令和7年5月30日(木曜日)10時00分~12時00分
対面及びオンライン会議併用のハイブリッド形式にて開催
大竹部会長、鷹野委員、仲委員、宇南山委員、塩見委員、新福委員、永田委員、中野委員、中村委員、華山委員、茂呂委員、岸本委員、速水委員
塩見研究振興局長、松浦大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、板倉学術研究推進課長、大鷲学術研究推進課企画室長、豆佐学術研究推進課企画室室長補佐、他関係官
・議事のはじめに委員の互選により、大竹委員が研究費部会長に選任された。
・続いて大竹研究費部会長により、鷹野委員が研究費部会長代理に指名された。
(以上の議事録は、人事に係る案件のため非公開。)
【大竹部会長】
それでは、議事を進めさせていただきます。本日の議事は、お配りしております議事次第のとおりでございます。最後にもし時間があれば、最初ということもありますので、科研費制度全般に関する意見交換も実施していきたいと思っております。
まずは第12期研究費部会における議論についてでございます。今期の研究費部会で議論を始めるに当たりまして、事務局から前期における審議内容あるいは学術研究をめぐる現状・課題等について御説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【大鷲企画室長】
それでは、事務局から御説明させていただきます。
資料といたしましては、資料3でございますけれども、前期研究費部会において取りまとめていただいた審議まとめ、報告書を用意させていただいているものでございます。
通し番号右下13ページからでございますけれども、報告書の参考資料として付してございます概要等を中心に御説明させていただけたらと思います。右下通し番号25ページを御覧いただけたらと思います。この25ページの下に前期審議まとめ、概要とございます。
まず1ポツでございますけれども、学術をめぐる現状及び課題といたしまして、1つ目の丸、論文指標の国際的な順位が下落するなど、我が国の研究力は相対的・長期的に低下傾向にあるということが言われているところでございます。
2つ目の丸のところで、その低下の背景といたしましては、米印のところにございますけれども、定常的に措置される教員1人当たりの研究開発費が減少傾向にあるということ。
米印の2つ目、比較的少額な研究種目で応募件数が増加し、例えば「基盤研究(C)」の充足率が低下しているということ。
米印の3、特に近年におきましては、物価指数、為替レートを考慮した平均配分実質額について、約10年間で半減しているということが示されたものでございます。
このまとめの位置づけといたしまして、2ポツ、科研費の質的充実を図るとともに、抜本的な量的拡充を目指す必要があるとされているところでございます。
3ポツでございます。具体的に取り組むべき事項といたしまして、まず(1)研究種目の整理・統合につきましては、「国際共同研究加速基金」の「基盤研究種目群」等への段階的な統合に着手したということで、令和7年度公募から海外連携研究を公募停止したところでございます。
また(2)といたしましては、国際性・若手研究者支援の強化ということで、「研究課題の国際性」の評定要素を導入いたしまして、国際性の評価が高い研究課題への重点配分、「国際・若手支援強化枠」の創設を実現したというところでございます。
(3)におきましては、「基盤研究(B)」の基金化の実現についても行っていただいたというところでございます。
右側、今後取り組むべき事項といたしましては、引き続き研究種目の整理統合に取り組むということ。その一つといたしまして、「国際共同研究強化」の統合ということも指摘されているものでございます。
また「基盤研究(A)」以上の大型の研究種目についても基金化を目指すべきとされているところでございます。
さらには一定要件を満たす研究設備・機器の共用を努力義務化するということも御指摘をいただいていまして、これにつきましては、1,000万円以上の設備・機器を対象に、今年度から運用を開始させていただいているというところでございます。
(4)といたしましては、採択率・充足率の水準ということで、研究種目全体の新規採択率は30%を目指すととともに、充足率の大幅な引上げを目指すということも指摘されているところでございます。また応募上限額の引上げを含む配分額のさらなる充実方策も検討するというところでございます。
4ポツにおきまして、今後の検討課題がございます。1つ目は研究種目の在り方といたしまして、基盤研究の助成の在り方、丸2といたしまして、「学術変革研究種目群」の在り方の検証につきましては、後ほど本日の議題にもございますけれども、「挑戦的研究」の検証・見直しということについて用意させていただいているものでございます。
また丸3といたしましては、その他ということで、「特別推進研究」の受給回数制限の必要性等についての議論を行うというところでございます。
(2)といたしましては、審査システム改革についても引き続き議論をしていくというところでございます。
以降、次のページからは、議論に当たって参考としたデータの紹介でございますけれども、26ページ上につきましては、相対的・長期的な研究力の低下傾向ということで、トップ10%の論文、トップ1%の論文につきましては、それぞれ6位から13位、7位から12位と、順位が下落しているというところでございます。
また、その下でございますけれども、定常的に措置される教員1人当たりの研究開発費が低下傾向ということがございましたけれども、平成13年度に比べてほぼ半減しているというところの資料でございます。
次の27ページ上半分でございますけれども、こちらについては、比較的少額な研究種目で応募件数が増加し、「基盤研究(C)」では充足率が72.3%まで低下ということで、グラフを見ていただきますと分かりますとおり、「基盤研究(C)」における応募件数については増加する一方で、充足率については低下しているというところが見てとれるものでございます。
その下につきましては、実質的な配分額の低下ということで、消費者物価指数及び為替レートを考慮いたしました一研究課題当たりの平均配分実質額は、10年で半減しているということで、一番下の緑色の折れ線グラフで示させていただいているというところでございます。
続きまして28ページは飛びますけれども、29ページの上半分でございます。研究種目の整理統合という中において、左側にございます「国際共同研究加速基金」の中の海外連携研究については、令和7年度から公募を停止し、「基盤研究」へというところで整理をしているものでございます。
「基盤研究(B)」の基金化ということも行ったところでございます。
今日の議題にも関係しますけれども、右側のピンク色の部分が新領域開拓を支援する「学術変革研究種目群」となってございまして、その中には本日御議論いただく「挑戦的研究(開拓)」、「挑戦的研究(萌芽)」、そのほか「学術変革領域研究(A)」、「学術変革領域研究(B)」も含まれているというところでございます。
続きまして、前期御議論いただきまして、国際性の評価を導入したところでございますけれども、その背景といたしまして、29ページの下半分のところでございます。国際共著論文数等の推移とございますけれども、国際共著論文数は増加傾向を示しているものの、我が国の伸び率は相対的に低いものとなっているといったデータでございます。
次のページ、30ページでございます。上半分のところでございますが、主要国の国際共著相手国・地域についてとございますけれども、国際共著相手国としての日本の順位は低下傾向にあるということもデータとして表れているというものでございます。
これらも踏まえまして、次の31ページでございます。上半分でございますけれども、「基盤研究」において国際性に関する評定要素を加えたというところでございます。赤く囲ってあるところでございますけれども、国際性に関する観点の例といたしまして、下に3つございます。先導性、協同性、稀少性を示しつつ、国際的な波及効果に着目する評定要素を設け、絶対評価を行っているところでございます。
その下につきましては、この「国際性」の評価の導入とも関係しますけれども、令和6年度の補正予算、令和7年度の当初予算といたしまして、骨子と真ん中辺りにございますけれども、1つ目といたしまして、「基盤研究(A・B・C)」におきまして、国際性の評価による重点配分の導入を行ったというところ。
2ポツといたしましては、若手研究者からの応募が多い「基盤研究(B・C)」において、「国際・若手支援強化枠」を創設し、若手研究者の研究機会の拡大を図ったというところでございます。
このような形で前期は進めていただいたところでございます。
最後に、35ページの上半分には現在の科研費全体の基金と補助金の種目別も用意してございますけれども、前期におきましては、この資料の上半分の「基盤研究(A)」以上の種目においても基金化を進めるべきとされているところでございます。
