必要があろうということでございます。こちら、今後の取組といたしまして、AI for Scienceでございますけれども、審査や研究にAIの活用を推進していく、審査におきましては、より効率化も図られるでしょうし、研究においては、よりスピードアップにも繋げていけるというところでございます。
また、先端研究基盤刷新事業(EPOCH)との連携でございますけれども、設備、機器の共用化を推進することで、共用できるところは共用いたしまして、設備費以外の経費にもしっかり活用できるようにしていければと考えているものでございます。それから、組織を超えた連携といたしまして、JSTなどFA間の相乗効果を発揮できるように、また、経済界との関係強化を進めていくというものでございます。具体的な連携につきましては、現在、各方面と連携して検討を進めているという状況でございますけれども、我が国最大規模の多様な質の高い研究を支援するこの科研費におきまして、他事業との連携・接続を強化し、研究システム全体の改革を進めていこうというものでございます。
そして、次のページには、その現時点での検討状況というところでございますけれども、まず、資金配分の硬直性の打破につきましては、学際性の高い研究に配慮した審査体制の構築等々を行っていくというところでございますけれども、1つはJSPS(日本学術振興会)でまさに御議論していただいている審査システム改革2028での審査区分の見直しということも挙げられるであろうということ。それから、3つ目のポツでございますけれども、現在審査部会において、学術変革領域研究(B)の新たな審査方法の検討をしているというところでございますけれども、例えば応募領域ごとに、応募受付後に審査員を配置する審査区分を設定するといったことも検討しているという状況でございます。
それから、AI for Scienceにつきましては、まずはやはり審査負担を軽減できるようにということを考えているところでございまして、2つ目のポツの下線のところではございますけれども、機微な情報を扱うものですから、情報流出等に対応した、しっかりとしたセキュリティーを確保した上で、信頼性と公平性、公正性を担保した生成AIを導入していくことは必要であろうと考えてございますので、有識者との議論を開始して、現在、試行に向けた検討を進めているという状況でございます。そして、組織を超えた連携につきましては、先ほどFA間の相乗効果という話もさせていただきましたけれども、2つ目のポツのところで、科研費と戦略事業との連携を現在検討を進めているというところでございます。その際には、それぞれの目的・役割を果たしつつ、互いの強みを伸ばすための連携を強化していこうというところでございます。
具体的には次のページから示させていただいているところでございますけれども、まず科研費につきましては、やはり自由な発想に基づく研究を支援し、全分野にわたり質の高い研究を支援していくということで、しっかりと多様性を確保する。こちらについては3つ目のポツでありますとおり、約8万件の研究課題を平均配分額としては年間250万とございますとおり、1件当たりの規模は小さいながらも、しっかりと多様性を確保していくということで取り組ませていただいているものでございます。一方で、右側の戦略的創造研究推進事業でございますけれども、こちらにつきましては国が戦略目標を設定し、基礎研究と政策課題の橋渡しを担うものといたしまして、重要な事業として展開をしていただいているというところでございます。3つ目のポツにございますけれども、規模といたしましては、約1,600件の研究課題を年1,000万円から5,000万円程度の研究課題を中心に支援をしているという状況となっているものでございます。
このように両事業の目的・役割を明確にしつつ、現在、予測困難な社会におきまして不確実性が高まっている状況の中、社会変革の種となり得る多様な研究を支える科研費、それと社会変革を先導する戦略、こちらについてそれぞれの目的・役割を果たしつつ、お互いの強みを伸ばすための連携を強化していくことが重要であろうと。そういう認識の下、次のページにおきまして、現在、考えている検討中というものでございますので、案という形で示させていただいているものでございます。どういった連携をしていくかというところでございますけれども、まず連携の1でございます。こちら、科研費におきましては、先ほどからお話ししているとおり、質の高い多様な研究を推進していくということで、我が国の強みとしての位置づけになってくる。そういった科研費を中心に最先端研究の動向を的確に捉え、成長、課題解決に資する新技術シーズ創出を効果的に推進していこうということで、戦略事業のほうでは、その科研費を中心にしっかりと動向を捉えていき、戦略目標の検討に資するものにしていこうというところでございます。
それから、連携2、3については、若手を中心としたところでございますけれども、今回、挑戦的研究に若手枠を設定し、支援を拡大していくというところでございますが、そういう自由な発想で生まれた芽を社会課題解決やイノベーションに繋げていこうということで、右側、矢印が行っていますとおり、さらなる活躍の場として戦略事業の若手支援を拡大していくということも考えられるであろう。それから、若手の方々はなかなか独自でネットワークを広げにくいというお話も聞きますので、ネットワーク構築の場を設定し、そこで若手の方々に自由に御議論もいただきながら、新たなアイディアの創出に繋げるということ、それから、右側にありますとおり、分野融合のようなチームの形成というものも期待できるのではないかということで考えているものでございます。
最後に連携4といたしましては、これまで両事業とも制度改善に努めてきているところでございますけれども、負担軽減等で連携できるところは連携しながら、しっかりと一層の推進を図っていこうということで現在考えているというものでございます。こちらはどんどんこれからブラッシュアップしていきたいというところでございますので、ぜひコメント、御指摘等いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
【大竹部会長】
御説明いただきまして、ありがとうございました。
科研費、戦略事業の連携について、検討状況をお知らせいただいたというところでございます。ネットワーク構築の場とありますけれども、これは面白い取組ですよね。今日は戦略研究推進室の神部室長にお越しいただいているので、もし追加があれば。
【神部戦略研究推進室長】
ありがとうございます。戦略研究推進室長の神部と申します。よろしくお願いいたします。
少し戦略事業の観点から補足をさせていただきます。例えばこの連携の2、3という若手支援というのが、1つ大きなポイントになるかなと思っております。今回、科研費におきましては、増額を実現されまして、今後の若手の発展というものが非常に期待されるところと理解しております。そこでしっかり培われた日本としての基盤、苗床をしっかりと戦略事業としましては、社会課題解決やイノベーションに繋げる新技術シーズ創出に繋げていく、そういったことがやはり役割だと思っておりますので、そこもしっかりと若手がさらなる活躍ができるようにというところで、戦略事業もしっかりと若手の支援を強くしていきたいと思っております。
また、ネットワークにつきましては、戦略事業の中で来年度よりさきがけの研究者がさらにほかの研究者とチームを組んで、CRESTのチーム型に発展させる、そういった研究支援を新しく制度としてつくりました。実際にさきがけの研究者が科研費の研究者とチームを組んで、CRESTに昇格しているという事例が今出てきております。こういった事例をさらに我々としても増やしていきたいと思っておりまして、今、その個人の研究者のネットワークで、そういった発展をしていただいているところでございますが、こういったネットワークの場をさらにつくることによって、より効果的にそういった発展を促すことができるのではないかということを期待しているところでございます。
以上でございます。
【大竹部会長】
ありがとうございます。先ほど塩見委員から御指摘があった若手を継続的に支援するという観点では、実際にそういった取組も行われつつあるということかと思っております。これは情報共有というところでもございますが、御意見、あるいは御質問があればいただきたいと思います。
塩見委員、お願いします。
【塩見委員】
今の話の延長になるかと思いますけれども、若手の人たちのネットワークをつくっていくためには、やはり若手だけではなくて中堅からシニアの方とうまく混ざるというのが重要かなと思います。先ほどさきがけ研究者からCREST研究者になった例があるというような話がありましたけれども、そういう組織をつくるためにも、やはりある程度、中堅からシニアの人と手を組む、手を繋ぐ必要があるので、例えばCRESTとさきがけは、多くの場合別々の組織になっていますけれども、1つの分野でCRESTとさきがけが混じり合うみたいな、それでいろいろな人が、シニアの人も若手から刺激を受けるだろうし、若手の人も研究のやり方をシニアの方からトレーニングされるのではないかなと思いますので、若手だけを混ぜるのではなくて、うまくいろいろな階層の人たちが混じり合うようなやり方を考えていただければと思います。