ざっとでございますけれども、第12期の振り返りについては以上でございます。
【大竹部会長】
御説明ありがとうございました。第12期で示された現状認識、先ほどの実質の研究費の話というのは、かなり厳しいお話かとも拝察します。検討課題についてもお考えというか、御説明いただきました。これを踏まえつつ、第13期の議論を進めてまいりたいと思いますので、委員の皆様におかれましては御協力いただきますようよろしくお願いいたします。
なお、今の事務局からの説明に関する御質問は、次の議題の後にまとめて頂戴したいと思いますので、よろしくお願いします。
続きまして、第12期における議論の内容も踏まえて、第13期の研究費部会における審議事項、審議スケジュール(案)について、事務局から御説明をお願いいたします。
【大鷲企画室長】
事務局からの説明でございます。
資料4を御覧いただけたらと思います。通し番号、右下49ページになるものでございます。当面の審議事項・審議スケジュール(案)というところでございますけれども、先ほど御説明した前期に示されました今後の検討課題を中心に、また今後策定される各種政府の提言、概算要求等の動向を踏まえつつ議論していければと考えているものでございます。
1ポツの審議事項につきましては、(1)「学術変革研究種目群」の検証ということで、これまで以上に大胆な変革、探索を生み出せるよう、議論を進めていければと考えているものでございますけれども、イといたしまして、「挑戦的研究(開拓)・(萌芽)」の検証・見直しについては、本日の議題としても用意させていただいているところでございます。
またロといたしましては、「学術変革領域研究(A)・(B)」は、先ほどのピンク色の部分の種目に該当するものでございます。こちらについては令和2年度から開始、実施をしているところでございますけれども、5年経過しているということもございまして、検証・見直しを行っていければというところでございます。
また(2)といたしましては、若手研究者の活躍機会の拡大でございます。若手研究者に対しましては、これまでも、例えば前期におきましても、キャリアの初期段階から国際共同研究等に従事する機会を持てるようにということで、国際・若手支援強化枠などの支援策を講じてきたところではございます。
「特別推進研究」など、世界トップレベルの研究に参画することで、当該研究の持続的な発展はもちろんのこと、国際ネットワークの参画機会にも資するのではないかということで、大型種目への若手研究者の積極的な参画等についても御議論いただければと考えているものでございます。
また(3)といたしましては、「基盤研究(A)」、「基盤研究(B)」、「基盤研究(C)」において、研究課題の国際性の評価を導入したところでございますけれども、こちらを他の種目における導入の可能性についても御議論いただければというところ。
(4)といたしましては、「特別推進研究」の今後の在り方についてでございますけれども、前期にも御指摘いただきました受給回数制限の必要性等について改めて議論していければというところでございます。
当面の審議事項といたしましては、このようなことを考えているところでございまして、審議スケジュールといたしましては、本日が第1回といたしまして、次回、第2回は7月28日を予定させていただいている。また必要があれば、8月にも開催できればというところでございます。
資料4の説明は以上でございます。
【大竹部会長】
御説明ありがとうございました。ここまで前期の議論、第13期、今期の審議事項、スケジュールについて御説明いただいたというところであります。
ここでディスカッションに入れればと思っております。これまでの内容で御質問あるいは御意見がありましたら、お願いしたいと思います。手を挙げていただければありがたいと思いますが、いかがでしょうか。オンラインの方も手を挙げていただければと思います。よろしくお願いします。よろしゅうございますか。
宇南山先生、手を挙げていただいてありがとうございます。
【宇南山委員】
すみません、よろしいでしょうか。
【大竹部会長】
お願いします。
【宇南山委員】
宇南山です。今期から参加なので、確認を兼ねて少し発言させていただきます。
私は経済学を専門にしておりまして、委員の先生方を見ますと、いわゆる文系がほかにほぼいないということもありまして、少し発言させていただきたいと思います。
科研費のような話になりますと、どうしても金額的には小さいので、人文社会科学というものはあまり影響力がないことは理解しているのですが、今までの議論の中で文理の区別ということがどういうふうに扱われてきているのか、今後考慮する必要は何か指摘されているのかということだけ確認させていただければと。
特に「基盤研究(C)」に関しますと、例えば三、四百万円というお金は、理系の方が考える三、四百万円と文系ではかなり違うイメージのもので、そこで同一の枠組みで決まってしまうと、文系としては、イメージがかなり違うということはあり得るのかなと思っております。
すみません、雑駁な質問ですけれども、もし何かあれば教えていただければと思います。よろしくお願いします。
【大竹部会長】
御質問をいただきまして、誠にありがとうございます。私が最初説明申し上げて、その後、事務局からということで。
これまでも、もちろん文理融合あるいは文系自身ということについては、深くディスカッションをしてきたところでございます。Aの区分だと思いますが、Aの区分の重要性、科研費の「基盤研究(B)」、「基盤研究(C)」と大区分Aの関係ということについても、かなりの時間ディスカッションをしてきた経緯もございます。
かいつまんでになろうかと思いますけれども、その内容を事務局から御説明いただけるとありがたいと思いますが、可能でしょうか。時間が必要ですよね。多分データを取るのに時間が必要かと思いますので。
中野先生。
【中野委員】
研究費部会の中でも議論されていたのですが、学術システム研究センターでも、分野によって科研費に対する考え方や期待するところも異なるという点は、丁寧に議論しているところです。
したがって、今後の改革に当たっても、分野ごとの科研費のチューンアップが可能でありつつ、分野によらず公平で統一された制度という方向性が必要なのではないかと思っております。学シスのほうでもそういうふうに話しております。
以上です。
【大鷲企画室長】
ありがとうございます。
事務局から。すみません、具体的な内容については、また改めて整理をして御報告させていただこうかと思いますけれども、先ほど中野先生からもお話がありましたとおり、前期の今後の課題においても、基盤研究の在り方についての検討も含まれているものでございますので、そういった中で、やはり文系、理系の在り方、文理融合も含めてどうやっていくべきかということを議論していければと考えているものでございます。よろしくお願いいたします。
【宇南山委員】
ありがとうございます。突然で申し訳ありませんでした。ありがとうございます。
【大竹部会長】
いえ、とんでもないです。御議論ありがとうございます。今後も重要と認識して、継続して審議していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。ありがとうございます。
そうしましたら、第12期の研究費部会の審議で、あるいは審議まとめで示された検討課題も踏まえつつ、当面の審議事項を整理されたものと理解いたします。
今後、骨太の方針等の政府の重要な計画の策定、あるいは令和8年度予算に係る概算要求等が控えております。そうした動向も見据えつつ、これらの審議事項について議論を進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、次の議題に移らせていただきます。「挑戦的研究(開拓)・(萌芽)」の検証・見直しについてでございます。これについては、事務局から御説明をいただいて、その後、御意見、御質問をいただきたいと思いますので、まずは御説明をよろしくお願いします。
【大鷲企画室長】
それでは、事務局からの御説明、資料が少し多いものですから、少々お時間をいただければというところでございます。
資料5でございます。右下50ページからでございますけれども、その次のページ、右下51ページには、前期審議まとめで示された観点ということで用意させていただいてございます。
2つ目の丸のところにございますけれども、「挑戦性」の趣旨の明確化を通じ、真に挑戦的な研究を見いだしていく必要があるとさせていただいているものでございますが、具体的には下に抜粋がございますけれども、その一番下の2行、「例えば新興・融合領域の研究への挑戦を後押しできるような「挑戦性」の在り方も模索するなど、分野横断的に議論・検討を行う必要がある」とされているものでございます。
続いて、「挑戦的」な研究の現状に関する資料でございますけれども、まずは経緯でございます。
表を見ていただきますと、初めは「一般研究(C)」という種目の中で行われていたところでございますけれども、平成8年度から萌芽的研究という種目が立ち上がり、支援をしてきたところでございます。
平成29年度、現行の形、「挑戦的研究(開拓)」と「挑戦的研究(萌芽)」が創設されたというところでございます。創設に当たりましては、下に点線で囲っているところにもございますとおり、「NSFにおけるトランスフォーマティブ・リサーチ「TFR」の考え方を踏まえ、これまでの学術の体系や方向を大きく変革・転換させることを志向し、飛躍的に発展する潜在性を有する研究計画を支援するものとする」とされたところでございます。
なお、この際には、次のポツにございますとおり、検証についても適切な時期に行う必要があると指摘されたところでございます。
続いて種目の概要でございますけれども、対象については、先ほどのこれまでの学術の体系や方向を大きく変革・転換させることを志向していくというところでございますが、萌芽につきましては、探索的性質の強い、あるいは芽生え期の研究計画も対象としているところでございます。
研究規模といたしましては、開拓が2,000万円以下、萌芽が500万円以下となっているところでございまして、研究期間については、開拓が6年と比較的長いものになっているところ、萌芽については、2年から3年というところでございます。
審査区分につきましては、中区分を採用し、審査方式については、開拓のほうでは総合審査、萌芽においては2段階書面審査を行っているというところでございます。
続いての資料につきましては、応募・採択等の状況でございます。こちらの種目については、先ほどの研究費部会の御議論の中で、「真に挑戦的な研究課題を選び抜くために、採択件数を絞りつつ、応募額を最大限尊重した配分を実施している」というところでございまして、左側の開拓の応募件数、採択件数につきましては、御覧のとおりではございますけれども、充足率は100%とする一方で、令和6年度で採択率は10.9%となっているものでございます。
なお、開拓の令和2年度の応募件数、水色の棒グラフが増えている。こちらは、「基盤研究(B)」との重複制限を緩和したというところが大きな要因ではないかと考えているものでございます。
一方で、右側の「挑戦的研究(萌芽)」を見ていただきますと、水色の棒グラフについては、応募件数が減っている、減少傾向にあるというところが見てとれるものでございます。
充足率は100%近いものですけれども、採択率は11.8%となっている。
一方で、同じ500万円規模、同規模の「基盤研究(C)」の応募採択件数は下にございますけれども、「基盤研究(C)」については、応募件数が増加傾向にあるというところがございます。
「基盤研究(C)」の採択率は、令和6年度で27.5%というところで、「挑戦的研究(萌芽)」は「基盤研究(C)」の半分以下となっているというところが現状になってございます。
したがいまして、後ほどもございますけれども、萌芽の採択率の低さというものが、「基盤研究(C)」に流れる一因にもなっているのではないかと考えられるものでございます。
続きまして、研究期間でございます。「挑戦的研究(開拓)」につきましては、6年と比較的長い期間を設定させていただいているというところでございますけれども、同規模2,000万円以下の「基盤研究(B)」との比較を見ますと、開拓が水色の棒グラフ、「基盤研究(B)」が薄い緑色の棒グラフでございます。同規模の「基盤研究(B)」と1年しか違わないけれども、それなりに差が生じているということは、長期的な設定にもニーズがあるということが考えられるのではないかというところでございます。
次の資料につきましては、審査方法を示させていただいているというところでございます。同規模の「基盤研究(B)・(C)」につきましては、審査区分として小区分を採用しているところではございますけれども、「挑戦的研究」では、専門分野にとらわれずに真に挑戦的な研究課題を遂行していただこうということで、中区分の審査区分を採用しているところでございます。
開拓におきましては、上のほうでございますけれども、事前の選考、書面審査の上、合議審査ということで、より多角的な合議を重視した「総合審査」を実施しているところでございます。
一方で、「挑戦的研究(萌芽)」については、応募件数も多いというところもございますので、現在は2段階書面審査を採用しているというところでございます。
その次にはこれまで御説明している対象等々を踏まえつつ、評定要素を策定しているところでございます。
ここまでが現状の整理でございまして、この後の資料から、今後御議論いただきたい点を中心に整理をさせていただいているというところでございます。
次のページを御覧いただければというところでございますけれども、先ほど「挑戦的研究(開拓)・(萌芽)」につきましては、NSFのTFR、Transformative Researchを参考に御議論いただいたというところで御説明したところでございます。NSFにおきましては、Transformative Research、TFRのほかに、Interdisciplinary Research、IDRという概念も捉えているというところでございます。
その概念といたしましては、表の真ん中のところにございますとおり、TFRにつきましては、その性質上、しばしば挑戦的であり、複数の学問分野にまたがるものであるということで、2つ以上の学問分野における概念または理論を統合するとされているIDRと重なり合う領域があるのではないかというような概念が示されているところでございます。
NSFにおける審査におきましては、それぞれEAGERとRAISEという種目がございますけれども、RAISEの右下のほうの審査に書かれてございますとおり、RAISEに限らずではございますが、IDRの性格を有する応募課題の審査に当たりましては、「応募課題の全体が評価され得るように審査委員が選定される」こととなっているものでございます。
先ほどはNSFの紹介でございますけれども、続いてデータについての資料でございます。右下59ページには、論文の注目度と学際性の関係といたしまして、こちらにつきましては、Web of Science収録論文のうち、2000年を出版年とする論文等を対象に分析をしたというところでございます。
研究分野別に整理されているものでございますけれども、横軸にPRという注目度の指標、それから縦軸には学際性に係る指標、SEVと呼ばれるものが用意されているところでございます。
こちらのグラフについては、学際性が高い論文ほど論文の注目度が高いということまでは言ってはいないというところでございますけれども、四角く囲ってあるとおり、ほとんどの研究分野において注目度が高い論文ほど学際性が高いということが示されているということが言われているというものでございます。
続いてのデータでございます。学際的な研究課題の審査についてでございますけれども、こちらはオーストラリア研究会議(ARC)における調査分析でございます。そこで主立った種目であるDiscovery Programにおきまして、2010年から2014年までに応募された全ての応募課題を分析したものでございます。
こちらも図がございますけれども、縦軸に採択率そして、横軸にIDDと呼ばれる学際性の指標が示されているものでございます。この図を見ていただきますと分かるとおり、線は右下に向かって引かれているということは、応募課題の学際性が高いほど、採択率が低くなるということが示されているものでございます。
その要因といたしましては、このARCにおいては学際的な応募課題に対する審査委員の審査能力の限界が挙げられており、やはり見ることのできる範囲は限られているというところが指摘されているものでございます。
続きまして、審査における評価と成果論文の被引用数の関係については、少し学際性から離れるところではございますけれども、NIHのグラントにおける採択課題のうち上位20%の課題を対象とした調査、分析でございますけれども、そこのグラフにありますとおり上位2%以上をピンク色に塗られた棒グラフについては、被引用数が比較的高いというところは見てとれるところでございますけれども、上位2%以上の課題を除けば、成果論文の被引用数の平均値に有意差は認められなかったと言われているものでございます。
先ほど基盤研究(C)との関係等々において、「挑戦的研究(開拓)・(萌芽)」の採択率が低くなっているというお話をさせていただきましたけれども、採択率の設定についての参考となる情報ではないかということで用意をさせていただいたものでございます。
続きまして、新興領域への参画の遅れでございます。こちらについては、NISTEP、科学技術・学術政策研究所における調査、分析でございます。
1つ目の丸のところでございますけれども、成熟領域については、コンチネント型領域と呼ばれるもの、グラフでいきますと、茶色い部分になるものでございます。