【神部戦略研究推進室長】
ありがとうございます。御指摘、大変ありがとうございます。我々もこのネットワークの場、どういうふうに構築していくかは、まさに今検討を進めているところでございまして、おっしゃられたような若手にとって、若手同士の繋がりも重要なのですが、さらにやっぱりシニアの方々から受ける刺激だったり、経験を繋いでいく、そういった中でまた視野が広がっていくということも当然あると思っております。その際、おっしゃられたように、CRESTとさきがけの垣根みたいなものも、ある意味うまく飛び越えて、そこの共通するような人材がちゃんと繋がっていけるような、ぜひそういう仕掛けを考えていきたいと思います。ありがとうございます。
【大竹部会長】
ありがとうございます。岸本委員、お願いします。
【岸本委員】
岸本です。先ほどのお話の引き続きになってしまうかもしれませんけれども、このネットワーク構築の場というのは、やっぱり非常に大切で、先ほどは学術領域における若手とシニアの方の融合みたいなところのお話がありました。ぜひそういうところにも、産業界の意見というか、交わる場も加えていただくと、さらに活性化するのではないかなと思うことがあります。
この後の議論にもあるとのことですが、少なくとも私の周りでは、基盤はすごく大切だよねという声が大きく、0→1の部分を議論される。本当に基礎のところを議論されることも重要なのですけれども、例えばそこに産業界が入って、1→10とまでは言わないですけれども、1~2の例えば将来のビジネスの仮説だとか、あるいは簡単なビジネスモデルみたいなものを一緒に考えていく中で、将来の発展性だとか、若手の方のモチベーション、自分たちの研究がどう生かしていけるのかということを一緒に考えていけるような場になると、すごく活性化するのではないかなと思ったので、ぜひそういう場も御検討いただければと思います。
【神部戦略研究推進室長】
ありがとうございます。さきがけ、CRESTの立場からコメントさせていただきますと、我々としては、社会課題とか経済界のニーズみたいなものも踏まえながら、その領域をつくっていくということは非常に大事だと思っておりまして、そういった情報も、こういった構築の場で踏まえることができると、さらにそれをアイディアとして膨らませていただければ、またそのCRESTとか、さきがけとかの提案にも繋がっていくということにも考えられますので、貴重なコメントをいただきまして、大変ありがとうございます。
【岸本委員】
ぜひよろしくお願いします。
【大竹部会長】
シニア、産業界、視点の多様性が重要だという貴重な御指摘だと思います。鷹野委員、お願いいたします。
【鷹野委員】
資料12ページ目の連携2と3のところで、若手研究者への支援を今後さらに強くしていくということで、大変心強く思っているところです。それで、本日の資料には特に出ていないのですけれども、若手研究者というキーワードで言えば、子育て中の研究者ということが関係すると思っております。
子育て中の研究者に対して、男女を問わず支援が強化されているということも承知しているところなのですけれども、その辺りの成果など、本日の主題ではないかもしれませんけれども、もし可能なら御紹介いただきたいです。
子育て中の研究者の支援ということが大事だということの意図として、私としては主に2つあると思っています。1つは高校生や中学生、大学生も含めてかもしれませんが、研究者を目指す人たちを増やすという意味で、家庭も、仕事・研究も両方大事にできる、そういう環境が整っているということを若い人たちに知らせるということが非常に重要だと思っているということがあります。
それからもう一つは、ちょっと大きな課題で、簡単には解決できないことですけれども、少子化問題、そういったものにも関係する重要な課題かなと思っているものですから、発言させていただきました。よろしくお願いいたします。
【大竹部会長】
ありがとうございます。いかがでしょうか。
【神部戦略研究推進室長】
ありがとうございます。今御指摘いただきましたライフイベントにちゃんと寄り添って研究を支援していくということは、非常に重要な観点だと思っております。実際のさきがけなどの事業でも、そういうライフイベントに対応した取組などはしているのですが、すみません、手元に今まとまったものがございませんので、またそういうのをしっかりと発信させていただくということもやっていきたいと思っておりますし、あと、もっとこういうのが欲しいとか、ああいうことがやっぱり支援として必要だよねとか、そういった声もしっかり引き上げていくことは大事だと思っておりますので、この今、ネットワークの場というのは、まさに研究のための場ではありますが、そういった若手の方が集まる中で、その分野や、そういった研究の中身だけに閉じないような、そういったニーズももし引き上げられれば、また有効になるのかなとも今御意見をいただきまして思ったところでございます。
【鷹野委員】
ありがとうございます。実際に頑張っていらっしゃる、若手の男性も女性も頑張っている方を大勢知っていますけれども、ますます盛んになるように願っております。よろしくお願いいたします。
【大竹部会長】
板倉課長からお願いします。
【板倉学術研究推進課長】
鷹野先生の今の御質問について、科研費そのものではないですけれども、特別研究員のDCで、今、フレンドシップミーティングというのをJSPSのほうで主催していますけれども、私が出席させていただいたときに、まさにワークライフバランスをテーマにしたような、先輩研究者が、若い研究者の方々にどういうふうにワークライフバランスを実現していくか、子育てをしながら研究を続けていくといったテーマの講演というのがあって、若手の方がモデルケースを学んでいるような例もございましたので、そういったものもこういった中に入れていくということも1つあるのかなと思いました。ぜひともいろいろ考えていきたいと思います。
【鷹野委員】
どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
【大鷲企画室長】
鷹野先生の御指摘に対しまして、科研費におきまして具体的にというよりも、研究活動スタート支援、こちらはこれまでも産前産後休暇や育児休業の期間を考慮した応募要件の設定等を行ってきましたけれども、令和6年度公募からは未就学児の養育期間も含めて配慮していこうということで取り組ませていただいているものでございます。科研費におきましても、御指摘を踏まえ、引き続き改善に向けて検討してまいりたいと思います。よろしくお願いします。
【鷹野委員】
はい。ありがとうございます。
【大竹部会長】
現在、仲委員、華山委員、中村委員から挙手いただいておりますので、そのお三方から今の順番でコメントをいただければと思います。まず、仲委員、お願いいたします。
【仲委員】
ありがとうございます。またここもありがたいお話だったなと思います。特に科研費は8万件ぐらいあって、平均250万円ぐらいだけれども、そのうちの2%ぐらいの1,600件ぐらいをこの戦略的な研究費で支援していくという考えは、アイランド型と、もう少し大きいコンチネンタル型を繋ぐシステムとして大変よいと思いました。私自身は社会科学といいますか、心理学、人文・社会科学なのですけれども、科研費の中で言うと、1割ぐらいが人文・社会科学に割り当てられている感じかなと思います。
一方で、戦略的な大きな経費となると、その割合はもう少し減ってしまうということもあったりします。戦略というと、すぐに思いつくのは量子やAI、宇宙、創薬、そういうがっつりした自然科学系ということになると思うのですけれども、今、鷹野委員のお話にもあったような高齢化や少子化、あるいは虐待、貧困、いじめの問題など、人間社会の問題とAIや、ロボティクスを繋ぐような形で解決できていく課題も多いと思いますので、ぜひその戦略型のほうにも人文・社会系の研究が入っていけるような、そういう枠組みとか、選考のシステムにしていただくと、ますますありがたいなと思いました。
以上です。
【神部戦略研究推進室長】
ありがとうございます。おっしゃられた御指摘、重々重要な点かと思っております。例えば昨年、戦略目標でつくりましたAIエージェントに関する研究開発の領域がございますが、そのAIエージェントというものが社会に浸透していく中で、倫理的な問題、社会システムとしての問題なども含むところでございまして、そういった領域におきましては、人文系の方とも連携するような形で御提案いただくことを期待している領域となっております。ただ、まだあまりそういうのが見えにくいとか、そういった課題はあると思いますので、しっかりとそういった重要性を認識して進めていきたいとは思っております。
以上でございます。
【仲委員】
よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【大竹部会長】
ありがとうございます。華山委員、お願いいたします。
【華山委員】
先ほどの塩見委員からのコメントについて追加で私からもコメントさせていただきたいと思います。CRESTとさきがけの間の垣根を低くし、シニアの研究者と若手研究者の交流を進めるのは、非常に重要だと私も感じております。私が昨年度まで参加させていただいた「細胞外微粒子」の領域におきましては、さきがけの修了者がCRESTの領域に編入するというシステム、すなわち2年間、CRESTの分担者として一緒に共同研究ができるというシステムが導入されておりました。これは非常によいシステムだと感じましたので、ぜひほかの領域におきましても広げていただければと思います。
また、将来的には、例えば創発などからも、同じJSTの事業ですので、若手がどんどんCREST研究者のところに入ってチームを組んでいく。シニアの先生からいろいろなアドバイスやネットワークを与えてもらえるようなシステムというのがJST全体でできればよいのではないかなと思います。
あと1点ですけれども、CRESTはトップダウンで本当に多額の支援があって、すばらしい事業だと思っているのですが、やはりトップダウンということで、領域の選定がかなり偏るといいますか、たとえば「細胞外微粒子」が終わった後に、次に出せるところがないといった形になって、せっかくいろいろな芽が出たのに継続性が担保できないといったこともあるかと思います。
研究者の中には、CREST領域に応じていろいろと自分の領域を変えて、どんどんCRESTを取っていくという研究者も散見されますが、こういった支援を継続していくことは重要だと思います。若手の方に引き継いでもらってもいいと思うのですけれども、やはりせっかく出た芽をより大きく花開かせるようなシステム設計もぜひ御検討いただければと思います。
以上です。
【大竹部会長】
ありがとうございます。
【神部戦略研究推進室長】
ありがとうございます。先ほど最初に指摘いただいたのは、さきがけ融合研究加速支援という新しい制度を令和8年度から設けておりまして、さきがけの研究者がCRESTに編入するといったことをやらせていただいております。そちらについては、全ての領域に対して門戸を広げているものですが、まだあまり予算的にも規模が大きくないものでございまして、限定的にはなっているところでございますが、今後もしっかりとそういったところも強化できればとは思っているところでございます。
あと、領域につきましては、なかなか難しいところもあって、御指摘の点、重々承知しております。そういった点を踏まえて、できる限り領域を大きくしていく、あまり小さくなり過ぎないようにする、そういった工夫はしながらしているところ、あと、その終わった領域について、さらにこれを発展させていくような領域の継続性みたいなことも踏まえながら、目標は策定しているところでございますが、さらに改善できるところを引き続き考えていきたいと思っております。
以上でございます。
【大竹部会長】
御指摘、ありがとうございました。それでは、中村委員、お願いいたします。
【中村委員】
ありがとうございます。科研費の研究者と、それから、JST事業の研究者で交流を持ってネットワーク構築をつくるというのは大変すばらしいことですし、そこに企業の方なども入っていただいて、多角的に検討しているというのは大変結構なことだと思います。その際に1点、具体的な、例えば分野融合研究であるとか、新たなアイディアとかいうステップに行く前に、1つ、恐らく意識をしておいたほうがいいことは、例えば大学の学生の教育も含めた研究テーマを考えるときと、それから、企業ベースでの研究では身についている時間サイクルといいますか、タイムスケールが、業績が出るまでの時間というのはかなり違うと思っています。
例えば4年生で学生を受け入れて、その人が学位を取るまでに6年かかるわけですね。だから、我々は6年先以降にこれから伸びていくような、先をにらんだ将来的な研究テーマの出し方をする。それに対して企業の方とお話をすると、業績は四半期ベース、それから、投資をして、それを回収できるかどうか見極めるのに、どんなに長く待てても3年という話を伺いました。これは決定的な違いがあるので、ここの部分、このネットワーク構築に関して、具体的な事業設計をしていただくときには、ぜひその1つ手前の、そこの違いを認識していただくところが大変プラスだと思いますので、その手前のステップをぜひ認識して設計していただければと思います。よろしくお願いします。
【大竹部会長】
タイムスケールの違い。これは岸本委員から一言あったほうがいいかもしれませんね。
【岸本委員】
重要な御指摘、ありがとうございます。やはりニーズがあるものというのは、そういう3年サイクルだったりするのですが、これからは将来の研究というか、我々も産業の種を探すという意味では、いち早くそういうところから情報が取れると、例えば6年待てます、いやいや、10年待てますよということで、より早く情報を取って一緒にやらせていただくということが将来に繋がるところもあるのかなと思いますので、いろいろな視点で考えていくことが重要かなと思っていますので、引き続きよろしくお願いします。
【大竹部会長】
ありがとうございます。重要な御議論だと思いますし、科研費の重要性というところにも繋がる話かなと受け止めました。ありがとうございました。
それでは、時間の関係もありまして次に移らせていただきます。3つ目の議題ということで、我が国における新興・分野融合的研究の振興についてということで準備しております。日本学術振興会の学術システム研究センター科研費ワーキンググループの木須隆暢主査から御説明をいただきたいと思います。木須様、よろしくお願いいたします。
【木須科研費WG主査】
ありがとうございます。学術システム研究センターの木須でございます。
それでは、今、御紹介いただきました我が国における新興・分野融合的研究の振興についてということで、研究費部会よりJSPSのほうに検討依頼事項としていただいております。具体的に言いますと4件ございますけれども、その検討状況の報告をさせていただきます。検討事項としましては、今のスライドに出ておりますように、まず挑戦的研究(萌芽)から開拓への接続を強化する具体的な方策というものです。2番目が基盤研究等との重複応募・受給の設定範囲を考える。3番目が挑戦性の考え方、あるいは観点の例を挙げる。4番目が複数区分の選択可とした場合の審査方式等について検討を行うということで、学術システム研究センターの中では、科研費ワーキンググループと科研費改革推進タスクフォース、この2つの委員会がございますけれども、その中で検討を行ってきております。前回の第3回研究費部会、11月11日に進捗状況の中間報告ということで報告をさせていただいておりました。そのときに御意見をいただいておりますので、それを持ち帰って再度検討して、本日、結果を御報告させていただくというものでございます。
それでは、まず次のスライドをお願いいたします。先ほど4つの項目の1番目になりますが、これが挑戦的研究(萌芽)から開拓への接続を強化する具体的方策ということで、具体的には2つの方策を令和9年度公募より導入するということを考えております。1つ目は、研究期間が3年で採択された萌芽の課題について、最終年度前年度に開拓に新たに応募することができる制度。2つ目が、過去に萌芽で得られた成果を開拓でさらに発展させる場合に、そういったものを具体的に研究計画調書へ明記させるような形でステップアップできるようにするというものでございます。
具体的な調書の改訂箇所は、次のスライドの赤字の部分ということになっております。その2ポツの赤字のところが過去に採択されたものが、どういうふうに発展していくのかというのを記述できる様式の部分です。5番目のところが、最終年度前年度申請を行う場合の記載の修正ということになっております。こういった変更を行うに当たりまして、萌芽から開拓への発展、飛躍的な展開を図る部分について、評価をする必要が出てまいりますので、開拓の評価基準に発展性を追加するということと、審査でも萌芽で既に実施しているため、挑戦性がなくなっているのではないかというような取り違いが起こらないように審査委員にも説明を行っていく予定でございます。
また、開拓の評価基準の改正を周知することで、応募者にも萌芽から開拓へステップアップできるといったことを、浸透を図っていく予定でございます。また、前回の研究費部会で、萌芽の応募をする段階で成果が出たら開拓へ挑戦する意向というものをあらかじめ書かせてはどうかという御意見もいただいておりました。ただ、やはり萌芽の場合はかなりチャレンジングということがありまして、申請の段階ではまだなかなかアウトカムで見通せないものも多いのではないかということで、成果が出たものを開拓に応募するときに、そういった成果を記載するほうがいいのではないかということを思慮した次第でございます。それが1番目の検討になります。
次のスライド、お願いいたします。これは審査負担も考慮した基盤研究等との重複応募・受給の範囲設定ということになります。これは若手研究者の挑戦を促すため、萌芽と基盤(C)、これの重複制限を緩和し、令和9年度公募より重複応募・受給を可能にしようとするものでございます。その若手については、どこまで緩和するかということですけれども、これは応募件数、また、審査負担を考慮して採択年度の4月1日の段階で40歳未満、すなわち39歳以下というものを考えております。具体的にはスライドにある重複制限表のところになりますけれども、萌芽の39歳以下のところに欄を新たに設けて、基盤(C)と新規応募を両方兼ねられる。また、継続課題を持っている方も応募できるという形で周知をしていこうとするものであります。