また新興領域につきましては、スモールアイランド型領域として出現する傾向がある。スモールアイランド型につきましては、下のグラフでいきますと、水色の部分に該当する。諸外国も含めて主要国として比較をしたグラフを用意させていただいていますけれども、我が国、日本につきましては、主要国の中で参画領域数が少ない、棒グラフの高さが低いということは、それだけ参画領域数が少ないということが示されているというところでございます。
また、それぞれの国において割合を示させていただいているものでございますけれども、総体的にコンチネント型が我が国、日本においては多く、スモールアイランド型の割合が少ないという傾向が見てとれるというところで用意させていただいたものでございます。
このような状況、データ等も踏まえまして、次の資料、右下63ページにおきまして、問題意識を用意させていただいているところでございます。
やはり今後そういう新興・融合領域の創出を後押ししていかないといけないというところにおきまして、1つ目の丸のところ、「挑戦的研究」におきましては、TFR、Transformative Researchの要素が強いものの、概念的にはTFRと重複する限りにおいて、IDRの要素も含まれているというところでございますので、特に長期的な資金の提供のほかに、丸2のところ、応募課題の学際性に配慮した審査というものも機能の強化として検討する余地はないかということを整理している。
2つ目といたしましては、「挑戦的研究(萌芽)」、特に萌芽については、応募件数が減少をしているというところがございます。これについては、採択率が低いということも一因となって、挑戦に対する意欲を減じてしまっているのではないかと考えられるところもございます。
したがいまして、先ほどデータを紹介したNIHのグラントに関する先行研究でもありますとおり、採択率の向上を図ることで、より研究者の方々の挑戦を後押しできないかということも問題意識として整理をさせていただいたというところでございます。
次のページ、64ページでございますけれども、検討課題といたしまして、1つ目は、長期間にわたる資金の提供というところでございます。開拓につきましては、6年という比較的長い制度設計、長期間を設定しているというところでございます。
また「創発的研究支援事業」については、令和元年度補正で立ち上げて、原則7年、最長10年の支援を行っている事業でございますけれども、この「創発的研究支援事業」との関係も整理し、より強力に挑戦を後押しするために、どのような在り方が考えられるかということを、「創発的研究支援事業」を含め一体的に御議論できればと考えているものでございます。
また(2)につきましては、NSFの審査体制についてお話ししたところでございますけれども、「挑戦的研究(開拓)・(萌芽)」につきましては、真に挑戦的な課題を精選する観点から、中区分を採用しているところではございますが、IDR、複数の分野にまたがるという応募課題においては、複数の大区分にまたがるほどに学際性が高いものも含まれ得るといったことも考えられるものでございます。
したがいまして、研究者の方々がチャレンジングな研究を進める上で、他分野と融合、連携したいという研究者の方々が応募をしてくる場合に、どのような審査が考えられるかといったことも御検討できればというところでございます。
(3)でございますけれども、研究者による挑戦をより強力に後押しするために、採択率の水準をどのように設定するべきかということ。
(4)といたしましては、先ほどの三角形のピンク色の部分でございますけれども、「学術変革研究種目群」の在り方につきましても、「挑戦的研究(開拓)・(萌芽)」の見直しを図るとともに、例えば挑戦性の明確化など、「学術変革領域研究(A)・(B)」も含めまして、どのように再定義するべきかといったことも用意させていただきました。
また2つ目の丸のところでございますけれども、「挑戦的研究」等につきましては、すぐに成果が出てこないという性質もございますので、そういった性質も踏まえまして、成果の発信の在り方、社会との関わり方をどう考えるべきかということも記述させていただいているというところでございます。
最後に、先ほど「創発的研究支援事業」と一体的に検討というお話をさせていただいたところでございますので、参考資料といたしまして、創発事業の資料を用意させていただいているというところでございます。
事業の概要といたしましては、リスクを恐れず挑戦し続ける独立前後の研究者を対象に、最長10年間の安定した研究資金と研究に専念できる環境を一体的に提供しているというところでございます。こちらは基金による支援を行っているものでございますけれども、より具体的には次のページでございます。
対象者といたしましては、博士号取得後15年以内の研究者となっているものでございまして、研究期間は7年、最大10年となっている。
研究費支援規模としては、最大5,000万円というところでございますけれども、研究開始3年目と7年目にステージゲート審査を実施しているというところも特徴として挙げられているというものでございます。
また、以下の資料67ページには審査のプロセス、68ページには採択者の属性等のデータを用意しているものではございます。ただ、この「創発的研究支援事業」についても、右上、採択率については、約10%程度となっているというところでございます。
長々と恐縮でございますけれども、資料の説明は以上でございます。御議論のほどよろしくお願いいたします。
【大竹部会長】
御説明をいただきましてありがとうございました。
この説明内容につきまして、御意見・御質問をいただきたいと思います。ある程度時間を取って、議論をできればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【永田委員】
よろしいですか。
【大竹部会長】
永田委員から。
【永田委員】
挑戦的研究の審査の様子、何回か陪席させていただいたことがあるんですけど、審査の先生方は、萌芽と開拓の両方見られるんです。その先生方が口をそろえておっしゃられることは、開拓よりも萌芽のほうが面白い提案が多かったという御意見なんです。
採択率を上げるということは絶対に必要なことで、一方で、開拓というものは6年間で結構まとまった研究費が使えるということで、挑戦性が結構損なわれてないかというところもあります。一方、萌芽のほうは、面白そうだから少しやってみたいというような魅力的な提案があるということなのかなと思います。
それでどういうふうに運用すればいいのかという話なんですけど、一つの案として、例えば基本は萌芽にする。萌芽研究を受給している間に、開拓への提案の権利を与える。つまり開拓への提案は、萌芽を獲得している人に限る。
萌芽は全部で500万円なんですけど、1年で使い切るつもりでやれば、開拓の1年分とほぼ同じですので、なので、1年目でまずやってみて、2年目で開拓に挑戦をする。萌芽の3年目がそのまま開拓の1年目になるというような運用にすると、萌芽でやってみて、面白かったテーマが開拓に出てくるわけですから、お金をつぎ込む価値がよりあるものを選びやすくなるのではないのかなということ。
その分、萌芽の採択件数を増やすことができますので、採択率が増えるのではないかということもあって、この開拓と萌芽の運用の仕方を思い切って見直してみてはどうかという意見です。
【大竹部会長】
早速アイデアをいただきまして、ありがとうございました。こういった新しいアイデアが出てくることによって、次が生まれるということもあると思いますので、感謝申し上げたいと思います。
ほかに。
中野委員、お願いします。
【中野委員】
まず2点質問がございます。まず「挑戦的研究(萌芽)」の採択率が低いという点ですけが、この種目に対する配分額が十分ではないために低いのだと思っております。そこでお伺いしたいのは、配分額はどの時点で決めていらっしゃるのでしょうか。採択率をこの程度にするという前提の下、申請数に合わせて配分額を決めていらっしゃるのか、それとも、配分額があらかじめ右肩下がりにデザインされていたのかという点です。
2点目は、NSFがIDRに対して行っている特別な審査、つまり課題に応じた審査ですが、これは課題を見てから審査委員を選定しているのかという点です。うなずいていらっしゃるので、そのように理解いたしますが、科研費の場合は、必ず審査委員を先に選びますので、同様の対応はなかなか難しいかなと思います。
以上です。
【大竹部会長】
事務局でお願いできれば。
【大鷲企画室長】
御質問ありがとうございます。
まず1点目につきまして、それぞれの種目における配分額の決め方というところでございますけれども、基本的には予算の上で各種目における予算額というものはございます。ただ、その各年度の応募状況を見ながら、最終的には予算案が決まってから、決めているというような状況ということが、まず1つ目でございます。