この39歳という数字なのですけれども、例えば現状でいきますと、基盤(C)は全体で4万5,000件ぐらい応募があって、最大なのですけれども、その中の40歳未満の応募というものを見ますと、大体6,000件ぐらいになります。これは具体的には補足資料、スライドが次の次のページに入れてあるかと思いますけれども、現在の応募状況のヒストグラムですね。これを見ますと、大体、40歳未満が基盤(C)だと6,000件ぐらい出ております。それに対して挑戦的(萌芽)は全体で9,000件ぐらいということで、基盤の大体5分の1ぐらいなのですけれども、その中の40歳未満の方が900件ぐらいということですので、こういった状況を鑑みて40歳未満という形を、一応、線引きをしております。
先ほどの基盤(C)は、応募が6,000件なのですが、実は既に採択になっているものが、大体採択率が30%ちょっと超えたぐらいですので、毎年度2,000件ぐらい出ています。3年ぐらいの課題をやっている方が大体総数で6,000件ぐらいになってきますので、もしこういう緩和をして最大数、応募が両方とも出てくると、萌芽研究のほうには、あと1万2,000件ぐらいアドオンされるということで、全体で2万1,000件ぐらいということを想定しております。それでも審査ができるというのを考慮して、この数字というものを定めている次第です。ただ、実際には最大、その数字までは恐らく行かずに、例えば既に課題を持たれている、基盤(C)をやられている方が出してくるということになると、大体6,000件ぐらいプラスになるということですので、もう少し実際の審査はやれるのではないかなということです。
もう一つが、では、それだけ増えて採択率がどうかということもあるかと思いますけれども、それは若手の支援枠というのが新しく走り始めますので、そういう意味では大きく下がる。採択率も下がることはないのではないかなということで、その両方を考えて今の39歳以下という形で走り始めようということでございます。
また、もう1点、前回の委員会で御意見いただいておりました両方出せるようにしたときに、重複応募する場合には研究計画調書のエフォート、それを記載させるべきということが御指摘いただきましたので、今のスライドの下の赤囲みにありますように、エフォートを一緒に記載していただくということで周知をするということにしております。最初、そういった形で走り始めて、応募件数増大や審査委員の負担軽減等考慮しつつ、段階的に年齢制限を引き上げていくといったことも引き続き検討していきます。
では、次のスライド。これが3つ目の検討事項ということで、これまでの審査の蓄積を踏まえた挑戦性の考え方や観点の例ということで、挑戦的研究の根幹である挑戦性について、公募要領にある定義を応募者、審査委員に十分理解してもらうため、これまでの議論を踏まえて挑戦性を有する研究の例として複数の観点を令和9年度の公募要領より記載いたします。挑戦性については、実は公募要領には既に記載がしっかりございまして、具体的には斬新な発想に基づき、これまでの学術の体系や方向を大きく変革・転換させることを志向し、飛躍的に発展する潜在性を有する1人または複数の研究者で組織する研究計画。なお、萌芽については、探索性の強い、あるいは芽生え期の研究計画といったものが記載されております。
ただ、これももう少し若手の人も分かりやすいようにということで、具体的な内容として、そこの資料の四角囲みのところです。こういった観点を記載しようというものであります。斬新な発想に基づき、人々の好奇心をかき立てるような研究。新しい原理や学理の発見に繋がる可能性を有する研究。学術の概念や体系の見直しに繋がる可能性を有する研究。大きな発想の転換や斬新な方法論等の導入に繋がる可能性を有する研究。最後が既存の学問分野の枠に収まらない新興・融合領域の創成に繋がる可能性を有する研究といったことで、これは前回も同様の部分を出させていただいたのですけれども、そのときに文章のブラッシュアップをすべきということで御指摘いただきましたので、そういった点を反映させていただいております。
例えば「学理の発見を切り拓く可能性」としていたものを「学理の発見に繋がる可能性を有する」ですとか、「体系の見直しを切り拓く」としていたものを今回は「体系の見直しに繋がる可能性を有する」といった形に修正をしております。また、審査委員のほうにも、実はこの挑戦性については評価項目という形で示されております。その中では学術の方向を大きく変革・転換させる潜在性を有するものかということで評価しようとか、あるいは幅広い分野での社会的インパクト、貢献の可能性といったことが挙げられております。そういったものを学術システム研究センター内で議論しまして、もう少し具体的に落とし込んだ形として、今回、その文章としては斬新な方法論ですとか、あるいは新興・融合領域といった形で学際性といったものが分かるようにということで、文章にしている次第でございます。
また、前回の御意見の中で、若手の研究者の応募を促すためには、例えば実績が重視されない点、あるいは即座に成果が得られなくてもよいといった点なども示してはどうかということがございました。ただ、これは公募要領になかなか記載が難しいというような側面もあるかと思いますので、そういったものをFAQに掲載するというような形で検討しております。以上の形でぜひ若手にもチャレンジしていただくような形で挑戦性を具体的にイメージしていただきたいということを考えているというものでございます。
では、次のスライドをお願いいたします。これが2段階書面審査を前提とした複数区分を選択可とした場合の審査方法。これは若手研究にも適用することを検討しているものでございます。挑戦的研究と若手研究への応募に複数区分を選択する制度の導入については、この効果、また、審査負担等を考慮しながら引き続き検討を進めていきます。なお、複数区分選択する場合の審査方法を検討していくに当たり、特に挑戦的研究(開拓)は今度、2段階書面審査方式を導入いたしますので、審査委員の負担軽減と併せて萌芽と同時に開拓についても令和9年度公募より2段階書面審査方式に変更いたします。
その際、以下についても見直しを行っています。1つ目が審査意見についてです。審査意見は、やはり審査委員の負担の原因の1つになっておりますので、評価に至ったポイントを具体的に記入することが前提なのですけれども、審査委員の負担軽減のため、例えば総合評点1といったような応募課題については、不十分であると評価した点を選択肢の中から選択できるようにいたします。これは複数項目があって、その中から複数も選択できるといった形です。ただし、必要に応じて短所と判断した理由について審査意見も記入できるという形です。また、合議の審査、これまでやっておりました合議の場合には、小委員会に属する審査委員の専門分野がお互い分かった上で議論が行えていたわけですけれども、2段階書面審査を導入した場合も、応募課題と専門が近い審査委員の意見かどうか分かるように、2段階目の書面審査の際に、他の審査委員の専門分野、これが審査システムに表示されるような形にいたします。
なお、評点分布については、真に挑戦的な課題を選定するために、毎年度の審査結果データの分析を行いながら、特にボーダー付近に集中しないような形にできるように、引き続き検討していく予定です。
最後に、これまでの合議の際に行っていました挑戦性の考え方に関する議論については、今度、2段階書面審査方式を導入する際には、しばらくの間、審査委員説明会の場などを使って同様に議論できる機会を設けることができないかについても検討しております。
以上が4件の検討状況ということで、挑戦的研究に関わるこれらの見直しについて御承認いただきましたら、令和9年度公募から導入に向けて、公募要領の改正やシステムの改修等を進めていきます。また、引き続き検討が必要な事項については、データ等を分析しながら学術システム研究センターにおいて検討を進めていく予定でございます。
以上となります。よろしく御審議のほどお願いいたします。
【大竹部会長】
木須様、御説明いただきまして、ありがとうございました。
今お話がありましたとおり、4点、具体的にはP15の萌芽から開拓への接続の強化について、調書への記載内容という点です。2つ目が萌芽と基盤(C)の重複、これはP17ということになります。39歳以下というところが1つキーですね。3つ目が、挑戦性の考え方、それから、観点、ここで随分議論させていただきました内容です。4つ目が2段階審査、これはP21ということになります。この4つについては、できれば今日方針を決定して前に進めたいと思っているところでございますので、御議論をぜひよろしくお願いしたいと思います。
【大鷲企画室長】
事務局から、引き続きまして、資料4のほうで、学術変革領域研究(B)への接続強化、こちらについても用意をさせていただいてございます。学変(B)につきましては、文部科学省で担当してございますので、文部科学省において検討させていただいたところでございますけれども、次のページでございます。背景にございますけれども、本部会におきまして、やはり学術変革研究種目群の中における接続強化を考えていくに当たりまして、学変(B)において挑戦的研究や創発からの発展性を審査の観点へ追加することにより接続を強化することが考えられるということで方向性をお示しいただいたところでございます。
それを踏まえまして、審査部会におきまして検討を進め、方向性といたしましては、従前より学術変革領域研究(A)につきましては、学変(B)からの発展を期待していたところでございますので、審査の中でも過去に採択された研究領域をさらに発展させる提案というものも対象にしていたというところで、今回の接続強化についてもこれと同様の取扱いをしてはどうかということで検討が進められていたものでございます。
次のページにつきましては、イメージとして用意させていただいているところでございますので省略いたしますけれども、その次のページ、その審査部会におきまして御議論していただいた内容といたしまして、公募要領への記載内容でございます。こちら、これまではその対象といたしまして、1)から3)の全ての要件を満たすものとなったものに加え、該当する場合には4)、こちらを加えるということで整理をさせていただいているところでございます。この内容については、同趣旨のものをやはり調書、それから、評価規程にも追加させていただくことで現在手続も進めているというものでございます。こちらも先ほど日本学術振興会のほうから御報告がありましたとおり、令和9年度公募から導入する予定となっているものでございます。こちらは既に審査部会において御議論決定済みということですので、報告というところでございます。よろしくお願いいたします。
【大竹部会長】
御説明、ありがとうございました。
この学変(B)についても併せて一緒に議論するということでございます。先ほどの4点に加えて学変(B)についても御議論いただきたいということで、よろしくお願いできればと思います。申し上げたように、最初の4点については、今日、前に進めたいということでございます。
それでは、華山委員お願いいたします。
【華山委員】
ありがとうございます。私からは若手に限る基盤研究(C)と挑戦的(萌芽)の重複申請が可能という件について御質問させていただきます。今、基盤研究(C)は充足率を考えれば、大体350万円ぐらいが平均だと思うのですが、萌芽の場合は500万円で充足率が100%です。それで、若手の人たちがエフォートを一番割いている重要な課題は、通常基盤研究(C)でやっていて、そちらの金額のほうが低く出てしまう、金額ベースで言うと逆転してしまうという現象が生じるのではないかなと個人的に気になりました。例えばですが、若手に関しては基盤研究(C)と同じように350万円に統一しておいて、その分、採択数を1.5倍にするのはいかがでしょうか。挑戦的研究は、やはり採択率が非常に低いので、今、若手に関しては15%ぐらいですか、基盤研究(C)も若手が30%ぐらいですので、2倍ぐらいの差があるというところを、何かそこら辺を調整させることによって、より多くの方が挑戦的研究にチャレンジできるような仕組みというのも1つの案ではないかなと考えた次第です。
以上です。
【大竹部会長】
ありがとうございます。これは案として。
【大鷲企画室長】
御指摘いただきまして、ありがとうございます。御指摘のとおり、研究費の規模としては、おっしゃるとおりとなるところでございます。挑戦的研究には、やはり十分な研究費を与えてしっかりと挑戦していただくという趣旨で充足率を100%にしているというところがございます。一方で、先ほどお話しいただいたように、例えば今後、この重複制限を緩和することで応募件数がどのくらい増えるのか、そこら辺も見ながら検討していくことも考えられるかと御指摘をいただきまして思ったところでございます。引き続き状況を踏まえながら、我々としても見守っていきたいというところでございます。
【大竹部会長】
そうですね。ありがとうございます。それでは、仲委員、お願いいたします。
【仲委員】
どうもありがとうございます。基本、この4点、賛成です。こうやって繋いでいって発展性を持たせるということ、大変重要だと思いますし、若手を重視するというのも賛成です。ただ、前は気がつかなかったのですけれども、例えば4月1日に39歳以下となっている年齢は確定なのか。例えば39歳以下または学位を取って10年、例えば28歳で学位を取るとすると、そこから10年以内というようなかたちにすると、少し後から入ってきた、いわゆる(年齢ではなく)キャリアの若手も対象となるのかなと思ったのと、女性研究者でライフイベントのために3年とか中断のあったような場合も、何か少し延ばせるということが可能なのか、ここはまだ修正可能なのでしょうか。よろしくお願いいたします。
【木須科研費WG主査】
どうもありがとうございます。御指摘いただいた件につきましては、学術システム研究センターの中でも議論を行いまして、1つは学位を取った後という条件をつけると、そのエビデンスといいますか、チェックがかなり煩雑になる。そこが実務的にかなり難しいのではないかという点が1つと、今御指摘いただいたような点に関する配慮は、実は若手研究のほうはやられているということで、そういう意味では、そういったところではすくえるのではないかということで、一応、今回の重複制限に関しましては、年齢で切るのが一番チェックもできるということで、現実的ではないかということでこういう案になっているところでございます。
以上です。
【仲委員】
分かりました。ありがとうございます。ただ、遅くアカデミアに入ってこられる方もあるかなと思ったりしますと、今後、データを集めていかれながら、声なども聞いていっていただくとありがたいなと思いました。どうもありがとうございます。
【木須科研費WG主査】
ありがとうございます。
【大竹部会長】
そうですね。卒業時の年齢が高い医学系についても、これは納得していただいているという状況ですかという質問です。
【木須科研費WG主査】
はい。一応、先ほどの39歳以下の根拠が審査負担と応募の状況という形を見て決めておりまして、特に医学系だから上げるべきというような議論には、学術システム研究センターの中ではなっておりませんでした。例えば挑戦的研究の中の40歳未満の応募の割合を見ると、大体10%ぐらいになっています。基盤(C)のほうは大体13%、全体の応募の中の割合なのですけれども、採択率は、実は若手の方のほうが、挑戦的研究は平均よりも高くて16%ぐらい、平均だと12%ぐらいなんですけれども、そういう意味ではやはり若手の方の非常に柔軟な、斬新なものがそこでは出てきているだろうということで、これをかなり後押ししたいということで、先ほどの重複制限の緩和を行いますと、例えば半分の方が出されたとしても、若手の割合が先ほどの10%から40%を超えるぐらい、半分近くまで増えてくるということで、そういう意味では若手の支援にはかなり強力になるのではないかなと。応募の割合が若手の方からの受入れが可能になってくるのではないかなということは期待できるということはあるかと思います。
以上です。
【大竹部会長】
ありがとうございます。では、中村委員お願いいたします。
【中村委員】
私も今の仲委員と同じポイントがやはり気になりまして、若手研究は39歳というところから学位取得後8年未満というふうに変更になったわけですね。それで、あえて実年齢になっているというのは、何か意図があるのだろうと思って、それを伺いたかったのですが、それはチェックの問題ということで、実際、若手研究では、既にそれをチェックしているわけなので、そこが気になります。特にライフイベントによって離れていた期間を除くという点ではやはり、学位取得後年数との整合性がいいわけで、これは要するに応募をする際の機会平等に関係する問題なので、その部分に関して後退することになるのではないかと。そこはやはり、これで大丈夫なのかというのは大変気になるところです。
以上です。
【大竹部会長】
まず、御意見を受け取って、最後に総括できればと思います。宇南山委員、お願いいたします。
【宇南山委員】
ありがとうございます。私も第1点は、今、お2人の先生がおっしゃった点で、ライフイベントの問題ももちろんあると思いますけれども、やはりこういう革新的な研究というのが、どういうふうに発生するかというところで、もちろん若いという年齢、生物的な年齢というのも非常に重要な論点で、恐らく柔軟な考え方ができるとか、そういうことはあると思うのですけれども、学術研究に入ってまだ間が短いというか、業界の慣例になっていないという点で革新的な研究を起こすという可能性があるのではないか。その観点で言うと、よく年齢ごとにインパクトのある論文が出ている年齢が意外と若い時期とかという資料は見るのですけれども、学位取得後の年数と革新的な論文の関係みたいなものというのは、あまり資料を見たことがないので、もしかすると、そこのところで、今回のところは実務上のバランスだとは思うのですけれども、中期的にはやはり年齢なのか、学位取得からの年数なのか、若手といったときには、どちらがより重要なのかというのは、少し区別していく必要があるのではないかなと思いました。