2つ目につきましては、御指摘のとおり、NSFにおいては課題を見て、審査委員を決めているという現状はございますので、科研費における事前に審査委員を決めているということを前提とした上で、どのような審査が考えられるかということで検討できればとは思っています。
【中野委員】
ありがとうございます。
続いてですが、学際性の高い種目、複数の大区分にまたがるような課題を例としてお話しいただいたと思います。現在、区分表の見直しが学術システム研究センターで進められており、中区分であっても、複数の大区分に属する、いわば逆ツリー構造もあり得るという議論が行われています。
このように、区分の在り方が必ずしも従来のツリー構造に限定されず、逆ツリー構造も許容されるとすれば、それらの分野は、中区分のままでも自然に学際性の高い課題を拾い上げることができ、申請していただくことが可能ではないかと思います。その様子を見ながら、うまく機能するようであれば、順次そのような仕組みを広げていくという考え方もあるのではないかと思います。
以上です。
【大竹部会長】
逆ツリーというのは、新しい概念ですね。
【中野委員】
実は、少数ながら既にあったのですけど。
【大竹部会長】
そうですか。
ほかにいかがでしょうか。
華山委員、お願いします。
【華山委員】
私は創発支援事業の運営委員として、この制度の制度設計並びにこれまでの運営を担当させていただきました。長期間にわたりまとまった金額を頂けるところが、研究者の挑戦性を後押しする基盤であると感じております。7年間もしくは最長10年間、年間700万円というのは結構な金額で、「基盤研究(A)」に相当すると思います。
やはり、こういった安定的なお金があって初めて研究者は挑戦的な研究にチャレンジすることができる。普段の研究費も回らないような状況だと、いきなり宝くじをつかむかのような挑戦的な研究に申し込むということはギャンブルと一緒です。ですので、制度設計におきましても、長い視点での期間及びまとまった金額が必要になってくるのではないかと思っております。
創発におきましては、先ほど御説明がありましたとおり、3年目と7年目にステージゲートを設けております。きちんと評価することが重要でして、科研費全般に言えるのですけど、途中で評価のポイントがないと、恐らく挑戦的研究もしっかりと実行されないのではないかと思います。
また、申請の段階で、創発でいうと破壊的イノベーションという言葉を使っているのですが、それを何か勘違いしたような非常に突拍子もないといいますか、本当に挑戦的ではあるんですけど、それが本当にイノベーションにつながるのかは、やはり難しいところもございます。面白いということは確かに重要ですが、きちんとどういった挑戦的な研究が出されたのかといったところを評価するステージゲートがあることも重要な点の一つかと思います。
先ほど永田先生がおっしゃいましたとおり、2段階で、例えば萌芽に入ってから開拓に進む。合計で7年間みたいな形でやると、皆さんも非常に真剣に頑張るでしょうし、安定した研究費としてつながっていくのではないかなと思った次第です。
以上です。
【大竹部会長】
ありがとうございます。
確かにステージゲートの話というのは、先ほどの永田先生のお話と通ずるところがありますね。
宇南山委員が先に手を挙げています。よろしいですか。
【宇南山委員】
ありがとうございます。よろしいでしょうか。
【大竹部会長】
お願いします。
【宇南山委員】
採択率をある程度コントロールできるという前提で考えた場合に、今、その他が二、三十%ある中で10%ぐらいだという話ですが、それではどれぐらいにすべきかを考えたときに、経済学的な人間行動のことを考えると、仮に研究者が自分で研究の分野みたいなものを選んでいて、しかもそれは戦略的に選ぶとすると、基盤研究よりも高い比率で採択があれば、研究分野をより学際的、挑戦的なものに移すだろうという想定で考えているのかと思われます。
そうなった場合に、一つ考えられることは、形式的に挑戦的であるというものを装うような行動を誘発するという可能性があって、その場合にはそれを真に見抜く必要が出てきて、審査の負担も大きくなると思います。そこがうまく審査できないと、単に採択要件が甘い種目ができただけということになってしまうのではないか。
逆に他の基盤研究と等しくなった場合には、どういうふうに考えられるかというと、単純にこれも重複申請の比較的隙間でもありますので、人々は行動をあまり変えないけど、念のためここにも出すというような行動になってしまい、結局はあまり挑戦的な態度にはつながらないと考えられます。非常に約束されたというか、ある程度挑戦的だけれども、みんなが納得するようなものであれば、基盤研究に出すことも可能で、そこで採択されることも可能です。そうなれば、本当にメインストリームで戦えると思う人は基盤研究に出すことになります。そう考えると、挑戦的研究に応募するのは、ある種の隙間を埋める分野で、どうしても自分のやりたいことはあるが、既存の分野区分では研究をきちんと評価してくれる人がいない、自分の研究を実行できる場所がないという人のみになると思います。
こうして考えると、採択率が低くなってしまうことはやむを得ないということを私は考えられていて、やみくもに何となく採択率が低いと挑戦する人が少なそうというイメージだけで採択率を上げてしまうことは、むしろ挑戦的な研究に特化したものを用意している意義が損なわれかねないんではないかというところを少し危惧しております。
以上です。
【大竹部会長】
ありがとうございます。研究者の志向あるいは行動に立脚した考察をいただいてありがとうございます。
事務局からよろしいですか。
ほかにいかがですか。
【茂呂委員】
いいですか。
【大竹部会長】
茂呂委員からお願いします。
【茂呂委員】
茂呂です。よろしくお願いします。
学術システム研究センターの経験から、「挑戦的研究(萌芽)」というものが、科研費における一番問題点だなと感じていて、まず審査委員が挑戦性をきちんと評価できていないのではということは、とても感じるところです。
センターでは全ての審査に対してのコメントを見ることができるので、どういう観点で審査委員がこれを評価したかというものが読めるわけなんですが、「挑戦性が高い」という言葉が圧倒的に出てこないということが問題点だと個人的には感じています。挑戦性を評価するべき課題なのに、「実現可能性が低い」という言葉がよく出てきます。挑戦性と実現可能性はリスクとも相反するものかなと思うので、挑戦的研究を続けるためには、まず第一に審査委員にどういう観点で審査するべきかということをきちんと伝えないといけないということ。
もう一つは、先ほど審査委員の選び方ということがあったと思うんですけれども、センター研究員が審査委員を選ぶときは、やはり今までの科研費取得履歴を見て選ぶことが多いわけですけど、開拓に関しては、今まで取った人が少ないので、取った経験がある人を選ぶことが極めて難しいという問題点もあります。
なので、もう少し時間がたつと、自分がこの開拓というものを行ったことがある人が挑戦性を評価する研究費だということをよく理解した上で審査をしてくれて、よくなるのかなと思う一方で、あれだけの審査委員が審査に携わっていて、今なお挑戦性を評価していないということは、この研究費が存在する意義があるのかなと、挑戦性が高くて、いい研究であれば、基盤でも十分なのかなと個人的には思ってしまっていたところです。
先ほど永田先生の2段階に分けるということは、なるほどと思って、最初、いいなとすごく思ったんですけれど、3年以上経ったときに挑戦性というものは失われていくのかなと。3年経って、例えば萌芽から開拓というルートをつくったときに、やはりもう基盤でいいのかなという目線も必要なのかなと思うので、その点は少し気になったところです。
以上です。
【大竹部会長】
ありがとうございます。
挑戦性、先ほど宇南山委員は、審査委員は挑戦性を見破ることができるかといった提示があって……。
【茂呂委員】
今は見破っていないと思います。そこが評価の観点にはなっていないんだと思います。
【大竹部会長】
重要ですよね。挑戦性というものをどう審査するのか、それをきっちり見破れるのかという問題提起なのかと。
【永田委員】
よろしいですか。
【大竹部会長】
永田委員からでよろしいですか。ディスカッションで。
【永田委員】
基盤でいいのではないかという御意見に対して、やはり挑戦的研究の枠のこれでなければできないんだという、もう挑戦的ということの価値ですよね。挑戦性をどう見破るのかということは別の問題としてあるんですけど、基盤にはない挑戦的研究の魅力というのは、やはり支給される期間が長いことだと思うんです。
なので、創発は10年ですけど、それぐらいの規模で腰を据えてやってこそ、挑戦的なことができるんだというような位置づけにした上で、なので、萌芽で採択されて、これはもう腰を据えてやるべきだというものが出てくれば、その方は開拓規模のところにアプライをして採択されれば、もう7年とか8年とか腰を据えてできるというような位置づけにすれば、基盤では拾えないようなテーマも拾えるんではないのかなと思います。