もう1点、別の論点なのですけれども、20ページのところで、挑戦性を有する研究の例というところで、前回も私、コメントをしたと思います。文章としては分かりやすくなって、整理されて、いい例示になったと思いますが、1点だけ確認をさせていただきたいのですが、挑戦性と学際性というのが、応募者の観点からすると、どこか区別するのが難しい面があるような気がしていて、新しい学理を発見して体系が変われば、必然的にそれは学際的にならざるを得ないということはあると思うのですが、アイディアそのものが端から学際である必要はないだろうとすると、何かこの挑戦性という表現の中で、学際性というものとどう区別しているのか、必要条件なのか、十分条件なのか、必要条件でも十分条件でもないのかというのが分かるような何か記述がどこかにあるといいと思いますし、そこの意思統一、私は学際性は必ずしも必要としないほうがいいと思うのですけれども、それを何か審査委員の方で共有していただけたらいいなと思います。趣旨が分かりやすくなるのではないかなと思いました。
以上です。
【大竹部会長】
ありがとうございます。
【木須科研費WG主査】
どうもありがとうございます。今まさに御指摘いただいたところに関しまして、審査委員への説明の例示などのやり方を学術システム研究センターの中でも議論させていただいて、御指摘のように学際性が必須条件かというと、決してそういうことはないというのが我々の議論で出ている現状の認識でございます。分野によってもかなり違うということもあると思いますし、例えばそういう意味では、新しい方法論というのは、1つの分野の中なのだけれども、今までのものからジャンプを生むようなものというのもやはり非常に大事な挑戦性というような位置づけもあるだろうということで、今回の例示の中では、そういった観点から、下から2番目の文章などは入れているということで出てきております。
以上になります。
【大竹部会長】
ありがとうございます。茂呂委員、お願いいたします。
【茂呂委員】
2つありまして、1つ目は挑戦的萌芽の挑戦性をどう確保するかというお点です。学術システム研究センターの研究員を務めさせていただいているときに感じたことなのですが、挑戦的萌芽の審査に関しては合議審査があまりうまくいっていないのではないかなというのを感じていて、書面審査で各審査委員が点数を付けて、それを審査委員が集まって正当性があるかという話し合いをするのが合議審査だと思うのですが、順位が公開されてから審査に入るので、実際に合議審査で順位が引っくり返ることがどれぐらいあったかというと、陪席していてもあまりなかったというのが、私自身の経験でした。
合議審査になってしまうと、審査委員同士の意見に配慮して、自分の専門分野で強い意見を持っていても、点数が低いものを押し上げてまで挑戦性があるからやらせようという意見はやはり弱く、皆さんがこの研究は無難だろうと思われたような研究が最終的に残るという形が多いため、合議審査自体の意義があるのかなというのを感じたことがあります。合議審査をやるのであれば、書面審査の点数を無視して、本当に挑戦性のあるものを採っていきましょうという説明をもっと強く打ち出して、たとえ点数が引っくり返ったとしても、挑戦性がある課題をこの合議審査で採りましょうという意向を強く伝えてから審査に入らないと、無難で実現可能性のある、いわゆる普通の基盤研究と同じようなものが採択されてしまっているかなと思います。合議審査の前の事務局からの審査委員への説明というところを、力を入れていただきたいなというのを感じていた次第です。それが1点目です。
もう一つ、審査区分のお話があったかと思うのですが、こちらもとても大事な議題で、恐らく古典的に昔からあるような分野の方は、2区分からの審査委員は求めていないと思うのですが、分野融合によって生まれた新しい研究をやられている方は、この方式を強く求めるのかなと思います。どういった人がその審査委員に選ばれているかというのは数年前のものに関しては公開されていますが、その情報を引き出すのは結構大変なので、審査委員に関する情報公開にもっと力を入れてもいいのかなと思います。学術システム研究センターの仕組みが分かっていれば、システム研究員がどうやって審査委員を選んでいるかというのを知っているので、研究者が自ら審査委員登録システムに入れている情報から選んでいるというのが分かるのですが、特に若手研究者などは、区分の字面だけで自分の分野を選んでしまっていると思うので、実際にどういう研究者が審査委員として選ばれているかというのは、なかなか理解できないところなのかなと思います。
ですので、もっと過去の審査委員がどういう分野の人であったかという情報を詳しく目につきやすい形で公開するといいのではないかと思います。自分が単一の区分で審査されてしかるべきなのか、複数分野によって審査されるべきなのかがわかりやすい形になるよう、過去の審査委員がどういう人だったのかという情報にもっと簡単にアクセスするような方法を公開するというのが1つの手なのかなと思っている次第です。
以上です。
【大竹部会長】
ありがとうございました。
【木須科研費WG主査】
ありがとうございます。2点御指摘いただきまして、まず1点目の挑戦的研究の挑戦性に関する審査委員の意識のすり合わせというところなのですけれども、これはやはり基盤研究とは違うのだという位置づけで評価すること、つまり、挑戦性が前提条件ですというのは、最近の説明会ではかなり浸透してきておりまして、例えば説明会などを行っても、挑戦性に関する質問というのは、最近はそれほど多くは出てきていないように私自身は感じております。今度、合議審査が2段階書面審査に移りますので、そういう意味で、2段階書面審査で、その挑戦性に関する議論といいますか、考え方をどう審査委員に浸透させるかというのが1つのポイントかと思いますけれども、それは審査委員説明会の場などで従来やっていたような挑戦性に関してどう考えているかというような議論をやる場を持てればというのは、考えているというところがございます。
【茂呂委員】
私のポイントとしては、合議審査で書面審査の順位が引っくり返ってもいいのだという、その情報があまり浸透していないのではないかなと思っていまして、つまり、合議審査をやるわけですから、書面審査の点数というのは一度忘れていただいても構わないぐらいのものだと思うのですが、もちろん書面審査で飛び抜けて点数が高かったものというのは、引っくり返さないほうがいいのかなとは思いますけれども、ボーダーラインが広くある中で、細かい点数にこだわって引っくり返らないというのは、もっと説明会のときに引っくり返してもいいというメッセージを出してもいいのではないかなと思っている次第です。
【木須科研費WG主査】
それはまさに御指摘のとおりで、それこそが合議での重要なポイントということかと思います。それを2段階書面審査に移行した場合に、やはりうまく機能させるというところが次のポイントかなと考えております。
それともう1点目が、過去の審査委員、どうした方が審査をされているかという情報をフィードバックしたらということで、現状では、先ほど御指摘いただいたように、3年前の方は全部公開されているという形にはなっておりますが、それをもう少しアクセスしやすい形でということは、引き続き検討させていただければと思います。
もう一つは、審査区分表の見直しを、科研費改革2028に向けて進めておりまして、複数の分野に関わるようなもの、例えば量子情報などが今出てきていますけれども、そういったものは中区分が逆に複数の大区分に所属するような形のものを入れるようにして、それは従来の医工連携などもそういう形になっているのですけれども、いわゆる逆ツリー構造をとることで、いろいろな分野の方が新しい分野として境界領域で出てくるようなところの応募に対して、審査委員も複数の大区分から入って審査できる形をとるようなことで境界領域をうまく審査できるような体制を審査区分表の形でもうまく工夫できないかといったことも検討を進めている状況でございます。
以上です。
【大竹部会長】
ありがとうございます。
【茂呂委員】
ありがとうございます。
【大竹部会長】
それでは、永田委員、お願いいたします。
【永田委員】
ありがとうございます。1番目と4番目についてございます。まずは全体的に非常にいい検討をしていただいたことに御礼を申し上げます。ありがとうございました。
まず、1番目の萌芽から開拓への接続、さらに学術変革Bへの接続のところなのですけれども、接続の強化というのは、基本的に僕は大賛成でありまして、そのときに審査で、先生からも御指摘があったように15ページの2ポツ、審査で誤解が起こらないようにちゃんと説明する必要があるという、これは全くそのとおりではあるんですけれども、でも、その上で発展させた提案であるというのとそうではないものとを公平に相対的に評価することができるのかというところがすごく気になっておりまして、なので、これ、2つの枠に分けて相対評価したほうがいいのではないのかなと思っています。2つの枠に分けた上で、発展して提案されたものについては採択率を上げる。それによって、より接続を強化するということもぜひ御検討いただきたいという、これは僕の個人的な希望です。最終的にそうならなくてもいいのですけれども、ぜひそういう検討をしていただきたいということです。
それから、4番目の2段階書面、挑戦的研究の合議審査って、本当に労働がきつくて、先生方には本当によくやっていただいているなって、常々頭が下がる思いでしたので、2段階書面にするのは仕方がないのかなとは思うのですけれども、この2段階書面って、2分野希望との組合せだと相性が悪いんですよね。僕の理解だと。恐らく2段階目で審査をお願いする提案の中には、1段階目で読んでいないものもお願いせざるを得ないのではないのかなというのが僕の理解なのですけれども、それとも、それをしなくてもいいような何かいいアイディアがあるでしょうか。
以上です。
【木須科研費WG主査】
ありがとうございます。まず、1つ目の発展からの評価をどうするかということで、実は評点を含めて評価のやり方というのは、例えばボーダーのところでうまく差別化するには、どういう評点のつけ方がいいのかとか、引き続き検討させていただきたいと思います。その中で今、御指摘いただいた発展からさらに繋げるようなものをどう区別化して評価可能かといったことも検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
それともう一つの2段階書面で複数区分に関しては、継続して議論している途中でございます。2段階書面でそれをうまく行えるところまで持っていかないといけないので、最終形というところまでは行っておりませんけれども、例えば主の分野と副の分野で、審査をメインの分野と、それと関連のある分野を指定して応募者が出してきたときに、そういう分野からも意見をもらうような形でうまく2段階の書面審査に反映できないかとかいったアイディアというのが1つ出てきているということはございます。そういったものを含めて今検討中というのが4番目の課題については現状というところでございます。
以上です。
【永田委員】
つまり、審査はメインの区分でやってもらうけれども、この区分から参考査読をもらいたいという、そういう希望が可能ということですね。
【木須科研費WG主査】
はい。それが1つの案として。
【永田委員】
それは非常にいいやり方だと思います。ありがとうございます。
【大竹部会長】
ありがとうございました。
もろもろの御意見をいただいている中で、本日の御意見を踏まえてこの方向でということになろうかと思いますけれども、特に年齢制限のところについては、学位取得後という考え方もあり得るのかという点、それから、2段階審査における工夫というのもありましたし、挑戦性の考え方についても御議論があったところかと思います。
事務局からお願いいたします。
【大鷲企画室長】
様々御意見をいただいて、ありがとうございます。特に年齢要件といたしまして、博士課程取得後何年もしくは年齢にするかという御議論はあろうかと思います。ただ、一方で、今若手研究では取得後何年という形でデータはあるものの、それを基盤研究(C)でどこまでデータが精緻に取れるのかというところについては、正直なかなか厳しいところがあるところはございます。その中で、日本学術振興会のほうでは、審査件数というものを非常に意識して御議論いただいたと理解してございますので、今あるデータとして年齢のデータを見ながら、どの程度の件数が出てくるのか。
例えば今、資料上では最大でという言い方をしていますけれども、基盤研究(S)(A)(B)と萌芽は重複応募ができている状況で、それはもちろん100%ではなくて、たしか30%ですとか、20%ですとか、ちょっと正確ではありませんが、そのパーセンテージも検討の中では見ながら、どの程度ということを考慮していただいているものと認識してございますので、現時点で始めるとしたら、年齢という形が一定の形としてはあり得るのではないかと考えているところではございます。なので、学振から今39歳以下というところで御報告をいただいていることというふうに理解させていただいています。
【大竹部会長】
御説明、ありがとうございました。
もろもろ検討した上で39歳以下ということで、特に数でしょうね。応募数という観点からまとめてくださっているという中で、後退ではないかという御意見もあったので、もう一度お考えいただいて、やはり39歳でいきますということであれば、それはそれでというのが今日の結論かと思いますので、ありがとうございました。
それでは、御意見いただいた方向で具体化をお進めいただきますよう、木須様、どうぞよろしくお願いいたします。
【木須科研費WG主査】
はい。どうもありがとうございます。承りました。
【大竹部会長】
ありがとうございました。
それでは、最後の議題に移らせていただきまして、基盤研究の役割・在り方です。大きな議題になっているところでございます。資料5が準備されておりますので、まずは事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
【大鷲企画室長】
事務局からでございます。基盤研究の役割・在り方につきましては、前回も御議論いただいたところでございます。まず、次のページでは、前回御議論いただいた内容、主な意見をまとめさせていただいているところでございます。もちろん、基盤研究は非常に重要だという御意見、それから、2つ目のポツでは先ほどもお話のあったように世界でトップをとるような研究はボトムアップから基本的には出ていくものだということ。それから、一方で、3つ目のポツにおきましては、為替の変動や物価上昇が進む一方で、上限額が変わっていない。上限額を上げるとともに、応募時に上限額が張りつかないような工夫というものも必要であろうという御指摘もあったところでございます。それから、最後のポツにおきましては、大きな問いが大事という御発言もございまして、自分自身の研究の現状を確認することに繋がっているという御意見もあったところでございます。
次のページに行きますけれども、やはり科研費の上限額は変わっていないという御意見をいただきつつ、2つ目のポツでございますけれども、上限が変わっていないこと自体も問題ではあるけれども、その状況で基盤研究(C)の応募が増えている点というのがより問題ではないかという御指摘もあったところでございます。本来であれば、より上位の種目へ応募が移っていくのが自然ではないかというところでございます。
それから、その下でございますけれども、基盤研究があるからこそ、学術的な変革が生まれる。それから、分野間の融合も起こるのではないかというような御指摘もあったところでございます。最後のポツにおきましては、機器共用の重要性についても御指摘をいただいたところでございます。こういった御指摘もいただきながら、基盤研究の役割・在り方、さらに御検討いただければということで、資料を用意させていただいてございます。
まず1つ目でございますけれども、次のページ、現状と課題でございます。先ほど議題2でもお話ししたところではございますけれども、AI for Scienceという時代の到来とともに、オープンサイエンスの進展ですとか、科学とビジネスの近接化といった学術研究をめぐる環境が本質的に大きく変化し始めていると認識しているところでございます。このような状況の中で、やはり膨大な情報データ等を基に研究の広がりやスピードアップというものが図られていく、そうなりますと、よりダイミナックな学術研究の展開を可能にし、まさに役割の1つである多様な学問分野の深化、発展にも大きく貢献していくであろうと考えている一方で、既存の人的ネットワークでは限界があり、アイディアを最大限生かせないということも懸念されるところでございますし、また、これは従前からではございますけれども、他分野との連携におきましては、専門用語など分からないことが多くて時間がかかってしまうというところもあるものでございます。
このような状況を踏まえまして、幾ら研究アイディアが情報・データを基に広がっていくとしても、やはり人が繋がらないことには研究は進まないというところもあろうかと思いますので、新たな人的ネットワーク構築の仕組みというものも必要ではないかというところでございます。その論点といたしましては、そういうネットワークの構築に当たって、まさに基盤研究の核心である学術的問いを生かすことができないかというところで挙げさせていただいているものでございます。
基盤研究については、御承知のとおり計画を立てる際にも中長期的な視点から解明したこと、解決したいことといった学術的問いを記述していただいた上で、3年や5年において何をするのかという計画を立てていただいているというところでございますけれども、例えばKAKENデータベースにおいても採択情報ですとか、発信はしているものの、やはり3年から5年において行った研究内容や成果が中心となっているというところもあり、3年や5年の内容となりますと、やや専門的になってしまうこともあるのではないかというところでございます。
そういった意味で、新たな研究者間の連携を促進するために、学術的問いを中心に、まさしく分野を超えた連携の仕組みを構築してはどうか。例えば先ほどお話ししたKAKENデータベースを活用し、学術的問いを有する研究者の探索手段を提供する。もしくは、将来的にはAIを活用して、例えば審査結果を開示するときに類似の学術的問いを研究者にフィードバックするといったことも考えられるのではないかというところでございます。ただ、気をつけないといけないと思っていますのは、制度としては、あくまで情報を提供すると。その提供をうまく研究者に御活用いただくというところでイメージしてはどうかと考えているものでございます。また、本日も御議論いただいている、日頃、交流のない経済界、企業との新たな関係構築を可能とする基礎研究の在り方について、どのようなことが考えられるかということも加えさせていただいているというところでございます。