【茂呂委員】
ありがとうございます。
【大竹部会長】
ありがとうございます。
速水委員と仲委員から、今、手が挙がっておりますので、まず速水委員からお願いしてよろしいですか。
【速水委員】
ありがとうございます。
私は学振におりまして、今年の冬期に開拓の合議審査を3つの分野で傍聴する機会がありました。全然違う3つの分野だったんですけれども、必ず合議の最初に挑戦性をどういうふうに定義するかということを、30分ぐらいかけて議論する。分野によっても議論で強調される点やまとめ方がまちまちで、それこそ学際性という先生方、社会的貢献と言われる先生方、新しいアイディアや概念という言う方、あるいは分野によっては新しい方法論に集中することもありました。分野を横断して同一の定義を定めるのは難しいかもしれませんが、やはり最初にこちらからいくつか評価の指針を明確に設定すことができれば、分かりやすいだろうなということを思いながら聞いておりました。
今のお話の流れで、基盤との関係で、萌芽の場合は、基盤Cと規模がかぶるので、申請する側から考えますと、当然リスクの少ない採択率の高いほうに流れてしまうということは、ある意味で当然なところがあって、そうではなくて、挑戦的な研究をぜひと思ってもらうには、やはり永田先生が言われたような2段階のプレステージ的なものとフルステージ的なものを、ステージゲートを設けてつなげるというように、その先に何かあるという形にすることは、考慮の余地が随分あるかなと思いました。
それでお伺いしたかったことは、現状で萌芽を申請されている方たち、採択された方たちは、大体すごく期間が短いと御説明がありましたけれども、2年とか3年で終わられると、その後どうしているのかという何か統計といいますか、資料がもしありましたら教えていただきたいと思いました。
【大竹部会長】
ありがとうございます。
今、答えられる資料はありますか。
【大鷲企画室長】
事務局でございますけれども、すみません、今、手元にデータはないものですけれども、調べればございますので、そこはまた事務局のほうで整理させていただいて、改めて共有させていただければと思います。
【大竹部会長】
速水委員の御趣旨は、萌芽の後、例えば開拓に行くとか、「基盤研究(B)」に行くとか、そういったパスがあるかということでしょうか。
【速水委員】
はい。そうです。
【大竹部会長】
ありがとうございます。
それでは、仲委員。
【仲委員】
ありがとうございます。先ほどお示ししてくださった62ページにあったコンチネント型やスモールアイランド型のお話は、大変印象深いといいますか、例えばほかの国々の2004年と2020年を比較すると、研究が大きく伸びているのに対して、日本はそのままということなのかなと思いました。
スモールアイランド型の研究がほかの国々で特に多い。特に伸びている中国などを見ますと、27%から32%と、5%伸びているのに、日本はもっと少なくなるようなことになっていて、新しいことへの挑戦がやはり少ないのかなと思うところです。
萌芽にアプライしてやっておられる方の特性が、もし、年齢でも、ジェンダーでも、分かればありがたいです。挑戦できる人たちというのが、人生のライフスパンでいうと、若手とか、自分の基盤がまだしっかりしていなくて、いろいろな実験をやってみるみたいなところなのかなと思うと、まさにそういうところを支援することが、次の世代の20年先とか40年先の科学の発展に貢献するんではないかなと思ったりもします。
ですので、その年齢構成などを見ていただいたりして、もし若手が採択されているということであれば、やはりそこを支援する意義があるのかなと思いました。
かつてはまず萌芽に出して、それから次のところ、基盤などのもっと大きいものに出していくというのが一つのルートだったように思うんですけど、−−−今はそうではないという可能性もあるんですが−−−、そういう意味では萌芽を応援したいということと、どういう方たちが取って、次につながっているのかということは、先ほどのお話ともつながるんですが、知りたいと思いました。
以上です。
【大竹部会長】
ありがとうございます。恐らくデータはあるんだと思いますので、今すぐはお答えできませんけれども、また用意するということでよろしいですか。
【仲委員】
ありがとうございます。
【茂呂委員】
茂呂です。
今のことに関連して、もう一つ調べていただきたいことがあって、萌芽は、研究者目線でいくと、基盤を持っている人が、もう一つ研究費が欲しいので出すというイメージがどうしてもあって、その点から、挑戦的な研究が本当にやりたい人が行くものではなく、研究費を持っている人が2個目に取るというイメージがあります。
そこの点、既に研究費を持っている人たちが、実際に申請しているかということをもし調べられるようでしたら。
【大鷲企画室長】
分かりました。そこも確認させていただきます。
【大竹部会長】
そうですね。どのような方が申請しているかというデータを整理するということだと思います。
今、会場のほうで塩見委員と中野委員、中村委員から、手を挙げていただいていますので、まず塩見委員からお願いします。
【塩見委員】
先ほど茂呂さんが言われたように、審査のやり方がほかの科研費の審査方法と一緒だと思うんです。だから、平均点の高い人が通ってしまう。挑戦的であるのに、平均点の高い人が通るということはおかしいと思うんです。
つまりそれは申請書の書き方が上手な人など、いわゆるとがった研究をやろうと思っているような人というのは何となく偏っているので、うまく申請書などを書ける人ばかりとは思えない。そういうところから拾い上げてくるためには、例えば審査委員の委員長という方がおられるかどうか知りませんけど、中心になる人がちゃんとこの目指す思想みたいなものを委員の方にしっかり植付けないと、先ほど言ったように、結局、平均点の高い人が通ってしまうということになってしまう。
もう一つは、例えば、さきがけや創発などにはあると思うんですけど、委員長みたいな人に裁量を与える必要があるかなと思うんです。その方が引っ張り上げることができるような数をある程度確保することも一つの手かなと思います。
もう一つは、創発に一本化するということも、一つの手なんではないかなと僕は思います。
やはり華山さんが言われたように、挑戦的な研究をしようと思うと、お金とある程度の研究期間が必要なので、今、若い人はお金もないのに、挑戦的なことをやれと言われても、それは短期的にすぐ論文になるようなことしかできないということになってしまうから、そういうことを踏まえると、創発はとてもいいシステムかなと私は思います。
以上です。
【大竹部会長】
どうもありがとうございました。
続けて、中野委員からお願いします。
【中野委員】
中野です。
まず非常にパーソナルな話ですが、私は50歳を超えてから、「挑戦的研究(萌芽)」を採択され、その後、「基盤研究(B)」に移行しました。したがって、そのようなルートもございます。
なぜ「挑戦的研究(萌芽)」に応募したかというと、中区分で審査されるからです。テーマによっては、小区分で審査されるより中区分で審査されたほうが適切な課題があって、同様に考える方々が「挑戦的研究(萌芽)」に応募していると思います。したがって、そうした意義を発信するべきです。
挑戦的という言葉が独り歩きして、「挑戦的=めったに成功しない」といった誤解を産んでいるように感じます。しかし、本来この種目は「トランスフォーマティブ」な研究を振興するという導入経緯があって、既存の分野に収まらない新たな領域への挑戦や、新たな潮流を創出するためのものであると思います。
このような研究に取り組むにあたっては、長期的視点が求められるため、もちろん若い方が有利かもしれませんけれども、年齢によらないと思います。新しいトレンドに挑戦したいと考える人が、それに向かって取り組むことができる枠組みであればいいかと思います。
審査についてですが、私は陪席していて、審査はきちんとおこなわれていると感じています。挑戦性についても丁寧に議論されており、最終的に挑戦性が高い課題を本当に選んでいるかという点について、審査委員の先生方は、かなりの時間を使って真摯に議論していただいております。
問題があるとしたら、その議論が、審査グループによって生煮えのまま進んでしまうことがある、つまり、挑戦性とは何かということについて、委員間で意見の統一がなされないまま審査に入ってしまうということがあるということかと思います。
すでに数年間、挑戦的研究を実施しており、もちろん分野によって特性はありますが、実際にはいろいろなグループで議論された内容というのは、似通ってきています。挑戦性とは何かについて、毎回ゼロから議論を行うのではなく、学振の側から、「我々が考える挑戦性はこのような観点に基づく」という一定の提示を行っても良い時期に差しかかっているんではないかと感じています。