次のページにおきましては、KAKENデータベースの概要、それから、科学とビジネスの近接化の関連資料を用意させていただいているところでございます。そして、2つ目でございます。2つ目につきましては、32ページの現状と課題におきまして、先ほどの意見の紹介の中にもありましたとおり、近年の物価高騰や為替レートの変動など状況が変化しているというところもございまして、応募上限額の引き上げを含む配分額の充実に対する期待も大きいところではございます。ただ、実際には基盤研究(C)、500万円以下の小規模にもかかわらず、最も応募件数が多い状況となっているところでございまして、意見にもありましたけれども、本来であれば基盤研究(B)に移ってもよい、応募してもよいというところがある一方で、研究規模としては少ないながらも基盤研究(C)にとどまっているという可能性もあるのではないかというところがございます。
そのため、論点といたしましては、より研究費規模の大きい種目へのステップアップを円滑に進めるためには、どのような種目の在り方が考えられるかということを整理させていただきまして、例えばもしステップアップに壁があるとしたら、どのような改善を行うことができるか。それから、2ポツのところにおきましては、前期部会から御議論していただいている基盤研究(B)(C)の統合、統合すれば2,000万円の範囲で研究者が必要な研究費を必要な研究期間、応募するということができれば、機能するという可能性はありますけれども、一方で、研究費規模の大きい提案が多くなるということも考えられるところでございまして、その場合には予算が大幅に必要になってくるということも考えられるものでございます。
そういったことを踏まえまして、次のページにおきましては、前期部会から御議論いただいている基盤研究(B)(C)統合、それとケース2として、今回、新たな方法として、議論のたたき台として用意させていただいていると御理解いただければ幸いでございます。まず、基盤研究(B)(C)の統合につきまして、メリットとしては、先ほどお話ししたとおり、柔軟な応募額の設定が可能になるということ、それから現在、基盤研究(C)の応募件数が非常に多いものですので、基盤研究(C)と基盤研究(B)での審査負担は非常に大きく異なっている中において、統合することで審査委員の審査負担を平準化できるということは考えられることでございます。
一方で、デメリットといたしましては、やはり応募動向によりますけれども、上限の例えば2,000万円の課題が多くなれば、予算の大幅増が伴わない場合、採択率、充足率が大幅に低下する可能性ということもございます。また、多様な研究規模の計画を比較する審査をどう行っていくかということも考えられる。また、さらには若手研究者にとって研究費の確保が困難といいますのは、これまで基盤研究(C)の中で競争していたところでございますが、基盤研究(B)の応募者とも競争になってくるということもございますので、その点も考慮が必要ではないかということで挙げさせていただいているものでございます。
その下でございますけれども、そういう応募の上限額に貼りつかないように、応募が分散できるようにという趣旨で、例えば基盤研究(B)の中に2,000万円の枠のほかに1,000万円の区分というものも設定してはどうかというものでございます。そうすることによってメリットの1つ目でございますけれども、上限額に応募が集中する傾向の解消というものが期待できるのではないか。また、500万円から2,000万円、基盤研究(C)から基盤研究(B)へのステップアップの間に入れることで、ステップアップが容易になる可能性というものも考えられる。一方で、デメリットといたしましては、新区分への応募動向といたしまして、基盤研究(C)から基盤研究(B)に応募を移行する研究者が増えれば増えるほど、やはり予算が必要にはなってきますけれども、一方で、基盤研究(B)の2,000万円の区分から1,000万円の区分に移る方もいらっしゃいますので、そこら辺でどの程度の相殺ができるのか、これはシミュレーションが後々必要であろうというところはございます。
また、デメリットのもう一つといたしまして、2つの区分を設定することによる審査方法や採否の決定というものも、もちろん検討は必要であろうというものでございます。また、このケース2に関しましては、基盤研究(C)から移ってくる応募者については、応募総額が増えるものですから、例えばこの1,000万円の区分の研究期間を延ばすということも選択肢の1つとしてあり得るのではないかということで米印として示させていただいているというところでございます。
最後に、次のページには、期間別の応募件数を用意させていただいているところでございますが、やはり基盤研究(A)(B)はある程度分散している。基盤研究(C)については、やはり3年間が多い。これはやはり単年当たりの単価アップのために、3年が多くなっているということも考えられるのではないかということで、現状、用意させていただいたというところでございます。
説明、長くなって恐縮ですけれども、御議論いただけたら幸いでございます。よろしくお願いします。
【大竹部会長】
御説明いただきまして、ありがとうございました。
基盤研究(B)ダッシュという新しいアイディアも出てくる中で、恐らく我々はこの基盤研究というのがどれぐらいの重要性であるかということについて議論していくというのも非常に重要なところかなと思います。本日、もう残りの時間がないということですので、これは継続して議論をさせていただきたいと思っています。皆さん、恐らくそれぞれ御意見をお持ちだと思うのですね。どうしてもこれはということがあれば一、二件、承りたいと思いますけれども、委員の方々。
中村委員、お願いします。
【中村委員】
論点、あるいはそれに対する対応策、非常によく分かるのですが、そもそもこの問題の根本は、デュアルサポートシステムという科研費の在り方が崩れてきて、優れた研究をさらに発展させるものが科研費であるということが成り立たなくなっているということにあると思うんですね。今幾つかの対応策の中で、1件当たりの額を大型化する場合には、平均的に採択数は減るわけで、その場合には、もう基盤研究(C)の採択で今までギリギリの生活保障のような、最低限の生活、運営をしていた研究者が、もうそれで成り立たなくなってしまう。そういうことの帰結を、それが学術全体にどういう影響をもたらすかということも同時に考えていただきたいと思います。
以上です。
【大竹部会長】
御意見、ありがとうございます。宇南山委員、お願いします。
【宇南山委員】
宇南山です。1点だけ、ふだん科研費においては人文・社会科学系というのは脇役なのですが、基盤研究(C)(B)に関しては、かなり主役的なところがあって、基盤研究(C)から(B)に行かない理由というのは、理系の方とは大分違う要素だと思いますので、今日のような資料というのは、次回、もしかしたら人文社会系とそれ以外で分けていただいたほうが議論が深まりやすいかなと思いました。
以上です。
【大竹部会長】
御指摘、ありがとうございます。それでは、仲委員、お願いします。
【仲委員】
同じ意見でした。宇南山委員と同じです。ありがとうございます。
【大竹部会長】
そうですね。区分Aのほうの話というのは大事だと思います。ありがとうございます。
それでは、これは継続して考えていくということで、次回は基盤研究の重要性、あるいはなぜ国のために基盤研究はやっていく価値があるのか、必要はあるのか、そんな議論もできたらいいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、最後に事務局から連絡事項をお願いします。
【豆佐企画室長補佐】
ありがとうございました。本日の議事録でございますけれども、各委員に御確認いただいた上で公開させていただきたいと思います。また、次回の研究費部会につきましては、改めて御連絡させていただきたいと思います。
以上でございます。
【大竹部会長】
仲委員、一言ありますか。
【仲委員】
仲です。この前の議題がやはり少し気にかかっていて、年齢のところですけれども、今回、無理だとしましても、例えばライフイベントとか、あるいは外部の、例えば企業に勤めてからアカデミアに入ってこられたとかいうような方たちのことを考えますと、例えばそういう経歴ありというボックスを作って、そこをチェックすると3年ぐらい少し猶予があるみたいな、そういう工夫なども加えて検討していただく、あるいは少なくともそれに関連するデータを集めていただくというのをお願いできたらいいのかなと思いました。
【大竹部会長】
ありがとうございます。
今日の議論をフィードバックさせていただくということで、お約束させていただきます。ありがとうございます。
それでは、終了いたします。ありがとうございました。
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