もちろん、唯一絶対の定義を示すことはできないかもしれませんけど、今回「国際性」を導入した際と同様に、「挑戦性」についても「このような観点がある」といった3つか4つの視点をあらかじめ提示することにより、より効率的に挑戦性について議論していただけるんではないかなと思います。
永田委員もおっしゃったとおり、課題の質に関しては非常に高いということは、審査委員の皆さんが口をそろえておっしゃっていることです。それは採択率が10%で、その上積みのところを取っているからという理由ではなく、本当に質が高いと評価されています。分野によって違いはあるかも知れませんが、なくして良いという議論にはなっていないのではないかと思います。
以上です。
【大竹部会長】
ありがとうございます。
中村委員からお願いします。
【中村委員】
若干観点が変わってしまうかもしれないんですけれども、挑戦性とは何かということにも関連しまして、ちょうど62ページのところで、日本はスモールアイランド型が少ないとか、前回の審議会でこういうことを教えていただいて、少し興味を持ったものですから、私の分かる分野で、例えば地球というキーワードを入れて、自分のマップを作ってみて、どういう分野がスモールアイランドとして出てきたかということを少し調べたことがあるんです。
それほど真剣にやっているわけではないんですけど、そうしますと、やはり心当たりの節がいろいろありました。どうしてこの分野が、例えば日本から出なかったんだろうとか、日本で乗り遅れたんだろう。あのマップのいいところは特徴語というもので、わっとキーワードが出てくるんですけど、そうすると単なる分野名ではなくて、スペシフィックに非常にピンポイントなキーワードが出てくるんです。
これは例えばスコーパスのデータベースなんかを使っても出てこない特徴語が出てきまして、恐らくその現場の研究者があれを使っていろいろ検討すると、なぜこういう分布になったのかということが、もう少しマクロではない、もっとさらに一段詳しいレベルで見えてくる気がするんです。
私がその時に幾つか調べた中では、必ずしも単純ではなくて、ある分野は、ずっと分野をリードしたその研究者の何人かの人の根っこをたどっていくと、極めてオーソドックスな研究をしていた研究室から非常に優れた若手が出て、リードしていたとか、何でそういう人が出たのか。イギリスの例なんですけど、オーソドックスなんですけど、恐らく非常に視野が広かった。
あるいは、ある分野では、非常に新しい技術がわっと出てきたときに、恐らくこれは研究費の不足だと思うんですけれども、ブレークスルーの可能性を持ったある分析装置がばっと日本で広がらなかったということも見てとるような分野もありました。
なので、例えばこの挑戦的研究の審査の観点で、これから新興領域をつくると期待されることみたいなものを加えたとして、もちろんプラスの効果はあるとは思うんですが、必ずしもそういう単純なものでもないかもしれないと思いました。例えば、特徴の一つとしては、NSF等を十分検討されたと思いますけど、やはり彼らはかなりきちんとしっかりとしたレビューをする。
やはり経験科学ですので、やはりレビューというのは。全く新しい発見というものも、天から降ってくるものではないので、理詰めに考えていった上でセレンディピティというものが出てくるので、例えばそこをやはり審査の観点を変えるなどということではなくて、書いていただく内容を少し変えるとなどといった観点からも、可能性はあるかなと思いました。
以上です。
【大竹部会長】
様々な次につながる御意見、御提言をいただいて誠にありがとうございます。
加藤委員、宇南山委員、鷹野委員の順番で手を挙げていただきましたので、まず加藤委員、よろしくお願いします。
【加藤委員】
加藤でございます。
先ほど仲委員もおっしゃっていた62ページのスモールアイランド型の研究というのは、日本で少ないということで、スモールアイランド型というのは割と小規模で、その後コンチネント型という大規模の領域に移行していくような、要するにシーズ発掘みたいな形の研究なのかなと私は理解しています。
スモールアイランド型の研究になるために支えていくということが、挑戦的な研究というのはシーズ発掘になっているのかなと思いますので、スモールアイランド型の研究が乗っていないと、やはり今後の研究の発展みたいなことが妨げられると思います。
こういうスモールアイランド型の研究を伸ばしていくためにも、挑戦の萌芽研究のほうをもう少し採択率を上げて、シーズ発掘にかけてみるということもいいんではないかなということが私の意見です。
以上です。
【大竹部会長】
どうもありがとうございます。
それでは、宇南山委員お願いいたします。
【宇南山委員】
ありがとうございます。
私は文系で、また皆さんと少し常識が違うのかもしれないんですけれども、科研の費目の役割分担というか、ライフステージによる違いが必ずしも明白ではない。先ほどどなたかがおっしゃっていたのですけれども、萌芽的な研究というのは若手がやるということを想定しているのか、していないのかということがよく分からなくて、イメージとしては、基盤研究で自分の分野のことをずっとやってきた結果として、派生したここの部分を深掘りしたいというような形で、(萌芽)というものが生まれてくるというケース、文系だとそういうケースが多いと思うんです。そういうようなライフコースを想定しているのか、どうか。
私の理解だと、萌芽もしくは開拓で何年かやった後に、それでなるほど新しい分野ができた、だから新しい項目ができますよということにはならないことを想定しているようにしか思えない。開拓でうまくいった研究があれば、すぐに新たな分類ができますよという話ではないと思うので、一体どういうステージで、どこまでが行われるのかということが、研究者の中で共有できていないと、あれは若手が出すもんでしょうとか、あれは大御所がおまけでやるものでしょうなどということが、必ずしも共通認識にできていないような気がします。
もう一つ、若手で長期であることが非常に重要だということは同意するのですが、やはり長期間与えてしまうということは、ある種の特権性があって、そこに漏れてしまうと、チャレンジできないという面もあるので、その意味では例えば大御所が取っている基盤研究の中で分担者としてやってきましたけれども、ここから萌芽的にチャレンジしますみたいな形で、比較的リスクが低く接続できるような道があれば、例えば必ずしも特定の若手を捕まえて、あなたにだけは10年間、腰を据えてやってもらいますというようなスタイルではなくても、比較的安定した研究環境を与えられるんではないかなと感じております。
以上です。
【大竹部会長】
どうもありがとうございました。
鷹野委員、すみません、順番が逆になってしまいまして、よろしくお願いいたします。
【鷹野委員】
いえ、とんでもございません。ありがとうございます。
私からは、皆様の御議論を聞いたことで1点、別の観点で1点お話ししたいと思います。
1つ目は、茂呂委員をはじめ多数の皆様の御意見にございました審査委員の理解が重要という点です。これは大変に重要だなと思いましたことと、中野委員の御発言の中で、そういったことの考え方を示していける状況が出てきたというか、そういう段階になっているという御発言もありましたので、その辺りをさらに進めていただければと思った次第です。
もう1点は、68ページに女性研究者の割合が左下に示されており、まだこれは傾向かどうかは分からない段階ではあるんですけれども、この2年間、最終年度とその前の年で半減しているというところについて少し気になりました。数値的には少し大きいと思いましたから、こういった辺りを今後しっかり見ていく必要があるのかなということを感じた次第です。
以上でございます。
【大竹部会長】
御指摘ありがとうございます。そうですね、女性研究者も検討課題だと思います。ありがとうございます。
華山委員、お願いします。
【華山委員】
ありがとうございます。
ここで議論すべきか少し迷ったのですが、先ほど大鷲室長からのお話にもございましたとおり、創発的研究支援も含めた枠組みで議論してほしいということで、私から情報提供させていただきたいと思います。
創発的研究支援事業は非常に高評価いただいているところではございますが、予算が補正予算でずっと賄われているという現状でございます。
予算的にどのような形にするのかという辺りは、良い取組が持続していかないと、今後ひょっとしたら継続できなくなってしまうというおそれもあると伺っております。
先ほど塩見委員からもございましたとおり、いっそのこと創発を科研費の種目に持ってきたらどうだという御提案もございまして、個人的には非常に面白いプランと考えております。
宇南山先生からもお話がありましたけど、研究者のステージによって科研費をいろいろと明確に区分する。若手研究で育ててきた、大御所もしくは上司の庇護の下でやってきた研究者が、独立してPIになっていくステップが、日本では一番力が入れられていないところだと個人的に思っております。
欧米では、御存じのとおり、アシスタント・プロフェッサー・レベルで独立することが非常に多くて、その際に各大学からスタートアップ研究費が1億円以上支援されることも多々あります。そのことで、非常に良いサイクルに入っていけるのです。
その研究費がたくさんあると、大型の機器を買えたりとか、ポスドクを雇えたりする。そのことでよいサイクルに入って、よい成果が出ると、今度はより大型のグラント、例えば、NIHでいったらRO1といった研究費にチャレンジするというようにステージに応じて、研究費の役割がきちんと明確化されております。
ですので、若手支援というのは、やはり日本においては非常に重要なところであって、一番欠けているところであると私は思っていまして、科研費においてそういった形でのステージがあればよいと思います。
長期になると、先ほど茂呂先生から挑戦性がどんどん失われていくという話もありましたが、そういった場合は、他の基盤研究と重複制限等をきちんと設けるよう制度設計をすればよいのではないかなと思います。
創発におきましても、より大型の研究費、例えばクレストやムーンショットといったところに採択された人たちは、卒業という制度を取っております。ステージがシニアPIのレベルまで上がると、途中でステージを変えて、「基盤研究(S)」や「特別推進」などに移行する。そういった形で全体的に科研費としてトータルで、研究者のライフステージに応じたプランを設計できるように考慮すればよいのではないかと思った次第です。
以上です。
【大竹部会長】
ありがとうございます。
あと5分ぐらい議論の時間があるかなと思いますが、もしあれば。
【永田委員】
よろしいですか。
【大竹部会長】
永田委員から。
【永田委員】
学際性の提案をどう審査するかという話題があって、中野先生から審査委員をどのタイミングで選んでいるのかという御質問があって、審査委員を選んでしまってから応募を受け付けていますと。多分こうなっていることは、応募がそろってから審査委員を選ぶと、多分日程的に運用ができないからだと思うんです。
これは別の部会でも議論になっているんですけど、審査委員を選ぶという仕事は結構AIができる業務でありまして、ここにAIを活用すれば、審査委員の先生方は忙しいけど、1週間でやってくださいということをやらなくても、AIならもう1分でできてしまいます。なので、そこのところの運用を改革できれば、この順番を入れ替えるということは可能なのではないのかと思いますので、これはぜひ検討していただきたいと思います。
【大竹部会長】
投稿論文の査読みたいな話になるかもしれません。御提言ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
中野先生。
【中野委員】
接続という観点では、挑戦的研究から学術変革への接続がうまくいけばよいと考えています。同じカテゴリーに入っていて、どちらも既存の学術の領域を超える、あるいは方向性を変えることを目的としていますが、必ずしも挑戦的研究の萌芽、開拓に採択された方が、そのまま学変の代表者になるというルートにはなっていないように思います。
また、学術変革を申請する際に若手のPIを含める要件が入っているので、実際には創発的研究支援事業とは非常に親和性が高く、創発に採用された研究者が学変に挑戦するという例をよく見かけます。したがって、創発的研究支援事業も一つステップとして位置付け、萌芽・開拓から創発、創発から学変というような一つのルートが形成されれば、より有効になるのではないかと考えます。もちろん、個人で新しい分野を開拓し、それを確立することができればすばらしいですが、どこかの段階でグループで取り組も必要があるとも思いますし、そうした流れやルートができれば、より実効性が高まるのではないでしょうか。
以上です。
【大竹部会長】
御議論、誠にありがとうございました。そろそろ時間ということで、たくさんのアイデアあるいは御議論をいただいて感謝申し上げたいと思います。挑戦そのものについて、あるいはインターディシプリナリーということも含めて審査をどうしていくのかということ、あるいは研究期間の話、ステージゲートの話もあったかと思います。
今日は充足率の話はあまり出ませんでしたけど、採択率と充足率というのは両方関係するのかなとも思いますし、萌芽、開拓、創発とどう関係するのかというところは大きなテーマということかと思います。
また審査委員の選び方というところで、AIも含めてという御提言もいただいたところであります。
事務局においてこれら整理の上、次回以降の部会で具体的な内容を示していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、議題がもう一つございまして、最後に「学術変革研究種目群」の検証・見直しに関する作業部会の設置について、事務局より御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
【大鷲企画室長】
資料といたしまして、資料6、右下69ページの資料になります。
本日、様々御意見をいただいたところでございます。それに向けてさらに深掘りした議論が必要と考えてございます。そこで「学術変革研究種目群」の検証・見直しに関する作業部会の設置について、今回お諮りするものでございます。
趣旨といたしましては、そこに書いてございますけれども、研究者の研究活動に内在する大胆な変革や探索をより積極的に見いだすことにより、新興・融合領域研究の振興を通じた我が国の研究力強化に資するよう、特に科研費の種目群のうち「学術変革研究種目群」の在り方を検証し、必要な見直しや新たな方策を検討する。
主な調査事項といたしましては、本日御議論いただきました「挑戦的研究(開拓)・(萌芽)」の検証・見直し、新興・融合領域の創出には必要であろうと思われる「学術変革領域研究(A)・(B)」の検証・見直しも行っていく。
(3)といたしまして、その他必要な方策という形で整理をさせていただいているものでございます。
この作業部会につきまして、次のページで委員名簿を用意させていただいてございますけれども、この5名の先生方にお願いできればということでございます。
次の資料、参考ではございますが、冒頭、この部会に作業部会を置くことができるとさせていただいているものでございます。なお、この作業部会に属すべき委員等につきましては、部会長が指名するということとさせていただいてございます。作業部会に主査を置きまして、部会長の指名する者がこれに当たるということとさせていただいてございますので、あらかじめこのようなメンバーの御提示をさせていただいているというところでございます。
こちらについても御審議のほどよろしくお願いいたします。
【大竹部会長】
御説明ありがとうございました。
これらについて御質問はいかがでしょうか。よろしゅうございますか。ありがとうございます。
それでは、研究費部会の運営規則第3条になります。第3条に基づきまして、作業部会を設置することとさせていただきます。御説明にありましたように、作業部会の委員として資料5に記載の5名の先生方を指名させていただいた上で、委員のうち主査として、中野委員を指名させていただきます。
中野先生よろしくお願いします。
【中野委員】
頑張ります。
【大竹部会長】
今日の議論を全部受け止めるような格好ですね。
【中野委員】
はい。皆さんの意見をよく聞いて。
【大竹部会長】
作業部会の委員の方々におかれましては、まずは挑戦的研究を含めまして、「学術変革研究種目群」の検証・見直しについて具体的な議論を進めていただき、おおよそ今年の夏頃に本部会において研究状況の報告を行っていただきたいと思います。あまり時間がないというところでありますが、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、そろそろ時間ということになりますので、本日の議論はここまでとさせていただきます。本日いただきました御意見は事務局において整理していただきまして、次回以降、本部会で議論を進めてまいりたいと思います。委員の皆様におかれましては、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
最後に、事務局から何かあればよろしくお願いします。
【豆佐企画室長補佐】
ありがとうございました。
本日の議事録につきましては、各委員に御確認いただいた上で公開させていただきたいと思います。
また次回の研究費部会につきましては、資料4で日程をお示しているところでございますけれども、改めて御連絡させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
【大竹部会長】
よろしゅうございますか。
それでは、これで閉会ということにさせていただきます。どうもありがとうございました。
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